国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

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numa
ヌマ 【名】[概/所] 毛(毛一般)。 numa us ヌマ ウシ 毛が生える、 毛が生えている(「おいている」)、 毛深い。 tek numa テㇰ ヌマ 手の毛。(W) nan numa ナン ヌマ 顔の毛(「みそげ」)。(W) numa cikositosito ヌマ チコシトシト【自動】「めんよう(=羊)の毛がメチャクチャになって餅みたいになっている」(悪口)。 ku=konukosne humi! toy wente kor patek an numa cikositosito hemanta クコヌコㇱネ フミ! トイ ウェンテ コㇿ パテㇰ アン ヌマ チコシトシト ヘマンタ 憎らしいなあ、 畑を荒らしてばかりいる毛がメチャクチャになって餅になってるへんなやつ。(S) ☆参考 人の毛も動物や毛虫の毛も。 人の体毛のことは kenuma ケヌマ とも言う。 髪の毛は otop オトㇷ゚、 ひげは rek レㇰ、 陰毛は honuma ホヌマ。 {E: hair; fur.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
numa
ヌマ 【numa】 毛. (出典:萱野、方言:沙流)
numa
ヌマ §230.かわ(皮)(15)毛皮 numa〔nu-má ヌま〕⦅H. S.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numa
ヌマ §282.け(毛)(1)numa〔nu-má ヌま〕⦅H. S. 一般⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aronuman
アロヌマン 【ar-onuman】 日暮れ,夕方. ヘカッタラー アロヌマン パㇰノ ソイ タ シノッ・アン コㇿ ウェンカムイ エㇰ ワ ア・シトマ ㇷ゚ ネ ナ ホクレ エチ・ウニ ウン ホシッパ ホシッパ=子供たちよ,日暮れまで外で遊ぶと化け物が来て恐ろしいものだから,早くお前たちの家へ戻れ戻れ. (出典:萱野、方言:沙流)
aronumannociw
アロヌマンノチウ 【ar-onuman-nociw】 宵の明星. (出典:萱野、方言:沙流)
asinuma
アシヌマ 【代名】[a-sinuma (不定人称)・自分] [不定人称単数] ①(引用文中で káni カニ《私》の代りに用いられる。) 自分、 私(引用文の中の自称者、 自叙している人)。 asinuma anakne wenkur a=ne アシヌマ アナㇰネ ウェンクㇽ アネ「私は貧乏人です」(と彼は言った)。(W民話) ②[稀] ご自分、 あなた様自身。(民話や叙事詩などの口承文学の多くは、 主人公が自叙する話を語り手が引用して語る形式になっているため、 一人称の káni カニ《私》や cóka チョカ《私たち》はほとんど現れず、 その代わりにこの不定人称の asinuma アシヌマ[単]/aoká アオカ[複]が使われる。 これは引用文であるためであって、 話し手自身のことを言うのには、 こうは言わない。 話し手自身が貧乏人であることを「私は貧乏人です」と言うには、 asinuma anakne wenkur a=ne アシヌマ アナㇰネ ウェンクㇽ アネ とは言わない。 káni anakne wenkur ku=ne カニ アナㇰネ ウェンクㇽ クネ のように、 一人称の形で言う。 {E: ①(one)self; I. ②(your)self; you.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
asinuma
アシヌマ 【asinuma】 私. チェㇷ゚コイキ クス アシヌマ カ イトゥラ・アン ルスイ=魚を獲りに私も一緒に行きたいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
atopoknuma
アトポㇰヌマ §844.わきのしたの毛;わきげ(腋毛)(2)atopok-numa〔á-to-pok-nu-ma あトポㇰヌマ〕[わきのした・毛]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
causpenuma
チャウㇱペヌマ §275.くちひげ(口髭)(2)causpe-numa〔ča-úš-pe-nu-ma チャうㇱペヌマ〕[ca(口)+us(に生えている)+pe(もの)+numa(毛);口に生えているところの毛]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
causpenuma
チャウㇱペヌマ §642.ひげ(髭)(10)causpe-numa〔ča-ús-pe-nu-ma チャうㇱペヌマ)[causpe(↑)+numa(毛)]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
cuporunnuma
チュポルンヌマ 【名】[cup-or-un-numa 腹・の中・における・毛] 赤ん坊のおなかにいるときから生えている毛。 (出典:田村、方言:沙流)
ehorkanuma
エホㇿカヌマ §334.さかさまつげ(逆睫);さかまつげ(3)ehorka-numa〔e-hór-ka-nu-ma エほㇿカヌマ〕[ehorka(逆の)+numa(毛)]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
enanumaussita
エナヌマウㇱシタ §268 イヌ (38) enanumaus-sita (e-ná-nu-ma-us-si-ta)「エなヌマウㇱシタ」[<e(上端の)nan(顔)numa(毛)us(だらけの)sita(犬)] ⦅美幌⦆顔の上半分の黒いイヌ (出典:知里動物編、方言:)
etunuma
エトゥヌマ §607.はなげ(鼻毛)(1)etu-numa〔e-tú-nu-ma エとぅ・ヌマ〕[鼻・毛]⦅チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
etupuynuma
エトゥプイヌマ §607.はなげ(鼻毛)(2)etupuy-numa〔e-tú-puǐ-nu-ma エとぅプイヌマ〕[etupuy(鼻穴、鼻)+numa(毛)]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
hancikokonuma
ハンチココヌマ §844.わきのしたの毛;わきげ(腋毛)(3)hancikoko-numa〔hán-či-ko-ko-nu-ma はンチココヌマ〕[わきのした・毛]⦅チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
honuma
ホヌマ 【名】[概/所][ho-numa 尻・毛] 陰毛。 ☆参考 numa ヌマ (一般に)毛。 kenuma ケヌマ 人間の体毛。 {E: pubic hair.} (出典:田村、方言:沙流)
honuma
ホヌマ 【ho-numa】 除毛,恥毛. (出典:萱野、方言:沙流)
honuma
ホヌマ §100.陰部―いんもう(陰毛)(1)ho-numa〔hó-nu-ma ほヌマ〕[ho(陰部)+numa(毛)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
honuma
ホヌマ §100.陰部―いんもう(陰毛)(3)ho-numa〔ho-nú-ma ホぬマ〕[<ho-numa]⦅イブリ、ヒダカ西半⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
honumaha
ホヌマハ 【名】[所](概は honuma ホヌマ)…の陰毛。 {E: pubic hair of …} (出典:田村、方言:沙流)
honumasak(-an)
ホヌマサㇰ §103.陰部―陰毛が無い(1)honuma-sak(-an)〔ho-nú-ma-sak ホぬマサㇰ〕[<陰毛・を欠く]⦅イブリ・ヒダカ西半⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
hoskiannuman
ホㇱキアンヌマン 【名/副】[hoski-an-numan 先に・あった・昨日] 一昨昨日(一昨日の前の日)。(W) ☆参考 hoskinuman ホㇱキヌマン 一昨日、 おととい。 {E: three days ago.} (出典:田村、方言:沙流)
hoskiannuman
ホㇱキアンヌマン 【hoski-an-numan】 一昨々日,さきおととい. *ヌマン=昨日 ホㇱキヌマン=一昨日. (出典:萱野、方言:沙流)
hoskinuman
ホㇱキヌマン 【名/副】[hoski-numan 先の・昨日] 一昨日、 おととい。 {E: the day before yesterday.} (出典:田村、方言:沙流)
hoskinuman
ホㇱキヌマン 【hoski-numan】 一昨日. (出典:萱野、方言:沙流)
hoynucisnuma
ホイヌチㇱヌマ §329 ヒオウギアヤメ (2) hoynu-cisnuma (hóy-nu-cis-nu-ma)「ほイヌ・チㇱヌマ」[hóynu(テン)ci(われら)us(履く)numa(毛皮)] 茎葉 ⦅落帆⦆ (出典:知里植物編、方言:)
hoynuma
ホイヌマ §100.陰部―いんもう(陰毛)(2)hoynuma〔hóǐ-nu-ma ほイヌマ〕[<hó-numa]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
inuma
イヌマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。 tapan cási/kamuy inuma/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ☆参考 テープでは inoma イノマ と発音している。 しかし後日歌い手が kamuy inuma カムイ イヌマ だと言い、 またその後に kamuy iyoype カムイ イヨイペ と言うところだと言って訂正した。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
inuma
イヌマ 【inuma】 宝物を並べてある壇[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
iyaynumare
イヤイヌマレ 【iyaynumare】 なんとまあ,それはそれは. イヤイヌマレ! ア・コㇿ サポ シレトㇰ オㇿケ ア・コホヨイセ=なんとまあ,私の姉のその器量の好ましい[ユ]. (出典:萱野、方言:沙流)
iyaynumare tanepo tapne menoko ne manu p
イヤイヌマレ タネポタㇷ゚ネ メノコ ネマヌㇷ゚ 【iyaynumare tane-po tap ne menoko ne manup】 なんとまあ,今初めて女という者. ▷イヤイヌマレ=なんとまあ タネポタㇷ゚ネ=今初めて メノコ=女 ネマヌㇷ゚=という者 *ユカㇻの主役ポンヤウンペが,宴の場で美人を見た時の言葉[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
