国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

単語を検索

検索結果(辞書から)

135件見つかりました。
mosir
モシㇼ 【名】[< mo-sir 小さい(?)/静かな・地]国土、 島、 地(広い範囲の大きなまとまった土地を言う。 一つの国を指すこともあり、 広く世界全体を指すこともある。 神の国、 人間の国等の「国」をも指し、 また、 せまく言うときは、 一つの島、 一つの地方を指すこともある。 kotan コタン が人の集まって住んでいる所、 つまり村や集落、 あるいは村々の集まり(地域)等を表すのに対し、 mosir モシㇼ は、 人が住んでいても住んでいなくても言う)。 a=kor mosir アコㇿ モシㇼ 私たちの国土(北海道を指すこともあり、 日本を指すこともある)。 aynu mosir アイヌ モシㇼ (神の国に対して)人間の国、 (sísam mosir シサㇺ モシㇼ に対して)アイヌの国(多くの場合北海道を指す)。 kamuy mosir カムイ モシㇼ 神の国、 天国。 kanna mosir カンナ モシㇼ 天の国(=神の国)。 repun mosir レプン モシㇼ 沖の島=海外(本州等も外国も含む)。 samor mosir サモㇿ モシㇼ 本州。 sísam mosir シサㇺ モシㇼ 和人の国(多くの場合、 本州以南を指す。 また北海道の中で交易相手の和人の住んでいた地方を指すこともある)。 mosir hoppa モシㇼ ホッパ (=mosiroppa モシロッパ)世を去る、 (身分のある人や敬われている人などが)亡くなる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosir
モシㇼ 【mosir】 静かな大地,国,国土,島.▷モ=静か シㇼ=大地 アイヌモシㇼ=人間の静かな大地. *アイヌ民族は自分たちが暮らしていたこの地(今の呼び名は北海道)をアイヌモシㇼと呼んでいた. (出典:萱野、方言:沙流)
atteynemosir
アッテイネモシㇼ 【ar-teyne-mosir】 奈落.▷アㇻ=全く テイネ=濡れた モシㇼ=大地 イノンチㇼ ウェンカムイ アナㇰネ イレスカムイ オロワノ アッテイネモシㇼ ア・コキル ㇷ゚ ネ ルウェ ネ ワ=人を呪うような悪い神は,火の神様から奈落へ向けて行かされるものだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
Awunmosir
アウンモシㇼ 【名】[aw-un-mosir 隣り・の・国][地名] 青森。 {E: a place name: Aomori.} (出典:田村、方言:沙流)
aynu mosir
アイヌ モシㇼ 【名】[人間/アイヌ・国] ①(神の国に対して) 人間の国。 ②(sísam mosir シサㇺ モシㇼ に対して) アイヌの国(多くの場合北海道を指す)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynumosir 1
アイヌモシㇼ 【aynu mo-sir】 ①人間の国.▷アイヌ=人間 モ=静かな シㇼ=土地 オキクㇽミ カムイ アナㇰネ カムイモシㇼ ワ アイヌモシルン(アイヌモシㇼ ウン) エㇰ カムイ ネ ワ=オキクㇽミカムイは神の国から人間の国へ来た神様だよ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynumosir 2
アイヌモシㇼ 【aynu mo-sir】 ②アイヌ民族の国土. タネ ホッカイドウ セコㇿ ア・イェ ポロ モシㇼ アナㇰネ テエータ ワノ アイヌモシㇼ ネ ルウェ ネ=現在北海道と言われている大きな島は,ずっと昔からアイヌの国土なのだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
cikapsakmosir,-i
チカップサㇰモシㇼ §419 (その他の鳥名)  (6) cikap-sak-mosir, –i (ci-káp-sak-mo-sir)「チかップサㇰモシㇼ」人間の住む国土の果てにあるという荒涼たる土地[<鳥・なき・国] (出典:知里動物編、方言:)
emosirup
エモシルㇷ゚ 【emo-siru-p】 ジャガイモおろしがね,いもおろし.*ブリキに釘で穴をあけてざらざらにして使う. エモ アナㇰネ トオㇷ゚ フㇱコトイワノ アイヌ ウタㇻ エトイタ パ ワ エモシルㇷ゚ アニ シル ワ エ ヘメㇺ キ ルプㇱカ ワ ペネエモ ネ カ カㇻ パ ワ エ パ ㇷ゚ ネ=ジャガイモはずうっと昔からアイヌたちは蒔いていたもので,ジャガイモおろしがねでおろして食べたり,凍らせてつぶれいもにして食べたりしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kamuy mosir
カムイ モシㇼ 【名】[神・国] 神の国、 天国。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kamuymosir
カムイモシㇼ 【kamuy-mosir】 神の国. (出典:萱野、方言:沙流)
kannamosir
カンナモシㇼ 【名】[kanna-mosir 上の・国] 天国、 神が住むとされる上天の国。 {E: heaven.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kannamosir
カンナモシㇼ 【kanna-mosir】 地上世界.▷カンナ=上 モシㇼ=国土  *これに対しポㇰナモシㇼ=裏の国土という人間が死んでから行く世界があると考えられている. (出典:萱野、方言:沙流)
kantorimosir
カントリモシㇼ 【名】[kanto-ri-mosir 天・高い・国] 空のさらに上の世界(天)。 {E: heaven.} (出典:田村、方言:沙流)
kotansitcire mosirsitcire oypepi poro
コタンシッチレ モシㇼシッチレ オイペピ ポロ 【kotan-sir-cire mosir-sir-cire oypepi poro】 村を焼き国土を焼き使うお椀の大きい人:ポンヤウンペの別名.敵側からの悪口[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
mosir esatsatkei
モシㇼ エサッサッケイ 【mosir e-sat-satke-i】 国土砂漠,砂漠の国. ▷モシㇼ=大地,島,国土 エ=それ サッサッケ=乾き イ=所 *悪い神が追放される砂漠の国[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
mosir-kar-kamuy
モシㇼカㇻカムイ 【名】[mosir-kar-kamuy 国/地・をつくる・神] 国づくりの神。 {E: the god who makes the land.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Mosir-sitcire
モシㇼシッチレ 【名】[< mosir sir-ci-re 国/土地/国土・地・焼ける・させる](原義は)国土を焼く(ユーカラ「村焼き国焼き」の主人公の呼び名の一部)。 ☞Kotan-sitcire コタンシッチレ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosircupka
モシㇼチュㇷ゚カ 【mosir-cup-ka】 東の方. (出典:萱野、方言:沙流)
mosircuppok
モシㇼチュッポㇰ 【mosir-cup-pok】 西の方. (出典:萱野、方言:沙流)
mosirhoppa
モシㇼホッパ 【mosir-hoppa】 死ぬ.▷モシㇼ=国土 ホッパ=残す ク・イェ カ ルㇱカ オルㇱペ ネ コㇿカ テエータ 知里真志保 ニㇱパ モシㇼホッパ ワ カスッタサ(ク・アスッタサ) ヒ タ ニㇱパポ ナヌフ ク・ヌカㇻ ヒ タ タパイェクニ ウォロコンプ コラチ アナ(アン ア) ヒ ケシカルン(ク・エシカルン)=言うのも腹の立つ話ではあるけれども,ずうっと前に知里真志保先生が亡くなって弔問に出かけた時に先生のお顔を見た時に,言うところの水にうるかした昆布と同じであったことを思い出す. (出典:萱野、方言:沙流)
mosirkar
モシㇼカㇻ 【名】[mosir-kar 国/地・をつくる] 国土をつくる(=mosir kar モシㇼ カㇻ)。 {E: a country; a territory.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirkes
モシㇼケㇱ 【位名】[mosir-kes 国土・の末端]国の下(しも)の端=西の方。 mosirkes unma/mosirpa unma/モシㇼケスンマ/モシㇼパ ウンマ [雅]国の下(しも)の端へ国の上(かみ)の端へ(=西へ東へ)。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirkor
モシㇼコㇿ 【自動】[mosir-kor 地・を持つ] 土地/島を持つ。 {E: to have, own land, an island.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirkorkamuy
モシㇼコㇿカムイ §334 シマフクロウ (8) mosir-kor-kamuy (mo-sír-kor-ka-muy)「モしㇼコㇿカムイ」[<mosir(国土)kor(を所有する)kamuy(神)] ⦅幌別⦆【雅】 (出典:知里動物編、方言:)
mosiro
モシロ 【名】[< 日本語]むしろ(筵)。 {E: a straw mat.} (出典:田村、方言:沙流)
mosiroppa
モシロッパ 【他動】[mosir-hoppa 世・から去る](大事な惜しい人が)亡くなる、 世を去る。 mosiroppa yak a=ye モシロッパ ヤカイェ お亡くなりになったそうだ。(S) {E: to die; pass away.} (出典:田村、方言:沙流)
mosiroppa
モシロッパ 【<mosir-hoppa】 死ぬ,世を去る. (出典:萱野、方言:沙流)
mosiroppa
モシロッパ §389.しぬ(死ぬ)(6)死ぬ mosiroppa〔mo-ší-rop-pa モしロッパ〕[mosir(国土を)+hoppa(後え残す)]⦅チカブミ、ミツイシ、タカエ、ハルダチ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
mosirpa
モシㇼパ 【位名】[mosir-pa 国土・の上(かみ)の方]国の上(かみ)=東の方。 mosirpa unma/mosirkes unma モシㇼパ ウンマ/モシㇼケスンマ [雅]東へ西へ。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Mosirpasari
モシㇼパサリ 【名】[mosir-pa-sari 国・の上(かみ)(=東)・の葦原][地名]北見の斜里地方。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Mosirpasarihi
モシㇼパサリヒ 【名】[mosir-pa-sarihi 国・の上(かみ)(=東)・の葦原][地名](=Mosirpasari モシㇼパサリ) 北見の斜里地方。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirsinnaisam
