国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

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kim
キㇺ 【位名】[概](所は kimke(he) キㇺケヘ)(独立的にも相対的にも使われる。) ①(独立的に)山。 kim ta キㇺ タ 山に、 山で。 kim ta siruhuy ruwe he an? maciya uhuy ruwe he an? キㇺ タ シルフイ ルウェ ヘ アン? マチヤ ウフイ ルウェ ヘ アン? 山で山火事になっているのだろうか町が燃えているのだろうか。 ②(相対的に)…の山手。 kotan kim ta コタン キㇺ タ 村(集落)の山手に。 ☆参考 nupuri ヌプリ がうず高くもり上がった、 物体としての山を指すのに対し、 kim キㇺ は、 歩いたり採集等の仕事をしたり神が住んでいたりする、 場所としての山を言う。 ☆対語 pis ピㇱ 浜。 {E: ①a mountain. ②uptown.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kim
キㇺ 【kim】 山の方,山(場所としての). ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ キㇺ タ アン ウェン シケサㇻペ ランマ オルイペネエムㇱ コッカ チョㇿポㇰ タ ヌイナ ワ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=昔話の中では山にいるならず者はいつでも抜き身の刀を膝の下へ隠しているものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=ekimonupa
アエキモヌパ 【a=e-kim-o-nupa】 葬式.*かつてはいったん葬式をしてしまえば墓参りの風習などなく,立ててある墓標も神の国へ行ってしまった残骸と見なされた.だから「掃き出す」という表現を使うのであり死者を粗末にする意味ではない.▷ア=それ エ=それを(=死人) キㇺ=山 オ=そこに ヌパ=掃く →死んだ人を山に掃き出す オンネ フチ イサㇺ ワ ニサッタ ア・エキモヌパ エトホ ネ=年とったおばあさんが亡くなり,明日は葬式の日だ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=kimokar
アキモカㇻ 【a=kim-o-kar】 山で熊に殺される,▷ア=それ(=人間) キㇺ=山 オ=に カㇻ=作る →殺す エネ アン ペ ク・シトマ アクス ムカウンクㇽ ア・キモカㇻ ヤㇰ ア・イェ=そうしたことを私は恐れていたのだが,鵡川の人が山で熊に殺されたそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
akimókar
アキモカㇻ 【他動】[不定人称形 a=kimókar](受け身)熊にとられる。 a=en=kimokar アエンキモカㇻ 私が熊にとられる。 ☞kimokar キモカㇻ {E: to be caught by a bear.} (出典:田村、方言:沙流)
ay-eekimne
アイエエキㇺネ 【自動】[ay-e-ekimne 矢・で・山へ行く] 弓矢の猟をしに山へ行く。 {E: to go hunting in the mountains with a bow and arrow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimatek
エキマテㇰ 【他動】[e-kimatek (そのこと)で・びっくりする] …で(恐ろしくて)びっくりする。 {E: to be frightened, startled by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimatek
エキマテㇰ 【e-kimatek】 驚く,びっくりする.▷エ=それに キマテㇰ=驚く ルイ レラ アㇱ ワ エアㇻキンネ ア・エキマテㇰ キラ・アㇱ=強い風が吹いたので私たちはたいへん驚いて逃げた.ルイ ウェンレラ エㇰ ワ チセ キタイェ レラパル ケキマテㇰ(ク・エキマテㇰ)=強い竜巻が来て家の屋根が風で飛び,私は驚いた. (出典:萱野、方言:沙流)
ekimnasaykar
エキㇺナサイカㇻ 【他動】[e-kim-na-say-kar その頭(そのために?)・山・の方へ・輪・をつくる]そのために(?)山をぐるっと回って行く。 {E: to go around the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimne
エキㇺネ 【ekimne】 山へ行く. ユッカルㇱ アン ウㇱケ コルウヌ(ク・オルウヌ) シネンネ ケキㇺネ(ク・エキㇺネ) アクス ア・エン・ヌカㇻ=マイタケが生えている所を私は知っていたのでひとりで山へ入ると,他人に見られた. (出典:萱野、方言:沙流)
ekimne 1
エキㇺネ 【自動】[e-kim-ne その頭・山・である](狩猟、 薪とり、 採集などをしに) 山へ行く、 畑へ行く、 山/畑の仕事に行く。 sápo ekimne wa isam サポ エキㇺネ ワ イサㇺ ねえさん(この場合、 その家の奥さん)は山(畑)へ行って留守だ。(W) {E: to go into the mountains, fields to hunt, work.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimne 2
エキㇺネ 【副】[e-kim-ne その頭・山・である]山へ。 ekimne sinot=an epaye エキㇺネ シノタン エパイェ 山へ遊びに行く。 {E: to the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimnekuwa
エキㇺネクワ 【ekimne-kuwa】 山杖:プンカウ(ドスナラ)で作る. 図[エキㇺネクワ] (出典:萱野、方言:沙流)
ekimnepa
エキㇺネパ 【自動】[複](ekimne エキㇺネ は単複の区別なし)(二人以上が皆で)山へ行く、 畑に行く、 山仕事に行く。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimun
エキムン 【連体】[< 自動][e-kim-un その頭・山・にある]山へ。(連体的に)山へ行く/向かう…、 山への。 ekimun kiroru エキムン キロル [雅]山へ通じる立派な道。(Sユーカラ) ☆参考 述語動詞としての用例はない。 人が「山へ行く」ことを言うには ekimne エキㇺネ が使われる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekimun
エキムン 【ekim-un】 山の方ヘ,山行き. (出典:萱野、方言:沙流)
eraykimatek
エライキマテㇰ 【他動】[e-ray-kimatek …で・ひどく・びっくりする] …にびっくり仰天する、 …にひどくびっくりする。 {E: to be astonished at, by…; be very surprised at…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eukimatekka/ewkimatekka
エウキマテッカ 【他動】[e-u-kimatek-ka …のことで・互い・あわてる・させる] …のことで皆びっくりする/あわてる。 okkaypo utar i=eukimatekka, i=anpa híne オッカイポ ウタㇻ イエウキマテッカ、 イアンパ ヒネ 私が死んでいたので、 若者たちはみんなびっくり仰天して私をかついで…。(HC民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ewkimatekka
エウキマテッカ ☞eukimatekka エウキマテッカ (出典:田村、方言:沙流)
ewkokimatek
エウコキマテㇰ 【他動】[e-uko-kimatek …のことを・一緒に・驚きあわてる](…に)みんなであわてる。 hńta eci=éwkokimatek pekor eci=hawéoka hawe an? フンタ エチエウコキマテㇰ ペコㇿ エチハウェオカ ハウェ アン? あなたたち何をあわてたみたいに大騒ぎしてるの? (S) {E: to all be surprised at…} (出典:田村、方言:沙流)
eyaykimatekka
エヤイキマテッカ 【他動】[e-yaykimatekka …で・急ぎあわてる] …で急ぐ、 …であわてる。 hńta e=eyaykimatekka kus to e=mi p ka e=okus e=mi, e=us pe ka ehorka e=us siri an? フンタ エエヤイキマテッカ クㇱ ト エミㇷ゚ カ エオクㇱ エミ、 エウㇱ ペ カ エホㇿカ エウㇱ シリ アン? あなた何をあわてて、 ほら、 服も裏返しに着てはくもの(スカート)も後ろ前にはいてるのよ。(S) ☞yaykimatekka ヤイキマテッカ、 kimatek キマテㇰ {E: to be in a hurry about…} (出典:田村、方言:沙流)
harkimonkor
ハㇻキモンコㇿ §657.ひだりききである(3)harki-mon-kor〔hár-ki-moŋ-kor はㇻキモンコㇿ〕[harki(左の)+mon(手)+kor(もつ)]⦅サル、ニイカップ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
hoekimatek
ホエキマテㇰ 【ho-ekimatek】 性欲旺盛,性衝動に駆られて我慢できない. (出典:萱野、方言:沙流)
hoekimatekpe
ホエキマテㇰペ 【ho-ekimatek-pe】 性衝動に駆られて我慢できない者.▷ホ=陰部 エ=それ キマテㇰ=急ぐ,急がせる,せかす ペ=者 (出典:萱野、方言:沙流)
hoskimata
ホㇱキマタ 【hoski-mata】 昨年の冬. (出典:萱野、方言:沙流)
hotokimaymay
ホトキマイマイ §168 ガンコウラン (2) hotokimaymay (ho-tó-ki-may-may)「ホとキマイマイ」 果実 ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
i=kokimaipa
イコキマイパ 【i=ko-kimaipa】 私の物をなくされた,取られた,盗まれた. エネケヤㇺワアン タシロネアㇷ゚ イコキマイパ=あれほど大切にしていた山刀であったのに,盗まれてしまった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
ittoekimne
イットエキㇺネ 【itto ekimne】 日帰りで山に行く. サッチェㇷ゚ ア・プㇱコシナ ワ イット エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) ウパㇱルヤンペ ホラホチュウェ ウパㇱエシットゥライヌ・アン サッチェㇷ゚ ア・エ ワ キモレウシ・アン=乾いた魚を矢筒に縛って,日帰りで山に行ったら,すごい大雪が降り始めて,雪のために道に迷い,乾いた魚を食べて山で泊まった. (出典:萱野、方言:沙流)
kimaha
キマハ 【kimaha】 サラニㇷ゚という袋の本体から縦に三つ編みにする部分.キマハを編んでからパルルケ(縁)を編む.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
kimakno
キマㇰノ 【副】忙しいように、 身軽に急いで。(S) kimakno moymoyke キマㇰノ モイモイケ 忙しそうに動き回る。(S) kimakno apkas キマㇰノ アㇷ゚カㇱ せかせかと歩く。(S) ☆参考 kimak キマㇰ は未出。 〔久辞典 kimak 迅くする〕 {E: to appear busy; be in a hurry.} (出典:田村、方言:沙流)
