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- pana
- パナ 【pana】 塵,粉塵,ほこり. タネタネ ネアヤント エㇰ ナンコㇿ ペ マㇰ エ・イキ シリ アン.ニサッタ カ シッチャㇱヌレ.パナアッ ワ ウェン ナ=今に今にあの客が来るであろうのに.何やっているの.明日でいいから掃除して.ほこりが立って悪いから. (出典:萱野、方言:沙流)
- pana 1
- パナ 【名】ほこり(埃)、 何かの細かい粉(「たきぼこり」、 土埃)。 pana otuy wa an パナ オトゥイ ワ アン 埃がたまっている。(S) {E: dust.} (出典:田村、方言:沙流)
- pána 2
- パナ 【位名】[概](所は pánake(he) パナケ(ヘ))[pa-na 川下・の方] …の川下側。 ruyka pána wa an pitar ルイカ パナ ワ アン ピタラ 橋の川下側にある石原。(W) ☆対語 péna ペナ 川上側。 {E: the lower reaches of a river.} (出典:田村、方言:沙流)
- munpana
- ムンパナ 【名】[mun-pana ごみ・埃] 家の中の埃(ほこり)。 {E: house dust.} (出典:田村、方言:沙流)
- munpana
- ムンパナ 【mun-pana】 (家の中の)ほこり. (出典:萱野、方言:沙流)
- pana/panake(he)
- パナ/パナケ(ヘ) 【pana/panake(he)】 川下,下,下の方. コタンパナケ=村の下の方. (出典:萱野、方言:沙流)
- panahum(-i)
- パナフㇺ §224.からだ(体);躯幹(21)下体[臍の辺から下、下肢を含む] pana-hum(-i)〔pá-na-Fum ぱナフㇺ〕[pa(下)、na(方)、hum(片)]⦅ホロべツ⦆【雅―ユ研Ⅱ, p.909】 (出典:知里人間編I、方言:)
- panakasirari
- パナカシラリ §134.うなされる(5)悪夢にうなされる panakasirari〔pa-ná-ka-si-ra-ri パなカシラリ〕[pana(腹)+kasi(の上)+rari(押しつける)]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- panake
- パナケ §096.陰部―女性の性器(14)panake〔pá-na-ke ぱナケ〕[pa(下)+na(方)+ke(所)]⦅ビホロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- pánake(he)
- パナケ(ヘ) 【位名】[所](概は pána パナ)[< pa-na-ke 川下・の方・の所] …の川下側の所。 ponno i=panake ta tek ポンノ イパナケ タ テㇰ 私(民話の主人公)の家よりちょっと川下よりの所に。(W民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Pánanpe
- パナンペ 【名】[< pana-un-pe 川下の方・の・もの][人名]川下男。 ☆参考 たくさんの短い民話の中で、 Pénanpe ペナンペ《川上男》との対比で登場する。 ☆参考 千歳の白沢ナベさんは Pánaunpe パナウンペ と言う。 {E: the name of a folktale hero who lives in the lower reaches of a river.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- panasak
- パナサㇰ 【自動】[pana-sak ほこり・を持たない] 粉を吹かない。 panasak kamtaci パナサㇰ カㇺタチ 粉を吹かないこうじ(麹)。 ☆対語 panaus パナウㇱ。 {E: to be covered in dust.} (出典:田村、方言:沙流)
- panata
- パナタ 【pana ta】 下の方に. (出典:萱野、方言:沙流)
- panaunpe
- パナウンペ 【pana-un-pe】 下の方の者:昔話の主人公の名前.ペナウンペ(上の方の者)とパナウンペ,このふたりが主役でかなり多くの昔話がある.ペナンペ,パナンペともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
- panaus
- パナウㇱ 【自動】[pana-us ほこり・ついている] 粉を吹いている。 panaus kamtaci パナウㇱ カㇺタチ よく粉を吹いたこうじ(麹)。 ☆対語 panasak パナサㇰ。 {E: for dust to blow about.} (出典:田村、方言:沙流)
- toypana
- トイパナ 【toy-pana】 (土・砂)ほこり. (出典:萱野、方言:沙流)
- toypana
- トイパナ 【名】[toy-pana 土・埃] 土埃(つちぼこり)。 toypana patke トイパナ パッケ 土埃がパッと立つ。(W) {E: a cloud of dust.} (出典:田村、方言:沙流)
