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- ca
- チャ 【ca】 柴. (出典:萱野、方言:沙流)
- ca
- チャ 【ca】 言葉. (出典:萱野、方言:沙流)
- ca
- チャ 【ca】 摘む,切る. イチャ=それを摘む,穀物の穂を摘む.ピヤパ チャ=ヒエの穂を摘む.ムンチロ チャ=アワの穂を摘む.フンペリカ アナㇰネ シコポㇷ゚ノタコㇷ゚ アニ ア・チャ ㇷ゚ ネ=鯨の脂身は錆のある刃物で切るものだ.フンペ ア・チャ ヒ タ アナㇰネ シコポㇷ゚ノタコㇷ゚ アニ ア・チャ コㇿ ピㇼカ ㇷ゚ ネ=鯨を切る時は錆びついた刃物で切るといいものだよ(と年上の人から開かされたことがある). (出典:萱野、方言:沙流)
- ca
- チャ §067 サケ あきあじ、あきやじ 性(1) ca(ča)「チャ」⦅北海道、樺太一般⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ca
- チャ §262.くち(口)(2)ca〔čá ちャ〕⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ、テシオ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ca 1
- チャ 【他動】…を切りとる、 (穀物の穂)を摘みとる。 akketek or un hunpe ca a ca a híne アツケテㇰ オルン フンペ チャ ア チア ヒネャ 帆立貝の中へ鯨の肉をどんどん切りとって入れて。(S民話) {E: to cut off…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ca 2
- チャ 【名】[植物] 「柴」、 立っている小さい細い木。 iteki ca hepita haw néno hawean イテキ チャ ヘピタ ハウ ネノ ハウェアン [隠]曲げた細い木がパッと伸びるような言い方をするな=すぐに怒ってはいけない。(S) {E: a small, thin tree.} (出典:田村、方言:沙流)
- ca 3
- チャ 【名】[動物] 雄の鮭。 ☆参考 雌の鮭は os オㇱ。 ☞kamuycep カムイチェㇷ゚〔知分類 P.42〕 {E: a male salmon.} (出典:田村、方言:沙流)
- a=caamam
- アチャアマㇺ 【a=ca-amam】 穂をちぎったヒエ. ▷ア=それ チャ=ちぎる アマㇺ=穀物. *主として一穂ずつ摘み取ったヒエのことを言う.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- a=casito
- アチャシト 【a=ca-sito】 丸い団子を切った物,切った団子. ▷ア=それ チャ=切る シト=団子 *イヨマンテ(熊送り)の時に直径15cmの団子を4つに切ってシトノシキ(団子の真ん中)の短い短冊形の方を熊神に供える.シトラキルㇽという半月形のものは切っている時に子供たちに食べさせる.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- a=catcari
- アチャッチャリ 【a=cat-cari】 散らかされる.▷ア=人(が) チャッチャリ=ぱっぱとまき散らす →散らかされる ヌマン ケイワンケ(ク・エイワンケ) ムカㇻ ネ ヤ ア・チャッチャリ ワ アン.タンペ アナㇰネ カムイ イピㇼマ ネ ナンコㇿ=昨日私が使ったマサカリなどが散らかされている.これは危険なことがあるよと神がこっそりと私に耳打ちしてくれたに違いない. (出典:萱野、方言:沙流)
- a=ecatkep
- アエチャッケㇷ゚ 【a=e-catke-p】 汚ない物. トアンタ セタ ライチェㇷ゚ ムニン ワ アン ワ ア・エチャッケㇷ゚ ネ=あそこに大の死体が腐ってあって汚ない物だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- áca
- アチャ 【名】①[概/所](親族としての)おじ(伯父/叔父)。 áca siresure アチヤ シレスレ おじさんに育てられる。(S) ②おじさん(小父)。 ☆参考 主に二風谷で言う。 二風谷以外では acapo アチャポ のほうが普通に用いられる。 二風谷では acapo アチャポ と言うと亡くなった伯父/叔父のことになる。 {E: ①an uncle.(relative). ② an uncle (non-reltaive).} (出典:田村、方言:沙流)
- aca
- アチャ 【aca】 おじ:アチャポ=おじという言葉の略語.*昭和時代,平取町二風谷村では正雄アチャ,松雄アチャ,清市アチャなどと呼ばれていた人たちがいた.一種の敬称のように思いながら呼んでいたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- aca
- アチャ §019.父(1)aca〔á-ča あチャ〕①日常会話語で父を指す⦅東シズナイ、ウラカワ、サマニ、ビロオ、シラヌカ、ビホロ、シラヌシ、ウソロ⦆。②日常語で伯父を指す。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- aca
- アチャ §027.伯父、叔父(3)aca〔á-ča あチャ〕①日常語で伯父叔父を指す⦅レブン、ホロべツ、サル、テシオ、マオカ、タラントマリ⦆。樺太では雅語でも用いる。"e-koro〜tu ayno ka an"「お前の叔父は二人もいる」⦅マオカ⦆。伯父叔父を区別する時はporo-aca「大きい・おじ」、pon-aca「小さい・おじ」とする⦅ホロベツ、テシオ⦆。keyanne an-aca「年上の・我が・おじ」、poniwne an-aca「若い方の・我が・おじ」などの言い方もある⦅マオカ、タラントマリ⦆。an-kiane-aca「我が・年上の・おじ」an-poniwne-aca「我が年下の・おじ」とも言う⦅ニイトイ⦆。父方の伯叔父はona orowano aca「父・からの・おじ」、母方のはunu orowano aca「母・からの・おじ」と言う⦅ホロベツ⦆。②日常語で父を指す⦅シズナイ、ウラカワ、ビロオ、シラヌカ、アカン、ビホロ⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- acapo
- アチャポ 【名】[aca-po おじ・(指小辞)] ①(親族としての)おじさん、 父母の兄弟や男のいとこ。 kor acapo コㇿ アチャポ …のおじさん(伯叔父)。 ku=kor acapo クコㇿ アチャポ/クコラチャポ (私のおじさん(伯父/叔父)。 ②(他人の)おじさん、 妻子があり孫がないぐらいの年齢の男(子どもぐらいの年齢のものが、 またはそれ以外のものでもそのくらいの気持ちで言う)。 ☆参考 二風谷以外で言う。 二風谷では áca アチャ といい、 acapo アチャポ というと「死んだおじ」のことになる。 {E: ①an uncle. (relative) ② an uncle (non-relative).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- acapo
- アチャポ §019.父(3)acapo〔á-ča-po あチャポ〕①⦅ハルトリ、シャリ、ウソロ⦆父。②⦅タラントマリ⦆妻から夫の父を、また夫から妻の父を指す;義父。③伯叔父。④ポロシリ岳の山詞では日本人を指す。⑤⦅チシマ:千島アイヌ, p.136⦆翁。[aca(↑)+-po(指小辞、愛称辞)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- acapo
- アチャポ §027.伯父、叔父(4)acapo〔イブリではá-ča-po(あチャポ)だがその他ではa-čá-po(アちゃポ)〕①伯叔父⦅シラオイ、ムカワ、ホべツ、シズナイ、サマニ、ビロオ、ハルトリ、トオロ、アカン、クッシャロ、ウソロ⦆。②⦅シャリ、タラントマリ⦆妻から夫の父を、また夫から妻の父を指す;義父。③ポロシリ岳の山詞では日本人を指す。④⦅チシマ:千島アイヌ, p.136⦆翁。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- acapo 1
- アチャポ 【acapo】 ①おじ(叔父,伯父). アㇻパ アチャポ タㇰ ワ エㇰ=行って叔父を呼んで来い. (出典:萱野、方言:沙流)
- acapo 2
- アチャポ 【acapo】 ②しゅうと(夫の父). (出典:萱野、方言:沙流)
- ácautari(hi)
- アチャウタリ(ヒ) 【名】[所](概 ácautar アチャウタㇻ の例はない。)[aca-utar-i(hi) おじ・人々(=たち)・(所属語尾)] …のおじたち。 e=acautari cep nu kooka kor oka yak a=ye korka i=korepa ka somo ki エアチャウタリ チェㇷ゚ ヌ コオカ コロカ ヤ カイェ コㇿカ イコレパ カ ソモ キ あなたのおじさんたち浜でたいした(=たくさん)魚とったて言うけれどちっともくれない。(S) {E: the uncles of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- acawre
- アチャウレ §297 ワタリガラス;オオガラス (3) acawre (a-cáw-re)「アちャウレ」[<?] ⦅多蘭泊、真岡、白浦⦆ワタリガラス (出典:知里動物編、方言:)
- amcayaya
- アㇺチャヤヤ 【自動】[am-cayaya 指・開いている(?)] 指を開いている。 {E: to open out the fingers.} (出典:田村、方言:沙流)
- amcayaya
- アㇺチャヤヤ 【am-cayaya】 指を広げている. マキㇷ゚ エネ エ・アㇺチャヤヤ ワ エ・アン エ・マヤイケ ヒ?=どうしたの,そのように指を広げているのは,皮癬(ひせん)でもかいたのかい? (出典:萱野、方言:沙流)
- amiphecawere
- アミㇷ゚ヘチャウェレ 【amip hecawere】 着物解し(をする),ほどき物(をする). (出典:萱野、方言:沙流)
- ancami
- アンチャミ 【ancami】 アザミ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ancami
- アンチャミ §017 アザミの類 (6) ancami (án-ca-mi)「あンチャミ」[<日本語“アザミ”] 茎葉 ⦅幌別、様似⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- ancaw(-e)
- アンチャウ §033.あざ(痣)(4)ancaw(-e)〔án-čaǔあンチャウ〕[anci(黒い)+aw(<am粒?)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ancaw(-he)
- アンチャウ §700.ほくろ(黒子)(1)ancaw(-he)〔án-čaŭ あンチャウ〕[<anci(黒曜石、石炭)+am(粒?)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- apacampe
- アパチャンペ §268 イヌ (5) apacampe (a-pá-čam-pe)「アぱチャンペ」[<apa(戸)ca(そば)un(にいる)-pe(もの)、‘戸口のそばにいるもの’] ⦅美幌、白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- apacapunki
- アパチャプンキ §268 イヌ (6) apa-ca-punki (a-pá-ca-punki)「アぱチャプンキ」[<apa(戸口)ca(そば)punki(番人)] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- apkaskucan
- アㇷ゚カㇱクチャン §277 くま (71) apkas-kucan (áp-kas-ku-čan)「あㇷ゚カㇱクチャン」[<apkas(歩く)kucan(雌グマ)] ⦅美幌⦆他のクマがすでに穴ごもりしたのにまだ山野をうろついている雌グマ (出典:知里動物編、方言:)
- askakucan
- アㇱカクチャン §277 くま (33) aska-kucan (ás-ka-ku-čan)「あㇱカクチャン」 ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- atuycicar
- アトゥイチチャㇻ 【名】「言葉はあるがどこだか知らない。」 (S) (出典:田村、方言:沙流)
- aycaro
- アイチャロ 【ay-caro】 矢筈:矢の弦にかける部分.▷アイ=矢 チャロ=の口 (出典:萱野、方言:沙流)
- aykocararke
- アイコチャラㇻケ 【自動】[ay-ko-cararke とげ・が・いっぱい出ている] とげだらけだ。 aykocararke kina réhe ikaray ne アイコチャラㇻケ キナ レヘ イカライ ネ とげだらけの草の名前は「イラグサ」(イラクサ)だ。(S) {E: to be thorny.} (出典:田村、方言:沙流)
- caca
- チャチャ 【caca】 じいさん,じじい,老人(男):男にだけ用いる.あまり上品な言葉ではないのでむやみに使ってはいけない. ウェンチャチャ=悪いじじい. (出典:萱野、方言:沙流)
- caca
- チャチャ 【ca-ca】 切る:鋸で切る時など. (出典:萱野、方言:沙流)
- caca
- チャチャ §008.老翁(1)caca〔čá-ča ちゃチャ〕⦅H. S.⦆じじい;老翁;老爺。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- caca
- チャチャ §019.父(5)caca〔čá-ča ちゃチャ〕①⦅シラヌシ⦆父。②⦅H. S.⦆じじい;老爺。カラフトではhawki(英雄詞曲)とoyna(神謡)にだけ用いる;日常会話の語ではhenki、tu-itak(昔話)ではheysu、yesuと言う。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- cáca 1
- チャチャ 【他動】[ca-ca …を切り取る・(重複)](のこぎりで)引き切る。 {E: to cut…with a saw.} (出典:田村、方言:沙流)
- cáca 2
- チャチャ 【名】(お)じいさん、 年配の男性。 cáca ka an rupnemat ka an チャチャ カ アン ルㇷ゚ネマッ カ アン (そこには)おじいさんもいた、 おばあさんもいた。(S民話) kamuy cáca カムイ チャチャ (直訳すると)神・じいさん(熊を指す一表現)。 ☆参考 親族名称ではない。 敬意を含まない。 呼びかけには使わない。 ekasi エカシ は親族名称にも使われ、 敬意を含み、 呼びかけにも使われる。 ☆対語 rupnemat ルㇷ゚ネマッ。 {E: an old man.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Cáca-nupuri
- チャチャヌプリ 【名】[cáca-nupuri じいさん・山][地名](もと摩周湖の湖畔にあったと言う山。 藻琴山が投げた槍がささり、 怒って千島に去ったと言う伝説がある。) {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- caha
- チャハ 【caha】 小枝,小柴. (出典:萱野、方言:沙流)
- cahka
- チャㇵカ §024.赤子のゆりかご(2)cahka〔čáh-kaちゃハカ〕[<ギリヤーク語]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cahkuru
- チャㇵクル §480.たまご(卵)(11)浜へ寄り上ったニシンの卵;いわゆる「ぶりこ」 cahkuru〔čáh-ku-ru ちゃㇵクル〕⦅シラウラ、マオカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cak
- チャㇰ 【自動】[擬音/擬態の語根](アマッポ(仕掛弓)等が)はじける、 (口からつばが)パッととぶ。 {E: to burst open, out.} (出典:田村、方言:沙流)
- cak
- チャㇰ 【cak】 はじける,飛び散る:草の種などがはじけて飛び散る. タント シプㇱケㇷ゚ トイ ク・ヌカㇻ ワ ケㇰ ア コㇿカ トゥナㇱノ ソモ ア・チャ ヤㇰ チャㇰ ワ イサㇺ ナ ホクレ チャ ヤン=今日,イナキビ畑を私が見て来たが,早く穂を摘まないと飛び散ってしまうよ.早く摘みなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- cak piyak
- チャㇰ ピヤㇰ 【間投】[声の擬音](「アマツバメの舞」と呼ばれる踊りのウタのはやし、 cak cak piyak チャㇰ チャㇰ ピヤㇰ と言う部分もある。) ☆発音 pi ピ の部分をのばして piːyak ピーヤㇰ のように歌う。 最近は日本語なまりで cappiːya チャッピーヤ と歌われることもある。 ☆参考 cakcak チャㇰチャㇰ はミソサザイ。 cipiyak チピヤㇰ はシギ。 (出典:田村、方言:沙流)
- caka
- チャカ 【他動】[cak-a (開放を表す語根)・(他動詞形成)]…を開ける。 apa caka アパ チャカ 戸を開ける(「鵡川で言う、 上から後ろへとばすこと、 沙流では言わない」)。(S) ☆参考 鵡川の言葉。 沙流では maka マカ と言う。(S) {E: to open…} (出典:田村、方言:沙流)
- cakam suye
- チャカㇺ スイェ §267.口をもぐもぐ動かす[物など食べながら]ca-kam suye〔čá-kam-su-je ちゃカㇺスイェ〕[ca(口)+kam(肉)、suye(揺り動かす)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cakasno(an-)
- チャカㇱノ §600.ばち(罰)[が当る](6)罰する cakasno(an-)〔ča-káš-noチャかㇱノ〕⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cakcak
- チャㇰチャㇰ 【名】[声の擬音であろう][動物] ミソサザイ。 〔知分類 p.191 c&akc&ak-kamuy ミソサザイ〕 {E: a wren (bird)} (出典:田村、方言:沙流)
- cakcak
- チャㇰチャㇰ 【cak-cak】 ミソサザイ.*茶色の小鳥で山奥の沢にいる.鹿か熊が動くとチャッチャッと声を出しながら飛んで来るので狩人はその方角へ行く. (出典:萱野、方言:沙流)
- cakcakkamuy
- チャㇰチャッカムイ 【cak-cak-kamuy】 ミソサザイの神. (出典:萱野、方言:沙流)
- cakcakkamuy
- チャㇰチャㇰカムイ §323 ミソサザイ (7) cakcak-kamuy (čák-čak-ka-muy)「ちャㇰチャㇰカムイ」[<cak! cak! と鳴く神の義] ⦅様似、美幌、伏古⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
- cakisar(-a)
- チャキサㇻ §270.くちわき;口角部(2)ca-kisar(-a)〔ča-ki-sar ちゃキサㇻ〕[ca(口)+kisar(耳)]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cakka
- チャッカ 【他動】[cak-ka はじける・(他動詞化)] …をはじけさす。 {E: to open…} (出典:田村、方言:沙流)
- cakke
- チャッケ 【自動】[cak-ke (解放を表す語根)・(自動詞形成)](出入口などが)開く。 ☆参考 鵡川で言う。 沙流では makke マッケ と言う。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- cakkeeo
- チャッケエオ 【自動(?)】[cakke-e-o きたないとしてきらう・そこに・入れる](?) 何でもきたながる。 {E: to feel that everything is dirty, filthy.} (出典:田村、方言:沙流)
- cakkosanu
- チャッコサヌ 【cak-kosanu】 (さっと)晴れる. (出典:萱野、方言:沙流)
- cakpiyapa
- チャㇰピヤパ 【名】[cak-piyapa はじける・ヒエ][植物] 田んぼ(稲田)に生えるヒエ。(食べる穀物のヒエではなく、 ヒエ抜きをするというときのヒエ)。 〔知分類 p.229〕 {E: millet (growing in a rice field)} (出典:田村、方言:沙流)
- cakpiyapa
- チャㇰピヤパ §401 ヒエ (9) cak-piyapa (cák-pi-ya-pa)「ちャㇰ・ピヤパ」[cak(はぜる)piyapa(ヒエ)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- camsecamse
- チャㇺセチャㇺセ 【camse-camse】 (もぐもぐと)食べる,噛む. (出典:萱野、方言:沙流)
- canaan
- チャナアン 【自動】[canan チャナン の強調形] 全く平凡である、 粗末である。 (出典:田村、方言:沙流)
- canan
- チャナン 【自動】平凡である、 粗末である。 {E: to be common; ordinary; poor; plain.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- canan
- チャナ(ー)ン 【canan】 粗末な.たいしたことのない,弱々しい. シネアンタ チャナーン ノ イミ イヤフㇷ゚ペ エㇰ ヒネ ヤイェヤントエトゥン.アオカ カ タㇷ゚ アエㇷ゚ カ イサㇺ ペ ネ ワ アン ペ ア・ウヌフ レウシレ ルウェ ネ=ある日のこと,粗末な着物を着た乞食が着て泊めてくれと言った.私どもだけでも食べ物もないのに,その者を私の母は泊めることにした. (出典:萱野、方言:沙流)
- cananhoparata
- チャナンホパラタ §111.陰部を露出する―除魔のための呪術的陰部露出[する](4)canan-hoparata〔ča-nán-ho-pa-ra-ta チャなンホパラタ〕[canan(粗末な、ざっとした)+hoparata(↑)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cananno
- チャナンノ 【canan-no】 粗末に,雑に. (出典:萱野、方言:沙流)
- cananpe
- チャナンペ 【canan-pe】 貧弱:見劣りがして,みすぼらしいこと. (出典:萱野、方言:沙流)
- cannoyekar
- チャンノイェカㇻ 【他動】[中相][c(i)-annoyekar された・(神の顔つきを)持つ](次の慣用句で)kamuy ipor cannoyekar カムイ イポㇿ チャンノイェカㇻ 神の面差しそのままである。 kamuy menoko ne noyne kamuy ipor cannoyekar pirka menoko カムイ メノコ ネ ノイネ カムイ イポㇿ チャンノイェカㇻ ピㇼカ メノコ 女神であるらしく神の面差し(顔つき)そのままである美しい女性。(W民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cannoyep
- チャンノイェㇷ゚ 【名】[c(i)-annoye-p された・表す・もの]現れ。 nupur pe sóne/nupur cannoyep/esirutumka/nuyna kane ヌプㇽ ペ ソネ/ヌプㇽ チャンノイェㇷ゚/エシルトゥㇺカ/ヌイナ カネ [雅]本当に霊力のあるものだが霊力の現れを頭飾りをかぶって自分の中に隠して。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- canunkopa
- チャヌンコパ 【c-anun-kopa】 他人扱い(する).▷チ=それ アヌン=別の コパ=合わせる,らしくする (出典:萱野、方言:沙流)
- canup
- チャヌㇷ゚ 【canup】 知る,覚える,分かる,参考になる. オンネ ㇷ゚ アナㇰネ ネㇷ゚ イェ ヤッカ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ ポロンノ アン ペ ネ クス ピㇼカノ ア・ヌ ㇷ゚ ネ ナ アニ=年寄りは何を言っても参考になることがたくさんあるものだからよく聞くものだぞ. (出典:萱野、方言:沙流)
- caohunkes
- チャオフンケㇱ §270.くちわき;口角部(4)ca-ohunkes〔čá-o-Fuŋ-keš ちゃオフンケㇱ〕[ca(口)+ohunkes(尻)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cap
- チャㇷ゚ §277 くま (52) cap (čap)「チャㇷ゚」[<ciyap] (出典:知里動物編、方言:)
- cápe
- チャペ 【名】[動物] ネコ。 cápe haw チャペ ハウ ネコのなき声。 iteki cápe haw ki hani! イテキ チャペ ハウ キ ハニ! ネコの声をするなよ。(S民話) cápe ra péka ekesinne sowsut péka sinot kor an kor apto ruy oasi チャペ ラ ペカ エケシンネ ソウスッ ペカ シノッ コラン コㇿ アㇷ゚ト ルイ オアシ ネコがゆかの上であちこち隅っこのほうへ行ってじゃれているときはまもなく雨がひどくなる。(S)〔知分類 p.136〕 {E: a cat.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cape
- チャペ 【cape】 猫. ウェン チャペ カトゥネコ ク・ミッポホ アムチチ ルウェ アン=悪い猫がこんなにひどく私の孫をかっちゃいたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- cape
- チャペ §266 ネコ (3) cape (čá-pe)「ちャペ」[<Jap.(東北方言)‘cape’‘cappe’] ⦅胆振、日高⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- capeparkoat
- チャペパㇻコアッ §474.たたる(5)猫のたたり cape-parkoat〔cá-pe-par-ko-at ちゃペパㇻコアッ〕[cape(ネコ)+parkoat(罰が当る)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cappe
- チャッペ §403 エノコログサ (1) cappe (cáp-pe)「ちャッペ」[<日本語(東北方言“チャペ”)] 穂 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- capus(-i)
- チャプㇱ §272.くちびる(唇)(3)capus(-i)〔čá-puš ちゃプㇱ〕[<papus↑]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- capus(-i)-perke
- チャプㇱペㇾケ §729.みつくち;としん(兎唇)(1)ca-pus(-i)-perke〔čá-puš-per-ke ちゃプㇱペㇾケ〕[capus(唇)+perke(割れている)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- capusepehtuy
- チャプセペㇸトゥイ §729.みつくち;としん(兎唇)(3)capus-e-pehtuy〔čá-pu-se-peh-tuǐ ちゃプセペㇸトゥイ〕[capusi(その唇)+e(において)+per(裂け)+tuy(切れている)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- capusrek(-i)
- チャプㇱレㇰ §275.くちひげ(口髭)(3)capus-rek(-i)〔čá-puš-rek ちゃプㇱレㇰ〕[唇・ひげ]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- car(-o-u)
- チャㇻ §262.くち(口)(4)car(-o、-u)〔čár ちゃㇻ〕⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、ビホロ、シャリ、テシオ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- car/caro(ho)
- チャㇻ/チャロ(ホ) 【car/caro(ho)】 口. (出典:萱野、方言:沙流)
- cara(caru)
- チャラ §262.くち(口)(5)cara(caru)〔ča-rá チャら〕[<car]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- carakekane
- チャラケカネ 【carake kane】 ふざけ半分.遊び半分,いたずら半分. (出典:萱野、方言:沙流)
- caranke
- チャランケ 【自動】[< ca-ranke 口・を下ろす](?) 談判する。 ☆参考 争いごとや文句がある場合に、 自己の主張を言葉で雄弁に論じて相手を説得しまたは言いくるめて解決するやり方で、 いわば今日の裁判での弁論に相当する。 {E: to argue, debate (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- caranke
- チャランケ 【ca-ranke】 談判(する),話し合い.▷チャ=言葉 ランケ=下ろす マッ カ コㇿ ホク カ コㇿ ペ ウウェエオコㇰ ヒ ア・コオシコニ パ ユㇷ゚ケ チャランケ アン ヤㇰ ア・イェ=妻もいて夫もいる者どもが浮気をし,それが発覚して強い談判が始まったそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- carankecikap
- チャランケチカㇷ゚ 【ca-ranke-cikap】 ヒバリ. (出典:萱野、方言:沙流)
- carankecikap
- チャランケチカㇷ゚ §306 ヒバリ (5) caranke-cikap (cá-ran-ke-či-kap)「ちャランケチカㇷ゚」[<‘談判する・鳥’] ⦅近文⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- carankeciri
- チャランケチリ §306 ヒバリ (4) caranke-ciri (cá-ran-ke-či-ri)「ちャランケチリ」[<‘論争する・鳥’] ⦅春採⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- carankepa
- チャランケパ 【自動】[複](caranke チャランケ は単複の区別なし)(二人以上が皆で) 談判する。 {E: to negotiate (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cararase
- チャララセ 【cararase】 滑る. (出典:萱野、方言:沙流)
- cararke
- チャラㇻケ 【自動】[car-ar-ke (擬態の語根)・(重複)・(自動詞形成)](とげが)いっぱい出ている。 ayehe cararke アイェヘ チャラㇻケ [植物] とげがいっぱい出ている(=aykocararke アイコチャラㇻケ)。 ☞cayayke チャヤイケ (S) {E: to be thorny; have many thorns.} (出典:田村、方言:沙流)
- cárase
- チャラセ 【自動】[cara-se (擬態の語根)・…という] すべる、 すべりおりる(平らな所でも)。 cárase kor payoka チャラセ コㇿ パヨカ (子どもたちでも)すべって遊ぶ。(S) cárase nay チャラセ ナイ ザーッとすべりおりる沢。(S) ☆参考 carse チャㇻセ スピードを上げてすべり下りる。 {E: to slip, slide (down).} (出典:田村、方言:沙流)
- carase
- チャラセ 【carase】 滑る,滑り降りる:人間が斜面を滑り降りる. カンペクㇽカ エチャラセ=水面を滑るように.*二風谷にチャラセという和船があり,8月20日に沙流川で乗って遊ぶ舟下ろし祭りがある. (出典:萱野、方言:沙流)
- carearayta
- チャレアライタ 【自動】(次の表現で) rekkurpo ka carearayta レックㇽポ カ チャレアライタ ひげが少しはえかかっており、 まだはえそろっていない。(KM民話) ☞cearayta チェアライタ (出典:田村、方言:沙流)
- cari
- チャリ 【cari】 まく.ふりまく,まき散らす. ニヌㇺチャリ=木の実をまく(熊送りの時などに行なう). (出典:萱野、方言:沙流)
- cari 1
- チャリ 【他動】[単](複は carpa チャㇻパ)…を散らす。 {E: to scatter, disperse…} (出典:田村、方言:沙流)
- cári 2
- チャリ 【他動】[中相][c(i)-ári された・(火)をたく](ape アペ《火》の前に置かれて)たいてある、 たかれている。 cári-ape チャリアペ たきび(=いろりの火)。(S) (W) (出典:田村、方言:沙流)
- cárkannaimak(-i)
- cárカンナイマㇰ §582.は(歯)(23)上の歯 cár-kanna-imak(-i)〔ちゃㇻ・カンナ・イマㇰ〕[口の・上方の・歯]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- carkarpe
- チャㇻカㇻペ §237 アイヌワサビ (1) carkarpe (cár-kar-pe)「ちャㇻカㇻペ」[car(口)kar(しげきする)pe(もの)] 根 ⦅美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- caro
- チャロ 【/caro】 〜の口. (出典:萱野、方言:沙流)
- caro kunne
- チャロクンネ §073 マスノスケ;オオスケ;クチグロマス;フキマス (3) caro kunne(ca-ró-kun-ne)「チャろクンネ」[caro(その口)kunne(黒い)]Carokunneクチグロマス(モシオグサ)。 (出典:知里動物編、方言:)
- caroeperke
- チャロエペㇾケ §729.みつくち;としん(兎唇)(2)caro-eperke〔ča-ró-e-per-ke チャろエペㇾケ〕[caro(その口)+e(について)+perke(割れている)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- caronoyke
- チャロノイケ §268.口が曲っているcaro-noyke〔ča-ró-noǐ-ke チャろ・ノイケ〕[caro(その口)+noyke(ねじれる)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- caronoykecep
- チャロノイケチェㇷ゚ §067 サケ あきあじ、あきやじ 異(1) caro-noyke-cep(ča-ró-noy-ke-čep)「チャろノイケチェㇷ゚」[caro(その口)noyke(ねじれている)cep(魚)]⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- carototke
- チャロトッケ 【carototke】 (声が)聞こえる,騒がしい:子供の泣き声や小鳥のさえずりが騒がしい. ポンペ チㇱ ハウ チャロトッケ=赤ん坊の泣き声が聞こえてきた.キㇺペ ハウ チャロトッケ=熊の声が聞こえてきた. (出典:萱野、方言:沙流)
- carpa
- チャㇻパ 【他動】[複](単は cari チャリ) (たくさんのもの)を散らす/ばらまく。 ☆参考 icarpa イチャㇻパ ものまきする=先祖等の供養に食物やたばこなどをまく(供える)。 {E: to scatter, disperse (a lot of something).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- carpa
- チャㇻパ 【carpa】 散らす,まき散らす. (出典:萱野、方言:沙流)
- carpacarpa
- チャㇻパチャㇻパ 【他動】[carpa-carpa 散らす[複]・(重複)] 何回もチヤラパする、 パラパラまき散らす、 バラバラにちらかす。 néa a=kor ape ka a=carpacarpa ネア アコㇿ アペ カ アチャㇻパチャㇻパ その私の(たいていた)火もめちゃめちゃに散らされていた。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- carpapa
- チャㇻパパ 【他動】[複複](単は cari チャリ)(二人以上が皆で)(たくさんのもの)をまき散らす。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- carse
- チャㇻセ 【自動】[car-se (擬態)・という] 上からチャーッと速くすべりおりる(「上からチャーッとすべること。 自然にすべるのが遅いような気がして、 杖を持ってズーッとできるだけ速くすべって行くから carse チャラセ」)。(S) ☆参考 cárase チャラセ よりも速く。 ☞ecarase エチャラセ、 ecarse エチャㇻセ (出典:田村、方言:沙流)
- caru askay
- チャル アㇱカイ §310.声がよい(2)caru askay〔ča-ru-aš-kaǐ チャる・アㇱカイ〕[caru(そのロ)+askay(達者である)]⦅テシオ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- caruaraka
- チャルアラカ §271.口腔の病気caru-araka〔čá-ru-a-ra-ka ちゃル・アラカ〕[その口・痛む]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- caruepehtuy
- チャルエペㇸトゥイ §729.みつくち;としん(兎唇)(4)caru-epehtuy〔čá-ru-e-peh-tuǐ ちゃルエペㇸトゥイ〕[その口・において・裂け・切れている]⦅マオカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- caruwato
- チャルワト 【caruwato】 整然としている. ア・コㇿ チャシ リクン オㇷ゚プイ ランケ オㇷ゚プイ チャルワト=私の城,上の槍穴,下の槍穴,整然と[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- caruwatore
- チャルワトレ 【caruwatore】 整う. (出典:萱野、方言:沙流)
- cas
- チャㇱ 【cas】 走る. (出典:萱野、方言:沙流)
- caseweyyuk
- チャセウェイユㇰ §277 くま (63) ca-se-weyyuk (čá-se-wey-yuk)「ちャセウェイユㇰ」[<ca(柴)se(負う)wen(悪い)yuk (出典:知里動物編、方言:)
- cási
- チャシ 【名】[< ci-asi-i された・たてる・ところ] ①柵、 境の垣(外からの侵入を防ぐためのもの、 鉄条網も)。 ras cási ラㇱ チャシ 木の割端でつくった柵。 unma o cási ウンマ オ チャシ 馬牧場(の囲い)。 ②家 (通常、 家のことは cise チセ と言うが、 ウポポ(斉唱・輪唱する歌謡)や叙事詩の中で cási チャシ と言う。 神の住む家は cási チャシ と言うのが普通であり、 また特別の人の館(やかた)か大邸宅を指すこともあり、 「城」とも訳される)。 ne nupuri nupuri kitay ta cásikor wa an kunine ネ ヌプリ ヌプリ キタイ タ チャシコㇿ ワ アン クニネ (その神が) その山の山頂に城をかまえて住むように。(S言い伝え) Aspet un cási アㇱペトゥン チャシ 芦別(「本当は鷲別」 (S))の家。(Sほかウポポ) ③とりで。 {E: ①a fence. ②a house. ③a fort.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- casi
- チャシ 【casi】 柵,囲い,垣根,城,砦. アチャポ ウンマ オ ワ エㇰ シリ イキ ナ ソイネ ワ チャシ オルン ウンマ コシナ ワ ムン エレ ワ アヌ=おじさんが馬に乗ってきたようなので外へ出て柵へ馬を繋ぎ草を食わせておけ. (出典:萱野、方言:沙流)
- cásikor
- チャシコㇿ 【自動】[casi-kor 家を・持つ](神などが) 家を持つ/住まいをかまえる。 {E: to have, own a house; set-up house.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cásikot/casikot
- チャシコッ 【名】[cási-kot とりで・くぼみ]とりでの跡。 ☆参考 川端の山/崖の上にあり、 地面がくぼんでいる。 (出典:田村、方言:沙流)
- casnatara
- チャㇱナタラ 【自動】[cas-natara (さっぱりした状態を表す語根)・(状態が続いていることを表す接尾辞)]さっぱり(「あっさり」)している、 余計なものがない。 itak haw konna casnatara イタㇰ ハウ コンナ チャㇱナタラ 言うことが「あっさり」している、 余計な言葉がまじっていない。 ☞sir-casnatara シッチャㇱナタラ {E: to be simple; plain; neat.} (出典:田村、方言:沙流)
- casnatara
- チャㇱナタラ 【cas-natara】 すっきりしている,きれいな,さっぱりしている. アイヌサニ ネ ノイネ ラチュンカトゥ チャㇱナタラ=アイヌの血統であるらしく眉の様子がすっきりしている. (出典:萱野、方言:沙流)
- casnatarano
- チャㇱナタラノ 【副】[casnatara-no さっぱりしている・(副詞形成)]さっぱりと(余計なものなく、 曇りなく)(「あっさり」)。 casnatarano an koraci nokaha an チャㇱナタラノ アン コラチ ノカハ アン はっきりと実物のとおりに形が写っている。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- casnu
- チャㇱヌ 【自動】[cas-nu(さっぱりしている状態を表す擬態の語根)・を持つ]さっぱりしている、 余計なものがない。 casnu uske チャㇱヌ ウㇱケ (山の中で)木のないところ。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- casnure
- チャㇱヌレ 【他動】[casnu-re さっぱりする・させる] さっぱりさせる、 片づけてきれいに掃除する。 sir-casnure シッチャㇱヌレ あたりをさっぱりと片づけて掃除する。 {E: to clean (up)…; make…neat, tidy} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- casori
- チャソリ 【ca-sori】 柴そり:イワニ(アオダモ)製. コタン カットゥイマノ スマウコㇿ・アン ワ カㇺ ア・セ ニューケㇱ ヒ タ チャソリ ア・カㇻ ワ カㇺ ア・ルラ ㇷ゚ ネ=村から遠い所で獲物を手にして肉を背負いきれない時に柴ぞりを作って肉を運ぶものだ.図[チャソリ] (出典:萱野、方言:沙流)
- caspinnep
- チャㇱピンネㇷ゚ §277 くま (64) cas-pinnep (čás-pin-nep)「ちャㇱピンネㇷ゚」[<cas(走る)pinnep(雄)] ⦅美幌⦆胴や手足の長い性悪のクマ (出典:知里動物編、方言:)
- castustekka
- チャㇱトゥㇱテッカ 【他動】[cas-tustek-ka (?)・じっとしている・(他動詞化)](?) 身動きもしないでいる。 pet teksam ta/a=castustekka ペッ テㇰサㇺ タ/アチャㇱトゥㇱテッカ [雅]私は川端に身動きもしないでいた(萱野茂氏によれば「金しばりにあったみたいに」)。(Sユーカラ) ☆参考 サダモさんによれば、 この方言の日常語で tustek トゥㇱテㇰ はキツネか何かに化かされてぼんやりしてわけが分からなくなることを言い、 tustekka トゥㇱテッカ は、 人をそのようにすることを言う。 東部・中部・北部の方言では tustek トゥㇱテㇰ がだまっていること、 静かにしていること、 じっとしていることなどを表す。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- catay
- チャタイ 【catay】 大蛇. (出典:萱野、方言:沙流)
- catay
- チャタイ §426 マムシ 蛇神(6) catay (čá-tay)「ちャタイ」[<蛇体] ⦅幌別⦆湿地に住む魔神[=nitatorumpe](アイヌ神謡集, p. 64) (出典:知里動物編、方言:)
- catcari
- チャッチャリ 【他動】[単](複は catcarpa チャッチャㇻパ)[car-car-i (散らすことを表す語根)・(重複)・(他動詞形成)] …を何回もパラパラまく、 まき散らす、 ばらまく。 néa yam a=catcari tek ネア ヤㇺ アチャッチャリ テㇰ 私はその栗をパラパラッとまいた。(W神謡語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- catcari
- チャッチャリ 【car-cari】 散らかす,ばらまく. *ホチャッチャリ(尻軽な女=浮気な女)のことを言う場合もある〔隠語〕. マキㇷ゚ エ・チャッチャリ ワ エ・アン?=どうしてお前は散らかしている?エ・ミピヒ イテキ チャッチャリ ノ ウカオ ワ アヌ=お前の着物を散らかしておかないでしまっておけ. (出典:萱野、方言:沙流)
- catcarpa
- チャッチャㇻパ 【他動】[複](単は catcari チャッチャリ)(たくさんのものを)まき散らす、 散らかす。 {E: to scatter, disperse…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- catcarpa
- チャッチャㇻパ 【car-carpa】 (バラバラと,たくさんを)散らす.まき散らす. (出典:萱野、方言:沙流)
- catoy(-e)
- チャトイ §272.くちびる(唇)(4)catoy(-e)〔čá-toǐ ちゃトイ〕[<patoy↑]⦅シラウラ、チシマ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- catpiyak
- チャッピーヤㇰ 【catpiyak】 雨燕の舞い:4人の者が十文字に交差しながら踊る. 図[チャッピーヤㇰ] (出典:萱野、方言:沙流)
- catse
- チャッセ 【cat-se】 舌打ち(する). シネ オッカイポ エㇰ ヒネ ア・オナハ コピヌピヌ アクス チャッセテㇰ ワ チソイェカッタ=ひとりの若者が来て,私の父に何やら耳打ちすると.父は舌打ちしたと思うとさっと外へ出て行った.ク・シユトホ チュニ(チ・ウニ) タ エㇰ ワ イク コㇿ アン ミッポ ウタㇻ ウホユッパレ シㇰ ノ サケ オマ トゥキ ホクㇱテ パ アㇺカㇺコモㇺセ ペコㇿ ハワン コㇿ チャッセテㇰ アㇻパ ワ イサㇺ=私の舅が私の家に来て酒を飲んでいた,孫たちが走り回り酒がいっぱい入った杯をひっくり返した.悲鳴のような声を出したが舌打ちして行ってしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
- cattektek
- チャッテㇰテㇰ 【他動】[car(i)-tektek 散らす・パッと瞬間にする] バラッとばらまく。 (出典:田村、方言:沙流)
- causpe
- チャウㇱペ §275.くちひげ(口髭)(5)causpe〔čá-uš-pe ちゃウㇱペ〕[ca(口)+us(に生えている)+pe(もの)]⦅シラウラ、ニイトイ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- causpe
- チャウㇱペ §642.ひげ(髭)(9)くちひげ causpe〔ča-úš-pe チャうシペ〕[ca(口)+us(生えている)+pe(もの)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- causpenuma
- チャウㇱペヌマ §275.くちひげ(口髭)(2)causpe-numa〔ča-úš-pe-nu-ma チャうㇱペヌマ〕[ca(口)+us(に生えている)+pe(もの)+numa(毛);口に生えているところの毛]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- causpenuma
- チャウㇱペヌマ §642.ひげ(髭)(10)causpe-numa〔ča-ús-pe-nu-ma チャうㇱペヌマ)[causpe(↑)+numa(毛)]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cautek
- チャウテㇰ 【cau-tek】 砕ける. キハㇺチャウテㇰ シコパヤㇻ=がさがさに乾いたカヤの葉を手で握ると砕けたのと同じに. *ユカㇻの中でポンヤウンペが,トラットゥㇱという皮紐で縛られていたが,えいっとばかり力を入れると皮紐が砕け散った[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- cawawke
- チャワウケ 【自動】[caw-aw-ke(擬態の語根)・(重複)・という状態になる(自動詞形成)] ひびがきれる。 (出典:田村、方言:沙流)
- cawawke
- チャワウケ 【cawawke】 ひびがきれる,あかぎれ. タン マタ アナㇰネ エタカスレ メアン エ・テケ カ チャワウケ シリ=今年の冬は特別寒いので,お前の手もあかぎれしている. (出典:萱野、方言:沙流)
- cawawke(-an)
- チャワウケ §340.さむけ[がする];悪寒[がする](5)ぞくぞくとさむけがする cawawke(-an)〔ča-wáŭ-ke チャわウケ〕[caw-aw-ke ザワ・ザワ・する;caw-aw(cawの反復形、ザワザワという音を表す擬声辞、あるいはゾクゾクという感じを表す擬容辞)+-ke(擬容辞について動詞をつくる語尾、もと動詞ki「する」から来た)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- cawcaw
- チャウチャウ §270 キタキツネ、きつね (14) cawcaw (čáw-čaw)「ちャウチャウ」[<caw(キツネの鳴き声=北海道paw)]チシマキツネ(Vulpes Anadyrensie splendidissimus KISHIDA.) (出典:知里動物編、方言:)
- cawcawatki
- チャウチャワッキ 【caw-caw-atki】 (大型の鳥類の)羽音. (出典:萱野、方言:沙流)
- cawnaraye
- チャウナライェ 【他動】[中相] [c(i)-aw-na-raye された・家の中・の方へ・行かせる/来させる] 家の中に入ってくる。 {E: to come into the inside of a house.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cawnaraye
- チャウナライェ 【c-awna-raye】 (家ヘ)入って来る. (出典:萱野、方言:沙流)
- cawre
- チャウレ 【自動】①実が入る(草の実、 ヒエ、 小豆等)、 はじけるほどに実が入る。 cawre wa tane cak anki an チャウレ ワ タネ チャㇰ アンキ アン 実が入ってもうはじけそうだ。(S) ②(編む草(ki キ)が)かたい (注 [対] riten リテン 柔らかい)。 {E: ①to ripen. ②for grasses, reeds used for weaving to be hard, stiff.} (出典:田村、方言:沙流)
- cayayke
- チャヤイケ 【自動】[cay-ay-ke(擬態の語根)・(重複)・という状態になる(自動詞形成)](とげが)出ている。 ayehe cayayke アイェヘ チャヤイケ とげが出ている。 ☞cararke チャラㇻケ {E: to be thorny; have thorns.} (出典:田村、方言:沙流)
- caycay
- チャイチャイ 【caycay】 柴:おとなの指より細い柴. (出典:萱野、方言:沙流)
- caycaye
- チャイチャイェ 【名】[所](概は未出、 caycay であろう。)[cay-cay-e(擬態の語根)・(重複)・(所属語尾)][植物]小さい小枝の先のごく小さい細枝。 ☆caycayehe チャイチャイェヘ の形は未出。 ☆ca チャ [概]/caha チャハ [所] 小枝。 nítek ニテㇰ [概]/níteke(he) ニテケ(ヘ) [所]枝。 〔知分類 p.265〕 (出典:田村、方言:沙流)
- caynatara
- チャイナタラ 【自動】[cay-natara (擬態の語根)・(状態が続いていることを表す接尾辞) …している]ジロジロにらみつけている。 i=nukar sirko caynatara イヌカㇻ シㇼコ チャイナタラ 私をジローッとにらみつけている。 inkar ru ko caynatara インカン ル コ チャイナタラ 恐ろしい目でギョロッとにらんでいる。 {E: to stare, glare at.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cehohcara
- チェㇸオㇹチャラ §067 サケ あきあじ、あきやじ 部(12) ceh-ohcara (ceh-oh-ca-ra)「チェㇸオㇹチャラ」 (出典:知里動物編、方言:)
- cep ocakacaka
- チェㇷ゚ オチャカチャカ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(12) cep ocakacaka (čep-o-ča-ka-ča-ka)「チェㇷ゚ オチャカチャカ」⦅屈斜路⦆魚が川でパチャパチャする。 (出典:知里動物編、方言:)
- cicap
- チチャㇷ゚ §382 ジダケ (1) cicap (ci-cáp)「チちャㇷ゚」[我らが・刈る・もの] 茎葉 ⦅A十勝⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- cicar
- チチャㇻ 【位名】(湖の)出口に近い所。 tó cicar ト チチャㇻ 湖の岸で、 出口(to kutcar ト クッチャㇻ)と横(to teksam ト テㇰサㇺ)との中間で出口に近い所。 (出典:田村、方言:沙流)
- cicari
- チチャリ 【他動】[中相][ci-cari された・散らす] 散らばる、 散らばっている。 cisekitay cicari wa an チセキタイ チチャリ ワ アン 屋根が(風に吹き飛ばされ)散らかっている。(W) kemihi cicari uskehe ケミヒ チチャリ ウㇱケヘ 血が散らばった所。 ☞cari チャリ {E: to be scattered, splattered with…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cicay
- チチャイ 【cicay】 浅瀬. ペッ チチャイ=川縁の浅い所.アトゥイ チチャイ=海縁の浅い所.ペッチチャイ タ シノッ アニー.オホ ウㇱケ ウン イテキ アㇻパ=川の縁の浅い所で遊ぶんだぞ.深い所へ行ってはならないよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- cicotcap
- チチョッチャㇷ゚ §122 スズメバチ (9) cicotcap(či-čot-čap)「チチョッチャㇷ゚」⦅名寄⦆伝説中の大ハチ (出典:知里動物編、方言:)
- cicotcap
- チチョッチャㇷ゚ §127 ヌカカ ヌカカ類 (7) cicotcap(ci-cot-cap)「チチョッチャㇷ゚」⦅屈斜路〔コ85〕⦆(河野126) (出典:知里動物編、方言:)
- cisecarpa
- チセチャㇻパ 【cise-carpa】 (家を)ほぐす,解体する. (出典:萱野、方言:沙流)
- cisecotca
- チセチョッチャ 【cise-cotca】 家の落成のお祝い:家の新築祝いの時に屋根裏へヨモギの矢を射ること.▷チセ=家 チョッチャ=射る (出典:萱野、方言:沙流)
- citcakkereni
- チッチャッケレニ §123 タラノキ (6) citcakkereni (cít-cak-ke-re-ni)「ちッチャッケレニ」[cit(膣に)sapkere(味を見させる)ni(木)] 茎 ⦅美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- cituykocap(-i)
- チトゥイコチャㇷ゚ §506.ちょお(腸);ひゃくひろ(百尋)(6)腹の中から切り出したクマの腸 cituykocap(-i)〔či-túǐ-ko-čap チとぅイコチャㇷ゚〕[ci(我ら)+tuy(腹の中)+ko(において)+ca(切った)+-p(もの)]⦅フシコ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- concak
- チョンチャㇰ 【concak】 いらんことをする,じゃまする. (出典:萱野、方言:沙流)
- cotca
- チョッチャ 【他動】…を(弓で)射る、 …を(鉄砲で)撃つ(当てる)。 cikap cotca チカㇷ゚ チョッチャ 鳥を撃って当てる。 a=cotca アチョッチャ 当たる、 当たった。 ☆参考 ayosma アヨㇱマ 矢が当たる。 鳥を撃つことは cikap koyki/rayke チカㇷ゚ コイキ/ライケ。 {E: to shoot, fire…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cotca
- チョッチャ 【cotca】 刺す,射る.(弾丸・矢を)当てる. ソヤ エン・チョッチャ=蜂が私を刺した.アヨー ソヤ エン・チョッチャ ナ ヌカㇻ ワ エン・コレ=あー痛い,蜂に刺されたよ,見てくれ.トアン チクニ イクㇱ タ キムンカムイ アン ナ アㇻパ チョッチャ ワ エㇰ=あそこの立ち木の向こう側に熊がいるから,行って射って来い. (出典:萱野、方言:沙流)
- cotcapa
- チョッチャパ 【他動】[複](cotca チョッチャ は単複区別なし) (二人以上が皆で) …を射る、 …を撃つ(撃って当てる)。 kasi oyoko wa an wen kamuy cotcapa híne raykepa カシ オヨコ ワ アン ウェン カムイ チョッチャパ ヒネ ライケパ 彼らは様子をうかがっている性悪熊を弓で射当てて殺した。(KK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cukicanuy
- チュキチャヌイ §068 サクラマス (6) cuk-icanuy(cu-kí-ca-nuy)「チュきチャヌイ」⦅阿寒、布伏内⦆秋、サケと一緒に川を上ってくるマス。 (出典:知里動物編、方言:)
- earkucakorpe
- エアㇻクチャコㇿペ §099.陰部-女性性器の種類(3)恥丘の半面にのみ陰毛の生えているもの earkucakorpe〔e-ár-ku-ča-kor-pe エあㇻクチャコㇿペ〕[ear-kuca(片屋根の小屋)+kor(もつ)+pe(もの)]⦅チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- eca
- エチャ 【他動】[e-ca その頭・を切りとる] …の先を(穂を、 頭を)切り取る。 turep a=ecá okake an トゥレㇷ゚ アエチャ オカケ アン (ウバユリの根を掘って)ウバユリの葉を切って置いたあとがあった。(NK民話) {E: to cut the end off…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ecakke
- エチャッケ 【他動】[e-cakke …について・きたながる] …をきたながる。 {E: to feel…is dirty.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ecakkeeo
- エチャッケエオ 【他動】[e-cakkeeo …について・きたながる] …をきたながる。 (出典:田村、方言:沙流)
- ecakuras
- エチャクラㇱ 【ecakuras】 枝(柴)のまま. エント ア・エトイタ コㇿ クスイェㇷ゚ ソモ エタイェ クニネ エチャクラㇱ シンケㇷ゚ カシ ウン ア・ピラサ ピㇼカノ ケニトゥㇰ コㇿ エント ニテㇰ ネ ア・アシ=青エンドウ豆を蒔いた時に山バトが抜かないように枝のままのハギを上へ並べよく芽が出そろったら青エンドウ豆の手柴として立てる. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecamse
- エチャㇺセ 【e-camse】 (口をもぐもぐさせて)食べている,食べる,噛む. フチ シネン ネ アン ワ ネㇷ゚カ エチャㇺセ コーロ アン ヒクス アプンノ サマ タ アㇻパ・アン ラム ア・トゥイパ アクス テㇺチャリチャリ コㇿ マカホクㇱ=おばあちゃんがひとりでいて何か食べていたので静かに側へ行き,わっと驚かしたら両手を広げて驚いてひっくり返った. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecancanke
- エチャンチャンケ 【e-can-canke】 (ぱちぱちと)消える. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecanupkor
- エチャヌㇷ゚コㇿ 【e-canup-kor】 聞いてためになる,(〜を)参考にする,(〜を)手本にする,(〜で)覚える,(〜によって)知る.▷エ=それで チャヌㇷ゚=覚える コㇿ=持つ ウナㇻペー ウウェペケㇾ ワ エン・ヌレ.エ・イェ ウウェペケㇾ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ パテーㇰ ネ ㇷ゚ ネ クス ク・ヌ ルスイ=おばさんよ,昔話を私に聞かせてくれ.あなたの昔話は聞いてためになる話ばかりなので私は聞きたい.アイヌ オッタ(オㇿ タ) ウパㇱクマ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ ネ シンリッ オルㇱペ ネ ヤッカ ウルオカタ ウルオカタ ア・エラマン ペ ネ=アイヌのところでの言い伝えはそれを参考にすることができるし,先祖の話も子孫へ次の世代へと教えられるものだ.ウナㇻペー ネㇷ゚カ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ノ アン ウウェペケㇾ イェ ワ エン・ヌレー=おばさん,何かそれによって利口になれそうな昔話を言って聞かせてくれ.ケチャヌㇷ゚コㇿ(ク・エチャヌㇷ゚コㇿ)=私はそれで覚えることができた. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecararase
- エチャララセ 【e-cararase】 滑る,滑って行く. エクㇱネ ワ ユㇰ ア・ヌカㇻ ヒクス シㇼ イットゥイェ・アン ルスイ クス ウパㇱ トゥラノ アネチャララセ(ア・エチャララセ) ワ フㇽペㇱ・アン=向かい側へ鹿が見えたので近回りしようと思い,雪と一緒に滑って坂を下った.ア・オ ワ アン ポン レパチㇷ゚ ネンカ イイェトㇰ(イ・エトㇰ) ワ エタイェ ペコㇿ カンペ クㇽカ エチャララセ=私が乗っている小さな交易船,誰かが前の方から引っぱるように水面を滑っている. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecarase
- エチャラセ 【他動】[e-carase で・すべる] …ですべる。 kuwa ecarase クワ エチャラセ 杖を持ってすべる。 ☞cárase チャラセ (出典:田村、方言:沙流)
- ecarase
- エチャラセ 【e-carase】 滑る. クワエチャラセ=杖で滑る.カンペクㇽカエチャラセ=水面を滑るように進む. (出典:萱野、方言:沙流)
- ecarse
- エチャㇻセ 【他動】[e-car-se …で・速くすべる] …を持って速くすべる。 kuwa ecarse クワ エチャㇻセ 杖を持ってできるだけ速くすべる(「今のスキーにあたる。 棒の先にぶどうづるをつけて雪にささらないようにし、 杖を持ってすべる。 奥山に鹿を追うのでも」)。(S) ☆参考 ecarase エチャㇻセ[他動]/carase チャラセ[自動]もすべることを表すが、 これは自然にすべることを言うのに対し、 ecarse エチャㇻセ[他動]/carse チャㇻセ[自動]は、 スピードを上げてすべることを言うらしい。 ☞carse チャㇻセ {E: to skate, ski fast while holding…} (出典:田村、方言:沙流)
- ecatke