kimatek
キマテㇰ 【自動】びっくりする(恐ろしくて)、 あせった気持ちになる、 あわてる。 ☆参考 ekimatek エキマテㇰ[他動]…にあわてる。 ramutuy ラムトゥイ[自動]/eramutuy エラムトゥイ[他動] 突然のことでハッとびっくりする。 iyokunure イヨクヌレ[自動]/okunure オクヌレ[他動] あきれる。 erayap エラヤㇷ゚[他動] …に感嘆する。 {E: to be surprised; be rushed; panic.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimatek
キマテㇰ 【kimatek】 驚く,びっくりする,たまげる,あわてる. (出典:萱野、方言:沙流)
kimatekhaw
キマテㇰハウ 【kimatek-haw】 驚き声.▷キマテㇰ=驚き ハゥ=声 (出典:萱野、方言:沙流)
kimatekka
キマテッカ 【他動】[kimatek-ka びっくりする・(他動詞化)] …をびっくりさせる、 …をあわてさせる。 {E: to surprise, startle…; to make…panic.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimatekka
キマテッカ 【kimatek-ka】 驚かせる,あわてさせる. エン・キマテッカ=私を驚かせた. (出典:萱野、方言:沙流)
kími
キミ 【名】[< 日本語(とう)きび][植物] トウモロコシ(「とうきび」)。 {E: corn.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimi
キミ 【kimi】 トウモロコシ:とうきび. クポニ(ク・ポン ヒ) タ アナㇰネ サㇰ アン コㇿ ペッキミ チェ(チ・エ) チュㇰ アン コㇿ イサキミ ヌミヒ ペㇾケ パㇰノ ア・スパ ワ チェ(チ・エ).マタ アン コㇿ パㇻカ ワ ア・ランケ クヌフ(ク・ウヌフ) キミ ウタ キミ サヨカㇻ ワ チェ アㇺキㇼ ペ ネ=私が子供の頃は夏になるとトウモロコシの青食いをして,秋になると実の入ったトウモロコシを,粒が割れるほどに煮て食べた.冬になると梁の上からトウモロコシを下ろし,母がそれを搗き,トウモロコシの粥を煮て食べたことがあるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kimke(he)
キㇺケ(ヘ) 【位名】[所](概は kim キㇺ) その/それより山手の方。 piske kus pe kimke kuspe ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱペ (村の)浜の方を通る者も山の方を通る者も。(NK民話) tapan kotan kimkehe ta タパン コタン キㇺケヘ タ この村の山手の所に。(W言い伝え) {E: closer to the hilly, mountainous areas.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimo
キモ 【名】[< 日本語 きも(肝)](次の表現の中で) oya kimo ya オヤ キモ ヤ ああ腹立たしい(くやしい、 残念だ)。 {E: regret, disappointment.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimoiramante
キモイラマンテ 【kim-o-iramante】 (山の)猟をする. (出典:萱野、方言:沙流)
kimoiramante/kimoyramante
キモイラマンテ 【自動】[kim-o-iramante 山・で・ものごとを・する]山で狩をする、 山の猟をする。 ☆対語 pisoiramante/pisoyramante ピソイラマンテ 浜の漁をする。 ☆参考 山の狩猟をすることは通常はただ iramante イラマンテ と言う。 {E: to hunt.} (出典:田村、方言:沙流)
kimokar
キモカㇻ 【他動】(熊が)(人)をとる。 a=kimókar アキモカㇻ 彼が熊にとられる。 a=en=kimokar アエンキモカㇻ 私が熊にとられる。 {E: (for a bear) to take, catch hold of (someone).} (出典:田村、方言:沙流)
kímokere
キモケレ 【自動】[kim-okere 山・を終える] 山じゅう残さず(くまなく)歩く。 {E: to walk throughout the mountains.} (出典:田村、方言:沙流)
kimonupa
キモヌパ 【kim-o-nupa】 告別,葬る. オンネ フチ ネ ワクス コタン エウン ウタㇻ ウウェカㇻパ ワ ア・トㇺテ ノ ア・キモヌパ=うんと年寄りのおばあさんであったから,村中の人が集まって丁寧に葬式をした.コタンケスン(コタンケㇱ ウン) ニㇱパ モシㇼホッパ ヤㇰ ア・イェ.オヤシㇺ ヘネ ア・キモヌパエトホ ネ ナンコㇿ=村の下端の物持ちの方が亡くなったそうだ.明後日でも葬る日になるのかもしれない. (出典:萱野、方言:沙流)
kimopas
キモパㇱ 【kim-o-pas】 山へ走る:気が狂って山へ走り込んだ.▷キㇺ=山 オ=そこへ パㇱ=走る (出典:萱野、方言:沙流)
kimorewsi
キモレウシ 【kim-o-rewsi】 野宿する,山で泊まる. テエータ スクㇱ ペッ エトコホ タ アイヌ オッカイポ レン パㇰノ ペソㇱ トゥㇺ タ シットゥライヌ パ.シㇼクンネ ワ キモレウシ ヒ タ オハイヌ ホチコㇰ ハウ ヌ ㇷ゚ ライ ソモ ヌ パ ㇷ゚ シㇰヌ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=ずうっと昔,宿志別川の上流でアイヌの若者が3人ほどみぞれの降る中を道に迷った.暗くなって野宿した時に幻聴であるアオバズクの声を聞いた者は死に,聞かなかった者は生きたという.サッチェㇷ゚ ア・プㇱコシナ ワ イット エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) ウパㇱルヤンペ ホラホチュウェ ウパㇱエシットゥライヌ・アン サッチェㇷ゚ ア・エ ワ キモレウシ・アン=乾いた魚を矢筒に縛って日帰りで山に行ったら,すごい大雪が降り始めて雪のために道に迷い乾いた魚を食べて山で泊まった. (出典:萱野、方言:沙流)
kimorura
キモルラ 【kim-o-rura】 山へ運ぶ. (出典:萱野、方言:沙流)
kimosma
キモㇱマ 【自動】[kim-osma 山・に入る] 山に入る。 {E: to go into the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimotpe
キモッペ 【kim-ot-pe】 山の獣:鹿,熊,狐その他山の獣の総称.▷キㇺ=山 オッ=いる ペ=物 (出典:萱野、方言:沙流)
kimotpe
キモッペ §270 キタキツネ、きつね (3) kimotpe (kim-ót-pe)「キもッペ」[<kim(山)ot(たくさんいる)-pe(もの)、‘山にたくさん住んでいるケダモノ’] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
kimotpe kamuy
キモッペ カムイ 【名】[動物][kim-ot-pe-kamuy 山・についている・もの・神] キツネ(「イナリ」、 神として呼ぶときに言う)。(S)〔知分類 p.144 kimotpe キタキツネ;きつね((クッチャロ))〕 {E: a fox.} (出典:田村、方言:沙流)
kimourep
キモウレㇷ゚ §215 エゾイチゴ (5) kimourep (ki-mó-u-rep)「キもウレㇷ゚」[kim(山)o(にある)hurep(いちご)] 果実 ⦅屈斜路、美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimoya
キモヤ 【間投】[< 日本語 きもや(肝や)(?)/きもやける(肝焼ける)(?)](次の表現の中で) oya kimoya オヤ キモヤ ああ腹立たしい(くやしい、 残念だ)。 ☆参考 kimo ya キモ ヤ か? ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimoyki
キモイキ 【自動】[kim-o-i-ki 山・で・ものごとを・する] 山へ行く(狩猟、 木の実採り、 たきぎとり等に)。 {E: to go into the mountains (to hunt, gather firewood etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
kimoyramante
キモイラマンテ ☞kimoiramante キモイラマンテ (出典:田村、方言:沙流)
kimpe
キンペ 【kim-pe】 熊. ポンノ アㇱ ワ イコカヌ.キムンペ ハウ ソモ ネ ウン?=少し止まって耳を澄まして聞け.熊の声ではないだろうか? (出典:萱野、方言:沙流)
kimta
キㇺタ 【kim ta】 山に.▷キㇺ=山 タ=に (出典:萱野、方言:沙流)
kimumekasi
キムンエカシ §277 くま (5) kimum-ekasi (ki-mún-e-ka-si)「キむンエカシ」[(山のじじい)<kim(山)un(にいる)ekasi(じじい)]説話の中でクマを言う。M. Chiri, AMS, p. 109, 注1 (出典:知里動物編、方言:)
kimumpe
キムンペ §277 くま (8) kimumpe (ki-mum-pe)「キムンペ」[<kim(山)un(にいる)-pe(もの)] ⦅北海道、樺太⦆ (出典:知里動物編、方言:)
kimun
キムン 【kim-un】 山へ入る,山行き:キムンというと山へ行くというよりも狩に行く,すぐにそう思うのが普通である. キムン・アン ヒ タ アナㇰネ ウウェプンキネ・アン ワ エアシㇼ アプンノ イラマンテ・アン エアㇱカイ=狩に山に入る時は互いを守り合って初めて無事に猟をすることができる.ハンケ クチャチセ カ トゥイマ クチャチセ カ ア・コㇿ ペ ネ ワ ニサッタ ワノ トゥイマ クチャチセ オルン キムン・アン クナㇰ ア・ラム コㇿ アイカㇻ・アン=近い狩小屋と遠い狩小屋と私は持っていて,明日からは遠い狩小屋へ狩に行く(=山に入る)と思いながら矢を作っている. (出典:萱野、方言:沙流)
kimun 1
キムン 【自動】[kim-un 山・にある (に入る)] 山に入る。 {E: to enter the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimun 2
キムン 【連体】[kim-un 山・にいる](=kim un) 山にいる、 山の。 kimun-kamuy キムン カムイ ☞kimunkamuy キムンカムイ {E: (to be) in the mountains; of the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimunaynu
キムナイヌ 【名】[kim-un-aynu 山・にいる・人間(男)] 山男(架空のもの、 鬼のようなもの)。 (「鬼」の訳語として出た。) {E: a mountain man; an ogre, demon.} (出典:田村、方言:沙流)
kimunkamuy