モシㇼシンナイサㇺ 【mosir-sinna-isam】 国土の他にいる化け物. テエータ モペッ タ モシㇼシンナイサㇺ セコㇿ ア・イェ ウェンカムイ オハインカㇻ クㇽ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ポロ ペコ ネノ アン レタㇻ ウㇱケ クンネ ウㇱケ アン ペ ネ シコㇿ ク・イヌ アㇺキㇼ=ずうっと昔,山門別村に,国土の他にいる化け物という恐ろしい物の幻を見た者がいたという,大きい牛のような姿をしていて白と黒のまだらのものだと聞いたことがある.*人によっては,頭も足もない馬のようとか,白黒まだらの牛のようなものという.これを見たら長生きしないか不運になるという. (出典:萱野、方言:沙流)
mosirso
モシㇼソ 【名】[mosir-so 国土・広がりを持つ所] kanto or wa/mosirso ka ta/rán=an ruwe カント オㇿ ワ/モシㇼソ カ タ/ラナン ルウェ [雅]天から地上に降りて来ましたが。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirumake
モシルマケ 【自動(?)】[mosir-umake 国土・(?)](次の文脈で)mosirumake/semkoraci モシルマケ/セㇺコラチ [雅]国も割れてしまいそうなすごい音を響かせて。(Sユーカラ) toni unma/tani unma/apkas hum ko/mosirumake/semkoraci/apkas ranke トニ ウン マ/タニ ウン マ/アㇷ゚カㇱ フㇺ コ/モシルマケ/セㇺコラチ/アㇷ゚カㇱ ランケ [雅]あちらのほうへこちらのほうへ歩く音が国も割れてしまいそうにものすごい歩き方で歩きまわります。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosirun
モシルン 【mosir-un】 国土へ.▷モシㇼ=国土 ウン=へ (出典:萱野、方言:沙流)
mosiruncikah
モシルンチカㇵ §368 ウミガラス:オロロンチョウ:ロッペンチョウ (1) mosir-un-cikah (mo-sí-run-ci-kah)「モしルンチカㇵ」[‘島・にいる・鳥’] ⦅多蘭泊⦆ (出典:知里動物編、方言:)
nitaysakmosir cikapsakmosir
ニタイサㇰモシㇼ チカㇷ゚サㇰモシㇼ 【nitay-sak-mosir cikap-sak-mosir】 森も林もなく鳥もいない国土.*アイヌが暮らしている国土とは違う所の国土だとアイヌは考えていて,悪い化け物を追放する所.砂漠のような所を想像した. (出典:萱野、方言:沙流)
oyamosir
オヤモシㇼ 【oya-mosir】 外国. (出典:萱野、方言:沙流)
oyamosirunkur
オヤモシルンクㇽ 【oya-mosir-un-kur】 外国人. (出典:萱野、方言:沙流)
pokna-mosir
ポㇰナモシㇼ 【名】[pokna-mosir 下の・国] 地下の国、 死者の国。 ☆参考 場合によって、 人を襲うような悪いことをした熊が罰として行かされるじめじめした恐ろしいところ、 地獄のようなイメージもある。 ☆対語 kanna-mosir カンナモシㇼ 天界、 天国(神の住む所)。 (出典:田村、方言:沙流)
poknamosir
ポㇰナモシㇼ 【pokna-mosir】 奈落:裏側の国土,地獄,冥土.アイヌが死んだら行く所と考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
ponmosir
ポンモシㇼ 【名】[pon-mosir 小さい・国土/地/島] 島、 小島。 {E: an island; a small island.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ponmosir
ポンモシㇼ 【pon-mosir】 島. (出典:萱野、方言:沙流)
poromosir
ポロモシㇼ 【poro-mosir】 千島列島の呼び方. (出典:萱野、方言:沙流)
repunmosir
レプンモシㇼ 【repun-mosir】 沖の方の島.外国.▷レㇷ゚=沖 ウン=ある モモシㇼ=島 (出典:萱野、方言:沙流)
repunmosir/repun-mosir
レプンモシㇼ 【名】[repun-mosir 沖の・島](=repun mosir, rep un mosir レプン モシㇼ、 レㇷ゚ ウン モシㇼ) ずうっと離れた島(たとえば千島のような)。 a=kor repunmosir アコㇿ レプンモシㇼ 私たちの沖の島=本州以南の日本の島(「内地」、 主に本州を指す。) (S) {E: a faraway island.} (出典:田村、方言:沙流)
Samormosir
サモㇿモシㇼ 【名】[sam-or-mosir そば・の所・国/島][地名]本州(「内地」)。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
samormosir
サモㇿモシㇼ 【sam-or-mosir】 日本国(側の国):アイヌ側からの言い方. (出典:萱野、方言:沙流)
sinrit'oriwakmosir
シンリッオリワㇰモシㇼ 【sinrit-o-riwak-mosir】 先祖が暮らしている国土,死人の霊魂が行く所,冥土. (出典:萱野、方言:沙流)
sísam mosir/Sísam mosir
シサㇺ モシㇼ 【名】[和人・国] 和人の国(多くの場合、 本州以南を指す。 北海道の中で交易相手の和人の住んでいた地方を指すこともある)。 ☞sísam シサㇺ {E: Honshu; the land, country of the “Wajin”(Japanese).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sisammosir
シサンモシㇼ 【sisam-mosir】 日本国:津軽海峡から西の方. (出典:萱野、方言:沙流)
taanmosir a=eokerekor hemantaa=e
タアンモシㇼ アエオケレコㇿ ヘマンタアエー 【taan-mosir a=e-okere-kor hemanta-a=e】 この国土を食べ終わったら何を食べたらいいだろうか. *トゥニンヤイェイソイタㇰ(ミミズの独り言)を表わし,少年時代にアイヌの笑い話として,父が聞かせてくれたもの.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
teynemosir
テイネモシㇼ 【teyne-mosir】 濡れた国土. イノンチㇼ ウェンカムイ アナㇰネ アッテイネモシㇼ ア・コキル ㇷ゚ ネ=人を呪う悪い神は濡れた国土へ向けてやるものだ.*アイヌが想像しているもので,この国土の裏側にあって悪いことをした神でも人間でも行かされる所.ポㇰナモシㇼ=裏側の国土ともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
ukomosirewnara
ウコモシレウナラ 【自動】[u-ko-mosir-ewnara 互い・に対して・島/土地・を与え惜しむ] 互いに自分の土地を与えるのをいやがる。 {E: to be mutually upset at giving one's land to someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Yaunmosir
ヤウンモシㇼ 【名】[ya-un-mosir 陸・の・国]北海道。 {E: refers to Hokkaido.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
a= 10
ア 【人接】[不定人称主格他動詞型] ①[一般称]一般に人は/人が、 (特定の人ではなく)だれかが/だれでもが。 sekor a=ye セコㇿ アイェ …と(一般に人が)言う=言われる。 húresisam mosir sekor a=ye p ne wa フレシサㇺ モシㇼ セコㇿ アイェㇷ゚ ネ ワ (外国のことは)赤毛の異民族の国と(一般に人は)言うのだわ。(W) ②[受身]…される。 a=en=kopisi アエンコピシ (不定の)人が私にたずねる=私がたずねられる。 a=en=kopisi p anakne opitta ku=ye wa アエンコピシㇷ゚ アナㇰネ オピッタ クイェ ワ 私がたずねられることはすべて私は言って(=答えて)。(S会話) kamuy opitta oro wa a=i=koypak カムイ オピッタ オロ ワ アイコイパㇰ 私たちはすべての神々からとがめられる(罰を受ける)。(W民話) kotan a=arústekka コタン アアルㇱテッカ 村が全滅させられた。(NK民話) ③[包括的一人称複数]相手を含む私たちが/の。 tanto a=ewkoytak pe anak a=ewéraman hawe ne タント アエウコイタㇰ ペ アナㇰ アエウェラマン ハウェ ネ きょう私たち(あなたと私)が話し合ったことはお互いに(あなたと私が)わかり合った。(W会話) a=sikíhi un アシキヒ ウン 私たち(あなたも私もみんな)の目よ。(W会話) ④[引用文中の自称] 自分(たち)が/の、 私(たち)が/の。 “…a=e=ráyke kusu ne” sekor hawean 「…アエライケ クス ネ」セコㇿ ハウェアン 「…私はあなたを殺す」と彼は言った。(HK民話) ⑤[敬意の二人称] あなた様が/の。 mak yaynu=an kuni a=ramú kusu マㇰ ヤイヌアン クニ アラム クス 私がどんな気持ちになるとあなたはお思いになって…。(NK民話) ☆参考 他動詞・デアル動詞 ne ネ《である》・名詞などに接頭する。 自動詞にはこれがつかず、 =an アン が接尾する。 ☞=an アン ☆参考 ユーカラ(英雄叙事詩)を歌うときには、 母音で始まる動詞語幹の前で、 しばしば a= ア の代わりに an= アン の形が使われる。 北海道南部以外では、 日常語でも an= アン がたくさん使われる。 ☞an= アン {E: ①… ②passive. ③first person plural inclusive. ④… ⑤second person honorific.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
anak
アナㇰ 【副助】[< an-yak ある・…すれば](=anakne アナㇰネ) …は、 …はね、 …というものは、 …のほうは、 …としては。 kusuri anak kusuri ne クスリ アナㇰ クスリ ネ 日本語の薬はアイヌ語でクスリだ。(W) mosir anak a=kar yakka epunkine kur isam yakun wen モシㇼ アナㇰ アカㇻ ヤッカ エプンキネ クㇽ イサㇺ ヤクン ウェン 国土はつくったけれど守る(治める)人がいなければだめだ。(S言い伝え) ☆参考 話題(トピック)を示す。 Aは…だがBは…だというような対比にも用いられる。 「…は」と訳せるが、 日本語で「…は」というような文脈でいつもこの助詞が使われるわけではない。 むしろアイヌ語では、 話題となる語に助詞がつかない場合が多い。 この助詞を伴うのは、 ここまでが話題(トピック)で、 いまからこの話題についての話が展開する、 ということを知らせる場合である。 なお、 これをよりゆっくりと、 かつはっきりと表示するのには anakne アナㇰネ が用いられる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynu
アイヌ 【名】①人間(神や動物などに対して)。 aynu kotan アイヌ コタン 人間の集落、 アイヌの村。 aynu mosir アイヌ モシㇼ 人間界(神の国に対する)。 ②男(menoko メノコ《女》に対して)。 ③アイヌ(民族名、 sísam シサㇺ《和人》など に対して)。 aynu itak アイヌ イタㇰ アイヌ語。 aynu mosir アイヌ モシㇼ アイヌの国/地 (多く、 北海道を指す)。 aynu cip アイヌ チㇷ゚( 直訳すると)アイヌの舟=丸木舟。 ④(kor コㇿ《…の》のあとに置かれて)おとうさん、 おとうちゃん。 e=kor aynu uymam wa/uymam-repunka エコㇿ アイヌ ウイマㇺ ワ/ウイマㇺレプンカ あなたのとうさんは交易に行って/交易をしに海を越えて行った。(S子守歌) a=kor totto/henoo uwan/pepa=kor aynu/wakka i=kure アコッ トット/ヘノオ ウワオ/ペパコㇿ アイヌ ワッカ イクレ おかあちゃん、 おとうちゃん、 水をください。(W神謡K) ☆参考 用例の子守歌の歌い手のサダモさんは、 父親のことを言うのに、 ふだんは iyapo イヤポ を使い、 「あなたのおとうさん」は e=kor iyapo エコㇿ イヤポ と言う。 神謡の歌い手ワテケさんは、 ふだんは míci ミチ を使い、 「私のおとうさん」は ku=mici クミチ と言う。 {E: ①a human-being. ②a man. ③an Ainu. ④a father.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ciorankekar
チオランケカㇻ 【他動】[中相][ci-o-ranke-kar される・(そこ)に・下ろす・させる][雅]…に降りる、 …に落ちる。 ranke mosirmosirso kurka/ciorankekar ランケ モシㇼ/モシㇼソ クㇽカ/チオランケカㇻ [雅](彼は)下界の国の国土の上に下りてきます。(Sユーカラ) ranke núpe/numus apto ne/i=kurkasike/ciorankekar ランケ ヌペ/ヌムサㇷ゚ト ネ/イクㇽカシケ/チオランケカㇻ [雅](姉)の落とす涙が大粒の雨のように私の上に落ちてきた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
cituye
チトゥイェ 【他動】[中相][ci-tuye された・切る] 切れている、 切れた…。 cituye mosir チトゥイェ モシㇼ 離れ島。 cituye nuyto チトゥイェ ヌイト 端を切った糸。 cituye amset チトゥイェ アㇺセッ[雅](直訳すると)切られた高床(たかどこ)=別づくりの高床(ユーカラ(英雄叙事詩)の主人公の少年は床(ゆか)の上に一段高くつくられた台、 つまり高床の上で育てられる。 それを表現する決まり文句の一つ)。(Sユーカラ) ☞amset アㇺセッ {E: to be cut.} (出典:田村、方言:沙流)
earokere
エアロケレ 【副】[e-ar-okere …で全く・終える][雅]…を全部くまなく。 ney ta iwor/ney ta mosir/earokere/e=apkas yakka ネイ タ イウォㇿ/ネイ タ モシㇼ/エアロケレ/エアㇷ゚カㇱ ヤッカ [雅]どこの土地どこの島も全部くまなくあなたが歩いても。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eniste
エニㇱテ 【他動】[e-niste …で・強い]…を頼りに/あてにして安心している。 sirkunne yakka taan kur a=turá yakun a=eníste シㇼクンネ ヤッカ タアン クㇽ アトゥラ ヤクン アエニㇱテ 暗くてもこの人と一緒に行けば安心だ。(S) a=eníste hum ko yupnatara アエニシテ フㇺ コ ユㇷ゚ナタラ [雅](私たちは)それをあてにして安心している。 rep ta a=kor mosir anakne haru an yak a=ye kusu a=eníste hum ko yupnatara レㇷ゚ タ アコㇿ モシㇼ アナㇰネ ハル アン ヤカイェ クス アエニㇱテ フㇺコ ユㇷ゚ナタラ 内地(本州)は豊作だそうだから私たちはあてにして安心している。(S) ☆参考 「…に強い」という意味の用例はない。 〔久辞典 191 その為にかたい、 それに持ち耐へる、 (それ)に強い、 に耐へる、 堪へる Sake a-e-nishte〕 {E: to rely on…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
epaha
エパハ 【名】[所](概 epa エパ はない。 pa パ は《年》) [e-paha その・年[所]]その年、 そのことに当たっている年。 ne epaha ネ エパハ (そのことがあった/ある)その年。(W会話) kanna mosir ka a=oríkin epaha ne kusu カンナ モシㇼ カ アオリキン エパハ ネ クス 天の神の国に昇る年だから。(HC民話) {E: that year; that time.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eporose
エポロセ 【複他動】[e-porose …で・…を言い表す] …によって…を言い表す。 a=motóutari tan mosir ta yappa kusu keraypo oka=an hi a=i=éporose kus, Aynu Mosir, Hokkaito Mosir sekor tane anak a=ye hawe ne アモトウタリ タン モシッタ ヤッパ クス ケライポ オカアニ アイエポロセ クㇱ、 アイヌ モシㇼ、 ホッカイト モシㇼ セコㇿ タネ アナㇰ アイェ ハウェ ネ 私たちの先祖がこの島に上陸したおかげで私たちアイヌがこの島に住んでいるということによって名づけられたから、 アイヌの島、 北海道の島と今は言われるのです。(S言い伝え) {E: to give verbal expression to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
epunkine
エプンキネ 【他動】[e-punki-ne …で・守護者・である] …を守る、 (国)を治める、 …の番をする、 …を看護する。 mosir/kotan epunkine kamuy モシㇼ/コタン エプンキネ カムイ 国/村を守る神。 yaynuwen wa epunkine wa an ヤイヌウェン ワ エプンキネ ワ アン 具合いが悪いので看護している。(S) {E: to protect, guard, govern…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ewkoramkor
エウコラㇺコㇿ 【他動】[e-u-ko-ram-kor …について・互い・に・心を・持つ] …について相談する。 hetopo suy a=kor mosir ne a=kar kunihi kamuy tono tutanu sapane utar opitta ewkoramkor kor síran ヘトポ スイ アコㇿ モシㇼ ネ アカㇻ クニヒ カムイ トノ トゥタヌ サパネ ウタㇻ オピッタ エウコラㇺコㇿ コㇿ シラン (北方領土を)また再び私たちの国土に取りもどすことを、 天皇の次の高い位の方々が皆で相談している。(S) {E: to consult with someone about…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ewnukare
エウヌカレ 【他動】[e-unukare (そこ)で・(それ)を皆が見る] (そこ)でそれを皆が見る/皆にそれが見える。 mosirso kurka/a=ewnukare モシㇼソ クㇽカ/アエウヌカレ 世界中にいる人皆が(それを)見る/皆に(それが)見える。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
ewpiraspa
エウピラㇱパ 【自動】[複](単の例は未出)[e-u-piraspa …に・互い・を広げる[複]] 皆で…に広がる。 na uwoya uwoya mosir ewpiraspa wa ナ ウウォヤ ウウォヤ モシㇼ エウピラㇱパ ワ (アイヌの子孫は)まだほかにもあっちこっちの国に広がって行って。(S言い伝え) {E: to spread (out), widen to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyayporospa
エヤイポロㇱパ 【他動】[複](単は eyayporospa エヤイポロㇱパ が予想されるが未出)[e-yay-porospa …で・自分・[複]] …自分によって言い表す/名づける、 …に自分の名前をつける。 na uwoya uwoya mosir eyayporospa, oro ta paye hike eyayporospa wa ナ ウウォヤ ウウォヤ モシㇼ エヤイポロㇱパ、 オロ タ パイェ ヒケ エヤイポロㇱパ ワ まだまだあっちこっちの国に彼らは自分の名前をつけた、 行った人が行った先に自分の名前をつけて。(S言い伝え) ☆参考 yayeporospa ヤイェポロㇱパ とも言う {E: to express…in one's own words; to name…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyayramkes-mewpa
エヤイラㇺケㇱメウパ 【他動】[複](単は未出)[e-yay-ram-kes-mewpa …について・自分・心・の末端・をはがす[複]] …のことを皆で一致して一心に思う。 néun póka ne ciki somo, a=kor mosir, a=kor Samor mosir ne ciki Aynu mosir ne ciki, kiki a=kar easkay ya, sekor an pe patek a=eyáyramkesmewpa ネウン ポカ ネ チキ ソモ、 アコㇿ モシㇼ、 アコㇿ サモㇿ モシン ネ チキ アイヌ モシン ネ チキ、 キキ アカㇻ エアㇱカイ ヤ、 セコラン ペ パテㇰ アエヤイラㇺケㇱメウパ なんとかして、 わが国、 和人の国(本州以南)もアイヌの国(北海道)も、 敵から守ることができないかということばかり皆で一心に思って。(S会話) ☆参考 同種の状況文脈で koyayramkes-mewe コヤイラㇺケㇱメウェ も出ている。 単数と複数の違いはあるが、 e-… と ko-… との違いは未詳。 また e- エ も ko- コ もつかない yayramkesmewe ヤイラㇺケㇱメウェ は未出。 {E: for everyone to be in mutual agreement over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
haruan
ハルアン 【完動】[haru-an 食物の収穫・がある] 豊作である。 rep ta a=kor mosir anakne haruan yak a=ye レㇷ゚ タ アコㇿ モシㇼ アナㇰネ ハルアン ヤカイェ 内地(本州およびそれ以南)は豊作だそうだ。 {E: to have a plentiful, good harvest.} (出典:田村、方言:沙流)
