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- nay
- ナイ 【名】沢(川の支流、 線状にくぼんでいて、 通常は石や植物があり、 水が流れている所、 またその流れ)。 {E: a swamp; a marsh; stream.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nay
- ナイ 【nay】 沢,小沢. ア・ウタリヒ シトゥ カリ ヘメㇱパ ナイパルㇽ タ イイェトコウㇱ クニ ア・イェ オヌマン パㇰノ アナン(アン・アン) ア コㇿカ オムケン・アン=私の仲間たちは尾根に登って行き,私は沢縁で待ち伏せするように言われ夕方までいたが何も獲れない. (出典:萱野、方言:沙流)
- an=anayne
- アナナイネ 【an=an ayne】 いたら.▷アン=いる アン=私 アイネ=ずっとそうしていたところ (出典:萱野、方言:沙流)
- an=anayne
- アナナイネ 【an=an ayne】 勝手に. アシヌマ カ アナナイネ イキ・アン ヒ カ ソモ ネ.エイタサ ア・イ・コレウェン ヒクス ヤイェイモンタサ・アン ルウェ ウン=私も理由もなく勝手にしたのではないよ.あまりにも粗末に扱われたので,仕返しをしたのだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- anayne
- アナイネ 【an ayne】 ずっとずっといる,〜するうちに.▷アン=いる アイネ=ずっと〜して,〜するうちに エネ アナイネ シコラㇻ ルスイ ヒ ソモ ネ ウン=そのままずっとずっといて自らを(婿あるいは嫁として)くれてやりたいのかも知れないよ. (出典:萱野、方言:沙流)
- anayne
- アナイネ 【anayne】 理由なく. ホㇱキ ホㇱキ! アナイネ イキ ヒ カ ソモ ネ ナンコㇿ ピㇼカノ コピシ ヤン=待て待て! 理由なく(そう)したのではないかもしれないから,よく問いただしなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
- anayneno
- アナイネノ 【an ayne no】 そのまま. キㇺ タ ユㇰ カㇺ カヌ(ク・アヌ) ヒネ トゥ ト レ ト シラン ワ カㇻパ(ク・アㇻパ) アクス ピㇼカ ヒネ アナイネノ アン ワ ケヤイコプンテㇰ(ク・エヤイコプンテㇰ)=山に鹿の肉を置き二日三日過ぎて行ったけれど,幸いにそのままあって私は喜んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- anayomne
- アナヨㇺネ 【動詞】[不定人称形(?)][< an=e-yomne であれば(引用中の) 私は・(そのこと)に・こりた] こりたことだ。 ene anayomne! エネ アナヨㇺネー! あんなにこりたこと! (ワテケさんの訳)。(W民話) {E: to have learnt a lesson from.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- anaysir
- アナイシリ 【anay-sir】 死人,死人の霊. ト ト インカㇻ! アナイシㇼ ソモ ネ ウン? ホクレ コタノルン(コタン オㇿ ウン) ホユプ ワ アスラニ ワ エㇰ=あれあれ見てくれ! 死人ではないのかい? 早く村へ走って知らせてこい.*アナイシㇼと体面する場合は,死人に背を向け右手の拳を前へ突き出し肘を屈伸させながら「フㇺ カッポヘアン,フㇺ カッポヘアン フㇺ カッポヘアン(なんだそのざま,その姿)」と何回も言う.この様子は昭和14年頃,貝澤良助という人が二風谷で交通事故で死んだ時に,貝澤ウカタシヌというおばさんがそうしたのを実際に見たものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
- anaysirkamuy
- アナイシㇼカムイ 【anay-sir kamuy】 死人. (出典:萱野、方言:沙流)
- cep sikiru ekannayukar
- チェㇷ゚ シキル エカンナユカㇻ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(17) cep sikiru ekannayukar (čep-si-ki-ru e-kan-na-yu-kar)「チェㇷ゚ シキル エカンナユカㇻ」魚が身をひるがえすようにくるりと向きを変えて引き返す(『アイヌ神謡集』p. 60)。――sikiru[si-kiru(自分を・旋回させる);まわる;さける]。E-kanna-yukar[e(それについて)kannna(再び)yukar(演技する);そのさまを再現する;まねる;さながらの様子を示す] (出典:知里動物編、方言:)
- cep teseske ekannayukar
- チェㇷ゚ テセㇱケ エカンナユカㇻ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(18) cep teseske ekannayukar (cep-te-ses-ke e-kan-na-yu-kar)「チェㇷ゚ テセㇱケ エカンナユカㇻ」ユ375 (出典:知里動物編、方言:)
- cinaynaye
- チナイナイェ 【他動】[中相][ci-nay-nay-e された・沢・(重複)・(他動詞形成)]メチャクチャである(整然とせず無秩序でクシャクシャなことを言う)。 cinaynaye hemanta, ataye ruyno eyyok kunak ye チナイナイェ ヘマンタ、 アタイェ ルイノ エイヨㇰ クナㇰ イェ こんなメチャクチャにつくってあるものを高く売ると言う。(S) {E: to be in a mess, disordered.} (出典:田村、方言:沙流)
- cionnayke
- チオンナイケ §096.陰部―女性の性器(23)膣内 ci-onnayke〔čí:-on-naǐ-ke ちイオンナイケ〕[ci(陰部)+onnayke(内部)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ciseonnayke
- チセオンナイケ 【cise-onnayke】 家の中. (出典:萱野、方言:沙流)
- ciunaycikah
- チウナイチカㇵ §338 アオバズク (7) ciunay-cikah (či-ú-nay-či-kah)「チうナイチカㇵ」 ⦅白浦⦆フクロウの一種[=yawresampe] (出典:知里動物編、方言:)
- ekanay
- エカナイ 【名】昔、 もと。 ekanay wano wenkur ka somo ne エカナイ ワノ ウェンクㇽ カ ソモ ネ もとから貧乏人だったのではない。(W民話) ☆参考 この一例しかない。 ekanaywano エカナイワノ で一語か。〔久辞典 ekanai(wa) 以前に、 元から、 元来〕 {E: long ago.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ekanayta
- エカナイタ 【ekanay ta】 ずっと前に,以前に. ヘンパラ ネ ヤー カ コイラ(ク・オイラ) コㇿカ エカナイタ ク・ヌカㇻ アㇺキㇼ ペコㇿ ク・ヤイヌ=いつだったか忘れたけれどずうっと前に見たことがあるような気がする. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekanaywano
- エカナイワノ 【ekanay wano】 ずっと前から,以前から. エカナイワノ トイタ ワ コㇿ トイ ネ ヒ アイヌ オピッタ エラマン ワ アン ペ イヨㇱ ワ エㇰ ペ ネㇷ゚カ エトイタ ノイネ ネ アㇷ゚ エポソカネ ア・コイレンカコㇿ ハウェ=ずっと前から畑を耕し持ち畑であることを人々皆が知っていたのに,後から来た者が何か蒔いていたらしかったが,勿論問題にされたわけだ.エカナイワノ アン ウタㇻ=ずっと以前から住んでいた人たち. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekannayukar
- エカンナユカㇻ 【e-kanna-yukar】 真似る:全く同じに. (出典:萱野、方言:沙流)
- ekemtanayne
- エケㇺタナイネ 【自動】[e-kem-ta-nay-ne その頭・血・(?)・沢・になる] 頭からタラタラと血を流す。 ☆対語 okemtanayne オケㇺタナイネ 尻の方からタラタラと血を流す。 {E: for the head to be bleeding.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Hatonay
- ハトナイ 【名】[hat-o-nay ブドウの実・たくさんある・沢][地名] 鳩内(はとない)(門別川右岸の庫富(くらとみ)(旧地名 山門別 やまもんべつ)のずっと奥にある一集落の名。 ☆参考 前半の音と後半の意味とをとって、ここの人は「鳩沢(はとざわ)」姓となった。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- heunnayhuhpe
- ヘウンナイフㇷペ §156.おでき;できもの;はれもの;しゅもつ(19)イソギンチャクの腫物 heunnay-huhpe〔he-ún-naǐ-Fuh-pe へうンナイ・フㇷペ〕[heunnay(イソギンチャク)、…]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- hononnayke
- ホノンナイケ §677.ふくこお(腹腔)hon-onnayke〔hón-on-naǐ-ke ほン・オンナイケ〕[hon(腹)+onnayke(内部)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- humnayta
- フㇺナイタ 【humnay ta】 ひとところに,1か所に. フㇺナイタ アヌ=1か所に置け. (出典:萱野、方言:沙流)
- Hurenay
- フレナイ 【名】[húre-nay 赤い・沢][地名](川の名、 集落の名、 沙流郡平取町振内。) {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hutne nay
- フッネ ナイ 【hutne-nay】 狭い沢. (出典:萱野、方言:沙流)
- hutne pinay
- フッネ ピナイ 【hutne-pinay】 狭い谷川. (出典:萱野、方言:沙流)
- iki anayne
- イキヤナイネ 【iki anayne】 どうやらこうやら. ナー チュㇷ゚ リ ヒ タ ク・イワㇰ エアㇱカイ クニ ク・ラム ア ㇷ゚ リトゥㇽ ワノ ウプンパッチェ ウトゥル タ ク・シットゥライヌ イキヤナーイネ ク・シレパ.ハイー ク・シンキ フミー=まだ陽の高いうちに帰り着けると思ったのに,途中から猛吹雪になり,間に道に迷いながらどうやらこうやら私はここに着いた.あーあ疲れたなあ. (出典:萱野、方言:沙流)