キムンカムイ 【名】[動物][kim-un-kamuy 山・にいる・神](=kimun-kamuy キムン カムイ) 山の神=熊。 ☆参考 最も正式な呼び名。 通常簡単に言うときは kamuy カムイ と言う。 ほかに kamuy-caca カムイチャチャ《神/熊・じいさん》のような呼び方もある。 ☆参考 合成語の要素としては yuk ユㇰ が熊を表すことがある。 ☆参考 kucan クチャン 雌熊、 síyuk シユㇰ 雄熊、 heper ヘペㇾ 子熊、 pewrep 同(呼び名)、 wenkamuy ウェンカムイ ばけもの(悪い熊を悪く言う呼び名)、 nupurikesun cáca ヌプリケスン チャチャ 山すそのじじい(最もたちの悪い熊の呼び名)、 そのほか、 昔は熊の年齢・性別・性質・それに対する話者の気持ちなどによっていろいろな名称が使い分けられていたらしい。 〔知分類 p.151〕 {E: a mountain god; a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimunkamuy
キムンカムイ 【kim-un-kamuy】 熊,ヒグマ.▷キㇺ=山に ウン=住む カムイ=神 (出典:萱野、方言:沙流)
kimunkamuy
キムンカムイ §277 くま (6) kimun-kamuy (ki-mún-ka-muy)「キむンカムイ」[‘山の神’;<kim(山)un(にいる)kamuy(神)] ⦅北海道、多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
kimunkamuy toho
キムンカムイ トホ §494.ちち(乳);乳房(12)山の神の乳房 kimun-kamuy toho〔キむンカムイ・とホ〕[kim(山)+un(の)+kamuy(神)+toho(の乳房)]→前項注。 (出典:知里人間編I、方言:)
kimunkamuykoupsorkorpe
キムンカムイコウㇷ゚ソㇿコㇿペ §099.陰部-女性性器の種類(14)黒い長い陰毛がふさふさと生えているもの kimunkamuy-ko-upsor-kor-pe〔ki-múŋ-ka-muǐ-ko-ùp-sor-kor-pe キむンカムイコうㇷ゚ソㇿコㇿペ〕[kimunkamuy(山の神、=熊)+ko(と同じ)+upsor(陰部を)+kor(持つ)+pe(もの)]⦅ホべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
kimunkamuypohurayep
キムンカムイポフライェㇷ゚ 【kim-un-kamuy-po huraye-p】 2月に降る雨.*山の神熊の子供を洗う雨. (出典:萱野、方言:沙流)
kimunkunaw
キムンクナウ §253 フクジュソウ (2) kimun-kunaw (ki-mún-ku-naw)「キむン・クナウ」[山の・クナウ] 花 ⦅A沙流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimunmawni
キムンマウニ §209 オオタカネバラ (4) kimun-mawni (ki-mún-maw-ni)「キむン・マウニ」[kim(山)un(にある)、kimun(山の)、maw(ハマナス)、mawni(ハマナスの木)] 茎 ⦅白浦、真岡⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimunmawni
キムンマウニ §210 カラフトバラ (1) kimun-mawni (ki-mún-maw-ni)「キむン・マウニ」[山の・ハマナスの木] 茎 ⦅白浦・真岡⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimunotaruh
キムノタルㇷ §209 オオタカネバラ (5) kimun-otaruh (ki-mú-no-ta-ruh)「キむノタルㇷ」[山の・ハマナス] 果実 ⦅真岡⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimunotaruh
キムンオタルㇷ §210 カラフトバラ (2) kimun-otaruh (ki-mun-o-tá-ruh)「キムン・オたルㇷ」[山のハマナス] 果実 ⦅真岡⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kimunpe
キムンペ 【名】[動物][kim-un-pe 山・にいる・もの] 山のやつ=熊(の表現の一つ)。 〔知分類 p.151〕 {E: a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimunpe
キムンペ 【kim-un-pe】 獲物,熊,野獣. エイタサ イウォㇿ エシカルン・アン クス シネアンタ イウォㇿ ホタヌカㇻ クス エキㇺネ・アン キムンペ アピㇼ シッチニナニナ ア・エヤイコプンテㇰ=あまりにも狩場が懐かしく思ったので,ある日のこと狩場を見舞うために山へ行くと獲物の足跡があたり一面にこちゃこちゃとあって私は喜んだ.ト ト ヌカㇻ ヌカㇻ キムンペ ピューキ ワ エㇰ ノイネ ヨコ ワ アン ナ.エン・カオピューキ ワ エン・コレ=あれあれ見ろ見ろ,熊が向かって来るらしく構えている,助けてくれ. (出典:萱野、方言:沙流)
kimunpehawkoraci
キムンペハウコラチ 【kim-un-pe haw koraci】 野獣の声にそっくりだ:酒癖の悪い者が酔っ払って出す声をいう.▷キムンペ=山にいるもの ハウ=声 コラチ=同じ (出典:萱野、方言:沙流)
kimunsiratki
キムンシラッキ 【kim-un-siratki】 狐の頭の神:狐の頭骨,イナウキケ(スス). 図[キムンシラッキ] (出典:萱野、方言:沙流)
kimuspu
キムㇱプ 【kim-us-pu】 山の倉,室:山腹などに掘った岩屋.ウウェペケレによく出て来る.▷キㇺ=山 ウㇱ=ある プ=倉 キムㇱプ コㇿ ヤㇰ ア・イェ クㇽ シネアンタ エキㇺネ ヒクス オㇿアプンノ イクイラアナクス(イクイラ・アン アクス) ソンノカ コㇿ キムㇱプ エウン アㇻパ=山に秘密の倉を持っていると言われている人がある日のこと山へ行ったので全く静かに後をつけると,本当にも持っている秘密の倉へ行った.*跡取りのいない物持ちが,自分の宝物を他人に渡すのがいやで人に知られないように山の中で穴倉を作って物をかくす,これをキムㇱプという.実在したかどうかわからないがウウェペケㇾには出て来る話. (出典:萱野、方言:沙流)
kimuy
キムイ 【名】[ki-muy カヤ/ヨシ・束][植物] ヨシ(葦)の束。 sine kimuy mak pak ranke ku=kar kor pirka? シネ キムイ マㇰ パㇰ ランケ クカㇻ コㇿ ピㇼカ? ヨシ(葦)一束(「いっぱ」)につきいくら払えばいいでしょうか。(S) ☆参考 アクセントは kímuy キムイ ではなく kimúy キムイ。 {E: a bunch of reeds} (出典:田村、方言:沙流)
kimuy
キムイ 【kimuy】 頭. (出典:萱野、方言:沙流)
kimuy(-e)
キムイ §053.あたま・の・いただき(頭頂部)(9)kimuy(-e)〔kí-muǐ きムイ〕⦅H. S.⦆【雅―ユ研Ⅱ, pp.251, 351;遺篇, p.52】 (出典:知里人間編I、方言:)
kimuyso
キムイソ 【名】[kim-un-so 山・の・広がりのある所] 山の奧の地。 kimuyso ka ta/a=erának kuni p/isam he ki ya? キムイソ カ タ/アエラナㇰ クニㇷ゚/イサメ キ ヤ? [雅] 山奥のほうではいやなことはありませんか。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimuyuspe
キムユㇱペ §218.かみかたち(髪容)(2)頭髪 kimuy-us-pe〔ki-mú-juš-pe キむユㇱペ〕[頭頂・に生えている・もの]⦅ホロベツ⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
koekimne
コエキㇺネ 【他動】[ko-ekimne を目がけて・山へ行く] …を目がけて山へ行く。 {E: to go to the mountains aiming towards…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kokimaypa
コキマイパ 【ko-kimaypa】 なくする. ア・コㇿ シポㇷ゚ケㇷ゚ イ・コキマイパ アンライ ポカ ア・ヤイニューケㇱテ=私の業物,相手によってなくされて,全く死ぬことも私はかなわず…[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
matupsoro sutupsoro cikokimaypa ekarkar
マトゥㇷ゚ソロ ストゥㇷ゚ソロ チコキマイパ エカㇻカㇻ §313.ごうかん(強姦)する(2)mat-upsoro sut-upsoro ci-ko-kimaypa ekarkar〔まトゥㇷ゚ソロ・すトゥㇷ゚ソロ・チこキマイパ・エかㇻカㇻ〕[女の陰部、祖母の陰部を、犯すことをする]⦅ホロべツ⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
motekimoteki
モテキモテキ 【moteki-moteki】 ちょうどいい. モテキモテキ ウコイラム・アン ロー=都合がいいから一緒に行こう. (出典:萱野、方言:沙流)
nínaekimne
ニナエキㇺネ 【自動】[nina-ekimne まきとりする・山へ行く] まきとり/たきぎとりに山へ行く。 {E: to go into the mountains to collect firewood.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
okimne
オキㇺネ 【副】[o-kim-ne その尻(が)・山・である] ①山から。 ②(連体的に使って)山からの。 ☆対語 ekimne エキㇺネ《山へ/山へ行く》。 {E: ①from the mountains. ②…from the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
okimne
オキㇺネ 【o-kimne】 山から. オキㇺネ ワノ アイヌ エㇰ ハウ カリカリ ヒクス プヤㇻ カ ア・オㇱマ インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコㇿ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いてきたので窓から体を出して見ると,知らなかったが.熊を獲ってきたのであった. (出典:萱野、方言:沙流)
okimun
オキムン 【副/連体】[o-kim-un その尻(が)・山・にある] 山から、 山からの。 (独立の単語としては未出) ☆対語 ekimun エキムン。 (出典:田村、方言:沙流)
okimunpe
オキムンペ 【名】[okimun-pe 山から来る・もの] 山から来る洪水(「山津波」)。 ☆対語 orepunpe オレプンペ 津波。 {E: the crumbling of a mountainside due to floodwaters: a landslide.} (出典:田村、方言:沙流)
okimunpe
オキムンペ 【o-kim-un-pe】 山津波:大雨などのため山から多量の土砂が流れ出すこと,洪水. ケㇱト ケㇱト アㇷ゚ト ルイ シリ ネンカネ ポロワッカ アン オアシ オキムンペ ポーヘネ ア・シトマ=毎日毎日すごい雨降りだこと,もしものこと大洪水になりはしないか,山津波はなおさら恐ろしい. (出典:萱野、方言:沙流)
rewsi-ekimne
レウシエキㇺネ 【自動】[rewsi-ekimne 泊まる・山へ行く] 泊まりがけで山へ(山の仕事をしに)行く。 {E: to go to stay in the mountains (for work).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sakkimotpe
サッキモッペ §270 キタキツネ、きつね (8) sakkimotpe (sák-ki-mot-pe)「さッキモッペ」[<sak(夏)kimotpe(山のケダモノ)] ⦅胆振、日高⦆ (出典:知里動物編、方言:)
samaekimatek