hoppa
ホッパ 【他動】[< hop-pa (置いて去ることを表す語根)・(複)]…を置いて行く、 …を残して去る。 néa ekayni a=ehúsi wa a=hoppa a a=mipa p ネア エカイニ アエフシ ワ アホッパ ア アミパㇷ゚ その切り株にかぶせて置いて行った私の着物。(HC民話) a=unúhu a=onáha kira híne yap híne oraun sinenne a=i=hóppa tono or ta ki p ne kusu アウヌフ アオナハ キラ ヒネ ヤㇷ゚ ヒネ オラウン シネンネ アイホッパ トノ オッタ キㇷ゚ ネ クス 私の母と父は逃げて国へ帰ってしまってそれから私は一人和人の殿様の家に残されたので。(S民話) oar tennep hoppa wa isam オアッ テンネㇷ゚ ホッパ ワ イサㇺ ほんの赤ん坊を残して亡くなった。(W民話) mosir hoppa モシㇼ ホッパ 世を去る=(身分の高い人や重要な人が)死ぬ(=mosiroppa モシロッパ)。 a=kor nispa mosir hoppa hi oro wano アコㇿ ニㇱパ モシㇼ ホッパ ヒ オロ ワノ 私の主人が世を去ったときから。(W民話) ☆参考 複数形の形だが、 沙流方言では単複区別なく用いられる。 単数形の形をもつ hopi ホピ は、 派生語の中に現れる。 {E: to leave…behind, over.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
humkuspare
フㇺクㇱパレ 【他動】[hum-kus-pa-re 音・…を通る・(複)・させる][雅] kasi humkuspare カシ フㇺクㇱパレ [雅] …に音を鳴り響かせる。 tu repun mosirmosirso kasi/humkuspare トゥ レプン モシㇼ/モシㇼソ カシ/フㇺクㇱパレ [雅] いくつもの沖の島(外国)の地面の上に音を鳴り響かせます。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
innerupi
インネルピ 【名】[所][inne-rup-i 大人数である・(魚の)群/(人の)列・(所属語尾)][雅]…の大勢の子孫。 etakasure/eci=sipíraspa wa/eci=ínnerupi/mosir epitta/sipiraspa nankor na エタカスレ/エチシピラㇱパ ワ/エチインネルピ/モシレピッタ/シピラㇱパ ナンコンナ [雅]それ以上にあなた方がふえてあなた方の大勢の子孫が国じゅうに広がるようになさいませ。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
iworke
イウォㇿケ 【位名】…のへこんでいる中、 両側または周囲を仕切られた中。 ure-iworke tesma osma pakno urehe poro ウレイウォㇿケ テㇱマ オㇱマ パㇰノ ウレヘ ポロ 雪のへこんだ足跡の中にかんじきが入ってしまうほど足が大きい。(S) ruyka corpok ta mosiro atte wa iworke ta oka ルイカ チョㇿポㇰ タ モシロ アッテ ワ イウォㇿケ タ オカ 彼らは橋の下にむしろをかけてその中に住んでいる。(S) {E: the hollow of…; the inside of …} (出典:田村、方言:沙流)
kamuy 1
カムイ 【名】①神。 …epunkine kamuy …エプンキネ カムイ (そこ)を守る神。 haru kamuy ハル カムイ 自然の恵みの食糧の神。 kanna kamuy カンナ カムイ 上天の神。 kimun kamuy キムン カムイ [山の・神] 熊(=kimunkamuy キムンカムイ)。 kemram kamuy ケㇺラㇺ カムイ 飢饉の神。 kotankor kamuy コタンコㇿ カムイ (1)村の守り神=フクロウ神。 (2)神の村での村おさの神。 mosirkar kamuy モシㇼカㇻ カムイ 国づくりの神。 páse kamuy パセ カムイ 尊い神(位の高い神)。 oripak kamuy オリパㇰ カムイ 天然痘の神。 payoka kamuy パヨカ カムイ 流行病の神。 repun kamuy レプン カムイ [沖の・神]シャチ ☞repunkamuy レプンカムイ。 nispa kamuy ニㇱパ カムイ 神のように尊い方(男性を尊んで言う表現)。 kamuy onisposo カムイ オニㇱポソ 神が空(雲)を突き抜けて落ちてくる=雷が落ちる。 kamuy cikap(-po) カムイ チカㇷ゚/チカッポ ☞kamuycikap カムイチカㇷ゚、 kamuycikappo カムイチカッポ。 kamuy cep カムイ チェㇷ゚ ☞kamuycep カムイチェㇷ゚。 kamuy hum カムイ フㇺ ☞kamuyhum カムイフㇺ。 kamuy nis カムイ ニㇱ ☞kamuynis カムイニㇱ ②神のように立派な、 非常に立派な…。 {E: ①a god. ②.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kanna 2
カンナ 【連体】[kan-na 上の・方] (接頭辞のように名詞に接頭して)上方の。 kanna nis カンナ ニㇱ ☞kannanis カンナニㇱ。 kanna mosir カンナ モシㇼ ☞kannamosir カンナモシㇼ ☆対語 pokna ポㇰナ。 {E: upper; higher.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kanto
カント 【名】[kan-to 上の・湖沼] 天、 空(多くの場合、 空の上にある神の住む世界を言う)。 ☆参考 見えている空は nisor ニソㇿ、 niskotor ニㇱコトㇿ、 kantokotor カントコトㇿ。 その中のいちばん下の層が úrarkanto ウラㇻカント で雲(niskur ニㇱクㇽ)のある空、 中間が nociwokanto ノチウォカント で星(nociw ノチウ)のある空、 いちばん上が síniskanto シニㇱカント で、 何もない天空。 さらにその上に kantorimosir カントリモシㇼ 天上界、 上天があり、 これが神の住む天、 天国である。(S) {E: heaven; the heavens.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kik(i) kar
キㇰ/キキ カㇻ 【連他動】[防御・をする]…を防ぎ守る。 kotan kik kar コタン キㇰ カㇻ 村/国を防ぎ守る。 a=kor mosir kiki a=kar easkay アコㇿ モシㇼ キキ アカㇻ エアㇱカイ 私たちの国を防ぎ守ることができる。 “a=kor mosir epitta oka aynu hene sísam hene tumi or un a=nisúk yak easir mosir kik kar kotan kik kar a=eáskay oasi na” sekor 「アコㇿ モシレピッタ オカ アイヌ ヘネ シサㇺ ヘネ トゥミ オルン アニスㇰ ヤㇰ エアシㇼ モシㇼ キㇰ カㇻ コタン キㇰ カㇻ アエアㇱカイ オアシ ナ」 セコㇿ 「わが国じゅうのアイヌも和人も皆戦争に頼まれて行かなければ私たちは国土を守り国を守ることはできないよ」と…。(W会話) {E: to defend, protect…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kiru
キル 【他動】①(向きを持っているもの)を(どちらかの方向へ)向ける、 …の向きを変える。 téun kiru テウン キル (それを)こちらへ向ける。(S) ②…をひっくり返す(「かやす」)。 mosir a=kirú モシㇼ アキル 国がひっくり返される(=滅ぼされる、 つぶれる)。 {E: ①to turn, change direction to… ②to upset, overturn…} (出典:田村、方言:沙流)
kokiyanne
コキヤンネ 【他動】[ko-kiyanne …に対して・年長である] …するのに最上位にある。 a=kor mosir epunkine kokiyanne páse maciya アコㇿ モシㇼ エプンキネ コキヤンネ パセ マチヤ わが国を守っているいちばん上の尊い都市(=首都)。(S) ☆参考 esapane エサパネ …の首長である。 {E: to be in the best position to…} (出典:田村、方言:沙流)
kokumrakumra
コクㇺラクㇺラ 【自動】[ko-kumrakumra …が・ゴーゴーと鳴る](地震の地鳴りのような音が)ゴーゴーと鳴る。 pokna-mosir un/ahun hum konna/kokumrakumra ポㇰナモシルン/アフヌㇺ コンナ/コクㇺラクㇺラ 地獄へ入って行く音がゴーゴーと地鳴りのように響く。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
kor 1
コㇿ 【他動】①…を持つ、 … を所有する。 inan pe ku=kor kor pirka hawe an? イナン ペ クコㇿ コㇿ ピㇼカ ハウェ アン? どっちを持てばいいのかなあ? (W会話) pawetok ka kor siretok ka kor パウェトㇰ カ コㇿ シレトㇰ カ コㇿ 彼は雄弁さも持っており美しさも持っている=口も達者だし器量もいい。 kor rusuy コン ルスイ …がほしい、 …をほしがる。 ②…を(手や頭に)つける/かぶる、 つけて/かぶっている。 tekunpe kor テクンペ コㇿ 手甲をはめる。 sapanpe kor サパンペ コㇿ 冠をかぶる(頭につける)。 (注 体に着ることは mi ミ、 足や腰から下にはくことは us ウㇱ、 鉢巻などを頭に巻くことは epanu エパヌ、 手ぬぐいなどでほおかぶりすることは hekokari ヘコカリ。) ③(子)を生む (「子どもを持つ」)。 “poyson kor yak a=ye” “hńta kor yak a=ye?” “matkaci kor yak a=ye” 「ポイソン コㇿ ヤㇰ アイェ」「フンタ コㇿ ヤㇰ アイェ?」「マッカチ コㇿ ヤㇰ アイェ」 「子どもを持った(赤ちゃんが生まれた)そうだ。」「何を持ったと言う(どっちが生まれたって)?」「女の子を持ったと言う(女の子が生まれたそうだ)。」 (S) cikap tamanko kor noyne hawkor hawe as チカㇷ゚ タマンコ コン ノイネ ハウコㇿ ハウェ アㇱ にわとりが卵を生んだらしく、 なく声がする。(W) (注 出産することは nuwap ヌワㇷ゚ [日常語]または yaykosanke ヤイコサンケ [雅]) ④(神が)領有する。 nupuri kor kamuy ヌプㇼ コㇿ カムイ 山を領有する神=山を守る/統治する神=山の神。 ⑤…の …。 ku=kor hekattar クコㇿ ヘカッタㇻ 私の子どもたち。 a=kor mosir アコㇿ モシㇼ 私たちの国=わが国(=日本)。(S) ku=kor hápo クコㇿ ハポ 私の母。 ku=ponpoho kor ku=kosmaci クポンポホ コㇿ クコㇱマチ 私の下の息子の嫁(別家の嫁)。(S) kor kur コㇿ クㇽ …の夫。 ⑥ ☞kes(e) kor ケㇱ/ケセ コㇿ {E: ①to have, possess… ②attach, wear…(on one's hands, head.) ③to have, give birth to (a child). ④one's…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koran