- エチャッケ 【ecatke】 汚ながる,汚ない,よごれている. フㇱコ トゥシㇼ トゥㇺ ア・クㇱ ヒ タ アナㇰネ ノヤ ア・エテテ ワ ホック カネ アナン(アン・アン) ワ ア・クㇱ ペ ネ.ウェンカムイ カ オンネㇷ゚ ネ クナㇰ ラム パ ワ エチャッケ ソモ ソイェネ ㇷ゚ ネ シコㇿ=古い墓地の中を通る場合はヨモギを杖にして腰を曲げて通るものだ.悪い化け物も年寄りたと思って汚ながって出て来ないものだそうだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekatcaus
- エカッチャウㇱ 【e-katca-us】 気が向かない. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekoca
- エコチャ 【ekoca】 ふらふらする. イケマ ア・マ ワ ア・エ ヒ タ エイタサ ア・エ コㇿ クス イヨㇱキ・アン ワ ア・エコチャ.クニネ アン コㇿ ア・エコッ ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=イケマを焼いて食べる時,あまり多く食べるとそれによって酔っ払ったようになりふらふらする.時にはそれで死ぬこともあるそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekocaranke
- エコチャランケ 【複他動】(…のことで)…に文句をつけてやる。 {E: to complain about…} (出典:田村、方言:沙流)
- ekucasanke
- エクチャサンケ 【他動】[e-kuca-sanke (人)と一緒に・狩小屋・を出す](人)と一緒に山猟から家に帰る。 {E: to return home with someone from hunting in the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekutcam
- エクッチャㇺ 【名】[e-kutcam …で/その・のど(声)](次の慣用表現で)その声。 itak ne manu p/ekutcam konna/kanemay ne/uwetunuyse イタㇰ ネ マヌㇷ゚/エクッチャㇺ コンナ/カネマイ ネ/ウウェトゥヌイセ [雅]ものを言う声が金(かね)の響きのように美しく響く。(Sユーカラ) ☞kutcam クッチャㇺ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- emuncotca
- エムンチョッチャ 【他動】[e-mun-cotca …で・草/ごみ・射る] (矢)でごみを射る。 ☞cotca チョッチャ {E: to pull up weeds.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- enontacarse
- エノンタチャㇻセ 【自動】[e-non-ta-car-se その頭/顔・つば・(?)・(散る/散らすことを表す擬態の語根)・と言う] つば(唾)をとばす。 enontacarse kor itak エノンタチャㇻセ コㇿ イタㇰ つば(唾)をとばしながらしゃべる。(S) {E: to spit.} (出典:田村、方言:沙流)
- eramkatcaus
- エラㇺカッチャウㇱ 【eramkatcaus】 気が進まない,気が向かない,その気になれない,不満だ. タパン ハワㇱ エウン ア・エン・シレン ア コㇿカ ケラムカッチャウㇱ(ク・エラムカッチャウㇱ) ヒクス ソモ カㇻパ(ク・アㇻパ)=今の話の所へ誘われたけれど私は気が進まなかったので行かなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- eramucak
- エラムチャㇰ 【他動】[e-ramu-cak …で・その心[所]・はじける]気持ちが悪い。 aː k=éramucak! ああ気持ち悪い(外を掃いていて木の皮をどけたらミミズがいっぱい出てきたとき)。(S) {E: to feel sick, disgusted due to seeing something dirty.} (出典:田村、方言:沙流)
- eramuikatcaus
- エラムイカッチャウㇱ 【e-ramu-i-katcaus】 気が進まない,なんとなく満足できない,心のうちでは大いに不満だ,いやいやながら,渋々,不承不承. タパン ハワㇱ エウン ア・エン・シレン ア コㇿカ ケラムイカッチャウㇱ(ク・エラムイカッチャウㇱ) ヒクス ソモ カㇻパ(ク・アㇻパ)=今の話の所へ誘われたけれど私は気が進まなかったので行かなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
- eramuikatcaus/eramuykatcaus
- エラムイカッチャウㇱ 【他動】…が気に入らない、 …が気にくわない。 taan pe anak k=éramuikatcaus, k=e ka etoranne タアン ペ アナㇰ ケラムイカッチャウㇱ、 ケ カ エトランネ これは私には気が向かない、 食べるのもいやだ。 en=or ta anak sir-eramuikatcaus エノッタ アナㇰ シレラムイカッチャウㇱ 彼には私の家は(陰気くさいように思って)なんとなくいやなんでしょう。(S) {E: to be dissatisfied with…; lose interest in…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eramuykatcaus
- エラムイカッチャウㇱ 【他動】…が気にくわない。 ☞eramuikatcaus エラムイカッチャウㇱ、 sir-eramuykatcaus シㇼエラムイカッチャウㇱ (出典:田村、方言:沙流)
- erumkina ohcara
- エルㇺキナ オㇹチャラ §053 オオバコ (6) erumkina ohcara 「エるㇺキナ おㇹチャラ」[erúmkina(オオバコ)óhcara(の尾)] 穂 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- esatcampene
- エサッチャンペネ 【e-sat-sampe-ne】 気をもむ,気にくわない,気が滅入る.▷エ=それで サッ=乾く サンペ=心臓 ネ=なる →心臓が乾いたような気持ちになるほど気にしている ウネノ オカ ペコㇿ ネ ヒクス ク・コㇿ ワ ケㇰ(ク・エㇰ) ピㇼカノ ク・ヌカㇻ アクス ウウェシンナイノ オカ ケサッチャンペネ(ク・エサッチャンペネ)=同じようなので持って来てよく見たら形が違うので私はちょっと気にくわないのだ.オンネ オルン エウンポーヘネ ウェン ケサッチャンペネ(ク・エサッチャンペネ)=年をとるほうヘかえって悪くなって気をもんでいる.クルッペ エトㇰタ ク・イチャ オケレ クナㇰ ク・ラム アㇷ゚ ウクラン ワノ アㇷ゚ト ルイケサッチャンペネ(ク・エサッチャンペネ) アㇷ゚ アㇷ゚ト トゥイ ケヤイコプンテㇰ(ク・エヤイコプンテㇰ) コㇿ ク・ヤイェトコイキ=霜が来る前に穂ちぎりを終わらせようと思っていたのに昨夜から雨降りになって気が滅入っていたのだが,雨が晴れて私は喜んで畑へ行くしたくをした. (出典:萱野、方言:沙流)
- esitcari
- エシッチャリ 【e-sir-cari】 散らかす. ポン ヘカチ イミコパン クス ミピヒ エシッチャリ=子供が物を着るのがいやで着物を散らかした. (出典:萱野、方言:沙流)
- esitcatcari
- エシッチャッチャリ 【他動】[e-sir-catcari …で・あたり・…を散らす]…で散らかる、 …が散らかっている。 cise onnay epitta mun esitcatcari wa an, icakkere チセ オンナイ エピッタ ムン エシッチャッチャリ ワ アン、 イチャッケレ 家じゅうごみが散らかっていてきたない。(S) {E: to make…messy, untidy.} (出典:田村、方言:沙流)
- esitcatcari
- エシッチャッチャリ 【e-sir-car-cari】 散らかす. ク・ミッポ ウタㇻ アエシノッペ エシッチャッチャリ=私の孫たちがおもちゃを散らかした. (出典:萱野、方言:沙流)
- etoycotca
- エトイチョッチャ 【他動】[e-toy-cotca …で・地・射る] …で地面を射る。 rapuhu ay ne a=kar wa a=etóycotca a=emúncotca wa tos to ayrapkina hetuku ruwe an nek! ラプフ アイ ネ アカㇻ ワ アエトイチョッチャ アエムンチョッチャ ワ トㇱ ト アイラㇷ゚キナ ヘトゥク ルウェ アン ネㇰ! その(カラスの)羽で矢をつくってそれで地面を射たりごみを射たりしたから矢羽根草(クサソテツ)が生えたのさ。(KK掛け合い歌)の結びの語り。 {E: to shoot at the ground with…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- etukotcakecipponehi
- エトゥコッチャケチッポネヒ §435.じんちゅう(人中)(3)etu-kotcake-cippo-ne-hi〔e-tú-kot-ča-ke-čip-po-ne-hi エとぅコッチャケチッポネヒ〕[etu(鼻)+kotcake(の前)+cippo(小舟)+ne(のようになっている)+hi(所)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- etupuycapus(-i)
- エトゥプイチャプㇱ §672.びよく(鼻翼);こばな(小鼻)(2)etu-puy-capus(-i)〔e-tú-puǐ-ča-puš エとぅプイ・チャプㇱ〕[鼻・唇]⦅ニイトイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- etupuycatoy(-he)
- エトゥプイチャトイ §672.びよく(鼻翼);こばな(小鼻)(3)etupuy-catoy(-he)〔e-tú-puǐ-ča-toǐ エとぅプイ・チャトイ〕[鼻・唇]⦅ニイトイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- eyaykotcaseske
- エヤイコッチャセㇱケ 【他動】[e-yay-kotca-seske …について・自分の・前を・ふさぐ]…をごまかす、 疑われているときにうまいことを言って逃げる。 eyaykotcaseske no hawean エヤイコッチャセㇱケ ノ ハウェアン 彼はごまかして言っている。(W) {E: to deceive, cheat…} (出典:田村、方言:沙流)
- eyaysatcanpene
- エヤイサッチャンペネ 【e-yay-sat-sanpe-ne】 気分を悪くする. パㇰノ ア・ヌ エウェンペ ウオㇰパレ ネ ㇷ゚ ヘㇺタウタㇻ ウオㇰパレパ ヒ ク・ヌ ケヤイサッチャンペネ(ク・エヤイサッチャンペネ)=これぐらい聞きづらいことは他にないのが親不孝なのに,あの者たちが親不孝をしていると聞いて私はすっかり気分を悪くした. (出典:萱野、方言:沙流)
- Háca
- ハチャ 【名】[人名](屈斜路の男の人の名)。 {E: personal name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- haca
- ハチャ §019.父(2)haca〔há-ča はチャ〕⦅オギフシ、トオロ、クッシャロ、ハルトリ、シャリ⦆【常】父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- hacahapo
- ハチャハポ §018.親(4)haca-hapo〔ha-čá-ha-po ハちゃハポ〕⦅クッシャロ⦆父母;両親。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- hacahapo oarasampe
- ハチャハポ オアラサンペ §021.子(17)haca-hapo oarasam-pe〔ha-čá|há-po|o-á-ra-sam-pe ハちゃ・はポ・オあラサンペ〕⦅クッシャロ⦆父も母も無い者;みなしご。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- hacam
- ハチャㇺ 【名】[動物](鳥の名)「アトマワリ」=humiruy フミルイ。 〔知分類になし〕humiruy p.213 ヤマドリ、 エゾライチョオ。 {E: name of a bird.} (出典:田村、方言:沙流)
- hanca
- ハンチャ 【名】[< 日本語]半てん。 hanca ku=mi rusuy uske ka an ハンチャ クミ ルスイ ウㇱケ カ アン 半てんを着たいときもある。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- hanca
- ハンチャ 【hanca】 作業着:木綿のめくら縞. (出典:萱野、方言:沙流)
- hancaha
- ハンチャハ 【名】[所](概は hanca ハンチャ)…でつくった半てん。 tapanpe hancaha ku-kar rusuy korka sirpok ne p isam タパンペ ハンチャハ クカン ルスイ コㇿカ シㇼポㇰ ネㇷ゚ イサㇺ これ(この布地)で半てんをつくりたいけれど裏地がない。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- hankapu cohca
- ハンカプチョㇹチャ §190 トンボ(蜻蛉) (4) hankapu cohca (hán-ka-pu-coh-ca)「はンカプチョㇹチャ」 ⦅鵜城⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- hankapuy(e)-cotca
- ハンカプイチョッチャ §190 トンボ(蜻蛉) (5) hankapuy(e)-cotca(han-ka-puy-cot-ca)「ハンカプイチョッチャ」⦅釧路⦆トンボ、ヤマモト (出典:知里動物編、方言:)
- hankapuycotcakikiri
- ハンカプイチョッチャキキリ §190 トンボ(蜻蛉) (6) hankapuy-cotca-kikiri (hán-ka-puy-cot-ca-ki-ki-ri)「はンカプイチョッチャキキリ」 ⦅多来加⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- hanko cohca
- ハンコチョㇹチャ §190 トンボ(蜻蛉) (3) hanko cohca (hán-ko-coh-ca)「はンコチョㇹチャ」[<hanku(へそ)cohca(つく)] ⦅鵜城⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- hankucotca
- ハンクチョッチャ 【名】[hanku-cotca へそ・を射る][動物] トンボ。 {E: a dragonfly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hankucotca
- ハンクチョッチャ §190 トンボ(蜻蛉) (2) hankucotca (hán-ku-cot-cap)「はンクチョッチャ」[<hanku(へそ)cotca(つく)] ⦅沙流、幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- hankucotca(p)
- ハンクチョッチャ(ㇷ゚) 【hanku-cotca(p)】 トンボ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hankucotcap
- ハンクチョッチャㇷ゚ §190 トンボ(蜻蛉) (1) hankucotcap (hán-ku-cot-cap)「はンクチョッチャㇷ゚」[<hanku(へそ)cotca(つく)-p(もの)] ⦅穂別、千歳、幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- harucarpa
- ハルチャㇻパ 【haru-carpa】 病気に対するおまじない. オヤコヤㇰ タ レラ アッ カトゥ ア・オヤモㇰテ ヤㇰ ア・イェ クス ハルエカムイノミ・アㇱ ルスイ クス ハルアフㇷ゚カㇻ クス ケㇰ(ク・エㇰ) ヒ ネ ワー=あちらこちらで風向きが(流行病に対しての別の言い方)不審というので,穀物を持って神を祭りたいと思い穀物を貰いに私は来た.*昭和40年代までは貝澤なつさんというおばさんが上記のような言い方で歩いていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- hayna-icari
- ハイナイチャリ 【名】[hayna-icari 延縄・ざる]はえなわ(延縄)の針をつけたかご。 {E: a cage on a longline fish-hook.} (出典:田村、方言:沙流)
- hecaka
- ヘチャカ 【自動】[he-cak-a 頭・はじける(?)・(他動詞形成)] 晴れる。 nis hecaka ニㇱ ヘチャカ 空が晴れる。 ☆参考 cak チャㇰ はじける、 caka チャカ (鵡川で)…を開く。 {E: to be clear, fine (skies).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hecaka
- ヘチャカ 【hecaka】 (〜が)晴れる. シネアンタ エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) ウラㇻエシットゥライヌ・アン アㇷ゚カㇱアナイネ(アㇷ゚カㇱ・アン アイネ) ウラㇻ ヘチャカ シㇼコクンネ アン コㇿ ネ コㇿカ イワㇰ・アン=ある日のこと山へ行ったら霧で道に迷った.歩いて歩いて霧が晴れ夜になったけれども帰って来た. (出典:萱野、方言:沙流)
- hecawe
- ヘチャウェ 【自動】[単](複は hecawpa ヘチャウパ)[he-caw-e 頭・(ひび割れることを表す擬態の語根)・(他動詞形成)] ほごれる。 cisekitay hecawe チセキタイ ヘチャウェ 屋根のカヤがほごれる(=バラバラになる)。 amam hecawe アマㇺ ヘチャウェ 穀物がはじける(ヒエ、 イナキビ等)。 múnepuy hecawe ムネプイ ヘチャウェ 草の実がはじける。 {E: to burst.} (出典:田村、方言:沙流)
- hecawe
- ヘチャウェ 【hecawe】 ほころびる. ク・コロペㇾ(ク・コㇿ オペㇾ) メノコ エ・ネ ナ ク・モウリヒ イキリ ヘチャウェ ウㇱケ ウカウカ ワ エン・コレ=孫娘よ,お前は女だから私の肌着の縫い目のほころびた所を粗縫いしてくれ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hecaweni
- ヘチャウェニ 【hecawe-ni】 (仕掛け弓の矢の)止め木,引きがね木:仕掛け弓に番えてある矢の弾きを止めてある木(萱野茂『アイヌの民具』151頁). (出典:萱野、方言:沙流)
- hecawere
- ヘチャウェレ 【他動】[自動使役][hecawe-re ほごれる・させる](着物)を解く、 …をほごす、 …をバラバラにする。 {E: to loosen, untie…} (出典:田村、方言:沙流)
- hecawere
- ヘチャウェレ 【hecawe-re】 ほぐす. アミㇷ゚ ヘチャウェレ=着物をほぐせ. (出典:萱野、方言:沙流)
- hecawpa
- ヘチャウパ 【自動】[複](単は hecawe ヘチャウェ)(二つ以上が)ほごれる。 {E: to become loose; be untied; burst open. (pl.)} (出典:田村、方言:沙流)
- hecawpare
- ヘチャウパレ 【他動】[自動使役][複](単は hecawere ヘチャウェレ)[hecawpa-re(二つ以上が)ほごれる・させる](二つ以上を)ほごす、 バラバラにする。 {E: to undo (clothing etc.), take…to pieces; separate…(pl.)} (出典:田村、方言:沙流)
- hekacicahka
- ヘカチチャㇵカ §024.赤子のゆりかご(3)hekaci-cahka〔he-ká-či-čà-ha-kaヘかチちゃハカ〕[hekaci(子)+……]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- hocahoca
- ホチャホチャ 【hoca-hoca】 片足で跳ぶ、けんけん. (出典:萱野、方言:沙流)
- hocaku
- ホチャク 【自動】[ho-ca-ku 尻・(はじけることを表す語根)・(他動詞形成)](鳥が)糞をする。 ni rewpok ta cise as wa nítek ka ta cikap hocaku kor cise kasi un hocaku ニ レウポㇰ タ チセ アㇱ ワ ニテㇰ カ タ チカㇷ゚ ホチャク コㇿ チセ カシ ウン ホチャク 木のかしいでいる下に家があるので木の枝の上で鳥が糞をすると家の上に糞を落とす。(S) ☆参考 犬や猫の場合は人間と同じく osoma オソマ、 okuyma オクイマ を使う。 (出典:田村、方言:沙流)
- hocaku
- ホチャク 【hocaku】 下痢する,(腹が)下る. (出典:萱野、方言:沙流)
- hocari
- ホチャリ 【自動】[ho-cari 尻・をばらまく] 浮気する、 節操がない(悪口)。 {E: to be unfaithful to one's wife or husband; have an affair.} (出典:田村、方言:沙流)
- hocari(-an)
- ホチャリ §470.だいべん(大便)(7)大便する hocari(-an)〔ho-čá-ri ホちゃり〕〔ho(尻)+cari(散らす)〕⦅ニイトイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- hocarikihiponihi
- ホチャリキヒポニヒ §659.びていこつ(尾の骨)(4)尾ていこつ hocarikihi-ponihi〔ho-cá-ri-ki-hi-po-ni-hi ホちゃリキヒ・ポニヒ〕[hocarikihi(その尾の所;ho 尻、sari の尾、-ki 所)+ponihi(の骨)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- hocatcari
- ホチャッチャリ 【自動】[ho-caticari 陰部・パラパラまき散らす(重複)] 浮気する、 節操がない。(悪口) (出典:田村、方言:沙流)
- hocatcari
- ホチャッチャリ 【ho-catcari】 姦淫する,淫売.▷ホ=陰部 チャッチャリ=散らかす (出典:萱野、方言:沙流)
- hocatcarip
- ホチャッチャリㇷ゚ 【hocatcari-p】 姦淫者. (出典:萱野、方言:沙流)
- hohokesca
- ホホケㇱチャ §313 ウグイス (4) hohokesca (ho-hó-kes-ča)「ホほケㇱチャ」[<ホーポケッチョという鳴き声から来たらしい] ⦅白浦⦆ウグイス(カラフトウグイス) (出典:知里動物編、方言:)
- homarsinotca
- ホマㇻシノッチャ 【homar-sinotca】 かすかな歌声. (出典:萱野、方言:沙流)
- honoysinotcaki
- ホノイシノッチャキ 【honoy-sinotca-ki】 歌を口ずさむ,かすかな声で歌う. アチャポ ソンノ サケ エラムリテン ペ ネ クス ポンノ イク コㇿ ホノイシノッチャキ コーㇿ ウンマ オテㇰ ワ アㇻパ ワ イサㇺ=おじさんは本当に酒を飲むと嬉しくなるものだから,少し飲んだだけで微かに歌を口ずさみながら,馬に乗って行ってしまった.タンペ オッタ(オㇿ タ) ウトゥルン アチャポ ノヌワㇱノ アフン カネ イキ ア・エランポㇰウェン ヒクス ポン トックリ ア・ホㇰ ヒネ ア・クレ アクス ラムリテン ワ ホノイシノッチャキ コㇿ ホシピ ワ アㇻパ=いつもないこと.下のおじさん,全く酒気なしにひょっこりと入って来た.かわいそうに思ったので小さい瓶を私が買って飲ませると,上機嫌になって微かな歌を口ずさみながら戻って行った.フチ シネンネ アペサㇺ タ ア ワ アン ホノイシノッチャキ コㇿ カエカ コㇿ アン=おばあさんはひとりで火の側で座っていて,かすかな声で歌を歌いながら糸を撚っていた. (出典:萱野、方言:沙流)
- horasiancapus(-i)
- ホラシアンチャプㇱ §274.唇―したくちびる(下唇)(6)horasi-an-capus(-i)〔ho-rá-ši-an-ča-puš ホらシアン・チャプㇱ〕[horasi(下方に)+an(ある)+capus(唇)]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- horasiwaancapus(-i)
- ホラシワアンチャプㇱ §274.唇―したくちびる(下唇)(7)horasi-wa-an-capus(-i)〔ho-rá-ši-wa-an-ča-puš ホらシワアンチャプㇱ〕[horasi(下方)+wa(に)+an(ある)+capus(唇)]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- horikasiancapus(-i)
- ホリカシアンチャプㇱ §273.唇―うわくちびる(上唇)(5)horikasi-an-capus(-i)〔ho-rí-ka-ši-an-ča-puš ホりカシアンチャプㇱ〕[horikasi(上方に)+an(ある)+capus(唇)]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- horikasicapus(-i)
- ホリカシチャプㇱ §273.唇―うわくちびる(上唇)(4)horikasi-capus(-i)〔ho-rí-ka-ši-ča-puš ホリカシチャブㇱ〕[horikasi(上方の)+capus(唇)]⦅ヒダカ東半、トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- hotcari
- ホッチャリ §138.うまずめ(石女)(3)hotcari〔hót-ča-ri ほッチャリ〕⦅ホロべツ⦆【常】 (出典:知里人間編I、方言:)
- humpeca
- フンペチャ 【humpe ca】 鯨切り(をする).▷フンペ=鯨 チャ=切る フンペ ア・チャ ヒ タ アナㇰネ シコポㇷ゚ ノタコㇷ゚ アニ ア・チャ コㇿ ピㇼカ ㇷ゚ ネ=鯨を切る時は錆びついた刃物で切るといいものだよ.*この時は錆刀のほうが切れるものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
- hupcacise
- フㇷ゚チャチセ 【hup-ca-cise】 松葉茸きの小屋:トドマツとかエゾマツの枝葉を用いる. 図[フㇷ゚チャチセ] (出典:萱野、方言:沙流)
- hureca
- フレチャ §068 サクラマス (11) hure-ca(hú-re-ča)「ふレチャ」[hure(赤い)ca(雄魚)]⦅屈斜路⦆マスノスケの雄魚。 (出典:知里動物編、方言:)
- i=cotca
- イチョッチャ 【i=cotca】 刺される.▷イ=私を チョッチャ=刺す ソヤ イ・チョッチャ=蜂に刺された. (出典:萱野、方言:沙流)
- i=kotcane
- イコッチャネ 【i=kotcane】 (私を)取りなす. (出典:萱野、方言:沙流)
- i=kotcawot no
- イコッチャウォッノ 【i=kotca-ot-no】 私より先に,私より前に. ▷イ=私 コッチャウォッ=先,前 ノ=に ソンノカㇻパワ コルオヌア ユㇰカルㇱ イコッチャウォッノ ネンカウッワイサㇺ=本当に私が行って知っていたマイタケは,私より先に誰か取ってしまった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- ica
- イチャ 【自動】[i-ca もの・を切り取る]ヒエの穂摘みをする。(S) ☆参考 昔は根元から刈らず貝がらを使って穂摘みをした。 ☆参考 otuye オトゥイェ …を根元から刈る。 (出典:田村、方言:沙流)
- ica
- イチャ 【ica】 (穂を)摘む,穂ちぎり(をする):ヒエ,アワ,イナキビなどの穂をピパという貝殻で摘みとること. ク・イチャ コㇿ カナクス(ク・アン アクス) インネ ウタㇻ エㇰ ワ エン・カスイ クスケライポ ア・オケッテㇰテㇰ=私が穂ちぎりをしていると,大勢の人が来て私を手伝ってくれ,そのお陰でさっと終わってしまった.クンネイワノ イチャアナアナ(イチャ・アン ア・アン ア) ポーロ サラニㇷ゚ トゥㇷ゚ カ レㇷ゚ カ ア・ラㇻパ カネ ムンチロ ア・チャ=朝早くから穂摘みをして,大きな袋にふたつも三つも詰め込んで,アワの穂を摘んだ.ピヤパ ヌモ ノ ナ ニサッタ ワノ イチャ クス アㇻパ・アン ナ ヤイェトコイキ アニー=ヒエがよく実が入ったから,明日から摘み取るために行くので,自分の準備をしてね. (出典:萱野、方言:沙流)
- ica-saranip
- イチャサラニㇷ゚ 【名】[ica-saranip ヒエの穂を摘む・木の皮の繊維を編んでつくった袋](直訳すると)穂摘み袋(=poro-saranip ポロサラニㇷ゚)、 大袋。 ☆参考 totta トッタ とも言う。 ユーカラでは totta トッタ。 ☞saranip サラニㇷ゚、 totta トッタ (出典:田村、方言:沙流)
- icak a
- イチャㇰ ア 【間投】[< i-cak a 人を・不快にする(?)・(感嘆の助詞)]きたならしいなあ(不快な感情を込めて言う)。 icak aː! e=etuhu wen ruwe! イチャㇰ アー! エエトゥフ ウェン ルウェ! ああきたないなあ、 あなたの鼻ひどいねえ(子どもに)。(S) icak a, ene okay pe ka ene haweoka hi イチャㇰ ア、 エネ オカイ ペ カ エネ ハウェオカ ヒ 「あったらこっきたないやつらでも」(=あんな汚らしいやつらでも)そんなことを言ったのか(「心が汚いので顔が汚いように言う」)。(S) ☆参考 続けて icaka イチャカ とも言う。 (出典:田村、方言:沙流)
- icaka
- イチャカ 【間投】[< icak a] icakaː! イチャカー! きたないなあ。(S) ☞icak a イチャㇰ ア (出典:田村、方言:沙流)
- icaka
- イチャカー 【icaka】 あんなやつめ,こしゃくだ,なまいきだ:あんなやつめ,なにくそ,よくもそんなことを,と相手に対して腹を立てた時に思わず口をついて出る言葉〔悪口〕. イチャカー エネ オカイペ ポンノ イチェン コㇿ ワ ヘンパラ パㇰノ コㇿ クニ ラム ワ リㇰタ リㇰタ インカㇻ シリ=あんなやつめ,あのような者が少しの金持っていつまで持てると思ってか頭の高いこと. (出典:萱野、方言:沙流)
- icakina
- イチャキナ §370 カサスゲ (3) ica-kina (i-cá-ki-na)「イちャ・キナ」[i(我らを)ca(切る)kina(草)] 茎葉 ⦅美幌、足寄⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- icakkere
- イチャッケレ 【自動】[i-cak-ke-re 人を・(不快にする(?)ことを表す語根)・(自動詞形成)・させる] 汚い、 よごれる。 kú=icakkere wa kamuy or un k=onkami ka eoripak クイチャッケレ ワ カムイ オルン コンカミ カ エオリパㇰ 私はよごれているので神様に拝むのも「もったいない」(=おそれ多い)。(S) icakkere hawas hi ne a! イチャッケレ ハワシ ネ ア! (直訳すると)きたならしい話だなあ=そんなこと聞きたくもない。(S) {E: to be, get dirty.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- icakkere 1
- イチャッケレ 【icakkere】 ①なにくそ,あんなやつめ〔悪口〕. (出典:萱野、方言:沙流)
- icakkere 2
- イチャッケレ 【icakkere】 ②汚ない,汚れている,汚れる. イチャッケレ ナ フライェ=汚ないから洗え.エ・ケマハ イチャッケレ ナ フライェ ワ エㇰ=お前の足が汚れているから,洗ってこい. (出典:萱野、方言:沙流)
- icakkerep
- イチャッケレㇷ゚ 【icakkere-p】 汚ないもの. イチャッケレㇷ゚ アナㇰネ イテキ ウカオノ アヌ ワ ホクレ フライェ=汚ない物はしまっておかないで,早く洗え. (出典:萱野、方言:沙流)
- icakkerere
- イチャッケレレ 【他動】[自動使役][icakkere-re よごれる・させる]…をよごす。 {E: to make dirty.} (出典:田村、方言:沙流)
- icakkerere
- イチャッケレレ 【icakkere-re】 汚す. エシㇼ エ・ミ ワ エ・ソイネ アㇷ゚ タㇱテㇰテㇰ エ・イチャッケレレ.エ・ヤチポチ ヒー?=さっき着て外へ出たのに,すぐにお前は汚してきた.泥んこをこねていたの? (出典:萱野、方言:沙流)
- ican
- イチャン 【ican】 (サケやマスの)産卵床.*昭和10年代は「ホリ」ともいったが,北海道方言であったかもしれない. タパン イチャン アナㇰネ アッパケ ワノ コルウヌ(ク・オルウヌ) ウㇱケ ネ ナ イテキ エㇰ ヤン=この産卵床は最初から私が知っていた所なので,来ないでくれ.タヌクラン チュピポロ イサㇺ ナ イチャンコㇿ・アㇱ ナ.アㇷ゚ コㇿ ワ エン・トゥラ=今夜は月の光がないから産卵床へ行くぞ.鈎を持って俺と一緒に来い. (出典:萱野、方言:沙流)
- ican
- イチャン §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(24) ican (i-čán)「イちャン」 (出典:知里動物編、方言:)
- icanceh
- イチャンチェㇸ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(22) ican-ceh(i-can-ceh)「イチャンチェㇸ」[<ican-cep]⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icancep
- イチャンチェㇷ゚ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(21) ican-cep(i-čán-čep)「イちャンチェㇷ゚」[ican(ホリを掘っている)cep(魚)]語源通りホリを掘っているサケを指す⦅屈斜路、名寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icani
- イチャニ §068 サクラマス (5) icani(i-cá-ni)「イちャニ」⦅斜里⦆サクラマス。 (出典:知里動物編、方言:)
- icaniw
- イチャニウ §068 サクラマス (3) icaniw(i-cá-niw)「イちャニウ」[ican(ホリ)iw(人)、‘ホリの人’の義]成魚⦅長万部、礼文、虻田、幌別、浦河、様似、近文、名寄、常呂、白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icaniw(icanuy)
- イチャニウ(イチャヌイ) 【icaniw(icanuy)】 マス. ナ ヘカチ オッカイポ ク・ネ ヒ タ ニカㇷ゚ エトコ タ ク・ネㇷ゚キエアㇻパ イチャヌイ ポロンノ オカ ワ チ・コイキ ワ チェ(チ・エ) コㇿ ネㇷ゚キ・アㇱ ペ ネ ア ワ=まだ少年といえる若者であった私が,新冠川の上流へ仕事に行った時に,マスがたくさんいて,私たちはそれを獲って食べながら働いたものであったよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- icaniwapappo
- イチャニウアパッポ §330 アヤメ (5) icaniw-apappo (i-cá-niw-a-pap-po)「イちャニウ・アパッポ」[マス・花] 花 ⦅足寄⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- icaniwitunnap
- イチャニウイトゥンナㇷ゚ §123 アリ 蟻 (25) icaniw-itunnap(i-ca-niw-i-tun-nap)「イちャニウイトゥンナㇷ゚」⦅本別⦆小形のアカアリ (出典:知里動物編、方言:)
- icankaot
- イチャンカオッ §069 ヤマベ(ヤマメ) (1) icankaot(i-cán-ka-ot)「イちャンカオッ」[ican(ホリ)ka(の上)ot(にたかっている)] ⦅萩野⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icankar
- イチャンカㇻ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(25) ican-kar (i-can-kar)「イチャンカㇻ」icanは本来動詞。hempak-iw, coniw, waniw,などに対してi-can-iwなどと言う。しかし今は名詞に考えられican-un-I, ican-karなどと言う。ただし、この-karは他動詞を強化するためのものかもしれない。 (出典:知里動物編、方言:)
- icankesro
- イチャンケㇱロ §069 ヤマベ(ヤマメ) (7) icankesro(i-can-kes-ro)「イチャンケㇱロ」[ican(ホリ)kes(の端)or(の所)o(にいる)]⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icankor
- イチャンコㇿ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(26) ican-kor (i-can-kor)「イチャンコㇿ」⦅屈斜路⦆産卵穴を掘る。サケ・マスにだけ言う。→kon-kor. (出典:知里動物編、方言:)
- icankot
- イチャンコッ §069 ヤマベ(ヤマメ) (2) icankot(i-cán-kot)「イちャンコッ」[<ican(マスの産卵穴)ka(の上)ot(にたかっている)]⦅長万部、礼文、虻田、幌別、白老、浦河⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icanoruncep
- イチャノルンチェㇷ゚ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(23) ican-orun-cep(i-can-o-run-cep)「イチャノルンチェㇷ゚」⦅美幌、東静内、穂別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icanuy
- イチャヌイ 【名】[知里真志保によれば < ican-iw ほり(産卵穴)・人《ホリの人、 つまり産卵穴を掘る人》][動物]マス。 〔知分類 p.53〕 {E: a trout.} (出典:田村、方言:沙流)
- icanuy
- イチャヌイ §068 サクラマス (4) icanuy(i-ca-nuy)「イチャヌイ」⦅白糠、美幌、斜里、鵡川、屈斜路、藻琴、布伏内、萩野、白浦、沙流、美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icanuymarewrew
- イチャヌイマレウレウ §145 キアゲハ(成);アゲハ(成) (4) icanuy-marewrew(i-ca-nuy-ma-rew-rew)「イチャヌイマレウレウ」⦅屈斜路⦆黒 と赤い点のある(kut)キアゲハ、アゲハ。 (出典:知里動物編、方言:)
- icanuyram
- イチャヌイラㇺ §068 サクラマス (9) icanuy-ram(i-ca-nuy-ram)「イチャヌイラㇺ」⦅屈斜路⦆幼魚。 (出典:知里動物編、方言:)
- icapipa
- イチャピパ 【icapipa】 穂摘み用貝殻. (出典:萱野、方言:沙流)
- icarapo
- イチャラポ §107 コジャク (3) icarapo (i-cá-ra-po)「イちャラポ」[<icaripo] 茎葉 ⦅樺太⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- icari
- イチャリ 【名】ざる。(W) (S) {E: a (bamboo) sieve, basket.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- icari
- イチャリ 【icari】 ざる. トゥッコ カ レㇾコ カ アㇷ゚ト ルイ ワ ポロ ワッカ アン ノイネ シㇼキ ナ.イチャリ コㇿ ワ ソイェネ ワ クマ オㇿ ワ ラチッケレ カントコㇿカムイ エウン "ホクレ タパン イチャリ シㇰテ" セコㇿ コラㇺコㇿ=二日も三日も雨が強いので洪水になりそうだ.ざるを持って外へ出て干し棹から下げ,天の神様へ,「さあ早くこのざるをいっぱいにせよ」と相談してみろ. (出典:萱野、方言:沙流)
- icarikina
- イチャリキナ §107 コジャク (1) i-cari-kina (i-cá-ri-ki-na)「イちャリキナ」[あれを・散らす・草] 茎葉 ⦅北海道全地⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- icarimuy
- イチャリムイ 【名】[icari-muy ざる・箕]竹を編んでつくった箕(み)。 ☆参考 普通の箕は木でつくった nímuy ニムイ。 ☞muy ムイ {E: a bamboo basket like implement used to separate the grains from its outer coverings, dust, etc.} (出典:田村、方言:沙流)
- icaripo
- イチャリポ §107 コジャク (2) icaripo (i-cá-ri-po)「イちャリポ」[<i-cari-p(あれを・ちらす・もの)-po(指小辞)] 茎葉 ⦅天塩⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- icarpa
- イチャㇻパ 【自動】[i-carpa もの・をばらまく・[複]] 死者(先祖など)を供養するため食物などをまく。(名詞として使われて)その行為。 ☆参考 米、 パン、 いろいろなおかず類、 菓子、 果物、 たばこなど何でも。 地上でわずかなものがあの世ではたくさんになるから、 まく量は少しでもいい。 食物をあげないと死者はあの世で飢えに苦しむ。 {E: to scatter food offerings for one's ancestors.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- icasei
- イチャセイ §218 カワシンジュガイ (13) ica-sei (i-ca-sey)「イチャセイ」 ⦅美幌⦆カキ貝 (出典:知里動物編、方言:)
- icasey
- イチャセイ §218 カワシンジュガイ (6) ica-sey (i-ca-sey)「イチャセイ」 ⦅名寄⦆シンジュガイの殻 (出典:知里動物編、方言:)
- icatcakikir
- イチョッチャキキㇼ §127 ヌカカ ヌカカ類 (5) icatca-kikir(i-cot-ca-ki-kir)「イチョッチャキキㇼ」⦅足寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- icohcakikiri
- イチョㇹチャキキリ §120 ハチ類 (5) i-cohca-kikiri(i-cóh-ca-ki-ki-ri)「イちョㇹチャキキリ」⦅落帆、富内、真岡、多蘭泊、多来加⦆ハチ類 (出典:知里動物編、方言:)
- icohcakikiriciseasispe
- イチョㇹチャキキリチセアシㇱペ §156.おでき;できもの;はれもの;しゅもつ(22)ハチの巣の腫物 icohcakikiri-cise-asispe〔i-čó-ho-ča-ki-ki-ri-či-se-a-šiš-peイちょㇹチャキキリ・チセ・アシㇱペ〕[icohcakikiri(蜂)、cise(家)…]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- icotcap
- イチョッチャㇷ゚ §127 ヌカカ ヌカカ類 (4) icotcap(i-cot-cap)「イチョッチャㇷ゚」⦅様似、屈斜路、足寄⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ietokocasnureay
- イエトコチャㇱヌレアイ 【i-etoko-casnure-ay】 熊神の帰り道を清める矢:熊送りの儀式の際に熊神の魂が神の国へ帰る道を清める矢. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikirhecawe
- イキㇼヘチャウェ 【ikir hecawe】 綻(ほころ)ぶ.▷イキㇼ=列,縫い目 ヘチャウェ=ほぐれる エ・ミピヒ ヤㇻポキヒ イキㇼヘチャウェ ワ アン ナ ウカウカ ワ アヌ=お前の着物の身八つ口が綻びているから,縫っておけ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikkopetca
- イッコペッチャ §348 マガ (3) ik-kopetca (ík-ko-pet-ča)「いッコペッチャ」 ⦅天塩⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikoicankor
- イコイチャンコㇽ §069 ヤマベ(ヤマメ) (4) ikoicankor(i-kó-i-čan-kor)「イこイチャンコㇽ」[前項の下略形、ceppoを黙了したもの]⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikoicankorceppo
- イコイチャンコㇽチェッポ §069 ヤマベ(ヤマメ) (3) ikoicankor-ceppo(i-kóy-čan-kor-čep-po)「イこイチャンコㇽチェッポ」[i-(それ)ko-(と共に)ican(ホリ)kor(もつ)cep(魚)-po(指小辞)、‘マスといっしょになってホリを掘る小魚’]⦅白糠⦆ヤマベ。 (出典:知里動物編、方言:)
- ikoicankot
- イコイチャンコッ §069 ヤマベ(ヤマメ) (5) ikoicankot(i-kó-i-čan-kot)「イこイチャンコッ」[i(それ)ko-(と共に)ican(ホリ)ka(上)ot(にたかる)、‘マスといっしょになってホリの上にたかる小魚’]⦅美幌⦆ヤマベ。(年老いた大きいヤマベ) (出典:知里動物編、方言:)
- ikoicanorop
- イコイチャノロㇷ゚ §069 ヤマベ(ヤマメ) (6) ikoicanorop(i-kó-i-ca-no-rop)「イこイチャノロㇷ゚」[i-(それ)ko-(と共に)ican(産卵穴)oro(の所)o(にたかる)-p(もの)]黒い模様のついた大きなヤマベ。⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ikonicarpa
- イコニチャㇻパ 【ikoni-carpa】 妊婦が死亡した時腹を切りお腹の子供の性別を確認する. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikotca
- イコッチャ 【位名】[不定人称形][i=kotca 人・の前] 人の前。 {E: in front of someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ikotcanekur
- イコッチャネクㇽ 【i-kotcane-kur】 代理人:取りなしてくれる人. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikotcanep
- イコッチャネㇷ゚ 【i-kotcane-p】 代理人:代わりになってくれる者. (出典:萱野、方言:沙流)
- inkar ruwe caynatara
- インカㇻルゥェ チャイナタラ 【inkar-ruwe cainatara】 見ている様子がとげとげしい,見る目がとげとげしい. ▷インカㇻ=見る ルゥェ=様子 チャイナタラ=とげとげしい(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- irpacap
- イㇼパチャㇷ゚ §268 イヌ (11) irpacap (ír-pa-čap)「いㇼパチャㇷ゚」[<ir-pa-ciya-p(ひと・きせつ・冬を越した・もの)] ⦅多来加⦆二歳のイヌ。一冬を越したイヌ。 (出典:知里動物編、方言:)
- isepoancami
- イセポアンチャミ §027 コウゾリナ (3) isepo-ancami (i-sé-po-an-ca-mi)「イせポアンチャミ」[ウサギ・アザミ] 茎葉 ⦅穂別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- isiruca
- イシルチャ §067 サケ あきあじ、あきやじ 川(31) isiru-ca(i-si-ru-ča)「イシルチャ」[<i(ものが)siru(こすった)ca(雄魚)]オスのホッチャリ。⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- itakaca
- イタカチャ §321 クロツグミ (1) itakaca (i-tá-ka-ča)「イたカチャ」[itak(物言う)aca(小父)] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- itakacam
- イタカチャㇺ §321 クロツグミ (2) itakacam (i-tá-ka-čam)「イたカチャㇺ」[<itak-acapo(物言う小父さん)、itakacapo→itakacamo→itakacamになったか] ⦅近文⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- itakkutcama
- イタㇰクッチャマ 【itak-kut-sama】 話し方.▷イタㇰ=話す クッ=喉 サマ=前,様子(イタㇰクッサマ→イタㇰクッチャマ) クチャ チセ オッタ(オㇿ タ) レウシアナクス(レウシ・アン アクス) カムイ メノコ ウコイタㇰ ハウェ ア・ヌ イタㇰクッチャマ ペケㇾ ワ オケレ オヤチキ スㇽク トノ マッ ネ アアン=狩小屋に私が泊まっていたら,神の女が話をしていたのを聞いたが,話し方がとてもきれいであった.知らなかったがトリカブト姫であった[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
- itankiatca
- イタンキアッチャ §118 テントウムシ(瓢虫) (4) itanki-atca(i-tán-ki-at-ca)「イたンキアッチャ」[<itanki(椀)atca(半分)]⦅美幌⦆テントウムシ類 (出典:知里動物編、方言:)
- itunnapcotca
- イトゥンナㇷ゚チョッチャ §076.アリに刺される;アリに噛まれる(1)アリに刺される itunnap-cotca〔i-tún-nap-čot-ča イとゥンナㇷ゚・チョッチャ〕[アリが・刺す]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kakenca
- カケンチャ 【名】[< 日本語 かけざお(?)] 衣装掛けの竿、 衣桁。 ☆参考 昔は木の竿に衣服をかけた。(W) (S) {E: a pole used for hanging clothes.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kakenca
- カケンチャ 【kakenca】 かけ竿,間じきり(竿に着物やござを掛けて間じきりにする). ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ アテケカㇻペ カケンチャ レウェウセ カネ ア・アッテ シコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ=昔話の中では刺繍した物がかけ竿がたわむほどに掛けてある,と描写されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuycaca
- カムイチャチャ 【名】(=kamuy cáca カムイ チャチャ[熊・じいさん])[動物]熊(熊の一つの呼び名)。 {E: a bear.} (出典:田村、方言:沙流)
- kamuycaca
- カムイチャチャ 【kamuy-caca】 熊. (出典:萱野、方言:沙流)
- kamuycaca
- カムイチャチャ §277 くま (3) kamuy-caca (ka-múy-ča-ča)「カむイチャチャ」[<kamuy(神)caca(じじい)] ⦅屈斜路、広尾⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- Kancasuye
- カンチャスイェ 【名】[人名] カンチヤスイェ (伝説上の英雄イクレスイエの父の名)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kancauspe
- カンチャウㇱペ §275.くちひげ(口髭)(1)kancauspe〔kán-ča-uš-pe かンチャウㇱペ〕[kan(上方の)+ca(口)+us(に生えている)+pe(もの)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kancauspe
- カンチャウㇱペ §642.ひげ(髭)(7)くちひげ;口髭;鼻下髭 kancauspe〔káŋ-ča-uš-pe かンチャウㇱペ〕[kan(上の)+ca(口)+us(に生えている)+pe(もの)]⦅シラウラ、タライカ、トンナイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- katcak
- カッチャㇰ 【katcak】 器量が悪い,至らない. カッチャㇰ ペ ク・マッネポホ ネ ワ ネ コㇿカ=至らない者,私の娘ではあるけれど.*私の父が,昭和18年に隣村へ娘(私の姉)を嫁に行かせた時に言っていた言葉.ヘりくだる時に使う. (出典:萱野、方言:沙流)
- katcam
- カッチャㇺ 【名】[概](所は katcama カッチャマ)[kat-sam あり方・側] 様子、 気配、 行い。 {E: state; mood; doings; behaviour.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- katcam/katcama(ha)
- カッチャㇺ/カッチャマ(ハ) 【kat-cam/-cama(ha)】 行状,身持ち,品行. カッチャマハ ア・オヤネネ=あの者の行状が不審だ.ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ カッチャマハ ウェンメノコ ア・トイキッカㇻ コㇿ コタン ケスン(ケㇱ ウン) エホラㇰチセ オルン ヤイニンパニンパ セコㇿ ネ ㇷ゚ ネ=昔話の中では行ないの悪い女が父や母に殴られると村はずれの半分潰れた家へ自分の身体を引きずるようにして行ったと描写されている. (出典:萱野、方言:沙流)
- katcama
- カッチャマ 【名】[所](概は katcam カッチャㇺ) その様子、 その気配、 その行いのくせ、 性癖。 katcama pirka カッチャマ ピㇼカ 何もくせがない。 katcama wen カッチャマ ウェン 悪いことばかりする。 {E: state; mood; doings; behaviour.} (出典:田村、方言:沙流)
- katka konna caknatara
- カッカ コンナ チャㇰナタラ 【自動詞句】[雅] 気が浮き浮きしている。 tanto anak ponno ku=katka konna caknatara, a=en=íkure p ne kus タント アナㇰ ポンノ クカッカ コンナ チャㇰナタラ、 アエニクレㇷ゚ ネ クㇱ 今日は私は少し気が浮き浮きしている、 飲ましてくれたので。(S) {E: to feel carefree, light-hearted.} (出典:田村、方言:沙流)
- katu-caktek
- カトゥ チャㇰテㇰ 【自動】[あり方・さっぱりしている] さっぱりして気持ちがいい。 pirka sukus an wa káni ka ku=katu-caktek ピㇼカ スクㇱ アン ワ カニ カクカトゥチャㇰテㇰ いい日差しで私も気持ちがいい。 {E: to feel good, happy, refreshed.} (出典:田村、方言:沙流)
- kipkotca
- キㇷ゚コッチャ §054.頭の全部;前頭部;ひたい(7)kip-kotca〔kíp-kot-ča きㇷ゚コッチャ〕[kip(額)+kotca(前)]⦅K.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- koatca
- コアッチャ 【他動】[ko-atse-a …に対して・よその家・座る](?) …を構ってやらない、 …のめんどうみてやらない(子どもでも病人や年寄りでも)。 siwtoho koatca wa patek an シウトホ コアッチャ ワ パテㇰ アン (彼女は)しゅうとの世話をせずほうっておいてばかりいる(「しゅうとさん病気してるのにおまるもとってやらない、 ごはんもやらない」)。(S) {E: to not look after…} (出典:田村、方言:沙流)
- koaycarikur koaycarimat
- コアイチャリクㇽ コアイチャリマッ 【ko-ay-cari-kur ko-ay-cari-mat】 タラノキ.▷コ=そこに アイ=矢 チャリ=散らかす クㇽ=人 マッ=女 →そこに矢を散らかす人 (出典:萱野、方言:沙流)
- kocainatara
- コチャイナタラ 【ko-cainatara】 とげとげしい目,とげとげしい雰囲気. インカㇻルウェ コチャイナタラ=見ている様子がとげとげしく.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- kocan
- コチャン 【間投】[ko-can (擬音の叙述へ導く小辞)・(擬音)] …がチヤン(と鳴る)。 kuciwa kocan, a/nariwa kocanca クチワ コチャン、 ア/ナリワ コチャンチャ [雅]くつわがチャン、 あ、 鳴り輪がチャンチャ。(S即興詩) {E: for something to make a clanging sound.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kocanca
- コチャンチャ 【間投】[ko-canca (擬音の叙述へ導く小辞)・(擬音・重複)] …がチヤンチヤン(と鳴る)。 kuciwa kocan, a/nariwa kocanca クチワ コチャン、 ア/ナリワ コチャンチャ [雅]くつわがチャン、 あ、 鳴り輪がチャンチャ。(S即興歌) {E: for something to make a clanging sound.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kocanupkor
- コチャヌㇷ゚コㇿ 【他動】[ko-canu-p-kor …に・(?)・こと・持つ] …を聞いて参考になる。 en=pirma p ne kus ku=kocanupkor wa k=an kus ne wa エンピㇼマㇷ゚ ネ クㇱ クコチャヌㇷ゚コㇿ ワ カン クㇱ ネ ワ (彼が)私にそっと知らせてくれたから私はよく気をつけていますから。(S) ☆参考 canup チャヌㇷ゚ も canupkor チャヌㇷ゚コㇿ も未出。〔久辞典107 chanupkor 参考になる、 よい教訓になる〕〔((B)) chanup “An object. An end”〕 {E: to listen to and act upon another's suggestion.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kocanupkor
- コチャヌㇷ゚コㇿ 【ko-canup-kor】 (〜で)覚える,知る,わかる.▷コ=それで チャヌㇷ゚=覚える コㇿ=持つ →それによって覚えることができた,利口になった (出典:萱野、方言:沙流)
- kocaranke
- コチャランケ 【他動】[ko-caranke に・談判する] …に談判する、 …に文句をつけてやる(「チャランケする」)。 {E: to negotiate, consult with…; to complain about, to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kocaranke
- コチャランケ 【ko-ca-ranke】 話し合いをする.▷コ=それ(=人,相手)に対して チャ=言葉 ランケ=おろす →相手に対して自分の考えを全部おろして聞かせる (出典:萱野、方言:沙流)
- kocari
- コチャリ 【ko-cari】 (〜に)投げ散らす,恵んでやる. カムイユカㇻ オッタ(オㇿ タ) シネ アイヌ カムイフㇺ アㇱ ヒ タ イルイケ ワッカ カムイ コチャリ カムイ イルㇱカ=神謡の中でひとりの人間が雷の音がする時に研ぎ水を神に投げ散らし神が怒った.エソイネ イヤフㇷ゚ クㇽ エㇰ シリ イキ ナ.ネㇷ゚カ コチャリ=外へこじきが来ている様子だ.何か恵んでやれ.*こじきなどに恵んでやる,という場合はコレ(=与える,やる)ではなくコチャリという語を使う. (出典:萱野、方言:沙流)
- kocarpa
- コチャㇻパ 【ko-carpa】 食べ物を分ける,恵んでやる:蔑みの意味を含むので普通は使えない.▷コ=それ(=人間)に対して チャㇻパ=散らかす ネㇷ゚ コチャㇻパ=何か少したけくれてやれ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kocawcawatki
- コチャウチャワッキ 【ko-caw-caw-atki】 シュッと音がする. タㇺ セㇾ フㇺ コチャウチャワッキ=刀を振る音がシュッと鳴った. (出典:萱野、方言:沙流)
- kocaynatara
- コチャイナタラ 【自動】[ko-cay-natara (擬態の叙述へ導く小辞)・(擬態の語根)・(状態が続いていることを表す接尾辞)…の状態である](目で見る様子が)ギョロッとにらんで恐ろしい。 ☞caynatara チャイナタラ {E: to glare at.} (出典:田村、方言:沙流)
- kopeca
- コペチャ 【名】[動物]アヒル、 (アヒル、 カモ、 シギ、 カイツブリの類の)水鳥。 ☆参考 kopet コペッ は《水を切る》。〔知分類 p.204 マガモ〕 {E: a duck; a water bird.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopeca
- コペチャ 【kopeca】 カモ.*昭和10年頃父が村田銃を持ってコペチャ撃ちに連れて行ってくれた. (出典:萱野、方言:沙流)
- kopeca
- コぺチャ §348 マガ (2) kopeca (ko-pé-ča)「コぺチャ」 ⦅屈斜路、春採、富内、多来加、千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kopetca
- コぺッチャ §348 マガ (1) kopetca (ko-pét-ča)「コぺッチャ」 ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- koracapo
- コラチャポ §027.伯父、叔父(5)koracapo〔kó-ra-ča-po こラチャポ〕⦅シラヌカ、アカン、クッシャロ、ビホロ⦆【常】伯父;叔父[kor(所有する)+acapo(伯叔父)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- kotca
- コッチャ 【位名】[概](所は kotcake コッチャケ)[kot-sa (?)・…の前] ①(空間的に)…の前(面前、 止まった位置にあるものの前)。 masar kotca péka kus マサㇻ コッチャ ペカ クㇱ 砂浜の前を通る。 ②(心理的に)人を非難や攻撃や不利なことから守るためにかばう位置/立場。 ☆参考 etok エトㇰ …の先、 (移動しているもの)の前方(行く手の方)、 (時間的に)以前。 osmak オㇱマㇰ …の後ろ(背後)。 {E: in front of…; ahead of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotca esikas(i)ke
- コッチャ エシカシケ/エシカㇱケ 【連他動】[…の面前・…でしたことをしらばくれてしてないと言う](人)のしたことを(かばって)しなかったように言う。(S) ☆参考 ukotca-esikasike ウコッチャ エシカシケ 自分の家族のしたことをしなかったように言う。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- kotca esunke
- コッチャ エスンケ 【連他動】[…の前・でうそをつく] (人)のことでほらをふく。 ☆参考 ukotcaesunke ウコッチャエスンケ 自分の家族のことでほらをふく。 ☞sunke スンケ (出典:田村、方言:沙流)
- kotca/kotcake(he)