サマエキマテㇰ 【sama-e-kimatek】 ~のことを案じている.外側から人のことを案じている. ▷サマ=側 エ=それ キマテッ=心配する,気にする ネアクㇽ エアㇻキンネ イクルイワ サマエキマテㇰ コㇿカン=あの人が本当に飲み過ぎて,他人ごとながら私は案じている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
sikimane
シキマネ 【自動(?)】[siki-ma-ne 目・(?)・のようである]そこひのための白眼(?)、 そこひで目が白い(?)。 {E: for the lenses of the eyes to be opaque.} (出典:田村、方言:沙流)
sitataykimun
シタタイキムン §119 ヤブジラミ (3) sitatayki-mun (si-tá-tay-ki-mun)「シたタイキムン」[上記果実のなる木の義] 茎葉 ⦅美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
siyekimatekka
シイェキマテッカ 【他動】[si-y-e-kimatek-ka 自分・(挿入音)・に・驚きあわてる・させる] …をおどす。 {E: to threaten, frighten…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
siyekimatekka
シイェキマテッカ 【si-e-kimatek-ka】 おどす,さあどうしてくれる返事をしろ. (出典:萱野、方言:沙流)
siyekimatekkapa
シイェキマテッカパ 【他動】[複](siyekimatekka シイェキマテッカ は単複の区別なし)(二人以上)をおどす。 {E: to threaten, frighten… (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
topiskimun
トピㇱキムン §337 キジカクシ (7) topiski-mun (tó-pis-ki-mun)「とピㇱキムン」[オコリ(病)・草] 茎葉 ⦅足寄⦆⦅A十勝・上川⦆ (出典:知里植物編、方言:)
ukimatekka
ウキマテッカ 【u-kimatek-ka】 皆を驚かせる.▷ウ=互い キマテㇰ=驚く,騒ぐ カ=させる ク・ポニタ(ク・ポン ヒ タ) しものあ セコㇿ ア・イェ ウナㇻペ サンペムㇽセ ワ アチャポ ウタㇻ ウナㇻペ ウタㇻ ウキマテッカ ワ ホユッパ シリ ク・ヌカㇻ アㇺキㇼ=私が子供の頃シモノアというおばさんがひきつけを起こしおじさんやおばさんが驚いて走ったのを私は見た記憶がある. (出典:萱野、方言:沙流)
ukokimatek
ウコキマテㇰ 【自動】[uko-kimatek 一緒に・驚きあわてる] 一緒に驚きあわてる。 ☞kimatek キマテㇰ {E: to be surprised together.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wenokimunpe
ウェノキムンペ 【名】[wen-okimunpe ひどい・山津波] ひどい洪水(「山津波」)。 ☆参考 「大水」は poro wakka ポロ ワッカ。 ☞okimunpe オキムンペ {E: a bad flood.} (出典:田村、方言:沙流)
yayekimatek(-an)
ヤイェキマテㇰ §668.[自分の]病気を悲観するyayekimatek(-an)〔ja-jé-ki-ma-tek ヤいぇキマテㇰ〕[yay(自分)+e(について)+kimatek(あわてる)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
yayekimatekka
ヤイェキマテッカ 【他動(?)】[yay-e-kimatek-ka 自分・…で・あわてる・(他動詞化)] 急ぐ(?)、 …で急ぐ(?) {E: to hurry; to rush due to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yaykimatekka
ヤイキマテッカ 【自動】[yay-kimatek-ka 自分・あわてる・(他動詞化)させる] 急ぐ、 あわてる。 {E: to hurry.} (出典:田村、方言:沙流)
yaykimatekka
ヤイキマテッカ 【yay-kimatek-ka】 急ぐ,あわてる,自分で自分を急がせる. (出典:萱野、方言:沙流)
yaykimuykanomi
ヤイキムイカノミ 【yay-kimuy-ka-nomi】 自分自身の守り神に願いごとを念じる.▷ヤイ=自身 キムイ=頭 カ=上 ノミ=祭る,拝む.礼拝 *カムイノミ(神に祈る)時に棒酒箸の先へおみきをつけ,左肩,右肩,次に頭へつける,このやり方をヤイキムイカノミという. (出典:萱野、方言:沙流)
kim kamui’
キㇺカムイ §277 くま (7) ‘kim kamui’ (kim ka-muy)「キㇺカムイ」 ⦅K.⦆ (出典:知里動物編、方言:)
“enchikimaimai”
『エンチキマイマイ』 §168 ガンコウラン (5) “enchiki-maimai” 『エンチキマイマイ』 ⦅B⦆ ⦅A沙流、鵡川⦆ (出典:知里植物編、方言:)
“ichikimaimai”
『イチキマイマイ』 §168 ガンコウラン (3) “ichiki-maimai” 『イチキマイマイ』 ⦅B⦆ ⦅A十勝⦆ (出典:知里植物編、方言:)
“ishikimaimai”
『イシキマイマイ』 §168 ガンコウラン (4) “ishiki-maimai” 『イシキマイマイ』 ⦅B⦆ (出典:知里植物編、方言:)
annukamu
アンヌカム 【他動】[annu-kamu (?)・…にかぶさる][雅]…にかぶさる。 nísapramta/ekimne rusuy/i=annukamu ニサㇷ゚ラㇺタ/エキㇺネ ルスイ/イアンヌカム [雅]私は急に山へ行きたい気持ちにおそわれた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
c- 1
チ 【接頭】[中相形形成][ci- チ 4 が母音の前で i を落とした形] ①(他動詞に接頭して中相の表現となる。 日本語に訳すと通常三人称を主語とする自動詞に、 または受け身に訳せる。) …される、 された。 cúkopoyepoye uske チュコポイェポイェ ウシケ グルグルとうずを巻いている所。(ukopoyepoye ウコポイェポイェ …をグルグルかきまぜる。) cópirasa チョピラサ …に広がる。(opirasa オピラサ …を…に広げる。) heynu nan kurkasi/heynu kor wenpuri/heynu cópirasa ヘイヌ ナン クㇽカシ/ヘイヌ コㇿ ウェンプリ/ヘイヌ チョピラサ 彼の顔一面に怒りの色が広がった。(HC神謡) ②(自動詞または他動詞に使役語尾または他動詞化語尾がつくと同時にこの c- チ が接頭して、 美文的なニュアンスを伴った別の表現になる。) c-éosmare チェオㇱマレ [c-e-osma-re される・(中相)それで・…に突進する・させる(使役)] それで…に突入する。 weysakayo céosmare ウェイサカヨ チェオㇱマレ それでひどい大げんかが起こった。 ③(人に対する行為を表す他動詞に接頭し、 後に ekarkar エカㇻカㇻ《する》の人称形が置かれて韻文調・美文調の表現になる。) kamuy nis ka wa/c-épunkine/a=e=ékarkar kus ne na カムイ ニㇱ カ ワ/チェプンキネ/アエエカㇻカㇻ クㇱ ネ ナ 私は天の神の国からあなたを守ってあげますからね。(Sユーカラ語り) cikimatekka a=i=ékarkar チキマテッカ アイエカㇻカㇻ 私たちはみんな本当にびっくりした。(W会話) ☆参考 よりくわしくは ☞ci- チ 4 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ciose
チオセ 【他動】[中相][ci-ose …すること・そこに背負っていく] kasi ciose カシ チオセ[kasi ose カシ オセ の中相形](人)のところに背負って(持って/運んで)行く。 ekimne=an yak/yuk cikoykip/kasi ciose/a=e=ékarkar/ki kus ne na エキㇺネアン ヤㇰ/ユㇰ チコイキㇷ゚/カシ チオセ/アエエカㇻカㇻ/キ クㇱ ネ ナ [雅]私が山へ行ってシカをとり背負って来てあげますから。(Sユーカラ) ☞ka(si) ose ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
e-…-ne
エ…ネ 【接頭+接尾】[その頭・(位置名詞)・である/になる] ①[自動]…へ/に行く。 kim キㇺ 山;ekimne エキㇺネ 山に行く。 ②[副]…へ。 soy ソイ 外;esoyne エソイネ 外へ。 (出典:田村、方言:沙流)
eanuramu-esakkaosma
エアヌラムエサッカオㇱマ 【他動】[e-anu-ramu-e-sakka-osma そこに・置く・思い・その頭・失わせる・…に急に入る][雅](次のような構文で)(…したい気持ちが)急になくなる、 急に…するのがいやになる。 ekimne rusuy=an hi/a=eánuramu/esakkaosma エキㇺネ ルスイアニ/アエアヌラム/エサッカオㇱマ [雅]山へ行きたいという気持ちが急になくなった。(Sユーカラ語り) ☆参考 韻文で2行に分かれる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eaynukoykipa
エアイヌコイキパ 【他動】[複](単複の区別のない eaynukoyki エアイヌコイキ の用例は未出) …で人を襲う。 eponcisearipa wa kasi oyoko, ne wa an pe po hene eaynukoykipa piske kus pe kimke kus pe koma utaspa エポンチセアリパ ワ カシ オヨコ、 ネ ワ アン ペ ポ ヘネ エアイヌコイキパ ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱ ペ コマ ウタㇱパ 小屋をつくって(妹を)住まわせて見張っており、 そうやってなおいっそう人を襲い、 浜手の方を通る人も山手の方を通る人も襲ってものを取る。(NK民話) {E: to tease, bully someone over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ehorka
エホㇿカ 【副】[e-horka その頭・逆に] 逆に、 さかさまに。 hńta e=eyaykimatekka kus to e=mi p ka e=okus wa e=mi, e=us pe ka ehorka e=us siri an? フンタ エエヤイキマテッカ クㇱ ト エミㇷ゚ カ エオクㇱ ワ エミ、 エウㇱ ペ カ エホㇿカ エウㇱ シリ アン? あなた何をあわてて、 そら、 着るもの(服)も裏返しに着てるし、 はくもの(スカート)も後ろ前にはいてるの。(S) {E: opposite; reverse; upside down.} (出典:田村、方言:沙流)
ehoyupu
エホユプ 【他動】[単](複は ehoyuppa エホユッパ)[e-hoyupu …と共に・走る] …を持って走る。 hemanta i=esikari híne orowano ekimne i=ehoyupu humi as ヘマンタ イエシカリ ヒネ オロワノ エキㇺネ イエホユプ フミ アㇱ 私は何かにつかまえられてそれから山へ(走って)持って行かれる気配がしていた。(KK民話) {E: to run with…in hand.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
episun