- ikoanaynu
- イコアナイヌ §356.産―産婆;助産者(4)ikoan-aynu〔i-kó-a-naǐ-nu イこアナイヌ〕[i(それ)+ko(と共に)+an(いる)+aynu(人)]⦅シラウラ、トンナイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- inay
- イナイ 【名】[概](所は inaye(he) イナイェ(へ))[i-nay ものの・沢(谷)] 尻の割れ目。 {E: the crease of the buttocks} (出典:田村、方言:沙流)
- inay/inaye(he)
- イナイ/イナイェ(ヘ) 【inay/naye(he)】 背筋,びてい骨と肛門の間の窪み(尻の割れ目,脊柱に沿った部分). オッコー エン・カオピウキ ワ エン・コレ.ケヤイシトマ(ク・エヤイシトマ) コㇿカ ク・コㇿ イナイェヘ タ ポロ フㇷ゚ ヘトゥク イェオッ ノイネ フマㇱ コㇿカ ヤイカタ エネ クカリ(ク・カㇻ ヒ) カ イサㇺ ナ=お姉さん,私を助けてくれ.恥ずかしいけれども,びてい骨と肛門の間の窪みに大きい腫れ物が出来て膿を持っているらしいが,自分ではどうすることもできないから(みさおおばさんが聞かせてくれた実話). (出典:萱野、方言:沙流)
- inaye(he)
- イナイェ(ヘ) 【名】[所](概は inay イナイ)…の尻の割れ目(尻たぶの間)。 apto ruy wa ku=teyne ora kú=inaye opes nay san kane アㇷ゚ト ルイ ワ クテイネ オラ クイナイェ オペㇱ ナイ サン カネ 雨がひどくて私はぬれてお尻の割れ目を沢が流れている。(S) {E: the crease of the buttocks of…} (出典:田村、方言:沙流)
- innay(-e)
- インナイ §425.尻の溝innay(-e)〔ín-naǐ いンナイ〕[<ir(ひとつずきの)、nay(谷)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- ipeewenaynu
- イペエウェナイヌ §689.へんしょく(偏食)(2)食物についてえりぎらいする人 ipe-e-wen-aynu〔i-pé-e-wé-naǐ-nu イ舳・エ・うぇナイヌ〕[ipe(食物)+e(について)+wen(悪い、むずかしい)+aynu(人)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- iporoho oka sinnay
- イポロホ オカ シンナイ §169.顔色が変る;青くなる;色を失う(2)顔色が変[ってい]る iporoho oka sinnay〔i-pó-ro-ho-o-ká-šín-naǐイぽロホ・オか・しンナイ〕[顔色のありよう・別である]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kanay
- カナイ §094 コマイ (3) kanay(ka-nay)「カナイ」タラニ似テ小。ノトロ沼ニアリ(モシ)コマイ。 (出典:知里動物編、方言:)
- Kanaye
- カナイェ 【名】[地名](鵡川町内の地名、 上カナイと下カナイ、 現在の春日一区と春日二区)。 {E: place name.} (出典:田村、方言:沙流)
- kemsannay(-e)
- ケㇺサンナイ §492.血の川;血の流れkem-san-nay(-e)〔kém-san-naǐ けㇺ・サン・ナイ〕[kem(血)+san(流れ下る)+nay(川)]⦅ホロべツ、サル⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- kikanay(-an)
- キカナイ §228.体が達者である;健康である(3)kikanay(-an)〔ki-ká-naǐ キかナイ〕[kikanay(日本語「聞かない」から出て北海道和人方言では「腕白な」の意)]⦅タラントマリ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- kimunaynu
- キムナイヌ 【名】[kim-un-aynu 山・にいる・人間(男)] 山男(架空のもの、 鬼のようなもの)。 (「鬼」の訳語として出た。) {E: a mountain man; an ogre, demon.} (出典:田村、方言:沙流)
- manayta
- マナイタ 【名】[< 日本語]まないた。 (出典:田村、方言:沙流)
- menay(-he)
- メナイ §449.背(2)menay(-he)〔me-náǐ メなイ〕⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- menayhetokohse
- メナイヘトコㇹセ §462.せむし;くる病(4)menayhe-tokohse〔me-náǐ-he-to-koh-se メなイへ・トコㇹセ〕[その背が・凸出している]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- mompehcanay(-he)
- モンペㇸチャナイ §816.手指の股(2)mompeh-ca-nay(-he)〔móm-peh-ča-naǐ もンペㇸチャナイ〕[mompeh(手指)+ca(そば)+nay(沢)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- monnaitak/monnaytak
- モンナイタㇰ 【自動】[monna-itak (?)・しゃべる] 寝言を言う。 monnaytak kor an モンナイタㇰ コラン 寝言を言っている。(S) ☆参考 mokorkoitak モコㇿコイタㇰ とも言う。 {E: to talk in one's sleep.} (出典:田村、方言:沙流)
- monnaykata
- モンナイカタ 【mon-nay-kata】 目を覚ましたまま,眠っていないまま. ▷モンナイ(モナッ)=目覚め カタ=上に,ままに(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- naycar
- ナイチャㇻ 【名】[nay-car 沢・口] 沢口。 ☆参考 「口」を car チャㇻ と言うのは道東方言。 沙流方言では、 独立の名詞としては par パㇻ と言うが、 この語の中では car チャㇻ の形になっている。 {E: the mouth of a swamp, marsh.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- naycaus
- ナイチャウㇱ §288 ノダイオウ (4) naycaus (náy-ca-us)「なイチャウㇱ」[nay(川)ca(岸)us(に群生している)] 茎葉 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- naycus
- ナイチュㇱ §288 ノダイオウ (5) naycus (náy-cus)「なイチュㇱ」[<naycaus] 茎葉 ⦅白浦⦆ (出典:知里植物編、方言:)
- naye
- ナイェ 【他動】[nay-e すじ・(他動詞形成)] …にすじをつける。 tusa tuypoki ku=naye kor k=an トゥサ トゥイポキ クナイェ コㇿ カン 私は袖下にへらですじをつけている(和裁をしていて、 袖下の縫い目の位置に印をつけているとき)。(W) ☆参考 単数形の形だが複数形 naypa ナイパ は未出。 たくさんすじをつけることは naynaye ナイナイェ {E: to draw a line on, mark… (with a spatula.} (出典:田村、方言:沙流)
- nayetok
- ナイェトㇰ 【名】[概](所は nayetoko(ho) ナイェトコ(ホ))[nay-etok 沢・の先端] 沢の水源、 沢のいちばん奥。 {E: the source of a stream, swamp.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nayetok
- ナイェトㇰ 【nay-etok】 沢の源. (出典:萱野、方言:沙流)
- nayetoko(ho)
- ナイェトコ(ホ) 【名】[所](概は nayetok ナイェトㇰ)(その)沢の水源、 その沢のいちばん奥。 {E: the source of a stream, swamp.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nayiwor
- ナイウォㇿ 【名】[概](所は nayiwori ナイウォリ)[nay-iwor 沢・の中] 沢の中の水の流れている部分。 ☆発音 yi イ は yayirayke ヤイライケ《感謝する》の yi と同じで、 na ナ より高い。 英語の ear《耳》の イ ではなく year《年》の出だしの部分のように発音する。 ☆参考 nayruwor ナイルウォㇿ は沢の中(くぼんでいる所)全部。 {E: the area of a stream, swamp where the water is flowing.} (出典:田村、方言:沙流)
- nayiwori
- ナイウォリ 【名】[所](概は nayiwor ナイウォㇿ)…(沢)水の流れている部分。 nayiwori pirka ナイウォリ ピㇼカ (その沢の)水の流れる部分がよい。(S) (出典:田村、方言:沙流)
- naykosampa
- ナイコサンパ 【nay-kosampa】 さっと.しゅっと鳴る,響いて来る. カムイ イタカウ(イタㇰ ハウ) ナイコサンパ=神の声が響いて来た.タㇺピフㇺカン ナイコサンパ=刀を抜く音,しゅっと聞こえた. (出典:萱野、方言:沙流)
- naykotcep
- ナイコッチェㇷ゚ §068 サクラマス (2) naykotcep(náy-kot-čep)「なイコッチェㇷ゚」[<nay(谷川を)kor(支配する)cep(魚)]⦅幌別⦆マスのホッチャリ。 (出典:知里動物編、方言:)
- naykotcep
- ナイコッチェㇷ゚ §068 サクラマス (8) naykotcep(náy-kot-cep)「なイコッチェㇷ゚」⦅幌別⦆マスの老魚。マスのホッチャリ。 (出典:知里動物編、方言:)
- naynaye
- ナイナイェ 【他動】[naye の重複形]…にたくさんすじをつける。 sir-naynaye/sinnaynaye シンナイナイェ そこらじゅうにたくさんのすじをつける。 (出典:田村、方言:沙流)
- nayoput
- ナヨプッ 【nay-o-put】 沢尻,沢口. (出典:萱野、方言:沙流)
- nayoro