- tumunpana
- トゥムンパナ 【tumun-pana】 ちり. トゥムンパナハ アッ=ごみぼこりが立つ. (出典:萱野、方言:沙流)
- upunpana
- ウプンパナ 【名】[upun-pana 雪煙・ほこり(埃)] 雪ぼこり(降ってたまっていた雪が風にとばされたもの)。 upunpana patce ウプンパナ パッチェ 雪ぼこりがとぶ。(S) {E: snow spray.} (出典:田村、方言:沙流)
- wenupunpana
- ウェヌプンパナ 【名】[wen-upun-pana ひどい・雪の粉・ほこり] ものすごい雪ぼこり、 吹雪。 wenupunpana ukohopuni ウェヌプンパナ ウコホプニ 雪が風に飛ばされてものすごく吹雪がひどい。(S) {E: blowing snow; a snowstorm.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- epitta
- エピッタ 【後副】一つのものの全部(全体)、 …じゅう。 kotan epitta コタン エピッタ 村じゅう。 …hi epitta …ヒ エピッタ …した間じゅう、 …した所すべて。 ku=simonarserke epitta réne クシモナㇻセㇾケ エピッタ レネ 私の右半身が全部麻痺した。 netopake epitta arka ネトパケ エピッタ アㇻカ 体じゅう痛い。 to epitta nepki kor an ト エピッタ ネㇷ゚キ コㇿ アン (彼は)一日いっぱい(一日じゅう)働いている。(S) cise epitta toypana yaysamne チセ エピッタ トイパナ ヤイサㇺネ 家じゅう土ぼこりだらけだ。(S) ☆参考 opitta オピッタ は二つ以上あるいはたくさんのものや人すべて、 皆。 {E: throughout…; all over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- hontom
- ホントㇺ 【名】[概](所は hontomo(ho) ホントモ(ホ)) 途中。 pet hontom ペッ ホントㇺ タ 川の中ほど、 ni hontom 木の上下の中ほど。 ek hontom ta エㇰ ホントㇺ タ 来る途中で。 ☆参考 沙流川すじで昔の集落は川全体の中ほどから下の部分に多くあったらしい。 その部分の中で中ほどのあたりを hontom(o) ホントㇺ/ホントモ と言うらしい。 川上のほうを péna(ke)ペナ/ペナケ、 川下のほうを pána(ke) パナ/パナケ と言い、 péna(ke) ペナ/ペナケ《川上》よりももっと上流のほうは emko(ho) エㇺコ/エムコホ と言い、 日本語で言うときは「奥」と言う。 川全体から見れば、 hontom(o) ホントㇺ/ホントモ はかなり下流の方まで含むが、 本辞典の用例で「中流」と訳しているのは、 この pet hontom(o) ペッ ホントㇺ/ホントモ のことである。 {E: in the middle of; the middle reaches of a river; the middle section of a tree from top a bottom.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- kamtaci
- カㇺタチ 【名】麹(こうじ)。 panaus kamtaci パナウㇱ カㇺタチ よく粉をふいた麹。 panasak kamtaci パナサㇰ カㇺタチ 粉をふかない麹。 {E: malt.} (出典:田村、方言:沙流)
- karankeno
- カランケノ 【後副】[karanke-no …から近く・(副詞形成)]…から近く、 …の近くに。 karankeno anu カランケノ アヌ その近くに置きなさい。(S) i=panake ta tek a=uníhi karankeno to an pe ne a p イパナケ タ テㇰ アウニヒ カランケノ ト アン ペ ネ アㇷ゚ 私たちの家の近くで少し川下寄りの所に沼があったのですが。(W民話) {E: near…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- omotone
- オモトネ 【他動】[o-moto-ne …のところで・もと・である] …がもとになる、 (そのこと)が起源である。 i=panake un kotankonnispa matnepoho kasi a=opíwki wa a=siknure hi omotone wa a=i=nómi p a=nepa a kusu イパナケ ウン コタンコニㇱパ マッネポホ カシ アオピウキ ワ アシㇰヌレ ヒ オモトネ ワ アイノミㇷ゚ アネパ ア クス 川下の村の村長の娘さんを私が救って生き返らせたことがもとになって私たちがまつられるようになったのだから。(W民話) {E: to be the origins of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- opanray