- コッチャ/コッチャケ(ヘ) 【kotca/kotcake(he)】 表,前. ヤイコッチャカㇻ=囲炉裏端で自分が座る前を暖かく作ること.ニㇱパアヌシ(ニㇱパ アン ウシ) アナㇰネ チセ コッチャ ワノ チセ エルㇷ゚シ パㇰノ イランマカカ ア・シッチャㇱヌレ ワ アン=物持ちの家というものは家の前から家の後ろまで丁寧に掃除されている. (出典:萱野、方言:沙流)
- kotcake(he)
- コッチャケ(ヘ) 【位名】[所](概は kotca コッチャ)[kotca-ke(he) …の前・の所] ①(空間的に)その前(の所)、 その面前。 taan kur iteki kotcake kus no osmake kus タアン クㇽ イテキ コッチャケ クㇱ ノ オㇱマケ クㇱ この人の前を通らないで後ろを通りなさい。(S) en=kotcake ta e=an wa ci=nukar ka eaykap エンコッチャケ タ エアン マ チヌカㇻ カ エアイカㇷ゚ 私の前にあなたがいて私たちは見ることができない。(S) ta e=kotcake ta an wa タ エコッチャケ タ アン ワ ほらそこに、 あなたの前にあるよ。(S) ②(心理的に)(その人)の前(かばう位置/立場)。 Kamuyuci ka/han kakkok kakkok/i=kotcake ta/ye ruwe ne カムユチ カ/ハン カッコク カッコク/イコッチャケ タ/イェ ルウェ ネ 火の女神様も私のためにとりなそうとしてお願いしたりあやまったりいろいろ言ってくれたけれども。(W神謡) ☆対語 osmake オㇱマケ。 {E: ahead; in front of.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotcake(he) eyayunaske
- コッチャケ(ヘ) エヤユナㇱケ 【連他動】[…の前・でていねいに断る]…をかばってあやまったり願ったりして要求や命令を撤回してくれるように求める。 Kamuyuci ne yakka/i=kotcakehe/eyayunaske カムユチ ネ ヤッカ/イコッチャケヘ/エヤユナㇱケ 火の女神様も私のためにおわびをしたりお願いをしたりしてとりなそうとしてくれた。(W神謡) ☆参考 概念形 kotca コッチャ を使って言う例は未出。 ☞yayunaske ヤユナㇱケ (出典:田村、方言:沙流)
- kotcaketa
- コッチャケタ 【kotcake ta】 前に. (出典:萱野、方言:沙流)
- kotcawot
- コッチャウォッ 【位名/後副】[kotca-w-ot …の前・(挿入母音)・…につく](?)/[kotca-sawot …の前・… から逃げる](?) ①[位名]動いている物の先の方(?)。 en=kotcawot ta エンコッチャウォッ タ 私の先の方に。(S) ②[後副]…の先の方を、 …の先の方に(逃げて)。 en=kotcawot hńna arpa kor an エンコッチャウォッ フンナ アㇻパ コラン 私の先をだれか行っている。(S) iruska kor hoyupu híne yan, orowano kotcawot kira=an híne イルㇱカ コㇿ ホユプ ヒネ ヤン、 オロワノ コッチャウォッ キラアン ヒネ (トドは)怒って走って岸に上がって来た、 それから私はその先の方を逃げて。(W民話) {E: to run away, flee to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kotcawot
- コッチャウォッ 【kotca-ot】 先に. エン・コッチャウォッ アㇻパ=私より先に行け. (出典:萱野、方言:沙流)
- kouratcari
- コウラッチャリ 【他動】[ko-urar-cari …に・霞(かすみ)・を散らす][雅]…のかぶっている霞(かすみ)を払いとばす。 urar tak ne/koyaykar kane/kouratcari/epa=ki wa/a=nukár ruwe ウラッタㇰ ネ/コヤイカㇻ カネ/コウラッチャリ/エパキ ワ/アヌカン ルウェ [雅](そいつは)霞(かすみ)をかぶっていて私がその霞(かすみ)を払いとばして見ると。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koycakaka
- コイチャカカ 【自動】[koy-cak-a-ka 波・(擬音の語根)・(他動詞化)・(重複)](水鳥が)サーッと水を切って行く。 koycakaka wa arpa ayne hopuni コイチャカカ ワ アㇻパ アイネ ホプニ (鳥が)サアッと水を切ってずうっと行ってついに飛び立った。 {E: (for a water bird) to cut through the water.} (出典:田村、方言:沙流)
- kuca
- クチャ 【名】「かりごや」(狩小屋、 猟のために滞在する山中の小屋)。 ☆参考 kucacise クチャチセ とも言う。 {E: a mountain hunting hut.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucacise
- クチャチセ 【名】[kuca-cise 猟小屋・家] 「かりごや」(狩小屋、 猟のために滞在する山中の小屋)。 ☞kuca クチャ {E: a mountain hunting hut.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucacise
- クチャチセ 【kuca-cise】 狩小屋:狩に行った時に仮に泊まる家. ア・コㇿ クチャチセ タ アㇻパアナクス(アㇻパ・アン アクス) チロンヌㇷ゚ シネレ ㇷ゚ アン ワ イ・コテㇾケ ア・シレカッタ アクス ライホチカチカ ライ ルウェ ネ=私の狩小屋へ行くと狐が人間に化けていて私に取っ組んできたので大地へ叩きつけると手足をばたつかせ死んでしまった.ア・コㇿ クチャチセ エウン シネ パ カ ソモ アㇻパ・アン ワ ア・エラムイクㇽクㇽ ア コㇿカ アン アイネノ アン ワ ア・エラムシンネ=私の持っている狩小屋へ1年も行かずにいたので気にしていたが,そのままあったので私は安心した. (出典:萱野、方言:沙流)
- kucakor
- クチャコㇿ 【自動】[kuca-kor 猟小屋・を持つ] 山中の「かりごや」(狩小屋、 猟小屋)に泊まる/滞在する、 狩小屋(猟小屋)に滞在して猟をする。 {E: to go to stay in a mountain hunting hut.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucan
- クチャン 【名】[動物]雌(めす)熊。(NK民話) ☆対語 síyuk シユㇰ 雄(おす)熊。 〔知分類 p.154 kucan 雌熊(成獣);4、 5歳以上の雌熊((H.S.))〕 {E: a female bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucan
- クチャン 【kucan】 雄熊. (出典:萱野、方言:沙流)
- kucan
- クチャン §277 くま (32) kucan (ku-čán)「クちャン」 ⦅北海道、樺太⦆雄グマ(成獣)、四、五歳以上の雄グマ (出典:知里動物編、方言:)
- kucan
- クチャン §277 くま (53) kucan (ku-čán)「クちャン」 (出典:知里動物編、方言:)
- kucanturep
- クチャントゥレㇷ゚ §277 くま (72) kucan-turep (ku-čán-tu-rep)「クちャントゥレㇷ゚」[<kucan(雌グマを)tura(連れている)-p(もの)] ⦅美幌⦆雌グマを連れている雄グマ (出典:知里動物編、方言:)
- kucasanke
- クチャサンケ 【自動】[単](複は kucasapte クチャサㇷ゚テ)[kuca-sanke 猟小屋・を(山側の方から海側の方向へ)出す[単]] 猟期を終えて狩小屋(猟小屋)から村へ帰る。 {E: to return from the mountain hunting hut to the village at the end of the hunting season.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucasapte
- クチャサㇷ゚テ 【自動】[複](単は kucasanke クチャサンケ)[kuca-sapte 猟小屋・を(山の方から海の方向へ)出す[複]](二人以上が)猟期を終えて猟小屋から村へ帰る。 {E: to return from the mountain hunting hut to the village at the end of the hunting season (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucasapte
- クチャサㇷ゚テ 【kuca-sapte】 狩小屋を撤収する. トオㇷ゚ トゥイマ クチャ オルン アㇻパアナ(アㇻパ・アン ア) コㇿカ タンペ オッタ(オㇿ タ) オムケン・アン ワ トゥナㇱノ クチャサㇷ゚テ・アン=ずうっと遠い狩小屋へ行ったけれど,このたびは猟がなく早く狩小屋を撤収した. (出典:萱野、方言:沙流)
- kutcaktonin
- クッチャㇰトゥニン §212 ミミズ (19) kutcak-tonin (kut-čak-to-nin)「クッチャㇰトゥニン」[帯ナキ] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- kutcam
- クッチャㇺ 【名】[概](所は kutcama クッチャマ)[kut-sam のど・(< そば)] 声、 こわね(声音)、 声の音色。 ☞ekutcam エクッチャㇺ {E: the voice; the tone of voice.} (出典:田村、方言:沙流)
- kutcam konna
- クッチャㇺ コンナ 【kut-sam konna】 言いはじめる. エ・クッチャㇺ コンナ ウウェトゥヌイセ=ものを言いはじめその声が滔々とよどみなく(多くはユカㇻに出て来る). (出典:萱野、方言:沙流)
- kutcam(-a)
- クッチャㇺ §307.こえ(声)(3)kutcam(-a)〔kút-čam くッチャㇺ〕[kut(のど)+sam(そば)]⦅ホロべツ、サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- kutcam(-a)
- クッチャㇺ §571.のど(咽喉)(8)のどの中の辺 kutcam(-a)〔kút-cam くッチャㇺ〕[kut(のど)+sam(そば)]⦅ホロベツ、サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- kutcam/kutcama(ha)
- クッチャㇺ/クッチャマ(ハ) 【kut-sam/-sama(ha)】 発音,声(声の音色). ペウレクㇽ ネ コㇿカ クッチャマハ ペケㇾ エアㇻキンネ イタㇰエアㇱカイ=若い人であるけれど発音もきれいだしとても話し上手だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- kutcama
- クッチャマ 【名】[所](概は kutcam クッチャㇺ) …の声の音色。 kutcama pirka クッチャマ ピㇼカ 声がいい、 声がきれいだ。(S) itak kutcama uneno an イタㇰ クッチャマ ウネノ アン (二人の)しゃべる声がよく似ている。(S) {E: the tone of voice of…} (出典:田村、方言:沙流)
- kutcar(-i)
- クッチャㇻ §571.のど(咽喉)(9)のどの入口 kutcar(-i)〔kút-čar くッチャㇻ〕[kut(のど)+car(口)]⦅H.⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- Kutcaro
- クッチャロ 【名】[kut-caro のど・その口] [地名]屈斜路。 ☆参考 caro チャロ は東部方言の形で、 沙流方言の paro パロ に当たる。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kuttomsinotca
- クットㇺシノッチャ 【名】[kuttom-sinotca のど・歌](男性の歌い方の一つとして)「浪花節みたいな声を出してうなること」(=低い声をふるわせて、 うなるような声で歌うこと)。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- kuwaecarase
- クワエチャラセ 【kuwa-e-carase】 杖で滑る:杖で体を支えて急な斜面を滑り下りる.▷クワ=杖 エ=それで チャラセ=滑る (出典:萱野、方言:沙流)
- macarasne
- マチャラㇱネ 【maca-rasne】 (舌触りが)ざらざらしている. (出典:萱野、方言:沙流)
- matcakpe
- マッチャㇰペ §038.やもめ(1)matcakpe〔mát-čak-pe まッチャㇰペ〕⦅ホロべツ⦆男やもあ。[<mat(妻)+sak(を持たぬ)+-pe(者)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- mecahko
- メチャㇵコ §400.しゃれこおべ;どくろ(→§341参照)(2)mecahko〔me-čáh-ko メちゃㇵコ〕[<mecakko]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- mecakko
- メチャッコ §400.しゃれこおべ;どくろ(→§341参照)(1)mecakko〔me-čák-ko メちゃッコ〕⦅H. 一般⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- moca
- モチャ §067 サケ あきあじ、あきやじ 性(6) mo-ca(mó-ča)「もチャ」[mo(小)ca(雄魚)]⦅幌別、穂別⦆オスの小なるもの。 (出典:知里動物編、方言:)
- mohacankur
- モハチャンクㇽ §295 サカマタ;シャチ (15) mohacankur (mó-ha-čan-kur)「もハチャンクㇽ」[<mo-acane-kur(小さな・頭目である・神)] シャチ神を兄弟第二柱の神と考え、その弟神を指して言う⦅礼文⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- mompehcanay(-he)
- モンペㇸチャナイ §816.手指の股(2)mompeh-ca-nay(-he)〔móm-peh-ča-naǐ もンペㇸチャナイ〕[mompeh(手指)+ca(そば)+nay(沢)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- muhcara
- ムㇷチャラ §318.甲状骨上縁と舌骨間の窩(1)muhcara〔múh-ča-ra むㇷチャラ〕[<muk(ふさがる)+car(口)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- muhcara
- ムㇷチャラ §571.のど(咽喉)(12)甲状腺上縁と舌骨間の窩 muhcara〔múh-ča-ra むㇷチャラ〕[<muk(塞がる)+car(口)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- muhcara(caru)
- ムㇷチャラ §414.しょくどう(食道)(5)muh-cara(caru)〔múh-ča-ra むㇷチャラ〕[muh(<muk 胸)+cara(口)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- mukcar(-o)
- ムㇰチャㇻ §727.みぞおち(2)mukcar(-o)〔múk-čar むㇰチャㇻ〕[muk(胸)+car(口)]⦅サル⦆【雅―ユ研Ⅱ, pp.423, 426, 457】 (出典:知里人間編I、方言:)
- muncatcari
- ムンチャッチャリ 【自動】[mun-catcari 草/ごみ・を散らす] 草をまき散らす、 ごみを散らかす。 {E: to scatter grass; to litter with garbage.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mutcar(-a)
- ムッチャㇻ §571.のど(咽喉)(11)のどの入口 mutcar(-a)〔mút-čar むッチャㇻ〕[<muk(塞がる)+rcar(口)]⦅ビホロ、クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- mutcarkam(-i)
- ムッチャㇻカㇺ §579.のどの肉[クマの]mutcar-kam(-i)〔mút-čar-kam むッチャㇻカㇺ〕[mutcar(<muk-car(↑)+kam(肉))]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- muy-icari
- ムイイチャリ 【名】み(箕)(=icarimuy イチャリムイ)。 {E: a winnowing basket.} (出典:田村、方言:沙流)
- naycar
- ナイチャㇻ 【名】[nay-car 沢・口] 沢口。 ☆参考 「口」を car チャㇻ と言うのは道東方言。 沙流方言では、 独立の名詞としては par パㇻ と言うが、 この語の中では car チャㇻ の形になっている。 {E: the mouth of a swamp, marsh.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- naycaus
- ナイチャウㇱ §288 ノダイオウ (4) naycaus (náy-ca-us)「なイチャウㇱ」[nay(川)ca(岸)us(に群生している)] 茎葉 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- nícica
- ニチチャ 【名】[ni-ci-ca 木・された・切り取る]木の切れ端。 uhuy nicica ウフイ ニチチャ こげた棒杭(「焼けぼっくい」)(家の燃えたあとの焼けこげた柱など)。(S会話) {E: woodchips.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nicica
- ニチチャ 【nicica】 焼けた茎:イナキビ,アワ,ヒエなどの穂を取った後の茎に火をつけて焼き,焼け残った茎のことをニチチャという.穂を摘み取っただけの残りの茎はイナンカヨという. (出典:萱野、方言:沙流)
- ninaaca
- ニナアチャ §041 アカガレイ (1) nina-aca (ni-ná-a-ča)「ニなアチャ」[nina(ヒラメ)aca(伯父)] ⦅白老⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- ninaaca
- ニナアチャ §057 ムシガレイ;みずくさ (3) nina-aca (ni-ná-a-ca)「ニなアチャ」[nina( )aca(伯父)] 成魚 ⦅虻田、幌別、長II. 40⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nis hecaka
- ニㇱ ヘチャカ 【nis hecaka】 晴れる. (出典:萱野、方言:沙流)
- nisatcawot
- ニサッチャウォッ 【nisat-sawot】 明けの明星. ニサッチャウォッ カリ=明けの明星が回る. (出典:萱野、方言:沙流)
- nucaktek
- ヌチャㇰテㇰ 【自動】[nu-cak-tek 顔・(晴れることを表す語根)・ちょっと…する]心が明るく楽しい/楽しくなる、 ほがらかである/になる。(W) (S) {E: to be cheerful.} (出典:田村、方言:沙流)
- nucaktek
- ヌチャㇰテㇰ 【nucak-tek】 朗らか,晴れやか,明朗,愉快だ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nucatoma
- ヌチャトマ §064 ジャガタライモ (3) nuca-toma (nu-cá-to-ma)「ヌちャトマ」[nucá(ロシア人)tomá(エゾエンゴサクの塊茎)] 塊茎 ⦅樺太⦆ →補注(17)。 (出典:知里植物編、方言:)
- nupurikesun-cáca
- ヌプリケスンチャチャ 【名】[nupuri-kes-un-cáca 山・の末端・にいる・じいさん]山すそのじいさん=熊のいちばん悪いのの呼び名。 (出典:田村、方言:沙流)
- ocakakse
- オチャカㇰセ 【自動】[o-cakak-se その尻・(擬音)・という] 下痢する(水状の便が出る)(「悪い言葉」)。(S) {E: to suffer from diarrhoea.} (出典:田村、方言:沙流)
- ocakot
- オチャコッ 【自動】[o-ca-kot その尻・口・につく] 好色である(「すけべだ」)。 {E: to be lustful.} (出典:田村、方言:沙流)
- ocakot
- オチャコッ 【o-ca-kot】 すぐに女を引っかける〔比喩,隠語〕.▷オ=尻 チャ=柴 コッ=くっつける →尻に柴をつけるような (出典:萱野、方言:沙流)
- ocakot
- オチャコッ §317.こうしょく(好色)[である](9)うわきである ocakot〔o-čá-kot オちゃコッ〕[o(陰部に)+ca(潅木の枝條)+kot(ついている)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ocakotkur
- オチャコックㇽ 【o-ca-kot-kur】 ちんちんに柴がくっついているかのような男:男の持ち物に柴がくっついているかのように女がひっかかる.▷オ=尻=ちんちん チャ=柴 コッ=付く クㇽ=人 ネア オチャコックㇽ スイ メノコ エパコアッ ヤㇰ ア・イェ エ・ヌ アー=ちんちんに柴がくっついているかのようなあの男がまたしても女性関係でいさかいを起こしたという,聞いたかい. (出典:萱野、方言:沙流)
- ocaku
- オチャク §300.下痢[する](10)水様下痢便[を出す] ocaku〔o-čá-ku オちゃク〕[<o(尻)+caku(ザザアッと流す)> (出典:知里人間編I、方言:)
- ocaku
- オチャク §470.だいべん(大便)(3)水様下痢便;鳥の糞 ocaku〔o-čá-ku オちゃク〕〔o(尻)+cak(ザーッという音)+o(する)〕⦅テシオ、ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ocatcari
- オチャッチャリ 【複他動】[o-catcari (そこ)に・…をまき散らす] …に…をふりかける。 konru rárak na úna ocatcari wa anu コンル ララㇰ ナ ウナ オチャッチャリ ワ アヌ 氷がツルツルしてるから灰をふりかけておきなさい。(S) {E: to sprinkle…on…} (出典:田村、方言:沙流)
- ocayarke
- オチャヤㇻケ 【自動】[o-ca-yar-ke その尻・の先(?)・ボロボロになる・(他動詞化)](?) 着物のすそがボロボロになる。 {E: for the hem, bottom of clothing to become frayed.} (出典:田村、方言:沙流)
- ohcara(ohcar-i)
- オㇹチャラ §150.お(尾)(2)ohcara(ohcar-i)〔óh-ča-ra おㇹチャラ〕[oh(<o 尻?>+cara(<sar 尾);恐らく「尻・尾」の義]⦅シラウラ、マオカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ohcarake
- オㇹチャラケ §150.お(尾)(3)ohcarake〔óh-ča-ra-ke おㇹチャラケ〕⦅S.⦆【雅―遺篇, p.20】 (出典:知里人間編I、方言:)
- oicari-oposore
- オイチャリオポソレ 【他動】[o-icari-oposo-re その尻・ざる・つきぬける・させる]…をざるで漉(こ)す。 (出典:田村、方言:沙流)
- okokkocaca
- オコッコチャチャ 【名】[okokko-caca ばけもの・じいさん][動物]ばけものじじい(悪い人食い熊の呼び方の一つ)。 {E: a bear (slang).} (出典:田村、方言:沙流)
- ona orowan oaca
- オナ オロワン オアチャ §027.伯父、叔父(10)ona orowan oaca〔o-ná|o-ró-wa-no|á-ča オな・オろワノ・あチャ〕⦅ホロベツ⦆父方の伯叔父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- onneacapo
- オンネアチャポ §027.伯父、叔父(8)onne-acapo〔ón-ne-a-ča-po おンネアチャポ〕⦅ビホロ⦆【常】伯父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- onnecaca
- オンネチャチャ §008.老翁(2)onne-caca〔ón-ne-ča-ča おンネチャチャ〕⦅S.⦆【雅―古謡, p.1】老翁。[(年とった・じじい)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- opacatce(-an)
- オパチャッチェ §300.下痢[する](5)opacatce(-an)〔o-pá-čat-če オぱチャッチェ〕[o(尻)+pacat(バタバタという音)+se(そういう音を発する)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- opicahse
- オピチャㇵセ §300.下痢[する](7)opicahse〔o-pí-čah-se オぴチャㇵセ〕[o(尻)+pi(<pe 水)+cahse(流れる)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- otopkotca
- オトㇷ゚コッチャ §219.整容―さかやき(月代)[成人の髪容で前頭部を三日月形に剃ること](2)月代 otop-kotca〔o-tóp-kot-ča オとㇷ゚コッチャ〕[頭髪・前]⦅クシロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- oycarioposore
- オイチャリオポソレ 【他動】[o-icari-oposo-re その尻・ざる・を通りぬける・させる]…をざるでこす。 ☆参考 icari ani oposore イチャリ アニ オポソレ とも言う。 {E: to strain…through a sieve.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pakotca
- パコッチャ §054.頭の全部;前頭部;ひたい(12)pa-kotca〔pá-kot-ča ぱコッチャ〕[頭・前]⦅トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pakotcake
- パコッチャケ §054.頭の全部;前頭部;ひたい(13)pa-kotca-ke〔pá-kot-ča-ke ぱコッチャケ〕[点・前・所]⦅トカチ、クシロ、キタミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- patcake
- パッチャケ §272.くちびる(唇)(8)patcake〔pát-ča-ke ぱッチャケ〕[<par(口)+ca(ふち)+ke(の所)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- patcaskor
- パッチャㇱコㇿ 【自動】[par-cas-kor 口・走る(こと)・を持つ]口がうまい(たとえば、 うまいことを言って一つしかないりんごを十ぐらいと交換する等)。 {E: to be a good talker.} (出典:田村、方言:沙流)
- pecakayne
- ペチャカイネ 【pecakayne】 糊気がない. ペチャカイネ サヨ ネ フミー=糊気のない粥だねえ. (出典:萱野、方言:沙流)
- pecankur
- ペチャンクㇽ 【pecan-kur】 やせっぽっちの人,たいしたことのない者. (出典:萱野、方言:沙流)
- pecica
- ペチチャ 【名】湿地(「野原」の訳語として出た)。 {E: damp, moist ground.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pehcamus
- ペㇸチャムㇱ §370 カサスゲ (2) pehcamus (péh-ca-mus)「ぺㇸチャムㇱ」[<pet-sam-us(川・傍・に群生している] 茎葉 ⦅真岡⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- pekaocarse
- ぺカオチャㇻセ §163 アメンボウ類 (2) pekaocarse(pé-ka-o-car-se)「ぺカオチャㇻセ」[<pe(水)ka(上)o(で)carse(すべる)] ⦅屈斜路⦆pe-ka-o-cararseとも (出典:知里動物編、方言:)
- pencay
- ペンチャイ 【名】[< 日本語 べんざいせん(弁財船)] 交易の貨物船(「定期船」)。(S) ☆参考 rokuntew ロクンテウ 客船。 cip チㇷ゚ 丸木舟、 小さい舟。 {E: a goods, cargo ship, vessel.} (出典:田村、方言:沙流)
- pencay
- ペンチャイ 【pencay】 帆掛け舟.ウウェペケㇾの中でトゥホㇰ エウトゥラ ペンチャイ(=40艘が一緒になった帆掛舟)と描写されている話などがあり,ペンチャイはたくさんの物の時に用いられる. (出典:萱野、方言:沙流)
- pencay koyan
- ペンチャイ コヤン 【pencay ko-yan】 帆掛け舟が来た〔比喩〕:思いがけずよいことがある. ソンノ ケカンパッコ(ク・エカンパッコ) ペンチャイ コヤン コラーチ ネㇷ゚ネㇷ゚ ケウンケライ(ク・エウンケライ) ケヤイコプンテㇰ(ク・エヤイコプンテㇰ) ルウェ ネ ワー=本当に予期もしないのに帆掛け舟が私の所へ来たと同じようにいろいろ私は貰い物をして喜んでいる.タント アナㇰネ ペンチャイ コヤン エカㇷ゚ネ ポロンノ ウンケライ・アン=今日は帆掛け船が来たと同じほどにたくさん物を貰った. (出典:萱野、方言:沙流)
- pencaytono
- ペンチャイトノ 【名】[pencay-tono 交易の貨物船・殿(和人男子の尊称)] 交易の貨物船の船長。 {E: the captain of a cargo ship.} (出典:田村、方言:沙流)
- penmuhcara
- ペンムㇷチャラ §318.甲状骨上縁と舌骨間の窩(2)pen-muhcara〔pén-muh-ča-ra 舳ンムㇷチャラ〕[pen(上方の)+muhcara(↑)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- penmuhcara
- ペンムㇷチャラ §571.のど(咽喉)(13)甲状軟骨上縁と舌骨との間の窩 penmuhcara〔pém-muh-ča-ra 舳ンムㇷチャラ〕[pen(上方の)+muhcara(↑)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- petcaewak
- ぺッチャエワㇰ §345 アオサギ (1) petcaewak (pét-ča-e-wak)「ぺッチャエワㇰ」[<pet-ca-ewak(川・ばた・に住む)] ⦅美幌、屈斜路、春採⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- petcakoas
- ぺッチャコアㇱ §345 アオサギ (2) petcakoas (pét-ča-ko-as)「ぺッチャコアㇱ」[<pet(川)ca(岸)ko(に)as(立っている);‘川岸に立っている鳥’の意] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- petcicar
- ペッチチャㇻ 【名】[pet-cicar 川・(?)] 川岸、 川の水と陸との境の、 水が浅く「ピチャピチャある所」。(S) {E: a riverbank.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- petcicay
- ペッチチャイ 【pet-cicay】 浅瀬. テエータ アナㇰネ チェッポ スナンカㇻアニタ(スナンカㇻ・アン ヒ タ) アナㇰネ ペッチチャイ タ アナㇰネ ネㇷ゚ パㇰノ カ チチラ オカ ㇷ゚ ネ ア コㇿカ タネ アナㇰネ ア・ヌカㇻ フミー カ イサㇺ=ずうっと昔,小魚に灯を急に近づけて獲る時には浅瀬にはなんぼでもドジョウがいたものだったが,今は見ることもない. (出典:萱野、方言:沙流)
- pisecara
- ピセチャラ §682.ふんもん(噴門)pise-cara〔pi-sé-ča-ra ピせ・チャラ〕[pise(胃)+cara(<car 口)]⦅シラウラ、マオカ、ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pisecara(caru)
- ピセチャラ §414.しょくどう(食道)(3)pise-cara(caru)〔pi-sé-ca-ra ピせチャラ〕[<(胃・口)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pisecaruaraka
- ピセチャルアラカ §728.みぞおちの辺の痛む病気;心窩部痛(1)食道下部;心窩部痛;乳房痛 pise-caru-araka〔pi-sé-ča-ru-a-rà-ka ピせチャル・アらカ〕[pise-caru(胃・の入口、噴門部)+araka(痛)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pisecaruaraka
- ピセチャルアラカ §761.胸の病気(7)乳房痛;前胸部の特に乳線の付近に痛みを感じる病気 pise-caru-araka〔pi-sé-ča-ru-a-rá-ka ピせチャル・アラカ〕[pise-caru(胃・の入口・噴門)+araka(痛)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pohcapus(-i)
- ポㇹチャプㇱ §104.陰部-だいいんしん(大陰唇)poh-capus(-i)〔póh-ča-puš ぽㇹチャプㇱ〕[「陰門の・唇」の義]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pohkancapus(-i)
- ポㇹカンチャプㇱ §105.陰部―しょおいんしん(小陰唇)poh-kan-capus(-i)〔póh-kan-ča-puš ぽㇹカンチャプㇱ〕[「陰門の・上方の・唇」の義]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- poknacapus(-i)
- ポㇰナチャプㇱ §274.唇―したくちびる(下唇)(3)pokna-capus(-i)〔pók-na-ča-puš ぽㇰナチャプㇱ〕[下方の・唇]⦅サマニ、チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ponaca
- ポナチャ §027.伯父、叔父(9)pon-aca〔po-ná-ča ポなチャ〕⦅ホロべツ⦆【常】叔父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- poroaca
- ポロアチャ §027.伯父、叔父(7)poro-aca〔po-ró-a-ča ポろアチャ〕⦅ホロベツ⦆【常】伯父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- porocaca
- ポロチャチャ §008.老翁(3)poro-caca〔po-ró-ča-ča ポろチャチャ〕⦅S.⦆老翁。[(はなはだしい・じじい)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- ramatcak
- ラマッチャㇰ §595.ばかである;おろかである(11)愚である ramat-cak〔ra-mát-čak ラまッチャㇰ〕[<ramat(魂)+sak(を欠く)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rankecapus(-i)
- ランケチャプㇱ §274.唇―したくちびる(下唇)(4)ranke-capus(-i)〔ráŋ-ke-ča-puš らンケチャプㇱ〕[ranke(下の)+capus(唇)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- raprapkutcar(-o)
- ラㇷ゚ラㇷ゚クッチャㇻ §756.胸の骨(10)胸骨剣身 raprap-kutcar(-o)〔ráp-rap-kut-čar らㇷ゚ラㇷ゚・クッチャㇻ〕[rap-rap(胸骨)+kutcar(のど首)]⦅ビホロ、クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rascasi
- ラㇱチャシ 【ras-casi】 割り板の柵. (出典:萱野、方言:沙流)
- ratcako
- ラッチャコ 【名】あかり、 ランプ。 ratcako kar ラッチャコ カㇻ あかりをつける(ともす)。 ratcako uhuy ラッチャコ ウフイ あかりがつく(燃える)。 ☆参考 昔はいろりの下座、 南西側の隅に棒を立ててその上に貝殻を皿にしてのせ、 その中に油を入れて燃やしてあかりとした。 これを ratcako ラッチャコ と言う。 カンビ(樺)の皮を燃やして明りとするときはこれを sune スネ と言う。 それを棒にはさんで外へ持って出てたいまつにするとき、 これを tatuspe タトゥㇱペ と言う。 {E: a light; a lamp.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ratcako
- ラッチャコ 【ratcako】 灯明台.灯,灯火:灯明台はカスㇷ゚ニ(エリマキ)とアッケテㇰ(ホタテガイ)を組み合わせて作る. (出典:萱野、方言:沙流)
- ratcako kar
- ラッチャコ カㇻ 【ratcako kar】 あかりをつける. (出典:萱野、方言:沙流)
- rekkurpo ka carehayta
- レックㇽポ カ チャレハイタ 【rek-kur-poka c-ar-ehayta】 髭もそろっていない若者.▷レㇰ=ひげ クㇽ=影 ポカ=ばかりも チ=それ アㇻ=全く エハイタ=足りない (出典:萱野、方言:沙流)
- rekucicarara
- レクチチャララ §460.咳払いをする(2)rekuci-carara〔re-kú-či-ča-ra-ra レくチ・チャララ〕[rekuci(その咽喉を)+carara(=sara-re 開かせる)]⦅チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rekuhkuhcara
- レクㇷクㇷチャラ §571.のど(咽喉)(10)甲状腺 rekuh-kuhcara〔re-kúh-kuh-ča-ra レくㇷクㇷチャラ〕[「のどの・入口」の義]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rikaca
- リカチャ 【rika-ca】 脂身を切る. エ・ヌ ア. ピㇱタ ポロ フンペ コイヤンケ ワ アン ヤㇰ ア・イェ. リカチャ クス アㇻパ・アン ロ=聞いたかい.浜に大きい鯨が漂着しているということだ.脂身を切りに行きましょう. (出典:萱野、方言:沙流)
- rikuncapus(-i)
- リクンチャプㇱ §273.唇―うわくちびる(上唇)(6)rikun-capus(-i)〔ri-kún-ča-puš リくンチャプㇱ〕[rikun(上の)+capus(唇)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rucausapappo
- ルチャウㇱアパッポ §031 タンポポ (5) rucaus-apappo (ru-cá-us-a-pap-po)「ルちャウㇱアパッポ」[ru(路)ca(傍)us(に群生する)apappo(花)] 花 ⦅春採⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- rucausmun
- ルチャウㇱムン §285 ミチヤナギ ニワヤナギ (1) ru-ca-us-mun (ru-cá-us-mun)「ルちャウㇱムン」[ru(路)ca(傍)us(に群生する)mun(草)] 茎葉 ⦅様似⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- rukotca(-ke)
- ルコッチャ §219.整容―さかやき(月代)[成人の髪容で前頭部を三日月形に剃ること](1)ru-kotca(-ke)〔rú-kot-ča るコッチャ〕[頭髪・前]⦅イブリ、ヒダカ、トカチ、クシロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- rukotcakorkur
- ルコッチャコㇿクㇽ Ⅱ_§002.おとこ(男)(11)rukotca-kor-kur〔rúŭ-kot-ča-kor-kur るウコッチャコㇿクㇽ〕⦅ビホロ⦆前頭部の頭髪を剃っている成人男子。[ru-kotca(さかやき、ru頭髪、kotca前)+kor(もつ)+-kur(者)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- sampecaru
- サンペチャル §431.心耳(2)sampe-caru〔sám-pe-ča-ru さンペチャル〕[心臓・のロ]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sampekuhcara
- サンペクㇷチャラ §431.心耳(1)sampe-kuhcara〔sám-pe-kuh-ča-raさンペクㇷチャラ〕[「心臓の入口」の義]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sanca
- サンチャ 【名】[san-ca 前の・口(=pa)](次の慣用句で)口。 sanca or ta mína サンチャ オッタ ミナ ニタニタ笑う。 ☆参考 口を表す ca チャ という語源は東部・中部・北部でよく出てくる形で、 南部方言では通常 pa パ の形が出るが、 この語では ca チャ の形が使われている。 (出典:田村、方言:沙流)
- sanca
- サンチャ §272.くちびる(唇)(5)san-ca〔sán-ča さンチャ〕[san(前へ出た)+ca(口)]⦅ホロべツ、サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- sanca otta mina kane
- サンチャ オッタ ミナ カネ 【san-ca or ta mina kane】 満面に笑みをたたえる.▷サン=出る チャ=口 オッタ=〜に ミナ=笑う カネ=〜しながら (出典:萱野、方言:沙流)
- sancar
- サンチャㇻ §272.くちびる(唇)(7)san-car〔sán-čar さンチャㇻ〕[san(前え出た)car(口)]⦅ホロべツ,【雅】ユ研Ⅱ, p.603⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sapa otopi koencayayke
- サパ オトピ コエンチャヤイケ §221.髪の毛がもじゃもじゃしているsapa otopi ko-en-cayayke〔サぱ・オとピ・コえンチャヤイケ〕[sapa(彼の頭)、otopi(彼の毛が)、ko(そこに、前の「彼の頭」を受ける、「彼の頭に」)、en(するどく)、cayay-ke(とげとげしている)]⦅ホロべツ⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- sekumasarkeswaacanekamuy
- セクマサㇻケㇱワアチャネカムイ §270 キタキツネ、きつね (11) sekuma-sarkes-wa-aca-ne-kamuy (se-kú-ma-sar-kes-wa-a-ča-ne-ka-muy)「セくマサㇻケㇱワアチャネカムイ」[<sekuma(山の)sarkes(はし)wa(で)aca(長老)ne(になっている)kamuy(神)] ⦅樺太⦆キツネ神の首領 (出典:知里動物編、方言:)
- sica
- シチャ §067 サケ あきあじ、あきやじ 性(2) si-ca(sí-ča)「しチャ」[si(大)ca(雄魚)]⦅幌別、旭川、沙流、穂別⦆雄サケの大なるもの。五貫目くらいもある大雄。⦅穂別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sihacankur
- シハチャンクㇽ §295 サカマタ;シャチ (16) sihacankur (si-ha-čan-kur)「シハチャンクㇽ」[<si-acane-kur(大きな・頭目である・神)] シャチ神を兄弟二柱と考え、その兄神を指して言う⦅礼文⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sikotcake ta tek utasare
- シコッチャケ タ テㇰ ウタサレ §128.腕組みするsi-kotcake ta tek utasare〔シこッチャケ・タ・テㇰ・ウたサレ〕[si(自分の)+kotca(前)+ke(の所)、ta(で)、tek(手を)、u(互いに)+tasara(交叉させる)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sikotcakehe
- シコッチャケヘ 【si-kotca-ke-he】 自分の前. (出典:萱野、方言:沙流)
- sikotcanere
- シコッチャネレ 【他動】[si-kotca-ne-re 自分・の前・になる・させる](他の人)に自分に代ってしてもらう。 yaykurkata ye hike makanak ne wa, mosma kur sikotcanere ヤイクㇽカタ イェ ヒケ マカナㇰ ネ ワ、 モㇱマ クㇽ シコッチャネレ (彼は)自分で言えばいいのに他の人に言ってもらう。(S) ☞kotca コッチャ {E: to have…do…in one's place.} (出典:田村、方言:沙流)
- sikotcanere
- シコッチャネレ 【si-kotca-ne-re】 仲介・仲裁を頼み込む,両方の間にたって交渉を進めてもらう.▷シ=自分 コッチャ=前 ネ=なる レ=させる (出典:萱野、方言:沙流)
- sikotcanereyar
- シコッチャネレヤㇻ 【si-kotca-ne-re-yar】 仲介・仲裁を頼む. (出典:萱野、方言:沙流)
- sikotcata tekukopite
- シコッチャタ テクコピテ §448.すわる(座る)(24)両膝を前に立てて尻で座り両手を前に回してつなぐ座り方[をする] si-kotca-ta tek-ukopite〔si-kót-ča-ta-te-ku-ko-pi-teシこッチャタ・テくコピテ〕[si(自分)+kotca(の前)+ta(で)+tek(手を)+u(お互い)+ko(に)+opi(別れ〔る〕)+te(さす)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sikotcatekopite(-an)
- シコッチャテコピテ §448.すわる(座る)(23)両膝を前に立てて尻で座り両手を前に回してつなぐ座り方[をする] si-kot-ca-tek-opite(-an)〔si-kót-ča-te-ko-pi-te シこッチャテコピテ〕[si(自分)+kotca(の前)+tek(手を)+opite(つなぐ)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sinotca
- シノッチャ 【名】[sinot-sa 遊ぶ・ふし] 歌(ふしをつけて歌うもの)、 歌のふし(メロディー)。 sinotca ye シノッチャ イェ 歌を歌う。 yúkar sinotca ku=koki té wano ki kusu ne ユカラ シノッチャ クコキ テ ワノ キ クス ネ (いまふしをつけないで語ったユーカラを)ユーカラのふしをつけて今からやります。(S独話) ☆参考 sáke(he) サケ(ヘ)《(歌の)ふし》はその歌または歌い手が持っている歌い方で、 折り返しだけを指すこともある。 sinotca シノッチャ は音楽(曲)としての歌、 歌声、 メロディー。 {E: a song; the melody of a song.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinotca
- シノッチャ 【sinot-ca】 歌. (出典:萱野、方言:沙流)
- sinotcaki
- シノッチャキ 【自動】[sinotca-ki 歌・をする] 歌を歌う。 {E: to sing a song.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinotcaki
- シノッチャキ 【sinot-ca-ki】 歌う. (出典:萱野、方言:沙流)
- sinotcakikir
- シノッチャキキㇼ §177 コオロギ類 (3) sinotca-kikir(si-nót-ča-ki-kir)「シのッチャキキㇼ」⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- sinotcaor'itak
- シノッチャオㇿイタㇰ 【sinot-ca-or-itak】 歌の中の言葉.*アイヌの歌は決まった歌詞はあまりなく,即興的に歌詞を歌いこむものが多い.チソㇿイタㇰ=チㇱ オㇿ イタㇰ=泣きながらの言葉,泣きながらしゃべるという言い方もある. (出典:萱野、方言:沙流)
- sinotcaranke
- シノッチャランケ 【sinot-caranke】 遊びの討論会. テエタ アナㇰネ オッカイポ ウタㇻ ウウェカㇻパ コㇿ スンケ アㇱ ペ ソネ アㇱ ペ エウパウレ シノッチャランケ コラチ ネ ア コㇿカ タネ アン ウタㇻ ネノ アン イキ ソモ キ パ=昔は若者たちが集まると嘘の事や本当の事を口論し,遊びの討論会のようなものであったが今の人たちはそのようなことはしなくなった. (出典:萱野、方言:沙流)
- sioca
- シオチャ 【si-o-ca】 おかっばに髪を切る.▷シ=自分 オ=それ(=髪の毛) チャ=切る クポニタ(ク・ポン ヒ タ) アナㇰネ フチ ウタㇻ カ レキヒ レス ワ アン エカシ ウタㇻ カ オピッタ シオチャ ワ オカ ㇷ゚ ネ ア コㇿカ タネ アナㇰネ ネノアン プリ カ オアㇻ イサㇺ=私が子供の頃(昭和10年)は,おばあさんたちも,ひげをのばしているおじいさんたちも,おかっばに髪を切っていたものであったが,今はその風習もすっかりなくなった. (出典:萱野、方言:沙流)
- Sipicar
- シピチャㇻ 【名】[地名] 静内(日高の一地方の名。 今の静内郡の中にある)。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sipicar
- シピチャㇻ 【sipicar】 静内(の):静内町の古い時代の呼称. (出典:萱野、方言:沙流)
- sir-casnatara
- シッチャㇱナタラ 【完動】[sir-cas-natara あたり・(余計なものがなくさっぱりしていることを表す語根)・(状態が続いていることを表す接尾辞)] あたりに余計なものがない、 そこらになにも草もない、 さっぱりしている。(S) sir-casnatara wa atuy ka a=nukár, pet ka a=nukár シッチャㇱナタラ ワ アトゥイ カ アヌカㇻ、 ペッ カ アヌカㇻ 木もなにもなくて海も見える、 川も見える。 ☆発音 sir- で切って発音すれば シㇼ。 {E: for the surroundings, area to be clear (of obsticles, debris, etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
- sir-casnure
- シッチャㇱヌレ 【他動】[sir-casnu-re あたりを・さっぱりする・させる]片付ける、 さっぱりさせる(ものが散らかっていたり、 ゴミが落ちていたりしないように片付けたり掃除したりする)。 ☆発音 sir- で切って発音すれば シㇼ。 {E: to put…in order; clear away…} (出典:田村、方言:沙流)
- sir-eramuykatcaus
- シㇼエラムイカッチャウㇱ/シレラムイカッチャウㇱ 【自動】[sir-eramuykatcaus あたり・が気に食わない] そのあたりがなんとなく気に食わない、 そこにいるのがいやだ。 {E: to be uninterested in, dislike something.} (出典:田村、方言:沙流)
- sirecakke
- シレチャッケ 【sir-e-cakke】 (あたりを)汚ながる.▷シㇼ=あたり エチャッケ=汚ながる (出典:萱野、方言:沙流)
- sirko-cotca
- シㇼコチョッチャ 【他動】[sirko-cotca 強く・射る](矢を)ヒョウと射る。 suptom orke/a=aykonukar/a=sirko-cotca スㇷ゚トモㇿケ/アアイコヌカㇻ/アシㇼコチョッチャ [雅]私は幹の中程くらいのところに矢を置いてねらってヒョウと射た。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siscapus(-i)
- シㇱチャプㇱ §714.まぶた(瞼)(3)sis-capus(-i)〔šíš-ča-puš しㇱチャプㇱ〕[目・唇]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- sitcasnatara
- シッチャㇱナタラ ☞sir-casnatara シッチャㇱナタラ (出典:田村、方言:沙流)
- sitcasnure
- シッチャㇱヌレ ☞sir-casnure シッチャㇱヌレ (出典:田村、方言:沙流)
- sitcasnure
- シッチャㇱヌレ 【sir-casnure】 掃除する,片づける,きれいにする. ソンノ イヨーハイ ヤイェシンニューケㇱ ペ ネ クス シッチャㇱヌレ カ ソモ キ オトイセル オムンセル ワ アン.イオッセレケレ=本当にあきれたよ,だらしないものだから掃除もしないで土けむりにむせ,ごみにむせている,たまげたものだ.ソンノ ク・コㇿ オペㇾ ケライ カッケマッ エ・ネ オアシ クス イランマカカ エ・シッチャㇱヌレ エアㇱカイ シリ=ああ孫娘よ,さすがに淑女になるであろうからすっかり掃除をするのが上手なこと(私の祖母は私の姉にそう言ってほめていたものであった). (出典:萱野、方言:沙流)
- sitcatcari
- シッチャッチャリ 【sir-car-cari】 散らかす. (出典:萱野、方言:沙流)
- siyusacari
- シユサチャリ 【自動】[si-y-usa-cari 自分・(挿入音)・バラバラに・…を散らす] 散らばる。 toop repun mosir wa cípo he ne ya nep o wa siyusacari p aynu ne wa トオㇷ゚ レプン モシㇼ ワ チポ ヘ ネ ヤ ネㇷ゚ オ ワ シユサチャリㇷ゚ アイヌ ネ ワ アイヌははるか海の向こうの島から舟に乗ってか何かに乗って来てあちこちに散らばったので。(S言い伝え) {E: to be scattered, disordered.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- soya cotca
- ソヤ チョッチャ §601.ハチに刺される(3)soya cotca〔so-já-čot-ča ソや・チョッチャ〕[ハチ・さす]⦅サル⦆。 (出典:知里人間編I、方言:)
- soyacise, ikankikircise, icohcakikiscise
- ソヤチセ、イカンキキリチセ、イチョㇹチャキキㇱチセ §120 ハチ類 (8) soya-cise, ikankikir-cise, icóhcakikis-cise(so-ya-či-se)「ソヤチセ、イカンキキリチセ、イちョㇹチャキキㇱチセ」⦅名寄、穂別、雪裡、美幌、樺太の落帆⦆ハチの巣 (出典:知里動物編、方言:)
- soyay cotca
- ソヤイ チョッチャ §601.ハチに刺される(1)soyay cotca〔so-jáǐ-čot-ča ソやイ・チョッチャ〕[ハチ・さす]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- susuancami
- ススアンチャミ §027 コウゾリナ (2) susu-ancami (su-sú-an-ca-mi)「スすアンチャミ」[ヤナギ・アザミ] 茎葉 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- tampakcotca
- タンパㇰチョッチャ §190 トンボ(蜻蛉) (7) tampak-cotca (tám-pak-cot-ca)「たンパㇰチョッチャ」[<tampak(たばこ)cotca(つく)] ⦅礼文⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tekecas
- テケチャㇱ §831.よつんばいになる(4)tek-e-cas〔te-ké-čaš テけチャシ〕[tek(手)+e(で)+cas(走る)]⦅S.―遺篇, p.63⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- tekkuwapoecararse
- テックワポエチャラㇻセ §831.よつんばいになる(3)よつんばいになる[のめって] tek-kuwapo-e-cararse〔ték|ku-wá-po|e-čá-rar-se てㇰ・クわポ・エちゃラㇻセ〕[tek(手)+kuwapo(小杖、kuwa 杖、-po指小辞)+e(それで、すなわち「手の小杖で」「手を杖にして」)+cararse(すべって行く)]⦅ユ研Ⅱ, p.599⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- temcaricari
- テㇺチャリチャリ 【自動】[tem-cari-cari 手(腕)・を散らばらす・(重複)] 手をバタバタさせる。 eun ewonne=an uske un enpuyna=an híne, temcaricari=an a p sekor, ekuskonna a=sikíhi makkosanpa エウン エウォンネアン ウㇱケ ウン エンプイナアン ヒネ、 テㇺチャリチャリアナㇷ゚ セコㇿ、 エクㇱコンナ アシキヒ マッコサンパ 私は顔を洗う水たまりの中へのめり落ちて、 手をバタバタさせてもがいたとたんに、 突然パッと目が見えるようになった。(W民話) {E: to spread, flap the arms.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- temcaricari
- テㇺチャリチャリ 【tem-caricari】 両手を広げて驚く.▷テㇺ=腕 チャリチャリ=散らかす (出典:萱野、方言:沙流)
- tócicar
- トチチャㇻ 【名】[to-cicar 湖沼・の縁] 湖や沼の縁。 {E: the edge of a lake or swamp.} (出典:田村、方言:沙流)
- Tókutcar
- トクッチャㇻ 【名】[地名] 屈斜路(釧路にある地名の一つ)。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tókutcar
- トクッチャㇻ 【名】[to-kutcar 湖・のどもと]湖や沼から川への出口。 ☞kutcar クッチャㇻ {E: the opening of a lake or swamp into a river.} (出典:田村、方言:沙流)
- tomonkaci cohca
- トモンカチ チョㇹチャ §601.ハチに刺される(2)tomonkaci cohca〔to-móŋ-ka-či-čoh-ča トもンカチ・チョㇹチャ〕[ハチ・さす]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- tósitcakcak
- トシッチャㇰチャㇰ 【名】[tosir-cakcak 川岸のえぐられた所・(別の鳥の名)][動物](鳥の名)セキレイ(?)(図鑑では)キセキレイ、 セグロセキレイ。 「水の流れの所にいる。 cakcak チャㇰチャㇰ はしっぽを振らない。」 (S) ☞ociwcir オチウチㇼ 〔知分類 p.191 ミソサザイ((レブンケ))〕 {E: a wagtail (bird).} (出典:田村、方言:沙流)
- tositcakcak
- トシッチャㇰチャㇰ §323 ミソサザイ (6) tositcakcak (to-sít-čak-čak)「トしッチャㇰチャㇰ」[<tosir(川岸の穴)cakcak(鳴き声)] ⦅礼文華⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- toycarip
- トイチャリㇷ゚ §199 ケラ (4) toycarip (toy-ca-rip)「トイチャリㇷ゚」 ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- tukecaromap
- トゥケチャロマㇷ゚ 【名】[tu-kecar-oma-p 二つの・(?)・(そこ)にある・もの] 両方に刃のついた刀。 ☆参考 厚いカンビの皮(樺皮)か何かでさやをつくり、 その上に karinpa カリンパ《桜の木の皮》を巻いたりしてある。(S) ☆参考 kecar ケチャㇻ という語はない。(S) 刃は notak ノタㇰ。 {E: a double-bladed sword.} (出典:田村、方言:沙流)
- tukepcaromap
- トゥケㇷ゚チャロマㇷ゚ 【tu-kep-caro-map】 槍.ユカㇻに出て来る槍のこと.普通はオㇷ゚,場面によってはユカㇻにパㇻスッオマㇷ゚という言い方で槍が出る.槍は,トゥケㇷ゚チャロマㇷ゚,オㇷ゚,パㇻスッオマㇷ゚の三通りの呼び名がある.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- tukunnecatcarke
- トゥクンネチャッチャㇻケ §392.しびれる(痺れる)(4)しびれて知覚を失っていたのがやがてぜんまいがほぐれるようにちりちりとほどけて行く tukunne-catcarke〔tu-kún-ne|čát-čar-ke トゥくンネ・ちゃッチャㇻケ〕[tukunne(しびれる)+catcarke(<car-car-ke 散り・散り・する)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- tukunnekocatcarke
- トゥクンネコチャッチャㇻケ §392.しびれる(痺れる)(3)しびれて知覚を失っていたのがやがてぜんまいがほぐれるようにちりちりとほどけて行く tukunne-ko-catcarke〔tu-kún-ne|ko-čát-čar-ke トゥくンネ・コ・ちゃッチャㇻケ〕[tuknnne(しびれ)+ko(において)+catcarke(<car-car-ke 散り・散り・する)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- tupacap
- トゥパチャㇷ゚ §268 イヌ (12) tupacap (tú-pa-čap)「とゥパチャㇷ゚」[<tu-pa-ciya-p(ふた・きせつ・冬を越した・ (出典:知里動物編、方言:)
- tuymakucacise
- トゥイマクチャチセ 【tuyma-kuca-cise】 遠い所にある仮に作った狩り小屋. ▷トゥイマ=遠い クチャチセ=仮に作った狩り小屋 (補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- uhuynicica
- ウフイニチチャ 【uhuy nicica】 焼け跡のハギとかカヤの根. (出典:萱野、方言:沙流)
- uko-cicawrototo
- ウコチチャウロトト 【他動】[uko-ci-caw-rotot-o 一緒に・される・(擬音の語根)・(小きざみな音や刺激の連続を表す接尾辞)・(他動詞形成)] 全体チカチカとしみて痛い(ひびがきれているところに風が当たったり薬をつけたりしたために)。 {E: to sting and hurt all over.} (出典:田村、方言:沙流)
- uko-nucaktek
- ウコヌチャㇰテㇰ 【自動】[uko-nucaktek 一緒に・心が明るく楽しい] 皆で楽しく遊ぶ。 {E: for everyone to happily play together.} (出典:田村、方言:沙流)
- ukocaranke