kenuma
ケヌマ 【名】[概/所][ke-numa [日本語]毛(?)・毛] 体毛(人間の体の毛)。 ☆参考 numa ヌマ [概]/numa(ha) ヌマ(ハ)[所] は、 一般に毛、 体毛も含んで言う。 otop オトㇷ゚[概]/otopi(hi) オトピ(ヒ)[所] 髪の毛。 {E: body hair.} (出典:田村、方言:沙流)
kenuma
ケヌマ §282.け(毛)(2)人間の体の毛;体毛 kenuma〔ke-nú-ma ケぬマ〕[ke(<Jap. 毛)+numa(毛)]⦅ホロベツ、ビホロ、クッシャロ、アズマ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
kenuma/kenuma(ha)
ケヌマ/ケヌマ(ハ) 【kenuma/kenuma(ha)】 体毛. (出典:萱野、方言:沙流)
kenumaha
ケヌマハ 【名】[所](概は kenuma ケヌマ)…の体毛。 {E: body hair of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kunnenuma
クンネヌマ §217.髪の種類(9)黒髪 kunne-numa〔kún-ne-nu-ma くンネ・ヌマ〕[黒毛]⦅H. S.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
nepkinumasut
ネㇷ゚キヌマスッ 【nepki-numa-sut】 できもの:働くできもの(働くと痛まない). (出典:萱野、方言:沙流)
numame
ニヌマメ 【名】[ni-nu-mame 木・持つ・豆][植物](=nikormame ニコㇿマメ) 手を立ててつくる豆。 (出典:田村、方言:沙流)
nisattaonuman
ニサッタオヌマン 【nisatta-onuman】 明晩. (出典:萱野、方言:沙流)
numaha
ヌマハ 【名】[所](概は numa ヌマ)…の毛。 numaha ironne ヌマハ イロンネ 毛が厚い(獣の)。 {E: the hair, fur of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
numahapuru
ヌマハプル §347 クルマユリ (5) numahapuru (nu-má-ha-pu-ru)「ヌまハプル」[numa(毛)hapuru(<hapur やわらかい)] 鱗茎 ⦅落帆⦆ (出典:知里植物編、方言:)
numakur
ヌマクㇽ 【numa-kur】 毛皮(の). (出典:萱野、方言:沙流)
núman
ヌマン 【名/副】きのう。 núman k=ek ヌマン ケㇰ 私はきのう来た。 núman pakno téta an ヌマン パㇰノ テタ アン (彼は)きのうまでここにいた。(S) núman wano tanto pakno ヌマン ワノ タント パㇰノ きのうから今日まで。(W会話) ☆対語 tanto タント きょう。 nisatta ニサッタ 明日。 hoskinuman ホㇱキヌマン おととい。 ☆参考 onuman オヌマン は《夕方、 晩》 {E: yesterday.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
numan
ヌマン 【numan】 昨日. (出典:萱野、方言:沙流)
numari
ヌマリ §278 あざらし (48) numari (nu-má-ri)「ヌまリ」[<? numa-riten‘毛・やわらかな’] ⦅真岡⦆ゴマフアザラシ及びフイリアザラシの幼獣=konuspe[『藻汐草』に狸とある] (出典:知里動物編、方言:)
numasakikonkap
ヌマサㇰイコンカㇷ゚ §160 アオムシ(幼虫) (2) numa-sak-ikonkap(nu-má-sak-i-kon-kap)「ヌまサㇰイコンカㇷ゚」⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
numasakpiyapa
ヌマサㇰピヤパ §401 ヒエ (4) numa-sak-piyapa (nu-má-sak-pi-ya-pa)「ヌま・サㇰ・ピヤパ」[numa(毛)sak(ない)piyapa(ヒエ)] ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
numasikankan(-i)
ヌマシカンカン §518.つむじ(旋毛);まきめ(5)背中の旋毛 numa-sikankan(-i)〔nu-má-ši-kaŋ-kan ヌまシカンカン〕[numa(毛)+sikankan(<si-kar-kar 自分を・からみ・からみする)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numasuh
ヌマスㇷ §156.おでき;できもの;はれもの;しゅもつ(13)膝かぶに出るというできものの一種 numasuh〔nu-má-suh ヌまスㇷ〕⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numasup(-i)
ヌマスㇷ゚ §156.おでき;できもの;はれもの;しゅもつ(12)膝かぶなどによく出る小さいけれども大変痛いおでき numasup(-i)〔nu-má-sup ヌまスㇷ゚〕⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numasut
ヌマスッ 【名】[numa-sut 毛・の根元] 関節部にできる悪質のできもの(手首、 膝のすぐ下、 足首のくるぶしの脇、 などにできる。 ふつうの húpo フポ とちがってプクッとふくれてなかなか膿をもたない)。 numasut hetuku ヌマスッ ヘトゥク 関節部の悪いできものができる。 tekukocihi ta numasut hetuku テクコチヒ タ ヌマスッ ヘトゥク (S)〔知分類 p.393 底豆((ホロベツ))〕 {E: a corn; a wart; a blister.} (出典:田村、方言:沙流)
numasut(-u)
ヌマスッ §716.まめ(肉刺)(4)そこまめ(底豆・底肉刺) numasut(-u)〔nu-má-sut ヌまスッ〕[numa(毛)+sut(ねもと)]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numasut/numasutu(hu) 1
ヌマスッ/ヌマストゥ(フ) 【numa-sut/-sutu(hu)】 ①毛根. (出典:萱野、方言:沙流)
numasut/numasutu(hu) 2
ヌマスッ/ヌマストゥ(フ) 【numa-sut/-sutu(hu)】 ②できもの:毛の根に出来る小さいできもの.このできものにはネㇷ゚キヌマスッ(働くできもの:働くと痛くない),トランネヌマスッ(骨惜しみできもの:働かなければ痛まない)の2種類あるものである. (出典:萱野、方言:沙流)
numat
ヌマッ 【名】[num-at 前身頃(?)・つけひも] 女性の下着(mour モウㇽ)の懐を合わせてとめるために衿元につけてあるひも。 {E: the cords used to fasten female clothing at the breast.} (出典:田村、方言:沙流)
numat/numaci(hi)
ヌマッ/ヌマチ(ヒ) 【numat/numaci(hi)】 胸紐:女の肌着の懐のつけ紐,肌着の胸紐. ク・ヌマチ トゥイ ナ,コテ ワ エン・コレ=私の胸紐が切れたのでつけてくれ(昔の肌着はワンピース風になっていて胸の所に両方から紐がついていた). (出典:萱野、方言:沙流)
numatakusa
ヌマタクサ §284.毛の房numa-takusa〔nu-má-ta-ku-sa ヌまタクサ〕[numa(毛)+takusa(<Jap.「手草」)]⦅ホロベツ⦆【雅―ユ研Ⅱ, p.628】 (出典:知里人間編I、方言:)
numatkam(-i)
ヌマッカㇺ §554.にく(肉)(16)クマの胸の肉 numat-kam(-i)〔nu-mát-kam ヌまッ・カㇺ〕[numat(女性の肌衣の胸紐)+kam(肉)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numatkam(-i)
ヌマッカㇺ §755.むね(胸)(13)胸の上部の中央の肉 numat-kam(-i)〔nu-mát-kam ヌまッ・カㇺ〕[numat(女の肌衣の胸の紐)+kam(肉)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numatpita
ヌマッピタ 【numat-pita】 胸紐ほどき.*熊の皮を剥ぐ時は胸の所で1か所皮を切らずに残す.これをヌマッ(胸紐)といい,この部分を切る時にはエイッと高い声で気合いをかけて切るものである.これをヌマッピタ(胸紐ほどき)という. (出典:萱野、方言:沙流)
numattomuspe
ヌマットムㇱペ §004.あかご;あかんぼ(43)numattomuspe〔nu-mát-to-muš-pe ヌまットムㇱペ〕[numat(女性の肌衣の胸紐)+tom(の中)+us(にいつもついている)+-pe(者);‘いつも母のふところに抱かれて乳を呑んでいる者']。⦅チカブミ⦆【雅】ちのみご;あかんぼ。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
numatus
ヌマトゥㇱ 【numa-tus】 着物の襟. (出典:萱野、方言:沙流)
numaus
ヌマウㇱ 【自動】[numa-us 毛・が生えている/がたくさんついている] ①毛が生えている。 ②毛深い。 {E: to be hairy.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
numaus
ヌマウㇱ 【numa-us】 毛深い. (出典:萱野、方言:沙流)
numaus
ヌマウㇱ §285.毛深いnuma-us〔nu-má-uš ヌまウㇱ〕[numa(毛)+us(群生している)]⦅H. 一般⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
numaus'ampayayap
ヌマウㇱアンパヤヤㇷ゚ 【numa-us-ampayayap】 オオクリガニ(毛ガニ). (出典:萱野、方言:沙流)
numaus'ikompap
ヌマウㇱイコンパㇷ゚ 【numaus-ikompap】 毛虫. (出典:萱野、方言:沙流)
numaus-íkonpap
ヌマウㇱ イコンパㇷ゚ 【名】[毛が生えている・毛虫や青虫などの仲間][動物]毛虫。 〔知分類 p.99〕 {E: a hairy caterpillar.} (出典:田村、方言:沙流)
numausikompap
ヌマウㇱイコンパㇷ゚ §157 毛虫 (2) numa-us-ikompap(nu-má-us-í-kom-pap)「ヌまウㇱいコンパㇷ゚」[<numa(毛)us(生えている)ikompap(体を曲げて歩く者)]⦅穂別、沙流⦆ (出典:知里動物編、方言:)
numausitemekikir