- ナヨロ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(31) nayoro (na-yó-ro)「ナよロ」[<nay(谷川、小川)or(内)o(に入る)]サケが産卵のために谷川(小川)に入る。――汚れものを洗った水などを流すからa-o-wakka-ku-nai(我らが・そこで・水を・飲む・小川)にcep nayoro ka somo ki(サケが川へ入らぬ)などと言う。⦅沙流⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nayorocep
- ナヨロチェㇷ゚ §069 ヤマベ(ヤマメ) (17) nay-oro-cep(nay-o-ro-čep)「ナヨロチェㇷ゚」⦅厚真⦆ (出典:知里動物編、方言:)
- nayorun
- ナヨルン 【nay-or-un】 沢へ. (出典:萱野、方言:沙流)
- nayorun
- ナヨルン §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(32) nay-orun 「ナヨルン」⦅布伏内⦆(サケ・マスなどが)川へ入る。 (出典:知里動物編、方言:)
- nayorun
- ナヨルン §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(33) nayorun 「ナヨルン」cep a-tukan kusu an pon-ku (出典:知里動物編、方言:)
- nayparur
- ナイパルㇽ 【nay-parur】 沢縁. ア・ウタリヒ シトゥ カリ ヘメㇱパ ナイパルㇽ タ イイェトコウㇱ クニ ア・イェ オヌマン パㇰノ アナン(アン・アン) ア コㇿカ オムケン・アン=私の仲間たちは尾根に登って行き,私は沢縁で待ち伏せするように言われ夕方までいたが何も獲れない. (出典:萱野、方言:沙流)
- nayponceh
- ナイポンチェㇸ §069 ヤマベ(ヤマメ) (18) nay-pon-ceh(nay-pon-čeh)「ナイポンチェㇸ」⦅新問⦆ヤマベ。 (出典:知里動物編、方言:)
- nayruwor
- ナイルウォㇿ 【名】[nay-ru-or 沢・道・の所] 沢の中全部(水のあるところもないところも含めて)。 ☆参考 nayiwor ナイウォㇿ 沢の中の水の流れている部分。 ☆参考 petruwor ペッルウォㇿ 川のために低くなっている所全体。 {E: a stream, swamp overall.} (出典:田村、方言:沙流)
- nayruwor
- ナイルウォㇿ 【nay-ru-wor】 沢の流れ:沢の中全体. (出典:萱野、方言:沙流)
- nayukurpe
- ナユクㇽペ §102 ヤツメウナギ、カワヤツメ、スナヤツメ b(5) nay-ukurpe(ná-yu-kur-pe)「なユクㇽペ」[nay(川)ukurpe(ウナギ)]⦅多来加⦆ヤツメ。 (出典:知里動物編、方言:)
- nuyranaya
- ヌイラナヤ 【名】[nuyra-naya キウリ・(?)]キウリ乾し場(キウリを串に刺して、 外の物干し棒にかけて干す、 その干してある所を言う)。 aynu-pa-kus, nuyranaya tanne naya henpak henpak oka ruwe! アイヌパークㇱ、 ヌイラナヤ タンネ ナヤ ヘンパㇰ ヘンパㇰ オカ ルウェ! いいねえキウリがあんなにたくさん干してある。(S) ☞nuyra ヌイラ (出典:田村、方言:沙流)
- okemtanayne
- オケㇺタナイネ 【自動】[o-kem-ta-nay-ne その尻・血・(?)・沢・になる] 尻の方からタラタラ血を流す。 ☆対語 ekemtanayne エケㇺタナイネ 頭の方からタラタラ血を流す。 {E: for blood to flow from one's behind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- okemtanayne
- オケㇺタナイネ §488.血が出る;出血する(5)血が川のように流れ落ちる o-kem-ta-nay-ne〔o-kém-ta-naǐ-ne オけㇺタナイネ〕[o(そこにおいて、それによって、「それ」というのは次に来るkemを指す)+kem(血)+ta(強めの辞、o-kem-ta「血・に上りて・こそ」)+nay(川)+ne(をなす)]⦅ホロべツ⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
- okkanay
- オッカナイ 【間投】[日本語] 「おっかない」(=恐ろしい、 すごい)。 {E: in great fear of.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oksutpinnay(-e)
- オㇰスッピンナイ §135.うなじ;えりくび(10)ぼんのくぼ oksut-pinnay(-e)〔ók-sut-pin-naǐ おㇰスッピンナイ〕[うなじの・細い谷]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- okuyetunnay
- オクイェトゥンナイ 【okuy-e-tunnay】 小便で弧を描く.▷オクイ=小便 エ=それで トゥンナイ=弧を描く (出典:萱野、方言:沙流)
- onnay
- オンナイ 【位名】[概](所は onnayke(he) オンナイケ(ヘ)) …の中、 …の内部。 cise onnay チセ オンナイ 家の中(内部)。 suwop onnay ta an スウォㇷ゚ オンナイ タ アン (それは)箱の中にある。(S) ☆参考 家や部屋の「中」を表現するのに、 ユーカラ(英雄叙事詩)や民話などの文学的表現ではよく、 upsor ウプソㇿ《ふところ》の語が使われる。 一方、 草むらの中、 林の中、 土の中などは、 onnay オンナイ とは言わず tum トゥㇺ と言う。 ほかに、 「…の中」と訳せる語は、 or オㇿ、 nikor ニコㇿ、 iwor イウォㇿ 等々たくさんあり、 それぞれ意味が異なる。 {E: the inside of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- onnay/onnayke
- オンナイ/オンナイケ 【onnay/onnayke】 中,内部,屋内. モㇱアナクス(モㇱ・アン アクス) アリタオマㇷ゚ オンナイケ タ アナン(アン・アン) オヤチキ チㇷ゚ オㇿ アイヨマレ(ア・イ・オマレ) ワ ア・イ・モㇺカ ヒ ネ アアン=目を覚ましたら板付け船の中であった.知らなかったが船に入れられ流されたのであった[ユ].チセ オンナイ タ ネㇷ゚カ ア・トゥライヌ コㇿ スワッ ユㇷ゚ケノ ア・シナ コㇿ ホクレ フナラ ワ エン・コレ シコㇿ ア・イェ コㇿ ア・パ ㇷ゚ ネ ワー=家の中で何かなくなると,炉釣を強く紐で縛り「早く捜してくれ」と言うと発見できるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- onnayke(he)
- オンナイケ(ヘ) 【位名】その中、 その内部。 onnayke ame o kane tópenpe オンナイケ アメ オ カネ トペンペ 中にあめが入っている甘いおかし。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- Osatnay
- オサッナイ 【名】[o-sat-nay その尻・乾く・沢][地名] 長知内(おさちない)、沙流川中流の二風谷からペナコリを経てさらに北へ、振内(ふれない)の方へ向かって行った川の西側(右岸)にある集落。 ☆参考 山田秀三『北海道の地名』によれば、「この川は乾期になると流水がなくなって川底が乾くのでその名があった」。 (出典:田村、方言:沙流)
- otonaykari
- オトナイカリ §566.ねる(寝る)(10)朝寝坊する otonaykari〔o-tó-naǐ-ka-ri オとナイカリ〕⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- oukotnay
- オウコッナイ 【o-u-kot-nay】 沢尻がくっついた沢:平取町振内にある地名.▷オ=尻 ウ=互い コッ=つく ナイ=沢 (出典:萱野、方言:沙流)
- pakenaynay
- パケナイナイ 【pake-naynay】 エゾバカガイ. (出典:萱野、方言:沙流)
- pínay
- ピナイ 【名】[< pi-nay 小石(?)・沢] 谷、 狭い険しい谷川。 {E: a valley.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pinay
- ピナイ 【pinay】 谷川,沢, (出典:萱野、方言:沙流)
- pónayay
- ポナヤイ 【名】[pon-ayay 小さい・(泣き声の擬音重複)] 赤ん坊(生まれてから二、 三歳まで)。 ☆参考 沙流川下流のサダモさんが言う。 中流の人は tennep テンネㇷ゚ 等の語を使う。赤ん坊や幼児を表す語は、 ほかにもたくさんある。 ☞ponpe ポンペ、 síon シオン、 poyson ポイソン、 yarpe ヤㇻペ、 yarpeomap ヤㇻペオマㇷ゚、 yarpesamomap ヤㇻペサモマㇷ゚ {E: a baby (from birth up to about 2 or 3 years old).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ponayay
- ポナヤイ 【pon-ayay】 赤ん坊. (出典:萱野、方言:沙流)
- ponaynu
- ポナイヌ §006.若者;青少年(8)pon-aynu〔pó-naǐ-nu ぽナイヌ〕[pon(年少の)+aynu(男)]⦅ホロベツ⦆【雅】①若者。(ユ研Ⅱ, p.815)。②小男。③⦅シャリ⦆いわゆるコロポックル。"ay kor〜"「矢を持つ若者」⦅ユ研Ⅰ, p.173⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- rawnepinay
- ラウネピナイ 【rawne pinay】 深い谷川. (出典:萱野、方言:沙流)
- ray cep turse ekannayukar
- ライ チェㇷ゚ トゥㇽセ エカンナユカㇻ §067 サケ あきあじ、あきやじ 他(34) ray čep turse ekannayukar 「ライ チェㇷ゚ トゥㇽセ エカンナユカㇻ」ユ396 (出典:知里動物編、方言:)
- rupesnay
- ルペㇱナイ 【ru-pes-nay】 道をたどる沢. (出典:萱野、方言:沙流)
- sieminayarpe
- シエミナヤㇻペ 【si-e-mina-yar-pe】 道化者. (出典:萱野、方言:沙流)
- sikaesinayar
- シカエシナヤㇻ 【si-ka-esina-yar】 自分の秘密を他に漏らさないように頼む.▷シ=自ら エシナ=隠す ヤㇻ=させる (出典:萱野、方言:沙流)
- sinnaycikap
- シンナイチカップ §419 (その他の鳥名) (29) sinnay-cikap(sin-nay-či-kap)「シンナイチかップ」⦅幌別⦆[=sinna-čikap] (出典:知里動物編、方言:)