- ウコチャランケ 【u-ko-ca-ranke】 話し合い・相談・談判(する):お互いに思っていることを言葉として下ろし,皆に聞いてもらう.文句やいいがかりでなく話し合いをしようという意味.▷ウ=互い コ=〜に対して チャ=言葉 ランケ=下ろす ウクラン イクソ オッタ(オㇿ タ) ウトゥルン(ウトゥㇽ ウン) アチャポ コタンケスン(コタンケㇱ ウン) クㇽ トゥラ ウコイキ ワ コタンケスンクㇽ ポロピロ.ウコチャランケ ユㇷ゚ケ ウトゥルン アチャポ イヤシンケ(イアシンケ) ヤㇰ ア・イェ ワ=昨夜の酒宴の席で,道路の西側のおじさんと村の下端のおじさんがけんかをして村の下端のおじさんが大怪我をした.強談判があって道の西側のおじさんが償いをしたそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ukonucaktek
- ウコヌチャㇰテㇰ 【u-ko-nucaktek】 楽しむ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ukotcaesikaske
- ウコッチャエシカㇱケ 【自動】[u-kotca-e-sikaske (< sikasike)互い・の前・で・しらばくれてしたことをしなかったと言う] 自分の家族のしたことをしなかったと言う。 ☞kotca esikas(i)ke コッチャ エシカシケ/エシカㇱケ {E: to deny what one's family did.} (出典:田村、方言:沙流)
- ukotcaesunke
- ウコッチャエスンケ 【自動】[u-kotca-e-sunke 互い・の前・で・うそをつく] 自分の家族のことをいいようにほらをふく。 {E: to boast or brag about oneself and one's family.} (出典:田村、方言:沙流)
- umcakina
- ウㇺチャキナ 【名】[umca-kina (?)・草][植物](草の名) citarpe チタㇻペ《ござ》に編む草の一つ。 〔知分類 p.219 uncha-kina アゼスゲ[un(彼らを) cha(切る) kina(草) ]((本別))〕 {E: straw for matting.} (出典:田村、方言:沙流)
- uncakina
- ウンチャキナ §375 アゼスゲ (1) unca-kina (ún-ca-ki-na)「うンチャ・キナ」[un(我らを)ca(切る)kina(草)] 茎葉 ⦅本別・A十勝⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- unu orowano aca
- ウヌ オロワノ アチャ §027.伯父、叔父(11)unu orowano aca〔u-nú|o-ró-wa-no|á-ča ウぬ・オろワノ・あチャ〕⦅ホロべツ⦆母方の伯叔父。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- urarhecaka
- ウラㇻヘチャカ 【urar hecaka】 霧散する:霧が散るように消えてなくなること. (出典:萱野、方言:沙流)
- ureecari
- ウレエチャリ 【他動】[ure-e-cari 足・で・…を散らす] …をけとばす。 {E: to kick (away)…} (出典:田村、方言:沙流)
- ureecari
- ウレエチャリ 【ure-e-cari】 蹴る(たくさんをパラッと). (出典:萱野、方言:沙流)
- usiaca
- ウシアチャ §166 ヤマウルシ (1) usi-aca (ú-si-a-ca)「うシアチャ」[usi(うるし)aca(伯父)] 茎 ⦅穂別⦆ ⦅A千歳⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- wacane
- ワチャネ §027.伯父、叔父(12)wacane〔wá-ča-ne わチャネ〕⦅シラウラ⦆伯父甥の関係にある。[<u-(お互いの)+aca(叔父)+ne(である)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- wenkatcamkor
- ウェンカッチャㇺコㇿ 【wen-katcam-kor】 悪いことをする,悪い性質(を持つ). ネユン ア・イェ ヤッカ ウェンカッチャㇺコㇿ ペ アナㇰネ オウェヌシ カムイ コイパㇰペ ネ ワー=どのように意見されようとも悪いことをする者は運が悪くなって神から罰をあてられるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wenpatcaskor
- ウェンパッチャㇱコㇿ 【自動】[wen-par-cas-kor 悪い・口・走る・を持つ]ありもしないことを言ってごまかしてものを取ってやろうとする(=wenirenkakor ウェニレンカコㇿ)。 (出典:田村、方言:沙流)
- wokecaro
- ウォケチャロ §199 ケラ (6) wokecaro (wó-ke-ca-ro)「うォケチャロ」 ⦅藻汐草⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yayankopeca
- ヤヤンコペチャ §348 マガ (4) yayan-kopeca (ya-yán-ko-pe-ča)「ヤやンコペチャ」[<yayan(普通の)kopeca(カモ)] ⦅富内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yaykikkar-cási
- ヤイキッカㇻチャシ 【名】[yay-kikar-cási 自分・を防御する・とりで](直訳すると)防御用のとりで(楯の訳語として出た)。 ☆参考 楯は昔のアイヌ伝統文化にはなかった。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- yaykoatca
- ヤイコアッチヤ 【自動】[yay-ko-atca 自分・に対して・(?)] だらしがない、 無精である(掃除も洗濯もろくろくしない)。 yaykoatca menoko ヤイコアッチャ メノコ だらしがない(掃除も洗濯もろくにしない)女。(W) {E: to be untidy; dirty; slovenly.} (出典:田村、方言:沙流)
- yaykocaruwen(-an)
- ヤイコチャルウェン §123.うえる(餓える)(8)飢えて痩せている yaykocaruwen(-an)〔jáǐ-ko-ča-ru-wen やイコチャルウェン〕[yay(自分)+ko(に)+caru(その口が)+wen(悪い)]⦅ニイトイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- yaykotcakar
- ヤイコッチャカㇻ 【自動】[yay-kotca-kar 自分・の前・をつくる/する] もの惜しみする(「しんぼうする」)。 pirka amip poronno kor pe ora yaykotcakar wa wen amip patek mi ピㇼカ アミㇷ゚ ポロンノ コㇿ ペ オラ ヤイコッチャカㇻ ワ ウェン アミㇷ゚ パテㇰ ミ (あの人は)いい着物がたくさんあるのにそのまましまっておいて粗末な着物ばかり着る。 {E: to put up with.} (出典:田村、方言:沙流)
- yaykotcakar
- ヤイコッチャカㇻ 【yay-kotca-kar】 自分の前を作る:暖かくなるように自分の前の火の面倒をすること. テエタ アペオイ オㇿ タ アペ ア・アリ ヒ タ ヤイコッチャカㇻ ワ シネンネ ポㇷ゚ケ ノ アペクㇽ ヒ ア・イェ ㇷ゚ ネ ア ワ=ずうっと昔に炉の中で火を燃やしていた時,自分で自分の前を作って(火の面倒をして)ひとりで暖かくあたることを言ったものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- yayocarankekote
- ヤヨチャランケコテ 【自動】[yay-o-caranke-kote 自分・のところに・談判・をつなぐ] 一人で一生懸命談判する。 {E: to negotiate to argue; delete.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- -ke 5
- ケ 【接尾】(擬音や擬態、 中でも主に擬態の語根やその重複形について自動詞をつくる。) …する。 rew レウ (弓なりに曲がることを表す語根);rewke レウケ 曲がる。 carar チャラㇻ (擬態重複);cararke チャラㇻケ (植物のとげが)いっぱい出ている。 (出典:田村、方言:沙流)
- -ki 6
- キ 【接尾】(主として名詞や、 擬態の語根に接尾して自動詞をつくる) …する。 sinotcaki シノッチャキ 歌を歌う(sinotca シノッチャ《歌》)。 sakehawki サケハウキ サケハウ(酒歌)を歌う(sakehaw サケハウ《酒歌》は一種の歌)。 hamki/hámuki ハㇺキ/ハムキ ねんねする。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- -n 2
- ン 【接尾】(数連体詞に接尾して人数を表す名詞をつくる。)sinen シネン[sine-n] 一人。 tun トゥン[tu-n] 二人。 ☆参考 -n は母音の後につく形である。 子音の後には -iw がつく。 {E: suffix indicating person.} (出典:田村、方言:沙流)
- -natara
- ナタラ 【接尾】[自動詞接尾辞] (擬態・擬音の語根に接尾し、 状態や音が続いていることを表す自動詞をつくる。 CVC(子音+母音+子音)の後につく。) cas チャㇱ (サッパリしている状態を表す擬態の語根);casnu チャㇱヌ サッパリしている;casnatara チャㇱナタラ 余計なものがなく、 なんの曇りもなく、 全体がすっかりきれいになっている。 sas サㇱ (擬音の語根);sasnatara サㇱナタラ (帯を締めるとき)サアッサアッと鳴っている。 (sasunitara サスニタラ は歩くときの衣(きぬ)ずれの音がサラサラと鳴っていることを言う。) ☆参考 CVCVC(子音+母音+子音+母音+子音)の後、 CVCV(子音+母音+子音+母音)の後には -itara イタラ がつく。 ☞-itara イタラ (出典:田村、方言:沙流)
- -popo
- -ポポ 【接尾】…ちゃん(かわいい気持ちを表す呼びかけの接尾辞、 二、 三歳から十二、 三歳くらいの子どもを呼ぶとき、 または彼らが互いに呼び会うときに名前の後につける)。 Mikko-popo ミッコポポ ミッコちゃん。(S) {E: a suffix attached to personal names when calling children.} (出典:田村、方言:沙流)
- -re
- レ 【接尾】[使役形形成](母音および y、 w の後で出る形。 r の後では -e エ、 その他の子音の後では -te テ の形をとる。)…させる。 ipe イペ ものを食べる;ipere イペレ ものを食べさせる、 食べ物を与える。 {E: causative affix.} (出典:田村、方言:沙流)
- -te 3
- テ 【接尾】(使役形形成接尾辞) …させる。 ek エㇰ 来る;ekte エㇰテ (人)に来させる。 ☆参考 r ㇻ、 ㇼ、 ㇽ、 ㇾ、 ㇿ 以外の子音、 すなわち p、 t、 k、 s、 m、 n ㇷ゚、 ッ、 ㇰ、 ㇱ、 ㇺ、 ン の後に出る形。 母音 a、 i、 u、 e、 o ア、 イ、 ウ、 エ、 オ および半母音 w、 y ウ、 イ の後では -re レ の形が、 r ㇻ、 ㇼ、 ㇽ、 ㇾ、 ㇿ の後では -e エ の形が使われる。 {E: causative suffix.} (出典:田村、方言:沙流)
- a 1
- ア 【自動】[単](複は rok ロㇰ) ①(一人が)座る。 móno a モノ ア ひざを折って下に座る。(S) toanta a トアンタ ア あそこに座りなさい。(S) a ka ecakke wa hopecinea ア カ エチャッケ ワ ホペチネア (彼は)座るのをきたながってしゃがんでいる。(S) ②(寝ないで)起きている。 a ohor kur ア オホㇿ クㇽ (直訳すると)座っているのが長い人=夜ふかしの人。 ☆参考 いろいろな座り方:kokkaea コッカエア ひざをついてかかとを立てて座る。 hopecinea ホペチネア しゃがむ。 ukirosore ウキロソレ あぐらをかく(男子の正式な座り方)。 yayokucikaewak ヤヨクチカエワㇰ ひざを折ってかかとの上に尻をのせて座る(女子の正式な座り方)。 honumsamomare wa a ホヌㇺサモマレ ワ ア 横座りする。 ☆対語 as アㇱ 立つ、 立っている。 hopuni ホプニ 立ち上がる、 起き上がる。 {E: ①to sit. ②to be awake (not asleep). ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- a 7
- ア 【終助】(慣用表現で)…する/したなあ/ねえ。 sonno an a! ソンノ アナー! 本当にそうだねえ。(W会話) icakkere háwas hi ne a! イチャッケレ ハワシ ネ ア! きたならしい(=いやな)話だなあ(=あんなこと聞きたくもない)。(S) ta…a! タ…ア! なんと…だなあ。 inunukeaski ta háwas a! イヌヌケアㇱキ タ ハワサ! かわいそうな話だなあ。 neppo ciramanki ta háwas a! ネッポ チラマンキ タ ハワサ! なんと思いがけない話だろうねえ。(W会話) ine a p イネ アㇷ゚/ine-a-p イネアㇷ゚ ☞ineap イネアㇷ゚ ☆発音 前の語に続けて、 語末子音と一緒に一つの音節にして発音される。 (出典:田村、方言:沙流)
- acipo
- アチポ §019.父(4)acipo〔á-či-po あチポ〕⦅レブン、トヨウラ、アブタ、ウス⦆【常】父。[aciはacaに関係あるだろう。-poは愛称辞]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- aeyám
- アエヤㇺ 【他動】[不定人称形 a=eyam アエヤㇺ]あぶない(注意/用心を要する)。 ☞eyam エヤㇺ {E: to be careful with…; take care with…} (出典:田村、方言:沙流)
- ahunporu
- アフンポル 【名】[ahun-poru 入る・洞穴] 死者の住む国の入口の洞穴。 “ahunporu sikopayar pe hemanta an?” “etupuyke”「アフンポル シコパヤㇻ ペ ヘマンタ アン?」「エトゥプイケ」「あの世の入口の洞穴にそっくりのものはなあに?」「鼻のあな」(なぞなぞ)。(W-S会話) {E: a cave that is the entrance to the land of the dead.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- akimókar
- アキモカㇻ 【他動】[不定人称形 a=kimókar](受け身)熊にとられる。 a=en=kimokar アエンキモカㇻ 私が熊にとられる。 ☞kimokar キモカㇻ {E: to be caught by a bear.} (出典:田村、方言:沙流)
- akkari 2
- アッカリ 【後副】…より、 それより。 seta akkari cápe pirka セタ アッカリ チャペ ピㇼカ 犬より猫がいい。(S) {E: than; surpassing; expression of comparative degree (B.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- akketek
- アッケテㇰ 【名】[akke-tek (?)・手][動物] ホタテガイ(帆立貝)。〔知分類 p.119 [aske (手) tek(手) ☞akke-tek]〕 {E: a scallop.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ancikattaro
- アンチカッタロ 【他動】[日本語の「預かる」をアイヌ語の動詞として使う形]…を預る、 …を管理する。 {E: to take care of…; manage…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- anpayar
- アンパヤㇻ 【他動】[複](単は aniyar アニヤㇻ)[anpa-yar 持ち運ぶ[複]・させる](二つ以上を)人に持たせる、 持って行かせる、 持たせてよこす。 {E: to make hold, carry…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- anu
- アヌ 【他動】[an-u ある・(他動詞形成)] ①…を置く、 (持っているもの)を下に下ろす、 (食べ物など)を残す。 e=e niwkes ciki nimara anu エエ ニウケㇱ チキ ニマラ アヌ 食べきれなかったら半分残しなさい。(S) ②[熟語] úse anu ウセ アヌ …を脱ぐ(☞úse anu ウセ アヌ)。 ③[補助動詞] wa anu/híne anu ワ アヌ/ヒネ アヌ 前もって…しておく。 {E: ①to put down, place…; to leave… (food that one cannot finish) ②to take off… ③to do…beforehand.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Aspet
- アㇱペッ 【名】[地名](サダモさんは Waspet ワㇱペッ のことだと言う。 それならば、 幌別川筋の鷲別のことであろう。) Aspet un cási アㇱペトゥン チャシ アシベツの家(「本当は鷲別の家」)。(Sほかウポポ) {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- astóma-íkonpap
- アㇱトマイコンパㇷ゚ 【名】[astoma-íkonpap 恐ろしい・毛虫][動物] 毛虫の一種。 「太い角(つの)の生えた毛虫、 太さ2センチぐらいもある。」 (S) {E: a type of hairy caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- at 1
- アッ 【自動】掛かっている、 (いかり(錨)の綱に船が)つながっている。 {E: to be hooked; caught; linked.} (出典:田村、方言:沙流)
- atesékina
- アテセキナ 【名】[a=tesé-kina 我々が(人が)・敷物に編む・草][植物] ガマ(敷物にする草)。〔知分類 p.232 síkina〕 {E: a cattail; a reed mace, a grass for making matting etc.} (出典:田村、方言:沙流)
- atu 1
- アトゥ 【自動】吐く(胃袋の中のものを吐く)(「へどかやす」)。 iyoski wa atu okake icakkere イヨㇱキ ワ アトゥ オカケ イチャッケレ (彼が)酔って吐いたあとが汚い。(W) ipe ewen wa atu kor an イペ エウェン マ アトゥ コㇿ アン (彼は)食べ物にあたって吐いている。(W) ☆参考 他動詞は eatu エアトゥ…を吐く。 ☆参考 動物が吐くことは akur アクㇽ。 ☆参考 口の中のものをペッと吐き出すことは ewar エワㇻ。 {E: to vomit.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- atuiseppa
- アトゥイセッパ §109 ハスノハカシパンの類 (1) atui-seppa(a-tui-sep-pa)「アトゥイセッパ」ハスノハガイ Cake-urchin. Echinarachnius mirabilis BARN. Keyhole-urchin. Laganum decagonale (de BLAINVILLE). (出典:知里動物編、方言:)
- atusa-íkonpap
- アトゥサイコンパㇷ゚ 【名】[atusa-íkonpap はだかである・毛虫][動物] イモムシ、 アオムシの類。 ☆参考 毛虫のような形の虫で毛のないものを言う。 ☞íkonpap イコンパㇷ゚ {E: a green caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- aynucip
- アイヌチㇷ゚ 【名】[aynu-cip アイヌ・舟]丸木舟(=aynu cip アイヌ チㇷ゚)。 aynucip o アイヌチㇷ゚ オ 丸木舟に乗る/丸木舟をこぐ。 ☆参考 pencay ペンチャイ 弁財船(和人の交易の貨物船)。 rokuntew ロクンテウ 和人の客船。 {E: a canoe.} (出典:田村、方言:沙流)
- ayrapkina
- アイラㇷ゚キナ 【名】[ay-rap-kina 矢・羽・草][植物]〔知分類 p.242, クサソテツ、 コゴミ[ayrap(矢羽根)+kina(草)]〕 {E: a cycad.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ayusni
- アユㇱニ 【名】[ay-us-ni トゲ・ついている・木][植物] タラノキ(「タランボ」)。〔知分類 p.69, 70〕 {E: a Japanese angelica tree; a fatsia.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- céarayta
- チェアライタ 【他動】[中相][c(i)-e-ar-hayta (された)・で・全く・足りない](?) (次の慣用表現で)(ひげが)はえそろっていない、 少しはえかかっている。 rekkurpo ka céarayta レックㇽポ カ チェアライタ ひげが少しはえかかっている(男のまだ年若い様子)。(NK民話) ☆参考 話者によって carearayta チャレアライタ (KM)、 carehayta チャレハイタ (KSg)、 と言ってる。 なお『金田一京助選集Ⅱ』に rek-kurumama chie-ara-haita《ひげの黒ばみまだ全からず》とある。 ☞『音声資料6』 p.38 の脚注2 {E: to have, grow a thin, patchy beard.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cékunip
- チェクニㇷ゚ 【名】[動物][c(i)-e-kuni-p される・食べる・べき・もの] 食べる物、 魚。 {E: something that can be eaten; food; fish.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cepkoyki
- チェㇷ゚コイキ 【自動】[cep-koyki 魚・をとる] 魚とりする、 漁労する(=cep koyki チェㇷ゚ コイキ)。 ku=cepkoyki クチェㇷ゚コイキ《私は魚とりする》とも、 cep ku=koyki チェㇷ゚ クコイキ《私は魚をとる》とも言う。 cep チェㇷ゚ に修飾語がつくときは poro cep ku=koyki ポロ チェㇷ゚ クコイキ《私は大きな魚(鮭)をとった》のように、 cep チェㇷ゚ と koyki コイキ を離して言う。 {E: to fish; catch fish.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cepnukoan
- チェㇷ゚ヌコアン 【自動】[cep-nukoan 魚・…がたくさんとれる]魚をたくさんとる、 魚がたくさんとれる(=cep nu koan チェㇷ゚ ヌ コアン)。 ☞nukoan ヌコアン {E: to catch a lot of fish.} (出典:田村、方言:沙流)
- ceppokoyki
- チェッポコイキ 【自動】[ceppo-koyki 小魚・をとる] 小魚をとる(=ceppo koyki チェッポ コイキ)。 {E: to catch small fish.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- chimakanichep
- チマカニチェㇷ゚ §027 カジカ (1) chimakani-chep (ci-ma-ka-ni-cep)「チマカニチェㇷ゚」カジカの総称 A kind of sculpin. Also called ten-chi-makani and pet-chimakani. (出典:知里動物編、方言:)
- ci 1
- チ 自動】①(食べ物が)焼け(てい)る、 煮える(生ではなく、 食べられる状態になることを言う。 hu フ の対)。 ci ceppo チ チェッポ 焼けた魚。 ②(が)やけどになる。 ku=teke ci noyne arka humi as クテケ チ ノイネ アㇻカ フミ アㇱ 私の手やけどしたらしく痛いようだ。(S) ③(実が)熟する。 ④(植物が)枯れる。 {E: ①to be cooked (roasted, boiled etc.). ②to get burnt, scalded. ③to ripen. ④for grass etc. to wither.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ci- 4
- チ 【接頭】[中相形形成] ①[中相](他動詞に接頭して中相の表現となる。 日本語に訳すと三人称を主語とする自動詞にまたは受け身に訳せる。)…される、 された。 cari チャリ 散らす;cicari チチャリ 散らされた、 散らばった。 kemihi cicari uskehe ケミヒ チチャリ ウㇱケヘ その血が散らばった所。(S会話) ②[使役中相](自動詞または他動詞に使役語尾または他動詞化語尾がつくと同時にこの ci- チ が接頭して、 美文的なニュアンスを伴った別の表現になる。) hopuni ホプニ 起き上がる、 飛ぶ;cihopunire チホプニレ [ci-hopuni-re された(中相)・起こる・させる(使役)] 起こった、 勃発した。 kamuy tumi ne ya tono tumi ne ya cihopunire カムイ トゥミ ネ ヤ トノ トゥミ ネヤ チホプニレ 神戦だか聖戦だかが起こった。(W会話) ③[中相動名詞](人に対する行為を表す他動詞に接頭し、 後に ekarkar エカㇻカㇻ《する》の人称形が置かれて、 韻文調・美文調の表現になる。)horkarutu ホㇿカルトゥ 後ろへ押しもどす;cihorkarutu チホㇿカルトゥ 後ろへ押しもどされること。 iteki eytasa cihorkarutu a=eci=ekárkar kunine イテキ エイタサ チホㇿカルトゥ アエチエカㇻカㇻ クニネ あなたたちはあまり後ろへ押しもどされる(差別されて後へ押されて理屈をとられる)ことのないように。(S言い伝え)☆参考 ②③は叙事詩の中、 ことにユーカラ(英雄叙事詩)の中で多く使われる。 そういった叙事詩の表現を日常語の中で使うと、 美文調・古風・荘重・重大といったようなニュアンスを伴う。 ①②③とも、 人称形ではないのに、 人称形と同じように、 接頭辞はほとんどつかず、 人称接辞がついて人称形になったりすることもない。 「分詞」と呼ぶのはそのためである。 ☆参考 日常語では、 人称接辞とは違って、 ほとんど決まった語、 決まった言い回しに現れる。 化石化した語も多い。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cieomare
- チエオマレ 【他動】[中相][ci-e-omare される・そこに・入れる](直訳すると)…に入れられている。(次の慣用表現で) tónonsukus cieomare トノンスクㇱ チエオマレ [雅]真昼の光に照らされている。 cási upsor/tónonsukus/cieomare/semkoraci チャシ ウㇷ゚ソㇿ/トノンスクㇱ/チエオマレ/セㇺコラチ [雅]城の中はまるで昼の光に照らされているかのように。(Sユーカラ) ☆参考 歌うときの形。 話すときは céomare チェオマレ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cihetarpare
- チヘタㇻパレ 【他動】[自動使役][中相][ci-hetarpa-re された・頭を上げる[複]・させる] たくさん立っている。 uhuy nícica cihetarpare ウフイ ニチチャ チヘタㇻパレ 焼けぼっくい(=焼けた棒杭)がたくさんボコボコ立っている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cima
- チマ 【名】できもののあとの膿のかたまったようなかさぶた(「がんべ」)。 cima us チマ ウㇱ (子どもの頭に)「がんべ」がついている(「がんべたかり」)。 {E: a scab.} (出典:田村、方言:沙流)
- cip
- チㇷ゚ 【名】舟。 aynu cip アイヌ チㇷ゚ アイヌの舟=丸木舟。 ☆参考 pencay ペンチャイ 弁財船(交易の貨物船)。 rokuntew ロクンテウ 大きな客船。 {E: a boat.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cipanup
- チパヌㇷ゚ 【名】[ci-panu-p 我々が/…される・頭に巻く・もの] 女が頭に巻く飾り布。 ☆参考 布でつくる、 黒・青系統の色で、 前部に刺しゅうの入ったものもある。 幅センチ、 前からまわして後ろで一重(ひとえ)結びにする。 祭りの時用いる。(W) (S) 静内では前で結ぶ。 cipanup epanu チパヌㇷ゚ エパヌ 飾り布を頭に巻く。 {E: decorative material used as a head scarf by women.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cipiyak
- チピヤㇰ 【名】[鳴き声の擬音であろう][動物](鳥の名) シギ(?)。 ☆参考 「kopeca コペチャ《カモの仲間の水鳥》の一種、 鼻が長い、 チピチピチピと鳴く。」 (S)〔知分類 p.210 オオジシギ〕 {E: a snipe (bird).} (出典:田村、方言:沙流)
- cipsike
- チㇷ゚シケ 【名】[cip-sike 舟・荷物] 舟の積み荷。 {E: cargo on a ship.} (出典:田村、方言:沙流)
- círe
- チレ 【他動】[ci-re 煮える/焼ける・させる] ①(食べ物を)ゆでる、 湯通しする。 iruka círe tek イルカ チレ テㇰ さっと湯通ししなさい。(S) ②…をやけどする、 やけどさせる、 (食べ物以外のもの)に焼け跡をつけてしまう。 ku=teke ku=cire クテケ クチレ 私は手をやけどした。(S) sések pe e=yanke yak ussi e=cire wa a=e=kóyki セセㇰ ペ エヤンケ ヤㇰ ウッシ エチレ ワ アエコイキ 熱いものをのせると漆を焼いて(お膳の塗りが白くなって)叱られるよ。(S) aoypep a=roski okake a=cire ruwe an アオイペㇷ゚ アロㇱキ オカケ アチレ ルウェ アン 食器を置いた跡が焼けた。 {E: ①to boil (food). ②to burn, scald…} (出典:田村、方言:沙流)
- cise
- チセ 【名】①家。 cise as チセ アㇱ 家がある(建っている)。 toanta re cise as トアンタ レ チセ アㇱ あそこに三軒の家がある。 cise kar チセ カㇻ 家を建てる。 cise un utar チセ ウン ウタㇻ 家族。 cise-kor… チセコㇿ… ☞cisekor チセコㇿ。 cise soy チセ ソイ 家の外、 家のすぐそば、 門口。 cise uhuy チセ ウフイ 家が燃える、 火事である/になる。 horak cise ホラㇰ チセ 崩壊した家。 kuca cise クチャ チセ 狩小屋。 soya-cise ソヤ チセ ハチの巣。 toysoya cise トイソヤ チセ スズメバチの巣(鳥の巣は set セッ)。 ②奥さん cise tókapipe kusu na arki isam チセ トカピペ クス ナ アㇻキ イサㇺ 奥さんはお昼ご飯を食べにまだ来ない。(W) {E: ①a house; a (bee)hive. ②a wife.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cisireanu
- チシレアヌ 【他動】[中相][ci-sir-e-anu …された・地・に・置く][雅]地に/下に置かれている。 cituye amset/káne amset/cisireanu チトゥイェ アㇺセッ/カネ アㇺセッ/チシレアヌ [雅]別つくりの高床(たかどこ)、 金(かね)の高床が置かれていた。(Sユーカラ) iresu cási/tan poro cási/cisireanu イレス チャシ/タン ポロ チャシ/チシレアヌ [雅]私の育った城、 大きな城がたっていた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cispo
- チㇱポ 【名】[cis-po (?)・指小辞] 針入れ。 {E: a case for needles.} (出典:田村、方言:沙流)
- cituykocep(-i)
- チトゥイコチェㇷ゚ §506.ちょお(腸);ひゃくひろ(百尋)(5)クマ、シカ、エゾタヌキなどの百尋 cituykocep(-i)〔či-túǐ-ko-čep チとぅイコチェㇷ゚〕[<ci-tuy-ko-ca-p(↓)、語尾がcepになったのは、cep(食物、魚)への連想が働いたからであろうか]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- corpok
- チョㇿポㇰ 【位名】[概](所は corpoki チョㇿポキ, corpokke(he) チョㇿポッケ(ヘ))[cor-pok (?)・…の下] …の下。 en=corpok ta an エンチョㇿポㇰ タ アン 私の下にある(座ぶとんの下にかくしてある)。(S) néa sinrit corpok un orperere hawe as ネア シンリッ チョㇿポㇰ ウン オㇿペレレ ハウェ アㇱ その(燃えている木の)根の下から熊のわめく声が聞こえた。(KK民話) nítay corpok wenpunkaronne/casnu ニタイ チョㇿポㇰ ウェンプンカロンネ/チャㇱヌ 林の木の下につる草が茂っている/何もない。(W) {E: below, under…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cúkoseskep
- チュコセㇱケㇷ゚ 【名】[c(i)-uko-seske-p された・一緒に・覆う・もの] 大切に包んだ宝物。 {E: a carefully wrapped treasure.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- cunpo
- チュンポ 【名】[< 日本語 つぼ(壷)]大工の墨入れの壺。 {E: a carpenter's ink pot.} (出典:田村、方言:沙流)
- e- 7
- エ 【接頭】[名詞語根的接頭辞] ①その頭、 その顔、 その上の方(物理的にまたは心理的に上下のあるものについて、 そのいちばん上の方を指す)。 eca エチャ [e-ca その頭・を切り取る]…の先を切り取る、 穂摘みする。 ②(ある種の接尾辞とともに位置名詞をはさんで、 動詞/副詞をつくる。) ☞e-…-un エ…ウン、 e-…-ne エ…ネ ☆対語 o- オ。 ☆参考 he- ヘ 頭。 主に他動詞に接頭しその目的語の代りになる。 e- エ はそのようなことはない。 he- ヘ と e- エ の関係は、 意味上も文法機能上も、 名詞の概念形と所属形の関係にほぼ平行している。 (出典:田村、方言:沙流)
- eak
- エアㇰ 【他動】[e-ak …で・射る](矢)を射る、 (鉄砲)を撃つ(発射する)。 ☆参考 射て/撃って「当てる」ことは cotca チョッチャ。 {E: to shoot, fire an arrow, gun.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ecimarasne
- エチマラㇱネ 【自動】[e-cima-ras-ne その頭・できもの/かさぶた・割端(わりは)・である] 頭が(おできのあとで)かさぶただらけである「かんべたかり」。 ecimarasne hekaci エチマラㇱネ ヘカチ (「かんべたかり」)の男の子。(S) {E: to have a lot of scabs.} (出典:田村、方言:沙流)
- ehonkokisma
- エホンコキㇱマ 【他動】[e-hon-ko-kisma その頭(?)・腹・に・…をつかむ] …を腹にかかえる。 {E: to carry, hold…at one's belly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ehotke
- エホッケ 【他動】[e-hotke (そこ)に・寝る](そこ)に寝る。 a=ehótke p アエホッケㇷ゚ 我々(人)がそれに寝るもの=敷布団(「昔は熊の毛皮などを敷いた」)。(W) k=éhotke p ケホッケㇷ゚ 私がそれに寝るもの=私の敷布団。 ehotke p エホッケㇷ゚ (彼)がそれに寝るもの=(彼)の敷布団。 ehotke hi エホッケ ヒ (彼)が寝る所=彼の寝床。 {E: to sleep…(location).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekankar
- エカンカㇻ 【他動】悪いことがおこらないうちに予防策を行なう(たとえば草がひどくならないうちに抜く、 おできにならないうちに薬をつける)。(S) {E: to take precautionary measures before something happens } (出典:田村、方言:沙流)
- ekasi
- エカシ §014.祖父(1)ekasi〔アクセントはチカブミ、エベオツではé-ka-ši(えカシ);ホロべツ、サル、ビホロ、カラフトではe-ká-ši(エかシ)〕⦅H. K.⦆【S. 雅】①祖父。②男系の祖先、先祖の翁。(→sanke-〜、mak-ta-〜、husko-)。③老翁。④⦅ホロベツ⦆夫の父(老いた者を子供はmici(父)とよび、長じた子はaca(伯父)とよび、妻はekasiとよぶ)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- ekasi 2
- エカシ 【名】おじいさん。 ①年配の男性(爺)。 ②祖父。 kor ekasi コㇿ エカシ (彼)のおじいさん、 祖父(父または母の父およびそれと同世代以上の親族の男子)。 ☆対語 húci フチ。 ☆参考 onne kur オンネ クㇽ 老人。 cáca チャチャ じいさん。 ekasi エカシ は通常尊敬を伴う。 ☆参考 祖父を表す場合、 ekas エカㇱ と異なり、 親近感を伴い、 日常普通に用いられる表現。 自分の、 相手の、 のように親しい関係の祖父は通常これで表す。 呼びかけは ekasi エカシ または ku=kor ekasi クコレカシ。 {E: ①an old man. ②a grandfather.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Ekasi-nupuri
- エカシヌプリ 【名】[ekasi-nupuri おじいさん・山][地名](もと摩周湖の湖畔にあり後に千島に逃げたという伝説の山。 Cáca-nupuri チャチャヌプリ とも言う。) {E place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekonukosne
- エコヌコㇱネ 【複他動】[e-ko-nukosne …について・…に・憎しみをだく](そのこと)について(人)を憎む。 hemanta i=ekonukosne he ki p ene ヘマンタ イエコヌコㇱネ ヘ キㇷ゚ エネ (彼は)何のことで私を憎んであんなふうに…。(W民話) {E: to dislike, hate someone because of something.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekorus
- エコルㇱ 【自動】[e-korus その頭/顔・(鳴き声の擬音?)](ブタが)なく。 {E: the snorting call of a pig.} (出典:田村、方言:沙流)
- ekot
- エコッ 【他動】(病気)にかかる、 …で死ぬ。 a=kikkik wa ora ekot oasi アキッキㇰ ワ オラ エコッ オアシ 彼はなぐられてそれで死ぬ。(S) {E: to get, have, catch…(a disease or sickness); to die of…} (出典:田村、方言:沙流)
- emaka
- エマカ 【他動】…をきらって取らない。 a=emáka wa ek アエマカ ワ エㇰ (彼女は嫁に行ったが)きらわれて帰されて来た。(S) e emaka エ エマカ (彼はそれを)きらって食べない。(S) {E: to not take because one dislikes, hates…} (出典:田村、方言:沙流)
- emkokusu
- エㇺコクス 【後副(?)】[半分・のために]そのために、 それの影響で(?)。 emkokusu/cási upsor/tónon sukus/cieomare/semkoraci エㇺコクス/チャシ ウㇷ゚ソㇿ/トノン スクㇱ/チエオマレ/セㇺコラチ [雅]そのために城の中はまるで昼の光に照らされているかのように…。(Sユーカラ) ☆参考 emko エㇺコ 1《半分》や emko エㇺコ 2《川のずっと上流の方》などと関係があるのか不明。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- emoykokarke
- エモイコカㇻケ 【自動(?)】[e-moy-ko-kar-ke その頭が・渦・と共に・(回ることを表す語根)・(自動詞形成)]渦に巻かれてグルグル回る。 moy or osma wa a=ciwkorari wa hetuku ka somo ki, emoykokarke kor an モヨㇿ オㇱマ ワ アチウコラリ ワ ヘトゥク カ ソモ キ、 エモイコカㇻケ コラン 渦に巻き込まれてまん中に入って下へひっぱられて出られず渦巻きと一緒にクルクル回っている。(S) henpara suy emoykokarke kor an wa suke okere kusu? ヘンパラ スイ エモイコカㇻケ コラン マ スケ オケレ クス? また渦巻きと一緒にグルグル回っていていつごはんのしたくが終わるのだろう(いつまでもはかがいかないことに対する悪口)。(S) {E: to be caught in a whirlpool.} (出典:田村、方言:沙流)
- enipekoma
- エニペコマ 【自動】[e-nipek-oma そこに・光・入る][雅]光り輝く。 cási upsor/enipekoma チャシ ウㇷ゚ソㇿ/エニペコマ [雅]城の中は光り輝いていた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- enukar
- エヌカㇻ 【自動】鈍い、 切れない。 enukar makiri エヌカㇻ マキリ 切れない小刀。 ☆発音 e=nukar エヌカㇻ《あなたは(それを)見る、 (彼は)あなたを見る》と同じ発音。 ☆対語 een エエン {E: to be blunt; cannot cut.} (出典:田村、方言:沙流)
- eoci
- エオチ 【名】[所](概はない。)[e-ot-i その頭が・…につく・ところ] 頼るところ、 世話になるべきところ。 a=eóci isam hawe? アエオチ イサㇺ ハウェ? どこにもお世話になるところないの? (S) {E: a place where one is taken care of.} (出典:田村、方言:沙流)
- eokok
- エオコㇰ 【他動】[e-o-kok (そこ)に・その尻(が)・(擬態の語根)ひっかかる] …にひっかかる。 punkar k=éokok wa ku=hacir プンカㇻ ケオコㇰ ワ クハチㇼ 私は草のつるにひっかかって(つまづいて)ころんだ。(S) {E: to be caught on…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eokokte
- エオコㇰテ 【複他動】[他動使役] …を(くぎなど)にひっかける。 hńta e=eokokte híne e=mip e=mestektek ruwe an? フンタ エエオコㇰテ ヒネ エミㇷ゚ エメㇱテㇰテㇰ ルウェ アン? (あなたは)何にひっかけて衣服をかぎざきにしたの? (S) {E: to catch… on…(such as a nail).} (出典:田村、方言:沙流)
- eomken
- エオㇺケン 【他動】(eomuken エオムケン の聞きまちがいであろう。) rawunnet ya eokok wa oraun cep ka c=éomken ラウンネッ ヤ エオコㇰ ワ オラウン チェㇷ゚ カ チェオㇺケン (c=éomuken チェオムケン であろう)。 沈んでいる流木に網がひっかかって鮭もさっぱりとれなかった。(S) ☞eomuken エオムケン {E: to not catch any prey.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eomuken
- エオムケン 【他動】[e-omuken …に関して・獲物がとれない] 獲物がとれない。 sine yuk póka sine kamuy póka eomuken no kucasanke=an シネ ユㇰ ポカ シネ カムイ ポカ エオムケン ノ クチャサンケアン 私はただ一頭の鹿も一頭の熊もとれずに狩小屋の猟を終えて村に帰った。(HC民話) ☞omuken オムケン ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eosoma
- エオソマ 【他動】[e-osoma …で・大便する] …をうんちに出す。 ne sake íne? /a=ku wa isam/a=ku ruwe íne/a=eósoma wa isam ネ サケ イネ? /アク ワ イサㇺ/アク ルウェ イネ/アエオソマ ワ イサㇺ [雅]その酒はどうなった、 飲まれてしまった、 飲まれたのはどうなった、 うんちに出されてしまった。(KK掛け合い歌) {E: to defecate…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- epa= 2
- エパ 【人接】[雅][引用一人称単数主格他動詞型][ep-a (音節数をふやす)・(不定人称主格他動詞型の接頭辞)](ユーカラ等を歌うときに、 リズムの関係で、 通常使われる不定人称主格の接頭辞 a= ア の前に ep エㇷ゚ をつけて一音節ふやすもの。 ep には、 積極的な意味はないらしい。) epa=kor sápo エパコㇿ サポ 私のねえさん。(Sユーカラ) epa=kor petpo エパコㇿ ペッポ 私の川。(Sユーカラ) epa=kor cási エパコッ チャシ 私の城。(Sユーカラ) epa=ki kusu エパキ クス (私は)したから。(Sユーカラ) epa=ki ki wa エパキ キ ワ (私は)して。(Sユーカラ) ☆参考 pepa= ペパ という形を使って pepa=kor ペパコㇿ などのように言う人もいる。 ☆参考 これまでの用例では、 epa=/pepa= エパ/ペパ は、 主人公が自分のことを言う表現にのみ使われており、 一般の人々のことを言うときや受け身の表現、 相手に対する敬称などに使われた例はない。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eperitunnap
- エぺㇾイトゥンナㇷ゚ §123 アリ 蟻 (15) eper-itunnap(e-pér-i-tun-nap)「エぺㇾイトゥンナㇷ゚」⦅旭川⦆クロオオアリ Camponotus herculeanus japonicus MAYR. Aspa^itunnapをクロヤマアリ(Formica fusca japonica MOTSCHULSKY)(河野) (出典:知里動物編、方言:)
- epirma
- エピㇼマ 【複他動】[e-pirma …について・警告する](人)に(…のこと)をそっと警告する。 i=epirma hawe ne yakun a=kocánupkor イエピㇼマ ハウェ ネ ヤクン アコチャヌㇷ゚コㇿ 私たちにそう言って教えてくれるんだから警戒しよう。(S) ☆発音 エピㇽマ と発音する。 {E: to quietly warn someone of something.} (出典:田村、方言:沙流)
- epunkaw
- エプンカウ 【名】[植物]イケマの実。 ☆参考 大根のような形で長さ10センチくらい。 実が入らないうちは割って中身を吸って食べると乳くさく甘い。 実が入ったら縦に割って中の綿を出し、 真ん中に棒を渡して舟(epunkawcip エプンカウチㇷ゚)にして川に浮かべて遊ぶ。(S)〔知分類 p.46〕 {E: a kind of root vegetable (cynanchum caudatum, maxim (B.)).} (出典:田村、方言:沙流)
- eraman
- エラマン 【他動】[e-ramu-an …について・心・ある](沙流川中流以下・鵡川下流の形、 沙流川中流および他の多くの地方では eramuan エラムアン と言う。) ①…がわかる、 …を知(ってい)る、 覚える。 “ukasuy wa ewetastasa ka somo ki no ranma upakno moymoyke wa iki p e=eraman?” “k=éraman” 「ウカスイ ワ エウェタㇱタサ カ ソモ キ ノ ランマ ウパㇰノ モイモイケ ワ イキㇷ゚ エエラマン?」 「ケラマン」 「…助け合って決して行き違いにならないでいつも同じくらい動いているもの、 (あなた)わかる?」 「(私)わかるよ。」 (S-W会話) ②(動詞句の後で)…するすべを知っている。 ③eraman no エラマン ノ 気をつけて。 a=eráman no imek=an kor pirka p ne na アエラマン ノ イメㇰアン コㇿ ピㇼカㇷ゚ ネ ナ 気をつけてお膳(ぜん)を運んだらいいんだから(=…運ぶようにしなさいね)。(S) ☆参考 [否定のつくり方] 否定辞 somo ソモ による否定はつくられず、 否定動詞 erampewtek エランペウテㇰ が使われる。 ☞erampewtek エランペウテㇰ {E ①to know, understand, remember… ②to know everything of, about… ③be careful.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eramiskari
- エラミㇱカリ 【他動】[否定動詞] ①(人)を知らない(見知らない)、 おぼえがない。 siketoknawa a=erámiskari okkaypo sinep soy ta ek na シケトㇰナワ アエラミㇱカリ オッカイポ シネㇷ゚ ソイ タ エㇰ ナ 全然知らない(見覚えのない)若い男が一人、 門口に来ています。(W言い伝え) ku=mokorkasu wa sir-onuman ya ka k=éramiskari クモコㇿカス ワ シロヌマン ヤ カ ケラミㇱカリ 寝すぎて晩になったのもわからなかった。(S) ②(動詞句の後に置かれて)…したことがない。 k=arpa ka eramiskari カㇻパ カ エラミㇱカリ 私は行ったことがない。(W会話) ☆対語 肯定は amkir アㇺキㇼ。 ☆参考 erampewtek エランペウテㇰ …がわからない、 …を知らない(知識がない)。 ☞amkir アㇺキㇼ、 erampewtek エランペウテㇰ {E: to not know, remember, recall…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erampewtek
- エランペウテㇰ 【他動】[否定動詞](肯定は eraman エラマン、 eramuan エラムアン) ①…がわからない、 …を知らない(知識がない)。 ene iki wa okay pe a=ne hi ka a=erámpewtek no エネ イキ ワ オカイ ペ アネ ヒ カ アエランペウテㇰ ノ 私たちがどうしてこのようにして暮らしているのかも(私)はわからずに。(W民話) “…hńta ne? e=eraman?” “hemanta ene katuhu an hi an? oar tap k=érampewtek” 「…フンタ ネ? エエラマン?」 「ヘマンタ エネ カトゥフ アニ アン? オアッ タㇷ゚ ケランペウテㇰ」「…は何だ? (あなた)わかる?」「何がそんなへんてこなんでしょう、 全然わからない。 」 (S-W会話) ②(動詞句の後に置かれて)…するすべがわからない(ためにできない)。 oro wa sipiraspa wa nérok aynu a=ne humi sekor yaynu ka erampewtek kor oka ruwe tasi ne nankor nek sekor… オロ ワ シピラㇱパ ワ ネロㇰ アイヌ アネ フミ セコㇿ ヤイヌ カ エランペウテㇰ コㇿ オカ ルウェ タシ ネ ナンコン ネㇰ セコㇿ… そこから広がってそのアイヌが私たちなのだと思うこともわからなく(=できなく)なってきているのだろうさ、 と… (S独話) ☆対語 肯定は eraman エラマン、 eramuan エラムアン。 ☆参考 人を知らないこと、 見覚えがないことは eramiskari エラミㇱカリ ☞eraman エラマン、 eramuan エラムアン、 eramiskari エラミㇱカリ {E: ①to not understand, know… ②don't know anything about…(so one can't do it due to that).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- erara
- エララ 【複他動】[e-rara …に関して・…を見下す](人)に(こと)ができると思わない。 k=érara ケララ 私は彼にはそんなことできないと思う(競馬なんてやったこともないくせに競馬やるなんて)。(S) ☞rara ララ {E: to think that one cannot do…} (出典:田村、方言:沙流)
- eren
- エレン 【接頭+数名】[e-ran …で・三人]…で三人、 …を含めて三人。 kamuy moyremat/eren eci=n氏^tapan cási/a=eci=kohóppa na カムイ モイレマッ/エレン エチネ/タパン チャシ/アエチコホッパ ナ [雅]女神様たちとあなたとの三人に私はこの城を残して行きますからね。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esikari
- エシカリ 【他動】…をつかまえる。 hemanta i=esikari híne ヘマンタ イエシカリ ヒネ 私は何かにつかまえられて。(KK民話) {E: to catch hold of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esikarun
- エシカルン 【他動】…が恋しい、 …を思い出す、 …を覚えている。 ku=kor hekattar/[u]kesto an kor/ku=esikarun クコㇿ ヘカッタㇻ/[ウ]ケㇱト アン コㇿ/クエシカルン 私の子どもたちを私は毎日毎日思い出す。(S即興詩) ☆発音 すらすら話すときは通常 s と k の間の i の音が消えて eskarun エㇱカルン と発音される。 主語一人称単数形は k=eskarun ケㇱカルン。 この用例は歌であるために ku=esikarun クエシカルン と発音されている。 {E: to long for, recall, remember…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esikasike
- エシカシケ 【他動】…のことをしらばくれる、 (したこと)を知らないと言う(「はっきり『しなかった』と言わず、 小さい声で『わたしそんなことしらないよー』と言う」)。(S) iteki esikaske no an koraci ye イテキ エシカㇱケ ノ アン コラチ イェ 知らないと言わないで正直に言いなさい。(S) kotca esikasike コッチャ エシカシケ (人)のしたことを(その人をかばって)しなかったように言う。 ☆発音 しばしば s のあとの i が落ちて eskáske エㇱカㇱケ と言う。 {E: to pretend not to know something.} (出典:田村、方言:沙流)
- esiknak
- エシㇰナㇰ 【他動】[e-siknak …に関して・目が見えない] …が見えない、 …のことについて/…をするのに目が見えない。 kem ohownu wa en=kore, k=ésiknak na ケㇺ オホウヌ ワ エンコレ、 ケシㇰナㇰ ナ 針に糸を通してください、 私は見えないから。(S) {E: …cannot be seen.} (出典:田村、方言:沙流)
- esirkik
- エシㇼキㇰ 【他動】[e-sir-kik …で・あたり・をたたく] …をぶつける。 cawan esirkik wa perpa チャワン エシㇼキㇰ ワ ペㇾパ 茶わんをぶつけてこわした(目的語は茶わん。 どこにぶつけるかは言っていない)。(S) {E: to knock…(down).} (出典:田村、方言:沙流)
- esirosikar
- エシロシカㇻ 【他動】[e-sirosi-kar …について・しるし・をする] …を示す。 {E: to show, indicate…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esirutum
- エシルトゥㇺ 【名】[接頭+位名][e-si-ru-tum …で・自分・すじ(髪)・の中](次の表現で)esirutum ta nuyna エシルトゥㇺ タ ヌイナ[雅]…を頭飾りをかぶって自分の中に隠す。 nupur pe sóne/nupur cannoye p/esirutum ta/nuyna kane ヌプㇽ ペ ソネ/ヌプッ チャンノイェㇷ゚/エシルトゥㇺ タ/ヌイナ カネ [雅]本当に霊力のあるものだがその現れを頭飾りをかぶって自分の中に隠して。(Sユーカラ語り) ☆参考 同じことを同じ歌い手が別のところで esirutumka-nuyna エシルトゥㇺカヌイナ、 esirutumka-seske エシルトゥㇺカセㇱケ とも言っている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esirutumka-nuyna
- エシルトゥㇺカヌイナ 【他動】[e-si-ru-tum-ka-nuyna …に・自分・すじ(髪)・の中・の上(?)・…を隠す][雅]頭飾りをかぶって…を自分の中に隠す。 nupur pe sóne/nupur cannoye p/esirutumka/nuyna kane ヌプㇽ ペ ソネ/ヌプㇽ チャンノイェㇷ゚/エシルトゥㇺカ/ヌイナ カネ [雅]本当に霊力のあるものだが霊力の現れを自分の中に隠して。(Sユーカラ) ☆参考 韻文で2行に分かれる。 ☆参考 ka は副助詞《も》で、 この動詞自体は esirutum-nuyna エシルトゥㇺヌイナ かもしれない。 ☆参考 同じユーカラの語りの中で、 同じことを esirutum ta nuyna エシルトゥㇺ タ ヌイナ と言っている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esirutumka-seske
- エシルトゥㇺカ セㇱケ 【他動】[e-si-ru-tum-ka-seske …に・自分・髪・の中・も(?)・おおう][雅]頭飾りをかぶって…を自分の中に隠す。 nupur pe sóne/nupur cannoye p/esirutumka/seske kane ヌプㇽ ペ ソネ/ヌプㇽ チャンノイェㇷ゚/エシルトゥㇺカ/セㇱケ カネ [雅]霊力のあるものにまちがいない、 霊力があるものであることを頭かざりをかぶっておおいかくしている。(Sユーカラ) ☆参考 ka カ は副助詞《も》で、 この動詞自体は esirutum seske エシルトゥㇺ セㇱケ かもしれない。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esitapkaani
- エシタㇷ゚カアニ 【他動】[e-si-tap-ka-ani …で・自分の・肩・の上・…を持ち運ぶ]…を肩にかつぐ。 esitapkaani wa apkas エシタㇷ゚カアニ ワ アㇷ゚カㇱ (くわを)肩にかついで歩く。(S)(1) {E: to carry… on one's shoulders.} (出典:田村、方言:沙流)
- esiyasis
- エシヤシㇱ 【他動】…を汚がる。 nep ne yakka esiyasis ネㇷ゚ ネ ヤッカ エシヤシㇱ 彼はなんでもかんでもきたながる。 ☆参考 cakkeeo チャッケエオ とも言う。 {E: to feel that…is dirty.} (出典:田村、方言:沙流)
- esunke
- エスンケ 【他動】[e-sunke …で・うそをつく] ①…のことでうそをつく/ほらをふく。 ② ☞kotca esunke コッチャ エスンケ (出典:田村、方言:沙流)
- etemkorani
- エテㇺコラニ 【他動】[単](複は etemkoranpa エテㇺコランパ)[e-temkor-ani …に・腕の中・…を持つ](一つの)…を「両手でウン!とたなぐ」(=両腕でかかえる/持ち運ぶ)。 mame ni etemkorani wa arpa マメ ニ エテㇺコラニ ワ アㇻパ 彼は豆の木を両手でたくさんかかえて行った。(S) {E: to hold, carry a lot of …in both arms.} (出典:田村、方言:沙流)
- etemkoranpa
- エテㇺコランパ 【他動】[複](単は etemkorani エテㇺコラニ)…を「両手でウン!とたなぐ(=かかえる/持ち運ぶ)」、 …を両腕でかかえる。 mame ni etemkoranpa wa arpa マメ ニ エテㇺコランパ ワ アㇻパ (彼は)豆の木を両手でたくさんかかえて行った。(S) ☆参考 etemkoreanpa エテㇺコレアンパ とも言う。 {E: to hold, carry a lot of …in both arms.} (出典:田村、方言:沙流)
- etemkoreanpa
- エテㇺコレアンパ 【他動】[e-temkor-e-anpa …に・腕の中・に・…を持つ[複]] (二つ以上の)…を腕でかかえて取る/持ち運ぶ。 ☆参考 etemkoranpa エテㇺコランパ とも言う。 {E: to hold, carry…in the arms.} (出典:田村、方言:沙流)
- etoro
- エトロ 【自動/名】①いびき(をかく)。 etoro kor an エトロ コㇿ アン いびきをかいている。(W) ②猫がのどをならす。 hot, cápe suy etoro kor an, siponpenere wa ki hawe ホッ、 チャペ スイ エトロ コㇿ アン、 シポンペネレ ワ キ ハウェ まあ猫がまたのどをならしている、 甘えてるんだな。(S) {E: to snore; a snoring sound.} (出典:田村、方言:沙流)
- eun 1
- エウン 【他動】[e-un その頭・にある] (そこ)にある、 (そこ)に現れる。 án=an kotcake eun pekor yaynu=an kor アナン コッチャケ エウン ペコㇿ ヤイヌアンコㇿ (幼いときに別れた父母が)自分の目の前に現れるような気がして。(S民話) {E: to be (at, on)…; stick to…; to appear in front of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewemkoani
- エウェㇺコアニ 【他動】[e-u-emko-ani …で・互い・の半分・を持つ] …を二人で一緒に持つ(一人が右側にいて左手で持ちもう二人が左側にいて右手で持つ、 あるいは前と後ろで持つなど)。 ewemkoani yan エウェㇺコアニ ヤン 二人でかつぎなさい。(S) a=ewémkoani アエウェㇺコアニ 私とあなたと二人で持とう。 eci=ewémkoani エチエウェㇺコアニ あなたたち二人で持つ。 a=ewémkoani mokko アエウェㇺコアニ モッコ たんか。 ☆参考 接頭辞がつかないとき、 およびアクセント核の位置を変えない接頭辞(a= または eci= )のみがついたときは、 この形をとることが多い。 アクセント核(声の高さの上がるところ)は、 第二音節(この場合 we)に置かれる。 その他の接頭辞がついて、 語頭の e が高く発音されるときの語幹には euwemkoani/ewwemkoani エウウェㇺコアニ の形が使われることが多い。 ☞euwemkoani エウウェㇺコアニ {E: to hold, carry…together ( two people).} (出典:田村、方言:沙流)
- ewen