ヌマウㇱイテメキキㇼ §157 毛虫 (3) numa-us-itemekikir(nu-má-us-itémekikir)「ヌまウㇱイてメキキㇼ」[<numa(毛)us(生えている)itemekikir(両手をひろげて物を計る虫)]⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
numauskamuy
ヌマウㇱカムイ §157 毛虫 (4) numa-us-kamuy(nu-má-us-ka-muy)「ヌまウㇱカムイ」[numa(毛)us(多生している)kamuy(神)] ⦅千歳⦆ (出典:知里動物編、方言:)
numauskikir(-i)
ヌマウㇱキキㇼ §157 毛虫 (8) numa-us-kikir(-i)(nu-má-us-ki-kir)「ヌまウㇱキキㇼ」[<numa(毛)us(生えている)kikir(虫)]⦅名寄、旭川、千歳、幌別⦆鱗羽類の幼虫 (出典:知里動物編、方言:)
numauskikiri
ヌマウㇱキキㇼ §157 毛虫 (1) numa-us-kikiri(nu-má-us-ki-kir)「ヌまウㇱキキㇼ」[numa(毛)us(生えている)kikir(虫)] ⦅K新問、富内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
numauspiyapa
ヌマウㇱピヤパ §401 ヒエ (3) numa-us-piyapa (nu-má-us-pi-ya-pa)「ヌまウㇱピヤパ」[numa(毛)us(多く生えている)piyapa(ヒエ)] ⦅幌別⦆ (出典:知里植物編、方言:)
oksutnuma
オㇰスッヌマ §219.整容―さかやき(月代)[成人の髪容で前頭部を三日月形に剃ること](3)小児時代後頭部に剃り残す頭髪 oksut-numa〔ók-sut-nu-ma おㇰスッヌマ〕[うなじ・毛]⦅H.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
onuma
オヌマ §100.陰部―いんもう(陰毛)(4)onuma〔o-nú-ma オぬマ〕[o(陰部)+numa(毛)]⦅テシオ、クッシャロ、チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
onumaironne
オヌマイロンネ §102.陰部―陰毛が多い(2)onuma-ironne〔o-nú-ma-i-ròn-ne オぬマ・イロンネ〕[陰毛が・濃い]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
onuman
オヌマン 【名/副】夕方、 晩(もう薄暗くなった頃、 夕食を食べる頃)。 onuman an オヌマン アン 夕方になる。 tan onuman タン オヌマン/タノヌマン 今夕。 sir-onuman シロヌマン 夕方/晩方になる。 {E: evening.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
onuman
オヌマン 【onuman】 晩方,夕方,夕暮れ.晩(暗くなってから寝るまで). (出典:萱野、方言:沙流)
onuman an kor
オヌマン アン コㇿ 【onuman an kor】 毎晩,毎夕. (出典:萱野、方言:沙流)
onuman'ipe
オヌマンイペ 【onuman-ipe】 夕食,夕飯. (出典:萱野、方言:沙流)
onuman-ipe
オヌマンイペ/オヌマニペ 【自動/名】①[自動]夕食を食べる。 ②[名]夕食。 {E: ①to eat dinner, the evening meal (v) ②dinner; the evening meal(n).} (出典:田村、方言:沙流)
onumanipe
オヌマニペ 【onuman-ipe】 夕食. (出典:萱野、方言:沙流)
onumannociw
オヌマンノチウ 【名】[onuman-nociw 夕方・星]夕方の星。 ☆参考 宵の明星らしい。 {E: evening stars.} (出典:田村、方言:沙流)
onumasah(k-an)
オヌマサㇵ §103.陰部―陰毛が無い(3)o-numa-sah(k-an)〔o-nú-ma-sah オぬマサㇵ〕[<o(陰部)+numa(毛)+sah(無い)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
onumasak(-an)
オヌマサㇰ §103.陰部―陰毛が無い(2)onuma-sak(-an)〔o-nú-ma-sak オぬマサㇰ〕[<陰毛・を欠く]⦅クッシャロ、ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
penramusnuma
ペンラムㇱヌマ §753.むなげ(胸毛)(4)penram-us-nu-ma〔pén-ra-muš-nu-ma 舳ンラムㇱ・ヌマ〕[胸・に生えている・毛]⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
ponnumakirawkorpe
ポンヌマキラウコㇿペ §289 シカ (7) ponnumakirawkorpe (pón-nu-ma-ki-raw-kor-pe)「ぽンヌマキラウコㇿペ」[<pon(小さい)numa(毛)kiraw(つの)kor(もつ)-pe(もの)]角の生えかけた二歳の雄⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
rakkonuma
ラッコヌマ §230.かわ(皮)(16)ラッコの毛皮 rakko-numa〔rák-ko-nu-ma らッコヌマ〕[ラッコ・毛皮]⦅ホロべツ、レブン⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
rankanuma
ランカヌマ §753.むなげ(胸毛)(1)ranka-numa〔ráŋ-ka-nu-ma らンカ・ヌマ〕[ranka(胸板)+numa(毛)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
rannuma
ランヌマ 【名】[概/所][rar-numa 眉・毛] 眉の毛。 ☆参考 rar ラㇻ は眉全体で、 日本語(東京方言)の「まゆげ」に当たる。 rannuma ランヌマ はそれの一本一本の毛。 {E: the eyebrows.} (出典:田村、方言:沙流)
rannuma
ランヌマ 【rar-numa】 眉毛. (出典:萱野、方言:沙流)
rannumaha
ランヌマハ 【名】[所](概は rannuma ランヌマ) …の眉の毛。 {E: the eyebrows of…} (出典:田村、方言:沙流)
ranuma
ラヌマ §718.まゆげ(眉毛);まいげ(2)ranuma〔rá-nu-ma らヌマ〕[<ran-numa(↑)]⦅ビホロ、クッシャロ、フシコ、タラントマリ、シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
rarunuma
ラルヌマ 【raru-numa】 眉毛. (出典:萱野、方言:沙流)
rerannuma
レランヌマ §753.むなげ(胸毛)(2)reran-numa〔re-rán-nu-ma レらン・ヌマ〕[<rerar(胸)+numa(毛)]⦅テシオ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
rerarusnuma
レラルㇱヌマ §753.むなげ(胸毛)(3)rerar-us-numa〔re-rá-ruš-nu-ma レらルㇱ・ヌマ〕[胸・に生えている・毛]⦅チカブミ、ナヨロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
retannuma
レタンヌマ §217.髪の種類(5)しらが retan-numa〔re-tán-nu-ma レたンヌマ〕[白い・毛]⦅H.⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
retaranuma
レタラヌマ §217.髪の種類(7)しらが retara-numa〔re-tá-ra-nu-ma レたラヌマ〕[白い・毛]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
ritennuma
リテンヌマ §137.うぶげ(1)riten-numa〔ri-tén-nu-ma リてンヌマ〕[やわらかい・毛]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
sampenumat
サンペヌマッ §762.胸の皮の切り残しsampe-numat〔sám-pe-nu-mat さンペヌマッ〕[sampe(心臓)+numat(女性の肌衣の胸もとの紐)]⦅フシコ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
sapakanuma
サパカヌマ §216.かみ(髪);かみのけ;頭髪(6)sapaka-numa〔sa-pá-ka-nu-ma サぱカヌマ〕[頭毛」の義]⦅タライカ⦆【常】 (出典:知里人間編I、方言:)
sapanuma
サパヌマ §216.かみ(髪);かみのけ;頭髪(5)sapa-numa〔sa-pá-nu-ma サぱヌマ〕[「頭・毛」の義]⦅タライカ、タラントマリ⦆【常】 (出典:知里人間編I、方言:)
seturunumaus
セトゥルヌマウㇱ §210 ウミケムシ (1) seturu-numa-us (se-tú-ru-nu-ma-us)「セとゥルヌマウㇱ」[seturu(その背に)numa(毛が)us(生えている)] ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
seturunumaus
セトゥルヌマウㇱ §210 ウミケムシ (2) seturu-numa-us (se-tu-ru-nu-ma-us)「セトゥルヌマウㇱ」 ⦅白浦、落帆、富内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
seturunumaus
セトゥルヌマウㇱ §210 ウミケムシ (3) seturu-numa-us (se-tu-ru-nu-ma-us)「セトゥルヌマウㇱ」 ⦅白浦⦆ (出典:知里動物編、方言:)
sihoskiannuman
シホㇱキアンヌマン 【名/副】[si-hoski-an-numan (強意の接頭辞)・先に・あった・きのう] さきおとといの前の日。 ☆参考 hoskiannuman ホㇱキアンヌマン さきおととい。 hoskinuman ホㇱキヌマン おととい。 núman ヌマン きのう。 {E: four days ago.} (出典:田村、方言:沙流)
siktapnumaha
シㇰタㇷ゚ヌマハ §712.まつげ(睫)(3)siktap-numaha〔šík-tap-nu-má-ha しㇰタㇷ゚・ヌまハ〕[「睫・の毛」]⦅タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
sinotnumat arikoraypa