- sinnaynaye
- シンナイナイェ 【自動】[sir-nay-nay-e あたり・にすじをつける(語根)・(重複)・(他動詞形成)] あたり一面にたくさんのすじをつける(用例では、 紙の上に字を書くことを表現している)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinnaynaye
- シンナイナイェ 【sir-nay-nay-e】 大地に絵を描くこと,堅くなった土に文字を書き,それを柔らかい土で隠す土遊びの類い. *昭和10年前後,アイヌの子供たちで,字隠しという言い方で遊んだものであった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- sinnayno
- シンナイノ 【副】[sinna-y-no 違っている・(挿入音)・(副詞形成)] 違って、 別に、 異なるように。 katuhu sinnayno an カトゥフ シンナイノ アン 姿かたちが違っている。 {E: differently; as if different.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- sinnayno
- シンナイノ 【sinnay no】 別に. ウウェシンナイノ=別々に. (出典:萱野、方言:沙流)
- sinnayno an
- シンナイノ アン 【sinnayno an】 変わる,違う. (出典:萱野、方言:沙流)
- sir-naynaye
- シンナイナイェ 【自動】[sir-nay-nay-e あたり・(すじをつけることを表す語根)・(重複)・(他動詞形成)]あたり一面にたくさんのすじをつける(ノートに文字を書くことを冗談に言っている)。(S会話) (出典:田村、方言:沙流)
- tatpaskararase ekannayukar
- タッパㇱカララセ エカンナユカㇻ 【tat-pas-karara-se e-kanna-yukar】 樺皮を燃やした時に黒い炭が手などにからみつく痛さを再現した言葉,激痛が走る. ▷タッ=樺 パㇱ=炭 カララセ=からまる エ=それ カンナ=再び ユカㇻ=真似る *痛さに対しての表現であるが,何々の時のような痛さと具体的に言う.今様に言うならば燃えているゴムの塊の一部など,べたっとした物が手にからみついたような痛さということ.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
- tunnay
- トゥンナイ 【自動】ビューとふき出る。 {E: to gush, rush out.} (出典:田村、方言:沙流)
- uhonnayke
- ウホンナイケ §755.むね(胸)(2)胸腔 uh-onnayke〔úh-on-naǐ-ke うㇷ・オンナイケ〕[uh(?)+onnayke(内部)]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- usinnayno
- ウシンナイノ 【副】[u-sinna-y-no 互い・(と)異なる・挿入音・(副詞形成)] 互いに異なって。 {E: mutually different.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwesinnayno
- ウウェシンナイノ 【副】別々に(互いに異なるように)。 {E: separately.} (出典:田村、方言:沙流)
- uwesinnayno
- ウウェシンナイノ 【u-e-sinnay no】 別々に,違って. タパン センカキ ウネノ オカ ペコㇿ ク・ヤイヌ ㇷ゚ アタイェヘ ウウェシンナイノ アン ワ コヤモㇰテ(ク・オヤモㇰテ)=この布地は同じ物のように思うのに,値段が別々になっていて私は不審に思っている.ペッ シンナ コㇿ イポㇿセ カ ウウェシンナイノ アン ペ カ アン=川が違うと表現のしかたが違うものもある. (出典:萱野、方言:沙流)
- uwesinnayno an
- ウウェシンナイノ アン 【u-e-sinnay no an】 別々だ. ウネノ アン ペコㇿ ク・ヤイヌ クス ク・コㇿ ワ ケㇰ(ク・エㇰ) アㇷ゚ オヤチキ ウオヤㇷ゚ ネ アアン ワ シリキヒ カ ウウェシンナイノアン=同じ物のように思ったので持って来たのに,知らなかったが違うものであった,模様も別々であった. (出典:萱野、方言:沙流)
- uwesinnayno oka
- ウウェシンナイノ オカ 【u-e-sinnay no oka】 形が違う. ウネノ オカ ペコㇿ ネ ヒクス ク・コㇿ ワ ケㇰ(ク・エㇰ) ピㇼカノ ク・ヌカㇻ アクス ウウェシンナイノ オカ ケサッチャン(ク・エサッチャン) ペ ネ=同じようなので持って来てよく見たら形が違うので私はちょっと気にくわないのだ. (出典:萱野、方言:沙流)
- wenaynu
- ウェナイヌ 【名】[wen-aynu 悪い・人間/男] 悪い男、 悪党(=wenokkayo ウェノッカヨ)。 ☆参考 wenkur ウェンクㇽ は《貧しい人》、 e=kor wen aynu エコㇿ ウェン アイヌ は《あなた/お前の悪いおとうさん》。 {E: a bad person, man, a villain.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaynenayne
- ヤイネナイネ 【副】[雅]そろいで。 retar kosonte/retar cipanup/yaynenayne/esipine pe レタㇻ コソンテ/レタッ チパヌㇷ゚/ヤイネナイネ/エシピネ ペ [雅]白い小袖白い頭飾りの鉢巻をそろいで身につけているやつが。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- asama(ha)
- アサマ(ハ) 【名】[所](概は asam アサㇺ) …の底、 それの底。 onnayke wa asamaha オンナイケ ワ アサマハ (入れ物の) 内側の底。 soynake wa asamaha ソイナケ ワ アサマハ 外側の底。 {E: the bottom of…} (出典:田村、方言:沙流)
- áy-ay
- アイアイ/アヤイ 【名】[幼] 人形、 赤ちゃん。 ku=kor áy-ay kakka クコㇿ アイアイ カッカ [幼]私の赤ちゃんおんぶ(人形をおんぶする)。(S) unarpe, áyay en=kayre ウナㇻペ、 アヤイ エンカイレ おばさん、 赤ちゃんをおんぶさせて。(W) ☆参考 pónayay ポナヤイ (人間の)赤ちゃん。 {E: a doll; a baby.} (出典:田村、方言:沙流)
- cárase
- チャラセ 【自動】[cara-se (擬態の語根)・…という] すべる、 すべりおりる(平らな所でも)。 cárase kor payoka チャラセ コㇿ パヨカ (子どもたちでも)すべって遊ぶ。(S) cárase nay チャラセ ナイ ザーッとすべりおりる沢。(S) ☆参考 carse チャㇻセ スピードを上げてすべり下りる。 {E: to slip, slide (down).} (出典:田村、方言:沙流)
- eramaspa
- エラマㇱパ 【他動】[複](単は eramasu エラマス)皆でおもしろく思う。 nep ka sinnayno oka a=erámaspa p hene oka wa ne kunak ku=ramu ネㇷ゚ カ シンナイノ オカ アエラマㇱパㇷ゚ ヘネ オカ ワ ネ クナㇰ クラム 何か変わったおもしろいものでもあるからかと思った。(S) {E: for everyone to think that something is funny.} (出典:田村、方言:沙流)
- esipine
- エシピネ 【他動】[e-sipine …で・身まかないする](衣類)を身につける。 retar cipanup/yaynenayne/esipine pe レタッ チパヌㇷ゚/ヤイネナイネ/エシピネ ペ [雅]白い頭飾りの鉢巻をそろいで身につけているのが。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- esitcatcari
- エシッチャッチャリ 【他動】[e-sir-catcari …で・あたり・…を散らす]…で散らかる、 …が散らかっている。 cise onnay epitta mun esitcatcari wa an, icakkere チセ オンナイ エピッタ ムン エシッチャッチャリ ワ アン、 イチャッケレ 家じゅうごみが散らかっていてきたない。(S) {E: to make…messy, untidy.} (出典:田村、方言:沙流)
- etok 2
- エトㇰ 【位名】[< etok1](pet ペッ《川》、 nay ナイ《沢》などの後に置かれ、 しばしば一語になって)(河川)のいちばん奥、 水源地。 petetok ペテトㇰ 川の水源地。 nayetok ナイェトㇰ 沢の水源地。 {E: the source of (a river).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- etoko(ho)
- エトコ(ホ) 【位名】[所](概は etok エトㇰ) ①…の先、 前。 etoko ta anak siyeye nukar kur ne a korka tane anak somo no an エトコ タ アナㇰ シイェイェ ヌカㇻ クㇽ ネ ア コㇿカ タネ アナㇰ ソモ ノ アン (彼は)以前には病気を見る人(=医者)だったけれど今はそれはやめている。(S) etoko un cup エトコ ウン チュㇷ゚ 前の月。 etoko un to エトコ ウン ト 前の日。 ②(河川)のいちばん奥、 水源地。 petetoko(ho) ペテトコ(ホ) その川すじ/その集落の川の水源地。 a=kor Sar kotan petetokoho アコㇿ サㇻ コタン ペテトコホ 私たちの沙流川流域集落の川の水源地。(W民話) nayetoko(ho) ナイェトコ(ホ) その沢すじ/その地域の沢の水源地。 yu etoko ユ エトコ 温泉の水源。 ruetoko/ruwetoko ルエトコ/ルウェトコ 進んで行く先。 {E: ①ahead of… ②the source of (a river).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- eyam
- エヤㇺ 【他動】…を大切にする、 …を大切にしまう、 …を心にかける、 …を気づかう。 a=eyám アエヤㇺ …が気がかりである、 …があぶない。 a=ukóhoppa wa oka he an? iyaykipte, ape or un ka a=eyám, nay or un ka a=eyám アウコホッパ ワ オカ ヘ アン? イヤイキㇷ゚テ、 アペ オルン カ アエヤㇺ、 ナイ オルン カ アエヤㇺ 子どもたちばかりで留守に置かれているの? あぶないなあ、 火のそばもあぶない、 川のほうもあぶない。(S) {E: to treat…importantly; to keep…safe.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- heyapte