- エウェン 【他動】[e-wen …で・悪い] ①…で悪くなる、 (食べ物に)あたる、 損する。 amam e kor ewen アマㇺ エ コㇿ エウェン ご飯を食べるとよくない。(S) e wa suy ewen エ ワ スイ エウェン 食べたからまた悪くなった。(S) e wa ewen wa etupi エ ワ エウェン ワ エトゥピ 食べてあたったからもう食べない。(S) kú=ipe ewen humi ne noyne ku=honi arka クイペ エウェン フミ ネ ノイネ クホニ アㇻカ 私は食べ物にあたったらしくおなかが痛い。(S) a=ewén kuni a=ramú p somo a=ki p ne na アエウェン クニ アラムㇷ゚ ソモ アキㇷ゚ ネ ナ 損するようなことはするもんでない。(S) ewen kunine patek iki エウェン クニネ パテㇰ イキ 損するようなことばかりしている。(S) ②(動詞の後に置かれて)…しにくい。 …することがよくできない。 tópe esirkotuk kor níkap soske ewen トペ エシㇼコトゥㇰ コㇿ ニカㇷ゚ ソㇱケ エウェン 木の汁が出なくなって木の皮がくっつくと木の皮がむけにくくなる。(S) ci=nu ewen pe he un ci=ye チヌ エウェン ペ ヘ ウン チイェ 耳が遠いわけじゃないんだぞ(川下男と川上男の昔話で川上男が言う決まり文句の一つ)。 {E: ①for…to go bad; for…to be damaged. ②for…to be difficult to do…; cannot do…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ewkorimo
- エウコリモ 【他動】[e-uko-rimo その頭/上の方/・互いに/一緒に・すぼめる(?)](紙包みの)口をすぼめる。 taan pe ewkorimo wa anu, mus kotoyse, icakkere na タアン ペ エウコリモ ワ アヌ、 ムㇱ コトイセ、 イチャッケレ ナ これ(このお菓子の包み)の口をすぼめておきなさい、 ハエがたかってきたなくなるから。(S) {E: to pucker up one's mouth.} (出典:田村、方言:沙流)
- eyamno
- エヤㇺノ 【副】[eyam-no …を大切にする・(副詞形成)] 大切に。 apunno eyamno resu アプンノ エヤㇺノ レス (赤ちゃんを)「まてえに」(=ていねいに)大切に育てなさい。 k=孜amno ku=mi yakun ohonno ku=mi ケヤㇺノ クミ ヤクン オホンノ クミ 大事に着れば長い間着られる(長もちする)。(W) {E: carefully.} (出典:田村、方言:沙流)
- eyayitupare
- エヤイトゥパレ 【他動】[e-yayitupare …について・気をつける] …に気をつける。 ruyka tane a=kar okere wa a=eyáyitupare uske ka isam ルイカ タネ アカㇻ オケレ ワ アエヤイトゥパレ ウㇱケ カ イサㇺ 橋はもう直し終わったので注意するべき所(あぶない所)はない。(S) ☆発音 会話などで早く言うとき、 通常 y のあとの i は落ちて eyaytupare エヤイトゥパレ と発音される。 {E: to be careful of…} (出典:田村、方言:沙流)
- eyaynusasi
- エヤイヌサシ 【他動】[e-yay-nusasi …で・自分・をなぐさめる]…で自らをなぐさめる、 …で気持ちがなぐさめられる。 e=ok kane wa patek e=an ayke kus mak ne hawe? nep ka ye ka ki, sinotcaki kor an, yak e=eyaynusasi na エオㇰ カネ ワ パテㇰ エアン アイケ クㇱ マㇰ ネ ハウェ? ネㇷ゚ カ イェ カ キ、 シノッチャキ コラン、 ヤㇰ エエヤイヌサシ ナ そんな悲しい顔ばかりしてたってだめなんだから、 何か言いなさい、 歌でも歌いなさい、 気持ちがなぐさめられるから。(S) ☞enusasire エヌサシレ {E: to console oneself over…} (出典:田村、方言:沙流)
- eyaysanpe-siturire
- エヤイサンペシトゥリレ 【他動】[e-yay-sanpe-situri-re …で・自分・気持ちが・のびる・させる] …で自分の気を晴らす。 aynu sinotca a=ye a a=ye a a=ye a wa a=eyáysanpesiturire アイヌ シノッチャ アイェ ア アイェ ア アイェ ア ワ アエヤイサンペシトゥリレ 私はアイヌの歌を歌って歌って歌って気を晴らした。(S民話) ☞sanpesituri サンペシトゥリ {E: to refresh oneself by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyaysirkar
- エヤイシㇼカㇻ 【他動】[e-yay-sir-kar …のことで・自分・様子・をつくる](人から受けた仕打ち)のための怒りを別の者にぶつけて示す、 …のことで他の者にあたる/当たりちらす。 k=孜aysirkar kus cápe ka ku=kikkik ケヤイシㇼカㇻ クㇱ チャペ カ クキッキㇰ (夫に悪く言われたが夫をたたくわけにもいかないので) 私は当たりちらしてネコをたたいた(夫の見ている前で)。(S) {E: to get angry at someone for no reason.} (出典:田村、方言:沙流)
- eyaytupare
- エヤイトゥパレ 【他動】…に気をつける。 ☆参考 eyayitupare エヤイトゥパレ を早く発音して y のあとの i が落ちた形。 ☞eyayitupare エヤイトゥパレ {E: to be careful of…} (出典:田村、方言:沙流)
- eyayunaske 2
- エヤユナㇱケ 【他動】[e-yayunaske (そこ)で・ていねいに断る] ☞kotcake(he) eyayunaske コッチャケ(ヘ) エヤユナㇱケ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyki
- エイキ 【他動】[e-iki …で・ものごとをする] …でものごとをする。 ikotca eyki kur イコッチャ エイキ クㇽ 人の前でものごとをする人=先生。 nokoeyki ノコエイキ のこぎりを使って仕事をする。 makirieyki マキリエイキ マキリ(小刀)を使って仕事をする。 tasiroeyki タシロエイキ タシロ(山刀)を使って仕事をする。 {E: to do something by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyupkir
- エユㇷ゚キㇼ 【他動】(種)をまく(指でふって)。 ☆参考 種まきでも、 種を土の中にうめたり土の上に置いたりするのは etoyta エトイタ。 ものをまき散らすことは cari チャリ[単]/carpa チャㇻパ[複]。 {E: to sow (seeds etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
- haciko
- ハチコ §010.老若長幼―成長段階―を表す形容詞その他(3)haciko〔ha-čí-ko ハちコ〕⦅S.⦆小さい;幼い。〜utah cis-ahci te okay-ahci;sikihi ka okore〜pahno cis okay-ahci⦅ウソロ⦆「幼い子どもたちが泣いていた;その日も皆小さくなるほど泣いていた」。〜-an orano may-nehpo sinne i-ko-yaykara a an-acaha itaki ahkari an-ki ka an-kowakusu⦅ウソロ⦆「私の幼い頃から女の子のように私を可愛がってくれた私の叔父の言うことにそむくわけには参らぬ」。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- hani
- ハニ 【終助】(…しなさい)よ、 ね、 (…するから)ね。(命令文や、 言外に要求を含んだ na ナ《…する/したから(…せよ)》に終わる文の後に置かれて、 親しみ深くやさしい言い聞かせを示す。 同輩や目下、 子どもや弱い人に対して親愛感やいつくしみやいたわりを込めて話す中で使われる。) iteki cis no mokor hani! イテキ チㇱ ノ モコㇿ ハニ! 泣かないで眠りなさいよ/ね。 uwenewsar yan hani! ウウェネウサㇻ ヤナニー! 二人で楽しく語り合いなさいね。(W会話) hoskino eci=rékreku kusu ne na hani! ホㇱキノ エチレㇰレク クス ネ ナ ハニ! まず私があなたになぞなぞの問題を出すからね。(S会話) iteki cápe haw ki hani! イテキ チャペ ハウ キ ハニ! ネコのなき声をしてはだめだよ。(S民話) ☆発音 h はしばしば弱まり、 アニ のように聞こえることがある。 速く話しているとき、 子音に続くときは落ちることが多く、 特に n のあとではたいてい落ちて、 …nani! …ナニ! のように発音される。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- haskaoma-íkonpap
- ハㇱカオマ イコンパㇷ゚ 【名】[has-ka-oma-ikonpap 細い木・の上・にいる・毛虫] 毛虫の一種(これの毛にさされたらひどく痛む)。(S) {E: a kind of caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- haw 1
- ハウ 【名】[概](所は hawehe ハウェヘ)(人間、 動物の)声、 (バイオリンなどの)音。 cikap haw チカㇷ゚ ハウ 鳥の声。 cikap rek haw チカㇷ゚ レㇰ ハウ 鳥の鳴く声。 itak haw イタㇰ ハウ 話す声。 haw as ハウ アㇱ/ハワㇱ(=hawas ハワㇱ)声がする、 (…と)言っている(のが聞こえる)。 ☆参考 太鼓の音など、 一般の音は hum フㇺ。 {E: the human voice; the call of an animal, bird etc.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hawke
- ハウケ 【自動】[haw-ke (擬態の語根)・(自動詞形成)]静か/おだやかである、 安い(値段が)。 réra ponno hawke レラ ポンノ ハウケ 風が少し弱くなった。(W) ataye hawke アタイェ ハウケ 値段が安い。 ☆対語 ruy ルイ 激しい。 ataye ruy アタイェ ルイ 値段が高い。 ☆参考 ratci ラッチ ゆっくりしている。 réra ponno ratci レラ ポンノ ラッチ 風が少し落ちついた。 {E: to be calm; silent; cheap (in price).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hawkeno
- ハウケノ 【副】[hawke-no おだやかである・(副詞形成)] 静か/おだやかに、 そっと。 {E: silently; calmly; gently.} (出典:田村、方言:沙流)
- hekacikohsaohasinwahka
-
ヘカチコㇹサオハシンワㇵカ
§362.産―ようすい(羊水)(1)hekaci-kohsa-oh-asin-wahka〔he-ká-či|kóh-sa-oh|a-šín|wáh-ka ヘかチ・こㇹサオㇹ・アしン・わㇵカ〕[he-kaci(子)+kohsa-oh(
ca-ot 先がけする)+asin(出る)+wahka(水)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:) - hepita
- ヘピタ 【自動】[he-pita 頭・をほどく] 曲がっていたのがはじけてのびる。 iteki ca hepita haw néno hawean イテキ チャ ヘピタ ハウ ネノ ハウェアン [隠] 曲げられて押えられていた柴(=細い木)が手を離した途端にパッとはじけて伸びるように言うな=すぐに怒ってはいけない、 短気を起こすな。(S) {E: for something bent to be released and spring back into its original shape.} (出典:田村、方言:沙流)
- hererke
- ヘレㇾケ 【自動】[her-er-ke つや・(重複)・(自動詞形成)](熊の毛並みが)つやつや光る。 kasikehe hererke kane an kucan カシケヘ ヘレㇾケ カネ アン クチャン 背中がつやつや光っているめす熊。(NK民話) {E: to shine brightly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- herisarisa
- ヘリサリサ 【自動】[he-risarisa 頭・をクシャクシャにする(?)] 頭(髪)がクシャクシャである。 a=ecákke no an, sapaha ka herisarisa, etonracici kane アエチャッケ ノ アン、 サパハ カ ヘリサリサ、 エトンラチチ カネ みんなに汚がられるような恰好をしている、 頭はクシャクシャ、 鼻をたらして。(S) {E: for one's hair to be messy and uncombed.} (出典:田村、方言:沙流)
- hesuye
- ヘスイェ 【自動】[he-suye 頭・振る] 首を振る(いやいやをするように横に振る)。 hesuye caca ek na ek na ヘスイェ チャチャ エㇰ ナ エㇰ ナ 首を振るじいさんが来たよ来たよ(いつも首を横に振っている老人がいて、 このように呼ばれていた)。(S) {E: to shake one's head.} (出典:田村、方言:沙流)
- hokununuke
- ホクヌヌケ 【自動】[hoku-nunuke 夫・をよく処遇する] 「夫によく仕える」、 夫を大事にする。 {E: to care for one's husband.} (出典:田村、方言:沙流)
- homeru
- ホメル 【自動】[ho-meru 尻を・(?)]脱臼する(「くじける」)。 {E: to dislocate a joint.} (出典:田村、方言:沙流)
- honoyse
- ホノイセ 【自動】[honoy-se (擬音?)・と言う](犬、 猫が)うなる、 「虎やライオンやヒョウはいないが、 いれば彼らのうなるのもこう言う」。(S) saraha asi kane seturu púse kane honoyse kor an サラハ アシ カネ セトゥル プセ カネ ホノイセ コラン (ネコが)尾を立てて背中をふくらませてうなっている。(S) {E: (for a dog, cat) to growl, snarl.} (出典:田村、方言:沙流)
- horarayse
- ホラライセ 【自動】[ho-rara-y-se 尻・(すべりを表す擬態)・(挿入音)・と言う](?) すべる、 すべりおりる、 すべり落ちる(人、 木、 着物、 ふとんなどが)。 ci=sikao p horarayse wa an na, un-ka omare チシカオㇷ゚ ホラライセ ワ アン ナ、 ウン カ オマレ 私たちが掛けている布団が落ちてしまっているから、 かけてください。(S) hekattar pon sori o wa horarayse wa sinot kor oka ヘカッタㇻ ポン ソリ オ ワ ホラライセ ワ シノッ コロカ 子どもたちが小さいそりに乗ってすべって遊んでいる。(S) ☆参考 氷すべりなどでスーッとすべるのは cárase チャラセ、 スキーでストックを持ってスピードを上げてすべるのは carse チャㇻセ、 ツルッとすべる(すべってころぶなど)は osittesu オシッテス。 ものの表面がなめらかでスベスベしていることは rárak ララㇰ。 {E: to slip, slide (down).} (出典:田村、方言:沙流)
- hóse 1
- ホセ 【自動】[ho-se ホー(擬音)・と言う](呼ばれて「ホー」と)返事する。 ☆参考 川下のワテケさん、 サダモさんの言葉では、 「はい」に相当する返事のうち、 呼ばれたときには ho ホー と返事をし、 ものごとを頼まれたり言いつけられたり提案されたりして同意するには e エー と答える。 呼ばれて答えることを hóse ホセ と言い、 ものごとを承諾することを ése エセ と言う。 ☆参考 この区別は方言によって(地域によって)異なる。 {E: to answer (when called.).} (出典:田村、方言:沙流)
- hotuye-paraparak
- ホトゥイェパラパラㇰ 【自動】[hotuye-paraparak 呼び声をあげる・泣き叫ぶ] 大声で呼びながら泣き叫ぶ。 {E: to call out in a loud crying voice.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hotuyekar
- ホトゥイェカㇻ 【他動】[hotuye-kar 呼び声をあげる・(他動詞化)] …を呼ぶ。 {E: to call…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hotuypa
- ホトゥイパ 【自動】[複](単は hotuye ホトゥイェ) 大きい長い呼び声をあげる、 大声で呼ぶ。 ☆参考 複数形の形だが一人にも用いられる。 単数形 hotuye ホトゥイェ は短く呼ぶことを表し、 複数形は大声で声を長く引いて呼ばわることを表す。 {E: to call out in a loud voice.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- humiruy
- フミルイ 【名】[humi-ruy その音・はげしい] [動物](鳥の名)「アトマワリ」(=hacam ハチャㇺ)。 「カケスぐらい、 ハトにも似ている、 たくさんの子っこを連れて歩き、 畑おこしたあとまわって虫を拾って歩く。 背中さっと灰色、 首、 胸、 腹は白い、 頭のてっぺんはちょっと黒いかな。 鳴き声は聞いたことがない。」 (S) 〔知分類 p.213 ヤマドリ;エゾライチョオ〕 {E: name of a bird.} (出典:田村、方言:沙流)
- humne
- フㇺネ 【副】ときには。 e=sitapkaani wa e=ek, humne e=sapa mekka ta e=yanke wa e=ek エシタㇷ゚カアニ ワ エエㇰ、 フㇺネ エサパ メッカ タ エヤンケ ワ エエㇰ あなたは(荷物を)肩にかついで来た、 ときには頭の上にのせて来た。(S) humne… humne… フㇺネ…フㇺネ… ときには…ときには…、 …したり…したりする。 apa rérasuye wa humne apa makke humne apa as kor an アパ レラスイェ ワ フㇺネ アパ マッケ フㇺネ アパ アㇱ コㇿ アン ドアが風にゆすぶられてあいたりしまったりしている。(S) humne tu cup re cup an, humne sine pa an wa arpa フㇺネ トゥ チュㇷ゚ レ チュㇷ゚ アン、 フㇺネ シネ パ アン ワ アㇻパ (彼は)ときには二、 三ヵ月滞在し、 ときには一年滞在して(帰って)行った。(W民話) humne an kor フㇺネ アン コㇿ ときどきは。 humne an kor peray=an wa ceppokoyki=an wa フㇺネ アン コㇿ ペラヤン ワ チェッポコイキアン ワ ときには釣りをして小魚をとって。(W民話) humne humne フㇺネ フㇺネ ときどき、 ときにより。 humne humne ek ranke フㇺネ フㇺネ エㇰ ランケ ときどき来る。(S) humne humne an pe ka ye sunke ka ye フㇺネ フㇺネ アン ペ カ イェ スンケ カ イェ ときにより本当のことも言うしうそも言う。(S) {E: occasionally.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- húreatane
- フレアタネ 【名】[hure-atane 赤い・カブ][植物]人参。 {E: a carrot.} (出典:田村、方言:沙流)
- hureecinke
- フレエチンケ §420 カメ (6) hure-ecinke (hú-re-e-čin-ke)「ふレエチンケ」[<赤い・亀] ⦅室蘭、幌別、白老⦆アカウミガメ E. ‘red turtle’, Caretta olivancea. (出典:知里動物編、方言:)
- hureitunnap
- フレイトゥンナㇷ゚ §123 アリ 蟻 (23) hure-itunnap(hú-re-i-tun-nap)「ふレイトゥンナㇷ゚」⦅幌別⦆アカヤマアリ Formica sanguinea fusicepes EMERY. エゾアカヤマアリ Formica trunicicola yessoensis FOREL. (出典:知里動物編、方言:)
- húresisam
- フレシサㇺ 【名】[húre-sísam 赤い・異民族] 白人。 ☆参考 髪の毛が赤いから。(W) ☆参考 repunkur レプンクㇽ 外国人。 ☞sísam シサㇺ {E: a Caucasian.} (出典:田村、方言:沙流)
- hurkapu(hu)
- フㇽカプ(フ) 【名】[所](概は hurkap フㇽカㇷ゚)[動物]の骨と皮ばかりになった死骸(鳥や魚の)。 {E: the skin and bones of the carcass of a fish, bird etc.} (出典:田村、方言:沙流)
- iikosama
- イイコサマ 【自動】[i-i-ko-sama ものを・もの・に・そばに置く(?)]ものごとをたとえて言う。 iikosama easkay hawe! イイコサマ エアㇱカイ ハウェ! たとえるのが上手だねえ! (S) {E: to speak metaphorically, figuratively.} (出典:田村、方言:沙流)
- ikema
- イケマ 【名】[植物] イケマ。 ☆参考 根はサツマイモのような色で長いのはゴボウのようで50センチもあり太いのは直径5センチもある。 葉は直径1センチくらいのつるになる。 つるは1本だけで長いつるの節々に白い花が咲き、 そのあとに実がなる。 この植物の根をイケマと言う。 根は甘くちょっと苦みがある。 あまり食べると酔って(hoski ホㇱキ)しばらく死ぬ。 そうしたら体中をつねりながら「ikema イケマ、 motoho モトホ《素性》をお言い、 あなたは人間を守るためにここへおろされたので人間を殺すためではない、 生かせ生かせ」と言って ikema イケマ を叱る。 そうすれば生き返る。 また「魔物」(=悪神)を追い払うためにはこの根を口に含んでフツと吹き出す。 そうすればどんな「魔物」(=悪神)でも逃散する。(S)〔知分類 p.41 イケマ〕 {E: the name of a plant, something like a burdock root. (cynanchum caudatum, maxim (B.)).} (出典:田村、方言:沙流)
- ikiri(hi)
- イキリ(ヒ) 【名】[所](概は ikir イキㇼ)…の集合、 …のひとまとまり、 …の系統。 itak porose pakno ikiri inne p isam イタㇰ ポロセ パㇰノ イキリ インネㇷ゚ イサㇺ 言葉ほど数の多いものはない。(W) ikiri(hi) kar イキリ(ヒ) カㇻ …の集まりをつくる=…をたくさん集めてまとめる。 akketek or un hunpe ca a ca a híne raytoskaha ikiri kar híne アッケテㇰ オㇿ ウン フンペ チャ ア チャ ア ヒネ ライトㇱカハ イキリ カㇻ ヒネ 帆立貝の中へ鯨の肉を切り取っては入れ切り取っては入れしてものすごく大きな山積みをたくさんつくって。(S民話) {E: a meeting, gathering of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ikokanu
- イコカヌ 【自動】[i-kokanu 人/もの・を聞き入る] 人の言うことを注意深く聞き入る、 盗み聞きする。 taan puy o uske kari ikokanu タアン プヨ ウㇱケ カリ イコカヌ この穴のあいたところから立聞きしなさい。(S) ☞kokanu コカヌ {E: to listen carefully to what someone says.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ikokisaro
- イコキサロ 【自動】流行病にかかる。 {E: to catch an infectious disease.} (出典:田村、方言:沙流)
- íkonpap
-
イコンパㇷ゚
【名】[
caterpiller.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流) - imok
- イモㇰ 【名】餌(飼うためのではなく魚やネズミなどを取るのに使う餌)。 ☆参考 飼っている動物に与える餌は ep エプ。 {E: bait for catching fish, rats, animals that are not owned.} (出典:田村、方言:沙流)
- imu
- イム 【自動】「イム」をする(特定の女性に起こる現象で、 びっくりしたときに思わず知らず叫び声を上げたりなにかを口走ったり突飛な行動に出たりする。 言われたことと反対のことをしたりすることもある。 後天的に習得された神経症の一つの症状だとの説明もある)。 {E: to be attacked with sudden fits of hysteria; to call out as one mad (B.).} (出典:田村、方言:沙流)
- inoma
- イノマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。(S) epa=kor cási/kamuy inoma/a=sitúrare エパコッ チャシ/カムイ イノマ/アシトゥラレ [雅]私は私の城や神の所で持っていたものをすべて持って来ました。(Sユーカラ) ☆参考 inoma イノマ と発音しているが、 後に歌い手のサダモさん自身が inuma イヌマ が正しいと言って訂正した。 ☞inuma イヌマ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- inuma
- イヌマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。 tapan cási/kamuy inuma/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ☆参考 テープでは inoma イノマ と発音している。 しかし後日歌い手が kamuy inuma カムイ イヌマ だと言い、 またその後に kamuy iyoype カムイ イヨイペ と言うところだと言って訂正した。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- inumpeipe
- イヌンペイペ 【名】[inunpe-ipe 炉ぶちの板・魚][動物](魚の名)沖の、 ウナギのように長い、 四角いようなへんな形の魚。(S)〔知分類 動物 p.65 タチウオ〕 {E: a scabbard fish.} (出典:田村、方言:沙流)
- inuye
- イヌイェ 【自動】[i-nuye もの・に彫刻をする] 彫刻をする。 {E: to carve.} (出典:田村、方言:沙流)
- ipeoko
- イペオコ 【副】[ipeo-ko 実が入っている・(反意の副詞をつくる接尾辞)] こんなわずか。 ipeoko patek en=kore イペオコ パテㇰ エンコレ こんなわずかしかくれない(食べ物でも布でも)。(S) ipeoko an pon kapoca mak ku=suwe wa k=e ruwe an pe an? イペオコ アン ポン カポチャ マㇰ クスウェ ワ ケ ルウェ アン ペ アン? これっぽっちのカボチャどうやって料理して食べるんだ。(S) {E: very little; a small amount of; Just this!} (出典:田村、方言:沙流)
- ipisisip
- イピシシㇷ゚ 【名】[植物] イラクサの痛くないほうのもの(それを乾かしてむくと麻みたいで黒い)。 ipisisip hay イピシシㇷ゚ ハイ イピシシプ(痛くないイラクサ)の皮(=kunne hay クンネ ハイ)。 〔知分類 p.162 ipisisip オオバイラクサ、 エゾイラクサの青い茎葉((幌別))((A有珠))〕 {E: a non-stinging nettle (urtica takedana ohwi (B.)).} (出典:田村、方言:沙流)
- iporo(ho)
- イポロ(ホ) 【名】[所](概は ipor イポㇿ)…の顔色、 …の顔つき。 iporo anu イポロ アヌ[顔つき・を置く] 隠す(言うのが気の毒だから見て見ないふりをする)。 m iporo kurkus イポロ クㇽクㇱ (怒って)しぶい顔をしている。 iporo rirot イポロ リロッ 心の中のことが顔色に出る。 iporo siw イポロ シウ 苦い顔をしている、 いつも笑わない。 hńta e=ruska wa é=iporo siw ruwe ene an hi an? フンタ エルㇱカ ワ エイポロ シウ ルウェ エネ アニ アン? 何を怒ってそんなに苦い顔をしているの? (S) iporo tuyreko an イポロ トゥイレコ アン ムスッと(=ブスッと)している。(S) iporo uuk イポロ ウウㇰ (怒って)顔色を変える。 iporo wen イポロ ウェン 憤慨の色を表す。 mosma mosma ku=hawean akus ora iporo wen kusu an wa soyne モㇱマ モㇱマ クハウェアン アクㇱ オラ イポロ ウェン クス アン マ ソイネ 私が関係のないほかのことばかり言ったら彼はひどく憤慨した顔をして外へ出て行った。(S) ratcako iporo ラッチャコ イポロ ランプの燃えかた、 燈火の様子。 {E: the facial complexion, looks of…} (出典:田村、方言:沙流)
- iram-ikurkure
- イラㇺイクㇽクレ 【自動】[i-ram ikurkur-e 人の・心・をわずらわさす・させる](直訳すると)人の心をわずらわさせる=聞いて気がかりな話/ことである。 iram-ikurkure ta haw as! イラㇺイクㇽクレ タ ハウ アㇱ! 気がかりな話だなあ。(S) {E: to cause trouble, inconvenience (not physically but mentally, emotionally).} (出典:田村、方言:沙流)
- irammokka
- イランモッカ 【自動】人をからかう、 人にいたずらする。 {E: to cause mischief; make a fool of someone} (出典:田村、方言:沙流)
- iratcire-an
- イラッチレアン 【完動】[< i-ratci-re-an 人を・静かになる・させる・ある] シーンと静まり返る。 akusu poro kucacise an, soyke ta iratcire-an híne síran アクス ポロ クチャチセ アン、 ソイケ タ イラッチレアン ヒネ シラン すると大きな狩小屋があった、 その外ではシーンと静まり返っていた。(NK民話) {E: to quieten down completely.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- iresu
- イレス 【自動】[i-resu もの/人・を育てる]子どもを育てる、 子育てする。 tópehe wen wa iresu eaykap トペヘ ウェン マ イレス エアイカㇷ゚ 乳が悪くて子どもを育てることができない。(S) iresu-sinta イレス シンタ 子育てのシンタ=赤ん坊をねかすゆり板(揺藍)(☞sinta シンタ)。 iresu sápo イレス サポ [雅]育てのおねえさん(ユーカラの主人公の孤児の少年を育ててくれる女性はいつもこう呼ばれている)。 iresu cási イレス チャシ [雅]育ての城(同じくユーカラの主人公の少年が育った家がこう呼ばれる)。 ☆参考 i=resu イレス《(引用文中)私を育てる》と同じ発音だが、 ユーカラの中では、 「私を育てる」は複数形を使って、 i-respa イレㇱパ と言う。 {E: to raise, bring up children.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- isamka
- イサㇺカ 【他動】[isam-ka 無くなる・させる] ①なくす、 捨てる。 ② ☞ram(u) isamka ラㇺ/ラム イサㇺカ {E: ①to lose, throw away, discard… ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- isapakikni
- イサパキㇰニ 【名】[i-sapa-kik-ni ものの・頭・をたたく・木] 鮭の頭をたたく棒。 ☆参考 鮭をとったらすぐに頭を木の棒でたたく、 すると跳ねていたのが動かなくなる。 {E: a wooden stick used to strike the head of freshly caught salmon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- isonukoan
- イソヌコアン 【自動】[iso-nu-koan 獲物・の豊猟・がある](山へ行って等)たくさんとって来る。 kú=isonukoan クイソヌコアン(私は) 獲物をたくさんとって来た。 ☞nu(we) koan ヌ(ウェ) コアン {E: to take, catch a lot of game (by going into the mountains etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
- iteki
- イテキ 【副】①(禁止)…するな(「するんでない」)、 …しないように(その出来事が起こらないことを話し手が希望することを表す)。 iteki cis イテキ チㇱ 泣くな(「泣くんでない」)。 iteki arpa! イテキ アㇻパ! 行くな、 行ってはだめ(「行くんでない」)。 iteki supki yak haw néno haweoka yan イテキ スㇷ゚キ ヤㇰ ハウ ネノ ハウェオカ ヤン [隠] ヨシがつぶれるように言うな(ヨシは一度踏まれてつぶれると、 もうもとどおりにふくれることができない。 そのように取り返しのつかないようなことを言うな)。(S) iteki ca hepita haw néno hawean イテキ チャ ヘピタ ハウ ネノ ハウェアン [隠]柴がはじけてのびるように言うな(細い枝の先が頭を押えられて曲がっているのを放すとパッとはじけてのびる、 そのように短気を起こすな、 すぐに怒ってはいけない)。 iteki mik kor an イテキ ミㇰ コㇿ アン[隠] ほえるな=横から口を出すな。 ②iteki…no イテキ…ノ …せずに。 iteki cis no mokor イテキ チㇱ ノ モコㇿ 泣かないで眠りなさい。 iteki…kunine イテキ…クニネ …しないように。 iteki iruska kunine pirkano tasa é=itak yak easir pirka p ne na イテキ イルㇱカ クニネ ピㇼカノ タサ エイタㇰ ヤㇰ エアシㇼ ピㇼカㇷ゚ ネ ナ 彼が腹を立てないように、 うまく受け答えをしなくてはいけませんよ。(S民話) (S) {E: Don't} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- itokpa
- イトㇰパ 【自動】[i-tokpa もの・に刻み目をつける] 墓標を刻む。 {E: to carve a grave marker.} (出典:田村、方言:沙流)
- iwor 1
- イウォㇿ 【名】尾根と尾根の間の比較的平らな部分、 山の谷間(たにあい)(熊狩りなどをする所、 狩場)、 山奥。 iwor íka イウォㇿ イカ 山(谷あい、 狩場)を越えて(行く)。 ayop tapika a=mut wa iwor or ta apkas=an アヨㇷ゚ タピカ アムッ ワ イウォロッタ アㇷ゚カㇱアン 私は矢入れ袋を肩から下げて山歩きをした(山の狩場を歩いた)。(HK民話) iramante kusu tuyma iwor or ta kucacise ku=kar wa oro ta k=an イラマンテ クス トゥイマ イウォロッタ クチャチセ クカㇻ ワ オロ タ カン 熊狩りをするために遠い山奥の狩場に狩小屋をつくってそこに暮らした。(W) hunak ta iwor or ta rik péka a=eyápkir híne フナㇰ タ イウォロッタ リㇰ ペカ アエヤㇷ゚キㇼ ヒネ どこか山奥で高い所から投げとばされて。(S民話) ☆参考 「だれそれの猟場」のように縄ばりのような概念で使われた例は出てこない。 {E: the valley between two ridges.} (出典:田村、方言:沙流)
- iyani
- イヤニ 【自動】[i-y-ani もの・(挿入音)・を携える] 食べ物を食べさせたくて持って行く。 ☆参考 接頭辞 ko- コ がつくときは koyani コヤニ、 また人称接頭辞 ku= ク、 e=エ がつくときは ku=yani クヤニ、 e=yani エヤニ となることがある。 {E: to carry, take food to feed someone.} (出典:田村、方言:沙流)
- iyapi
- イヤピ 【自動】体が不自由である(手とか足とか、 体のどこかに故障があるために思うように動けない人の属性を言う、 「悪い言葉ではない」)。(S) yayewen wa iyapi ヤイェウェン マ イヤピ 体に具合いの悪いところがあって体が不自由だ。(S) ☆参考 inukuri イヌクリ は年とって、 あるいはひどく疲れていたり病気などのために体が重く、 動くのがおっくうでさっさと動くことができない状態を言う。 {E: as some part of one's body is physically handicapped, one cannot move as one would like.} (出典:田村、方言:沙流)
- iyukoykire
- イユコイキレ 【自動】[i-y-ukoyki-re 人を・(挿入音)・けんかする・させる](告げ口をしたり意地の悪いうわさ話をしたりして)人をけんかさせる。 ☞ukoyki ウコイキ {E: to cause, make people fight, quarrel.} (出典:田村、方言:沙流)
- iyutakikir
-
イユタキキㇼ
§190 トンボ(蜻蛉) (16) iyuta-kikir (i-yú-ta-ki-kir)「イゆタキキㇼ」[
cap) (出典:知里動物編、方言:) - ka 3
- カ 【副助】(予想以上、 追加、 意外を表す。) ①…も、 …までも。 eani ka un=tura エアニ カ ウントゥラ あなたも私たちと一緒に行こう。(S) tup ka uk トゥㇷ゚ カ ウㇰ 二つも/二つとも取った。(S) ②(二回以上重ねて)…も…も、 …と…、 (動詞句のあとで)…したり…したり(日本語の「…も…も」よりもむしろ「…と…」に当たる場合もある)。 okkayo ka menoko ka porono oka オッカヨ カ メノコ カ ポロンノ オカ 男も女もたくさんいる。(S) cáca ka an rupnemat ka an チャチャ カ アン ルㇷ゚ネマッ カ アン じいさまとばあさまがいた。 ku=koytak ka en=koytak ka ki クコイタㇰ カ エンコイタㇰ カ キ 私が彼に話したり、 彼が私に話したりした。(W会話) ③(否定表現の中で)(1)…も…しない。 ponno ka ポンノ カ 少しも(…しない)。 sinep ka シネㇷ゚ カ 一つも(…しない)。 sinen ka isam シネン カ イサㇺ 一人もいない。 nen ka isam ネン カ イサㇺ だれもいない。 nep ka ku=sak ネㇷ゚ カ クサㇰ 私は何も持っていない。 (2)(名詞句、 副詞句、 動詞句の後、 否定辞 somo ソモ の前に置かれて) ka somo ne カ ソモ ネ …ではない。 seta ka somo ne セタ カ ソモ ネ 犬ではない。(W) ka somo ki カ ソモ キ (動詞句の後で)…しもしない、 …したりなんかしない、 全然 …しない(否定の返事で「いいえ、 …しない」に似たニュアンスでも使われる)。 ponno ka e ka somo ki ポンノ カ エ カ ソモ キ 少しも食べない。(S) néun ka hawean ka somo ki ネウン カ ハウェアン カ ソモ キ (彼は)何も言わない。 ape ruy ka somo ki, méan na, ape pirka kor ka hopuni アペ ルイ カ ソモ キ、 メアン ナ、 アペ ピㇼカ コㇿ カ ホプニ 火が燃えていなくて寒いから火が良く燃えてきてから起きなさい(後の ka カ は日本語には訳せないが予想外(相手が予想していないと思われることがら)を示す)。(S) ④[慣用句]pokas ka un …a p ポカㇱ カ ウン…アㇷ゚ あんなに…だったのに。 easir ka エアシㇼ カ (強調するとき easiriː ka エアシリー カ)それはそれはもう本当に。 hike ka ヒケ カ …のに、 …しても、 …にもかかわらず。 pakno ka パㇰノ カ これだけ(で十分です)、 もういい。 sonno ka ソンノ カ やっぱり本当に、 思ったとおり、 聞いていたとおり。 somo ka ソモ カ まさか…しない。 ☆発音 ①②③では、 強調するとき直前の音節(つまり前の語の最後の音節)を高く上げる。 日常会話ではこのアクセントが多く聞かれる。 ☆参考 「も」と訳せる場合は hem ヘㇺ と置き換えられることもあるが、 hem ヘㇺ は単に「AもBも」とか「…もまた」とかを表し、 ka カ は予想以上のことや予想されていなかった新しい情報であることを示す。 {E: too; also.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ka(si) oyki
- カ(シ) オイキ 【連他動】[ka(si) o-iki …の上・に・ものごとを行なう]…の世話をする、 (身寄りのない人)を引き取って養う。 néa onne utar onne pakno kasi a=oyki ayne ネア オンネ ウタㇻ オンネ パㇰノ カシ アオイキ アイネ 私たちはその老人たちが亡くなるまでお世話して。(NK民話) en=ka e=oyki エンカ エオイキ あなたが私を養ってくれる。(S) {E: to look after…, to take care of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kakka
- カッカ 【他動/自動/名】[kay《…をおぶう》の語頭の部分の重複][幼] おんぶ(kay カイ[他動]《…をおぶう》、 pakkay パッカイ[自動]《おんぶする》を表す幼児語)。 ay-ay kakka アイアイ カッカ[幼] 赤ちゃんおんぶ(=人形をおぶう、 おんぶしたい、 おんぶさせて、 おんぶしている)。 {E: to carry…on one's back.} (出典:田村、方言:沙流)
- kampes
- カンペㇱ 【副】[kam-pes 肉・に沿って] 体の線に沿って縦に。 kampes páro カンペㇱ パロ 体の縦の線に沿って縦に口がついている=口が曲がっている。 kampes síko カンペㇱ シコ 体の縦の線に沿って縦に目がついている=目が曲がっている。 {E: along the lines of the body (vertically).} (出典:田村、方言:沙流)
- kamuy 2
- カムイ 【名】[< kamuy 1][動物] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kamuy-cáca カムイチャチャ [熊・じいさん] 熊(の呼び名の一つ)。 yuk ne ciki kamuy ne ciki eawnarura ユㇰ ネ チキ カムイ ネ チキ エアウナルラ 鹿でも熊でもとって(家へ運んで)来た(たくさんの民話の中で、 何不自由なく暮らしている主人公の登場の初めにしばしば出て来る表現の一つ)。 {E: a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamuyitun(n)ap
- カムイイトゥンナㇷ゚ §123 アリ 蟻 (20) kamuy-itun(n)ap(ka-múy-i-tun-nap)「カむイイトゥンナㇷ゚」⦅足寄⦆ムネアカオオアリ Campontus herculeanus obscuripes MAYR. 足寄I, 48 (出典:知里動物編、方言:)
- kanemay
- カネマイ 【名】[< káne-may 金属・響き] 金(かね)の響き。 kanemay ne uwetunuyse カネマイ ネ ウウェトゥヌイセ 金(かね)の響きのように美しく響いて聞こえる(金物をたたいたときにウンウンウン…というような音が響く、 そのような響きのことを言う)。(S) itak ne manu p/ekutcam konna/kanemay ne/uwetunuyse イタㇰ ネ マヌㇷ゚/エクッチャㇺ コンナ/カネマイ ネ/ウウェトゥヌイセ [雅](姉が)ものを言うとその声が金(かね)の響きのように美しく響く。(Sユーカラ) m sinotcaki hawe kanemay ne uwetunuyse シノッチャキ ハウェ カネマイ ネ ウウェトゥヌイセ [雅] 歌う声が金(かね)の響きのように美しく響く。(S) ☆発音 káne カネ《金(かね)》とはアクセントが違い、 第二音節 ne ネ を高く発音する。 {E: a metallic sound.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kanpe
- カンペ 【名】[kan-pe 上の・水]波の上。 kanpe kurka eto&sosatki カンペ クㇽカ エトソサッキ [慣用句](舟が)波を切ってザーザーと音をさせて行く。(S) kanpe kurka ecarse カンペ クㇽカ エチャㇻセ (舟が)波の上をサーッとすべって行く。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- kararak
- カララㇰ 【名】[動物] カラスの一種、 karr, karr カㇽㇽ カㇽㇽ と鳴く。 ☞paskur パㇱクㇽ〔知分類 p.179 ハシボソガラス〕 {E: a carrion crow.} (出典:田村、方言:沙流)
- karku
- カㇻク 【名】[概/所] 甥(おい)(「おいこ」)(acapo アチャポ《伯叔父》と unarpe ウナㇻペ《伯叔母》の息子)。 ☆参考 matkarku マッカㇻク めい(姪)。 {E: a nephew.} (出典:田村、方言:沙流)
- karop
- カロㇷ゚ 【名】[kar-o-p (?)・を入れる・もの] 小物入れ。 karop takup se kane híne カロㇷ゚ タクㇷ゚ セ カネ ヒネ 弓矢などを持たず、 身の回りの物を入れた小物入れだけを背負って(気軽ないでたちであることを表す)。(HK民話)〔萱民具 p.131 火打ち用具入れ〕 ☆参考 『音声資料』(1-6)にはその用例は出てこない。 {E: an accessory case; a small pouch.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kas 1
- カㇱ 【名】木を組み合わせてつくった漁小屋(三角屋根になるように木をもたせかけてつくる。 中に入って火にあたれるくらいの大きさ)。 ☆参考 山の狩猟をするための狩小屋は kuca クチャ。 {E: a wooden fishing hut.} (出典:田村、方言:沙流)
- kasusne
- カスㇱネ 【自動】大したことなくてすむ(けがが、 税金が、 罰金が)。 kasusne kane yakun pirka wa カスㇱネ カネ ヤクン ピㇼカ ワ (けがが)あまり大したことなくて(ひどく痛くなくて)よかったなあ。(S) haː, kasusne hawe iki wa! ハー、 カスㇱネ ハウェ イキ ワ! ああ、 「たいしたこと」言ってきた(反語)=「百円ぐらいですむと思ったのに何万もと言ってきた。」 (S) ☆参考 病気のことには言わない。(S) {E: to be of little significance, importance; not be serious.} (出典:田村、方言:沙流)
- kátuyemimak
- カトゥイェミマㇰ 【名】[概](所は kátuyemimaki(hi) カトゥイェミマキ(ヒ))[ka-tuye-mimak 糸・を切る・歯] 犬歯、 糸切り歯。(S) ☆参考 姉のワテケさんは、 糸切り歯を表す語はないと言った。 だからサダモさんの言ったこの語は、 日本語からの翻訳によってつくられた新しい語であろう。 ☞mimak ミマㇰ {E: the canine teeth} (出典:田村、方言:沙流)
- kátuyemimaki(hi)
- カトゥイェミマキ(ヒ) 【名】[所]…の犬歯/糸切り歯。 {E: the canine teeth of…} (出典:田村、方言:沙流)
- kay 2
- カイ 【他動】(赤ん坊や年寄り)をおぶう。 ☆参考 ものを背負うことは se セ。 腕にだくことは ani アニ、 ひざの上でだいたり立たせたままだきしめたりするのは kisma キㇱマ。 {E: to carry…on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kaykuma
- カイクマ 【名】たきつけにする細い木、 たきぎ、 柴。 ☆参考 has ハㇱ 生えている小さい細い木。 ca チャ 枝の先の細い枝。 {E: firewood} (出典:田村、方言:沙流)
- kaypeci
- カイペチ 【名】[日本語][植物] キャベツ(「カイベツ」)。 {E: a cabbage.} (出典:田村、方言:沙流)
- kaysotono
- カイソトノ 【名】[< 日本語 会所殿(?)] 松前時代の役人の一つ(総監督)。 {E: an offical of the Matsumae Period.} (出典:田村、方言:沙流)
- kaːk
- カーㇰ 【間投】(カラスの鳴き声) kaːk kaːk カーㇰ カーㇰ カー カー。 ☆参考 カラスの一般的な名称は paskur パㇱクㇽ。 {E: the call, cry of a crow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ke 1
- ケ 【他動】(ものの表面)をか(掻)く(こすって削る)。 イナウ(木の御幣)をか(掻)く(木の表面を削って御幣をつくる)。 canan inawpo/[u]ke ruwe ne チャナン イナウポ/[ウ]ケ ルウェ ネ 「サーッとした」(=あまり立派でない)イナウ(木幣)をつくった。(W神謡K) inawke イナウケ イナウ(木幣)をつくる。 wakkakep ワッカケㇷ゚ 舟の中の水をかき出す道具(「あかとり」)。 ke ケ 2【間投】(意外なことを知って驚いた気持ちの軽い表現。)えっ、 あれっ。 ke, sanpehe sak no ek hawe ne yakun mak ne hawe? ケ、 サンペヘ サㇰ ノ エㇰ ハウェ ネ ヤクン マㇰ ネ ハウェ? (自分の心臓を木の上に干したまま忘れて来たとサルが言うのを聞いてクラゲが)えっ、 心臓を持たずに来たのではしょうがないじゃないか。(S民話) ke ke ke ke iyohay! ケ ケ ケ ケ イヨーハイ! あらあらあらあらまあ大変だ(ちらかっている所へ突然お客が来てびっくりしてあわてて)。(S) ☆参考 iyohay sitomare イヨハイ シトマレ は、 本当にあきれた/びっくりしたことの表現。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- keray
- ケライ 【副】(いろいろな熟語や決まった言い回しの中で、 「さすがに」に似たニュアンスを与える。) kus(u) keray クス/クㇱ ケライ …したおかげで、 さすが…するからこそ。 ku=poho ne kus keray hok wa ek クポホ ネ クㇱ ケライ ホㇰ ワ エㇰ さすがうちの息子だからこそ買ってきた。(S) keray kusu ケライ クス=kus(u) keray クス/クㇱ ケライ。 keray…ne ケライ…ネ さも/さすがに…らしく。 keray kamuy ne/kamuy ipor/annoyekar ケライ カムイ ネ/カムイ イポㇿ/アンノイェカㇻ [雅]さも神らしく顔つきもいかにも神の顔つきらしい。(Sユーカラ) keray ne kusu ケライ ネ クス さすがに…だから/だけあって。 kamuy kar cási/keray ne kusu/cási kamuy/pirka katu カムイ カㇻ チャシ/ケライ ネ クス/チャシ カムイ/ピㇼカ ルウェ [雅]神のつくられた城だけあって、 さすがに立派な城の美しいことを。(Sユーカラ) keray tausa ケライ タウサ さすがに。 keray tausa/kamuy kar cási/an pe ne kus ケライ タウス/カムイ カッ チャシ/アン ペ ネ クㇱ [雅]さすがに神のつくられた城だから。(Sユーカラ語り) {E: thanks to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kewsut
- ケウスッ 【名】[概](所は kewsutu(hu) ケウストゥ(フ)) (親族名称としての)おじ、 伯父/叔父。 「この場にいない人、 亡くなったかまたは遠くにいる伯叔父を言う。」 (S) ku=kewsututari too Tokapci ta oka クケウストゥタリ トオ トカㇷ゚チ タ オカ 私のおじさんたちは遠く離れて十勝にいる。(S) ☆参考 通常「おじさん」と言うのには acapo アチャポ (二風谷では áca アチャ)が使われる。 ☞áca アチャ、 acapo アチャポ {E: an, the uncle.} (出典:田村、方言:沙流)
- ki 1
- キ 【他動】①…をする。 iteki cápe haw ki hani! イテキ チャペ ハウ キ ハニ! 猫の声をするなよ。(S民話) ②(動詞を名詞として使い、 その後にこの ki キ をおいて)…をする。 ruyka poro opus ki wa an na iyaykipte na, yayitupareno arpa ルイカ ポロ オプㇱ キ ワ アン ナ イヤイキㇷ゚テ ナ、 ヤイトゥパレノ アㇻパ 橋が大きな穴あきをしている(=橋に大きな穴があいている)からあぶないから気をつけて行きなさい。 pon sikepo ki kane wa ek ポン シケポ キ カネ ワ エㇰ 彼は小さい荷物背負いをして(=小さい荷物を背負って)来た。 pirka usapki e=ki kusu ne na ピㇼカ ウサㇷ゚キ エキ クス ネ ナ (あなたは)よい働きをする(=よく働く)のですよ。 ③(動詞の後に hi ヒ《こと》を置き、 その後にこの ki キ を置いて) hi ki rusuy ヒ キ ルスイ…してもらいたい、 …してほしい。 ci túnas hi ku=ki rusuy チ トゥナㇱ ヒ クキ ルスイ 私は(イモなどが)早く煮えてほしい。 ④(代動詞として、 つまり本動詞のあとに副詞(連用語)や名詞(主語・目的語)が補われたり、 また副助詞がついたりした場合に、 そのあとに ki キ を置くことによって再び全体が動詞句として機能する、 つまり文を終止したり次に助動詞や接続助詞等々が続いたりすることができる。)…する。 Kusur ta patek nuwe an ranma ki p ne yak a=ye クスㇽ タ パテㇰ ヌウェ アン ランマ キㇷ゚ ネ ヤカイェ 釧路でばかりいつも(それが)たくさん取れるのだそうだ。(S会話) a=kopásrota a=ukókikkikpa a=onáha ka a=unúhu ka ki アコパㇱロタ アウコキッキㇰパ アオナハ カ アウヌフ カ キ 私は父も母もののしったりボカボカなぐったりした。(S民話) a=mipa p a=huráypa póka somo ki p ne kusu アミパㇷ゚ アフライパ ポカ ソモ キㇷ゚ ネ クス 私は着るものを洗いさえしなかったので。(W民話) ⑤(韻文で、 韻律を整えるために、 音節数の足りない行の動詞のあとに置かれる。 文法機能上は、 他のいろいろな他動詞(easkay エアㇱカイ、 eaykap エアイカㇷ゚ など)の助動詞的用法と同じになる。) ⑥ ki humi pirka キ フミ ピㇼカ 安心する、 気持ちがいい。 nep póka k=ére wa ku=ki humi pirka ネㇷ゚ ポカ ケレ ワ クキ フミ ピㇼカ (私は)彼に少しでも食べさせて安心した。(S) {E: ①to do… ②… ③… ④… ⑤… ⑥…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kimokar
- キモカㇻ 【他動】(熊が)(人)をとる。 a=kimókar アキモカㇻ 彼が熊にとられる。 a=en=kimokar アエンキモカㇻ 私が熊にとられる。 {E: (for a bear) to take, catch hold of (someone).} (出典:田村、方言:沙流)
- kimunkamuy
- キムンカムイ 【名】[動物][kim-un-kamuy 山・にいる・神](=kimun-kamuy キムン カムイ) 山の神=熊。 ☆参考 最も正式な呼び名。 通常簡単に言うときは kamuy カムイ と言う。 ほかに kamuy-caca カムイチャチャ《神/熊・じいさん》のような呼び方もある。 ☆参考 合成語の要素としては yuk ユㇰ が熊を表すことがある。 ☆参考 kucan クチャン 雌熊、 síyuk シユㇰ 雄熊、 heper ヘペㇾ 子熊、 pewrep 同(呼び名)、 wenkamuy ウェンカムイ ばけもの(悪い熊を悪く言う呼び名)、 nupurikesun cáca ヌプリケスン チャチャ 山すそのじじい(最もたちの悪い熊の呼び名)、 そのほか、 昔は熊の年齢・性別・性質・それに対する話者の気持ちなどによっていろいろな名称が使い分けられていたらしい。 〔知分類 p.151〕 {E: a mountain god; a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kina
- キナ 【名】[植物]草。 aykocararke kina réhe ikaray ne アイコチャラㇻケ キナ レヘ イカライ ネ とげだらけの草の名はイラクサだ。(S) a=tesé kina アテセ キナ [ござに編む・草] ガマ。 a=e kina アエ キナ [食べる・草] 食用の草。 surku kina スㇽク キナ [毒・草] 毒草。 kina us キナ ウㇱ [草・(そこに)つく/生える] (畑)に草が生える。 kina kar キナ カㇻ 草取りする。 emo kina e=kar hawe? エモ キナ エカㇻ ハウェ? (あなたは)いも畑の草取りをするんですって? (W) ☆参考 食用の野草、 薬草、 毒草、 畑の雑草、 野菜等、 生活に関係ある草を言う。 そのへんに生えている雑草のことは「ごみ」と同じく mun ムン と言う。 〔知分類 p.273〜274〕 {E: edible and medicinal grasses, plants used in daily life (not weeds.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kir 1
- キㇼ 【他動】…におぼえ(見覚え、 聞き覚え)がある、 …であの人だとわかる。 sikpuye ku=kir シㇰプイェ クキㇼ 目もとに見覚えがある、 目もとで彼だとわかる。(S) {E: to recognise, know, recall…} (出典:田村、方言:沙流)
- kirikatci
- キリカッチ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(30) kirikatci (ki-ri-kat-či)「キリカッチ」=ican(C. p. 276) (出典:知里動物編、方言:)
- kiserihi
- キセリヒ 【名】[所](概は kiseri キセリ) …のきせる(パイプも)。 ku=kiserihi sinotcaki kor an kusu ruyanpe an noyne hum as クキセリヒ シノッチャキ コㇿ アン クス ルヤンペ アン ノイネ フㇺ アㇱ 私のきせるが歌を歌っているから嵐がある(雨が降る)らしい。(S) {E: the smoking pipe of…} (出典:田村、方言:沙流)
- kíske
- キㇱケ 【自動】[ki-ske(< sike) カヤ・荷を背負う](kísike シケ の s と k の間の i が落ちた形。)ヨシ/カヤを背負う。 {E: to carry a load of reeds on one's back.} (出典:田村、方言:沙流)
- kisma
- キㇱマ 【他動】…をつかむ/捕らえる/握る、 …を押える、 (子ども)をだく(ひざの上で)。 ☆参考 立って/歩いていて腕にだくことは ani アニ。 {E: to catch, grab, grasp, get a hold of…; to nurse (a child) on one's lap.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kiyuturu(hu)
- キユトゥル(フ) 【名】[所](概は未出。 uturu(hu) ウトゥル(フ) の概は utur ウトゥㇽ)[ki-utur-u(hu) カヤ・の間・(所属語尾)](icari イチャリ《ざる》や toma トマ《ござ》のように ki キ カヤ/ヨシで編んだものの)目。 kiyuturu sep icari キユトゥル セㇷ゚ イチャリ 目の粗いざる。(S) {E: the holes of a sieve.} (出典:田村、方言:沙流)
- koci(hi)
- コチ(ヒ) 【名】[所](概は kot コッ) …を置いた跡、 …があった跡、 …の(くぼんだ)跡。 suma a=ari kocihi スマ アアリ コチヒ 石を置いた跡。 cise kocihi a=kar チセ コチヒ アカㇻ 家の地ならしをする。 cise a=carpa kocihi an チセ アチャㇻパ コチヒ アン 家をこわした跡(のくぼみ)がある。(S) ☆参考 通った跡は ruwe(he) ルウェ(ヘ)、 手や足の跡は rúkoci(hi) ルコチ(ヒ)。 {E: the remains, traces…} (出典:田村、方言:沙流)
- koetuypapa
- コエトゥイパパ 【複他動】[複複](単は未出) (二人以上が皆で)(人)から(二つ以上を)取り返す。 sekor an pe ye kor orano caranke, coypep noski ikor noski koetuypapa セコラン ペ イェ コㇿ オラノ チャランケ、 チョイペㇷ゚ ノㇱキ イコン ノㇱキ コエトゥイパパ (彼は)そう言って談判し、 宝器の半分、 宝刀の半分を彼らから取り返した。(NK民話) {E: to take back…from… (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koeun
- コエウン 【他動(?)】[ko-eun …は・…につく] tapan cási/kamuy inuma/kamuy iyoype/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/カムイ イヨイペ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kokanu
- コカヌ 【他動】[ko-ka-nu …に・(?)・聞く] …にじっと聴き入る。 a=onruyka kor kokanu wa an アオンルイカ コㇿ コカヌ ワ アン 子守歌を歌ってやると(赤ん坊は)じっと聴いている。(S) pirkano kokanu hani ピㇼカノ コカヌ ハニ よく聴いていなさいよ。(S) tomo kokanu トモ コカヌ[連他動]…に忠実に従う。 e=ye p tomo kokanu utar エイェㇷ゚ トモ コカヌ ウタㇻ あなたの言うことに忠実に従う人々。 {E: to listen to…carefully.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- konisarpa
- コニサㇻパ §236.かんびょおする(看病する);看護する;介抱する(5)konisarpa〔ko-ní-sar-pa コにサㇻパ〕[<koni(病苦)、carpa(散らす)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- konkori