コラン 【他動】[ko-ran …に・下りる]…に下りる。 aynu mosirmosirso kasi/koran wa ora アイヌ モシㇼ/モシㇼソ カシ/コラン ワ オラ[雅] 人間の国の地面の上に下りて来て。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
korpare
コㇿパレ 【複他動】[複](単は kore コレ)[kor-pa-re 持つ・[複]・させる] ①(二人以上が/二人以上に/二つ以上を) …に…を与える、 a=unúhu a=onáha póho tono korpare wa hoppapa アウヌフ アオナハ ポホ トノ コㇿパレ ワ ホッパパ (引用文中で)私の母親と父親がその息子を和人の殿様に与えて置いて来た。(S民話) usa okay pe ataye pirkano i=korpare ウサ オカイ ペ アタイェ ピㇼカノ イコㇿパレ いろいろなものをよい値で(交換して)(引用文中の私に)与えてくれた。(S民話) ②[補助動詞]wa korpare ワ コㇿパレ (…のために)…してあげる。 mosir a=kar wa a=korpare kamuy utar モシㇼ アカㇻ ワ アコㇿパレ カムイ ウタㇻ 陸地をつくって与えられた(もらった)神々。(S言い伝え) ☆参考 korepa コレパ とも言う。 語構成から見ると korpare コㇿパレ は《(二人以上に/二つ以上)を与える》、 korepa コレパ は《(二人以上が/二人以上に)与える》のような区別がありそうに見えるが、 実際には両方の語形が両方の場合に使われている。 この項の最初の用例では、 母と父(二人)が和人の殿(一人)に息子(一人)を与えたという話に korpare コㇿパレ が使われている。 ほかにもこのような例はある。 korepa コレパ より korpare コㇿパレ のほうがずっと多く使われている。 {E: ①to give…to…(pl.). ②to do …for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Kotan-sitcire
コタンシッチレ 【名】[< kotan-sir-ci-re 村/集落・地・焼ける・させる](ユーカラ「村焼き国焼き」の主人公で人間の始祖となるために生まれた神の子の呼び名の最初の部分。 全部言うと次の通り。) Kotan-sitcire/Mosir-sitcire/Sanka-tososo/Hon-okkasi/Opoysuyanke/Oypepi-poro/Kamuy ne an kur コタンシッチレ/モシㇼシッチレ/サンカトソソ/ホノッカシ/オポイスヤンケ/オイペピポロ/カムイ ネ アン クㇽ [雅]村焼き、 国焼き、 棚荒らし、 腹の上、 小鍋上げ、 大茶碗、 神になる人。(Sユーカラ) ☆参考 最後の部分は Kamuy ne an kur カムイ ネ アン クㇽ《神になる人々》の代わりに Sípase kamuy シパセ カムイ《まことに尊い神》とも言われる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koykesuy
コイケスイ 【他動】[ko-ikesuy …に向かって・怒って行ってしまう] [雅]怒ってとびだして…に行く。 sísam mosir/tono mosirmosir noskike/koykesuy ruwe/ne wa síran awa シサㇺ モシㇼ/トノ モシㇼ/モシン ノㇱキケ/コイケスイ ルウェ/ネ ワ シラン アワ [雅](奥方は)怒って家をとびだして和人の島、 殿の島、 島の中央に逃げて行ったのだったが。(W神謡語り) {E: to rush out in anger to go to …} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koytakmuye
コイタㇰムイェ 【他動】[ko-itak-muye …に・言葉・を束ねる] …に言葉を言い置く。 tanpa ne anak kanna mosir ka a=oríkin epaha ne kusu, a=e=kóytakmuye ka ki rusuy kus, a=e=síkoekte ruwe ne kus タンパ ネ アナㇰ カンナ モシㇼ カ アオリキン エパハ ネ クス、 アエコイタㇰムイェ カ キ ルスイ クㇱ、 アエシコエㇰテ ルウェ ネ クㇱ 今年は私は天の神の国に昇る年に当たっているので、 あなたに言葉を言い置くこともしたくて、 それであなたを私のところへ来させたのだから。(HC民話) {E: to leave a message for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kur 1
クㇽ 【名】[概](所は kuri(hi) クリ(ヒ)) ①影(うつる影)。 ②「人影」というときの「影」、 姿、 見える形。 nociw kur ka maknatara ノチウ クㇽ カ マㇰナタラ 星影(星の見える形=星)もあかあかと輝いている。(W会話) mosir kur a=nukár モシㇼ クㇽ アヌカㇻ 島影(=島の形)が見える。(W) yaykunnukarkane ヤイクンヌカㇻカネ[yay-kur-nukar-kane 自分の・姿・を見る・金属][古] 鏡。 ☆参考 日本語の「影」と同様、 うつる影のことも、 姿/形のことも言う。 {E: ①(a) shadow. ②form; external appearance.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
makan
マカン 【副】(次の表現で)どのように。 makan ne kor マカン ネ コㇿ 都合により、 「どうやらしたら」=どうかすると、 場合によっては。(W) makan ne kor/mosirso kurka/oran wa マカン ネ コㇿ/モシㇼソ クㇽカ/オラン マ [雅]時によると地上に降りて。(Sユーカラ語り) makan katkor pe/ek hum konna/koturimimse/kokewrototke マカン カッコㇿ ペ/エㇰ フㇺ コンナ/コトゥリミㇺセ/コケウロトッケ [雅]どんなものだかやって来る音がブルンブルンと鳴りゴーゴーと響く。(Sユーカラ) ☆参考 長く言うと makanan マカナン。 makanan マカナン も makan マカン も限られた文脈で使われている。 一般的に「どのように」という疑問の表現には nékon ネコン、 nékona ネコナ、 あるいは日常語と同じ makanak マカナㇰ などが使われている。 ☆参考 日常語では makanak マカナㇰ《どのように》、 mak マㇰ《どのように》(縮約形)があるが、 用法は makan マカン と同じではない。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
makanan
マカナン 【副】[雅]どのように。 makanan ne kor マカナン ネ コㇿ [雅]時によると。 makanan ne kor/ranke mosirmosirso kurka/ciorawkekar マカナン ネ コㇿ/ランケ モシㇼ/モシㇼソ クㇽカ/チオランケカㇻ [雅]時によると下界の国の国土の上に下りて来ます。(Sユーカラ) ☆参考 同じユーカラの語られた中では同様の文脈で makan ne kor マカナン ネ コㇿ と言っている。 ☞makan マカン ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
maketa 1
マケタ 【他動】[< 日本語](常に主格不定人称の a= ア のついた形、 つまり受け身の形で用いられる。) a=makéta アマケタ (彼は)負ける。 a=en=maketa アエンマケタ 私は負ける。 a=kor mosir a=makéta sekor háw as アコㇿ モシㇼ アマケタ セコㇿ ハワㇱ わが国(日本)が負けたという話が聞こえた。(W会話) {E: to lose to…; be beaten by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
matkore
マッコレ 【他動】[mat-kore 女/妻・を与える] …に妻を与える、 (男)を結婚させる。 kim un mosir wa a=matkore hike a=matkore, kamuy or wa ki wa キムン モシㇼ ワ アマッコレ ヒケ アマッコレ、 カムイ オㇿ ワ キ ワ 山の国から妻を(神から)与えられる人は与えられて…。(S言い伝え) {E: to give a wife to …; make…marry.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosinrutuye
モシンルトゥイェ 【名】[mosir-ru-tuye 国・道・を切る](星座名) (北方の空で弓状をなし、 六つか七つの星がある。) (S) 北斗七星(?)。 (出典:田村、方言:沙流)
moto-orke
モト オㇿケ 【名】[所](orke オㇿケ の概は or オㇿ だが、 moto or モト オㇿ は出てこない。)[起源・の所](…の)もと/起源となる所、 起源、 素性、 先祖。 etoko wano Aynu mosir ta okay pe ka a=moto-orke népa ka somo ki korka エトコ ワノ アイヌ モシッタ オカイ ペ カ アモトオㇿケ ネパ カ ソモ キ コㇿカ 私たちの先祖は昔からアイヌモシリ(北海道)に住んでいたわけではないけれども。(S言い伝え) tu moto-orke hunara kor as wa an トゥ モトオㇿケ フナラ コㇿ アㇱ ワ アン 彼は(そいつの)素性をいろいろと探りながら立っていた。(W民話) {E: place of origin (of…).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
na 4
ナ 【終助/間助】①[< 日本語(?)] …なあ!、 …ね。 “iyohay”“sitomare na!” 「イヨハイ」 「シトマレ ナー」 あきれたことだねえ。(W-S会話) k=éyaypira na! ケヤイピラ ナー! がっかりしたなあ(ひとり言)。(S) “hawe ne yakun na, ” “ey, ” “ekurok mosir wa, na, pone ka sak, cikir ka sak…” 「ハウェ ネ ヤクン ナ、 」「エイ」「エクロㇰ モシㇼ ワ、 ナ、 ポネ カ サㇰ、 チキㇼ カ サㇰ…」 「それではね」「ええ」「まっ黒い国からね、 骨もない、 足もない…」 (S-W-S会話) ②(即興歌のはやしことばの一部。)yaysama-ne-na ヤイサマネナ (直訳すると)自分の側だよ=自分のことだよ、 自分の心の思いだよ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
noskike(he)