- ヘヤㇷ゚テ 【自動/副】(?)[he-yap-te 頭を・上陸する・させる] 海の方から山の方へ向かって行く/向かっている。 heyapte heyapte pon nay uwato ápekor síran ヘヤㇷ゚テ ヘヤㇷ゚テ ポン ナイ ウワト アペコㇿ シラン 山の方へ山の方へと小さな沢がたくさん並んだようになっている。(S) {E: to face, leave for the mountains from the sea.} (出典:田村、方言:沙流)
- hutne
- フッネ 【自動】[hut-ne (?)・(のよう)である]せまい(幅も面積も)。 hutne uske フッネ ウㇱケ せまい場所。(S) hutne ru フッネ ル せまい道。(S) hutne pínay フッネ ピナイ せまい谷。(W民話) ☆対語 sep セㇷ゚ 広い。 {E: to be narrow; confined.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- i- 4
- イ 【接頭】[< 人接 i=] ①[人接 i= イ 5 の ④の用法](他動詞・後置副詞・位置名詞など、 目的語を取る語に接頭して、 その目的語の代りになる。 したがって、 目的語を一つ取る他動詞にこれが接頭すると自動詞になり、 目的語を二つ取る他動詞すなわち複他動詞にこれが接頭すると、 目的語を一つだけ取る他動詞すなわち単他動詞になる。 この種の接頭辞には他に u- ウ《互い》、 yay- ヤイ《自分》、 si- シ《自分》がある。)一般に人を/に/の、 ものを/に/の。 tura トゥラ …と同行する;itura イトゥラ 人と同行する。 huraye フライェ …を洗う;ihuraye イフライェ ものを洗う、 洗いもの(洗濯)をする。 ②(語によって、 特殊な意味にきまっている場合もある。) ku ク …を飲む;iku イク 酒類を飲む。 omap オマㇷ゚ …をかわいがる; iyomap イヨマㇷ゚ [< i-omap]子どもをかわいがる。 ③(普通名詞に接頭して)一般的に人の…(普通名詞は通常目的語を取らないが、 限られた決まった語で普通名詞にこの i- イ が接頭してつくられているものがある。 だいたい身体部分の名称と親族名称で、 所属形の場合が多いが、 一つの名詞として固まった語や、 さらに他の要素がついた派生語の中では、 概念形も現れる)。 maci(hi) マチ(ヒ) …の妻; imaci(hi) イマチ(ヒ) 人の妻、 妻のほう。 nay ナイ 沢;inay イナイ [概]/inaye イナイェ [所]尻の割れ目(尻たぶの間)。 ④(i-の接頭した名詞が何かあるものを所属の対象とする名詞として固まっている場合もある。) ruwe(he) ルウェ(ヘ) …の通った跡;iruwe(he) イルウェ(ヘ) 熊の足跡。 sapa サパ 頭;isapakikni イサパキㇰニ 鮭の頭をたたく木の棒 ⑤(その他の決まった語構成)i-…-ne ネ (「…」のところに親族名称の概念形が入る。 これまでの用例ではいつも連体的に使われている。) mátak マタㇰ 妹;imatakne イマタㇰネ 人の妹である、 姉妹のうちの妹のほうの。 ☆参考 本辞典では原則として、 この i= イ を切り離さず、 これの接頭した語全体を見出しに出してあるので、 i イ で始まる諸項目の中で分析表示の中に i- イ とあり「人」「もの」の訳のついているものを参照。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- iwor 2
- イウォㇿ 【位名】…の中(両側または周囲を仕切られた中を言うらしい)。 sem iwor セㇺ イウォㇿ(=sem onnay セㇺ オンナイ)物置の中。 {E: the hollow of…} (出典:田村、方言:沙流)
- iyapo
- イヤポ 【名】父、 おとうさん。 ku=kor iyapo クコㇿ イヤポ/クコリヤポ 私の父。(S) iyapo! イヤポ! おとうさん(呼びかけ。 遠くから呼ぶときなどイヤポーと伸ばして発音する)。 iyapo kor イヤポ コㇿ 父方の。 iyapo kor húci イヤポ コㇿ フチ 父方の祖母(=父の母)。(S) ☆参考 沙流川下流から鵡川にかけて使う。 沙流川・門別川中流以上では míci ミチ を使う。 ワテケ(鳩沢ふじの)さんは、 沙流川下流の福満に生まれ育ったが、 父親がずっと山の方の Hatonay ハトナイ(鳩内)の人だったため、 子どものときから míci ミチ を使っていた。 それで大人になってからも míci ミチ を使う。 呼びかけは ku=mici クミチ。 異父妹のサダモさんは養父母が川下の人だったため iyapo イヤポ を使う。(W−S) ☞míci ミチ {E: father.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kari 3
- カリ 【後副】(経由する所を示す。)(そこ)から、 (そこ)を通って。 puyar kari ahunte プヤㇻ カリ アフンテ 窓から入れる。 sep pínay kari kira セㇷ゚ ピナイ カリ キラ 広い谷を通って逃げる。(W民話) atuy sinpuy an híne kari ahup akusu アトゥイ シンプイ アン ヒネ カリ アフㇷ゚ アクス 海の水の湧き出る所があって彼らがそこから入って行くと。(S民話) k=áhun a korka kari ku=soyne hi ka k=érampewtek カフン ア コㇿカ カリ クソイネ ヒ カ ケランペテㇰ 私は入ったけれど(そこを通って)出る所が(出口が)わからない。(S) {E: (pass) through, along, by.} (出典:田村、方言:沙流)
- kes(-e-i)
- ケㇱ §016.子孫(21)kes(-e;-i)〔kéš けㇱ〕⦅H. S.⦆子孫;後裔。Naytom nispa kesehe「ナイトムの酋長の子孫」⦅あいぬ物語, p.3⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- keseke
- ケセケ §016.子孫(22)keseke〔ke-sé-ke ケせケ〕⦅カラフト⦆後裔。Naytom nispa 〜 ta tani an aynu neampe Naytoo nax ay-ye re koro 「ナイトム村の酋長の後裔で今いる人は内藤という名を持っている」⦅あいぬ物語, p.3⦆。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- koar-uweun/koaruweun
- コアㇻウウェウン/コアルウェウン 【自動】[ko-ar-uweun (雅語で叙述を導く)…が・全く・そろっている][雅] …がそろっている。 (次のような文脈で)…のひとそろいを、 …を全部そろいで。 kunne kosonte/kunne cipanup/koar-uweun/yaynenayne/esipine pe クンネ コソンテ/クンネ チパヌㇷ゚/コアㇻウウェウン/ヤイネナイネ/エシピネ ペ [雅]黒い小袖、 黒い頭かざりのひとそろいを上から下までそろいで身につけている者。(Sユーカラ) kamuy cipanup/kamuy ninkari/kamuy tamasay/koaruweun/sánasapte カムイ チパヌㇷ゚/カムイ ニンカリ/カムイ タマサイ/コアルウェウン/サナサㇷ゚テ [雅]立派な頭飾り、 立派な耳飾り立派な耳飾りを全部そろいで出してきた。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- matah(k-i)
- マタㇵ §026.妹(4)matah(k-i)〔má-tah まタㇵ〕⦅シラウラ、マオカ⦆【常、雅】妹(女が言う)。[<mat-ak]。"innayno an-mataki"「これ妹よ」。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
- míci
- ミチ 【名】父、 おとうさん。 (1人称単数《私の父》のときだけ人称接頭辞がつく。 語末に hi ヒ はつかない。) ku=mici クミチ 私の父。 (その他の人称では「…の」を表すのに kor コㇿ が使われる。) kor mici コㇿ ミチ 彼の父。 (呼び掛けは ku=ク をつけて言う。) ku=mici クミチ! おとうさん! ☆参考 沙流川・門別川の中流以上の地域の人が使う。 沙流川下流および鵡川下流地域の人は iyapo イヤポ。 ワテケさんは沙流川下流の出身だが父親が奥の Hatonay ハトナイ の人だったため míci ミチ を使う。(W) {E: a father.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- mom
- モㇺ 【自動】(ものが水中などを)流れる。 mom hike mom, a=turáynu hike a=turáynu モㇺ ヒケ モㇺ、 アトゥライヌ ヒケ アトゥライヌ (洪水で)流れるものは流れ、 見つからない者は見つからなくなった=流された人や行方不明になった人々がいた。(S会話) ☆参考 水などが流れることにはこの語は使わず、 次のように言う。 ciw kus チウ クㇱ 流れが(そこを)通る、 nay san ナイ サン 沢が流れる。 {E: to flow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Moypeci
- モイペチ 【名】[地名] 現在の勇払郡鵡川町春日3区。 ☆参考 春日1区と春日2区は Kanaye カナイェ。 {E: place name.} (出典:田村、方言:沙流)
- mun-soyokuta
- ムンソヨクタ 【自動】[mun-soy-okuta 草/ごみ・外・に…を捨てる] ごみを外へ出す(=mun soyokuta ムン ソヨクタ)。 mun-soyokuta=an wa cise onnay a=kerkeri ayne ムンソヨクタアン マ チセ オンナイ アケㇾケリ アイネ 私はごみを外へ出し家の中をガリガリと掃き掃除をして。(W民話) {E: to put, take out rubbish.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- nise
- ニセ 【他動】(水など)を汲む。 nay or wa wakka nise ナイ オㇿ ワ ワッカ ニセ 沢から水を汲む。 {E: to scoop (up), draw (water etc.).} (出典:田村、方言:沙流)