- コンコリ §278 あざらし (31) konkori (kón-ko-ri)「こンコリ」 ⦅多来加⦆フイリアザラシ Phoca hispida largha PALLAS. の成体 (出典:知里動物編、方言:)
- konottarara
- コノッタララ 【他動】[ko-not-tarana …に向かって・あご・を上げている] あごを突き出して(上)を見上げている。 cási kotor/a=konóttarara チャシ コトㇿ/アコノッタララ [雅]私は天井をにらんでいた。(Sユーカラ) ☆参考 同じ文脈で konottesusu コノッテスス とも言っている。 ☞nottarara ノッタララ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koohana
- コオハナ 【名】あんなやつ、 こんな者(さげすみや謙遜の表現)。 wenkur utar koohana hemanta kor wa i=aske uk kor oka hawe oka? ウェンクㇽ ウタㇻ コオハナ ヘマンタ コㇿ ワ イアㇱケ ウㇰ コロカ ハウェ オカ? 貧乏人ども、 あんなやつらが何を持っておれたちを招待すると言うのだろう。(W民話) hotasnu kewtum, koohana ne yakka ku=yaykorpare ホタㇱヌ ケウトゥム、 コオハナ ネ ヤッカ クヤイコㇿパレ [雅]気がかりな気持ちにこんな私のような者でもなりました。(W会話) {E: That rascal, fellow!} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kookay
- コオカイ 【他動】[複](単は koan コアン)[ko-okay …に・ある[複]](okay オカイ は oka オカ と同じで、 -pa(複数語尾)/pe《もの》パ/ペ の前に置かれたときの形。) ☞nuwe kookáy ヌウェ コオカイ {E: to catch (a lot of game).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kooripak
- コオリパㇰ 【他動】[ko-oripak …に対して・畏れ慎む] …を敬って慎み深くする、 …に恐縮に思う。 katkemat kooripak=an kor カッケマッ コオリパㇰ アン コロ 奥様に申し訳なく思いながら。(W民話) {E: to be descrete, cautious, careful about…; to feel obliged about…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopakke
- コパッケ 【位名】[所](概は kopak コパㇰ)[kopak-ke の方・の所] …の方(方面、 方向)、 …の近くのところ。 kopakke sama コパッケ サマ[雅]…の方。 epa=kor cási/kopakke sama/a=yaytuyere/a=yayterkere エパコㇿ チャシ/コパッケ サマ/アヤイトゥイェレ/アヤイテㇾケレ [雅]私の城の方に向かって私はまっすぐに進んでいった。(Sユーカラ) {E: towards…; near…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kopunkine
- コプンキネ 【他動】[ko-punkine …に・護衛する](次のような表現の中で) aynu kotca kopunkine アイヌ コッチャ コプンキネ [人間・の前・に護衛する] 人間を(疫病神からさえぎって)守る。 aynu kotca kopunkine p tan isokapiw ne kusu アイヌ コッチャ コプンキネㇷ゚ タン イソカピウ ネ クス 人間を疫病神から守ってくれるものがこのアホウドリだから。(HK民話) {E: to protect…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kor 3
- コㇿ 【接助】①…しながら、 …しつつ。 suke kor an スケ コラン 煮炊きしている。 cís=an kor a=eyáykopuntek チサン コㇿ アエヤイコプンテㇰ 私は泣きながら喜んだ。 iku kor sinotcaki kor an イク コㇿ シノッチャキ コラン 彼は酒を飲みながら歌を歌っている。 ②…すれば、 …すると、 …する/したときは。 pon a=yupíhi ekimne kor a=turá ポン アユピヒ エキㇺネ コㇿ アトゥラ 小さい兄が山へ行くときは私も一緒に行った。 kesto an kor ケㇱト アン コㇿ 毎日毎日。 mata réra ruy kor méan マタ レラ ルイ コㇿ メアン 冬に風が強ければ寒い。 {E: ①while. ②if; when.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- korayniwkes
- コライニウケㇱ 【他動】[ko-ray-niwkes …に対して・ひどく・できかねてし残す] …することができない気がする。 {E: to feel as though one cannot do…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kosatnankasi-ukaeroski
- コサッナンカシウカエロㇱキ 【自動】[ko-sat-nan-kasi-ukaeroski …と共に・乾いた(?)・顔・の上・重なり合う][雅](次のような韻文の慣用表現で)しわだらけの恐ろしい顔をしている。 sanca or ta/mína ne manu p/kosatnankasi/ukaeroski サンチャ オッタ/ミナ ネ マヌㇷ゚/コサッナンカシ/ウカエロㇱキ (大きなばけものが)ニタニタ笑ってしわだらけの恐ろしい顔をしている。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- kosirerma
- コシレㇾマ 【後副】…のついでに、 …するついでに。 kesto kunneywa pisno ewonne kosirerma wakka omare ranke ケㇱト クンネイワ ピㇱノ エウォンネ コシレㇾマ ワッカ オマレ ランケ 毎日朝ごとに(毎朝)顔を洗うついでに(花瓶に)水を入れなさい。(S) {E: while one is at (about) doing…; while one has the occassion to do…} (出典:田村、方言:沙流)
- kot 2
- コッ 【名】[概](所は koci(hi) コチ(ヒ)) 何かの跡、 (地の)くぼみ。 ☆参考 とりで/城の跡は cásikot チャシコッ、 手や足の跡は rúkot[概]/rúkoci(hi) ルコッ/ルコチ(ヒ)[所]、 通った跡は ru ル[概]/ruwe(he) ルウェ(ヘ)[所]。 {E: the remains of…; a hollow (in the ground.).} (出典:田村、方言:沙流)
- kotco
- コッチョ 【名】[< 日本語 ] ごちそう。 {E: a delicacy (food).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koy kor kane
- コイ コㇿ カネ 【副】[波・を持つ・…して][他方言](水鳥が)波を切って行く。 ☆参考 「これは koyka ta itak コイタ タ イタㇰ 静内辺の言葉。 ここでは koycakaka コイチャカカ と言う。」 (S) {E: (for a water bird) to cut through the water.} (出典:田村、方言:沙流)
- koyaykar
- コヤイカㇻ 【自動】[ko-yay-kar (叙述を導く)…が・自分・つくる][雅] ①変身する、 化ける、 なる。 urar tak ne/koyaykar kane ウタッ タㇰ ネ/コヤイカㇻ カネ [雅](直訳すると)霞(かすみ)の塊に変身した=霞をかぶっている。(Sユーカラ) ②(次の慣用表現で)つくられている。 iresu cási/cási upsor/koyaykar ruwe/ene oka hi イレス チャシ/チャシ ウㇷ゚ソㇿ/コヤイカン ルウェ/エネ オカ ヒ [雅]育てられた城の内部のつくりようは次のよう。(Sユーカラ) ☞yaykar ヤイカㇻ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koyayramu
- コヤイラム 【他動】[ko-yay-ramu …に・自分・…を思う] …を忘れて思い出せない、 …をやっと思い出したり思い出さなかったりする。 {E: to forget, to be able, unable to recall…} (出典:田村、方言:沙流)
- koykar
- コイカㇻ 【他動】[ko-i-kar …に合わせて・ものを・つくる/する] …を模する、 …をモデルとする。 kuytop kamuy hopunpa siri apkas siri a=koykar sinot hararki sekor a=ye クイトㇷ゚ カムイ ホプンパ シリ アㇷ゚カㇱ シリ アコイカㇻ シノッ ハラㇻキ セコライェ 雁(がん)の神が飛んで行く様子を模した遊び(踊り)はハララキと言う。(S独話) hawe ku=nu wa kusu ku=koykar wa tane sinotca ne ku=ye hawe ne ハウェ クヌ ワ クス クコイカㇻ ワ タネ シノッチャ ネ クイェ ハウェ ネ …と言っていた声を私は聞いたからそれを模していま歌にして歌います。(S独話) {E: to imitate…; use…as a model.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- koyki
- コイキ 【他動】[ko-i-ki …に対して・ものを・する] ①…を怒りつける、 …を叱りつける、 …をいじめる、 …を襲う、 (鳥や魚)をとる。 ne kusu a=koyki hawe ka erampewtek ネ クス アコイキ ハウェ カ エランペウテㇰ (この子は)なぜ怒られているのかわからない。(W独話) kimunkamuy i=koyki yakka キムンカムイ イコイキ ヤッカ 熊が(引用文中の)私を襲っても(=熊に襲われても)。(HK民話) cep koyki チェㇷ゚ コイキ 魚をとる。 cikap koyki チカㇷ゚ コイキ 鳥をとる(rayke ライケ とも言う)。 ceppokoyki チェッポコイキ 小魚をとる。 hawekoyki ハウェコイキ 言葉で叱り/どなりつける。 ② ☞ram(u) koyki ラㇺ/ラム コイキ ☆参考 獣をとることは rayke [単]/ronnu[複] ライケ/ロンヌ。 鳥を打つことには koyki コイキ も rayke ライケ も使う。 魚を「釣る」ことは peraykar ペライカㇻ。) {E: to scold, bully, attack, catch(birds or fish).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ku 3
- ク 【名】[概](所は kuwehe クウェヘ)「アマツポ」(動物を獲るための仕掛弓)。 ku or osma ク オㇿ オㇱマ (獲物が)「アマッポ」にかかる。(S) ☆参考 アマッポの弦は kúka クカ、 矢は ay アイ、 動物がひっかかると発射する仕掛けの紐は notka ノッカ、 発射することは cak チャㇰ《はじける》、 アマッポをしかけることは kuari クアリ。 ☆参考 ku ク《弓》と同じ発音だが、 所属形が違う。 {E: a hunting bow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kuari
- クアリ 【自動】[ku-ari 仕掛弓・を置く](=kuwari クワリ)「アマッポ」(動物を獲るための仕掛弓)をしかける。 ku=kuari/ku=kuwari ククアリ/ククワリ 私はアマッポを仕掛ける。 {E: to set a hunting bow as a trap to catch game.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kucipeker
- クチペケㇾ 【自動】[kuci-peker そののど[所]・澄んでいる] 声が澄んでいる、 澄んだ声の…。 kucipeker menoko sinotca haw クチペケㇾ メノコ シノッチャ ハウ 声の澄んだ女性の歌う声。(NK民話) (出典:田村、方言:沙流)
- kunneecinke
- クンネエチンケ §420 カメ (5) kunne-ecinke (kún-ne-e-čin-ke)「くンネエチンケ」[<黒い・亀] ⦅室蘭、幌別、白老⦆アオウミガメ E. ‘green turtle’, Chelonia japonica. (出典:知里動物編、方言:)
- kuruma
- クルマ 【名】[日本語] 乗用車、 自家用車。 (W) ☆参考 昔はなかった。 録音当時、 タクシー、 バス、 汽車などと合わせて aop アオㇷ゚ とも言い、 取り立てて自家用車を言うのには kuruma クルマ と言っていた。 {E: a car; a vehicle.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kus(u)
- クス/クㇱ 【接続/後副】①(動詞句の後で) …するために、 …したから。 mosma kur kor kusu é=iki hi ka somo ne モシマ クㇽ コㇿ クス エイキ ヒ カ ソモ ネ ほかの人が持つためにあなたはするのではない。 kemaha nam kusu suy soyne rusuy ケマハ ナㇺ クス スイ ソイネ ルスイ 足が冷たくなるのにまた外へ出たがる。 ②(名詞句の後で) …のために、 …のゆえに、 そのために。 mosma kur kusu ne kunak ku=ramu モㇱマ クㇽ クス ネ クナㇰ クラム ほかの人のためだと私は思った。 ekouwepekennu kus ek エコウウェペケンヌ クㇱ エㇰ 彼はあなたの話を聞きに来た。(S) ③(kus クㇱ にならず、 常に kusu クス の形で)(関係詞的用法)そのために…する/したところの…(…する/した目的)。 kusu e=arpa p epitta e=eraman ka somo ki no hńta kusu túnas e=hosipi hawe an? クス エアㇻパㇷ゚ エピッタ エエラマン カ ソモ キ ノ フンタ クス トゥナㇱ エホシピ ハウェ アン? そのためにおまえが行った事を(行った目的である勉強を)すっかりおぼえないで、 なぜ早く帰って来たのか。 ④熟語 hi kusu ヒ クス (だ)から、 そのために。 c=e ka etoranne hi kusu arorkisne kanpi níkor cómare hine… チェ カ エトランネ ヒ クス アロㇿキㇱネ カンピ ニコㇿ チョマレ ヒネ…. 食べたくなかったからそっと紙にくるんで…。(S) hemanta kus(u)/hńta kus(u) ヘマンタ/フンタ クス/クㇱ なぜ。 mak an kus(u) マカン クス/クㇱ どういうわけで。 mak an pe kus(u) マカン ペ クス/クㇱ どういうわけで。 makanak ne kus(u) マカナㇰ ネ クス/クㇱ どういうわけで。 wa kus(u) ワ クス/クㇱ …したから、 だからこそ。 pe ne kus(u) ペ ネ クス/クㇱ/p ne kus(u) プ ネ クス/クㇱ …する/したものだから、 …する/したので。 k=eywankep ka isam, a=konere p ne kusu ケイワンケㇷ゚ カ イサㇺ、 アコネレㇷ゚ ネ クス 私が使うのがない、 粉々にされたものだから。(S) hike kusu/ayke kusu ヒケ クス/アイケ クス …する/したからといって、 …したとしても。 keray(po) kus(u) ケライ(ポ) クス/クㇱ …したおかげで。 kus(u) keray(po) …クス/クㇱ ケライ(ポ) (動詞の後に置かれて)…したおかげで。 e=an kus(u) keray(po) エアン クス/クㇱ ケライ(ポ) あなたのおかげで。 ne kus(u) koraci ネ クス/クㇱ コラチ まるで…そっくりに。 kamuy ne kus koraci an onne kur カムイ ネ クㇱ コラチ アン オンネ クㇽ まるで神のような老人。(KC民話) 使役 + kusu ye クス イェ …するように言う(間接命令)。 i=ahupte kus(u) ye イアフㇷ゚テ クス/クㇱ イェ (引用文で)彼は私たちに入りなさいと言う。(NK民話) en=ere en=ere kus ye エネレ エネレ クㇱ イェ 私に食べなさい食べなさいと言う。(S) hunakke kusu フナッケ クス ☞hunakkekusu フナッケクス。 hinakke kusu ヒナッケ クス ☞hinakkekusu ヒナッケクス。 kusu an クス アン[単]/kusu oka クス オカ[複] とても…。 sattek kusu oka サッテㇰ クス オカ (二つ以上が)とてもやせこけている。(S会話) kus(u) ne クス/クㇱ ネ (未来の表現) …する(ことになっている)、 …しようとしている、 …します。 ☞kusu ne クス ネ ☆発音 早く話すとき強調しないときはしばしば語末の母音 u が落ちて kus クㇱ と発音される。 {E: ①in order to…; because one did… ②for…; because… ③that's why for that.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kusun 1
- クスン 【後副】[kusu-un ために・(納得の助辞)] …(だ)から、 なるほど…(だ)からなのだなあ、 …のために…なのかなあ。 {E: because; for that reason.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kuttom
- クットㇺ 【名】[概](所は kuttomo(ho) クットモ(ホ))[kut-tom のど・の中(?)] ①のど。 ②「浪花節のようにうなる声」(低い声をふるわせるようにうなるようにして歌う声、 男性の歌い方の一つ)。 ☞kuttomsinotca クットㇺシノッチャ ☆参考 一般に「のど」は rekut レクッ。 {E: ①the throat. ②…} (出典:田村、方言:沙流)
- kuwari
- クワリ 【自動】[ku-ari 弓・を置く](=kuari クアリ)(動物を獲るための)アマッポ(仕掛弓)をしかける。 {E: to set a hunting bow as a trap to catch game.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- manu
- マヌ 【助動】…という。 (次の限られた用法でのみ用いられる。 それ以外の用例は歌の中の決まった言葉である。) ne manu ネ マヌ 先に言われた…、 いわゆる…。 ne manu p ネ マヌㇷ゚ …というもの。 mak iki=an wa siknu ne manu p a=ki oasi hi an? マㇰ イキアン マ シㇰヌ ネ マヌㇷ゚ アキ オアシ ヒ アン? これからどうやって生きるということを私はすればいいのでしょう。(W民話) {E: is…; is called…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- matkarku
- マッカㇻク 【名】[概/所][mat-karku 女・甥] めい(姪)(acapo アチャポ《おじ》、 unarpe ウナㇻペ《おば》の娘)。 ☆対語 karku おい(甥)。 {E: a niece.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mawari
- マワリ 【後副】[日本語](日本語の混じった歌の中で、 後置副詞として使われている。) …のまわりを(回って)。 cási mawari チャシ マワリ 柵の回りを(回って)。 ☆参考 アイヌ語では cási okari チャシ オカリ と言う。 {E: around…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mayayke 2
- マヤイケ 【名】ひぜん(皮ふのかゆい病気)。 mayayke koturse マヤイケ コトゥㇽセ ひぜんがうつった。(W) {E: scabies.} (出典:田村、方言:沙流)
- maymene
- マイメネ §007.むすめ(娘)(14)maymene〔máǐ-me-ne まイメネ〕⦅シラウラ、アイハマ、トンナイ⦆【雅―ucaskoma(酋長談)に用いられる】少女;若い女。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- mehun
- メフン 【名】[< 日本語] [動物] 「魚の背骨の下の左右に分かれた骨の中にある茶色の脂肪」 (S)(=背わた、 めふん)。 kamuycep mehun カムイチェㇷ゚ メフン 鮭の背わた。 icanuy mehun イチャヌイ メフン マスの背わた。 〔知分類 p.77〕 (出典:田村、方言:沙流)
- mimici
- ミミチ 【名】[mimi-ci 身[所]・焼けている](直訳すると)身が焼けている(icanuy イチャヌイ《マス》のあだな)。 aynu or ta/paye=an ki kor/mimici mimici sekor/a=i=ye kusu somo ci=ye na アイヌ オッタ/パイェアン キ コㇿ/ミミチ ミミチ セコㇿ/アイイェ クス/ソモ チイェ ナ 人間のところへ行くと「身焼け、 身焼け」と言われるから言わない(教えてやらない)ぞ。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
- monihumpe
- モニフンペ §294 いるか、イルカ (11) moni-humpe (mó-ni-hum-pe)「もニフンペ」シロイルカ Delpinapterus leucas(方言:しろくじら)⦅樺太⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- monowahpo
- モノワㇵポ §007.むすめ(娘)(20)monowahpo〔mo-nó-wah-po モのワㇵポ〕⦅マオカ⦆【雅―tuitak(昔話)、ucaskuma(酋長談)などにおいて】少女。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- moroahpo
- モロアㇵポ §007.むすめ(娘)(21)moroahpo〔mo-ró-ah-po モろアㇵポ〕⦅シラヌシ⦆【雅―tuitah(昔話)、ucaskoma(酋長談)において】少女。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- moromahpo
-
モロマㇵポ
§007.むすめ(娘)(19)moromahpo〔mo-ró-mah-po モろマㇵポ〕[moro(?
caskuma(酋長談)などに用いられる】少女;未婚の若い女。pon moromahpo「若い娘」⦅千徳, pp.2, 3⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:) - moskar
- モㇱカㇻ 【自動】[mos-kar (?)・をとる/する/つくる]草か何かをきれいに敷いて、 とった熊を置くところをつくる。(S) ☆参考 他動詞は emoskar エモㇱカㇻ。 {E: to make a bear enclosure, cage.} (出典:田村、方言:沙流)
- mukekas
- ムケカㇱ 【名】[muk-ekas (植物名)・爺][植物](野草の一つ、 根を食べる。) (S) 〔知分類 p.25 mukekasi ツリガネニンジン、 エゾツリガネニンジン〕 ☆参考 サダモさんの発音では語末に i はない。 {E: a type of carrot.} (出典:田村、方言:沙流)
- mukekasra
- ムケカㇱラ 【名】[mukekas-ra ツリガネニンジン(?)・葉][植物] ムケカシ(ツリガネニンジン?)の葉。 {E: the leaves of a type of carrot.} (出典:田村、方言:沙流)
- mukku
- ムック 【名】口琴(楽器の一種、 竹でつくり、 糸を引くとその糸をつけてある部分が振動する、 その振動する部分を口の中で共鳴させるとブンブンと音がする、 おみやげものの店では「ムックリ」として売られている)。 ☞mukkuri ムックリ {E: a type of musical instrument.} (出典:田村、方言:沙流)
- munciro-íkonpap
- ムンチロイコンパㇷ゚ 【名】[粟・毛虫][動物] 毛虫の一種、 「毛のふさふさしたかわいいもの」。(S)〔知分類になし、 p.99~各種の毛虫〕 {E: a kind of hairy caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- muy
- ムイ 【名】[< 日本語]箕(み)。 ☆参考 icarimuy イチャリムイ は竹を編んでつくった箕。 普通の箕は木でつくった nímuy ニムイ。 (出典:田村、方言:沙流)
- na 3
- ナ 【終助/接助】①(要求の根拠を示す。後に要求表現が続くことが多い。 倒置されて要求表現のほうが前に出ることもある。 要求が言葉で表現されなくても、 暗に要求を含んでいる。) …する/したから(…せよ)、 …ぞ、 …よ。 ney ta ka arpa=an wa án=an kusu ne na sinenne an! ネイ タ カ アㇻパアン ワ アナン クス ネ ナ シネンネ アン! 私はどこかへ行って暮らすから一人で暮らしなさい! (W民話) …sekor ku=yaynu kor k=an ruwe ne na hani! …セコㇿ クヤイヌ コㇿ カン ルウェ ネ ナ ハニ! 私は…と考えているのだからね(そのつもりでいなさいよ)。 W会話 a=e=ráyke kusu ne na ne na アエライケ クス ネ ナ ネ ナ (私はあなたを)殺すぞ、 殺してやるからな(そう思え)。 (W民話) ② …nankor na ナンコンナ (直訳すると)…するだろうぞ=…するのだよ/…しなさいよ(予言の形をとった命令表現、 親が子に、 神が人に言うとき等に使う)。 kari e=arpa nankor na カリ エアㇻパ ナンコンナ あなたはそこから行くのだよ/行きなさいよ。(S民話) …yak pirka na …ヤㇰ ピリカ ナ (直訳すると)…するとよいぞ=…するがよい、 …しなさい(目下への命令表現の一つ)。 iteki …yak pirka na イテキ …ヤㇰ ピㇼカ ナ Vしないがよい、 …してはいけない(目下への禁止表現の一つ)。 ikiya …na イキヤ …ナ …しないようにね(沙流川下流地域で)。 ikiya e=hacir na イキヤ エハチン ナ ころばないようにね。(S) ikaanun …na イカアヌン …ナ …しないようにね(沙流川中流地域で)。 ruwe/hawe tapan na ルウェ/ハウェ タパン ナ …のであります(改まった言い方で ruwe ne ルウェ ネ の代わりに使われる、 na をつけない場合もあるが、 つけることが多い)。 ruwe/hawe tapta an na ルウェ/ハウェ タㇷ゚タ アン ナ …のであります(前の言い方と同じ状況で使われる、 強調した言い方)。 {E: ①sentence-final particle indicating speaker's strong conviction. ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- naycus
-
ナイチュㇱ
§288 ノダイオウ (5) naycus (náy-cus)「なイチュㇱ」[
caus] 茎葉 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:) - ni 2
- ニ 【名】木、 たきぎ、 まき(=cikuni チクニ)。 ni hontom pakno ニ ホントㇺ パㇰノ 立ち木の中ほどまで。 ni ka péka sinot pe osoro néno ニ カ ペカ シノッ ペ オソロ ネノ 木の上で遊ぶもの(=サル)のお尻のように(酔って赤い顔をしている人をからかう言葉)。 ni ahupte ニ アフㇷ゚テ まきを家の中に取り込む。 ni ikir ニ イキㇼ 家の外に積んであるまきの一積み。 ni ani a=kar ニ アニ アカㇻ 木でつくる。 arpa arpa ni tom osma p? アㇻパ アㇻパ ニ トモㇱマㇷ゚? 行っては行っては先々で木にぶつかるものは? (なぞなぞで、 答えは mukar ムカㇻ《まさかり》)。 ☆参考 製材してある材木(「材」)は caymoku チャイモク と言って区別する。(S) ☆参考 samamni サマㇺニ 倒木。 ekayni エカイニ 切り株、 折れ木。 atni アッニ オヒョウニレの木。 cikisani チキサニ ハルニレの木。 nipesni シナの木。 その他、 木の名前には ni ニ のつくものが多い。 また ciseni チセニ 家の建材の名称にも ni ニ のつくものがいろいろある。 {E: trees; wood; firewood.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- níkapunpe
- ニカプンペ 【名】[nikap-un-pe 木の皮・ついている・もの] 模様入りのござ(敷物の一種、 木の皮製でいろいろな模様がついている、 小さい)。 {E: a type of rug, carpet.} (出典:田村、方言:沙流)
- níkomimu
- ニコミム 【自動】[ni-ko-mimu (< nimu ニム)木・に・よじ登る] 木登りする。 (手足を使って木に登ることを言う。) cápe níkomimu wa hemesu kor an チャペ ニコミム ワ ヘメス コラン 猫が木登りして登って行っている。 ☆参考 よじ登ることを表す単独の動詞は nimu ニム。 {E: to climb a tree.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- niokuy
-
ニオクイ
§285 ねずみ (11) niokuy (ni-ó-kuy)「ニおクイ」[
canus Bedfordiae THOMAS.)⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:) - nis
- ニㇱ 【名】①空。 nis hecaka ニㇱ ヘチャカ/ニセチャカ 空が晴れる。 nis or péka hopuni ニソㇿ ペカ ホプニ 空を飛んだ。(S民話) kanna nis カンナ ニㇱ/kamuy nis カムイ ニㇱ 上天、 神の住む所。 nis kotor ニㇱ コトㇿ ☞niskotor ニㇱコトㇿ ②雲(=niskur ニㇱクㇽ)。 cup nupur manu/kasi nis kus チュㇷ゚ ヌプㇽ マヌ/カシ ニㇱ クㇱ 太陽がえらいと言うけれどその上を雲が通るよ。(KK掛け合い歌) {E: ①the sky; ②clouds.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nísike 1
- ニシケ 【自動】[ni-sike 木/薪・荷を背負う] たきぎを背負う、 たきぎを背負って運ぶ。 ☆発音 しばしば s の後の i が落ちて、 niske ニㇱケ と発音される。 {E: to carry a load of firewood on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- niska
- ニㇱカ 【他動】①…を惜しむ(惜しいと思う)。 ku=niska wa ku=korar ka somo ki クニㇱカ ワ クコラㇻ カ ソモ キ 私は惜しくて人にあげない。(S) ②(動詞句のあとに置かれ助動詞的に使われて) …するのを惜しむ/惜しがる。 eyar niska wa eyar ka somo ki ayne nipopkere エヤン ニㇱカ ワ エヤㇻ カ ソモ キ アイネ ニポㇷ゚ケレ (彼は)(その食べ物を)人にあげるのを惜しがってあげないでおいてとうとう「あめさせて」(くさらせて)しまった。(S) ☆参考 食べ物を人にあげるのを惜しむけちな人は ipewnara イペウナラ と言われる。 ものをなくしたり、 人に死なれたりしたとき惜しかったということや人と別れるとき名残りを惜しむことは oskur オㇱクㇽ、 もの惜しみして(けちけちして)使わないことは yaykotcakar ヤイコッチャカㇻ などと言う。 {E: ①to feel sorry, regret for… ②to regret having done…} (出典:田村、方言:沙流)
- niske 1
- ニㇱケ 【自動】[ni-ske(=sike) 薪・荷を背負う] たきぎを背負う。 ☆参考 sike シケ の s と k の間の i が落ちた形。 ☞nísike ニシケ 1 {E: to carry firewood on one's back.} (出典:田村、方言:沙流)
- niste
- ニㇱテ 【自動】固い、 丈夫である(こわれにくい)。 niste kam ne wa ku=kuykuy ka eaykap ニㇱテ カㇺ ネ ワ ククイクイ カ エアイカㇷ゚ かたい肉なので私は噛むことができない。 (筋のせいではなく、 歯がたたないように固い。) ☆参考 senkaki センカキ《布》、 ka カ《ひも》、 suma スマ《石》、 kam カㇺ《肉》などについて言う。肉などが筋だらけでかたいことは ritne リッネ、 編む草のかたいことは cawre チャウレ。 氷のようにコチコチに硬いことは nitne ニッネ。 ☆対語 riten リテン 柔い、 hapur ハプㇽ こわれやすい。 ☆参考 eniste エニㇱテ は《…を頼りにする》。 {E: to be hard; solid.} (出典:田村、方言:沙流)
- niyeapur
- ニイェアプㇽ 【自動】[ni-y-e-hapur (?)・(挿入音)・に関して・弱い]弱虫/泣き虫である(「泣きびっちょ」)、 がまんできない。 niyeapur wa eun itak=an kor nani cis kor an ニイェアプㇽ ワ エウン イタカン コㇿ ナニ チㇱ コㇿ アン (この子は)弱虫で話しかけるとすぐ泣く。(S) ☆対語 niyeniste ニイェニㇱテ {E: to be a coward; cannot put up with.} (出典:田村、方言:沙流)
- niyuturke
- ニユトゥㇽケ 【名】[所](概は niyutur ニユトゥㇽ)[古] …の歯の間、 彼の歯の間。 niyuturke sep ニユトゥㇽケ セㇷ゚ 歯の間が広い。(S)no ノ 1【接助】(動詞/動詞句の後に置かれて副詞句をつくる。) ①(肯定で)…するままで、 …するように、 …するほど(その他、 文脈によっていろいろに訳せる)。 hu no e=e siri? フ ノ エエ シリ? (S) 生で食べてるの? nep ka a=emína no a=ewtastasa hawe ka ネㇷ゚ カ アエミナ ノ アエウタㇱタサ ハウェ カ 何か笑うように(こっけいなことを)言い合うのも。(S会話) síno nitan kur anak na cup ri híne sirepa no a=kotánu kucacise or wa sirhanke p ne シノ ニタン クㇽ アナㇰ ナ チュㇷ゚ リ ヒネ シレパ ノ アコタヌ クチャチセ オㇿ ワ シㇼハンケㇷ゚ ネ 非常に足の速い人ならまだ日が高いうちに着くぐらい私の村は狩小屋から近いのです。(NK民話) ②(否定で)somo…no ソモ…ノ …せずに。 sekor somo hése no hawean セコㇿ ソモ ヘセ ノ ハウェアン …と息もつかずに言った。(S民話) korka a=nu ka somo ki no a=sikéhe a=kor híne ahun=an コㇿカ アヌ カ ソモ キ ノ アシケヘ アコㇿ ヒネ アフナン しかし私は(その言葉を)聞きもせずに荷物を持って家の中に入った。(W民話) iteki…no イテキ…ノ …せずに(…せよ)。 iteki cis no mokor イテキ チㇱ ノ モコㇿ 泣かないで眠りなさい。(S)ほか 子守歌 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- noni(hi)
- ノニ(ヒ) 【名】[所](概は non ノン) …のつば(唾)、 よだれ nonihi cak ノニヒ チャㇰ つばがとぶ。(S) pákisara kari nonihi cirir kor an パキサラ カリ ノニヒ チリㇼ コㇿ アン 口角からよだれが垂れている。(S) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- noto
- ノト 【名】なぎ(凪)。 noto an ノト アン ないでいる。 ☆参考 昼間のなぎは tónonnoto トノンノト、 しける前日のなぎは tópiror/tópirpok トピロㇿ/トピㇼポㇰ、 しけ(嵐)は ruyanpe ルヤンペ。 {E: calm conditions (eg no wind).} (出典:田村、方言:沙流)
- nottu
- ノットゥ 【名】[概/所] 岬、 陸地の細くとがって海へ突き出ている所(「でさき/でっちゃき」)。 {E: a cape; headland.} (出典:田村、方言:沙流)
- noyasito
- ノヤシト 【名】[noya-sito ヨモギ・だんご餅] ヨモギのだんご、 よもぎ餅。 paykar an kor asinnoya a=kar wa sitoho a=kar wa a=satke wa oka wa sonkaci inomi or ta amam sito a=kopóye wa páse inomito ta a=e kor pátum yupke yakka oripak an yakka a=i=rúkamare wa siyeye=an ka somo ki wa pirka p ne na パイカㇻ アン コㇿ アシンノヤ アカㇻ ワ シトホ アカㇻ ワ アサッケ ワ オカ ワ ソンカチ イノミ オッタ アマㇺ シト アコポイェ ワ パセ イノミト タ アエ コㇿ パトゥㇺ ユㇷ゚ケ ヤッカ オリパㇰ アン ヤッカ アイルカマレ ワ シイェイェアン カ ソモ キ ワ ピㇼカㇷ゚ ネ ナ 春になったら出たての柔らかいヨモギを摘んでそれでだんごをつくって干しておき、 正月に米/ヒエのだんごとまぜて元日に食べれば伝染病がはやっても私たちの村はのがれられて私たちは病気にならなくて、 よいのだから。(S) ☆参考 春、 出たての柔らかいヨモギを摘んで、 ふきんの中に灰を入れてそこに入れると「まっ青に」(=濃い緑に)なる。 それをついてゆでて餅(扁平につくっただんご)にして真ん中に穴をあけて干しておく。 正月にこれを食べると病気にかからないと言う。 {E: a rice cake made with mugwort.} (出典:田村、方言:沙流)
- noyke
- ノイケ 【自動】ねじれる、 ねじれている。 cikiri noyke wa urepeci osmake un kesupi kotcake un an チキリ ノイケ ワ ウレペチ オㇱマケ ウン ケスピ コッチャケ ウン アン 足がねじれて指が後ろへかかとが前へ向いている。 {E: to be wound, twisted.} (出典:田村、方言:沙流)
- nu 1
- ヌ 【他動】①(声や音)を聞く/が聞こえる、 (話や事柄)を聞く/を聞いて知る/を聞いて従う、 (自分の体調)を感知する、 (匂い/臭気)を感じる。 kuci-peker menoko sinotca haw a=nu クチペケㇾ メノコ シノッチャ ハウ アヌ (私には)澄んだ声の女性が歌う声が聞こえた。(NK民話) k=úwepeker ciki nu yan! クウェペケッ チキ ヌ ヤン! 昔話をしてあげるから聞きなさい。(S) a=onáha ye p a=unúhu ye p somo a=nu ka eaykap pe ne kusu アオナハ イェㇷ゚ アウヌフ イェㇷ゚ ソモ アヌ カ エアイカㇷ゚ ペ ネ クス 父母の言うことを聞かないわけにいかないので。(W民話) húra nu フラ ヌ 匂いを感じる、 匂いがする。 tanpaku supuya nu wa omke rusuy nankor タンパク スプヤ ヌ ワ オㇺケ ルスイ ナンコㇿ たばこの煙のにおいを吸ったので咳が出そうになったのでしょう。(W) ☆参考 意識的に匂いをかぐことは húrarapkar フララㇷ゚カㇻ と言う。 ②[補助動詞]wa nu ワ ヌ …してみる。 kopisi wa nu コピシ ワ ヌ きいて(たずねて)みなさい。(S) ☆参考 動詞が他動詞のときにのみ用いる、 自動詞のときには inu イヌ を用いる、 また他動詞のときでも inu イヌ も用いる。 ③(慣用表現) e=nu エヌ (直訳すると)あなたは聞こえるか/聞こえますか=もしもし、 ねえ、 あのう(eani エアニ で呼ぶ相手に呼びかける)。 a=nu アヌ (直訳すると)あなた様はお聞こえになりますか=もしもし(aoká アオカ で呼ぶ相手に、 つまり女性から男性に、 また目上の人に敬意を表して呼びかける)。 {E: ①to listen to…; …can be heard. ②to try to do… ③…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nukan
- ヌカン 【他動】(nukar ヌカㇻ の r ㇻ が r の前で n ン と発音された形。) ☞nukar ヌカㇻ {E: to see, look at, meet…; …can be seen.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nukar
- ヌカㇻ 【他動】①…を見る、 …が見える、 …に会う、 (本など)を読む(黙読する)、 …をよく見て調べる、 (神が)顧(かえりみ)てくれる、 (占いで/超能力で)未来のことや相手の素性などがわかる。 maciya ka ku=nukar, atuy ka ku=nukar マチヤ カ クヌカㇻ、 アトゥイ カ クヌカㇻ 町も見える、 海も見える。(S) kanpi nukar カンピ ヌカㇻ 本/書類/手紙を見る/読む。 toan pe toykokisma yan, netopake a=nukár kusu ne na トアン ペ トイコキㇱマ ヤン、 ネトパケ アヌカㇻ クス ネ ナ あいつをしっかりつかまえろ、 体を見て調べるからな。(W言い伝え) yaycipsikeka-nukar ヤイチㇷ゚シケカヌカㇻ [自分の舟荷・を見る]自分の舟荷を見る(舟のとも(うしろ)の方に座ることの表現)。 ekasnukar エカㇱヌカㇻ [e-kasi-nukar …で・の上・を見る](人)に(もの)を授ける。 ②☞katu nukar カトゥ ヌカㇻ ☆参考 ものや人やことがらを見る/が見えることに使う。 「こっちを見る」「上を見る」のようにある方向を見ることには自動詞の inkar インカㇻ を使う。 ☞inkar インカㇻ {E: to see, look at, meet…; …can be seen.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nukarpa
- ヌカㇻパ 【他動】[複](nukar ヌカㇻ は単複の区別なし)(二人以上が/二つ以上を皆)…を見る、 …が見える。 {E: to see, look at…; …can be seen.(pl.)} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nukuki
- ヌクキ 【名】小米(こごめ、 砕けた米)。 poppetasin okake nukuki a=ocári ápekor an ポッペタシン オカケ ヌクキ アオチャリ アペコラン 汗をかいたあとが小米でもふりまいたようになった。(W) {E: broken, crushed rice.} (出典:田村、方言:沙流)
- nukuri
- ヌクリ 【他動】(疲れて/体調が悪くて/年取って体の自由がきかなくて/おっくうで)…できない、 …する気になれない。 ipe ka a=nukúri wa án=an イペ カ アヌクリ ワ アナン (引用文中の)私は(恋わずらいで)ものを食べる気にもならなかった。(HC民話) sirunno maskin a=nukár kor a=e=ráyke hi ka a=nukúri a=ruska シルンノ マㇱキン アヌカㇻ コㇿ アエライケ ヒ カ アヌクリ アルㇱカ まさか自分の目で見ながらあなたを殺す気にもなれないし心もおだやかでない。(W民話) aep isam yakun po hunak un apkas=an ka nukuri yak po isitoma=an kusu アエㇷ゚ イサㇺ ヤクン ポ フナㇰ ウン アㇷ゚カㇱアン カ ヌクリ ヤㇰ ポ イシトマアン クス 食べ物がなくなったら、 なおさら、 どこかへ歩いて行く元気もなくなってはなおいっそう恐ろしいから。(W民話) {E: cannot do…; to be unable to do.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- numaus-íkonpap
- ヌマウㇱ イコンパㇷ゚ 【名】[毛が生えている・毛虫や青虫などの仲間][動物]毛虫。 〔知分類 p.99〕 {E: a hairy caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- núnuke
- ヌヌケ 【他動】(人)を大切によく処遇する、 …の面倒をよく見る、 (親)に孝行する。 an hi epitta en=nunuke hawe ne wa, hi-oy-oy, iyayiraykere アニ エピッタ エンヌヌケ ハウェ ネ ワ、 ヒオイオイ、 イヤイライケレ 滞在している間じゅう私を大事にしてくれる(「何から何まで便利はからってかわいがってくれる」)、 ありがとう。(S) ☆対語 okpare オㇰパレ …を悪く処遇する、 虐待する。 {E: to take care of someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nupurikesunkur
- ヌプリケスンクㇽ 【名】[nupuri-kes-un-kur 山・の末端・にいる・人]山すその人=熊のいちばん悪いのの呼び名(=nupurikesun-cáca)。 {E: the people around the very base of a mountain.} (出典:田村、方言:沙流)
- nurayne
- ヌライネ 【自動】[nuray-ne(?)・である]おとなしい。 (次の決まった反語的な言い方の中で)nurayne hawe iki wa! ヌライネ ハウェ イキ ワ! そんなに乱暴に言わなくてもいいでしょう。 {E: to be quiet, calm.} (出典:田村、方言:沙流)
- nurayneno
- ヌライネノ 【副】おとなしく。 nurayneno hawe iki wa! ヌライネノ ハウェ イキ ワ! そんなに乱暴に言わないでもいいでしょう(反語)。(S) nurayneno ka tas a=ye p ne nek! ヌライネノ カ タㇱ アイェㇷ゚ ネ ネㇰ! おとなしく言うもんだよ。(S) {E: quietly; calmly.} (出典:田村、方言:沙流)
- nuwap
- ヌワㇷ゚ 【自動】①(苦しんで)うなる。 ②お産する。 nuwap kusu ne na esotkikar ヌワㇷ゚ クス ネ ナ エソッキカㇻ お産するところだから産褥をつくりなさい。(S) nuwap hi pakno ne p ekurok siri a=omáre wa a=anú wa k=énisomap k=éramu-ikurkuru kusu ratcako ku=kar ヌワㇷ゚ ヒ パㇰノ ネㇷ゚ エクロㇰ シリ アオマレ ワ アアヌ ワ ケニソマㇷ゚ ケラムイクㇽクル クス ラッチャコ クカㇻ お産したばかりの者をこんな暗いところへ入れておいて薄気味が悪く気がかりだから私は明りをつける。(S) {E: ①to groan, moan (in pain). ②to give birth.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oiyoskoni
- オイヨㇱコニ 【他動】[o-i-oskoni その尻が・人・をつかまえる](今までの悪事)がばれて捕まる。 {E: to be caught (due to one's past bad deeds being revealed).} (出典:田村、方言:沙流)
- okkaypo
- オッカイポ §006.若者;青少年(1)okkaypo〔ók-kaǐ-po おッカイポ〕①若い男;若者;青年。[okkay(男)+-po(指小辞)]。②⦅ビホロ⦆casi(砦)の中に召使われている家来を言う。=ussiw(-e)〔úš-šiŭ〕。soun-〜〔so-ún-ok-kaǐ-po〕[<soy(外)+un(の)+ok-kaypo(家来)]「城外に走り使いする家来」。③⦅クッシャロ⦆英雄詞曲の主人公Otasut-un-kurの家来、頭が小さく鳥のようで、体が大きく、常に雄鹿の毛皮を着ているという強い男。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- okokko
- オコッコ 【名】ばけもの。 okokko cáca オコッコ チャチャ ☞okokkocaca オコッコチャチャ。 okokko cikap オコッコ チカㇷ゚ ばけもの鳥、 鳥のおばけ。 e=cis yakne/okokko cikap/e=kotokpatokpa エチㇱ ヤㇰネ/オコッコ チカㇷ゚/エコトㇰパトㇰパ あなたが泣くとばけもの鳥があなたをツンツンつつく。(KC子守歌) {E: a ghost.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- omke 2
- オㇺケ 【自動】かぜをひく(=omkekar オㇺケカㇻ)。 k=omke rusuy noyne ku=mecirataroski コㇺケ ルスイ ノイネ クメチラタロㇱキ 私はかぜをひきそうで寒気がする。(W) ☆参考 =omkekar オㇺケカㇻ {E: to catch a cold.} (出典:田村、方言:沙流)
- omkekar
- オㇺケカㇻ 【自動】[omke-kar 咳をする/かぜ・する] かぜをひく。 {E: to catch a cold.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- omuken
- オムケン 【自動】獲物がとれない。 hankeno omuken=an kusu hanke kucacise or un ekimne=an ハンケノ オムケナン クス ハンケ クチャチセ オㇿ ウン エキㇺネアン 近い所にあまり獲物がとれなくなったので、 近くの山の狩小屋に行った。(HC民話) {E: to have a bad hunt, catch.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- onnekur/onne kur
- オンネクㇽ 【名】[onne-kur 年老いた・人]おじいさん、 高齢の男性(敬意のある表現)。 ☞ekasi エカシ、 cáca チャチャ {E: an old man (polite).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ópa
- オパ 【他動】[複](o オ は単複の区別なし)(二人以上が皆)…に乗る(車や舟に)、 (舟)をこぐ。 ☞o オ {E: to board, get on, in (a car, a boat); to row (a boat)(pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oposore
- オポソレ 【複他動】[他動使役][oposo-re …をつきぬける・させる]…を漉(こ)す。 oycari-oposore オイチャリオポソレ …をざるで漉(こ)す。 icari ani antuki oposore イチャリ アニ アントゥキ オポソレ ざるであずきを漉(こ)す。 {E: to filter…} (出典:田村、方言:沙流)
- ora
- オラ 【後副/接】[or-wa …の所/とき・から、 oro-wa その所/とき・から] ①[後副]…から、 それから、 その次に。 téta e=ek hi ora tane henpakto e=an? テタ エエキ オラ タネ ヘンパㇰト エアン? あなたがここに来たときからもう何日いますか(=何日たったか)。(S) ②(つなぎ言葉として)それから、 そして、 こんど。 híne ora ヒネ オラ そしてそれから。 híne ora káni hem ku=ye ヒネ オラ カニ ヘㇺ クイェ こんど私も言う。(W会話) ③(主張する気持ちのニュアンスを添える小辞として) yaykata ora ヤイカタ オラ 自分こそ。 yaykata ora a=ecákke noyne an pe ヤイカタ オラ アエチャッケ ノイネ アン ペ 自分こそきたながれるようなざまをして(=ような者なのに)。(S) ukao wa en=kore ora ウカオ ワ エンコレ オラ しまってくださいよ。(S) iteki ora! イテキ オラ! だめだよ、 やめなさいよ。(S) {E: ①after that; next. ②after that; next time; next; then (as a conjunction).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oriyak
- オリヤㇰ 【自動(?)】とどく(?)。 (次の言い回しの中で) sik oriyak kane シㇰ オリヤㇰ カネ 見渡すかぎり。 sik oriyak kane sinot=an uske sep ruwe an! シㇰ オリヤㇰ カネ シノアン ウㇱケ セㇷ゚ ルウェ アン! 見渡すかぎり遊ぶところが広いねえ。(S) {E: as far as one can see.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- os 1
- オㇱ 【名】[動物] 雌の鮭。 ☆対語 ca チャ 雄の鮭。 ☞kamuycep カムイチェㇷ゚ 〔知分類 p.43 〕 {E: female salmon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osikoni
- オシコニ 【他動】…に追いつく(「かっつく」)、 …をつかまえる、 …に間に合う、 (手に入りにくいもの)を手に入れる。 kisa oskoni キサ オㇱコニ 汽車に間に合う(=kisaoskoni キサオㇱコニ)。 ☆参考 しばしば s の後の i が落ちて oskoni オㇱコニ と発音される。 ☆対語 orawki オラウキ。 {E: to catch up with…; catch…; be in, on time for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ositciwtara
- オシッチウタラ 【副】[o-sir-ciw-tara(< itara) その尻・地・刺さる・…した状態が続いて(いる)] 落ち着いて、 安定して。 {E: settled; calm.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osittesu
- オシッテス 【自動】[o-sir-tesu その尻が・地・すべる]ツルッとすべる。 eytasa so rárak wa cise or ta ka osittesu=an エイタサ ソ ララㇰ ワ チセ オッタ カ オシッテスアン あまり床がツルツルしているので家の中でも私たちはすべってしまう。(S) ☆参考 スキーのように意図的にすべって行くことは cárase チャラセ、 carse チャㇻセ など。 {E: to slip (over).} (出典:田村、方言:沙流)
- oskoni
- オㇱコニ 【他動】[単][osikoni オシコニ の s の次の i が落ちた形] ☞osikoni {E: to catch up with…; catch…; be in, on time for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osmak
- オㇱマㇰ 【位名】[概](所は osmake オㇱマケ) [os-mak …の後ろ、 …の奥] …の後ろ、 背後。 ☆対語 kotca コッチャ ☆参考 進んで行く後や時間的後は oka オカ 。 ☆参考 os オㇱ は単独では[後副] …の後から。 {E: behind…; the back of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osmake
- オㇱマケ 【位名】[所](概は osmak オㇱマㇰ)…の後ろ、 その背後。 osmake wa kotcake wa オㇱマケ ワ コッチャケ ワ その後からその前から(=彼の前へ後ろへと)。 taankur iteki kotcake kus no osmake péka kus タアンクㇽ イテキ コッチャケ クㇱ ノ オㇱマケ ペカ クㇱ この人の前を通らないで後ろを通りなさい。(S) e=osmake ta an kur hunna an? エオㇱマケ タ アン クㇽ フンナ アン? あなたの後ろにいる人はだれですか。(S) siyosmake シヨㇱマケ [si-osmake] 自分の背後。 {E: behind…; the back of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- osoma
- オソマ 【自動】[< o-si-oma その尻・糞・そこにある] 大便する。 ☆参考 名詞「大便、 糞」は si シ。 ☆参考 鵡川の話者の語った民話には osoma オソマ が名詞「大便、 糞」として使われた例がある。 ☆参考 okuyma オクイマ 小便する。 {E: to defecate.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ota 1
- オタ 【複他動】[< o-ta (そこ)に・…を汲む](目的語の一つは液体、 一つは場所。)(水、 油など)を(そこ)にかける、 …を…に(ひしゃくで)汲み入れる(ひしゃくから大きい入れ物にあける)。 ratcako sum hene ponno oro ota wa uhuyka ラッチャコ スㇺ ヘネ ポンノ オロ オタ ワ ウフイカ ランプの油でもそこにかけて燃やしなさい。(S) pisakku ani nise wa saysintoko oro ota ピサック アニ ニセ ワ サイシントコ オロ オタ ひしゃくで汲んで宴席の酒びつに入れなさい。 emko cipor pe a=otá emko cikuy pas a=kuste ápekor an kameasi エㇺコ チポㇿ ペ アオタ エㇺコ チクイ パㇱ アクㇱテ アペコラン カメアシ 半分は筋子のつぶしたのをぶっかけたような、 半分は粉炭をまぶしたようなばけもの(悪いクマの描写の常套句)。 {E: to scoop, pour…into…} (出典:田村、方言:沙流)
- otaseppa
-
オタセッパ
§109 ハスノハカシパンの類 (3) ota-seppa(o-tá-sep-pa)「オたセッパ」[
caphechinus mirabilis (AGASSIZ). (出典:知里動物編、方言:) - ottena
- オッテナ 【名】[< 日本語 おとな(乙名)] ①集落の頭となる役人(「内地の人が決めた」)。(S) ②(和人からアイヌ男子を呼ぶ語)だんな、 (サダモさんの訳によれば)おっさん。 {E: ①the head of a village. ②an Ainu man (when called by a Japanese person.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- otuye
- オトゥイェ 【他動】[単](複は otuypa オトゥイパ)[o-tuye その尻・を切る](稲や草)を根元から刈る。 (小さい木)を根元から(一切りに)切る。 amam otuye アマㇺ オトゥイェ 稲を刈る。 munciro nit otuye ムンチロ ニッ オトゥイェ 粟の穂を摘み取ったあとの殻を刈る。 ☆参考 昔はヒエなどを根元から刈らずに穂摘みした。 ☞eca エチャ ☆参考 馬の餌などの草を刈ることは mósekar モセカㇻ [他動]、 ヨシ(葦)を刈ることは móse モセ [自動]と言う。 {E: to cut (grass; cereal crops etc).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- otuyke
- オトゥイケ 【名】[o-tuy-hike その尻・切れている・もの](悪いやつを指すののしりの表現)「あん畜生」、 あの野郎。(W) néa a=wenhokuhu, sirunike otuyke, ene hawean hi ネア アアウェンホクフ、 シルニケ オトゥイケ、 エネ ハウェアン ヒ あの私の悪党亭主、 あん畜生、 あの野郎がこう言った。(W民話) ☆参考 sirunike シルニケ も同義。 {E: That fellow!; That rascal! (a derogatory remark.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ounoun
- オウノウン 【他動】[o-un-oun …につまって抜けられない・(重複)](狭いところで) …につかえる、 (そこ)につかえて抜けられない。 i=os etaspe ek a p , néa pínay hutne p ne kusu, ounoun híne i=os ek ka eaykap イオㇱ エタㇱペ エカㇷ゚、 ネア ピナイ フッネㇷ゚ ネ クス、 オウノウン ヒネ イオㇱ エㇰ カ エアイカㇷ゚ 私のあとをトドが追いかけて来たが、 その谷はせまいので、 トドはつかえてしまって私のあとを追って来ることができない。(W民話) ☆参考 euneun エウネウン は家や部屋の入口でためらってさっさと中に入らずに留まっていることを言う。 ounoun オウノウン は反対に、 狭いところに入ったものが抜けられなくて留まっていることを言う。 {E: to get stuck on, caught in( a narrow area, place).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oya 2
- オヤ 【間投】歌のはやしの一部。 {E: part of a musical accompaniment to a song.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oysirucep
- オイシルチェㇷ゚ 【名】[o-i-siru-cep 尻・ものを・こすった・魚][動物] 年取って尾がバサバサになった鮭。 ☆参考 「筋子を置くためのホリ(産卵穴)を掘るために尾びれでバラス(砂利)をかき分けて、 掘ったホリの中に筋子を置くと、 そのあとに雄が来て白子をかけ、 サッと砂をかけて行く。 筋子を出してしまった鮭は、 やせて尾びれが一本一本に分かれてほうきのようになる。 そのようになった鮭を言う。 それはもう年取って、 岸に寄り上がって死んだりする。」 (S) ☆参考 atkoci アッコチ[概]/atkocike アッコチケ[所] 尾びれ。 cep チェㇷ゚ 魚、 鮭。 kamuycep カムイチェㇷ゚ [神・魚]鮭。 sípe シペ 秋の鮭。 os オㇱ 雌の鮭。 ca チャ 雄の鮭。〔知分類 p.41 oisiru-cep ((幌)) 産卵後の尾のすりきれたサケ、 ホッチャリ〕 {E: an old salmon.} (出典:田村、方言:沙流)
- pa 3
- パ 【名】①年、 …年(年数の単位)。 sine pa シネ パ 一年。 sine pa ikasma hotne pa シネ パ イカㇱマ ホッネ パ 二十一年。(W会話) sine pa riya シネ パ リヤ 一年まるまるたって年を越して。(W民話) tu pa re pa トゥ パ レ パ 二、 三年(の間)。 henpak pa ヘンパㇰ パ 何年。 pa an katcam wen パ アン カッチャㇺ ウェン [年・ある・ありよう・悪い] 気候が悪くて作物がとれるかとれないかわからない。(S) sine an pa ta/sineanpata シネ アン パ タ/シネアンパタ ある年に。 tanpa タンパ [tan-pa この年] 今年。 oyapa オヤパ [oya-pa ほかの・年]来年。 ②年齢、 …歳(年齢の単位)。 e=paha henpak pe an? エパハ ヘンパㇰ ペ アン? あなたの年はいくつですか。(W) e=paha mak pak an? エパハ マㇰ パㇰ アン? あなたの年はどれだけですか。(W)(e=páha henpak pa an? エパハ ヘンパㇰパ アン? あなたの年は何歳ですか、 という人もある。) {E: ①a year. ②age.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pakkay