ノㇱキケ(ヘ) 【位名】[所](概は noski ノㇱキ)[noski-ke 真ん中・の所] …の真ん中の所、 その真ん中、 その中央。 mosir noskike ta an pet réhe Matnesar ne モシン ノㇱキケ タ アン ペッ レヘ マッネサㇻ ネ 島の真ん中にある川の名前は沙流川だ。(S) ikaritunnap néno kane noskike cisne katuhu an イカリトゥンナㇷ゚ ネノ カネ ノㇱキケ チㇱネ カトゥフ アン 「ロスケアリ」(アリの一種)みたいに胴のまんなか(ウエスト)がくびれてへんなかっこうだ。(S) {E: the middle; the centre.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
oran
オラン 【他動】[o-ran (そこ)に・降りる] …に降りる。 ranke mosir/oran hum konna/koturimimse ランケ モシㇼ/オラン フㇺ コンナ/コトゥリミㇺセ (神が)下界(地上)に降りる音がブルンブルンと鳴り響き。(Sユーカラ) iresu sinta/sinta kurka/kamuy oran na イレス シンタ/シンタ クㇽカ/カムイ オラン ナ ゆりかごの上に神が降りるよ。(S子守歌) ☞ka(si) oran カ(シ) オラン {E: to go down, descend to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
orikin
オリキン 【他動】[o-rikin …に・上昇する](そこ)に昇る。 poro nuynipek nísor orikin wa an ポロ ヌイニペㇰ ニソㇿ オリキン マ アン 大きな山火事の明るみが空に上がっている。(S) tanpa ne anak kanna mosir ka a=oríkin epaha ne kusu タンパ ネ アナㇰ カンナ モシㇼ カ アオリキン エパハ ネ クス 今年は私が天の神の国に昇る年ですから。(HC民話) {E: to go up, climb, ascend…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
oya 1
オヤ 【連体】①ほかの、 よその。 oya mosir オヤ モシㇼ よその島。 oya kotan オヤ コタン よその(別の)村、 死者の国。 oya pa オヤ パ (=oyapa オヤパ)来年。 oya kotan un kur オヤ コタン ウン クㇽ よその村の人、 他村の者。 ② oya ciki オヤ チキ ☞oyaciki オヤチキ {E: ①other; another. ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
oykesuy
オイケスイ 【他動】[o-ikesuy …に・怒って立ち去る] 怒ってとび出して/立ち去って…へ行く。 sísam mosir/tono mosirmosir noskike/a=oykesuy híne/arpa=an wa シサㇺ モシㇼ/トノ モシㇼ/モシン ノㇱキケ/アオイケスイ ヒネ/アㇻパアン マ 和人の島、 殿の島、 島の中央に私は逃げて行って。(W神謡語り) {E: to leave in anger for…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pa 5
パ 【位名】…の上(かみ)、 …の上手(かみて)、 …の東端。 maciya pa マチヤ パ 町の東の端。(S) mosir pa モシㇼ パ 国(島)の上(かみ)=東の端。(W) ☆対語 kes ケㇱ …の末端。 {E: the upper…; to the east of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pak 2
パㇰ 【後副】①…まで。 cise noski pak チセ ノㇱキ パㇰ 家のまん中まで(ほこりが積もっていた)。 te pak テ パㇰ 今まで。 apa or pak k=arpa korka k=áhun ka somo ki no k=ek アパ オㇿ パㇰ カㇻパ コㇿカ カフン カ ソモ キ ノ ケㇰ 戸口のところまで行ったけれど入らないで帰って来た。(S) ray pak ライ パㇰ 死ぬまで。 ②(おおよそ)…ぐらい。 wániw pak ワニゥ パㇰ 十人ぐらい。 tuhotne to pak k=an wa k=ek ruwe ne wa トゥホッネ ト パㇰ カン マ ケㇰ ルウェ ネ ワ (私は)四十日ぐらい滞在して(帰って)来たのだよ。(S) ③…ほど (比較の対象) ne turesi pak pirka menoko isam ネ トゥレシ パㇰ ピㇼカ メノコ イサㇺ その妹ほど美しい女性はいない。 pak kewtumu pirka p oar isam パㇰ ケウトゥム ピㇼカㇷ゚ オアㇻ イサㇺ 彼ほど気立てのよい者は一人もいない。 ④(連体的に)mosir pak cise モシㇼ パㇰ チセ 島ほどの家(とても大きい家を表現する一つの言い方)。 ⑤uwokar-uwokarpa pak ウウオカㇻウウオカㇻパ パㇰ 代わるがわる。 ☆参考 よりはっきりと表現するのに -no ノ をつけて pakno パㇰノ と言うこともある。 しかし pak パㇰ と pakno パㇰノ との使い方は全く同じではない。 ☞pakno パㇰノ {E: ①until; as far as. ②about; roughly. ③the extent of.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pirka
ピㇼカ 【自動】よい、 美しい、 上質である、 結構/好都合である、 よくなる、 病気がなおる。 pirka aep ピㇼカ アエㇷ゚ よい食べもの。 pirka menoko ピㇼカ メノコ 美しい女性。 sakehe pirka サケヘ ピㇼカ その酒がおいしくなった/上等にできあがった。 yak pirka ヤㇰ ピㇼカ …するとよい、 …するほうがよい(「…しなさい」という命令・勧めの表現の一つ)。 yakka pirka ヤッカ ピㇼカ …してもよい。 pirka híne e=ek sir an ピㇼカ ヒネ エエㇰ シㇼ アン (あなたは)よくぞ来ましたねえ(「来てよかった」ことを言う)。 irayapka hekattar pirka ruwe! イラヤㇷ゚カ ヘカッタㇻ ピㇼカ ルウェ! まあいいこと、 子どもたちいいねえ(器量もいいし行儀もいい)。(S) tane anak irammakaka pirka wa an タネ アナㇰ イランマカカ ピㇼカ ワ アン 今はすっかりきれいになおっている。(S) mosir pirka モシㇼ ピㇼカ 国が栄える。 iroho pirka イロホ ピㇼカ 色が濃い。 sir-pirka シㇼピㇼカ 天気がよい。 ☆対語 wen ウェン 悪い。 ipokas イポカㇱ 不器量である、 みにくい。 {E: to be good, beautiful etc.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
po 2
ポ 【副】なおいっそう。 sísam mosir ta po poronno a=etóyta シサㇺ モシッ タ ポ ポロンノ アエトイタ 和人の土地ではなおいっそうたくさん栽培していた。 na ponno rumatek tek hi ne yak po pirka p ナ ポンノ ルマテㇰ テㇰ ヒ ネ ヤㇰ ポ ピㇼカㇷ゚ もう少しぼうっとした色だとなおよかったのに。 po hene ポ ヘネ なおいっそう。 ésir ne hike ka pirka a korka ta po hene pirka エシン ネ ヒケ カ ピㇼカ ア コㇿカ タ ポ ヘネ ピㇼカ さっきのもよかったけれどこれはなおさらいい。(S) {E: still more.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ray 1
ライ 【自動】死ぬ、 (名詞として使われて)死ぬこと、 死。 ray wa isam ライ ワ イサㇺ 死んでしまった。 raytamanum ライタマヌㇺ 死んだ(人の)魂(の粒)。 ray kotpok ta ライ コッポㇰ タ 死際に。 ray he ne ya mokor he ne ya ライ ヘ ネ ヤ モコㇿ ヘ ネ ヤ 死んだのか眠ったのか。(HC神謡)(動物の体が死にその神の霊が気がついて自分の死体を見つけるときの常套句。)túray wenray ki トゥライ ウェンライ キ (tu トゥ が高く長く発音される。) ひどい死に方とんでもない死に方で死んでしまった。 (Pánanpe パナンペ 川下男と Pénanpe ペナンペ 川上男の民話の結末の常套句。) ☆参考 自分の身内や話している相手の身内のことを言うときは isam イサㇺ《なくなる》を使うことが多い。 ほかに wen ウェン《いけなくなる》、 sini シニ《休む》などと言うこともある。 mosiroppa モシロッパ《世を去る》は地位のある人や有名な人が年取って死ぬこと、 onne オンネ は年取った人が死ぬこと。 mawe tuy マウェ トゥイ 息が絶える。 tasu tuy タス トゥイ 息が絶える。 {E: to die.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rékor
レコㇿ 【自動】[re-kor 名前・を持つ] 名前を持つ。 na usayne usayne rékor mosir wa uwekarpa p ナ ウサイネ ウサイネ レコㇿ モシㇼ ワ ウウェカㇻパㇷ゚ まだほかにいろいろ違った名前の国から集まって来た者。 tanpe rékor タンペ レコㇿ これはいわゆる…、 これこそ言うなれば…。 {E: to be named; called.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rep 2
レㇷ゚ 【位名】[概](所は repke(he) レㇷ゚ケ(ヘ)) 沖、 海の向こう、 (いろりの)まん中のほう。 rep ta paye wa okay pe レㇷ゚ タ パイェ ワ オカイ ペ 海外に(外国に、 海の向こうの島に)行った人々。 rep un cikap レプン チカㇷ゚ 沖の鳥、 海鳥。 rep oraye レㇷ゚ オライェ/レポライェ(舟を)沖へ出す、 (いろりの中のまわりの方にあるおきを)真ん中へ出す([対]ya oraye ヤ オライェ)。 rep k=óraye レㇷ゚ コライェ 私は(舟を)沖へ出す、 私は(いろりの中のまわりの方にあるおきを)真ん中へ出す。 rep osiraye レㇷ゚ オシライェ 沖へ出る。 rep ta a=kor mosir レㇷ゚ タ アコㇿ モシㇼ 沖(海の向こう)にあるわが国=本州(内地)。(S) ☆対語 ya ヤ ☆参考 絶対的場所「沖」にも相対的位置「…の沖」にも使われる。 絶対的場所は概念形で表される。 概念形は相対的位置にも使われる。 所属形は相対的位置だけを表す。 {E: offshore; overseas.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
repun 2