エピスン 【連体】[< 自動][e-pis-un その頭・浜・にある]浜へ向かって行く…、 浜への。 episun kiroru エピスン キロル [雅]浜へ通じる立派な道。(Sユーカラ) ☆対語 ekimun エキムン 山への。 ☆参考 述語動詞としての用例はなく、 連体的にのみ使われている。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
etursere
エトゥㇽセレ 【複他動】[e-turse-re …で・落ちる・させる] …で…をとばす、 …で…を切り落とす。 ure etursere ウレ エトゥㇽセレ 足で(それを)けとばす。(W) a=sitómusi a p a=sikóetaye híne néa kimunkamuy a=tawki hi ta kamuy renkayne penrekuci a=etúrsere ruwe ne アシトムシ アㇷ゚ アシコエタイェ ヒネ ネア キムンカムイ アタウキ ヒ タ カムイ レンカイネ ペンレクチ アエトゥㇽセレ ルウェ ネ 私が腰に差していた山刀を引き抜いて熊に切りつけとき、 神のおかげでその首を切り落とした。(HK民話) {E: to cut off…; cut away…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ewpusu
エウプス 【他動】[e-u-pus-u その頭・互い・穂・(他動詞形成)]…を束ねる、 「とうきび」(=トウモロコシ)などを十本なり二十本なり束ねてくくる。(S) kími ewpusu wa horikasi racitkere キミ エウプス ワ ホリカシ ラチッケレ トウモロコシを束ねて上の方をしばって上からつるしなさい。(S) ☆参考 upusihi kar ウプシヒ カㇻ とも言う。 {E: to bunch (corn etc.) into clusters of ten or twenty.} (出典:田村、方言:沙流)
hawsak
ハウサㇰ 【自動】[haw-sak 声・を持たない] だまる、 声をたてない。 ekimatek wa hawsak kor an エキマテㇰ ワ ハウサㇰ コラン (この子は)びっくりして声も出ない。(W) ☆対語 hawkor ハウコㇿ。 ☆参考 mosmano an モㇱマノ アン だまっている。 {E: to be silent; not speak.} (出典:田村、方言:沙流)
honoye
ホノイェ 【自動】[ho-noye 尻を・ねじる] ①(柱が)傾く、 (建物が)柱が歪みねじれて傾いている。 taan cikue cikiri honoye タアン チクエ チキリ ホノイェ この机は足が傾いている。(S) unihi honoye ウニヒ ホノイェ 彼の家は傾いている。(S) honoye wa hokus anki an ホノイェ ワ ホクㇱ アンキ アン 傾いて倒れそうになっている。(S) okimne cikirihi honoye wa oka kusu tanpa anak okimunpe an nankor オキㇺネ チキリヒ ホノイェ ワ オカ クス タンパ アナㇰ オキムンペ アン ナンコㇿ (ermupu エㇾムプ という星座名の)山側(=北側)の足が傾いているから今年は山津波(洪水)があるだろう。(S) (☞ermupu エㇾムプ) ②(比喩的に)帰って行く。 hempara suy honoye kus ene an? ヘンパラ スイ ホノイェ クㇱ エネ アン? [隠]いつまた傾こうというのだろう=(長尻の客が)いつ帰るのだろう。(S) honoye ka somo ki ホノイェ カ ソモ キ [隠]全然傾かない=長尻でいっこうに帰らない。(S) ☆参考 建物などがゆがんで傾く/傾いていることを言う。 置いてあるものが傾く/傾いて(かしいで)いることは ohewke オヘウケ、 上から下がっている鍋などが傾いていることは ehewke エヘウケ。 {E: ①to lean; incline. ②…} (出典:田村、方言:沙流)
iworso
イウォㇿソ 【名】[iwor-so 山(の谷あい)・平らな広がりを持つ所] 山奥の地(神々が住む所)。 kim un iworso ka wa a=matkorepa キムン イウォㇿソ カ ワ アマッコレパ 山奥の地から妻を(神から)与えられた。(S言い伝え) rep un iworso atuyso ka wa uwaste hike レプン イウォㇿソ アトゥイソ カ ワ ウワㇱテ ヒケ ずっと沖の方(海の向こう)から妻をめとって子孫がふえたものは…。(S言い伝え) {E: deep in the mountains.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ka(si) mesu
カ(シ) メス 【連他動】[…の上・をはぎとる]…を危険から救う。 kimunkamuy a=sikésanpare awa, i=ka mesu sekor hawean ka somo ki hi ta キムンカムイ アシケサンパレ アワ、 イカ メス セコㇿ ハウェアン カ ソモ キ ヒ タ 私が熊に自分の後を追いかけさせていると、 私が助けてくれとも言わなかったときに。(HK民話) {E: to save…from danger.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kamuy 1
カムイ 【名】①神。 …epunkine kamuy …エプンキネ カムイ (そこ)を守る神。 haru kamuy ハル カムイ 自然の恵みの食糧の神。 kanna kamuy カンナ カムイ 上天の神。 kimun kamuy キムン カムイ [山の・神] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kemram kamuy ケㇺラㇺ カムイ 飢饉の神。 kotankor kamuy コタンコㇿ カムイ (1)村の守り神=フクロウ神。 (2)神の村での村おさの神。 mosirkar kamuy モシㇼカㇻ カムイ 国づくりの神。 páse kamuy パセ カムイ 尊い神(位の高い神)。 oripak kamuy オリパㇰ カムイ 天然痘の神。 payoka kamuy パヨカ カムイ 流行病の神。 repun kamuy レプン カムイ [沖の・神]シャチ ☞repunkamuy レプンカムイ。 nispa kamuy ニㇱパ カムイ 神のように尊い方(男性を尊んで言う表現)。 kamuy onisposo カムイ オニㇱポソ 神が空(雲)を突き抜けて落ちてくる=雷が落ちる。 kamuy cikap(-po) カムイ チカㇷ゚/チカッポ ☞kamuycikap カムイチカㇷ゚、 kamuycikappo カムイチカッポ。 kamuy cep カムイ チェㇷ゚ ☞kamuycep カムイチェㇷ゚。 kamuy hum カムイ フㇺ ☞kamuyhum カムイフㇺ。 kamuy nis カムイ ニㇱ ☞kamuynis カムイニㇱ ②神のように立派な、 非常に立派な…。 {E: ①a god. ②.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kamuy 2
カムイ 【名】[< kamuy 1][動物] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kamuy-cáca カムイチャチャ [熊・じいさん] 熊(の呼び名の一つ)。 yuk ne ciki kamuy ne ciki eawnarura ユㇰ ネ チキ カムイ ネ チキ エアウナルラ 鹿でも熊でもとって(家へ運んで)来た(たくさんの民話の中で、 何不自由なく暮らしている主人公の登場の初めにしばしば出て来る表現の一つ)。 {E: a bear.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kar 2
カㇻ 【他動】(木や草の実)を採る/摘む、 収穫する、 (皮) をむく。 nonno kar ノンノ カㇻ 花を摘む。 hat kar ハッ カㇻ ぶどうを摘む(=hatkar ハッカㇻ)。 kapuhu kar カプフ カㇻ その皮をむく。 tane hetukpa pewre top a=kar kusu ekimne=an タネ ヘトゥㇰパ ペウレ トㇷ゚ アカㇻ クス エキㇺネアン 出たばかりの若い竹(=タケノコ)を掘りに山へ行こう。 toy or un pe opitta tane a=kar nisa トヨルン ペ オピッタ タネ アカン ニサ 畑のものをみんなもう取り入れてしまった。(S) {E: to pick, gather…; peel…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kewkaske
ケウカㇱケ 【接】[< 位名][kew-kasike 体・その上](次の雅語的表現の中で)そのために。 ☆参考 kasike カシケ の s と k の間の i が落ちてこのように発音されている。 kamuy tumi ne ya tono tumi ne ya cihopunire, kewkaske cikimatekka a=i=ékarkar カムイ トゥミ ネ ヤ トノ トゥミ ネ ヤ チホプニレ、 ケウカㇱケ チキマテッカ アイエカㇻカㇻ [雅]神戦だか聖戦だかが起こった、 そのために私たちはびっくりした。(W会話) ☆参考 この用例のような文脈・状況で日常語で「そのために」「だから」と言うには hi kusu ヒ クス が多く使われる。 場合によって wa kusu ワ クス も使われる。 {E: for that reason; due to that.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kiroru
キロル 【名】[kir-o-ru 足・そこにつく・道][雅] 立派な道。 ekimun kiroru/sinna kane/episun kiroru/sinna kane エキムン キロル/シンナ カネ/エピスン キロル/シンナ カネ [雅]山へ通じる立派な道は別になっており浜へ通じる立派な道は別になっていた(=山の方に行く道と浜の方へ行く道が別々にあった)。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koma utaspa
コマ ウタㇱパ 【連他動(?)】[(?)・…を互いに交換する] …を襲う。 piske kus pe kimke kus pe koma utaspa sikesar kor okay pe ne ruwe ne ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱ ペ コマ ウタㇱパ シケサㇻ コㇿ オカイ ペ ネ ルウェ ネ 家の浜手を通る人も山手を通る人も襲っておどして物を取っている。(NK民話) {E: to attack, assault…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kor 3
コㇿ 【接助】①…しながら、 …しつつ。 suke kor an スケ コラン 煮炊きしている。 cís=an kor a=eyáykopuntek チサン コㇿ アエヤイコプンテㇰ 私は泣きながら喜んだ。 iku kor sinotcaki kor an イク コㇿ シノッチャキ コラン 彼は酒を飲みながら歌を歌っている。 ②…すれば、 …すると、 …する/したときは。 pon a=yupíhi ekimne kor a=turá ポン アユピヒ エキㇺネ コㇿ アトゥラ 小さい兄が山へ行くときは私も一緒に行った。 kesto an kor ケㇱト アン コㇿ 毎日毎日。 mata réra ruy kor méan マタ レラ ルイ コㇿ メアン 冬に風が強ければ寒い。 {E: ①while. ②if; when.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koyaynutunnu