シノッヌマッ アリコライパ 【sinot-numat a-rik-o-raypa】 遊びの胸紐を上の方へ私は上げる:娘が思春期になり胸のふくらみを気にしはじめる年頃になったこと.今まで胸がはだけても気にしなかったが,急に胸紐を気にするようになった.思春期になる. (出典:萱野、方言:沙流)
sinotnumatpo
シノッヌマッポ 【名】[sinot-numat-po 遊ぶ・胸ひも・(指小辞)][雅]胸ひも、 女性の下着(mour モウㇽ)の襟もとを開かないようにとめるひも。 sinotnumatpo houwepahm/erikiraye シノッネマッポ ホウウェパフム/エリキライェ 襟もとのひもを結ぶようになった。(W神謡K) ☆参考 日常語では numat ヌマッ。 雅語のこの語は、 娘が大きくなって衿もとのひもを結ぶくらいに(そのくらい大人に)なったというような文脈で使われる。 (出典:田村、方言:沙流)
sinotnumatpo ciwtasare
シノッヌマッポ チウタサレ 【sinot-numatpo ci=u-tasa-re】 遊びの胸紐を交互にして. ▷シノッ=遊び ヌマッポ=紐 チ=それ ウタサレ=交互に結び *今までは胸をはだけて遊んでいたが,少し恥ずかしくなり胸紐を上へ上げる歳頃になった[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
sinuma
シヌマ 【代名】[三人称単数] 彼/彼女、 彼自身。 sinuma yaykata ye p ora e=ka omare シヌマ ヤイカタ イェㇷ゚ オラ エカ オマレ 彼自身が自分で言ったことなのにそれを(彼は)あなたが言ったことにする。(S) ☆参考 日本語の「彼」「彼女」のように頻繁には使わない。 だれのことを言っているのかを知らせる必要がある場合はその人を表す語(たとえば「うちの息子」とか「村おさの奥さん」とかを表す名詞/名詞句)を使って言う。 一方、 言わなくても相手にわかる場合は言わないのが普通である。 三人称代名詞が使われるのは主に、 第三者に知られたくない等で、 その人を表す名詞/名詞句(名前とか「この人」など)の使用を避ける場合と、 「その人自身」を強調的に表す場合である。 {E: third person sg. pronoun.} (出典:田村、方言:沙流)
sinuma
シヌマ 【sinuma】 本人,その人. (出典:萱野、方言:沙流)
sippo ka sakno ionumakokuykuy
シッポ カ サㇰノ イオヌマコクイクイ §122.陰部に関する悪口(3)sippo ka sakno i-o-numa-ko-kuykuy!〔しッポ・カ・さㇰノ・イ・お・ヌマ・コクイクイ!〕[sippo(塩)、ka(も)、sak-no(無し・に)、i(私の)+o(陰部を)+numa(毛)+ko(とともに)+kuykuy(噛み噛みせよ)]〔俺の陰茎を塩もつけずに噛みやがれ!)⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
sir'onuman
シㇼオヌマン 【sir-onuman】 日暮れ,夕暮れ. (出典:萱野、方言:沙流)
sir-onuman
シロヌマン 【完動】[sir-onuman あたり(完全動詞形成)・夕方/晩方] 夕方/晩方/日暮れどきになる。 tane sir-onuman wa sir-kunne p hunak un eci=payé? タネ シロヌマン ワ シㇼクンネㇷ゚ フナクン エチパイェ? もう夕方になって暗いのにあなたたちはどこへ行くの? (S) {E: to grow into dusk, early evening.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sironuman
シロヌマン 【sir-onuman】 日が暮れる,夕暮れになる. (出典:萱野、方言:沙流)
sittapnuma
シッタㇷ゚ヌマ §712.まつげ(睫)(5)sittap-numa〔šít-tap-nu-ma しッタㇷ゚ヌマ〕[睫・毛]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
tanepo onuma etuk
タネポ オヌマ エトゥㇰ §101.陰部―いんもう(陰毛)(3)陰毛が生えだす tanepo onuma etuk〔ta-né-po-o-nú-ma-e-túkタねポ・オぬマ・エとゥㇰ〕[tanepo(今やっと)、onuma(陰毛)、e(頭)+tuk(出る)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
tetannuma
テタンヌマ §217.髪の種類(6)しらが tetan-numa〔te-tán-nu-ma テたンヌマ〕[tetan-numa]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
tetaranuma kunnenuma inuma inuturupahte
テタラヌマ クンネヌマ イヌマ イヌトゥルパㇵテ §217.髪の種類(11)胡麻塩頭である tetara-numa kunne-numa inuma inuturupahte〔テたラヌマ・くンネヌマ・イぬマ・イぬトゥルパㇵテ〕[tetara-numa(白い・毛)、kunne-numa(黒い・毛)、i(その)+nu(<ru 頭髪>+u-turupah-te(相匹敵せ・しめる);白い毛黒い毛とがその頭髪を相半ばせしめている]⦅エイトイ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
torannenumasut
トランネヌマスッ 【toranne numa-sut】 できもの:働くのがいやなできもの,毛の根に出来る小さいできものをヌマスッというが,働かないでいると痛まない. フㇷ゚ ア・レコ ヒ トランネヌマスッ ネㇷ゚キヌマスッ ネ ウレペッ ヌマ ネ ヤ テケペッ ヌマ ネ ヤ オロ タ ヘトゥク フㇷ゚ ア・イェ ヒ ネ ネㇷ゚キ・アン ワ ソモ アㇻカ ㇷ゚ ネㇷ゚キ ヌマスッ ネ ソモ ネㇷ゚キ・アン コㇿ ソモ アㇻカ ㇷ゚ トランネヌマスッ ネ=できものの名前のことを,骨惜しみできもの,働くできもの,足指の毛や手の指の毛に出来るできものを言うもので,働けば痛くないものは働きできもの,仕事をしなければ痛くないものを骨惜しみできものという. (出典:萱野、方言:沙流)
yarpenuma
ヤㇻペヌマ §137.うぶげ(2)yarpe-numa〔jár-pe-nu-ma やㇻペヌマ〕[yarpe(赤ん坊)+numa(毛)]⦅クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
yatunuma
ヤトゥヌマ §844.わきのしたの毛;わきげ(腋毛)(1)yatu-numa〔já-tu-nu-ma やトゥヌマ〕〔yatu(腋)+numa(毛)]⦅シラウラ、タライカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
yayonumakokuykuy
ヤヨヌマコクイクイ §122.陰部に関する悪口(23)yayo-numa-ko-kuykuy!〔ヤよヌマコクイクイ!〕[yay(自分の)+o(陰部を)+numa(毛)+ko(とともに)+kuykuy(噛み噛みせよ)](てめえのしろものを毛のまま噛み噛みしやがれ!)⦅ホロベツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
yuknuma
ユㇰヌマ §142 クロウメモドキ (1) yuk-numa (yúk-nu-ma)「ゆㇰヌマ」[yuk(鹿)numa(毛)] 表皮の下にある鹿毛に似た繊維 ⦅美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
yuknumaoni
ユㇰヌマオニ §142 クロウメモドキ (2) yuknuma-o-ni (yúk-nu-ma-o-ni)「ゆㇰヌマオニ」[yuknuma(上記の繊維)o(入っている)ni(木)] 茎 ⦅美幌、屈斜路⦆⦅A十勝・石狩・沙流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
-po 3
ポ 【接尾】[指小辞] ①(名詞に接尾して小さい、 年若い…という意味の名詞をつくる。 決まった語に現れる。) cep チェㇷ゚ 魚;ceppo チェッポ 小魚。 cikap チカㇷ゚ 鳥;cikappo チカッポ 小鳥。 menoko メノコ 女性;menokopo メノコポ 若い女性。 okkayo オッカヨ 男性;okkaypo オッカイポ 若い男性 (okkayopo オッカヨポ は息子)。 ②(愛着/親愛を表す。 決まった語に現れる。) a=kor petpo アコㇿ ペッポ [雅] わが川(家のそばを流れる川)。 kamuycikappo カムイチカッポ フクロウの神様。 ③(名詞や副詞について、 ほんとうに小さいこと、 わずかであることを表し、 またちょっと、 ちょっとでも、 といった気持ちを表す。 ある種の強調にもなる。) pon numapo us ポン ヌマポ ウㇱ 僅かな毛がちょこっと生えている。(S) neppo ipe us wa an? ネッポ イペ ウㇱ ワ アン? なんぼか実がなっているか。(S) tan tepo ta タン テポ タ ついここに。(S) mákpo é=iki híne マㇰポ エイキ ヒネ 一体どうやって。(S) hoskinopo op eaciw ホㇱキノポ オペアチウ 先に槍を投げた。(S会話) (出典:田村、方言:沙流)
=an 7
アン 【人接】[不定人称主格自動詞型] ①(一般称)(代名詞は使わない)人が。 potara=an yakun oraun nep ka a=i=kóre yakun…a=uk yak pirka p ポタラアン ヤクン オラウン ネㇷ゚ カ アイコレ ヤクン…アウㇰ ヤㇰ ピㇼカㇷ゚ (一般に人が)おはらいをしたら、 何かくれたら受け取ればいいのに。 ②(包括的一人称複数)(代名詞は aoká アオカ)相手を含む私たちが。 uinere=an kusu ne na ウイネレアン クス ネ ナ (あなたと私とで)どっちがほしいかの当てもの遊びをしよう。(S会話) ③(引用文中の自称)(代名詞は単数 asinuma アシヌマ、 複数 aoká アオカ)自分(たち)が、 私(たち)が(昔話をはじめ口承文学の中の用例のほとんどはこれである)。 “… ek=an” sekor hawean 「…エㇰアン」セコㇿ ハウェアン 「…(私は)来た」と彼は言った。(S民話) ④(敬意の二人称)(代名詞は aoká アオカ)あなた様が。 nen póka ponmatkor=an yakne ネン ポカ ポンマッコラン ヤㇰネ なんとかして(=どうか)あなたが第二夫人をお持ちになれば。(W民話) ☆参考 自動詞に接尾する。 他動詞・コピュラ ne ネ《である》・名詞などには a= ア が接頭する。 =an アン は人称接辞と言っても、 独立性が強く、 しばしば一つの動詞の機能を示す。 ☞an アン 2①,② ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
an 1