レプン 【連体】[rep-un 沖・にある](=rep un レㇷ゚ ウン) 沖の、 沖にある/いる。 repun mosir レプン モシㇼ 沖の島、 海外(北海道以外の島、 本州等も、 また外国も含む)。 repun cikoykip レプン チコイキㇷ゚ [沖の・けもの]海獣(アザラシ、 トド、 鯨など皆)。(S) ☆対語 yaun ヤウン ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
repunkur
レプンクㇽ 【名】[rep-un-kur 沖・にいる・人] 海外の人(主に外国人を指す)。 repunkur mosir レプンクㇽ モシㇼ 外国。 repunkur atuy レプンクㇽ アトゥイ 外国の海。 ☆対語 yaunkur ヤウンクㇽ 自国の人(北海道の人)。 {E: a foreigner; someone from overseas.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sak 1
サㇰ 【他動】①(名詞(目的語)の後に置かれて)…を持っていない、 …がない、 …を欠いている。 re ka sak mosir レ カ サㇰ モシㇼ 名前のない島。(S言い伝え) unu patek a=kor, ona a=sak no ウヌ パテㇰ アコㇿ、 オナ アサㇰ ノ 私には母だけがいて父がいなくて。(S民話) so ka sak ソ カ サㇰ 床に敷く敷物もない。(W民話) heyoki sak no ヘヨキ サㇰ ノ 遠慮しないで。(W神謡語り) nan ka sak sir ka sak ナン カ サㇰ シㇼ カ サㇰ (直訳すると)顔も持っていず様子(姿)も持っていない=顔も姿も美しくない(自分の娘のことをその結婚相手になってほしい人に向かって謙遜して言う言葉。 「しかし持参金を持たせるからもらって下さい」に似た表現がこれに続く)。(NK民話) ②(動詞のあとに置かれて、 慣用表現)いつも…しない。 ramupokiwen mosma hawean kor an sak hawe iki wa! ラムポキウェン モㇱマ ハウェアン コラン サㇰ ハウェ イキ ワ! いつもかわいそうだと言うことのほか何も言わないんだね。(S) ☆参考 目的語の名詞は概念形。 たとえば hon ka sak ホン カ サㇰ おなかがない。(W会話) 同じことを言うのに isam イサㇺ《ない》を使えば所属形を使って honihi ka isam ホニヒ カ イサㇺ (S会話) {E: to not have…; have lost…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Sari 1
サリ 【名】[< sar-i 葦原・(所属語尾)][地名]北見の斜里。 ☆参考 アイヌ語古名 Mosirpasari モシㇼパサリ。 (出典:田村、方言:沙流)
sikopayar
シコパヤㇻ 【他動】[si-kopa-yar 自分・…を…とまちがえる・人にさせる] …によく似ている、 まるで…のようだ、 …のふりをする。 cituye mosir sikopayar poro rokuntew チトゥイェ モシㇼ シコパヤㇻ ポロ ロクンテウ まるで離れ島のような大きな客船。(S) husko an pe sikopayar フㇱコ アン ペ シコパヤㇻ [慣用句]その間に何もしなかったようなふりをしてそ知らぬ顔をしている。(W民話) ahunporu sikopayar pe hemanta an? アフンポル シコパヤㇻ ペ ヘマンタ アン? あの世の入口の洞穴にそっくりのものはなあに(なぞなぞで、 答えは etupuyke エトゥプイケ 鼻のあな)。(W会話) {E: to resemble…; pretend to be…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sikurpokuyruke
シクㇽポクイルケ 【他動】[si-kurpok-uyruke 自分・の下側・につける] …を服従させる。 a=kor mosir a=sikúrpokuyruke アコㇿ モシㇼ アシクㇽポクイルケ 私たちの国(日本)は負けたのだから何を言われても文句言えない(勝った国の命令に従わなければならない)。(S) {E: to make…obey.} (出典:田村、方言:沙流)
sir-ukopukrototke
シルコプㇰロトッケ 【完動】[sir-uko-puk-rotot-ke あたり・いっせいに・プツ(擬音の語根)・(音の連続を表す接尾辞)・(自動詞形成)] あたりでいっせいにプツプツプツと音がする。 sicigaci cup wano an pe, tapan Hokkaito, aynu mosir or unno sir-ukopukrototke, sir-yasrototke, uhuy wa paye uskehe oka シチガチ チュㇷ゚ ワノ アン ペ、 タパン ホッカイト、 アイヌ モシㇼ オルンノ シルコプㇰロトッケ、 シㇼヤㇱロトッケ、 ウフイ ワ パイェ ウㇱケヘ オカ 7月からのこと、 この北海道つまりアイヌの土地にまで、 パラッパラッと銃弾の音が鳴り、 バリッバリッとものの裂ける音が鳴り、 燃えていく所があった。(W会話) (戦争中の銃や空襲の被害などの物音を表している。) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sísam 1
シサㇺ 【名】[sí-sam 主な・そば/となり(の人)]日本人(和人)(「シャモ」)(アイヌ民族でも他の少数民族でもない日本人の多数民族を指す名称)。 sísam mosir シサㇺ モシㇼ 和人の住んでいる土地(しばしば本州を指す)。 sísam itak シサㇺ イタㇰ/シサミタㇰ 日本語。 sísam úsey シサㇺ ウセイ [和人・飲用の湯] 和人の飲む湯(「お茶」の訳語として出た)。 húre sísam フレ シサㇺ [赤い・隣国人] 西洋人(「赤毛の人」の意味)。(W) ☆参考 sisam シサㇺ《自分のそば》とはアクセントが違う。 {E: the Ainu term for the Japanese.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
siyusacari
シユサチャリ 【自動】[si-y-usa-cari 自分・(挿入音)・バラバラに・…を散らす] 散らばる。 toop repun mosir wa cípo he ne ya nep o wa siyusacari p aynu ne wa トオㇷ゚ レプン モシㇼ ワ チポ ヘ ネ ヤ ネㇷ゚ オ ワ シユサチャリㇷ゚ アイヌ ネ ワ アイヌははるか海の向こうの島から舟に乗ってか何かに乗って来てあちこちに散らばったので。(S言い伝え) {E: to be scattered, disordered.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Susuranpeci
ススランペチ 【名】[susu-ran-peci 柳の葉・落ちる・川[所]][固有名]天界(kantorimosir カントリモシㇼ)にある川の名。(W) (S) (出典:田村、方言:沙流)
ta 4
タ 【格助】①(空間的・時間的位置を示す副詞句をつくる。)…に、 …で。 Piratur ta ピラトゥッ タ 平取に/で。 a=kor mosir ta a=kar easkay アコㇿ モシッタ アカㇻ エアㇱカイ わが国でつくれる。(S) kotan eepak ta en=etunankar コタン エエパㇰ タ エネトゥナンカㇻ (彼は私に)部落のはずれで出会った。(S) ta a=kotanu ta ka oka タ アコタヌ タ カ オカ ほらここに、 私たちの村(地域)にもある。(W会話) te ta テ タ ここに/ここで。 taan ta タアン タ ☞taanta タアンタ uweepak ta ウウェエパㇰ タ ☞uweepakta ウウェエパㇰ sine an ta シネ アン タ ☞sineanta シネアンタ sine an pe ta シネ アン ペ タ あるとき。 sine an pa ta シネ アン パ タ ある年。 hi ta ヒ タ …したときに。 ②(連体的に使われて) te ta X húci テ タ X フチ ここのXおばあちゃま(特定のフチの場合に言う。 一般的に言う場合は te un húci テ ウン フチ と言う(☞un ウン)。(S) te ta poysisam テ タ ポイシサㇺ ここの(うちの)小さい和人。(S民話) aw ta pon weysisam アウ タ ポウ ウェイシサㇺ となりの小さい貧乏和人。(S民話) {E: locative in space and time: in, at etc.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tan
タン 【連体】[< ta-an ここに・ある]この、 自分が手に持っている(ものなど)、 自分が今いる(村など)。 tan mosir タン モシㇼ この国。 tan cup タン チュㇷ゚ 今月。 tan pa タン パ 今年。 tan pe タン ペ このもの=これ。 tan onuman タノヌマン この夕方=今夕。 tan uske タヌㇱケ この場所=ここ。 tan uske ta amam k=étoyta タン ウㇱケ タ アマㇺ ケトイタ 私はここに稲をつくる。(S) tan a=kor hekaci タン アコㇿ ヘカチ この私の少年=いいかい(聞きなさい)ぼうや…。 tan rikna wa タン リㇰナ ワ この上の方から(=こう、 高い所から…)。 tan te ta タン テ タ ここに、 ほかならぬここに。 tan te ta an wa an rápokke ta a=hunára kor síran タン テ タ アン マ アン ラポッケ タ アフナラ コㇿ シラン ここにあったのを知らないでさがしていた。(S) tan tepo ta タン テポ タ [tan-te-po-ta この・ここ・指小辞・に] ついここに、 すぐここに。 tan tépo ta a wa an pe yayhawesina wa an タン テポ タ ア ワ アン ペ ヤイハウェシナ ワ アン (彼は)ついここに座っていたのに声も出さないでいたんだね。(S) tan te pakno タン テ パㇰノ [雅] 今まで。 ☆参考 自分のすぐ近くにあるものを言い表すには taan タアン《ここにある、 この》を用いる。 離れた所のものを言うには toan トアン《その、 あの》、 toon トオン《あの、 遠くの》を用いる。 {E: here; this.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tuk
トゥㇰ 【自動】(芽が)出る、 (植物が)伸びる、 生長する (「おがる」)。 keni tuk ケニ トゥㇰ (木や草の)芽が出る、 芽をふく。 kina tuk pekor iki キナ トゥㇰ ペコㇿ イキ (子どもが)まるで草がのびるようにすくすくと育つ。 itto tuk pekor イット トゥㇰ ペコㇿ「一日おがりにおがるように」まるで一日で大きくなるように(どんどん大きくなることを表す慣用表現)。(W) kotan/mosir tuk コタン/モシㇼ トゥㇰ 村/国が栄える方へ向かう。(W) {E: to grow; bud; sprout.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
unma 2