コヤイヌトゥンヌ 【他動】[ko-yaynu-tunnu …に・気持ち・(?)] ボーッとなる、 気を失いかける。 ku=kimatek ayne ku=koyaynutunnu クキマテㇰ アイネ クコヤイヌトゥンヌ 私はびっくりして気を失いかけた。(S) {E: to lose consciousness; be in a daze.} (出典:田村、方言:沙流)
koyki
コイキ 【他動】[ko-i-ki …に対して・ものを・する] ①…を怒りつける、 …を叱りつける、 …をいじめる、 …を襲う、 (鳥や魚)をとる。 ne kusu a=koyki hawe ka erampewtek ネ クス アコイキ ハウェ カ エランペウテㇰ (この子は)なぜ怒られているのかわからない。(W独話) kimunkamuy i=koyki yakka キムンカムイ イコイキ ヤッカ 熊が(引用文中の)私を襲っても(=熊に襲われても)。(HK民話) cep koyki チェㇷ゚ コイキ 魚をとる。 cikap koyki チカㇷ゚ コイキ 鳥をとる(rayke ライケ とも言う)。 ceppokoyki チェッポコイキ 小魚をとる。 hawekoyki ハウェコイキ 言葉で叱り/どなりつける。 ② ☞ram(u) koyki ラㇺ/ラム コイキ ☆参考 獣をとることは rayke [単]/ronnu[複] ライケ/ロンヌ。 鳥を打つことには koyki コイキ も rayke ライケ も使う。 魚を「釣る」ことは peraykar ペライカㇻ。) {E: to scold, bully, attack, catch(birds or fish).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kuni 1
クニ 【助動】…することになっている、 …する見込みである、 …することが望ましい、 …するべきである、 …しよう。 ekimne a=e=sé wa a=e=ráyke kuni sekor an pe エキㇺネ アエセ ワ アエライケ クニ セコㇿ アン ペ あなたを山へ運んで行って殺そうということを。(W民話) tun ku kuni sake トゥン ク クニ サケ 二人が飲む酒(飲むべき/ことができる酒)。(S民話) herepasi arpa kuni pekor iki, pet turasi arpa kuni pekor iki, ayne, arherepasi arpa ヘレパシ アㇻパ クニ ペコㇿ イキ、 ペッ トゥラシ アㇻパ クニ ペコㇿ イキ、 アイネ、 アㇻヘレパシ アㇻパ (その飛び上がった首は)沖の方へ行くみたいにし、 川の方へ向かって行くみたいにしていてから、 しまいにずうっと沖の方へ行ってしまった。(W民話) en=kupa kuni pekor ku=yaynu エンクパ クニ ペコㇿ クヤイヌ (その犬)が私にかみつこうとしているように私は思った。(W) kuni p クニㇷ゚ …する(べき)もの。 c=e kuni p anakne porono an チェ クニㇷ゚ アナㇰネ ポロノ アン 私たちが食べるものはたくさんある。(S) (注 cékunip チェクニㇷ゚ [名]は《魚》。)oro ta, e=ewonne usa ki, e=wakkaku usa ki ranke kuni p ne na オロ タ、 エエウォンネ ウサ キ、 エワッカク ウサ キ ランケ クニㇷ゚ ネ ナ あなたはそこで顔を洗ったり、 水を飲んだりすればいいのですよ。(W民話) mak é=iki hawe an? somo an kuni p e=ye hawe ne na ne na マㇰ エイキ ハウェアン? ソモ アン クニㇷ゚ エイェ ハウェ ネ ナ ネ ナ あなたは何をなさる(とおっしゃる)のですか。 してはならないことをおっしゃっておられるのですよ。(W民話) kuni hi クニ ヒ ☞kunihi クニヒ ☆参考 他の助動詞のように文末に置かれることは少なく、 連体的に使われることが多い。 それも p ㇷ゚《もの、 の》の前が圧倒的に多い。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kuni 3
クニ 【形名】[kun-(h)i …するべき/予定/はずである・こと] ①(動詞に終わる文(節)の後に置かれてこれを名詞句にする。) …するで(あろう)ということ、 できる(ような)こと、 …する(べき)こと。 tap a=ye kuni tónonsukus ne humi as タㇷ゚ アイェ クニ トノンスクㇱ ネ フミ アㇱ これを言うのが真昼の凪(なぎ)だなあ。 ene…kuni エネ…クニ このように…するであろうこと=次のように…するであろう/することになっている。 ene ne kuni エネ ネ クニ こう(次のように)なるでしょう。 ene an kuni エネ アン クニ このような(次のような)ことが起こるでしょう。 (注 すでに起こったことであれば、 kuni クニ の代わりに hi ヒ が使われるところである。) ②[名詞化引用](次に「言う」「思う」「考える」「相談する」「言いつける」等々を意味する他動詞が来て、 kuni クニ で名詞化された文をその目的語とする間接引用文となる。) kuni ramu クニ ラム …すると思う。 e=mismu kuni ku=ramu エミㇱム クニ クラム あなたがさびしいだろうと私は思った。(S) kuni ye クニ イェ …すると言う。 opitta nisatta hunak un paye kuni ye kor oka オピッタ ニサッタ フナクン パイェ クニ イェ コㇿオカ みんなで明日どこかへ行くという話をしている。(S) a=saha i=nukar kuni a=ekímatek kusu アサハ イヌカㇻ クニ アエキマテㇰ クス 私は姉に見られるのではないかと気が気ではないので。(W民話) poro a=yupí a=saha a=ewtannere kuni a=ewkoramkor híne ポロ アユピ アサハ アエウタンネレ クニ アエウコラㇺコㇿ ヒネ 私たちは大きい兄と姉とを結婚させようと相談して。(NK民話) akihi a=ne kuni eraman kuni a=sitóma アキヒ アネ クニ エラマン クニ アシトマ 私が彼の弟だということを彼が知るのが(=彼に知られるのが)私は恐ろしかった。(S民話) pirka aynu ne/e=an kuni/e=takar kusu/ne na ピㇼカ アイヌ ネ/エアン クニ/エタカㇻ クス/ネ ナ あなたは立派な人になることを夢に見るのだよ。(NKy子守歌) ③(動詞句の後に続かず、 文頭に置かれて、 その前に言われた内容全体を受ける場合もある。)そうする(であろう)ということ。 “…néno yaynu hani!” “e pirka ruwe un, kuni ku=ramu kor k=ek pe ne kusu 「…ネノ ヤイヌ ハニ!」「エー、 ピㇼカ ルウェ ウン、 クニ クラム コㇿ ケㇰ ペ ネ クス」…「そう思いなさいよ。」「ええ、 いいよ。 私はそう思いながら来たのだから…。」/ ☆参考 間接引用の kuni クニ は kunak クナㇰ と言い換えられる場合もある。 しかし、 kunak クナㇰ の後に来る他動詞は、 ほとんどの場合 ramu ラム《…(ということ)を思う》または ye イェ《…(ということ)を言う》に限られている。 一方、 kuni クニ の後には ramu ラム、 ye イェ のほか、 eraman エラマン《…を知る》、 epakasnu エパカㇱヌ《…を教える》、 sitoma シトマ《…を恐れる》、 ekaspaotte エカㇱパオッテ《…を命じる》、 ewkoramkor エウコラㇺコㇿ《…を相談する》、 eese エエセ《…を承諾する》、 kar カㇻ《…をする》、 ki キ《…をする》、 takar タカㇻ《…を夢見る》等々いろいろな他動詞が来る。 さらに間接引用文をつくる以外に、 ne ネ《である》が後に続いて、 《…する予定/はず/つもり…である》というような使い方もある。 一方、 すでに起こったこと、 確認ずみのことに関して言うには kuni クニ ではなく yak ヤㇰ が用いられる。 ☞kunak クナㇰ、 yak ヤㇰ、 sekor セコㇿ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
matkore
マッコレ 【他動】[mat-kore 女/妻・を与える] …に妻を与える、 (男)を結婚させる。 kim un mosir wa a=matkore hike a=matkore, kamuy or wa ki wa キムン モシㇼ ワ アマッコレ ヒケ アマッコレ、 カムイ オㇿ ワ キ ワ 山の国から妻を(神から)与えられる人は与えられて…。(S言い伝え) {E: to give a wife to …; make…marry.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mátutari
マトゥタリ 【名】[所](概の例はない)[mat-utar-i 女/妻・人々(=たち)・(所有語尾)]…の妻たち。 tananto or ta/a=e=ékimnere wa/e=matutari/a=arkire wa タナント オッタ/アエエキㇺネレ ワ/エマトゥタリ/アアㇻキレ ワ [雅]今日私はあなたを山へ行かせてあなたの妻たちを来させて。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
monrayke
モンライケ 【自動】[mon-rayke (仕事をする)手・殺す](山へ行って)働く。 (名詞として使って) 仕事。 ekimne monrayke kusu paye エキㇺネ モンライケ クス パイェ 彼らは山へ仕事に行った。 ☆参考 「山へ仕事に行って二日でも三日でも泊まって来る。 nepki ネㇷ゚キ に行ったら昼ごはんにでも夜にでも帰って来る。」 (W) ☆参考 畑仕事や家の中や外まわりの仕事など、 通常のいろいろな仕事をすることは皆 nepki ネㇷ゚キ。 {E: to work.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
nísapramta
ニサㇷ゚ラㇺタ 【副】[nísap-ram-ta 急な・心・に](次のような文脈で)急に。 sine an to ta/nísapramta/ekimne rusuy/epa=ki kusu シネ アン ト タ/ニサㇷ゚ラㇺタ/エキㇺネ ルスイ/エパキ クス [雅]ある日のこと私は急に山へ行きたくなったので。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
nitus 2
ニトゥㇱ 【自動】[nit-us 茎・ついている](?) 茎が太い。 kími nitus ruwe! キミ ニトゥㇱ ルウェ! トウモロコシの茎が太くできてるなあ。(S) nitus kina ニトゥㇱ キナ 茎の太い草。 ☆発音 nítus ニトゥㇱ《柄がついている》とはアクセントが違う。 ☆参考 木に関しては言わない。 太い木は ruwe cikuni ルウェ チクニ 。 トウモロコシの実がよくできているのは pusi pirka プシ ピㇼカ。(S) ☞us ウㇱ 4 {E: for stems to be thick.} (出典:田村、方言:沙流)
nupuri
ヌプリ 【名】山。 poro nupuri ポロ ヌプリ 大きい山。 ri nupuri リ ヌプリ 高い山。 okuwas nupuri オクワㇱ ヌプリ 急な(切り立った)山。 Ayoro nupuri アヨロ ヌプリ [地名] アヨロ山。 ☆参考 kim キㇺ [位名]も《山》と訳されるが、 kim キㇺ がそこへ行ったりその中を歩いたり働いたりする場所としての山を表すのに対し、 nupuri ヌプリ は地上にうず高くもり上がった形をしている物体としての山を表す。 ☆参考 日本語で比喩的に「山」と表現するようなたくさんの集まりや積み重なりをアイヌ語では toska トㇱカ《土手》、 ikir イキㇼ《集まり》、 takma《丸いかたまり》などと言うこともある。 {E: a mountain.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