アン 【自動】[単](複は oka オカ) ①ある、 いる、 存在する、 滞在する、 住む、 起こる。 kotan noski ta poro cise an コタン ノㇱキ タ ポロ チセ アン 村のまん中に大きな家がある。 sine pa an wa arpa シネ パ アン ワ アㇻパ (彼は)一年滞在して(帰って)行った。 sáha an サハ アン (彼には)姉がいる。 an pe アン ペ 本当のこと。 an koraci アン コラチ ありのままに。 an kus/kusu(keray(po)) アン クㇱ/クス (ケライ(ポ)) …のおかげで。 an pakno アン パㇰノ あるだけ。 maratto an マラット アン 熊送り(の宴)が催される。 niskur an ニㇱクㇽ アン くもる、 くもっている。 nu(we) an ヌ(ウェ) アン (獲物が)たくさんとれる。 katu(hu) an カトゥ(フ) アン (へんな)かっこうだ。 ②生まれる。 hekaci an na ヘカチ アン ナ 男の子が生まれたよ。(W) an hi wano アニ ワノ 生まれたときから。(S) ③(時を表す語の後に置かれて)(朝、 翌日、 いつ) になる。 kunneywa an クンネイワ アン 朝になる。 ciwnici an チウニチ アン 12時になる。(W) isimne an イシㇺネ アン 翌日になる。 …an kor …アン コㇿ …になると、 …毎に。 kunneywa an kor, tokap an kor, onuman an kor クンネイワ アン コㇿ、 トカㇷ゚ アン コㇿ、 オヌマン アン コㇿ 毎朝、 毎昼、 毎晩。(S会話) kesto an kor ケㇱト アン コㇿ 毎日毎日。 hempara an kor ヘンパラ アン コㇿ いつになったら。(W即興詩) oka(ke) an オカ(ケ) アン 終わる。 ④(格助詞 ne ネ の後に置かれて)…になる。 síporo cikap ne an シポロ チカㇷ゚ ネ アン (彼は)巨大な鳥になった。(W神謡語り) ⑤(動詞句+接続助詞の後に置かれて) anki an アンキ アン もう少しで…しそうである。 pekor an ペコㇿ アン …したようである。 ápekor an アペコㇿ アン まるで…したかのようである。 híne an ヒネ アン …して(しまって) いる、 してある。 wa an ワ アン …してある/…している。(☞⑧) kane an …カネ アン …して(いる状態で)ある。 kor an コㇿ アン …しつつある。 kotom an コトㇺ アン …するようである。 noyne an ノイネ アン …する(した)らしい。 ⑥(副詞や副詞句の後に置かれてこれを動詞句とする。) mosmano an モㇱマノ アン だまって(かまわないで)いる。 sonno an a! ソンノ アナ! 本当だねえ。 easir an a! エアシラナ! 全くねえ。 néno (kane) an ネノ (カネ) アン …に(よく)似ている。 pak(no) an パㇰ(ノ) アン …くらい(の大きさ/量)である。 sekor an セコㇿ アン/セコラン … という(ような)。 sekor réhe an セコン レヘ アン …という名前である。 sekor ku=rehe an セコㇿ クレヘ アン 私は…という名前です。 ⑦(熟語) sine an ta シネ アン タ (=sineanta) ある時。 sine an pa ta シネ アン パ タ ある年に。 sine an to ta シネ アン ト タ ある日(に)。 ne wa an… ネ ワ アン… (今ここで話題にしている)この…。 ⑧[補助動詞] wa an/híne an ワ アン/ヒネ アン …して(し終わって)いる、 …してある。 ek wa an エㇰ ワ アン (彼はもう)来ている。(W会話、 民話) a=suwé wa an アスウェ ワ アン (ごはんが)炊いてある。(W) e=hokuhu an wa an ruwe? エホクフ アン マ アン ルウェ? あなたの夫はいてあるのかい=ご主人いるかい(いま在宅しているか)? (W)(方言で「いてあったかい?」と言う言い方がある。 同じことを e=hokuhu an ruwe/isam ruwe? エホクフ アン ルウェ/イサㇺ ルウェ? 《あなたの夫はいるのかい/いないのかい?》と言うことも可能だが、 an wa an ruwe アン マ アン ルウェ と言うほうが好まれる。 一方、 夫を持っているかいないか(独身か)をたずねるときは an ruwe/isam ruwe アン ルウェ/イサㇺ ルウェ のほうを使い、 an wa an ruwe アン マ アン ルウェ とは言わない。) ☆参考 [否定のつくり方]否定辞 somo ソモ による否定は通常つくられず否定動詞 isam イサㇺ が使われる。 ☞isam イサㇺ {E: ①to be; exist; stay; live; happen. ②to be born. ③to become (in reference to time). ④to become… ⑤… ⑥… ⑦…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
arokamkinno
アロカㇺキンノ 【副】[ar-okamkir-no 全く・わざと・(副詞接頭辞)] 全く意図的に、 わざと。 arokamkinno/asinuma/a=renkayne/repuyso ka wa/kamuy menoko/a=ekte wa アロカㇺキンノ/アシヌマ/アレンカイネ/レプイソ カ ワ/カムイ メノコ/アエㇰテ ワ [雅]わざと私の考えで沖の海原から女神をよこして。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynuhu
アイヌフ 【名】[所](概は aynu アイヌ) [aynu-hu 人間・(所属語尾)] 人間(nep ネㇷ゚ の後に置かれる形)。 asinuma anak nep aynuhu hene a=ne ruwe ka somo ne アシヌマ アナㇰ ネㇷ゚ アイヌフ ヘネ アネ ルウェ カ ソモ ネ (民話の引用文で)私はなんという人間でもない=ただの人間ではない。 ☆参考 人間の姿になって地上に暮らしている神がほかでもない…と言って名のるときの表現で使われる形。 {E: a human-being.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
cikositosito
チコシトシト 【他動】[中相][ci-ko-sito-sito …された・…に(所有者を表す)・餅・(重複)](羊 (「めんよう」)の)毛がメチャクチャになって餅みたいになっている。 ku=konukosne humi! toy wente kor patek an numa cikositosito hemanta クコヌコㇱネ フミー! トイ ウェンテ コㇿ パテㇰ アン ヌマ チコシトシト ヘマンタ 憎らしいなあ! 畑を荒らしてばかりいる毛がメチャクチャになって餅になってるへんなやつ(羊)。(S) ☞cisitosito チシトシト、 sito シト ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekari
エカリ 【後副】(正面から) …に向かって。 onumanipe ekari ek hani! オヌマニペ エカリ エㇰ ハニ! ちょうど夕食のときにおいでよ。(S) e=ekari k=a エエカリ カ 私はあなたと向き合って座る。(S) en=ekari ek hani エネカリ エㇰ ハニ 私も行くからあなたも来なさいよ。(S) {E: to face…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eramiskari
エラミㇱカリ 【他動】[否定動詞] ①(人)を知らない(見知らない)、 おぼえがない。 siketoknawa a=erámiskari okkaypo sinep soy ta ek na シケトㇰナワ アエラミㇱカリ オッカイポ シネㇷ゚ ソイ タ エㇰ ナ 全然知らない(見覚えのない)若い男が一人、 門口に来ています。(W言い伝え) ku=mokorkasu wa sir-onuman ya ka k=éramiskari クモコㇿカス ワ シロヌマン ヤ カ ケラミㇱカリ 寝すぎて晩になったのもわからなかった。(S) ②(動詞句の後に置かれて)…したことがない。 k=arpa ka eramiskari カㇻパ カ エラミㇱカリ 私は行ったことがない。(W会話) ☆対語 肯定は amkir アㇺキㇼ。 ☆参考 erampewtek エランペウテㇰ …がわからない、 …を知らない(知識がない)。 ☞amkir アㇺキㇼ、 erampewtek エランペウテㇰ {E: to not know, remember, recall…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eramucuptek
エラムチュㇷ゚テㇰ 【他動】[e-ramu-cup-tek …で・心[所]・(すぼむことを表す語根)・ちょっと…する]…で心細い。 e=utari opitta ikutasa wa isampa wa sinenne e=an wa somo e=eramucuptek? エウタリ オピッタ イクタサ ワ イサンパ ワ シネンネ エアン マ ソモ エエラムチュㇷ゚テㇰ? 家じゅうみんな招待されて行ってしまってあなた一人でいて心細くないかい? (S) k=éramucuptek korka onuman k=útari sap nankor ケラムチュㇷ゚テㇰ コㇿカ オヌマン クタリ サㇷ゚ ナンコㇿ 心細いけれど夕方には家の人たちが(川上の方から)帰って来るでしょう。(S) {E: to be lonely over…} (出典:田村、方言:沙流)
erikiraye
エリキライェ 【他動】[e-riki-raye …その頭・上の方へ・行かせる][雅](直訳すると)上へ上げる。(次の慣用句で) sinotnumatpo/erikiraye シノッヌマッポ/エリキライェ [慣用句](女の子がだいぶ大きくなって)衿もとのひもを結ぶようになった。 ☞sinotnumatpo シノッヌマッポ、 ヌマッポ (出典:田村、方言:沙流)
esiseturka-terkere
エシセトゥㇽカテㇾケレ 【他動】[e-si-setur-ka-terke-re …に・自分の・背中・の上・跳ぶ・させる](おんぶするために赤ん坊)を自分の着物の背中へスポーンと入れる。 asinuma anak néa poyson a=esíseturkaterkere a=kay pakkay=an híne アシヌマ アナㇰ ネア ポイソン アエシセトゥㇽカテㇾケレ アカイ パッカイアン ヒネ 私はその坊やを自分の着物の背中にスポーンと入れておぶい、 おんぶして。(W民話) {E: to put a baby underneath the clothing on one's back.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyaykarap
エヤイカラㇷ゚ 【他動】[e-yay-karap …のことで・自分を・(?)]…のことで気の毒に思う、 申し訳なく思う。 núman somo k=ek a hi k=éyaykarap kusu tanto anak ku=tokapmokor ka somo ki no k=ek ヌマン ソモ ケㇰ ア ヒ ケヤイカラㇷ゚ クス タント アナㇰ クトカㇷ゚モコㇿ カ ソモ キ ノ ケㇰ 私は昨日来なかったことを気の毒に思うから今日は昼寝もしないで来た。(S) ☆参考 eyaypataraye エヤイパタライェ とも言う。 {E: to feel sorry for, about…} (出典:田村、方言:沙流)
hoski 2
ホㇱキ 【副】①先に、 最初に。 hoski arpa kor an, e=os k=arpa kusu ne na ホㇱキ アㇻパ コラン、 エオㇱ カㇻパ クス ネ ナ 先に行っていなさい、 (私は)あなたの後から行くから。(S) uwerpak hoyuppa=an ro, inan kur hoski sirepa ya ウウェㇾパㇰ ホユッパアン ロ、 イナン クㇽ ホㇱキ シレパ ヤ 一緒に走ろう、 どの人が(=だれが)最初に着くか。(S) ②ちょっと待って(その前にすることがあるからちょっと待ってと、 急いで止めるときに言う)。 ponno hoski! ポンノ ホㇱキ! ちょつ、 ちょっと待って! ③(時を表す語の前に置かれて、 一つ前のその時を表す。) hoski an ホㇱキ アン 去年の、 もう一つ前の。 hoski an to ホㇱキ アン ト 一昨日(少し他方言の感じがある)(=hoskinuman ホㇱキヌマン)。 hoski cukne ホㇱキ チュㇰネ 一昨年の秋(二つ前の秋)。(cukne チュㇰネ は去年の秋、 この前の秋。) hoski matane ホㇱキ マタネ 一昨年の冬、 二つ前の冬。 hoski paykar(ne?) ホㇱキ パイカㇻ(ネ?) 一昨年の春、 二つ前の春。 hoski sakne ホㇱキ サㇰネ 一昨年の夏、 二つ前の夏。 hoski isam cup ホㇱキ イサㇺ チュㇷ゚ 先月(=hoskicup ホㇱキチュㇷ゚)。 {E: ①firstly; before. ②Wait a moment! ③used in expressions of time.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
inoma
イノマ 【名】宝物の中で、 主に宝刀・槍・弓矢。(S) epa=kor cási/kamuy inoma/a=sitúrare エパコッ チャシ/カムイ イノマ/アシトゥラレ [雅]私は私の城や神の所で持っていたものをすべて持って来ました。(Sユーカラ) ☆参考 inoma イノマ と発音しているが、 後に歌い手のサダモさん自身が inuma イヌマ が正しいと言って訂正した。 ☞inuma イヌマ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ipe 1
イペ 【自動】ものを食べる、 食事する、 食べて(生きて)いく、 (名詞として)食べること、 食事。 hokure ipe ipe! iku iku! ホクレ イペ イペ! イク イク! さあどんどん食べなさい、 どんどん飲みなさい。(S民話) ipe ka a=etóranne イペ カ アエトランネ 私はものを食べるのもいやだ。(S民話) (NK民話) ipe=an kor pisno イペアン コㇿ ピㇱノ 私たちが食事をするときいつも。(S会話) é=ipe easkay kuni a=ki kusu ne na エイペ エアㇱカイ クニ アキ クス ネ ナ あなたが食べていけるようにしてあげるから。(HC民話) kunneywa ipe クンネイワ イペ 朝食を食べる、 朝食。 tókap ipe トカㇷ゚ イペ 昼食を食べる、 昼食。 onuman ipe オヌマン イペ/オヌマニペ 夕食を食べる、 夕食。 ipe rápok ta イペ ラポㇰ タ 食事中に。 ipe oka ta イペ オカ タ 食事の後に。 ipe etok ta イペ エトㇰ タ 食事の前に。 {E: to eat.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koeun
コエウン 【他動(?)】[ko-eun …は・…につく] tapan cási/kamuy inuma/kamuy iyoype/koeun ki na タパン チャシ/カムイ イヌマ/カムイ イヨイペ/コエウン キ ナ [雅]この城も神の宝刀類も神の宝器もみんなそろえて。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koeunpipka
コエウンピㇷ゚カ 【複他動】[ko-eunpipka …に対して・…を疑う](人)の(話)を疑う。 núman e=ek kunak e=ye korka eci=kóeunpipka ヌマン エエㇰ クナㇰ エイェ コㇿカ エチコエウンピㇷ゚カ きのうあなたは来ると言ったが私はあなたの言うことを信じなかった。(S) {E: to doubt…} (出典:田村、方言:沙流)
kotakmane
コタㇰマネ 【他動】[ko-takma-ne …に・丸い塊・になる] …に丸い塊になってくっつく。 toan seta numaha kotakmane ruwe! トアン セタ ヌマハ コタㇰマネ ルウェ! あの犬の毛に雪玉がついているねえ。(S) {E: to become a round lump and stick to…} (出典:田村、方言:沙流)
kusu ne/kus ne
クス ネ/クㇱ ネ 【接助+デアル動】(未来の表現) …する(ことになっている)、 …しようとしている、 …します。 aynu itak ne ci=ye kusu ne アイヌ イタㇰ ネ チイェ クス ネ (それを)私たちはアイヌ語で言います。(S独話) núman k=ek kusu ne a korka ヌマン ケㇰ クス ネ ア コㇿカ 私はきのう来るつもりだったけれど。(S会話) e=utari e=ere yakun e=utari opitta ray kusu ne aan pe エウタリ エエレ ヤクン エウタリ オピッタ ライ クス ネ アアン ペ あなたが(これを)あなたの村人に食べさせたらあなたの村人はみんな死ぬところだったが。(NK民話) ☆発音 早く言うときは kus ne クㇱ ネ となることが多い。 (出典:田村、方言:沙流)
níkor-mame
ニコㇿマメ 【名】[ni-kor-mame 木・を持つ・豆][植物] 手を立ててつくる豆。 ☆参考 nínumame ニヌマメ とも言う。 (出典:田村、方言:沙流)
nísakmame
ニサㇰマメ 【名】[ni-sak-mame 木・を持たない・豆] 手を立てないでつくる豆。 ☆対語 níkormame ニコㇿマメ 手を立ててつくる豆、 nínumame ニヌマメ 同。 (出典:田村、方言:沙流)
oka 3
オカ 【代名】[三人称複数]彼ら、 彼ら自身。 oka ka ene haweoka hi オカ カ エネ ハウェオカ ヒ あの人たち自身もそう言ったんだのに。(S) ☆参考 三人称単数代名詞の sinuma シヌマ と同じく、 日本語の「彼ら」のように頻繁には使わない。 この代名詞を使うのは特殊な場合だけである。 ☞sinuma シヌマ (出典:田村、方言:沙流)
onne 2
オンネ 【自動】(老人が)死ぬ、 老死する。 nen póka ku=kor hekattar ku=sikore yakun ora k=onne yakka pirka ネン ポカ クコㇿ ヘカッタㇻ クシコレ ヤクン オラ コンネ ヤッカ ピㇼカ なんとか私の子どもたちを一人前にしてからなら私は死んでもいい。(S) núman onne yak a=ye ヌマン オンネ ヤカイェ (老人が)きのう亡くなったそうだ。(S) {E: to die of old age.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
otakne
オタㇰネ 【自動】[o-takne その尻・短い] ①陰茎が短い(=ciyehe takne チイェヘ タㇰネ)。 ②陰毛が短い(=honuma takne ホヌマ タㇰネ)。 ☆対語 otanne オタンネ。 {E: ①to have a small penis. ②to have short pubic hairs.} (出典:田村、方言:沙流)
otanne
オタンネ 【自動】[o-tanne その尻・長い] ①陰茎が長い(=ciyehe tanne チイェヘ タンネ)。 ②陰毛が長い (=honuma tanne ホヌマ タンネ)。 ☆対語 otakne オタㇰネ {E: ①to have a big penis. ②to have long pubic hairs.} (出典:田村、方言:沙流)
póturkes
ポトゥㇽケシ 【名】ほくろ(ポツンと高くなっているところ。 皮膚と同じ高さのは言わない)。(S) numa us póturkes ヌマ ウㇱ ポトゥㇽケㇱ 毛の生えているほくろ。(S) {E: a mole.} (出典:田村、方言:沙流)
rápok
ラポㇰ 【位名】[概](所は rápoki, rapokke ラポキ、 ラポッケ) ①(多くの場合、 動詞句の後に置かれる。) …している間、 …している途中、 …している時。 rápok ta ラポㇰ タ …している間に。 ipe rápok ta ek kor an イペ ラポㇰ タ エㇰ コラン 食べている最中に彼は来ている(来つつある)。 a=kor híne sóyonpa=an rápok ta ne pon menoko anakne アコㇿ ヒネ ソヨンパアン ラポㇰ タ ネ ポン メノコ アナㇰネ (私がそれを)持って外へ出て行っているときにその娘は…。(W民話) ②(rápok ラポㇰ がついてできた句は、 格助詞を伴わずそのままでも連用語(副詞句)となる。) tókap ne kunak a=ramu rápok sirkunne トカㇷ゚ ネ クナㇰ アラム ラポㇰ シㇼクンネ 昼間だと思っている間に暗くなった。(W会話) hńta kus e=nimara nepki kor oka rápok sinenne e=a wa e=an フンタ クㇱ エニマラ ネㇷ゚キ コロカ ラポㇰ シネンネ エア ワ エアン なぜあなたの連れが働いているのにあなたは一人で座っているんだ。(S) a=yupíhi nína inawcipa kar, rápok asinuma cise onnay wano a=kerkeri アユピヒ ニナ イナウチパ カㇻ、 ラポㇰ アシヌマ チセ オンナイ ワノ アケㇾケリ 兄はたきぎを取って来たり幣場をつくったりしていた、 その間私は家の中から外まで掃除をしていた。(KH民話) ☆参考 概念形 rápok ラポㇰ と所属形 rapoki/rapokke ラポキ/ラポッケ の用法の違いは不明。 {E: ①at the time of doing…; in the middle of doing…; while doing… ②…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rar 2