- オパンライ §091.陰萎[になる](2)opanray〔o-pán-raǐ オぱンライ〕[o(そこ)+pan(下の方、=panake 下部、陰部)+ray(死んでいる)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
- otuy
- オトゥイ 【自動】[o-tuy その尻・切れる](?) (埃が)たまる。 tanukay e=pirpa ka e=nupa ka somo ki a noyne pana otuy wa an タヌカイ エピㇼパ カ エヌパ カ ソモ キ ア ノイネ パナ オトゥイ ワ アン この辺をあなたは拭きも掃きもしなかったらしく埃がたまっている。(S) {E: to be covered in dust.} (出典:田村、方言:沙流)
- péna
- ペナ 【位名】[pe-na 川上・の方] …(土地)の上手(かみて)(=川上側)。 tan siri péna ta タン シリ ペナ タ この土地の川上の方(ここよりも川上の方)に。(S子守歌) ☆対語 pána パナ 川下側。 {E: upper; above.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- Pénanpe
- ペナンペ 【名】[< pena-un-pe 川上・の・者][人名](民話の主人公の名)川上男(たくさんの短い民話の中で、 Pánanpe パナンペ「川下男」との対比で登場する)。 ☆参考 千歳の白沢ナベさんは Pénaunpe ペナウンペ と言う。 {E: the name of a folktale hero who lives in the upper reaches of a river.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- ray 1
- ライ 【自動】死ぬ、 (名詞として使われて)死ぬこと、 死。 ray wa isam ライ ワ イサㇺ 死んでしまった。 raytamanum ライタマヌㇺ 死んだ(人の)魂(の粒)。 ray kotpok ta ライ コッポㇰ タ 死際に。 ray he ne ya mokor he ne ya ライ ヘ ネ ヤ モコㇿ ヘ ネ ヤ 死んだのか眠ったのか。(HC神謡)(動物の体が死にその神の霊が気がついて自分の死体を見つけるときの常套句。)túray wenray ki トゥライ ウェンライ キ (tu トゥ が高く長く発音される。) ひどい死に方とんでもない死に方で死んでしまった。 (Pánanpe パナンペ 川下男と Pénanpe ペナンペ 川上男の民話の結末の常套句。) ☆参考 自分の身内や話している相手の身内のことを言うときは isam イサㇺ《なくなる》を使うことが多い。 ほかに wen ウェン《いけなくなる》、 sini シニ《休む》などと言うこともある。 mosiroppa モシロッパ《世を去る》は地位のある人や有名な人が年取って死ぬこと、 onne オンネ は年取った人が死ぬこと。 mawe tuy マウェ トゥイ 息が絶える。 tasu tuy タス トゥイ 息が絶える。 {E: to die.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- taa
- タア 【副】ここに、 すぐそこに、 ほら(ta タ 3 の強調形)、 これ。 (空間的に近い所を言うほか、 話していることがらに近い所をもさす。) taa a=kotánu pánake ta タア アコタヌ パナケ タ すぐそこに私たちの村の下手に。 taa oro ta án=an tono or ta タア オロ タ アナン トノ オッタ ここに、 いま私が住んでいる和人の家に。(S民話) “k=oypepihi mukkane emo oma na” “íne?” “taa“ 「コイペピヒ ムッカネ エモ オマ ナ」「イネ?」「タア」 「私のおわんの中に切ってないイモが入ってるよ。」「どう=どれ?」「ほらここに=これよ。」 (S) taa, ek wa inkar, taan pe ikemara somo ne? タア、 エㇰ ワ インカㇻ、 タアン ペ イケマラ ソモ ネ? ほら来てみなさい、 これはイケマの葉じゃない? (S) taa néno タア ネノ ☞taanéno タアネノ ☆発音 ターとのばすのではなく、 タとアを区切って言う。 ちょうどタッアーを早く言ったような発音 {E: here; right there; this (emphatic).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- tanukáni
- タヌカヒ 【名】[tanuka-hi これらの・所] この辺(=tanuka hi タヌカ ヒ)。 tanukahi e=pirpa ka e=nupa ka somo ki a noyne pana otuy wa an タヌカヒ エピㇼパ カ エヌパ カ ソモ キ ア ノイネ パナ オトゥイ ワ アン (あなたが)この辺を拭きも掃きもしなかったらしく埃がたまっている。(S) {E: around here; in this area.} (出典:田村、方言:沙流)