ウンマ 【格助】[< un-wa …に行く・…して](un ウン と wa ワ が続けて発音された形。)…へ。 mosirpa unma/mosirkes unma モシㇼパ ウンマ/モシㇼケスンマ 東へ西へ。(Sユーカラ) ☆参考 un だけでも同じ意味と働きを持つが、 unma(=un wa)と言うともっとはっきりする。 ☞un ウン、 wa ワ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
utannimara
ウタンニマㇻ 【名】[所](概の用例はない)[utar-nimara 同族・の半数/一部] 仲間の一部、 仲間の半分ぐらい(ごく少しの一部とも限らず、 またちょうど半分とも限らない。 全部ではないことを言う。 だいたい半分ぐらいをさすことが多い。 数のあるものについて言う。 一個の半分/片割れのことには使われない)。 oro ta sirepa=an korka, a=utannimara nani nani, tan mosir akkari wa toop na herepasi wa hetopo herepasi wa paye rusuy オロ タ シレパアン コㇿカ、 アウタンニマラ ナニ ナニ、 タン モシㇼ アッカリ ワ トオㇷ゚ ナ ヘレパシ ワ ヘトポ ヘレパシ ワ パイェ ルスイ 私たちはそこに(その島に)着いたけれど、 私たちの仲間の一部はまもなく、 この島を通り越してもっと遠く海の向こうへもどって行きたいと言った。(S言い伝え) {E: a portion; half.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
utuste
ウトゥㇱテ 【他動】[u-tus-te 互い・自分の夫のもう一人の妻(である)・させる]二人を妻とする。 iteki koyki no/utuste wa/e=an yak easir/aynu mosir sekor/a=eréko kus ne na イテキ コイキ ノ/ウトゥㇱテ ワ/エアン ヤㇰ エアシㇼ/アイヌ モシㇼ セコㇿ/アエレコ クㇱ ネ ナ [雅](二人の女神を)いじめないで二人とも妻としてお暮らしになればあなたに人間の国という名前がつけられるのですよ。(Sユーカラ語り) ☆参考 〔久辞典983 utush 相妻となる、 妾同士 < 相連結する ut 節 ush ついている〕 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uusa
ウウサ 【副】[u-usa 互い・いろいろ/別々に] めいめいいろいろ。 (次のように二語重ねて使う。) uusa uusa ウウサ ウウサ (皆)めいめいいろいろ。 tan a=kor mosir ne yakka, uusa uusa, mosir epunkine kamuy kar híne タン アコㇿ モシㇼ ネ ヤッカ、 ウウサ ウウサ、 モシㇼ エプンキネ カムイ カㇻ ヒネ 国づくりの神はこの私たちの国(北海道)も、 それぞれ国を守る神をつくって。(S言い伝え) mosir kor kamuy utar uusa uusa ewkoramu-osmaosmapa híne モシㇼ コㇿ カムイ ウタㇻ ウウサ ウウサ エウコラムオㇱマオㇱマパ ヒネ 国を守る神々はめいめいそうだそうだと言って賛成した。(S言い伝え) {E: various; each.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwekur
ウウェクㇽ 【名】[u-w-e-kur 互い・(挿入音)・を食べる・人] 「食蛮人」。 uwekur mosir ウウェクㇽ モシㇼ 「食蛮人」の国。 ☆参考 「人間が人間(を)食う。 アイヌは熊の頭の数(が)あるほど財産家だが、 彼らは人間の頭の数(が)あるほど財産家だと言う。」 (S) (古老の挙げた民族名の引用は差し控える)。 {E: a savage; a barbarian.} (出典:田村、方言:沙流)
uworkopoyke
ウウォㇿコポイケ 【自動】[u-w-or-kopoyke 互い・(挿入音)・の所・にまじる] 互いの中に入りまじる、 まぜこぜになる。 aynu ne ciki sísam ne ciki repunkur, sonno repunkur ne ciki uworkopoyke wa mosir epitta siyusacari アイヌ ネ チキ シサㇺ ネ チキ レプンクㇽ、 ソンノ レプンクンネ チキ ウウォㇿコポイケ ワ モシレピッタ シユサチャリ アイヌも和人(日本人)も外国人、 本当の外国人も入りまじって国じゅうに散らばった。(S言い伝え) ☆参考 ukopoyke ウコポイケ はただ《まざる、 (まぜたものが)まざって均質になる》。 {E: to become mixed.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwoya
ウウォヤ 【連体】[u-w-oya 互い・(挿入音)・別の] 別々の。 orano na uwoya uwoya mosir ewpiraspa wa オラノ ナ ウウォヤ ウウォヤ モシㇼ エウピラㇱパ ワ それからもっとあっちこっちの国に広がって行って。(S言い伝え) {E: separate.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wa 1
ワ 【格助】①(位置名詞の後に置かれて、 移動の起点を示す。)…から(場所を示す)。 Mosirpasari wa ek モシㇼパサリ ワ エㇰ 斜里(しゃり)から来た。(W民話) osmake wa kotcake wa terke=an オㇱマケ ワ コッチャケ ワ テㇾケアン 私は(寝ている彼の)後ろから前へ前から後ろへと跳びはねてまたいだ。(W民話) kanto or wa kemram kamuy ran カント オㇿ ワ ケㇺラㇺ カムイ ラン 天から飢饉の神が降りて来た。(W民話) oro wa karkarse オロ ワ カㇻカㇻセ そこからころがった。(S会話) ②(《…に》と訳される場合もある。 その場合、 ta タ や un ウン を使った言い方とはニュアンスが異なる。 wa ワ はこの場合も、 動作の起点を示す。) te wa mono a テ ワ モノ ア 「ここから座れ」=ここに来て座りなさい。 (注 te ta mono a テ タ モノ ア (近くにいる人に)ここに座りなさい。 te un mono a テ ウン モノ ア ここへ座りなさい。) ③(受け身の行為者を示す。)or wa/oro wa オㇿ ワ/オロ ワ (人)から。 kamuy or wa okamkir ene a=e=yáynure wa カムイ オㇿ ワ オカㇺキㇼ エネ アエヤイヌレ ワ あなたは神からわざとそのように思わされて。(W民話) ④(連体的に使われて) onnayke wa asamaha オンナイケ ワ アサマハ 内側の底。 soynake wa asamaha ソイナケ ワ アサマハ 外側の底。 {E: ①from…(place). ②… ③from…(people). ④…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wen 1
ウェン 【自動】①悪い、 粗末である、 だめである、 だめになる。 wen cise ウェン チセ 粗末な家。 wen itak ウェン イタㇰ(発音は ウェヌ イタㇰ)悪い言葉。 wen kewtum ウェン ケウトゥㇺ 悪い心/根性。 wen kamuy ウェン カムイ ☞wenkamuy ウェンカムイ。 kewtumu wen ケウトゥム ウェン 心/気立て/根性が悪い。 …yak wen …ヤㇰ ウェン …するといけない。 …yakka wen …ヤッカ ウェン …してもだめである(効果がない)。 …tú ray wen ray ki トゥ ライ ウェン ライ キ ひどい死に方で死んでしまった(川上男と川下男の民話の結末によく出てくる表現)。(S民話) sir-wen シㇼウェン(発音は シㇽウェン)天気が悪い。 ②亡くなる(婉曲表現)。 wen oruspe ek ウェノルㇱペ エㇰ 死んだという便りが来た。(S) wen nisa ruwe ne sekor haw as ウェン ニサ ルウェ ネ セコㇿ ハワㇱ いけなかった(=もう死んだ)という話だ。 (注 「捨てことば(ぞんざいな言葉)ではない。」 (S) ☆参考 直接的に「死ぬ」という語は ray ライ、 ほかに婉曲表現として isam イサㇺ《亡くなる》、 mosiroppa モシロッパ《世を去る》など。) ③[自動詞語根](限られた語の構成要素として)貧しい。 wenkur ウェンクㇽ 貧乏人。 weysisam ウェイシサㇺ[< wen-sisam]貧しい和人。 (注 wenaynu ウェナイヌ は《悪人、 悪党》。) (注 「貧しいおばあさん」は wenkur húci ウェンクㇽ フチ。) ☆対語 pirka ピㇼカ よい。 {E: ①to be, become bad, no good; ②to pass away; ③…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yaun
ヤウン 【連体】[ya-un 陸・の] 陸の、 北海道の。 yaun mosir ヤウン モシㇼ 陸の/この島の国(北海道を指す)。 yaun sísam ヤウン シサㇺ 北海道の和人。 {E: refers to Hokkaido.} (出典:田村、方言:沙流)
yayeporospa
ヤイェポロㇱパ 【他動】[複](単 yayeporose ヤイェポロセ は未出)[yay-e-porospa 自分・によって・名称をつける](二人以上皆が)…に自分の名前をつける、 …を自分の名前で呼ぶ。 inan mosir a=kor inan kotan a=kor sekor yaykata yaykata yayeporospa kor イナン モシㇼ アコㇿ イナン コタン アコㇿ セコㇿ ヤイカタ ヤイカタ ヤイェポロㇱパ コㇿ どの国は自分のだ、 どの村は自分のだと、 めいめい勝手に自分の名前をつけながら。(S言い伝え) ☆参考 eyayporospa エヤイポロㇱパ とも言う。 {E: to name…as one's own.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yaykotomka
ヤイコトㇺカ 【他動】[yay-kotom-ka 自分・にふさわしい・(他動詞化)と思う][雅]…を自分の結婚相手としてふさわしいと思う、 …と結婚したい。 Kotan-sitcire/Mosir-sitcire/…/Kamuy ne an kur/ne yak easir/a=yaykotomka コタンシッチレ/モシㇼシッチレ/…/カムイ ネ アン クㇽ/ネ ヤㇰ エアシㇼ/アヤイコトㇺカ [雅]「村焼き国焼き(中略)神になる人」とでなければ私は結婚しません。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yayteknawa
ヤイテㇰナワ 【副】[yay-tek-na-wa 自分・手・の方・から][雅]自分一人のはからいで。(S) yayteknawa/kanto or wa/mosirso ka ta/rán=an ruwe ヤイテㇰナワ/カント オㇿ ワ/モシㇼソ カ タ/ラナン ルウェ [雅]私は自分一人のはからいで天から地上に降りて来ましたが。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)