o-…-un
オ…ウン 【接頭+接尾】[その尻・(位置名詞)・にある/に向く] ①[自動] cise チセ 家;ociseunpa オチセウンパ [複]家じゅう皆そろう(この語では普通名詞 cise チセ についている)。 ②(連体的に)kim キㇺ 山;okimunpe オキムンペ 山から来るもの=山津波(洪水)(pe ペ はもの)。 ③(wa ワ を伴って)o-…-un wa オ…ウンマ ☞o-…-unma オ…ウンマ ④[副]…から、 …の方から。 ☆参考 形の上では e-…-un エ…ウン の対だが、 語例は少ない。 使われている例は、 ほとんどが副詞としての用法である。 独立の動詞としての用法は例外的にしかない。 そのため、 本辞典では、 wa ワ を伴った形を一語の副詞として別項を立ててある。 (出典:田村、方言:沙流)
okus
オクㇱ 【他動】(着物)を裏返す、 …を裏返しにする。 hńta e=eyaykimatekka kus to e=mi p ka e=okus wa e=mi, e=us pe ka ehorka e=us siri an? フンタ エエヤイキマテッカ クㇱ ト エミㇷ゚ カ エオクㇱ ワ エミ、 エウㇱ ペ カ エホㇿカ エウㇱ シリ アン? あなた何をあわててほら、 服も裏返しに着てスカートも後ろ前にはいてるのよ。(S) cókus amip チョクㇱ アミㇷ゚/チョクサミㇷ゚ 裏返した着物(昔、 夫や妻に先立たれた人が着たと言う)。(UT) ☆参考 ehorka エホㇿカ 逆に。 {E: to turn (clothing) inside out.} (出典:田村、方言:沙流)
omuken
オムケン 【自動】獲物がとれない。 hankeno omuken=an kusu hanke kucacise or un ekimne=an ハンケノ オムケナン クス ハンケ クチャチセ オㇿ ウン エキㇺネアン 近い所にあまり獲物がとれなくなったので、 近くの山の狩小屋に行った。(HC民話) {E: to have a bad hunt, catch.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
onnisapno
オンニサㇷ゚ノ 【副】[on(< oar)-nísap-no 全く・急な・(副詞形成)][雅] 全く急に、 不意に。 sine an to ta/onnisapno/ekimne rusuy=an シネ アン ト タ/オンニサㇷ゚ノ/エキㇺネ ルスヤン [雅]ある日のこと私はふと(急に)山へ行きたくなった。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
orepunpe
オレプンペ 【名】[o-rep-un-pe その尻に・沖・にある・もの](直訳すると)沖から来る/来たもの=津波。 ☆対語 okimunpe オキムンペ 山津波。 {E: a tsunami; a tidal wave.} (出典:田村、方言:沙流)
osura
オスラ 【他動】[単](複は osurpa オスㇽパ)(一つ) を投げる(どこへ投げるか決まっているとき)、 …をなくす、 …を捨てる(近くへ)、 …を離縁する。 rorunpuyar pok un tun sike osura hum as ロルンプヤㇻ ポクン トゥン シケ オスラ フㇺ アㇱ 東窓の下へ二人が背負い荷をドスンと投げおろす音がした。 ekimne a=e=sé wa a=e=ósura kusu ne na エキㇺネ アエセ ワ アエオスラ クス ネ ナ おまえを山に運んで行って捨てるからな。(W民話) kem a=osúra kor suwat a=siná ケㇺ アオスラ コㇿ スワッ アシナ 針をなくしたときは炉かぎをしばる(「見つかるまで解いてやらないぞと言っておけば早く見つかる。 見つかったらどうもありがとうと言ってほどいてやる」)。(S) ☆参考 どこに投げるか決まっておらず遠くへ投げることは eyapkir エヤㇷ゚キㇼ と言う。 {E: to throw…; to throw away…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
oya 3
オヤ 【間投】[< 日本語] おや。 oya kimoya オヤ キモヤ [< 日本語(おや肝焼ける)(?)] ああ腹立たしい/おもしろくない/なさけない。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pattarka
パッタㇻカ 【他動】(豆、 トウモロコシ等)を煎る/を煎ってはじけさせる。 ( kími pattarka キミ パッタㇻカ トウモロコシを煎る。(S) cipattarka mame チパッタㇻカ マメ 煎り豆。(S) {E: to roast…} (出典:田村、方言:沙流)
paykar
パイカㇻ 【名】春。 síno paykar シノ パイカㇻ 盛春(四月から五月いっぱい)。 paykar opicino パイカㇻ オピチノ [春・を手放すように] 春の終わりに(六、 七月)。 paykar opicino kími k=étoyta akus na k=e eaykap パイカㇻ オピチノ キミ ケトイタ アクㇱ ナ ケ エアイカㇷ゚ 春の終わりにトウモロコシをまいたところまだ食べられない。(S) sir-paykar シㇼパイカㇻ 春になる。 {E: spring.} (出典:田村、方言:沙流)
péte
ペテ 【他動】[pet-e 水気のある・を食べる] 味を付けないで煮て(=ゆでて)食べる。 mame péte マメ ペテ 豆をゆでて食べる。(S) kími péte キミ ペテ とうきび(=トウモロコシ)をゆでて食べる。(S) {E: to eat plain boiled food.} (出典:田村、方言:沙流)
piske
ピㇱケ 【位名】[所](概は pis ピㇱ)…の浜側の所、 その浜側の所。 piske kus pe kimke kus pe ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱ ペ 家の浜手を通る人も山手を通る人も。(NK民話) {E: a beachside place.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pisoiramante/pisoyramante
ピソイラマンテ 【自動】[pis-o-iramante 浜・で・獲物をとる] 海の漁をする。 ☆対語 kimoyramante キモイラマンテ 山の猟をする。 {E: to catch seafish.} (出典:田村、方言:沙流)
piyekar
ピイェカㇻ 【他動】[pi-y-e-kar 小石大の粒・(挿入音)・で・打つ] …に(石を)ぶつける。 kú=iruska kus noyporo ku=piyekar a p un クイルㇱカ クㇱ ノイポロ クピイェカㇻ アㇷ゚ ウン 私は腹が立ったから(あいつの)ひたいに石をぶつけてやったんだよ。(S) ani piyekar アニ ピイェカㇻ …に…を(石をぶつけるように)ぶつける。 okamkir c=épekare kunine os kími ani ci=piyekar オカㇺキㇼ チェペカレ クニネ オㇱ キミ アニ チピイェカㇻ 私たちは彼にわざと当たるように後からトウキビをぶつけてやった。(S) {E: to hit (a rock) against…} (出典:田村、方言:沙流)
racici
ラチチ 【他動】[racit-i (たれ下がる意味の語基)・(他動詞形成)](目的語となる名詞概念形のあとについて自動詞をつくる。) …をダラリと下げている。 toan nonno okkew-racici ruwe an hi! トアン ノンノ オッケウラチチ ルウェ アニ! あの花、 首をダランと下げているねえ(しおれて)。(W) kimun kamuy ka sinki p ne kusu parunpe-racici キムン カムイ カ シンキㇷ゚ ネ クス パルンペラチチ 熊も疲れたものだから舌をだらりと出して(下げて)いる。(HK民話) kema-racici ケマラチチ(高いいすに腰かけて)足をブランと下げている。(S) mon-racici モンラチチ(神謡の中で死んだ動物(神)が梁の上から)手(=前足)をダラリと下げている。(HC神謡) ☆参考 独立の他動詞としては未出。 ☆参考 自動詞は racitke ラチッケ ぶら下がる。 ☆参考 ra ラ は《下の方》。 {E: to hang, lower something loosely.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ranke 3
ランケ 【副助】…ずつ。 sinep ranke シネㇷ゚ ランケ 一つずつ。 tup ranke トゥㇷ゚ ランケ 二つずつ。 mak pak ranke マㇰ パㇰ ランケ どのくらい/いくつぐらいずつ。 sine kímuy mak pak ranke ku=kar kor pirka? シネ キムイ マㇰ パㇰ ランケ クカㇻ コㇿ ピㇼカ? カヤ一束につきいくらぐらいずつ払えばいいですか。(S) menoko sinep okkayo sinep ranke ne wa oka メノコ シネㇷ゚ オッカヨ シネㇷ゚ ランケ ネ ワ オカ 女一人男一人ずつでいる。(S) a=ewpis no sine ceppo ranke a=e ro アエウピㇱ ノ シネ チェッポ ランケ アエ ロ みんなで魚を一匹ずつ食べよう。(S) {E: each; every.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
retar
レタㇻ 【自動】白い。 retar cihokimame レタㇻ チホキマメ[白い・商品の豆](「オオフクマメ」)。 retar nínumame レタㇻ ニヌマメ[白い・手を立ててつくる豆](「オオフクマメ」)。 retar seta ukoykire p レタㇻ セタ ウコイキレㇷ゚ 白い犬をけんかさせるもの(なぞなぞで、 答えは mimaki ミマキ「歯」)。(S会話) ruretar ルレタㇻ 白っぽい。 anretar アンレタㇻ まっ白い。 {E: to be white.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sakanram
サカンラㇺ 【名】[概](所は sakanrami(hi) サカンラミ(ヒ))[sakan-ram (?)・心] 短気、 激しい気性。 kimunkamuy sakanram a=koysitoma キムンカムイ サカンラㇺ アコイシトマ 熊の気性が恐ろしい。(S) sake-sakanram/iku-sakanram サケサカンラㇺ/イクサカンラㇺ 激しい酒ぐせ。 {E: short-tempered; irritability.} (出典:田村、方言:沙流)
sasnatara
サㇱナタラ 【自動】[sas-natara (擬音の語根)・(状態が続いていることを表す接尾辞)]サアーッサアーッと音がする(帯を締めるときの、 着物と帯がすれる音)。 {E: the rustling sound of…(usually when one puts on an obi (sash for a kimono)).} (出典:田村、方言:沙流)
sempir(i) ye
センピㇼ/センピリ イェ 【連他動】[その陰・を言う]その人のいない所でその人のことを言う、 その人のうわさをする。 kim ta a=nukár wa nispa sempir ye rok nispa utar キㇺ タ アヌカㇻ ワ ニㇱパ センピㇼ イェ ロㇰ ニㇱパ ウタㇻ 山で見かけて長者のうわさをしていたその長者方が。(NK民話) ☆参考 かげ口(悪口)を言うことではない。 {E: to speak about someone behind his/her back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sére 1