- tek 2
- テㇰ 【助動】①(動詞の後に置かれて)ちょっと…する(短時間、 瞬間に、 軽く)。 k=oyra tek コイラ テㇰ (私は)ちょっと忘れた、 ど忘れした。 terke tek テㇾケ テㇰ ピョンととんだ。 kasi k=éoma wa ku=yaysinire tek カシ ケオマ ワ クヤイシニレ テㇰ (私は)(これに)もたれてちょっと休む。(S) ponno síran tek kor ポンノ シラン テㇰ コㇿ 少したったら。 aptokar ayne retar tek アㇷ゚トカㇻ アイネ レタッテㇰ 雨に当たって当たってちょっと白ぽっくなった。(S) ②(副詞句の後に置かれて)ちょっと…。 eytasa poronno ne, na ponno tek ka omare エイタサ ポロンノ ネ、 ナ ポンノ テㇰ カ オマレ あまりたくさんだ、 もっと少なめに入れなさい。(S) a=kotánu pánake ta tek アコタヌ パナケ タ テㇰ 私の村のちょっと川下寄りに。(W民話) na mak ta tek anu ナ マㇰ タ テㇰ アヌ もう少し火から離しておきなさい。(S) {E: ①to do…for a moment, while; briefly. ②just a little; slightly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- túray
- トゥライ 【自動】[tu(< toy)-ray ひどく・死ぬ](次の決まった言い回しの中で)ひどい死に方で死ぬ。 túray wenray ki トゥーライ ウェンライ キー ひどい死に方で死んでしまった。(S民話) túray wenray wa isam トゥーライ ウェンライ ワ イサㇺ ひどい死に方で死んでしまった。(W民話) ☆参考 二例とも Pánanpe パナンペ 川下男と Pénanpe ペナンペ 川上男の民話の結末の常套句。 初めの用例では動名詞となって《ひどい死に方で死ぬこと》。 (出典:田村、方言:沙流)
- upunpatce
- ウプンパッチェ 【完動】[upun-patce 雪ぼこり・フワッと飛ぶ] (=upunpana patce ウプンパナ パッチェ)雪が風に飛ばされてフワーッと飛ぶ。 mata an kor upas as, réra ruy kor upunpatce マタ アン コㇿ ウパㇱ アㇱ、 レラ ルイ コㇿ ウプンパッチェ 冬になると雪が降り、 風が強いと雪が風に飛ばされてフワッーと飛ぶ。(S) {E: for snow to fly in the wind.} (出典:田村、方言:沙流)
- uwesimoye
- ウウェシモイェ 【自動】[u-w-e-simoye 互い・(挿入音)・と一緒に・動く](次の表現の中で) upas upun uwesimoye ウパスプン ウウェシモイェ 雪ぼこりがうずまく。(HK民話) wenupunpana uwesimoye ウェヌプンパナ ウウェシモイェ ものすごい雪ぼこりがうずまく。(HK民話) ☆参考 二つ目の例は uwesinoye ウウェシノイェ と同じ文脈で使われている。 ☞simoye シモイェ、 uwesinoye ウウェシノイェ {E: for snow spray to whirl in the wind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
- yaysamne 2
- ヤイサㇺネ 【後副】…のほかに何もなく、 全体がただ…だけ/ばかりになって、 …だらけで。 cep yaysamne suwe チェㇷ゚ ヤイサㇺネ スウェ ほかのものを入れず魚ばかり煮る。 haː, tanto réra ruy akus cise epitta toypana yaysamne ハー、 タント レラ ルイ アクㇱ チセ エピッタ トイパナ ヤイサㇺネ ああ、 今日は風がひどく吹いたと思ったら家じゅう土ぼこりだらけだ。(S) cikanpe en=ka un párase wa upas yaysamne チカンペ エンカ ウン パラセ ワ ウパㇱ ヤイサㇺネ 木の上の雪が私の上に落ちて雪だらけだ。 ☆参考 patek パテㇰ ばかり。 takup タクㇷ゚ …しか(…しない)。 たとえば cep patek チェㇷ゚ パテㇰ は他のものがあっても特に魚を煮るとか食べるとかすること、 たとえば毎日毎日魚を食べるなど。 cep takup チェㇷ゚ タクㇷ゚ は他のものも煮ればよいのに煮ないとか食べたいのに食べさせてもらえないとかで魚しか煮ない、 魚しか食べられないなど。 cep yaysamne チェㇷ゚ ヤイサㇺネ は鍋の中が魚だけでいっぱいでまぜものがないこと。 {E: only; just.} (出典:田村、方言:沙流)
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萱野 茂『萱野茂のアイヌ語辞典』1996年 ©萱野れい子
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』1996年 ©田村洋一