- oka 1
- オカ 【自動】[複](単は an アン) ①(二人以上/二つ以上が)ある、 いる、 住んでいる、 暮らしている。 ②(副詞の後に置かれて)…である。 usa oka ウサ オカ いろいろな。 sinnayno oka シンナイノ オカ (二人/二つ以上が)違っている。 …noyne oka …ノイネ オカ (二人/二つ以上が)…らしい。 …néno oka …ネノ オカ (二人/二つ以上が)…に似ている。 kusu oka クス オカ (二人/二つ以上が)とても…である。 sattek kusu oka サッテㇰ クス オカ 二人ともひどくやせている。(S会話) ③[補助動詞] …kor oka コㇿ オカ/コロカ (二人以上が)…しつつある。 horippa kor oka ホリッパ コㇿ オカ/コロカ (彼らは)踊っている。 …wa oka ワ オカ (二人/二つ以上が) …している、 もう…して(しまって)いる、 …してある。 númo wa oka ヌモ ワ オカ (皆)実が入っている。 ④[熟語] oka kus keray オカ クㇱ ケライ (二人以上の)…のおかげで。 (注 oka オカ は複、 単は an アン。) ☆参考 -pa パ(複数語尾)の前と pe ペ《もの、 の》の前では okay オカイ の形をとり、 okaypa オカイパ、 okay pe オカイ ペ となる。 他の母音で終わる動詞のように p ㇷ゚ は使われない(oka p オカㇷ゚ とは言わない)。 {E: to be; live, be living (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ossi
- オッシ 【名】[概](所は ossike(he) オッシケ(ヘ)) ①…の中(概の用例は未出。 ☞ossike オッシケ)。 ②…の腹の中(概の用例は未出。 ☞ossike オッシケ)。 ③物を考える腹の中、 心の中。 ossi or ta オッシ オッタ 腹の中で、 心の中で。 ossi or péka オッシ オㇿ ペカ 心の中で。 sekor ramuan=an wa ossi or ta iyosserkere=an kor án=an セコㇿ ラムアナン ワ オッシ オッタ イヨッセㇾケレアン コㇿ アナン 私は…と思って、 腹の中で(心の中で)困ったなと思っていたが。(NK民話) ☆参考 onnay オンナイ 入れ物や建物など、 中が空洞になっているものの内部。 tum トゥㇺ 土や草など、 細かいものがたくさんあるそのただ中。 {E: in one's guts stomach; in one's heart.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ounoun
- オウノウン 【他動】[o-un-oun …につまって抜けられない・(重複)](狭いところで) …につかえる、 (そこ)につかえて抜けられない。 i=os etaspe ek a p , néa pínay hutne p ne kusu, ounoun híne i=os ek ka eaykap イオㇱ エタㇱペ エカㇷ゚、 ネア ピナイ フッネㇷ゚ ネ クス、 オウノウン ヒネ イオㇱ エㇰ カ エアイカㇷ゚ 私のあとをトドが追いかけて来たが、 その谷はせまいので、 トドはつかえてしまって私のあとを追って来ることができない。(W民話) ☆参考 euneun エウネウン は家や部屋の入口でためらってさっさと中に入らずに留まっていることを言う。 ounoun オウノウン は反対に、 狭いところに入ったものが抜けられなくて留まっていることを言う。 {E: to get stuck on, caught in( a narrow area, place).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- oyakoyak
- オヤコヤㇰ 【位名】[oyak-oyak 他の所・(重複)] あちこち、 いろいろ違った所。 oyakoyak mun us wa okere オヤコヤㇰ ムン ウㇱ ワ オケレ 方々(ほうぼう)に草がたくさん生えた。(S) cise onnay oyakoyak pirka tunpu o チセ オンナイ オヤコヤㇰ ピㇼカ トゥンプ オ 家の中あちこちにいい部屋がある。(S) {E: here and there; different places.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- parpok
- パㇻポㇰ 【位名】[par-pok 口・の下] …の出入口の所、 …のすぐそば。 inawcipa parpok イナウチパ パㇻポㇰ 幣場(御幣を立ててある所)の入口、 幣場のすぐそば。(NK民話) naycar parpok ナイチャㇻ パㇻポㇰ 沢の出口。(NK民話) nusa parpok ヌサ パㇻポㇰ 祭壇の後ろの所。(HC民話) {E: the exit, entrance of…; nearby…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- pet 1
- ペッ 【名】川。 pon pet ポン ペッ 小さい川、 小川。(S) pet íka ペッ イカ 川があふれる。 pet turasi arpa ペッ トゥラシ アㇻパ 川沿いに川上へ行く。 pet pes san ペッ ペㇱ サン 川沿いに川下へ行く/来る。 pet or un ran ペトルン ラン 川のところへ下りる。 pet or ta ペトッタ 川に、 川で。 ☆参考 この地方では、 沙流川や鵡川や門別川のような、 地域を代表する川を言う。 上流の枝川や沢のことは nay ナイ と言う。 概して pet ペッ のほうが大きく、 nay ナイ は細いところから出てくるものが多いが、 この地域の川はこれ、 というのであれば小さくても pet ペッ と言い、 枝川や沢はたとえ大きくても nay ナイ と言う。 {E: a river.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- rápok
- ラポㇰ 【位名】[概](所は rápoki, rapokke ラポキ、 ラポッケ) ①(多くの場合、 動詞句の後に置かれる。) …している間、 …している途中、 …している時。 rápok ta ラポㇰ タ …している間に。 ipe rápok ta ek kor an イペ ラポㇰ タ エㇰ コラン 食べている最中に彼は来ている(来つつある)。 a=kor híne sóyonpa=an rápok ta ne pon menoko anakne アコㇿ ヒネ ソヨンパアン ラポㇰ タ ネ ポン メノコ アナㇰネ (私がそれを)持って外へ出て行っているときにその娘は…。(W民話) ②(rápok ラポㇰ がついてできた句は、 格助詞を伴わずそのままでも連用語(副詞句)となる。) tókap ne kunak a=ramu rápok sirkunne トカㇷ゚ ネ クナㇰ アラム ラポㇰ シㇼクンネ 昼間だと思っている間に暗くなった。(W会話) hńta kus e=nimara nepki kor oka rápok sinenne e=a wa e=an フンタ クㇱ エニマラ ネㇷ゚キ コロカ ラポㇰ シネンネ エア ワ エアン なぜあなたの連れが働いているのにあなたは一人で座っているんだ。(S) a=yupíhi nína inawcipa kar, rápok asinuma cise onnay wano a=kerkeri アユピヒ ニナ イナウチパ カㇻ、 ラポㇰ アシヌマ チセ オンナイ ワノ アケㇾケリ 兄はたきぎを取って来たり幣場をつくったりしていた、 その間私は家の中から外まで掃除をしていた。(KH民話) ☆参考 概念形 rápok ラポㇰ と所属形 rapoki/rapokke ラポキ/ラポッケ の用法の違いは不明。 {E: ①at the time of doing…; in the middle of doing…; while doing… ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ruwekaricup
- ルウェカリチュㇷ゚ 【名】[ru-w-ekari-cup 通り道・(挿入音)・を先回りする・月][古](月の名)11月。 yukkesanpa=an wa kusu ruwekari-cup sekor a=ye ユッケサンパアン マ クス ルウェカリチュㇷ゚ セコライェ 鹿追いをするからルウェカリチュプ《先回りする月》と言う(雪もあまり「おっきくなく」(たくさん積もらず)草もじゃましないので nayetok ナイェトㇰ《沢の水源地》に行って前からつかまえる)。(W) ☆参考 ruekaricup ルエカリチュㇷ゚ とも言う。(W) (出典:田村、方言:沙流)
- ruwor
- ルウォㇿ 【位名】[概](所は ruworo ルウォロ)[ru-or 道/筋・のところ](pet ペッ《川》、 nay ナイ《沢》の後に置かれて、 河川の流域の低地を表す。) ☞petruwor ペッルウォㇿ、 nayruwor ナイルウォㇿ (出典:田村、方言:沙流)
- sinna
- シンナ 【自動】①別である、 別になっている、 違う。 …sinna…sinna… …シンナ…シンナ …と…は別になっている。 irenka itak sinna, yayirayke itak sinna, kamuynomi itak sinna イレンカ イタㇰ シンナ、 ヤイライケ イタㇰ シンナ、 カムイノミ イタㇰ シンナ 裁判の言葉やお礼の言葉や神祈とうの言葉をそれぞれ別々に…。 ② ☞eypottumma sinna エイポットゥンマ シンナ ☆参考 [副]は sinnayno シンナイノ 違って。 {E: to be separate; different.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- soske
- ソㇱケ 【自動】[sos-ke 薄片・(自動詞形成)] めくれてはがれる、 むける。 pínay uwekari soske ピナイ ウウェカリ ソㇱケ 谷が両方からむけた(=谷の両側の崖がくずれた)。 soske ewen ソㇱケ エウェン (木の皮などが)きれいにむけない。(S) {E: to be peeled (off).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- soy
- ソイ 【位名】[概](所は soyke(he)) ①(独立的に)外、 戸外、 家の前/門口、 家の近く。 soy ta a=eywanke p ソイ タ アエイワンケㇷ゚ 外(戸外)で使うもの。 W ②(相対的に)…の外、 (家)の前/門口、 (家)の近く。 ☆対語 onnay オンナイ、 aw アウ。 {E: ① outside; the gateway to one's house; near one's house. ② outside…; near (one's house).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- soypa