- パッカイ 【自動】子をおぶう。 ☆参考 おんぶする(pakkay パッカイ)には、 着ている着物の背中に子どもを入れ、 荷物を背負うときのようにひもを頭に掛けて背負った。 荷物の場合は荷縄(tar タㇻ)と呼ばれるひもで荷物をしばり、 ひもの中央部を頭に掛けるだけだが、 子どもをおぶうひも(pakkaytar パッカイタㇻ)は、 子どものお尻の下に当たる部分に木の棒が左右のひもの間に渡してしばりつけてある。 ひもの中央部を頭に掛け、 ひもを後ろへたらし、 着物の上から子どものお尻の下にこの棒を当てがい、 棒より下のひもの両端を前に回してしばる。 荷物の場合は、 熊にでも出会ったときすぐ頭からひもをはずすだけで荷物を捨てて逃げられるように、 決してひもを前でしばらないが、 子どもの場合は背負ったまま逃げるためにしっかりと身にしばりつけるのだ、 と古老は説明していた。 ☆参考 ponpakkay ポンパッカイ 赤ちゃんをおぶう。 kay カイ [他動]…をおぶう。 {E: to carry a baby on one's back.}◇ (出典:田村、方言:沙流)
- pakuy
- パクイ §278 あざらし (22) pakuy (pá-kuy)「ぱクイ」 ⦅多来加、白浦⦆ゴマフアザラシ Phoca richerdii pribilofensis J. A. ALLEN. の成体 (出典:知里動物編、方言:)
- panco
- パンチョ 【名】大工。 {E: a carpenter.} (出典:田村、方言:沙流)
- pancotono
- パンチョトノ 【名】[ponco-tono 大工・殿(和人男子の尊称)] 大工の棟梁(とうりょう)。 {E: head, chief carpenter.} (出典:田村、方言:沙流)
- parakina
- パラキナ 【名】[para-kina 幅広い・草][植物]ミズバショウ(?)(「春真っ先に出る、 葉の直径2尺(60センチ)もある草、 丈は1メートルぐらいになる」)。(W)〔知分類 p.216 ミズバショオ〕 {E: a skunk cabbage.} (出典:田村、方言:沙流)
- parpok
- パㇻポㇰ 【位名】[par-pok 口・の下] …の出入口の所、 …のすぐそば。 inawcipa parpok イナウチパ パㇻポㇰ 幣場(御幣を立ててある所)の入口、 幣場のすぐそば。(NK民話) naycar parpok ナイチャㇻ パㇻポㇰ 沢の出口。(NK民話) nusa parpok ヌサ パㇻポㇰ 祭壇の後ろの所。(HC民話) {E: the exit, entrance of…; nearby…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pase
- パセ §010.老若長幼―成長段階―を表す形容詞その他(17)pase〔pá-se ぱセ〕⦅H.⦆年老いた。〜caca「老翁」⦅ホロベツ⦆。pase rupnemat「老婆」⦅ホロべツ⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- pátoy
- パトイ 【名】[概](所は pátoye(he) パトイェ(ヘ))[pa-toy 口・(?)] くちびる(唇)。 ☆参考 pápus パプㇱ、 cápus チャプㇱ は他方言。 {E: the lips.} (出典:田村、方言:沙流)
- pe 3
- ペ 【接助】[< pe 2] …のに、 …だったが。 …pe ora …ペ オラ …のに、 …のでありながら一方では。 ene an nispa a=kor pe ora, po sak no oka=an hi ka a=ruska kusu エネ アン ニㇱパ アコㇿ ペ オラ、 ポ サㇰ ノ オカアニ カ アルㇱカ クス これほどの長者を夫に持ちながら、 子どもに恵まれずに暮らしているのが不満だったから。(W民話) pirka amip poronno kor pe ora yaykotcakar wa wen amip patek mi ピㇼカ アミㇷ゚ ポロンノ コㇿ ペ オラ ヤイコッチャカㇻ ワ ウェン アミㇷ゚ パテㇰ ミ (あの人は)いい着物をたくさん持っているのにしまっておいて悪い着物ばかり着る。(S) {E: an article; a thing.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- péka 1
- ペカ 【他動】(投げ渡されたものなど)を受けとめる。 ku=peka na クペカ ナ (投げてくれれば)(私)受け取るよ。 ay péka アイ ペカ 矢を受け取る(けものや鳥の神が矢に当たってくれることを言う)。 kanna nis ka un a=e=péka wa, kamuy or ta sonno ukor síno ukor eci=kí kus ne na カンナ ニㇱ カ ウン アエペカ ワ、 カムイ オッタ ソンノ ウコㇿ シノ ウコㇿ エチキ クㇱ ネ ナ 私があなたを天に引き取って、 あなた方は神の国で本当の結婚、 まことの結婚をするのです。(HC民話) {E: to catch…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- péka 2
- ペカ 【格助】…に/で/を(一点ではなく動くあるいは伸びて/広がっている範囲を示す)。 rik péka a=eyápkir リㇰ ペカ アエヤㇷ゚キㇼ 高い所を(=高い所から)投げ飛ばされた。 soy péka nepki ソイ ペカ ネㇷ゚キ 戸外で働く。 ni ka péka sinot pe osoro néno ニ カ ペカ シノッ ペ オソロ ネノ 木の上で遊ぶもの(=サル)の尻のよう(酔って赤い顔をしている人を笑って言う)。 nupuri suptom a=tuypa wa oro péka inne maciya an ヌプリ スㇷ゚トㇺ アトゥイパ ワ オロ ペカ インネ マチヤ アン 山の中腹を切りくずしてそこに人口の多い町がある。 {E: case particles.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- peraykar
- ペライカㇻ 【他動】[peray-kar 魚釣りをする・する(他動詞化)](魚)を釣る。 ☆参考 自動詞は peray ペライ。 {E: to hook, catch a fish.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- petokomo
- ペトコモ 【自動/副】[pet-o-komo 川・その尻・…を折り曲げる] ①[自動]川下を回る(となりの川筋に行くのに、 川を渡れず、 川下へ下って海辺から別の川筋へ出てさかのぼる)。 ku=petokomo wa k=ek クペトコモ ワ ケㇰ 私は川下を回って来た。(S) ②[副]川下を回って。 petokomo k=ek ペトコモ ケㇰ 川下を回って私は来た。(S) ☆対語 petekari ペテカリ。 {E: ①to turn around at downstream (and go upstream from a different route. (v.i.) ②turn around at downstream. (adv.) (NOTE: Since one can not cross over to the other river, one has to first go downstream and get out to the ocean and then go upstream (of the other river).)} (出典:田村、方言:沙流)
- pirma
- ピㇼマ 【他動】(人)にそっと警告する。 en=pirma p ne kus ku=kocanupkor wa k=an kus ne wa エンピㇼマㇷ゚ ネ クㇱ ク コチャヌㇷ゚コㇿ ワ カン クㇱ ネ ワ 私にそうっと教えてくれたから私はよく警戒していますから。(S) ☆参考 ipirma/unpirma イピㇼマ/ウンピㇼマ 人々に/皆に警告する。 epirma エピㇼマ …に…を警告する。 {E: to quietly warn someone of something.} (出典:田村、方言:沙流)
- pisoiramante/pisoyramante
- ピソイラマンテ 【自動】[pis-o-iramante 浜・で・獲物をとる] 海の漁をする。 ☆対語 kimoyramante キモイラマンテ 山の猟をする。 {E: to catch seafish.} (出典:田村、方言:沙流)
- piyota
- ピヨタ 【名】[pi-y-ota 小石大の粒・(挿入音)・砂] 麦粒かもう少し大きいぐらいの真っ白い火山灰。 {E: white volcano ash.} (出典:田村、方言:沙流)
- ponpakkay
- ポンパッカイ 【自動】[pon-pakkay 小さい・子どもをおぶう] 赤ん坊をおぶう。 ☞pakkay パッカイ、 kay カイ {E: to carry a baby on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- poppetaasin
- ポッペタアシン 【自動】[pop-pe-ta-asin ボコボコ煮立つ・水分・(?)・出る] 汗が出る、 汗をかく。 ku=poppetaasin クポッペタアシン 私汗をかいた。 poppetaasin okake nukuki a=ocári ápekor an ポッペタアシン オカケ ヌクキ アオチャリ アペコㇿ アン 汗をかいた後がこごめでもふりまいたようだ。(W) {E: to sweat.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- porke
- ポㇿケ 【名】掘割。 {E: a ditch; a canal.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- poro
- ポロ 【自動】大きい、 大きくなる、 年上のほうの、 かさが多い、 (川の水が)ふえる。 poro cise ポロ チセ 大きい家。 cikap kasuno poro cikap チカㇷ゚ カスノ ポロ チカㇷ゚ 普通の鳥よりもっと大きい鳥(=とても大きな鳥)。 poro sayo ポロ サヨ たくさんのおかゆ。 poro wakka ポロ ワッカ 大水(洪水)。 poro paraparak an ポロ パラパラㇰ アン (引用文中)私は大泣きをした、 大声で泣き叫んだ。(HC民話) poro a=yupí ポロ アユピ 私の(二人以上いる兄のうちの)年上の兄。 poro acapo ポロ アチャポ 二人いるおじのうち年上のほうのおじ。 poro serke ポロ セㇾケ 大部分、 大半。 poro sike ki ポロ シケ キ 大きな/たくさんの荷物を背負う。 e=poro yakun エポロ ヤクン あなたが大きくなったら。 wakka poro ワッカ ポロ (川の)水がふえる。(S) ☆対語 pon ポン 小さい、 少ない。 ☆参考 kiyanne キヤンネ 年上である。 {E: to be, become big, large, many.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- poro maciya
- ポロ マチヤ 【名】[大きい・市街地] 大都会、 大都市。 tono patek oka poro maciya oro wa e=apkas hi an yak ku=nu ruwe ne トノ パテㇰ オカ ポロ マチヤ オロ ワ エアㇷ゚カシ アン ヤㇰ クヌ ルウェ ネ あなたが和人の方々ばかりが住む大都会から旅して来たのだと私は聞いた。(NZ挨拶) {E: a capital, major city.} (出典:田村、方言:沙流)
- poro-saranip
- ポロサラニㇷ゚ 【名】[大きい・木の皮の繊維を編んでつくった袋]大袋。 ☆参考 ただの大きい サラニㇷ゚ ではない。 かますでもない。 米俵二つくらいの大きさで、 ヒエの穂摘みをしたときにその穂を入れておくので ica-saranip イチャサラニㇷ゚ とも言う。 ユーカラでは totta トッタ と言う。 ☆参考 材料やつくり方は不明。 ☆参考 poy-saranip ポイサラニㇷ゚ は「小出し」。 ☞saranip サラニㇷ゚ (出典:田村、方言:沙流)
- póru
- ポル 【名】ほらあな、 洞穴。 ☆参考 ahunporu アフンポル 地下の死者の国へ入っていく入口の洞穴。 nisa ニサ 木のほらあな、 うろ。 {E: a cave.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- poysoya-kamuy
- ポイソヤカムイ 【名】[pon-soya-kamuy 小さい・ハチ・神][動物] ミツバチ。 poysoya-kamuy suy kapocá nonno ka pokusó nonno ka suy kotuk wa oka, tópen uske uyna rusuy kusu he ポイソヤカムイ スイ カポチャ ノンノ カ ポクソ ノンノ カ スイ コトゥㇰ ワ オカ、 トペン ウㇱケ ウイナ ルスイ クス ヘ ミツバチがまたカボチャの花やクローバーの花にまた止まっている、 甘いところ(蜜)がほしいからか。(S) ☆参考 利口なもんだ、 神のうちに入る、 葬式の日には頭に白い鉢巻をして悔やみに来る。(S)〔知分類 p.87 póy-soyay ((ホロベツ))小形のハチ〕 {E: a honeybee.} (出典:田村、方言:沙流)
- puta 1
- プタ 【名】[概/所] (所は通常 putaha プタハ)[< 日本語 ふた] ふた(蓋)。 puta kar プタ カㇻ ふたをする。 ☆参考 上にのせるだけのふたは kanputa カンプタ [概]/kanputa(ha) カンプタ(ハ) とも言う。 中に差し込む栓は ciyaye(he) チヤイェヘ [所]。 {E: a lid; a cap.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- putaha
- プタハ 【名】[所](概は puta プタ) …のふた。 putaha kar プタハ カㇻ ふたをする。(S) {E: a lid, a cap of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ra 4
- ラ 【位名】下の方、 低い所(rik リㇰ の対)。 ra ta ラ タ 下(低い所)に/で。 ra ta ran ラ タ ラン 下に下りる。(S) ra peka ラ ペカ 下(低い所)を/で。 cápe ra péka ekesinne sowsut péka sinot kor an kor apto ruy oasi チャペ ラ ペカ エケシンネ ソウスッ ペカ シノッ コラン コㇿ アㇷ゚ト ルイ オアシ ネコが下の方(=ゆかの上)であちこちすみの方でじゃれていれば雨がひどくなる。(S) ☆対語 rik リㇰ。 {E: lower; below.} (出典:田村、方言:沙流)
- rak
- ラㇰ 【他動】①…の味がする、 …っぽい、 …のけ(気)がある、 …の味/においがある。 sippo rak シッポ ラㇰ 塩気がある。(S) tópenpe rak トペンペ ラㇰ 砂糖気がある。(S) tópen rak トペン ラㇰ 甘味がある。(S) sum rak スㇺ ラㇰ 油気がある。(S) cep rak チェㇷ゚ ラㇰ 魚くさい(魚の味がついている)。(S) toy rak トイ ラㇰ 土のような味がする(1956年当時の「安いマコロンの味」)。(S) sum rak mame スㇺ ラㇰ マメ 油っこい豆(ピーナッツを指してこう言った。) (S) sippo rak ka somo ki, tópenpe ka rak ka somo ki シッポ ラㇰ カ ソモ キ、 トペンペ カ ラㇰ カ ソモ キ 塩気が全然ない、 砂糖気も全然ない。(S) ku=teke kam húra rak クテケ カㇺ フラ ラㇰ 私の手に肉の匂いがついている。(S) ②…を味わう、 (少し)食べる。 pewre or ta a=kar wa a=e rok pe a=rak wa ペウレ オッタ アカㇻ ワ アエ ロㇰ ペ ア ラㇰ ワ (いただいたおかげで)若いときにつくって食べていたものを(今また)味わうことができて。(NK民話) ③(比喩的に)…の部類に属するもの。 (日本語の「…の端くれ」という言い方を思い起こさせる。) nispa rak pe aynu rak pe a=akíhi ne a p ニㇱパ ラㇰ ペ アイヌ ラㇰ ペ アアキヒ ネ アㇷ゚ 弟は長者であり男であるのに。(NK民話) ☆参考 Aynurakkur アイヌラックㇽ 人間っぽい神、 人間の部類に属する人(神)(人間の始祖となった神の子の呼び名)。(Sユーカラ) {E: ①to have a…flavour, taste, scent. ②to taste, appreciate… ③to belong to the class category of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rákese
- ラケセ 【名】[所][ra-kese 蔓の出始めの葉・末端](次のような文脈で)系統。 sucihi ene weysanpekor pe ne akus wen pe rákese ray koyaykus pe ne kus, weysanpekor スチヒ エネ ウェイサンペコㇿ ペ ネ アクㇱ ウェン ペ ラケセ ライ コヤイクㇱ ペ ネ クㇱ、 ウェイサンペコㇿ 彼の祖母があんなに根性の悪い奴だったが、 悪いことの系統が絶えかねたものだから、 (彼は)根性が悪い。(S) ☆参考 子孫の系統のことは sápikir サピキㇼ と言って、 そういう意味の系統には ikir イキㇼ が使われる。 {E: geneology; geneological inheritance.} (出典:田村、方言:沙流)
- ram(u) okaoka
- ラㇺ/ラム オカオカ 【連他動】(怒っている人)をなだめる。 {E: to calm an angry person.} (出典:田村、方言:沙流)
- ramesitayki
- ラメシタイキ 【他動】[ram-e-sitayki 心・で・…をたたく] 思い当たる(ああそうだと思う)。 {E: to think of…; call…to mind.} (出典:田村、方言:沙流)
- ramositciwre
- ラモシッチウレ 【自動】泰然としている、 落ち着いている(「人が何をしていても知らん顔をしている、 地震で皆出ても一人残っている等」)。(S) ramositciwre kur ne kusu etarka eun nísapno itak ka somo ki ラモシッチウレ クㇽ ネ クス エタㇻカ エウン ニサㇷ゚ノ イタㇰ カ ソモ キ 落ち着いた人だからやたらにすぐに口を出さない。(S) {E: to be calm.} (出典:田村、方言:沙流)
- ramram
- ラㇺラㇺ 【名】[概](所は ramrami(hi) ラㇺラミ(ヒ))[ram-ram (擬態の語根(?))・(重複)] [動物]うろこ(鱗)。 (=cepramram チェㇷ゚ラㇺラㇺ)〔知分類 p.47〕 {E: the scales of a fish.} (出典:田村、方言:沙流)
- ramrami(hi)
- ラㇺラミ(ヒ) 【名】[所](概は ramram ラㇺラㇺ)[動物]…のうろこ(鱗)。 {E: the scales of a fish of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rárak
- ララㇰ 【自動】[rara-k (擬態の語根の重複)・(自動詞形成)] なめらかである、 すべすべしている。 taan cápe seturu rárak humi! タアン チャペ セトゥル ララㇰ フミ! この猫は背中がすべすべしてるなあ。(W) esaman numaha rárak エサマン ヌマハ ララㇰ カワウソの毛皮はなめらかだ。(W) eytasa so rárak wa cise or ta ka osittesu=an エイタサ ソ ララㇰ ワ チセ オッタ カ オシッテスアン あまり床がツルツルしているので私たちは家の中でもすべってしまう。(S) {E: to be smooth.} (出典:田村、方言:沙流)
- rareyaka
- ラレヤカ 【他動(?)】[rar-e-yaka 眉・で・指す] 目配せする、 (あっちに行こうと)眉で指す。 ☞rar ラㇻ 2、 yaka ヤカ {E: to indicate something to someone by using one's eyebrows.} (出典:田村、方言:沙流)
- ratci 1
- ラッチ 【自動】①静かである/になる、 落ち着く。 réra ponno rátci レラ ポンノ ラッチ 風が少しおさまった(静かになった、 落ちついた)。 ☆参考 réra ponno hawke レラ ポンノ ハウケ 風が少し弱くなった。 ②(澱粉が)沈澱する、 (水が)澄む(濁りが沈んで)。 emo-irup ratci wa an エモイルㇷ゚ ラッチ ワ アン イモの澱粉(でんぷん)が沈澱(ちんでん)している。 {E: ①to calm down. ②to sink.} (出典:田村、方言:沙流)
- ray-hotuypa
- ライホトゥイパ 【自動】[ひどく(語源は「死ぬ」)・長い呼び声をあげる] 大声で長い呼び声をあげる、 大声で呼ばわる。 ☞hotuypa ホトゥイパ {E: to scream, call out in a loud voice.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- raycep
- ライチェㇷ゚ 【名】[概][ray-cep 死んだ・魚][動物] 動物の死骸。 ☆参考 人間については言わない、 言うとすれば憎んでいた人を犬猫にたとえて言うときだけ。(S) ☆参考 人間の死体は raykew ライケウ と言う。〔知分類になし〕 {E: the carcass of an animal.} (出典:田村、方言:沙流)
- raycepi(hi)
- ライチェピ(ヒ) 【名】[所][動物](動物)の死骸。 seta raycepi an セタ ライチェピ アン 犬の死骸がある。(S) {E: the carcass of (an animal).} (出典:田村、方言:沙流)
- raytek
- ライテㇰ 【自動】[ray-tek 死ぬ・ちょっと…する] 静まり返る。 cúna ape kasi raytek kane チュナ アペ カシ ライテㇰ カネ 灰の中に埋けた火も見えなくなり、 すっかり静まり返っている。(NK民話) {E: to calm down.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- raytoskaha
- ライトㇱカハ 【名】[所](概 raytoska ライトㇱカ の例はない。 toskaha トㇱカハ の概は toska トㇱカ)[ray-toska-ha すごい・堤・(所属語尾)]…のものすごい大きな山積み。 akketek or un hunpe ca a ca a híne raytoskaha ikiri kar híne アッケテㇰ オルン フンペ チャ ア チャ ア ヒネ ライトㇱカハ イキリ カリネ 帆立貝の中に鯨肉を切りては入れ切り取っては入れして、 ものすごく大きな山をたくさんつくって。(S民話) {E: a large pile of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- réhe 1
- レヘ 【名】[所](概は re レ)…の名前、 …の名称、 彼/彼女の名前。 mak e=rehe an? マㇰ エレヘ アン/e=rehe mak an エレヘ マㇰ アン? あなたの名前は何といいますか。(KM) Kinakoype sekor réhe an utarkorkur キナコイペ セコㇿ レヘ アン ウタㇻコㇿクㇽ キナコイペという名前の村長。(HK民話) a=onáha réhe Kancasuye ne アオナハ レヘ カンチャスイェ ネ 私の父の名前はカンチャスイエです。(HK民話) to or ta patek okay pe réhe marimo ne ト オッタ パテㇰ オカイ ペ レヘ マリモ ネ 湖にばかりあるものの名前(名称)がマリモです。(W会話) réhe a=ye yak pirka レヘ アイェ ヤㇰ ピㇼカ (それの)名前を言えばいい。(S) {E: name of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rekkurpo
- レックㇽポ 【名】[rek-kur-po ひげ・影/姿・(指+指)](次の慣用句の中で)少しのひげ。 rekkurpo ka céarayta/carehayta レックㇽポ カ チェアライタ/チャレハイタ ひげが少しはえかかっている(男のまだ年若い様子)。(NK民話) {E: a light beard.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- réko
- レコ 【他動】[re-ko 名前・(?)] …に名をつける、 …を…と(いう名で)呼ぶ、 …の名を言う。 aynu réko sinre patek oka ruwe ne アイヌ レコ シンレ パテㇰ オカ ルウェ ネ アイヌが名づけた地名ばかりがあるのです。(S言い伝え) semekatki kotan a=reko セメカッキ コタン アレコ 私はとんでもない村の名前を言った。(S民話) páseni sísam or ta a=reko katu aotamo パセニ シサㇺ オッタ アレコ カトゥ アオタモ パセニは日本人のところで名付けるしかたはアオダモ=日本語ではアオダモと言う。(W) kunneywa an kor hecirasa, tókap an kor ukocupke wa hemuymuye wa an nonno sísam or ta a=reko hi asagao sekor a=reko クンネイワ アン コㇿ ヘチラサ、 トカㇷ゚ アン コㇿ ウコチュㇷ゚ケ ワ ヘムイムイェ ワ アン ノンノ シサㇺ オッタ アレコ ヒ アサガオ セコㇿ アレコ 毎日朝になると開き、 昼になるとしぼんでしまう花を日本語ではアサガオと言う。(S) {E: to name, call…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rékopa
- レコパ 【他動】[複](réko レコ は単複の区別なし)(二人以上が皆)…に名を付ける、 …を…と呼ぶ、 …の名を言う。 {E: to name, call… (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rékor
- レコㇿ 【自動】[re-kor 名前・を持つ] 名前を持つ。 na usayne usayne rékor mosir wa uwekarpa p ナ ウサイネ ウサイネ レコㇿ モシㇼ ワ ウウェカㇻパㇷ゚ まだほかにいろいろ違った名前の国から集まって来た者。 tanpe rékor タンペ レコㇿ これはいわゆる…、 これこそ言うなれば…。 {E: to be named; called.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rérakar
- レラカㇻ 【自動】[réra-kar 風・に当たる] 流行病にやられる。 ☆発音 réra kar レラ カㇻ《風に当たる》と同じ発音。 {E: to catch an infectious disease.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rik
- リㇰ 【位名】[ri-k 高い・所] 上の方、 高い所。 toop rik ta kotan enkasike ta cup noka oma senkaki a=así wa an トオㇷ゚ リㇰ タ コタン エンカシケ タ チュㇷ゚ ノカ オマ センカキ アアシ ワ アン ずっと向こうの高い所に村の上の方に太陽の絵の入った布(日の丸の旗)が立ててある。(S) oripak ka erampewtek, rik péka rik péka inkar オリパㇰ カ エランペウテㇰ、 リㇰ ペカ リㇰ ペカ インカㇻ (彼は)へりくだって行儀よくすることを知らない、 上の方をあちこち見る。(S) (注 昔の作法では、 あちこち見回したりキョロキョロ、 ジロジロ見たりするのは礼儀知らずとされていた。) cápe rik péka sinot kor oka kor suy réra ruy oasi チャペ リㇰ ペカ シノッ コロカ コㇿ スイ レラ ルイ オアシ 猫が上の方でじゃれているからまた風が強くなるだろう。(S) ☆対語 ra ラ。 {E: above; over; a higher, upper place.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- róka
- ロカ 【名】魚置き場(とった魚を置く所)。(S) {E: a place for storing, keeping caught fish.} (出典:田村、方言:沙流)
- rokuntew
- ロクンテウ 【名】[< 日本語 ろくでう(六条)(?)] 「客船。」 (S) ☆参考 pencay ペンチャイ 弁財船(和人の交易の)「貨物船。」 cip チㇷ゚ 舟、 丸木舟。 {E: a passenger boat.} (出典:田村、方言:沙流)
- rúkamare
- ルカマレ 【他動】[ru-kama-re 道・をまたぐ・させる] 伝染病が…に移らないで素通りする。 inomito ta noyasito a=e kor oripak an yakka pátumu wen yakka a=i=rúkamare wa pirka p ne na イノミト タ ノヤシト アエ コㇿ オリパㇰ アン ヤッカ パトゥム ウェン ヤッカ アイルカマレ ワ ピㇼカㇷ゚ ネ ナ 元日にヨモギ餅を食べるとどんなに伝染病がはやっても私たちのところを素通りするのでよいのだよ。(S) {E: to by-pass…so as not to catch an infectious disease.} (出典:田村、方言:沙流)
- rupaye
- ルパイェ 【自動】[ru-pa-ye ただの・口・言う](?) (歌いもの)をふしをつけずに語る。 rupaye ani ye ルパイェ アニ イェ (ふしのある歌い物を)ふしをつけずに語る。 tane pakno anak ku=rupaye ani ku=ye a korka yúkar sinotca ku=koki te wano ki kusu ne タネ パㇰノ アナㇰ クルパイェ アニ クイェ ア コㇿカ ユカㇻ シノッチャ クコキ テ ワノ キ クス ネ いままではふしをつけないで語りましたけれどもユーカラのふしをつけてこれからやります。(S独話) ☆参考 神謡(kamuyukar カムユカㇻ)やユーカラ(yúkar ユカㇻ 英雄叙事詩)等は本来ふしをつけて歌う韻文の口承文学であるが、 これらをふしをつけずに語ることを言う。 ☆対語 sákoye サコイェ/sákekoye サケコイェ [sa(ke)-ko-ye ふし・と共に・言う](神謡)をふしと折り返しをつけて歌う。 sinotca koki シノッチャ コキ ふしをつけてする。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rupnemat
- ルㇷ゚ネマッ 【名】[rupne-mat 大粒である・女] 年配の女性、 老女、 ばあちゃん(「ばば」)。 rupnemat utar oka ルㇷ゚ネマッ ウタㇻ オカ 「ばばたちいた。」 (S) ☆参考 rupnekur ルㇷ゚ネクㇽ は《大人》だが、 rupnemat ルㇷ゚ネマッ は年取った女性を言う。 しばしば cáca チャチャ《老翁、 じいちゃん》との対語として使われる。 ekasi エカシ《老紳士、 長老、 おじいさま》、 húci フチ《老婦人、 おばあさま》が敬意を伴った尊称であるのに対し、 cáca チャチャ と rupnemat ルㇷ゚ネマッ には、 そのような敬意のニュアンスはない。 日常会話では rupnemat ルㇷ゚ネマッ よりも húci フチ のほうがよく使われる。 民話には rupnemat ルㇷ゚ネマッ もよく出てくる。 {E: an elderly woman.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rúra 1
- ルラ 【他動】①…を運ぶ、 …を持って行く/来る。 aep pirka hi sake pirka hi a=rura a a=rura a híne アエㇷ゚ ピㇼカ ヒ サケ ピㇼカ ヒ アルラ ア アルラ ア ヒネ 食べものの上等のや酒の上等のが次々に運ばれてきて。(S民話) ②(人)を送って行く。 somo i=rura yakka pirka pirka ソモ イルラ ヤッカ ピㇼカ ピㇼカ いいえいいえ、 (私を)送って下さらなくても結構です、 大丈夫です。(KK民話) tésapa pakno/ci=rura nankor テサパ パㇰノ/チルラ ナンコㇿ (この人を)駅まで送って行きましょう。(W即興詩) ③(もの)を(小包などで)送る。 ④…を返す。 {E: ①to take, send, carry… ②to send off s.o; to lead someone. ③to send (off)… ④to return…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rúrapa
- ルラパ 【他動】[複](rúra ルラ は単複の区別なし)(二人以上が)(二つ/二人以上を)…を運ぶ、 持って行く、 連れて行く。 kor wa okay pe opitta rúrapa p ne kusu コㇿ ワ オカイ ペ オピッタ ルラパㇷ゚ ネ クス 持っていたものを全部持って行かれてしまったので。(W民話) {E: to carry, take, lead…(pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rúrare
- ルラレ 【複他動】[他動使役][rura-re …を運ぶ・させる] …に…を運ばせる。 {E: to make…carry, transport…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ruruseppa
- ルルセッパ §109 ハスノハカシパンの類 (2) ruru-seppa(ru-ru-sep-pa)「ルルセッパ」ハスノハカシパン Scaphechinus mirabilis (AGASSIZ). (出典:知里動物編、方言:)
- sa 2
- サ 【名詞語根】[概](所は sákehe サケヘ) ①神謡の折り返し(リフレイン)。 ②折り返しとメロディー・リズムを含めた歌い方。 ☆参考 メロディーだけを言うには sinotca シノッチャ と言う。 神謡を折り返しと節をつけて歌うことを sákoye サコイェ または sákekoye サケコイェ と言う。 ☆参考 この sa サ が独立の語として使われた例はない。 この方言で独立の語として使われる概念形は sáke サケ。 (出典:田村、方言:沙流)
- sama 2
- サマ 【位名語根】[雅](ユーカラ(yúkar ユカㇻ)の中や雅語的慣用句の中で、 多くの場合、 位置名詞のあとに置かれて、 音節数を整える。 概念形の後にも所属形の後にも置かれる。 これといった積極的な意味はなさそうであるが、 場所に関する表現に多く使われる。 詳細は不明。 形の上では sam サㇺ に a がついた所属形に見えるが、 sam サㇺ との違いも不明。 語構成または語源の表示の中では(< …のそば)と書いておく。 epa=kor cási/kopakke sama/a=yaytuyere/a=yayterkere エパコㇿ チャシ/コパッケ サマ/アヤイトゥイェレ/アヤイテㇾケレ [雅]私の城の方に向かって私はまっすぐに進んでいった。(Sユーカラ) tu-makke-sama kotuye トゥマッケサマ コトゥイェ …がいくら断っても(彼の断りを)きかない。 tu-makke-sama a=kotúye híne トゥマッケサマ アコトゥイエ ヒネ 彼がいくら断っても私はきかないで。(W民話) tumakke-sama i=kotuye トゥマッケサマ イコトゥイェ 私がいくら断って彼はきかなかった。(W民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sanpe-situri
- サンペシトゥリ 【自動】[sanpe-situri 心臓/気持ち・伸びる] 気持ちがいい、 気が晴れる。 ☆参考 esanpe-situri エサンペシトゥリ [他動]…で気持がいい/よくなる。 nucaktek ヌチャㇰテㇰ 気持ちが明るい。 気持ちよく眠っているときは sanpesituri サンペシトゥリ。 {E: to feel well; be comfortable.} (出典:田村、方言:沙流)
- saparus
- サパルㇱ 【名】[概](所は saparusi(hi) サパルシ(ヒ))[sapa-rus 頭・毛皮] 毛がついたままむけた頭の皮。 {E: the scalp.} (出典:田村、方言:沙流)
- saparusi(hi)
- サパルシ(ヒ) 【名】[所](概は saparus サパルㇱ) …の頭の皮。 saparusihi meske kane an サパルシヒ メㇱケ カネ アン 頭の皮がとれてしまった。 saparusihi a=sosó サパルシヒ アソソ 頭の皮をはがす。 {E: the scalp of…} (出典:田村、方言:沙流)
- sawot
- サウオッ 【他動】[sa-w-ot 前(外)・(母音連続をさける挿入音)・…につく/現れる/いる] …をさける、 …から逃げる、 …のいない所へ行く、 …を置き去りにして逃げる。 nisat-sawot-nociw ニサッサウォッノチウ [夜の明け始め・をさけて逃げる・星] 明けの明星(金星)。(S) {E: to avoid, escape from…; to escape and leave…behind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- se 1
- セ 【他動】…を背負う。 se wa ek セ ワ エㇰ …を背負って来る、 (荷物)を運んで来る。 ☆参考 昔は荷物を背負って運んだ。 手に下げて運ぶようになった現代でも、 大きい荷物やたくさんの荷物の場合には、 「持って行く」「持って来た」と言う代わりにしばしばこの語が使われて、 「背負って行く」「背負って来た」のように表現される。 {E: to carry…on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sekor
- セコㇿ 【接/副】[se-kor と言う・…しながら] ①(引用文/引用句を受ける。 多くの場合「言う」「思う」「たずねる」などを意味する語 hawean ハウェアン、 itak イタㇰ、 ye イェ、 yaynu ヤイヌ、 uwepekennu ウウェペケンヌ などへつなぐ。)(母音の後では、 しばしば s の後の e が落ちて …skor …ㇱコㇿ と発音される。) ②(昔話の終わりに用いられて)…とさ。 ③(何かのやり方を説明するのに、 そのしぐさをして見せながら)こういうふうに(二度くり返して言う)。 sekor sekor a=mimáki a=utómosmare hi セコㇿ セコㇿ アミマキ アウトモㇱマレ ヒ こういうふうにこういうふうに歯をぶつけ合わせること(歯をぶつけ合わせて見せながら言っている)。(W会話) sekor an pe セコン ペ このような/そのようなこと/もの。 ④(熟語) …pe/p sekor …ペ/ㇷ゚ セコㇿ …した途端に、 …したときすぐに。 temcaricari=an a p sekor テㇺチャリチャリアナㇷ゚ セコㇿ 手をバタバタした途端に。 sekor ne セコン ネ …と言った/言っているのだ、 …ということだ。 kanna k=ek kusu ne wa sekor ne hawe ne wa カンナ ケㇰ クス ネ ワ セコㇿ ネ ハウェ ネ ワ (私は)また来ますよと言ったのです。(S) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- semkoraci
- セㇺコラチ 【後副】[雅]…のように、 …するように。 tónon sukus/cieomare/semkoraci/cási upsor/enipekoma トノン スクㇱ/チエオマレ/セㇺコラチ/チャシウㇷ゚ソㇿ/エニペコマ [雅]まるで昼の光に照らされているかのように城の中は光り輝いていた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sére 1
- セレ 【複他動】[他動使役][se-re …を背負う・させる] …に…を背負わせる(荷物を運ばせることを言うときの表現)。 kími eci=ére rusuy kusu hápo en=sere wa k=ek キミ エチエレ ルスイ クス ハポ エイセレ ワ ケㇰ 「トウキビ」(=トウモロコシ)をあなた方に食べさせたくて母が私にそれを背負わせて私が来た=トウモロコシをあげたいからと母に持たされて来ました。(S) {E: to make…carry…on their backs.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- set
- セッ 【名】[概](所は seci(hi))寝台、 クマのおり、 鳥の巣。 ☆参考 ユーカラの中では寝台/高床を amset アㇺセッ と言う。 〔知分類 cikáp-set, -i((H.各地)) ①鳥の巣。 ②飼鳥を入れておく檻〕 {E: a bed; a bear cage; a bird's nest.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- setkorimse
- セッコリㇺセ 【自動】[set-ko-rimse クマの檻・に・踊る] 檻に向かって(?)踊る(子熊を檻(おり)から出すときに歌うウポポの歌詞の一部)。 hoyya pewrep rek haw/hoyya setkorimse/hoyya setkotapkar ホイヤー ペウレㇷ゚ レㇰ ハウ/ホイヤー セッコリㇺセ/ホイヤー セッコタㇷ゚カㇻ 子熊のなく声、 檻(おり)に向かって(?)/檻のところで(?)踊る、 檻に向かって(?)/檻のところで(?)踏舞する。 ☆参考 檻(おり)から出されようとしている子熊が激しく動いていることを「踊る」と表現しているらしい。 あるいはその子熊に向かって「踊れ」と言っているのかもしれない。 ☆参考 この地方の日常語では踊ることを horipi ホリピ[単]/horippa ホリッパ[複] と言い、 rimse リㇺセ とは普通言わないが、 歌や叙事詩ではよく rimse リㇺセ が使われる。 {E: to dance facing the cage of a bear cub.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- seturpeste
- セトゥㇽペㇱテ 【他動】[setur-pes-te 背中・に沿って上から下へ行く・させる] …を背中に沿って縦につけて持っている(用例では、 刀を着物の中に入れて背負っている)。 hemanta e=ekar kusu emus e=seturpeste e=seturpeste?! ヘマンタ エエカㇻ クス エムㇱ エセトゥㇽペㇱテ エセトゥㇽペㇱテ?! お前は何をするために刀を背中に入れているのだ。(W言い伝え) {E: to carry…upright on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sewa
- セワ 【自動】がらんどうである(木の中が洞穴になっている(nisa o ニサ オ)、 大根が年取りすぎてすになっている等)。 kapoca ossike pi ka sak, sewa wa an カポチャ オッシケ ピ カ サㇰ、 セワ ワ アン カボチャの中に種がない、 がらんどうになっている。(S) {E: to be hollow; empty.} (出典:田村、方言:沙流)
- seyar
- セヤㇻ 【他動】[不定使役][se-yar …を背負う・人に…させる/してもらう] …を人に背負わせてやる=人に持たせてやる、 人に持って行ってもらう。 ☆参考 昔はものを運ぶのに背負って運んだので、 かなりの量や重さの場合は、 手に下げて運ばせる場合でもこのように表現する。 {E: to make someone carry…on their backs.} (出典:田村、方言:沙流)
- seyyampe
- セイヤンペ §216 ホタテ、エゾギンチャク(エゾキンチャクガイ) (6) sey-yampe (sey-yam-pe)「セイヤンペ」 ⦅白浜⦆ホタテcioipe sei. Cahrakuニスル (出典:知里動物編、方言:)
- sikaricup
- シカリチュㇷ゚ 【名】[sikari-cup 丸い・月] 満月。 cási kotor/sikaricup noka/nincup noka/earuwato チャシ コトㇿ/シカリチュㇷ゚ ノカ/ニンチュㇷ゚ ノカ/エアルワト [雅]城の天井は満月の形三日月の形ばかりの模様に満ちていた。(Sユーカラ) ☆参考 pewre cup ペウレ チュㇷ゚ 三日月。 nincup ニンチュㇷ゚ 25日ごろの細くなった月。 ☞cup チュㇷ゚ {E: the full moon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sike 1
- シケ 【自動】①荷物を背負う、 (トラックなどが)荷物を積んでいる。 sike ruy シケ ルイ 「たいした荷物積んでる」=とてもたくさんの荷物を積んでいる。(S) ②[動名詞]荷物を背負うこと。 poro sike ki wa ポロ シケ キ ワ 大きな荷物を背負って。 {E: ① to carry a load on one's back. (v.) ② the situation of carring a load on one's back. (n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikere
- シケレ 【他動】[自動使役][sike-re 荷を背負う・させる](人)に荷物を背負わせる、 (人)に背負って行く/持って行くものを与える。 {E: to make…carry a load on their back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikittare
- シキッタレ 【自動】[si-kittare 自分を・(?)] 自分の身を守る。 saksamawe tura a=ecákke p isokapiw ne awa, sikittare kusu apa or ta punkinere ruwe an wa サㇰサマウェ トゥラ アエチャッケㇷ゚ イソカピウ ネ アワ、 シキッタレ クス アパ オッタ プンキネレ ルウェ アン ワ 臭くてきたなくておれの大きらいなアホウドリを、 自分の身を守るために戸口のところに置いて番をさせやがって。(HK民話) ☆参考 sikikkare シキッカレ と同義か。 ☞kik(i) kar キㇰ/キキ カㇻ {E: to protect oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sikmokte
- シㇰモㇰテ 【他動】[< sik-mok-te 目・えさで釣る(?)・させる] ちょっと目につく/目に入る。 imok sikmokte ka somo ki イモㇰ シㇰモㇰテ カ ソモ キ えさが目につかない/目に入らない。 ku=sikmokte wa k=e rusuy クシㇰモㇰテ ワ ケ ルスイ 私は(それが)ちょっと目について/目に入って食べたかった。(S) {E: for…to come into view, catch one's eye.} (出典:田村、方言:沙流)
- sikoekte
- シコエㇰテ 【他動】[si-ko-ek-te 自分・の方に・来る・させる] 自分の所に来させる。 a=kor nispa a=katéomare wa kusu sinotca ani a=sikóekte ka ki ruwe ne wa アコン ニㇱパ アカテオマレ ワ クス シノッチャ アニ アシコエㇰテ カ キ ルウェ ネ ワ 私はあなた様を好きになったので歌を歌って私のところへ来させて。(NK民話) {E: to have…come towards oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sineanta
- シネアンタ 【副】[sine-an-ta 一つの・ある・に於て]あるとき。 {E: once; on one occasion.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sínis
- シニㇱ 【名】[sí-nis 本当の・空]本当の空=天。 sínis ka ta シニㇱ カ タ 本当の空の上に/の、 天に/の。 sínis ka ta/epa=kor cási/eun arpa=an yak シニㇱ カ タ/エパコッ チャシ/エウン アㇻパアン ヤㇰ [雅]天の私の城へ私が行って。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinnurappa
- シンヌラッパ 【自動】[sir-nurappa 祖先(この場合 sinrit シンリッ を指す)・をまつる] 先祖まつりをする、 先祖のために儀式をし供物をまいて(供えて)供養する。 {E: to carry out a ceremony for one's ancestors.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinrit 2
- シンリッ 【名】[概](所は sinrici(hi) シンリチ(ヒ))[sir-rit 地・すじ] ①先祖。 sinrit koycarpa シンリッ コイチャㇻパ 先祖を供養する。 ②一族(先祖も、 子孫も含めて家全体)。 yaykata anak nep ka ku=kar somo ki yakka kú=ipe easkay korka sinrit ku=ramu wa nen póka kú=ikasuy siri un ヤイカタ アナㇰ ネㇷ゚ カ クカㇻ ソモ キ ヤッカ クイペ エアㇱカイ コㇿカ シンリッ クラム ワ ネン ポカ クイカスイ シリ ウン 自分は(私自身は)何もしないでも食べられるけれど一族を思って何とか手助け(=協力)しているのだよ。(S) {E: one's family clan, ancestors.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sipuyne
- シプイネ 【自動】[si-puyne 自分・だけである] 数が少ない。 cise sipuyne wa ramucuptek=an uske ne チセ シプイネ ワ ラムチュㇷ゚テカン ウㇱケ ネ 家数が少なくて寂しいところだ。(S) {E: to be few; scant.} (出典:田村、方言:沙流)
- sir 2
- シㇼ 【形名】(名詞化辞として、 動詞句に終わる文の後に置かれ、 見えることに関し、 「…する様子/…している様子」というニュアンスを含んだ名詞句をつくる。)(…している)様子、 …の。 ①(=siri シリ) tanepo apkas pe e=ne sir ne yakun タネポ アㇷ゚カㇱ ペ エネ シン ネ ヤクン あなたが初めて来たのなら。(S民話) (同じような文脈で siri シリ が多く使われる。 siri シリ と sir シㇼ とに用法やニュアンスの違いがあるかどうか不明。 ②sir ko シㇼ コ [様子・(擬音/擬態の表現を導く接辞)][雅]…する様子が/は…。 i=nukar sir ko caynatara イヌカㇻ シㇼ コ チャイナタラ 私を見る様子がジローツとしている=私をジローツとにらみつけている。(W民話) {E: an appearance; a condition ; a manner; a state.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sir- 3
- シㇼ 【名詞語根】①地、 あたり、 その辺の様子。 sir-ouri シㇼオウリ 地面を掘る。 sir-sep シㇼセㇷ゚ 場所が広い。 sir-pirka シㇼピㇼカ 天気がよい。 ②(季節や時を表す特定の数語に接頭して) …になる。 sir-mata シㇼマタ 冬になる。 ☆参考 自動詞や名詞に接頭して完全動詞をつくることも多い。 ☆参考 t, c の前では通常 sit- シッ、 n, r の前では通常 sin- シン と発音される。 本辞典では、 ハイフンの前では sir と書き、 ハイフンがなく続けて書くときは発音どおりに sit, sin と書く。 {E: ① a hilly, mountainous area, locality. ② to become…(in reference to the seasons or time) } (出典:田村、方言:沙流)
- sir-citurimeta
- シッチトゥリメタ 【完動】[名+他動中相][sir-ci-turim-eta あたり・…される・(爆音の擬音)・(他動詞形成)]バリバリバリバリドンドンダンダンと大砲のような大きな音がする。 réra wen híne apu perke hum apu yaske hum sir-citurimeta híne ekimatekpa kus kira wa yap レラ ウェン ヒネ アプ ペㇾケ フㇺ アプ ヤㇱケ フㇺ シッチトゥリメタ ヒネ エキマテㇰパ クㇱ キラ ワ ヤㇷ゚ 風が悪くて流氷が割れる音、 流氷が裂ける音がバリバリバリバリドンドンダンダンと大砲の音のように響いて、 みんなびっくりしたので逃げて帰って来た。(S) ☆発音 sir- で切って発音すれば シㇼ。 {E: for something to make a booming cannon-like sound.} (出典:田村、方言:沙流)
- sir-hanke
- シㇼハンケ 【完動/自動】[sir-hanke 地・近い] ①[完動]近い、 近くである、 時間が近づく。 tókap or un sir-hanke トカㇷ゚ オルン シㇼハンケ お昼に近づいた。(S) ②[自動]近い。 nitan kur anak na cup ri híne sirepa no a=kotánu kucacise or wa sir-hanke p ne ニタン クㇽ アナㇰ ナ チュㇷ゚ リ ヒネ シレパ ノ アコタヌ クチャチセ オㇿ ワ シㇼハンケㇷ゚ ネ 足の速い人ならまだ日が高いうちに行き着くくらいに私の村は狩小屋から近いのです。 NH民話 {E: ① for something to be near, close. ② to be near; close.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sir-mo
- シㇼモ 【完動】[sir-mo あたりの様子(完全動詞形成)・静か(である)] 静かである(天候について言う)。 sir-mo wa pirka ruwe! korka méan humi! シㇼモ ワ ピㇼカ ルウェ! コㇿカ メアン フミ! 静かでいいあんばいだねえ、 でも寒いなあ。(S) {E: to be calm.} (出典:田村、方言:沙流)
- síran
- シラン 【完動】[sir-an あたり/様子・ある] ①(…で)ある、 状況が(そう)なっている。 maratto an kor síran マラット アン コㇿ シラン 酒宴が行われていた。(W言い伝え) i=etok un aynu sinotcaki haw as kor síran イイェトㇰ ウン アイヌ シノッチャキ ハウ アㇱ コㇿ シラン 私の行く手にアイヌが歌う声がしていた。(S民話) uunukor utar oka híne síran ウウヌコㇿ ウタㇻ オカ ヒネ シラン 母と子が住んでいた。(W民話) a=erámasu no síran pe ne kusu アエラマス ノ シラン ペ ネ クス おもしろいような状態になっているので。(S会話) ene an tennep an hike a=i=núkare póka somo ki no síran hi an エネ アン テンネㇷ゚ アン イケ アイヌカレ ポカ ソモ キノ シラニ アン このような赤ちゃんがいたのにいままで私に見せてもくれなかったんだなあ。(W民話) ②時がたつ。 sóyonpa wa ora setakko síran pe ソヨンパ ワ オラ セタッコ シラン ペ 外出してからずいぶん長くたったのに。(S) iruka síran kor イルカ シラン コㇿ 少したつと。(NK民話) tu to re to hancikiki/síran ki kor トゥ ト レ ト ハンチキキ/シラン キ コㇿ 二、 三日たつと。(HC神謡) ☆参考 民話の冒頭で三人称の登場人物を紹介をするときには、 主語を特定しないこの完全動詞形が用いられる。 ①の最後の例では、 そのあとすぐに主人公の自叙となり、 sine po kor unarpe a=ne híne án=an シネ ポ コㇿ ウナㇻペ アネ ヒネ アナン 私は一人の息子を持つ中年の女性でした、 と、 引用文中の自称(すなわち不定人称形)になっている。 {E: ① circumstances, refers to space and time (B.). ② to take time; for time to pass.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sirasirak
- シラシラㇰ 【自動】[sirasira-k (擬態重複)・(自動詞形成)] ザラザラだ(削ってない板のように)。 peko parunpe cápe parunpe sirasirak ペコ パルンペ チャペ パルンペ シラシラㇰ 牛の舌や猫の舌はザラザラだ。 ☆対語 rárak ララㇰ {E: to feel rough.} (出典:田村、方言:沙流)
- siretok 1
- シレトㇰ 【名】[sir-etok 地・の先端]岬、 大地の先端。 ☆参考 通常の言葉で岬(「でっちゃき」)のことは nottu ノットゥ。 {E: a cape; a headland.} (出典:田村、方言:沙流)
- sirkar
- シㇼカㇻ 【自動】[sir-kar あたり・をつくる/する] あたりを(…の様子に)する。 a=uníhi ne a p anak a=carpacarpa, a=sitóma no sirkar=an アウニヒ ネ アㇷ゚ アナㇰ アチャㇻパチャㇻパ、 アシトマ ノ シㇼカㇻアン …私のすまいだったものはバラバラに散らされて恐ろしい光景になって(されて)いる。 {E: for a situation to go towards, drift to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sirkur-wen
- シㇼクㇽウェン 【完動】[sir-kur-wen あたり・(< 影/姿)・悪い] 曇っている。 ponno sirkur-wen a korka tane hecaka ポンノ シㇼクㇽウェン ア コㇿカ タネ ヘチャカ 少し曇っていたけれどもう晴れた。(W) {E: to be cloudy; clouded.} (出典:田村、方言:沙流)
- siromatara
- シロマタラ 【自動】[sir-oma-tara 地・につく・…した状態が続いている] しっかりと心を決めている、 落ち着いている。 {E: to be calm; settled.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sisakpeka-opas
- シサㇰペカオパㇱ 【自動】[sisak-pe-kaopas めずらしい・もの・のところへかけつける] めずらしいものがとれたというので手伝いに行く。 sirkap a=rayke yak a=ye wa ku=sisakpekaopas, somo eani hem e=san wa e=inkar? シㇼカㇷ゚ アライケ ヤカイェ ワ クシサㇰペカオパㇱ、 ソモ エアニ ヘㇺ エサン マ エインカㇻ? ツノザメがとれたと言うので(私は)行って手伝ってあげるのよ、 あなたも行ってみない? (S) ☞ka(si) opas カ(シ) オパㇱ {E: to go help as one heard something rare was caught; to go help with something unusual that has been caught.} (出典:田村、方言:沙流)
- sitapkaani
- シタㇷ゚カアニ 【他動】[si-tap-ka-ani 自分・肩・の上・…を持つ] …を肩にかつぐ。 ☆参考 esitapkaani エシタㇷ゚カアニ とも言う。 {E: to shoulder…; carry…on one's shoulder.} (出典:田村、方言:沙流)
- siwto
- シウト 【名】[概/所][< 日本語] しゅうと、 しゅうとめ(夫または妻の父母兄弟姉妹)。 ☆参考 通常 acapo アチャポ おじさん、 unarpe ウナㇻペ おばさん、 onne kur オンネ クㇽ 老人(男性) などの語の前に置かれる。 日本語と違って舅・姑や小舅・小姑を父、 母、 兄弟姉妹とは言わない。 ☞siwtoho シウトホ {E: one's in-laws.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- siwto-iyapo
- シウトイヤポ 【名】舅、 夫または妻の父(=siwto(ho) acapo シウト(ホ) アチャポ)。 ku=siwto-iyapo クシウトイヤポ 私のしゅうと(夫または妻の父)。(S) {E: father-in-law.} (出典:田村、方言:沙流)
- siwtoho
- シウトホ 【名】[所](概は siwto シウト) …のしゅうと、 しゅうとめ(夫または妻の父母兄姉弟妹)。 siwto(ho) acapo シウト(ホ) アチャポ 舅、 夫または妻の父。 siwto(ho) kiyanne kur シウト(ホ) キヤンネ クㇽ 夫または妻の兄。 siwto(ho) okkaypo シウト(ホ) オッカイポ 小舅、 夫または妻の兄弟。 siwto(ho) onne kur シウト(ホ) オンネ クㇽ 舅である老人、 夫または妻の年老いた父。 siwto(ho) ponmenoko シウト(ホ) ポンメノコ 小姑、 夫または妻の姉妹。 siwto(ho) unarpe シウト(ホ) ウナㇻペ 姑、 夫または妻の母。 siwto(ho) kiyanne mat シウト(ホ) キヤンネ マッ 夫または妻の姉。(S) {E: the in-laws of…} (出典:田村、方言:沙流)
- siyasis'eo
- シヤシㇱエオ 【自動】何でもきたながる。 ☆参考 cakkeeo チャッケエオ とも言う。 (出典:田村、方言:沙流)
- somo
- ソモ 【副】(否定辞) ①(動詞句または否定する語の前に置かれて) …しない。 núman somo k=ek ヌマン ソモ ケㇰ 昨日私は来なかった (S会話) te wano anak somo néno iki=an kusu ne na テ ワノ アナㇰ ソモ ネノ イキアン クス ネ ナ これからはあんなことはしませんから。(W民話) somo ipe ソモ イペ (彼は)ものを食べない。(S会話) ipe ka somo ki イペ カ ソモ キ (彼は)ものも食べない(全然食べない)。(S会話) somo ne ソモ ネ …ではない。 seta ka somo ne, cápe e ruwe ne aan wa セタ カ ソモ ネ、 チャペ エ ルウェ ネ アアン ワ 犬じゃない、 猫が食べたんだわ。(S) somo ki ソモ キ …しない/しなかった。 somo ki no ソモ キ ノ …せずに。 ②(動詞句が現れずこの語だけで否定の動詞句の役割をする場合もある。) somo yak a=ye ソモ ヤカイェ そうではないそうだ。 ③[熟語・慣用表現] somo ka(…ramu a p/hi) ソモ カ…(ラム アㇷ゚/ラム ア ヒ) まさか… (とは思わなかったが…)。 a=yupíhi somo ka ene iki kunak a=ramú a hi アユピヒ ソモ カ エネ イキ クナㇰ アラム ア ヒ 兄がまさかそんなことをするなんて私は思わなかったが。(W民話) somo ka tapne i=okpare kuni p ne kunak a=ramú a p ソモ カ タㇷ゚ネ イオㇰパレ クニㇷ゚ ネ クナㇰ アラム アㇷ゚ まさか(苦労して育てた息子に)虐待されるなんて思わなかったのに。(W民話) ciki somo…na/ya チキ ソモ…ナ/ヤ …すれば(…なるのではないかなあ)(願望)。 híne un somo ヒネ ウン ソモ もちろん。(S) somo ney ta ki ソモ ネイ タ キ いつもそうする。 hat punkar he emawri punkar he k=éokok híne ku=hacir, k=áni wakka opitta ku=kuta wa isam ranke, somo ney ta ki p un ハッ プンカㇻ ヘ エマウリ プンカㇻ ヘ ケオコㇰ ヒネ クハチㇼ、 カニ ワッカ オピッタ ククタ ワ イサㇺ ランケ、 ソモ ネイ タ キプン (S) ブドウ蔓かイチゴの蔓かにひっかかって転ぶ、 持っている水を全部こぼしてしまう、 いつもそうなのよ。 {E: not (to negate a sentence).} (出典:田村、方言:沙流)