ラㇻ 【名】[概](所は raru(hu) ラル(フ))眉。 ☆参考 眉の全体を言う。 眉の毛は rannuma ランヌマ。 {E: the eyebrows.} (出典:田村、方言:沙流)
rárak
ララㇰ 【自動】[rara-k (擬態の語根の重複)・(自動詞形成)] なめらかである、 すべすべしている。 taan cápe seturu rárak humi! タアン チャペ セトゥル ララㇰ フミ! この猫は背中がすべすべしてるなあ。(W) esaman numaha rárak エサマン ヌマハ ララㇰ カワウソの毛皮はなめらかだ。(W) eytasa so rárak wa cise or ta ka osittesu=an エイタサ ソ ララㇰ ワ チセ オッタ カ オシッテスアン あまり床がツルツルしているので私たちは家の中でもすべってしまう。(S) {E: to be smooth.} (出典:田村、方言:沙流)
raruma
ラルマ §718.まゆげ(眉毛);まいげ(3)raruma〔rá-ru-ma らルマ〕[<ranuma(↑)]⦅オギフシ、サマニ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
retar
レタㇻ 【自動】白い。 retar cihokimame レタㇻ チホキマメ[白い・商品の豆](「オオフクマメ」)。 retar nínumame レタㇻ ニヌマメ[白い・手を立ててつくる豆](「オオフクマメ」)。 retar seta ukoykire p レタㇻ セタ ウコイキレㇷ゚ 白い犬をけんかさせるもの(なぞなぞで、 答えは mimaki ミマキ「歯」)。(S会話) ruretar ルレタㇻ 白っぽい。 anretar アンレタㇻ まっ白い。 {E: to be white.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sáta-irwaki(hi)
サタイㇼワキ(ヒ) 【名】[所](概は sátairwak サタイㇼワㇰ)…のいとこ。 núman kunneywa téun unarpe sata-irwaki cisesak wa kusu ukuran wano arpa wa ikasuy kor an ヌマン クンネイワ テウン ウナㇻペ サタイㇼワキ チセサㇰ ワ クス ウクラン マノ アㇻパ ワ イカスイ コラン きのうの朝ここの(=この家の)おばさんのいとこが奥さんに亡くなられたので、 おばさんは夕べから行って手伝いをしている。(W) ☆発音 irwaki イㇼワキ の発音は イㇽワキ。 {E: the cousin(s) of…} (出典:田村、方言:沙流)
somo
ソモ 【副】(否定辞) ①(動詞句または否定する語の前に置かれて) …しない。 núman somo k=ek ヌマン ソモ ケㇰ 昨日私は来なかった (S会話) te wano anak somo néno iki=an kusu ne na テ ワノ アナㇰ ソモ ネノ イキアン クス ネ ナ これからはあんなことはしませんから。(W民話) somo ipe ソモ イペ (彼は)ものを食べない。(S会話) ipe ka somo ki イペ カ ソモ キ (彼は)ものも食べない(全然食べない)。(S会話) somo ne ソモ ネ …ではない。 seta ka somo ne, cápe e ruwe ne aan wa セタ カ ソモ ネ、 チャペ エ ルウェ ネ アアン ワ 犬じゃない、 猫が食べたんだわ。(S) somo ki ソモ キ …しない/しなかった。 somo ki no ソモ キ ノ …せずに。 ②(動詞句が現れずこの語だけで否定の動詞句の役割をする場合もある。) somo yak a=ye ソモ ヤカイェ そうではないそうだ。 ③[熟語・慣用表現] somo ka(…ramu a p/hi) ソモ カ…(ラム アㇷ゚/ラム ア ヒ) まさか… (とは思わなかったが…)。 a=yupíhi somo ka ene iki kunak a=ramú a hi アユピヒ ソモ カ エネ イキ クナㇰ アラム ア ヒ 兄がまさかそんなことをするなんて私は思わなかったが。(W民話) somo ka tapne i=okpare kuni p ne kunak a=ramú a p ソモ カ タㇷ゚ネ イオㇰパレ クニㇷ゚ ネ クナㇰ アラム アㇷ゚ まさか(苦労して育てた息子に)虐待されるなんて思わなかったのに。(W民話) ciki somo…na/ya チキ ソモ…ナ/ヤ …すれば(…なるのではないかなあ)(願望)。 híne un somo ヒネ ウン ソモ もちろん。(S) somo ney ta ki ソモ ネイ タ キ いつもそうする。 hat punkar he emawri punkar he k=éokok híne ku=hacir, k=áni wakka opitta ku=kuta wa isam ranke, somo ney ta ki p un ハッ プンカㇻ ヘ エマウリ プンカㇻ ヘ ケオコㇰ ヒネ クハチㇼ、 カニ ワッカ オピッタ ククタ ワ イサㇺ ランケ、 ソモ ネイ タ キプン (S) ブドウ蔓かイチゴの蔓かにひっかかって転ぶ、 持っている水を全部こぼしてしまう、 いつもそうなのよ。 {E: not (to negate a sentence).} (出典:田村、方言:沙流)
soso
ソソ 【他動】[単](複は sospa ソㇱパ)[sos-o 薄片・(他動詞形成)] …をはぐ、 はがす、 むきとる、 めくる。 kapuhu soso カプフ ソソ 皮をはぐ。 numaha soso ヌマハ ソソ 毛皮をはぐ。 ☆参考 動物の毛皮をはぐことは ri リ、 野菜や果物などの皮をむくことは kar カㇻ、 繊維をとるための木の皮をはぐことは kep ケㇷ゚。 {E: to tear off, take off, skin, peel…} (出典:田村、方言:沙流)
tan
タン 【連体】[< ta-an ここに・ある]この、 自分が手に持っている(ものなど)、 自分が今いる(村など)。 tan mosir タン モシㇼ この国。 tan cup タン チュㇷ゚ 今月。 tan pa タン パ 今年。 tan pe タン ペ このもの=これ。 tan onuman タノヌマン この夕方=今夕。 tan uske タヌㇱケ この場所=ここ。 tan uske ta amam k=étoyta タン ウㇱケ タ アマㇺ ケトイタ 私はここに稲をつくる。(S) tan a=kor hekaci タン アコㇿ ヘカチ この私の少年=いいかい(聞きなさい)ぼうや…。 tan rikna wa タン リㇰナ ワ この上の方から(=こう、 高い所から…)。 tan te ta タン テ タ ここに、 ほかならぬここに。 tan te ta an wa an rápokke ta a=hunára kor síran タン テ タ アン マ アン ラポッケ タ アフナラ コㇿ シラン ここにあったのを知らないでさがしていた。(S) tan tepo ta タン テポ タ [tan-te-po-ta この・ここ・指小辞・に] ついここに、 すぐここに。 tan tépo ta a wa an pe yayhawesina wa an タン テポ タ ア ワ アン ペ ヤイハウェシナ ワ アン (彼は)ついここに座っていたのに声も出さないでいたんだね。(S) tan te pakno タン テ パㇰノ [雅] 今まで。 ☆参考 自分のすぐ近くにあるものを言い表すには taan タアン《ここにある、 この》を用いる。 離れた所のものを言うには toan トアン《その、 あの》、 toon トオン《あの、 遠くの》を用いる。 {E: here; this.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tannu
タンヌ 【名】[動物]アザラシ。 tannu numaha rárak タンヌ ヌマハ ララㇰ アザラシの毛皮はなめらかだ。(S) 〔知分類 p.174 イルカ((イブリ))〕 {E: a seal.} (出典:田村、方言:沙流)
tap 4
タㇷ゚ 【助詞】①(強めの助詞) oar tap オアッタㇷ゚ 本当に全く。 oar tap k=érampewtek オアッタㇷ゚ ケランペウテㇰ 私は本当に全然わからない。 ohayne tap オハイネ タㇷ゚ なるほど本当に…。 ②tap an (na) タㇷ゚ アン (ナ) (直訳すると)これぞまさしく…であります。 (注 きちんとした言い方で、 ruwe ルウェ や hawe ハウェ などの後に ne ネ《…だ》の代りに置かれる。 tap タㇷ゚ が使われたときはそれに続く ne ネ《である》の代りに an アン が使われるので tap an タㇷ゚ アン となる。そのあとに na ナ《よ、 から》がつくことも多いが wa ワ《よ》はつかない。 tap タㇷ゚ と an アン が一語になっている場合もある(☞tapan タパン 2)。 …tas(i) tap タㇱ/タシ タㇷ゚ …こそ(強め)。 …tap ta タㇷ゚ タ…これこそは、 実に間違いなく、 まさしく。 tan oruspe tap ta, sonno an oruspe ne タン オルㇱペ タㇷ゚ タ、 ソンノ アン オルㇱペ ネ この話こそは本当の話だ。(S) asinuma tap/ramuan=an hi アシヌマ タㇷ゚/ラムアナニ [雅] 私がちゃんと考えてしたこと。(Sユーカラ) {E: certainly; truly; emphatic particle.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tókap
トカㇷ゚ 【名/副】[to-kap 日・(?)] ①昼間、 昼。 tane tókap an noyne タネ トカㇷ゚ アン ノイネ もうお昼ごろらしい。(W) kunneywa an kor tókap an kor onuman an kor クンネイワ アン コㇿ トカㇷ゚ アン コㇿ オヌマン アン コㇿ 朝ごとに昼ごとに晩ごとに=毎朝毎昼毎晩。(S会話) tókap cup トカㇷ゚ チュㇷ゚ ☞tókapcup トカㇷ゚チュㇷ゚。 tókap heporap トカㇷ゚ ヘポラㇷ゚ ☞tókapheporap トカㇷ゚ヘポラㇷ゚。 tókap ipe トカㇷ゚ イペ ☞tókap(ォ)ipe トカㇷ゚イペ/トカピペ。 tókap mokor トカㇷ゚ モコㇿ ☞tókapmokor トカㇷ゚モコㇿ ②(副詞的に使って)昼に。 tókap e トカㇷ゚ エ …を昼食に食べる。 “hempara iwak?” “tókap iwak“ 「ヘンパラ イワㇰ?」「トカㇷ゚ イワㇰ」 「いつ(仕事から家に)帰る?」「昼に帰る。」 (S) kunne tókap クンネ トカㇷ゚ 夜も昼も。 kunne ka tókap ka クンネ カ トカㇷ゚ カ 夜も昼も。 kunne hene tókap hene クンネ ヘネ トカㇷ゚ ヘネ 夜も昼も、 夜でも昼でも(口承文学では上の三つの中でこの形が最も多く使われる)。 sir-tókap シットカㇷ゚ 昼になる。 {E: ①day; daytime. ②in, during the day, the daytime.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tumutuy