- ソイパ 【他動】…をえぐる。 hńta kus taan cikuni onnayke e=soypa ruwe an? フンタ クㇱ タアン チクニ オンナイケ エソイパ ルウェ アン? どうしてこの木の中をくりぬいたの ? (S) ☆参考 複数形の形だが単数形の形の soye ソイェ は独立の動詞としては未出。 独立には、 数に関係なく soypa ソイパ が使われるのかもしれない。 {E: to scoop, gouge out…} (出典:田村、方言:沙流)
- tennep
- テンネㇷ゚ 【名】[tenne(< teyne)-p ぬれている・もの] 赤ん坊、 赤ちゃん。 ☆参考 沙流川下流のサダモさんはこの語を使わず、 pónayay ポナヤイ を使う。 ほかにも赤ん坊や乳幼児を表す語は豊富にある。 ☞teynesi テイネシ、 síus シウㇱ、 síon シオン、 son ソン、 poyson ポイソン、 yarpe ヤㇻペ、 yarpeomap ヤㇻペオマㇷ゚、 yarpesamomap ヤㇻペサモマㇷ゚、 ponpe ポンペ {E: a baby.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tom 2
- トㇺ 【位名】[概](所は tomo トモ) ①面の中ほど、 ぶつかったりたたいたりめがけて向かって行ったりする対象の位置。 pira tom wa carase nay ピラ トㇺ ワ チャラセ ナイ 崖の中ほどから流れ下る沢。(S) hur tom wa フットンマ 山の斜面の中ほどから。(S) en=tom unno sukus tom wa ku=sesek エントㇺ ウンノ スクㇱ トㇺ ワ クセセㇰ 私に日がさして暑い(後の tom トㇺ は《照る》)。(S) ② ☞tom(o) osma トㇺ/トモ オㇱマ。 ☞tom(o) oytak トㇺ/トモ オイタㇰ。 ③(動名詞の後に置かれて)…している最中に。 inkar tom ta インカッ トㇺ タ [慣用句]見てる間に。(S) urameturente wa nepkipa p ne kusu, inkar tom ta nispa nepa ウラメトゥレンテ ワ ネㇷ゚キパㇷ゚ ネ クス、 インカッ トㇺ タ ニㇱパ ネパ (彼らは)心を合わせて皆で働くものだから、 見る見るうちに金持ちになる。(S) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tomari
- トマリ 【名】[< 日本語とまり(泊)]港、 湾の入り江。 tomari asam トマリ アサㇺ 湾(入り江)の一番奥の所。 tomari kanpar トマリ カンパㇻ 湾(入り江)の入口。 tomari onnay トマリ オンナイ 湾(入り江)の中。 tomari par トマリ パㇻ 湾(入り江)の入口。 {E: a sea port; the inlet of a bay.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tum 2
- トゥㇺ 【位名】[概](所は tumu)①(土・水・草むら・林など)の中、 (たくさん集まっているもの)のただ中。 ironne nítay tum ta イロンネ ニタイ トゥㇺ タ 密集した森の中で。(W民話) mákip toytum un nep ka kirirse haw as pekor háwas hawas マキㇷ゚ トイトゥㇺ ウン ネㇷ゚ カ キリㇼセ ハウ アㇱ ペコㇿ ハワㇱ ハワㇱ どうしたんだか土の中で何かキーキー言う声がするようだ。(S民話) ②[雅][慣用句] núpe tum wa ヌペ トゥンマ [涙・の中・から]涙を浮かべながら。(W神謡K) ☆参考 onnay オンナイ は家や入れものや穴などのように中で空洞になっているものの内部。 tom トㇺ は崖面のように、 正面に見えてぶつかったり当たったりし得るような面のまん中あたり。 ほかにも「中」と訳せる語はたくさんある。 ☞onnay オンナイ {E: in; in the middle of.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- turasino
- トゥラシノ 【後副】[turasi-no …に沿って上(かみ)の方へ・(副詞形成)] …に沿って上(かみ)の方へ、 …沿いに上(かみ)に向かってずうっと。 nay ka pirka hike, turasino kotan oka ナイ カ ピㇼカ ヒケ、 トゥラシノ コタン オカ 沢でもよい沢は、 それにそって集落ができている。(S言い伝え) {E: upstream.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tusatuypoki
- トゥサトゥイポキ 【名】[所](概は tusatuypok トゥサトゥイポㇰ) …の袖下。 tusatuypoki ku=naye kor k=an トゥサトゥイポキ クナイェ コㇿ カン 私は袖下になるところへへらですじをつけている。(W) {E: the bottom of the sleeve of… } (出典:田村、方言:沙流)
- ukokisma
- ウコキㇱマ 【他動】…を一緒に押える。 kokka sapa ukokisma wa a コッカ サパ ウコキㇱマ ワ ア 両ひざをかかえて座る。(S) putaha tura pirkano ukokisma, onnayke o p rapapse wa isam na プタハ トゥラ ピㇼカノ ウコキㇱマ、 オンナイケ オㇷ゚ ラパㇷ゚セ ワ イサㇺ ナ ふたと一緒にしっかり押えて(=つかんで)いなさい、 中のものがこぼれ落ちてしまうから。(S) {E: to hold, control…together.} (出典:田村、方言:沙流)
- ukoninu
- ウコニヌ 【他動】[uko-ninu 一緒に・…を縫う] …を縫い合わせる。 rep ne usama wa ukoninu wa pónayay yarpehe kar レㇷ゚ ネ ウサマ ワ ウコニヌ ワ ポナヤイ ヤㇻペヘ カㇻ 三枚に折りたたんで縫い合わせて赤ん坊のおむつをつくる。(S) {E: to sew…together.} (出典:田村、方言:沙流)
- un 2
- ウン 【格助】[< un ウン 1] ①(連体句をつくる、 つまり名詞にかかる。) …にある/いる…、 …につく/ついている…、 (そこ)の、 …出身の。 Sar un kur サルン クㇽ 沙流の人(一語のアクセントで発音される)。 atuy or un cikap アトゥヨルン チカㇷ゚ 海の鳥。 te un húci テ ウン フチ ここの(=この家の)おばあさん。(S) (注 特定のおばあさんを言うときは un ウン でなく ta タ を使って te ta X húci テ タ X フチ ここの(この家の)Xおばあさん。(S) ) ②(連用句をつくる、 つまり動詞にかかる。) …へ/に(移動の方向/目的地、 心理的に向かう方向)、 …に/から(見える方向、 音や声などが聞こえる方向、 ものを取る相手やその場所)、 …で(仕事や飲食をする入れものの中や台の上などの場所)。 Tokiyo un k=arpa kusu ne トキヨ ウン カㇻパ クス ネ 私は東京へ行きます。(S) osmake un esirkociwe no a オㇱマケ ウン エシㇼコチウェ ノ ア 後ろへ押し分けて坐りなさい。(S) atuy or un put kor to アトゥヨルン プッ コッ ト 海へ口を持った沼。 urepeci osmake un an, kesupi kotcake un an ウレペチ オㇱマケ ウン アン、 ケスピ コッチャケ ウン アン 足指が後のほうにある、 かかとが前のほうにある。 ③siyoka un inkar シヨカ ウン インカㇻ 後ろを見る。 pínay asam un sir-kunne kane síran, rawne wa ki ピナイ アサムン シㇼクンネ カネ シラン、 ラウネ ワ キ 谷底の方が暗くなっている、 深くて。 to noski un háwas ト ノㇱキ ウン ハワㇱ 沼のまん中で声がする。 kamuy hayokpe/iyoykir ka un/a=uyna katu カムイ ハヨㇰペ/イヨイキㇼ カ ウン/アウイナ カトゥ [雅]立派なよろいかぶとを宝器類の上から取って下ろしたことを。(Sユーカラ) nisu or un iyuta ニス オルン イユタ 臼でヒエつきする。(W) káneya ka un ma カネヤ カ ウン マ (魚を)かなあみの上で焼く。(S) kasi un e=kanpinuye hemanta カシ ウン エカンピヌイェ ヘマンタ その上であなたが書きものするやつ(=机)。(S) {E: ①to be; exist; be from… ②to… ③from, at…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- unintek
- ウニンテㇰ 【名】[植物](草の名) ☆参考 「丈1メートルぐらい、 一本茎でそのまわりに花が咲く、 根は長さ20センチぐらいの芋が一つか二つ、 煮たり焼いたりして食べる、 この辺にはない、 石狩の原野にだけある。 しかし Siraw シラウ の沢の奥、 Cicakomanay チチャコマナイ 辺に行けばあったらしい。」 (S)〔知分類 p.192 オニノヤガラ〕 {E: a knd of orchid (B.).} (出典:田村、方言:沙流)
- upsoro(ho) 1
- ウㇷ゚ソロ(ホ) 【名】[所](概は upsor ウㇷ゚ソㇿ)…のふところ、 …の着ている衣服の中。 k=upsoro péka nay san kane クㇷ゚ソロ ペカ ナイ サン カネ 私の衣服の中を沢が流れている=汗が沢のように流れている。(S) sir-kunne kor hotke utar oka ta e=kuy a e=kuy a e=upsoro un ki kor e=an ruwe ne シㇼクンネ コㇿ ホッケ ウタㇻ オカ タ エクヤ エクヤ エウㇷ゚ソロ ウン キ コㇿ エアン ルウェ ネ 夜になると人々が寝た後でお前はふところの中で(ついて精白したヒエを)モグモグかんでいるのだな。(W民話) {E: the bosom (of…).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- utomciwre
- ウトㇺチウレ 【他動】[u-tom-ciwre 互い・の正面のまん中・に…刺す。][雅]…を身につける。 kunne kosonte/yaynenayne/utomciwre クンネ コソンテ/ヤイネナイネ/ウトㇺチウレ [雅]黒い小袖を上から下までそろいで身につけている。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwaste
- ウワㇱテ 【自動】[u-w-as-te 互い・(挿入音)・立つ・させる](?) (植物が)繁殖する、 (人間でも)子孫が生まれてふえる。 nonno o wa ipeo wa pókor hi koraci aynu ka uwaste ノンノ オ ワ イペオ ワ ポコリ コラチ アイヌ カ ウワㇱテ (木が)花が咲いて実がなるのと同じように人間もふえていく。(S言い伝え) motoho anak sinep ne korka uwaste katu repun iworso atuyso ka wa uwaste hike néno aynu ne yakka usinnayno katkor モトホ アナㇰ シネㇷ゚ ネ コㇿカ ウワㇱテ カトゥ レプン イウォㇿソ アトゥイソ カ ワ ウワㇱテ ヒケ ネノ アイヌ ネ ヤッカ ウシンナイノ カッコㇿ 起源は一つであってもふえ方が沖の方、 海外から妻をめとってふえた者はそれなりに同じ人間であっても姿形が違っている。(S言い伝え) tapan yam e=carpa yakun oro wano yam sekor a=ye p uwaste yakne タパン ヤㇺ エチャㇻパ ヤクン オロ ワノ ヤㇺ セコㇿ アイェㇷ゚ ウワㇱテ ヤㇰネ あなたがこの栗をまけばそこから栗というものがふえていって。(W神謡語り) ☆参考 動物が繁殖することは uwatte ウワッテ。 {E: to breed; reproduce.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- uwato
- ウワト 【自動】[u-w-ato 互い・(挿入音)・(?)] たくさん並んでいる。 nupuri uwato ápekor síran ヌプリ ウワト アペコㇿ シラン 山がたくさん並んでいるみたいになっている(「あまり遠くでなく、 近く近く見えたとき」に言う)。(S) ruwe ni uwato ルウェ ニ ウワト 太い木がたくさん並んでいる。(S) heyapte heyapte pon pínay uwato ápekor siran ヘヤㇷ゚テ ヘヤㇷ゚テ ポン ピナイ ウワト アペコㇿ シラン 山の方へ山の方へと小さい谷川がたくさん並んでいるみたいになっている。(S) {E: for a lot of something to be lined up.} (出典:田村、方言:沙流)
- uwekari
- ウウェカリ 【自動/副】[u-w-ekari 互い・(挿入音)・の方に向かって] ①[自動][単](複は uwekarpa ウウェカㇻパ)(他の語の構成部分として)互いの方に向かって寄って来る(独立の自動詞としての用例はない)。 ②[副]両方から。 uwekari arki ウウェカリ アㇻキ (たとえば二人の人が)両方から来る(バッタリ行き合う)。 néa pínay uwekari soske híne ネア ピナイ ウウェカリ ソㇱケ ヒネ その谷の崖が両方からくずれて。(W言い伝え) uwekari uwekari ウウェカリ ウウェカリ あっちからもこっちからも、 代わるがわる、 入れかわり立ちかわり。 uwekari uwekari am us hemanta kikiri ウウェカリ ウウェカリ アムㇱ ヘマンタ キキリ 左右両側にたくさんのつめが生えているへんな虫(「ムカデ」の訳語として出た)。 uwekari uwekari kamuy opitta i=tomoytak hi ora ウウェカリ ウウェカリ カムイ オピッタ イトモイタキ オラ 代わるがわる神々が皆私のところに来てなだめてくれてから。(W神謡語り) {E: ① ②from both.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wa 1
- ワ 【格助】①(位置名詞の後に置かれて、 移動の起点を示す。)…から(場所を示す)。 Mosirpasari wa ek モシㇼパサリ ワ エㇰ 斜里(しゃり)から来た。(W民話) osmake wa kotcake wa terke=an オㇱマケ ワ コッチャケ ワ テㇾケアン 私は(寝ている彼の)後ろから前へ前から後ろへと跳びはねてまたいだ。(W民話) kanto or wa kemram kamuy ran カント オㇿ ワ ケㇺラㇺ カムイ ラン 天から飢饉の神が降りて来た。(W民話) oro wa karkarse オロ ワ カㇻカㇻセ そこからころがった。(S会話) ②(《…に》と訳される場合もある。 その場合、 ta タ や un ウン を使った言い方とはニュアンスが異なる。 wa ワ はこの場合も、 動作の起点を示す。) te wa mono a テ ワ モノ ア 「ここから座れ」=ここに来て座りなさい。 (注 te ta mono a テ タ モノ ア (近くにいる人に)ここに座りなさい。 te un mono a テ ウン モノ ア ここへ座りなさい。) ③(受け身の行為者を示す。)or wa/oro wa オㇿ ワ/オロ ワ (人)から。 kamuy or wa okamkir ene a=e=yáynure wa カムイ オㇿ ワ オカㇺキㇼ エネ アエヤイヌレ ワ あなたは神からわざとそのように思わされて。(W民話) ④(連体的に使われて) onnayke wa asamaha オンナイケ ワ アサマハ 内側の底。 soynake wa asamaha ソイナケ ワ アサマハ 外側の底。 {E: ①from…(place). ②… ③from…(people). ④…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wen 1
- ウェン 【自動】①悪い、 粗末である、 だめである、 だめになる。 wen cise ウェン チセ 粗末な家。 wen itak ウェン イタㇰ(発音は ウェヌ イタㇰ)悪い言葉。 wen kewtum ウェン ケウトゥㇺ 悪い心/根性。 wen kamuy ウェン カムイ ☞wenkamuy ウェンカムイ。 kewtumu wen ケウトゥム ウェン 心/気立て/根性が悪い。 …yak wen …ヤㇰ ウェン …するといけない。 …yakka wen …ヤッカ ウェン …してもだめである(効果がない)。 …tú ray wen ray ki トゥ ライ ウェン ライ キ ひどい死に方で死んでしまった(川上男と川下男の民話の結末によく出てくる表現)。(S民話) sir-wen シㇼウェン(発音は シㇽウェン)天気が悪い。 ②亡くなる(婉曲表現)。 wen oruspe ek ウェノルㇱペ エㇰ 死んだという便りが来た。(S) wen nisa ruwe ne sekor haw as ウェン ニサ ルウェ ネ セコㇿ ハワㇱ いけなかった(=もう死んだ)という話だ。 (注 「捨てことば(ぞんざいな言葉)ではない。」 (S) ☆参考 直接的に「死ぬ」という語は ray ライ、 ほかに婉曲表現として isam イサㇺ《亡くなる》、 mosiroppa モシロッパ《世を去る》など。) ③[自動詞語根](限られた語の構成要素として)貧しい。 wenkur ウェンクㇽ 貧乏人。 weysisam ウェイシサㇺ[< wen-sisam]貧しい和人。 (注 wenaynu ウェナイヌ は《悪人、 悪党》。) (注 「貧しいおばあさん」は wenkur húci ウェンクㇽ フチ。) ☆対語 pirka ピㇼカ よい。 {E: ①to be, become bad, no good; ②to pass away; ③…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- wenokkayo
- ウェノッカヨ 【名】[wen-okkayo 悪い・男] 悪い男、 悪党(=wenaynu ウェナイヌ)。 ☞okkayo オッカヨ {E: a bad man; a villain; a scoundral.} m (出典:田村、方言:沙流)
- weysisam
- ウェイシサㇺ 【名】[wen-sísam 貧しい・和人] 貧乏和人、 貧しい和人。 te ta weysisam an aw ta weysisam an テ タ ウェイシサㇺ アン アウ タ ウェイシサㇺ アン うちの貧乏和人がいた、 となりの貧乏和人がいた。(K民話) ☆参考 短い民話の主人公としてよく登場する。 ☆参考 wenaynu ウェナイヌ は悪人、 悪党。 wenkur ウェンクル は貧しい人。 {E: a poor Japanese.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yapte
- ヤㇷ゚テ 【他動】[自動使役][複](目的語複数。 単は yanke ヤンケ、 yante ヤンテ)[yap-te (二人以上が)陸に上がる/岸に着く・させる] ①(二人以上/二つ以上)を陸/岸に上げる/着ける/上がらせる、 北海道へ行かせる/来させる/帰らせる、 …を水の中から舟の中へ上げる。 okkaypo utar/[u]cípo ki wa/cepkoyki kane/otu cépikir/ore cépikir/[u]cíp onnay un/[u]yapte kane オッカイポ ウタㇻ/[ウ]チポ キ ワ/チェㇷ゚コイキ カネ/オトゥ チェピキㇼ/オレ チェピキㇼ/[ウ]チポンナユン/[ウ]ヤㇷ゚テ カネ 男たちが魚とり(注:おそらく鮭漁)をしてたくさんの魚を舟の中へ上げて。 (W神謡K) ②(鍋など)を火からおろす(「あげる」)、 (火にかかった鍋の中のもの)を取り出して外に置く。 ③(もの)を台の上などへ上げる。 cikap kam suwe wa yapte a yapte a wa anu wa ora… チカㇷ゚ カㇺ スウェ ワ ヤㇷ゚テ ア ヤㇷ゚テ ア ワ アヌ ワ オラ… 鳥の肉を煮て鍋からたくさん取り出しておいて…。(S) ☆参考 単数形 yan ヤン に対しては他動詞 yanke ヤンケ と使役形 yante ヤンテ の両方の形があるが、 複数形 yap ヤㇷ゚ に対してはこの yapte ヤㇷ゚テ だけしかなく、 この語一つが、 yanke ヤンケ と yapte ヤㇷ゚テ の両方に対する目的語複数の形として機能する。 {E: ①to make…land, ascend. ②to make…take a pot off a fire. ③to make…put…on a stand. (pl.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
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萱野 茂『萱野茂のアイヌ語辞典』1996年 ©萱野れい子
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』1996年 ©田村洋一