セレ 【複他動】[他動使役][se-re …を背負う・させる] …に…を背負わせる(荷物を運ばせることを言うときの表現)。 kími eci=ére rusuy kusu hápo en=sere wa k=ek キミ エチエレ ルスイ クス ハポ エイセレ ワ ケㇰ 「トウキビ」(=トウモロコシ)をあなた方に食べさせたくて母が私にそれを背負わせて私が来た=トウモロコシをあげたいからと母に持たされて来ました。(S) {E: to make…carry…on their backs.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sikesanpare
シケサンパレ 【他動】[si-kesanpa-re 自分・を追いかける・させる] …に自分のあとを追いかけさせる。 urametok uwante=an kusu kimunkamuy a=sikésanpare awa ウラメトㇰ ウワンテアン クス キムンカムイ アシケサンパレ アワ (熊と)度胸くらべをするためにおれは熊にあとを追いかけさせていたのに。(HK民話) ☞kes(e) anpa ケㇱ/ケセ アンパ {E: to make…follow after oneself.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sikesar
シケサㇻ 【自動】悪事をする(?)。 piske kus pe kimke kus pe koma utaspa sikesar kor okay pe ne ruwe ne ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱ ペ コマ ウタㇱパ シケサㇻ コㇿ オカイ ペ ネ ルウェ ネ (家の)浜側を通る人も山側を通る人も襲って物を取り、 悪事をしている(?)。(NK民話) ☆発音 sikesara シケサラ かもしれない。 {E: to } ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sir-citurimeta
シッチトゥリメタ 【完動】[名+他動中相][sir-ci-turim-eta あたり・…される・(爆音の擬音)・(他動詞形成)]バリバリバリバリドンドンダンダンと大砲のような大きな音がする。 réra wen híne apu perke hum apu yaske hum sir-citurimeta híne ekimatekpa kus kira wa yap レラ ウェン ヒネ アプ ペㇾケ フㇺ アプ ヤㇱケ フㇺ シッチトゥリメタ ヒネ エキマテㇰパ クㇱ キラ ワ ヤㇷ゚ 風が悪くて流氷が割れる音、 流氷が裂ける音がバリバリバリバリドンドンダンダンと大砲の音のように響いて、 みんなびっくりしたので逃げて帰って来た。(S) ☆発音 sir- で切って発音すれば シㇼ。 {E: for something to make a booming cannon-like sound.} (出典:田村、方言:沙流)
sirkunnetere
シㇼクンネテレ 【自動】[sirkunne-tere 暗くなる・…を待つ] 暗くなるのを待つ、 日暮れを待つ。 kotan kim ta sirkunnetere=an コタン キㇺ タ シㇼクンネテレアン 私は村の山手で日暮れを待った。(NK民話) {E: to await darkness, nightfall.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
so 4
ソ 【名詞語根】[< so ソ 2](語構成の要素として、 平らで広がりのある場所を表す。) atuy アトゥイ 海; atuyso アトゥイソ 海原、 海外の地方。 repuyso レプイソ[repun-so] 沖の方、 海外の地方。 kim un iworso キムン イウォㇿソ 山の奥の地。 (出典:田村、方言:沙流)
tasiro
タシロ 【名】山刀(さんとう、 やまがたな)(短い刀で、 山を歩くとき腰にさげて歩き、 木や笹を切るのにも使い、 またクマなどを殺すのにも使う)。 tasiro ka sak nep ka sak pe ne kusu, níkaypa nínoye wa patek apekor apekur タシロ カ サㇰ ネㇷ゚ カ サㇰ ペ ネ クス、 ニカイパ ニノイェ ワ パテㇰ アペコㇿ アペクㇽ (彼は)山刀も持っておらず何も持っていないので木を折ったり木をねじり切ったりしてばかり火をたき火にあたっていた。(W民話) tasiro etaye wa etamtarara kane タシロ エタイェ ワ エタㇺタララ カネ 彼は山刀を抜いて振りかざし。(W民話) kimunkamuy i=koyki yakka ne tasiro ani yaykamesu=an ranke キムンカムイ イコイキ ヤッカ ネ タシロ アニ ヤイカメスアン ランケ 熊に襲われても私はいつもその山刀で身を守っていた。(HK民話) ☆参考 「…の山刀」を言うのには、 所属形を使う言い方と kor コㇿ《を持つ》を使う言い方と両方ある。 ku=kor tasiro クコッタシロ 私の山刀=ku=tasiroho クタシロホ。 ☆参考 emustasiro エムㇱタシロ 太刀づくりの山刀、 刀のようなつくりの山刀。 {E: a machete.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tumutuy
トゥムトゥイ 【自動】[tumu-tuy 力[所]・切れる] 力が尽きる。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトㇰ ウワンテアン クス 私が先に力が尽きるか熊が先に力尽きるか度胸比べをするために。(HK民話) {E: to run out of energy.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tustekka
トゥㇱテッカ 【他動】[tustek-ka ものに憑かれる・(他動詞化)](人)をボーっとさせわからなくさせる、 …をばかす。 (受け身の形、 つまり主語不定人称形)a=tustekka アトゥㇱテッカ ばかされる、 ボーッとなる。 kim ta sitturaynu ayne a=tustekka, cironnup orowa hene a=tustekka hi ne kuni ku=ramu キㇺ タ シットゥライヌ アイネ アトゥㇱテッカ、 チロンヌㇷ゚ オロワ ヘネ アトゥㇱテッカ ヒ ネ クニ クラム(彼は)山で迷って歩いているうちに何かにばかされた、 キツネにでもばかされたんだろうと(私は)思う。(S) ku=cinita wa yaani a=en=tustekka クチニタ ワ ヤアニ アエントゥㇱテッカ 私はうなされてもう少しで気が遠くなるところだった。(S) {E: to be bewildered; bewitched by…} (出典:田村、方言:沙流)
ukesanpa
ウケサンパ 【自動】[u-kesanpa (< kes-anpa) 互い・を追いかける] ①追いかけっこをする、 一方が他方を追いかける。 ②(名詞として)追いかけっこ。 aynu kimun kamuy kes anpa wa upas upun uwesinoye hi a=ye hi ukesanpa ne ruwe ne awa アイヌ キムン カムイ ケサンパ ワ ウパスプン ウウェシノイェ ヒ アイェ ヒ ウケサンパ ネ ルウェ ネ アワ 人間を熊が追いかけて雪ぼこりが渦巻くことを言うのが追いかけっこなのですが。(HK民話の中での説明) ☞kes(e) anpa ケㇱ/ケセ アンパ {E: ①to run after; chase; pursue (v.). ②a chase; a pursuit (n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
upusi(hi)
ウプシ(ヒ) 【名】[所]…の(ブドウやコクワの)房。 kutci upusihi pirka ruwe! クッチ ウプシヒ ピㇼカ ルウェ! 「コクワ」(=サルナシ)の房いいねえ! (S) kími upusihi kar kor an キミ ウプシヒ カㇻ コラン 彼はトウモロコシを束にしている。(S) {E: a bunch of…(grapes, corns, etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
urametok
ウラメトㇰ 【接頭辞+名詞】[u-rametok 互い・大胆さ](次の表現の中で) urametok uwante ウラメトㇰ ウワンテ 互いに度胸の強さを比べ合う=度胸比べをする。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトㇰ ウワンテアン クス 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 「度胸比べ」(=強さ比べ)するために。(HK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
urokte
ウロㇰテ 【自動】[u-rok-te 互い・座る・させる][雅](神が)いる、 おわす、 まします。 kim un iworso/iworso ka ta/urokte kamuy キムン イウォㇿソ/イウォㇿソ カ タ/ウロㇰテ カムイ [雅]山の奥の地におわす神。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwante
ウワンテ 【自動】[u-w-an-te 互い・(挿入音)・ある・させる](?) 比べ合う(?)。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya, urametok uwante=an kusu kimun kamuy a=sikésanpare awa アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ、 ウラメトㇰ ウワンテアン クス キムン カムイ アシケサンパレ アワ 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 度胸比べをするために熊に後を追いかけさせたのに。(HK民話) {E: to mutually compare.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwohumseusi
ウウォフㇺセウシ 【自動】[u-w-o-hum-se-usi 互い・(挿入音)・の尻・(擬声)・という・…に…をつける](攻めて行く人々が)皆でフムー(=オーッ)というような声をあげる、 ときの声をあげる。 orowano nérok kotan kor utar opitta uwohumseusi kor ekimne payepa オロワノ ネロㇰ コタン コㇿ ウタㇻ オピッタ ウウォフㇺセウシ コㇿ エキㇺネ パイェパ それからその村人たちは皆でオーッとときの声をあげながら山へ行った。(W言い伝え) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yayotuasi
ヤヨトゥアシ 【自動】[yay-o-tuasi 自分・の尻が(?)・安心である(=tuyasi)(?)] 自信がある。 kimunkamuy ne yakka yayotuasi hike i=kesanpa hi ne nankor キムンカムイ ネ ヤッカ ヤヨトゥアシ ヒケ イケサンパ ヒ ネ ナンコㇿ 熊でも自信のあるやつが私を追いかけたのでしょう。(HK民話) {E: to be confident.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)