トゥムトゥイ 【自動】[tumu-tuy 力[所]・切れる] 力が尽きる。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトㇰ ウワンテアン クス 私が先に力が尽きるか熊が先に力尽きるか度胸比べをするために。(HK民話) {E: to run out of energy.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tuy 2
トゥイ 【自動】(花や葉が、 たばこの灰が)とれて落ちる。 seta numa tuy セタ ヌマ トゥイ 犬の毛が抜ける。(W) nonno tuy ノンノ トゥイ 花が散る。(S) níham tuy ニハㇺ トゥイ 木の葉が落ちる(一枚ポロッと取れて落ちる)。 ☆参考 他動詞は tuyre トゥイレ (たばこの灰などを)落とす。 ☆参考 木の葉などがたくさん落ちる(散る)ことは rapapse ラパㇷ゚セ。 {E: to break off.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
umatkor/tsey
ヌマッコㇿセイ/ヌマッコッセイ §254 (所属不明)  numat-kor/t-sey (nu-mat-kor/t-sey)「ヌマッコㇿセイ/ヌマッコッセイ」 ⦅B⦆ (出典:知里動物編、方言:)
urametok
ウラメトㇰ 【接頭辞+名詞】[u-rametok 互い・大胆さ](次の表現の中で) urametok uwante ウラメトㇰ ウワンテ 互いに度胸の強さを比べ合う=度胸比べをする。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya urametok uwante=an kusu アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ ウラメトㇰ ウワンテアン クス 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 「度胸比べ」(=強さ比べ)するために。(HK民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwante
ウワンテ 【自動】[u-w-an-te 互い・(挿入音)・ある・させる](?) 比べ合う(?)。 asinuma hoski tumutuy=an ya kimun kamuy hoski tumutuy ya, urametok uwante=an kusu kimun kamuy a=sikésanpare awa アシヌマ ホㇱキ トゥムトゥイアン ヤ キムン カムイ ホㇱキ トゥムトゥイ ヤ、 ウラメトㇰ ウワンテアン クス キムン カムイ アシケサンパレ アワ 私が先に力尽きるか熊が先に力尽きるか、 度胸比べをするために熊に後を追いかけさせたのに。(HK民話) {E: to mutually compare.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wa 2
ワ 【接助】…して(二つの動詞句をつないで一まとまりのことがらとしてまとめる働きをする。 具体的には、 次のようないろいろな場合に使われる)。 ①(一つのもの/ことについて二つ以上の説明や叙述をする場合にその二つの動詞句をつなぐ。) upakno oka wa sattek kusu oka wa ウパㇰノ オカ ワ サッテㇰ クス オカ ワ 同じぐらいの大きさでやせこけていて。(S会話) Kusur un oruspe ne wa teeta oruspe ne wa a=ewkoysoytak kor síran pe tasi an nek! クスルン オルㇱペ ネ ワ テエタ オルㇱペ ネ ワ アエウコイソイタㇰ コㇿ シラン ペ タシ アン ネㇰ! (これは)釧路の話で昔の話で、 私たちはそれについて話し合っているのですよ。(S会話) sunke ka eaykap wa anpe patek ye rusuy pe スンケ カ エアイカㇷ゚ ワ アンペ パテㇰ イェ ルスイ ペ うそをつくことができなくて本当のことばかり言うもの。(S会話) ②(前の動詞句が後の動詞句の表す出来事の方法や意図などを説明する。) ku=hoyupu wa k=ek クホユプ ワ ケㇰ (私は)走って来た。 hosippa wa paye ホシッパ ワ パイェ (彼らは)もどって行った。 ③(前の動詞句の出来事が終わってから後の動詞句の出来事が起こることを言う。)…して。 otcike huraye wa pirpa オッチケ フライェ ワ ピㇼパ お膳を洗ってふきなさい。(W) núman k=ek wa tanto suy ukoytak=an hawe ne ヌマン ケㇰ ワ タント スイ ウコイタㇰアン ハウェ ネ 私は昨日来て、 今日また(姉と私と)二人で会話をするのです。(S会話) ne to or ta cip hene a=kar wa oro ta a=anú wa ネ ト オッタ チㇷ゚ ヘネ アカㇻ ワ オロ タ アアヌ ワ その湖に舟でもつくってそこに置いて。(S会話) ④(前の出来事が後の出来事の原因か理由になっている。)…して。 k=úkao oyra wa rurikan クカオ オイラ ワ ルリカン (私は洗濯物を)しまい忘れて少し湿った。(W) mosma kur or ta wenpe an wa oro ta ka ku=yorot モㇱマ クロッタ ウェンペ アン マ オロ タ カ クヨロッ 他の人の家に不幸があって私はそこにも行って来た。(S会話) (原因や理由の説明だということをはっきり述べるには kusu クス、 pe ne kusu ぺ ネ クス、 wa kusu ワ クス、 hi kusu ヒ クス などが用いられる。) ⑤(補助動詞表現で) wa an …ワ アン。 (1)(すでに)…している。 mokor wa an モコㇿ ワ アン 眠っている(すでに寝ついていることを言う。 mokor kor an モコㇿ コラン は寝つきつつあること、 つまり眠りかかっていることを言う)。(W) (2)…してある。 a=suwé wa an アスウェ ワ アン 煮てある、 (ごはんが)たいてある。(W) wa anu ワ アヌ (あらかじめ)…しておく。 ku=ye wa k=ánu クイェ ワ カヌ 私は言っておく。 wa isam ワ イサㇺ …して(なくなって)しまう。 e wa isam エ ワ イサㇺ 食べてしまう。 wa oka ワ オカ (wa an ワ アン の複数)(二人/二つ以上が) (1)(すでに)…している。 móno rok wa oka モノ ロㇰ ワ オカ (彼らは)座っている。 (2)…してある。 a=kar wa oka アカㇻ ワ オカ たくさんつくってある。 wa okere ワ オケレ (1)予定の行動をすっかり…してしまう(完了する)、 …し終わる。 ray wa okerpa ライ ワ オケㇾパ 皆死んでしまう。(KK掛け合い歌) (2)とても/極めて…(である)。 wen wa okere pon cise ウェン マ オケレ ポン チセ とても悪い(粗末な)小さい家。(S) ⑥[熟語・慣用句など] ne wa an ネ ワ アン [連体][単]/ne wa oka ネ ワ オカ [複] 今言っているこの/その、 今/さっき言ったその/あの(☞ne wa an ネ ワ アン、 ネ ワ オカ)。 wa kusu ワ クス …したから、 …だから。 k=úni ta ku=mokor wa k=an yakun e=mismu kuni ku=ramu wa kusu k=ek ruwe un クニ タ クモコㇿ ワ カン ヤクン エミㇱム クニ クラム ワ クス ケㇰ ルウェ ウン 私がうちで眠っていたらあなたがさびしいだろうと思ったから来たんだよ。(S) ☆参考 wa ワ と似た文脈で híne ヒネ も使われる。 どちらも使える場合も多いが、 日常会話では wa ワ のほうが多く使われ、 昔話などの語りの中では híne ヒネ のほうが多く使われる。 日常会話の中でも、 ③のように、 相前後して起こる事柄を述べる場合には、 híne ヒネ もよく使われる。 その場合でも、 前の出来事を述べてからそれと同じ重さで次の出来事を述べるのに、 言い換えれば二つの事柄をただ順番に述べていくのには híne ヒネ が多く使われるのに対して、 二つの出来事を一まとまりの事柄としてまとめるのには wa ワ が多く使われる。 また、 wa ワ はほとんどの場合動詞句の後に置かれるが、 híne ヒネ は前に動詞句のない文頭にも置かれる。 ☞híne ヒネ ☆参考 二つの別々の事柄が同時に起こることを表すには、 wa ワ ではなく kor コㇿ が使われる。 ☞kor コㇿ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wano
ワノ 【格助】[wa-no から・(副詞語尾)](起点を示す。)(場所/時)…から。 toop Karapto wano トオㇷ゚ カラㇷ゚ト ワノ はるか遠い樺太から。(S言い伝え) otuymasirun wano ku=hotku kane wa k=ek オトゥイマシルン マノ クホック カネ ワ ケㇰ 私はずいぶん遠い所からかがんで来た。(S) núman wano tanto pakno ヌマン ワノ タント パㇰノ きのうから今日まで。 té wano テ ワノ これから(今から)。 té wano anak somo néno iki=an kusu ne na テ ワノ アナㇰ ソモ ネノ イキアン クス ネ ナ もうこれからはあんなことはしませんから。(W民話) poni wano ポニ ワノ 小さい(幼い)ときから。 hemtomani wano ヘㇺトマニ ワノ このごろから、 最近。(W民話) ☆参考 場所については wa ワ が多く使われ、 時についてはほとんどの場合 wano ワノ が使われる。 場所の場合は wa ワ と wano ワノ はほぼ同義だが、 wano ワノ のほうがよりはっきりとした表現になる。 ☞wa ワ 1 {E: from…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yaysarama
ヤイサラマ 【他動】(受け身の形、 つまり主語不定人称形で) a=i=yáysarama アイヤイサラマ すべてをまかされている。(KSg) asinuma tap/a=iyáysarama/cup kamuy menoko/a=ne wa taptap アシヌマ タㇷ゚/アイヤイサラマ/チュㇷ゚ カムイ メノコ/アネ ワ タㇷ゚タㇷ゚ 私はすべてをまかされている日月の女神ですが。(Sユーカラ語り) ☆参考 歌い手のサダモさんには意味を聞いてなかった。 「すべてをまかされている」は萱野茂氏の訳。 久保寺『辞典稿』には chinosarama に「選ばれる、 選定される」という訳がついている。 バチラー辞典には sarama に「擇(えら)ぶ. vt. To choose」とある。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)