- somoytak
- ソモイタㇰ 【自動】[somo-itak …しない・話す] ものを言わない、 唖者(「おっち」)である。 toanta somoytak kur an na トアンタ ソモイタㇰ クㇽ アン ナ あそこに唖の人がいるよ。(S) {E: to be dumb; cannot speak.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sune
- スネ 【名】(カンビ(樺)の皮を燃やす)明り。 sune kar スネ カㇻ 明りをつける。 ☆参考 今の電灯の代わりに昔はカンビ(樺)の皮(tat タッ)をクルクル巻いたもの(cinoyetat チノイェタッ)に火をともした。 このカンビの皮をはさむ木は suneni スネニ。(W) この明かりを外に持って出るたいまつは tatuspe タトゥㇱペ。(NK) ☆参考 いろりの隅に置かれた貝殻に入れた油を燃やす明りは ratcako ラッチャコ。(W) {E: a light; a lamp.} (出典:田村、方言:沙流)
- supunimok
- スプニモㇰ 【名】[supun-imok ウグイ・餌][動物] イモムシ。〔知分類 p.116 imok ((旭))ミミズ、 タマクラミミズ〕 {E: a green caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
- suwop
- スウオㇷ゚ 【名】箱。 ☆参考 昔の suwop スウォㇷ゚ はあまり大きくない、 細長い木製で、 彫刻がしてある。 ワテケさんは現代の生活の中のいろいろな箱を suwop スウォㇷ゚ と呼んだが、 古老の中には、 昔の特殊なもののみをこの語で呼び、 今の各種の箱は hako ハコ と言って区別する人もいる。 {E: a box; a case.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ta 4
- タ 【格助】①(空間的・時間的位置を示す副詞句をつくる。)…に、 …で。 Piratur ta ピラトゥッ タ 平取に/で。 a=kor mosir ta a=kar easkay アコㇿ モシッタ アカㇻ エアㇱカイ わが国でつくれる。(S) kotan eepak ta en=etunankar コタン エエパㇰ タ エネトゥナンカㇻ (彼は私に)部落のはずれで出会った。(S) ta a=kotanu ta ka oka タ アコタヌ タ カ オカ ほらここに、 私たちの村(地域)にもある。(W会話) te ta テ タ ここに/ここで。 taan ta タアン タ ☞taanta タアンタ uweepak ta ウウェエパㇰ タ ☞uweepakta ウウェエパㇰ sine an ta シネ アン タ ☞sineanta シネアンタ sine an pe ta シネ アン ペ タ あるとき。 sine an pa ta シネ アン パ タ ある年。 hi ta ヒ タ …したときに。 ②(連体的に使われて) te ta X húci テ タ X フチ ここのXおばあちゃま(特定のフチの場合に言う。 一般的に言う場合は te un húci テ ウン フチ と言う(☞un ウン)。(S) te ta poysisam テ タ ポイシサㇺ ここの(うちの)小さい和人。(S民話) aw ta pon weysisam アウ タ ポウ ウェイシサㇺ となりの小さい貧乏和人。(S民話) {E: locative in space and time: in, at etc.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tak 1
- タㇰ 【他動】…を取って/持って来る、 (人)を連れて来る/呼んで来る/呼びに行く/迎えに行く(来ることを求める)、 (人)を招待する。 e=sanpe a=uk kusu a=e=ták wa e=ek ruwe ne na エサンペ アウㇰ クス アエタㇰ ワ エエㇰ ルウェ ネ ナ あなたの心臓を取るためにあなたは呼ばれて連れられて来たのだよ。(S民話) sakekar=an nen póka ki wa a=kotánu un utar a=tak wa サケカラン ネン ポカ キ ワ アコタヌ ウン ウタㇻ アタㇰ ワ 私はなんとかして酒をつくって村の人々を招待して。(W民話) {E: to bring…; lead, take someone to, from…; go, come to call…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- takpa
- タㇰパ 【他動】[複](tak タㇰ は単複の区別なし)(二人以上を皆)…を呼んで来る、 招待する。 {E: to call, beckon, invite…(pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- taktakse
- タㇰタㇰセ 【自動】[tak-tak-se 塊・(重複)・(自動詞形成)]丸い(円ではなく玉の形)。 (「球」の訳語として出た。) {E: to be round; spherical.} (出典:田村、方言:沙流)
- taktaku
- タㇰタク 【他動】[tak-tak-u 塊・(重複)・(他動詞形成)]…をにぎって丸める。 upas taktaku ウパㇱ タㇰタク 雪を丸める=雪玉をつくる(雪合戦で)。(S) sito taktaku シト タㇰタク 餅を丸める=丸餅をつくる。(S) amam taktaku wa poyson ére アマㇺ タㇰタク ワ ポイソン エレ おにぎりをつくってぼうやに食べさせなさい。(S) {E: to make…round, spherical.} (出典:田村、方言:沙流)
- tamane
- タマネ 【自動】[tama-ne 玉・になる]玉になる(丸くかたまる)。 kaypeci tamane wa an カイペチ タマネ ワ アン キャベツが(もう)玉になっている。 {E: to become round; spherical.} (出典:田村、方言:沙流)
- tapika
- タピカ 【副】[tap-ika 肩・を越える] 肩にかけて、 肩にななめがけして。 {E: to carry on one's shoulder(s).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tawsa
- タウサ 【副】[ta-usa (強め)・いろいろ](?) (一種の強め。)keray tawsa ケライ タウサ [雅]さすがに…だけあって。 keray tawsa/kamuy kar cási/an pe ne kus ケライ タウサ/カムイ カッ チャシ/アン ペ ネ クㇱ さすがに神につくられた城だから。(Sユーカラ語り) nen tawsa ネン タウサ [雅]いったいだれが nen tawsa respa ciki pirka kuni ネン タウサ レㇱパ チキ ピㇼカ クニ いったいだれが育てればよいのか。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tekko
- テッコ 【名】[< 日本語 てっこ(手籠)]竹のかご。 {E: a bamboo cage.} (出典:田村、方言:沙流)
- temesirkik
- テメシㇼキㇰ 【自動】[tem-e-sir-kik 手・で・あたり・を打つ] 手であたりをたたく、 (ユーカラに合わせて)手でひざなどをたたいて拍子を取る。 yúkar akusu néa kucan ahun híne temesirkik kor an ayne ユカㇻ アクス ネア クチャン アフン ヒネ テメシㇼキㇰ コㇿ アン アイネ (兄が)ユーカラを歌うとその雌熊が入って来て手で拍子を取っていてから。(NK民話) ☆参考 木の棒で拍子を取る(rep レㇷ゚)には炉ぶちをたたくが、 手で拍子をとるときはひざなどをたたく。(KSg) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- teta
- テタ 【副】このあいだ、 先頃、 十日ぐらい前。 teta ek ruwe un テタ エㇰ ルウェ ウン このあいだ来たのだよ。(S) teta tek ek ruwe un テタ テㇰ エㇰ ルウェ ウン ついこのあいだ来たのだよ。(S) teta Taromaycan upas as yak a=ye テタ タロマイチャン ウパㇱ アㇱ ヤカイェ このあいだ樽前山に雪が降ったそうだ。(S) ☆参考 téta テタ《ここに、 ここで》とはアクセントが違う。 ☆参考 teeta テエタ《昔》は、 もともとこの強調形であったかもしれない。 {E: recently; the other day.} (出典:田村、方言:沙流)
- tom 2
- トㇺ 【位名】[概](所は tomo トモ) ①面の中ほど、 ぶつかったりたたいたりめがけて向かって行ったりする対象の位置。 pira tom wa carase nay ピラ トㇺ ワ チャラセ ナイ 崖の中ほどから流れ下る沢。(S) hur tom wa フットンマ 山の斜面の中ほどから。(S) en=tom unno sukus tom wa ku=sesek エントㇺ ウンノ スクㇱ トㇺ ワ クセセㇰ 私に日がさして暑い(後の tom トㇺ は《照る》)。(S) ② ☞tom(o) osma トㇺ/トモ オㇱマ。 ☞tom(o) oytak トㇺ/トモ オイタㇰ。 ③(動名詞の後に置かれて)…している最中に。 inkar tom ta インカッ トㇺ タ [慣用句]見てる間に。(S) urameturente wa nepkipa p ne kusu, inkar tom ta nispa nepa ウラメトゥレンテ ワ ネㇷ゚キパㇷ゚ ネ クス、 インカッ トㇺ タ ニㇱパ ネパ (彼らは)心を合わせて皆で働くものだから、 見る見るうちに金持ちになる。(S) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tom(o) oytak
- トㇺ/トモ オイタㇰ 【連他動】…をなだめる。 en=tom oytak エントㇺ オイタㇰ 彼が私をなだめる。 tomo oytak トモ オイタㇰ 彼が彼をなだめる。 {E: to calm…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tónon-sukus
- トノンスクㇱ 【名】[tónon-sukus 昼間の・日差し] 昼間の風のない雲のない静かないい天気(夏でも冬でも)。 tónon-sukus an トノンスクㇱ アン 昼間の風のない雲のない静かないい天気だ。(S) cási upsor/tónon-sukus/cieomare/semkoraci チャシ ウㇷ゚ソㇿ/トノンスクㇱ/チエオマレ/セㇺコラチ [雅]城の中はまるで昼の光に照らされているかのように。(Sユーカラ) {E: a windless, cloudless calm day.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tónonnoto
- トノンノト 【名】[tónon-noto 昼間の・なぎ] 昼間のなぎ(「あぶらなぎ」)(水上にあぶらをひいたようにみえる)。 tónonnoto an トノンノト アン「「あぶらなぎ」だ。(S) {E: the calm of day.} (出典:田村、方言:沙流)
- tópenpe
- トペンペ 【名】[topen-pe 甘い・もの] 甘いもの、 甘い菓子など。 {E: sweets; candy.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tópiror
- トピロㇿ 【名】[to-pir-or 日・傷・の所](?) しける前日のなぎ(「うけなぎ」)。 ☆参考 tópirpok トピㇼポㇰ とも言う。 {E: the calm before a storm.} (出典:田村、方言:沙流)
- tópirpok
- トピㇼポク 【名】[to-pir-pok 日・傷・の下](?) しける前日のなぎ(「うけなぎ」)。 ☆参考 tópiror トピロㇿ とも言う。 {E: the calm before a storm.} (出典:田村、方言:沙流)
- toskaha
- トㇱカハ 【名】[所](概は toska トㇱカ) …の堤、 …の山(山のようにたくさんの…)。 hunpe ca a ca a híne ray-toskaha ikiri kar híne フンペ チャ ア チャ ア ヒネ ライトㇱカハ イキリ カリネ 鯨肉を切り取って切り取ってものすごく大きな山積みをたくさんつくって。(S民話) {E: the bank of…; a mountain of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- totta
- トッタ 【名】大袋、 米俵二つくらいの大きい saranip サラニㇷ゚。 totta or eci=omáre na トッタ オㇿ エチオマレ ナ 大袋に入れるよ(子どもがあまり泣くとこう言う)。(S) hon ne kor pe/totta kunne/sisam omare ホン ネ コㇿ ペ/トッタ クンネ/シサモマレ [雅]おなかが大袋みたいに体から離れたみたいにふくれます。(Sユーカラ) ☆参考 主にユーカラで使う言葉。 通常は poro-saranip ポロサラニㇷ゚《大袋》、 ica-saranip イチャサラニㇷ゚《穂摘み袋》と言う。 ☆参考 かますは kamasu カマス。 totta トッタ はかますより大きい。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tóya
- トヤ 【位名】[to-ya 湖/沼・の岸](=to ya ト ヤ)湖/沼の岸、 湖畔。 Tóya トヤ 洞爺の語源。 Kutcaro tóho poro to tóya ta クッチャロ トホ ポロ ト トヤ タ 屈斜路湖という大きな湖の湖畔に。(S会話) {E: the shore of a lake, swamp.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- toyikankikir
- トイイカンキキㇼ §122 スズメバチ (4) toy-ikankikir(tóy-i-kan-ki-kir)「とイイカンキキㇼ」⦅美幌⦆クロスズメバチ Vespa lewisii CAMERON. (出典:知里動物編、方言:)
- toyko-kisma
- トイコキㇱマ 【他動】[toyko-kisma ひどく・…をつかむ/押える] …をしっかり/ギュッとつかむ、 …をしっかりつかまえる。 toan pe toyko-kisma yan! netopake a=nukár kusu ne na トアン ペ トイコキㇱマ ヤン! ネトパケ アヌカㇻ クス ネ ナ あいつをしっかりつかまえろ、 体を調べるから。(W言い伝え) {E: to catch, grasp…firmly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tumam 1
- トゥマㇺ 【他動】…をだいて寝る。 ku=merayke na en=tumam wa en=kore クメライケ ナ エントゥマㇺ ワ エンコレ 寒いからだいて寝てちょうだい。 cápe ku=tumam akus etoro wa ku=mokor ka eaykap チャペ クトゥマㇺ アクㇱ エトロ ワ クモコㇿ カ エアイカㇷ゚ 猫をだいて寝たらゴロゴロのどを鳴らして私は眠れなかった。 utumam ウトゥマㇺ だき合って寝る、 同衾する。 {E: to sleep embracing…} (出典:田村、方言:沙流)
- tuyka
- トゥイカ 【位名】[概](所は tuykasi/tuykaske トゥイカシ/トゥイカㇱケ) ①…の上、 …の上端、 (出入口や窓の)すぐ上の所。 tek tuyka ta amam pus uwecururse テㇰ トゥイカ タ アマㇺ プㇱ ウウェチュルㇽセ (稲の穂摘みをしていると)手の上側に稲の穂が集まってくるようだ。(S) ②(動詞の後に置かれて)…している最中。 onkami tuyka/itak omare オンカミ トゥイカ/イタコマレ [雅](その神は)拝礼 (伝統的な形のあいさつ)をしながら言葉を言った。(W神謡語り) tuyka ta トゥイカ タ …しながら/しているときに。 i=kusa tuyka ta a=kowépekennu イクサ トゥイカ タ アコウェペケンヌ 私は舟で川を渡してもらいながら(彼に)事情をたずねた。(NK民話) e=soyne tuyka ta Ayoro nupuri kasi un yam e=carpa nankor エソイネ トゥイカ タ アヨロ ヌプリ カシ ウン ヤㇺ エチャㇻパ ナンコㇿ あなたは外へ出ると同時にアヨロ山の上に栗をばらまきなさい。(W神謡語り) ☆参考 沙流川下流のサダモさんは、 ipe tuyka ta イペ トゥイカ タ《食べながら》はユカルの言葉で、 日常語では ipe=an kor イペアン コㇿ だと言った。 それに対し姉のワテケさんは「húci フチ《おばあさま》がよく言った」と反論した。 ☆参考 机やござや紙の「上」は tuyka トゥイカ ではなく ka カ。 ドアのすぐ「上」、 棒や杖の「上端」などが tuyka トゥイカ。 ☆参考 「…しながら」には kurka クㇽカ も使われる。 ☆対語 tuypok トゥイポㇰ {E: ①above… ②in the middle of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tuymaa
- トゥイマア 【自動】[tuyma-a 遠く・座る] 大便する(良い言葉)。 ku=tuymaa wa k=ek クトゥイマア ワ ケㇰ (私は)大便して来ます。(W)/大便して来た(どこへ行ったか聞かれたときの返事)。(S) ☆参考 「ぶつけて」(直接的に)言う言葉は osoma オソマ。 ☆対語 hankea ハンケア 小便する(良い言葉)。 {E: to defecate (polite).} (出典:田村、方言:沙流)
- u-wao
- ウワオ 【間投】踊り歌のはやしの一部。 {E: musical accompaniment to dance.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uhao
- ウハオ 【間投】(踊り歌のはやしの一部。) {E: musical or song accompaniment for dance.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uhuy
- ウフイ 【自動】燃える、 焼ける、 こげる。 uhuy wa paspasi an ウフイ ワ パㇱパシ アン (パンが)こげて炭に(真っ黒に)なった。(W) cise uhuy チセ ウフイ 家が燃える(火事)。 kotan un rok hi maciya un rok hi uhuy wa paye コタン ウン ロキ マチヤ ウン ロキ ウフイ ワ パイェ 村のあった所や町のあった所が燃えて行った。(W会話) ratcako uhuy ラッチャコ ウフイ ランプが燃える(ともる)。 uhuy ikuspe ウフイ イクㇱペ 焼けた柱(女性が死んだあと焼いた家の)。 uhuy nicica ウフイ ニチチャ 「焼けぼっくい」焼け跡に立っている焼けこげた棒杭。(W会話) sir-uhuy シルフイ[完動]あたり/地/山が燃える(山火事や野火で)。 ☆参考 調理のことではなく、 家や野山や物などが燃えたり焼けたり、 食べ物でも焼けすぎてこげたりすることを言う。 {E: to be burnt; scorched.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uhuynupuri
- ウフイヌプリ 【名】[uhuy-nupuri 燃える・山] 火山。 {E: a volcano.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukattuymano
- ウカットゥイマノ 【副】[u-kat-tuyma-no 互い・姿・遠い・(副詞形成)] 互いに遠く離れて、 たまに、 長い間をおいて。 ukattuymano pisi kor an ウカットゥイマノ ピシ コラン 「間遠く(あいだとおく)きいている」(=途切れ途切れに質問している)。(W) ukattuymano sine pa arsuyne ne ya tusuy ne ya patek ek ウカットゥイマノ シネ パ アㇻスイネ ネ ヤ トゥスイ ネ ヤ パテㇰ エㇰ (彼は)長い間をおいて一年に一度か二度だけ来る。(S) {E: occasionally leave a long break; separate from each other for awhile at times} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukoani
- ウコアニ 【他動】[uko-ani 一緒に・…を手に持つ] …を一緒に(手に)持つ。 ☞ani アニ {E: to have, hold, carry…together.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukonoyke
- ウコノイケ 【自動】[uko-noyke 一緒に・ねじれる] ねじれている、 からまり合う。 ka ukonoyke カ ウコノイケ ござを編む糸がねじれている。(S) ratcako peker tek us tek peker tek us tek, mákip iki sekor ku=raman kusu ku=soyne wa ku=inkar akus harinkane ukonoye wa an wa ne aan ラッチャコ ペケッ テㇰ ウㇱ テㇰ ペケッ テㇰ ウㇱ テㇰ、 マキㇷ゚ イキ セコㇿ クラマン クス クソイネ ワ クインカラクㇱ ハリンカネ ウコノイェ ワ アン マ ネ アアン あかりがついたり消えたりついたり消えたりする、 どうしたんだろうと思って外に出て見たら電線がからまり合っていたのだった。(S) {E: to be twisted; intertwined} (出典:田村、方言:沙流)
- ukosuppakar
- ウコスッパカㇻ 【他動】[uko-suppa-kar 一緒に・…をきつく・する] …をまとめて荷縄で背負うように荷つくりする。 kor pe anak opitta ukosuppakar híne se híne コㇿ ペ アナㇰ オピッタ ウコスッパカㇻ ヒネ セ ヒネ 持ち物は全部まとめて荷つくりして背負って。(W民話) {E: to pack…together with a rope or cord so as to carry on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ukoyomomke/uko-yomomke
- ウコヨモㇺケ 【自動】[uko-yomomke 一緒に・ちぢれる](火にあぶったために)チリチリにちぢれる、 ひきつる(セロファン、 ビニール、 皮膚のやけど等)。 ku=teke ukoyomomke クテケ ウコヨモㇺケ 私の手がやけどでチリチリになった。(S) {E: to be scarred (eg. for the skin to be scarred from a burn).} (出典:田村、方言:沙流)
- un 2
- ウン 【格助】[< un ウン 1] ①(連体句をつくる、 つまり名詞にかかる。) …にある/いる…、 …につく/ついている…、 (そこ)の、 …出身の。 Sar un kur サルン クㇽ 沙流の人(一語のアクセントで発音される)。 atuy or un cikap アトゥヨルン チカㇷ゚ 海の鳥。 te un húci テ ウン フチ ここの(=この家の)おばあさん。(S) (注 特定のおばあさんを言うときは un ウン でなく ta タ を使って te ta X húci テ タ X フチ ここの(この家の)Xおばあさん。(S) ) ②(連用句をつくる、 つまり動詞にかかる。) …へ/に(移動の方向/目的地、 心理的に向かう方向)、 …に/から(見える方向、 音や声などが聞こえる方向、 ものを取る相手やその場所)、 …で(仕事や飲食をする入れものの中や台の上などの場所)。 Tokiyo un k=arpa kusu ne トキヨ ウン カㇻパ クス ネ 私は東京へ行きます。(S) osmake un esirkociwe no a オㇱマケ ウン エシㇼコチウェ ノ ア 後ろへ押し分けて坐りなさい。(S) atuy or un put kor to アトゥヨルン プッ コッ ト 海へ口を持った沼。 urepeci osmake un an, kesupi kotcake un an ウレペチ オㇱマケ ウン アン、 ケスピ コッチャケ ウン アン 足指が後のほうにある、 かかとが前のほうにある。 ③siyoka un inkar シヨカ ウン インカㇻ 後ろを見る。 pínay asam un sir-kunne kane síran, rawne wa ki ピナイ アサムン シㇼクンネ カネ シラン、 ラウネ ワ キ 谷底の方が暗くなっている、 深くて。 to noski un háwas ト ノㇱキ ウン ハワㇱ 沼のまん中で声がする。 kamuy hayokpe/iyoykir ka un/a=uyna katu カムイ ハヨㇰペ/イヨイキㇼ カ ウン/アウイナ カトゥ [雅]立派なよろいかぶとを宝器類の上から取って下ろしたことを。(Sユーカラ) nisu or un iyuta ニス オルン イユタ 臼でヒエつきする。(W) káneya ka un ma カネヤ カ ウン マ (魚を)かなあみの上で焼く。(S) kasi un e=kanpinuye hemanta カシ ウン エカンピヌイェ ヘマンタ その上であなたが書きものするやつ(=机)。(S) {E: ①to be; exist; be from… ②to… ③from, at…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uneno
- ウネノ 【副】[u-neno 互い・に似て] ①(二つ以上が)互いに似て、 同じく。 kutcama uneno an クッチャマ ウネノ アン 声がそっくりだ。(S) uneno aynu ne wa hńta kusu ene e=hawean hi an? ウネノ アイヌ ネ ワ、 フンタ クス エネ エハウェアニ アン? 私たちは同じにアイヌであって、 どうしてあなたはそのように言うのか。(S) uneno motokor ウネノ モトコㇿ 同じく起源を持つ=起源は同じである。 imatne kur ka iyokkayone kur ka, opitta uneno kewtumu pirka utar ne イマッネ クㇽ カ イヨッカヨネ クㇽ カ、 オピッタ ウネノ ケウトゥム ピㇼカ ウタンネ 奥さんのほうもだんなさんのほうも、 両方とも同じに心のいい人たちだ。(S) ②(連体的に)同じ…。 uneno itak ウネノ イタㇰ 同じ言葉。 ☆参考 性質や有様や状況などが似ていることや同様であることを言う。 これに対し、 数量や程度が同じくらいであることは upakno ウパㇰノ と言う。 ☞néno ネノ {E: ①like; the same as. ②the same …} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- unintek
- ウニンテㇰ 【名】[植物](草の名) ☆参考 「丈1メートルぐらい、 一本茎でそのまわりに花が咲く、 根は長さ20センチぐらいの芋が一つか二つ、 煮たり焼いたりして食べる、 この辺にはない、 石狩の原野にだけある。 しかし Siraw シラウ の沢の奥、 Cicakomanay チチャコマナイ 辺に行けばあったらしい。」 (S)〔知分類 p.192 オニノヤガラ〕 {E: a knd of orchid (B.).} (出典:田村、方言:沙流)
- upsor 1
- ウㇷ゚ソㇿ 【名】[概](所は upsoro(ho) ウㇷ゚ソロ(ホ)) [< upsi-or 内部におおわれている(?)・ところ] ①ふところ、 着ている衣服の中。 ②[慣用表現](家や部屋の)中(保護され守られている内部が、 ふところや衣服の中にたとえられる)。 cise upsor míke kane kurkot kane チセ ウㇷ゚ソㇿ ミケ カネ クㇽコッ カネ [慣用表現]家のふところ(=家の中)が光り輝いている。(W民話) tunpu upsor a=orésu トゥンプ ウㇷ゚ソㇿ アオレス [雅]部屋のふところ(=部屋の中)で育てられた。(W) cási upsor/koyaykar ruwe/ene oka hi チャシ ウㇷ゚ソㇿ/コヤイカン ルウェ/エネ オカ ヒ [雅]城のふところ(=城の中)のつくりようは次のようであった。(Sユーカラ) ☆参考 知里真志保による語源解釈が『分類アイヌ語辞典人間篇』の p.53 にある。 {E: ①the bosom. ②the inside of (a house or room).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- urikka
- ウリッカ §278 あざらし (38) urikka (u-rík-ka)「ウりッカ」 ⦅多来加⦆クラカケアザラシ(リボンアザラシ Histriophoca fasciata ZIMMERMANN.)の成体 (出典:知里動物編、方言:)
- usa 1
- ウサ 【副】①いろいろ、 (連体的に)いろいろな。 usa kéraanpe kar kor an ウサ ケラアンペ カㇻ コㇿ アン (彼女は)いろいろなごちそうをつくっていた。 ②それぞれめいめい、 一人一人。 tup ne usaraye wa usa korpare トゥㇷ゚ ネ ウサライェ ワ ウサ コㇿパレ 二つに分けてそれぞれに(二人ともに)あげなさい。(S) pon menoko tup mat ne usa a=kor wa ポン メノコ トゥㇷ゚ マッ ネ ウサ アコㇿ ワ 私たちは若い女性二人を妻としてそれぞれ持って=私たち二人はその二人の女性の一人ずつと結婚して。(KC民話) ③usa usa ウサ ウサ いろいろ、 それぞれに。 ④usa oka ウサ オカ いろいろの(種々の、 様々の)。 usa okay pe ウサ オカイ ペ いろいろなもの/こと。 usa okay pe uwekarpare ウサ オカイ ペ ウウェカㇻパレ いろいろなものを集める。 ⑤(名詞の前に置かれ、 通常くり返されて) usa…usa… ウサ… ウサ …やら…やら。 usa cápe usa seta usa puta usa peko, nep ne yakka a=respa wa oka ウサ チャペ ウサ セタ ウサ プタ ウサ ペコ、 ネㇷ゚ ネ ヤッカ アレㇱパ ワ オカ 猫や犬や豚や牛や何でも飼われている。(S) usa iyuta usa suke ki wa ウサ イユタ ウサ スケ キ ワ (その女性は)ヒエつきやら料理やらいろいろして。(W民話) (iyuta イユタ、 suke スケ は自動詞で、 この場合、 動名詞。) {E: ①various; many kinds of. ②each.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- úsere
- ウセレ 【他動】[úse-re それだけ離れてある・させる](?) (見えないもの)を見えるように出す。 {E: to stretch so as one can see…} (出典:田村、方言:沙流)
- uskosanpa
- ウㇱコサンパ 【自動】[us-kosanpa 消える・急に…する] パッと消える。 sir-uskosanpa シㇼウㇱコサンパ あたりが急にパッとまっ暗になる。 poro cápe haw ki, akusu sir-uskosanpa ポロ チャペ ハウ キ、 アクス シㇼウㇱコサンパ 大声で猫のなきまねをした、 するとあたりがパッと消えて何も見えなくなった。(S民話) ☆参考 複数形の形だが、 沙流川下流のこの話し手は単複の区別なくこの形を用いる。 ☞uskosanu ウㇱコサヌ、 ☞us ウㇱ 1 {E: to go out suddenly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- utcikam
- ウッチカㇺ 【名】[概][utci-kam (?)・肉] ふくらはぎ。 ☆参考 〔知分類の分析は utchi(< upsi 内側の?)+kam (肉)〕 {E: the calves.} (出典:田村、方言:沙流)
- utcikami(hi)
- ウッチカミ(ヒ) 【名】[所]…のふくらはぎ。 {E: the calves of…} (出典:田村、方言:沙流)
- utorsam
- ウトㇿサㇺ 【位名】[概](所はutorsama ウトㇿサマ)[ut-or-sam 肋骨・の所・(< の側)] 脇、 横。 toan hako utorsam ta an pe トアン ハコ ウトㇿサㇺ タ アン ペ あの(細長い)箱の横(長い方の側)にあるもの。(S) en=utorsam ta a エヌトㇿサㇺ タ ア 私の脇に座りなさい。(S) ☆対語 etupsi エトゥㇷ゚シ (もの)の先。 kotca コッチャ …の前。 osmak オㇱマㇰ …の後ろ。 ☆参考 sam サㇺ …のそば。 teksam テㇰサㇺ …の横。 {E: the side (of something).} (出典:田村、方言:沙流)
- uwaste
- ウワㇱテ 【自動】[u-w-as-te 互い・(挿入音)・立つ・させる](?) (植物が)繁殖する、 (人間でも)子孫が生まれてふえる。 nonno o wa ipeo wa pókor hi koraci aynu ka uwaste ノンノ オ ワ イペオ ワ ポコリ コラチ アイヌ カ ウワㇱテ (木が)花が咲いて実がなるのと同じように人間もふえていく。(S言い伝え) motoho anak sinep ne korka uwaste katu repun iworso atuyso ka wa uwaste hike néno aynu ne yakka usinnayno katkor モトホ アナㇰ シネㇷ゚ ネ コㇿカ ウワㇱテ カトゥ レプン イウォㇿソ アトゥイソ カ ワ ウワㇱテ ヒケ ネノ アイヌ ネ ヤッカ ウシンナイノ カッコㇿ 起源は一つであってもふえ方が沖の方、 海外から妻をめとってふえた者はそれなりに同じ人間であっても姿形が違っている。(S言い伝え) tapan yam e=carpa yakun oro wano yam sekor a=ye p uwaste yakne タパン ヤㇺ エチャㇻパ ヤクン オロ ワノ ヤㇺ セコㇿ アイェㇷ゚ ウワㇱテ ヤㇰネ あなたがこの栗をまけばそこから栗というものがふえていって。(W神謡語り) ☆参考 動物が繁殖することは uwatte ウワッテ。 {E: to breed; reproduce.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uweci
- ウウェチ 【自動】[u-w-e-ci 互いに・(挿入音)・と共に・やける](?) 凍傷になる(「雪の中にでも入っていると腐って指がとれたりする」)。(S) ☆参考 「しもやけ」にちょうど相当する語はない。 méhupka メフㇷ゚カ 寒さでふくれる。 kéttok ケットㇰ 「水かぶれ」(水仕事を長く続けていて赤くかぶれる)、 じんましん。 mécire メチレ 寒さでヒリヒリする。 cawawke チャワウケ ひび割れる、 ひびが切れる。 tekeperke テケペㇾケ 手にあかぎれが切れる。 ureperke ウレペㇾケ 足にあかぎれが切れる。 {E: to become frostbitten.} (出典:田村、方言:沙流)
- uwehayta
- ウウェハイタ 【自動】[u-w-e-hayta 互い・(挿入音)・に・届かない](婚約者どうしが)結婚を取りやめる。 {E: for a couple to call off their engagement to marry.} (出典:田村、方言:沙流)
- uweokok
- ウウェオコㇰ 【自動】[u-w-e-okok 互い・(挿入音)・に・ひっかかる](互いに)ひっかかる、 (糸が)もつれる、 (男女が)「ひっかかる」。 uweokok, pita pita! ウウェオコㇰ、 ピタ ピタ! (縄が)もつれてひっかかった、 ほどいてほどいて。(S) osoro uweokok オソロ ウウェオコㇰ (彼らの)尻がひっかかった=彼女はあの男とひっかかった。(S) uweokok wa epakoat ウウェオコㇰ ワ エパコアッ 「男と女とひっかかって/もつれて問題になった」。(S) ☞eokok エオコㇰ {E: to be caught on something; get tangled.} (出典:田村、方言:沙流)
- uweomante
- ウウェオマンテ 【他動?】[u-w-e-omante 互い・(挿入音)・と共に・行かせる] 考えて次々のことをたどって思い出す。 uweomante wa inu ウウェオマンテ ワ イヌ (ものをなくしたとき)あのときはどこへ行ってどこに座ってそれからどこへ行って… というふうに次々によく考えて思い出してみる。(S) {E: to think about, recall, remember…} (出典:田村、方言:沙流)
- uwetunuyse
- ウウェトゥヌイセ 【自動】[u-w-e-tunun-se 互い・(挿入音)・と一緒に・(擬音の重複)・と言う](次の慣用表現の中で)美しく響く。 kanemayne uwetunuyse カネマイネ ウウェトゥヌイセ [雅] 金(かね)の響きのように美しく響いて聞こえる(女神の話す声が、 金属をたたいたときのウンウンウンウンという響きのように美しく響いて聞こえる、 下げ飾りのついたシントコ(tumsikot sintoko トゥㇺシコッ シントコ)を動かしたときは飾りがゆれてぶつかる音がカチャカチャカチャと美しく聞こえる)。 ekutcam konna/kanemay ne/uwetunuyse エクッチャㇺ コンナ/カネマイ ネ/ウウェトゥヌイセ [雅]その声が金(かね)の響きのように美しく響いて聞こえる。(Sユーカラ) ☆参考 語の形から見ると《トゥンウンウン…と響く》というのだから、 女神の声のようにウンウンウンと反響する響きのほうが原義であろう。 {E: to sound beautifully.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwokar-uwokarpa
- ウウォカㇻウウォカㇻパ 【自動】[複](単の用例はない)[u-w-okar-uwokar-pa 互い・(挿入音)・に取って代わる(okari オカリ の語幹)・(重複)・[複]] 代わるがわるする。 uwokar-uwokarpa pak ウウォカㇻウウォカㇻパ パㇰ 代わるがわる。 néa irwakne utar uwokar-uwokarpa pak kanpar otuytuypa, carankepa ruwe ne ネア イㇼワㇰネ ウタㇻ ウウォカㇻウウォカㇻパ パㇰ カンパㇻ オトゥイトゥイパ、 チャランケパ ルウェ ネ その兄弟は代わるがわる口を動かし談判をした。(NK民話) {E: to take turns.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwokarpare
- ウウォカㇻパレ 【他動(?)/自動(?)】[u-w-okarpa-re 互い・(挿入音)・に取って代わる・させる] 互いに交代する、 交代で…する(?)。 poro a=yupí kucakor kor a=saha a=turá kor pon a=yupí turano a=onáutari a=epúnkine ora, pon a=yupí a=turá wa kucakor=an kor poro a=yupí a=saha a=onáutari epunkine, uwokarpare hem ki, kucakor=an ruwe ne a p ポロ アユピ クチャコㇿ コㇿ アサハ アトゥラ コㇿ ポン アユピ トゥラノ アオナウタリ アエプンキネ オラ、 ポン アユピ アトゥラ ワ クチャコラン コㇿ ポロ アユピ アサハ アオナウタリ エプンキネ、 ウウォカㇻパレ ヘㇺキ、 クチャコラン ルウェネ アㇷ゚ 大きい兄が狩小屋に行くときは私は姉と一緒にいて小さい兄と一緒に父たちを守る、 そして小さい兄と私が一緒に狩小屋に行くときは大きい兄と姉が父たちを守る、 交代もして狩小屋に行っていたが。(NK民話) ☆参考 形の上では uwokarpa ウウォカㇻパ の使役形なので他動詞と予想されるが文脈から見ると使役の意味はなさそうである。 {E: to change places with; take turns with.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uworkopoyke
- ウウォㇿコポイケ 【自動】[u-w-or-kopoyke 互い・(挿入音)・の所・にまじる] 互いの中に入りまじる、 まぜこぜになる。 aynu ne ciki sísam ne ciki repunkur, sonno repunkur ne ciki uworkopoyke wa mosir epitta siyusacari アイヌ ネ チキ シサㇺ ネ チキ レプンクㇽ、 ソンノ レプンクンネ チキ ウウォㇿコポイケ ワ モシレピッタ シユサチャリ アイヌも和人(日本人)も外国人、 本当の外国人も入りまじって国じゅうに散らばった。(S言い伝え) ☆参考 ukopoyke ウコポイケ はただ《まざる、 (まぜたものが)まざって均質になる》。 {E: to become mixed.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wa 1
- ワ 【格助】①(位置名詞の後に置かれて、 移動の起点を示す。)…から(場所を示す)。 Mosirpasari wa ek モシㇼパサリ ワ エㇰ 斜里(しゃり)から来た。(W民話) osmake wa kotcake wa terke=an オㇱマケ ワ コッチャケ ワ テㇾケアン 私は(寝ている彼の)後ろから前へ前から後ろへと跳びはねてまたいだ。(W民話) kanto or wa kemram kamuy ran カント オㇿ ワ ケㇺラㇺ カムイ ラン 天から飢饉の神が降りて来た。(W民話) oro wa karkarse オロ ワ カㇻカㇻセ そこからころがった。(S会話) ②(《…に》と訳される場合もある。 その場合、 ta タ や un ウン を使った言い方とはニュアンスが異なる。 wa ワ はこの場合も、 動作の起点を示す。) te wa mono a テ ワ モノ ア 「ここから座れ」=ここに来て座りなさい。 (注 te ta mono a テ タ モノ ア (近くにいる人に)ここに座りなさい。 te un mono a テ ウン モノ ア ここへ座りなさい。) ③(受け身の行為者を示す。)or wa/oro wa オㇿ ワ/オロ ワ (人)から。 kamuy or wa okamkir ene a=e=yáynure wa カムイ オㇿ ワ オカㇺキㇼ エネ アエヤイヌレ ワ あなたは神からわざとそのように思わされて。(W民話) ④(連体的に使われて) onnayke wa asamaha オンナイケ ワ アサマハ 内側の底。 soynake wa asamaha ソイナケ ワ アサマハ 外側の底。 {E: ①from…(place). ②… ③from…(people). ④…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wa 3
- ワ 【終助】①…わ、 …よ(会話で話しかけのニュアンスを与える)。 pirka wa ピㇼカ ワ いいよ、 いいわよ。 kuni ku=ramu kor k=ek ruwe ne wa クニ クラム コㇿ ケㇰ ルウェ ネ ワ 私はそう思いながら来たのよ。(S会話) ②(慣用的な言い方で、 あきれやとがめの表現、 しばしば反語になる。)humi iki wa フミ イキ ワ (音に関して。) nákatune humi iki wa apa ruttektek ナカトゥネ フミ イキ ワ アパ ルッテㇰテㇰ なんてことしてるんだ、 戸をガジーンとしめて(急に強く押して大きな物音を立てたことをとがめている)。(S) hawe iki wa/haw ne wa ハウェ イキ ワ/ハウ ネ ワ (言葉に関して。) kasusne hawe iki wa! カスㇱネ ハウェ イキ ワ! (直訳すると)どうってこともないことを言っている=大変なことを言って来た(反語的な言い方)。(S) nákatune en=montapire haw ne wa! ナカトゥネ エンモンタピレ ハウ ネ ワ! まあ、 どうしてそんなに急がせるの。(S) {E: ①a particle that indicates speaker's conviction or assertion. ②…} m (出典:田村、方言:沙流)
- wakusu
- ワクス 【接】[wa-kusu …して・故に] だから(wa kusu ワ クス の前の部分が言われなくて、 文頭に来た形、 前の文で言ったことまたは言われたことを受けて言う)。 wakusu somo k=ek ruwe un ワクス ソモ ケㇰ ルウェ ウン だから来なかったんだよ。(S) {E: because one did…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wenakun
- ウェナクン 【副】[wen-yakun だめである・なら] それなら、 しかたがないから。 “áponko an emo makanak ani a=suwé kusu?” “wenakun kasi wakka a=omáre hene ki” 「アポンコ アン エモ マカナㇰ アニ アスウェ クス?」「ウェナクン カシ ワッカ アオマレ ヘネ キ」 「こんなにたくさんのいもをどうやって煮るの」「じゃあ、 しかたがないから水でも加えよう。」 (S) {E: then; as there's nothing that can be done.} (出典:田村、方言:沙流)
- weysir
- ウェイシㇼ 【名】[wen-sir 悪い/ひどい・山] 急でのぼれない山。 {E: a steep mountain that cannot be climbed.} (出典:田村、方言:沙流)
- weyyaysukupka
- ウェイヤイスクㇷ゚カ 【自動】[wen-yaysukupka ひどく・つらかったことを思い出す]思い出しても本当に恐ろしくつらい、 ひどく恐ろしかったことが忘れられない。 ☞yaysukupka ヤイスクㇷ゚カ {E: to recall, be unable to forget some terrible incident} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yáesap
- ヤエサㇷ゚ 【自動】[ya-e-sap 網・を持って・浜に出る] 網で魚をとる(小さい魚、 近海魚を)。 yáesap kus pis ta san wa an ヤエサㇷ゚ クㇱ ピㇱ タ サン マ アン (彼は)網で魚をとるために浜に出ている。(S) ☆参考 ya kor ヤ コㇿ《網を持つ》とも言う。 ☆参考 舟で沖に出て大きい魚をとることは pisoyramante ピソイラマンテ 。 {E: to catch fish with a net.} (出典:田村、方言:沙流)
- yáetaye
- ヤエタイェ 【自動】[ya-etaye 網・を引く] 網を引く(魚をとるため)、 網を引いて魚をとる。 pis ta ani yáetaye=an tus ピㇱ タ アニ ヤエタイェアン トゥㇱ 浜で網を引くための綱。(S) ☆発音 サダモさんは yaytaye ヤイタイェ と発音する。 ☆参考 yáetaye ヤエタイェ は枕ことばのようなもの。 このように言うことによって韻律が整う。 {E: to pull a net (to catch fish).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yak 3
- ヤㇰ 【接助】①…すれば、 …すると(帰結としては「よい」「悪い」「望ましいことが起こる」「ありがたい」「困ったこと/恐ろしいことが起こる」などを表す表現がくる)。 hoskino mukar ani tuye wa ora noko ani hóse, yak horak kusu ne na ホㇱキノ ムカㇻ アニ トゥイェ ワ オラ ノコ アニ ホセ、 ヤㇰ ホラㇰ クス ネ ナ 初めにまさかりで切ってそれからのこぎりでひきなさい、 そうすれば倒れるから。 sekor an menoko ta kamuy menoko ne yak a=kor oka! セコラン メノコ タ カムイ メノコ ネ ヤㇰ アコㇿ オカ! あのような女が女神であれば結婚するのになあ。(S言い伝え) eytasa e=cis yak/wenkamuy patek/e=eramasu エイタサ エチㇱ ヤㇰ/ウェンカムイ パテㇰ/エエラマス あなたがあまり泣くと悪い神ばかりがお前を好きになる。(S子守歌) yak pirka ヤㇰ ピㇼカ …するとよい、 …するほうがよい、 …するがよい(上の人から下の人への命令表現の一種)。 tono e=sak pe ne ciki i=or ta e=henoye yak pirka トノ エサㇰ ペ ネ チキ イオッタ エヘノイェ ヤㇰ ピㇼカ 和人のお得意様がないのならわれわれの所に立ち寄るがよい。(S民話) yak pirka p ヤㇰ ピㇼカㇷ゚ …すればいいのに/…すればよかったのに。 yak wen ヤㇰ ウェン …するといけない/よくない。 yak easir pirka ヤㇰ エアシㇼ ピㇼカ …しなければいけない。 sekor icarpa=an yak easir pirka セコㇿ イチャㇻパアン ヤㇰ エアシㇼ ピㇼカ …と言って供物まき(供養)をしなければいけない。(W民話) ②(帰結に願望「…したい」や提案「…しよう」が来るとき)…して。 nen ka ta a=kar yak a=rayke oka! ネン カ タ アカㇻ ヤㇰ アライケ オカ! なんとかして殺したいものだなあ! (S民話) a=o yak a=seske ro アオ ヤㇰ アセㇱケ ロ (土を)入れてうめよう。(S) ☆参考 yakne ヤㇰネ と同義。 yakne ヤㇰネ と yak ヤㇰ の使い分けは、 リズムによる。 ゆっくり話し、 条件の部分を言って一呼吸おくようなときは yakne ヤㇰネ を使い、 早い調子でどんどんしゃべっているときは yak ヤㇰ を使う。 また、 歌などの韻文では音節数の都合でどちらかが選ばれることもある。 {E: ①if, when ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaki
- ヤキ 【名】[鳴き声の擬音][動物] セミ。 ☆参考 yaːkiː ヤーキー と鳴く。 〔知分類 p.101〕 {E: a cicada.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yakne
- ヤㇰネ 【接/接助】[yak-ne …すると・である] (あとの帰結としては、 「よい」「悪い」「望ましいことが起こる」「ありがたい」「困ったことになる」などを表す表現がくる。) ①もし…すれば、 したならば、 …すると(=yak ヤㇰ)。 toanta pon cikappo an, te wa k=an wa k=ak yakne ku=cotca トアンタ ポン チカッポ アン、 テ ワ カン マ カㇰ ヤㇰネ クチョッチャ あそこに小さい小鳥がいる、 私がここにいて撃てば当たる。(S) e=cis yakne/okokko cikap/e=kotokpatokpa エチㇱ ヤㇰネ/オコッコ チカㇷ゚/エコトㇰパトㇰパ あなたが泣くとばけもの鳥があなたをツンツンつつく。(KC子守歌) ②(文頭に置かれ、 前の文との関係で)そうすれば。 {E: ①if; when. ②then.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yákor
- ヤコㇿ 【自動】[ya-kor 網・を持つ] 網をかける、 網で魚をとる。 {E: to catch fish with a net; to set out a net.} (出典:田村、方言:沙流)
- yánonkar
- ヤノンカㇻ 【自動】[ya-nonkar 網・の様子を見に行く] 網の中に魚が入ったかどうか見に行く。 ésir pet or un yánonkar kus arpa エシㇼ ペトルン ヤノンカㇻ クㇱ アㇻパ (彼は)さっき川へ網の様子を見に行った。(S) {E: to check whether or not fish have been caught in a net.} (出典:田村、方言:沙流)
- yas
- ヤㇱ 【自動】流し網をする。 heta, yas=an ro sekor a=en=siren hi kus kú=itura wa yas=as akus cep rep ka ci=rayke ヘタ、 ヤサン ロ セコㇿ アエンシレニ クㇱ クイトゥラ ワ ヤサㇱ アクㇱ チェㇷ゚ レㇷ゚ カ チライケ さあ、 流し網に行こうとさそわれたのでついて行って流し網をしたら鮭を三匹も殺した(=鮭が三匹もとれた)。(S) ☆参考 「舟二そうで四人組んでやる、 とも(舟の後部)を川下へ向けて二そうを平行に並べる、 二人がそれぞれの舟のへさき(舟の前部)に立って一つの網を二そうの間に広げて持ち、 二人がともにいて川下へ向けてこいでいく、 網に魚(鮭)が入ったら網を上げる、 何回か川下へ行っては川上へ上り、 一晩に五、 六十本もとることもある。」 (S) {E: to cast a net across a river between two boats.} (出典:田村、方言:沙流)
- yaunkotchangegusu
- ヤウンコッチャンゲグス §334 シマフクロウ (12) ya-un-kotchange-gusu (ya-un-kot-can-ge-gu-su)「ヤウンコッチャンゲグス」 ⦅B⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- yaycire
- ヤイチレ 【自動】[yay-ci-re 自分を・やける・させる](自分で)やけどする。 sitohu ku=kotuk wa ku=yaycire シトフ クコトゥㇰ ワ クヤイチレ (私は)ストーブにさわってやけどした。(W) {E: to burn, scald oneself.} (出典:田村、方言:沙流)
- yayeyamno
- ヤイェヤㇺノ 【副】[yay-eyam-no 自分・を大切にする・(副詞形成)] 気をつけて、 お大事に。 yayeyamno arpa ヤイェヤㇺノ アㇻパ 気をつけて行きなさい。 ☆参考 別れるときに送るほうの人がよく言う言葉の一つ。 地域によりまた人によって同じことを yayitupareno arpa ヤイトゥパレノ アㇻパ《気をつけて行きなさい》、 apunno arpa アプンノ アㇻパ《無事に行きなさい》とも言う。 {E: take care, look after yourself (leave-taking).} (出典:田村、方言:沙流)
- yayitupare
- ヤイトゥパレ 【自動】気をつける。 ☆発音 yi イ の部分を高く発音する。 {E: to be careful.} (出典:田村、方言:沙流)
- yayitupareno
- ヤイトゥパレノ 【副】[yayitupare-no 気をつける・(副詞形成)]気をつけて、 注意して。 wakka san kor an na yayitupareno ek ワッカ サン コラン ナ ヤイトゥパレノ エㇰ 水が流れているから気をつけて来なさい。(S) yayitupareno arpa ヤイトゥパレノ アㇻパ 気をつけて行きなさい。 ☆参考 「あぶない所を通るから等、 特別なときに言う。 出かけようとする人や帰って行こうとする人によく言う yayeyamno arpa ヤイェヤㇺノ アㇻパ は、 ただ『気をつけて行きなさい』『お大事に』と言うだけ」(つまり、 挨拶のような軽い言葉)。(S) ☆参考 同じ日高・胆振地方でも、 地域によりまた人によって、 出かけようとする人や帰って行こうとする人に「気をつけて行きなさい」「お大事に」というような、 いわば挨拶のように、 yayitupareno arpa ヤイトゥパレノ アㇻパ[単]/yayitupareno paye yan ヤイトゥパレノ パイェ ヤン[複]と言う人もいる。 ☞yayitupare ヤイトゥパレ {E: carefully; cautiously.} (出典:田村、方言:沙流)
- yaykewkor
- ヤイケウコㇿ 【自動】[yay-kew-kor 自分・体/骨格・を持つ] 苦しい/つらい/恐ろしい目に会った(ことを思い出す/ことが忘れられない)。 {E: (to recall, be unable to forget) some hardship or fearful experience.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykocipkuta
- ヤイコチㇷ゚クタ 【自動】[yay-ko-cip-kuta 自分・に・舟・をひっくり返して中味をぶちまける] 自分の乗っている舟をひっくり返す。 {E: for the boat one is on to capsize.} (出典:田村、方言:沙流)
- yaykoeramewnin
- ヤイコエラメウニン 【自動】[yay-ko-eramewnin 自分・に・気がつかない] うっかりする、 ゆだんする。 yaykoeramewnin=an rápokke ta a=yupíhi soyne híne ヤイコエラメウニナン ラポッケ タ アユピヒ ソイネ ヒネ 私がうっかりしていた間に兄は外へ出て行って。(W民話) {E: to be careless; be off guard.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykoruye
- ヤイコルイェ 【他動】[yay-ko-ruye 自分・に・…をなでる] …をだきしめて愛撫する/かわいがってなでる。 reyereye=an híne a=onáha sama ta arpa=an akusu orowano i=yaykoruye, otusuykonna oresuykonna i=yaykoruye レイェレイェアン ヒネ アオナハ サマ タ アㇻパアン アクス オロワノ イヤイコルイェ、 オトゥスイコンナ オレスイコンナ イヤイコルイェ 私がはって父のそばに行くと父は私をだきしめてなで、 何回も何回もなでてくれた。(W民話) {E: to caress, stroke, pet…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykoruyruypa
- ヤイコルイルイパ 【他動】[yay-ko-royruypa 自分・に・…を何回もなでる(ruye ルイェ の複数形の重複形)] …をだきしめて何回も何回も愛撫する/かわいがってなでなでする。 {E: to caress…repeatedly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaykurkata
- ヤイクㇽカタ 【副】[yay-kur-ka-ta 自分・(< 影/姿)・の上・で] 自分で、 (自分のことをするのに)人にさせないで、 自分で自分のことを。 yaykurkata ye hike makanak ne wa mosma kur sikotcanere ヤイクㇽカタ イェ ヒケ マカナㇰ ネ ワ モㇱマ クㇽ シコッチャネレ 自分で言えばいいのに他の人に言ってもらう。(S) yaykurkata ci=nuye rusuy ヤイクㇽカタ チヌイェ ルスイ 私たちは人に頼まず私たち自身で書きたい。(W) ☆参考 yaykata ヤイカタ とも言う。 yaykata ヤイカタ のほうが意味が広く、 いろいろな状況で使われる。 {E: by oneself.} (出典:田村、方言:沙流)
- yayouste
- ヤヨウㇱテ 【他動】[yay-o-us-te 自分・の尻・…につく・させる] …に尻を落ち着ける、 …に落ち着いている。 {E: to be calm, settled about…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yayramsikarun
- ヤイラㇺシカルン 【自動】[yay-ram-sikarun 自分・心・記憶する] 気がつく、 ものごころつく、 思い出す。 onne cise or ta yayramsikarun オンネ チセ オッタ ヤイラㇺシカルン (直訳すると)古い家の中で気がついた=気がついたときは/ものごころついたときは/おぼえているかぎりでは、 古い家の中にいた(それ以前のことは記憶にない)。 {E: to notice; recall.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaysittekka
- ヤイシッテッカ 【自動】[yay-sittek-ka 自分・落ち着く・(他動詞化)] 自分を落ち着かせる、 自制する、 がまんする。 yaysittekka wa té wano kamuy ewak sir un hosippa wa i=kore yan ヤイシッテッカ ワ テ ワノ カムイ エワㇰ シㇼ ウン ホシッパ ワ イコレ ヤン どうかご自分を押えて、 今から神様の住む山へおもどり下さい。(W神謡語り) {E: to calm oneself; be patient; control oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yayterkere
- ヤイテㇾケレ 【他動(?)/自動(?)】[< yay-o-terke-re 自分・そこ・を跳ぶ・させる][雅](そこ)を(走って)進んで行く。 epa=kor cási/kopakke sama/a=yaytuyere/a=yayterkere エパコㇿ チャㇱ/コパッケ サマ/アヤイトゥイェレ/アヤイテㇾケレ [雅]私の城の方に向かって私はまっすぐに進んでいった。(Sユーカラ) ☆参考 字余りのために母音 o を落として1音節減らしたものか。 ☆参考 yayoterkere ヤヨテㇾケレ ならば他動詞。 yayterkere ヤイテㇾケレ は形の上では自動詞であるが、 雅語では、 terkere テㇾケレ《跳ばす、 走らせる》が他動詞であるため、 yay- ヤイ がついても不定人称接辞は他動詞につく a= ア が使われる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaytuypare
- ヤイトゥイパレ 【他動】[yay-tuypa-re 自分・を切る(複)・させる][雅](の方へ)へ進んで行く。 a=kor a cási/kopakke sama/a=yaytuypare アコㇿ ア チャㇱ/コパッケ サマ/アヤイトゥイパレ [雅]私は住んでいた城に向かってまっすぐに飛んで行った。(Sユーカラ) cási erupsik/yaytuypare チャシ エルㇷ゚シㇰ/ヤイトゥイパレ (姉は)城の東側へ静かに進んで行った(「静かに、 名残惜しいと思いながら」)。(Sユーカラ) oar apunno/kopakke sama/a=yaytuypare オアㇻ アプンノ/コパッケ サマ/アヤイトゥイパレ 私は静かにそうっと(その鹿の)そばの方へ近づいて行った。(Sユーカラ) (出典:田村、方言:沙流)
- yomomke
- ヨモㇺケ 【自動】[yom-om-ke (ひきつることを表す擬態の語根)・(重複)・(自動詞形成)] チリチリにちぢれる、 やけどのあとがひきつる。 {E: to be scarred, scalded from a burn.} (出典:田村、方言:沙流)
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萱野 茂『萱野茂のアイヌ語辞典』1996年 ©萱野れい子
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』1996年 ©田村洋一