国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

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sani
サニ 【/sani】 〜の血統. クポニタ(ク・ポン ヒ タ) イセポカ カヌ(ク・アヌ) シネ イセポ クㇰ(ク・ウㇰ) ヒネ ク・イワㇰ アクス フチ エネ ハワニ ケライネクス イソンクㇽ サニ シコㇿ エン・イェ エン・コプンテㇰ ア エン・コプンテㇰ ア=私が小さい時,ウサギの罠をしかけ1匹のウサギを獲って帰って来ると祖母は,さすがに狩の名人の血統だ,と私をほめてくれたほめてくれた.ウェンペ サニ ウェンペ タイペ ネ ロㇰ ペクㇱタ トランネ ワ ホッケ ワ パテㇰ アン イペ ポーカ エアイカㇷ゚=貧乏の血統,貧乏の血筋だからといって,からっぽやんで(骨惜しみして)寝てばかりいて食べることもできない.*ウェンペサニ:これはアイヌ社会での典型的な悪口であって,貧乏するとこのように言われる. (出典:萱野、方言:沙流)
sani
サニ §016.子孫(4)sani〔sa-ní サに〕⦅H.⦆子;子孫;末裔;血統。[san(出て来た)+-i(もの)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
sani
サニ 【名】[所](概は san サン)[san-i 出る/出たもの・(所属語尾)]…の子、 …の子孫。 wenpe sani ウェンペ サニ 貧乏人の子(悪口、 ののしり)。 wenkur sani ウェンクㇽ サニ 貧乏人の子(悪口、 ののしり)。 nispa sani utarpa sani ne kusu pirka siri ニㇱパ サニ ウタㇻパ サニ ネ クス ピㇼカ シリ 偉人の子孫えらい人々の子孫だから栄えるのだ。 (「普通の話言葉ではない。」) (S) ☆参考 大勢の場合は san サン の複数形の sap サㇷ゚ が使われて、 sapi サピ となる。 sani サニ も sapi サピ も、 後に hi ヒ のついた形の例は出ていない。 ☆参考 悪口、 ののしりには sani サニ の代りに taype タイペ、 uype ウイペ も使われる。 ☆参考 sápikir サピキㇼ 子孫の系統、 子孫の総称。 sasini サシニ[雅](神の)子、 世継ぎ。 {E: a child, descendant of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynuraykepsani
アイヌライケㇷ゚サニ §016.子孫(11)aynu-raykep-sani〔áǐ-nu-raǐ-kep-sa-nì あイヌライケㇷ゚サニ〕⦅ホロベツ⦆人殺しの子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
aynusani
アイヌサニ 【aynu-sani】 アイヌの血統.▷アイヌ=人 サニ=血統 アイヌサニ ネ ノイネ ラチュン(ラチウウン) カトゥ チャㇱナタラ=アイヌの血統であるらしく,眉の様子がすっきりしている.*サニには,血統のほか子孫,末窩などの意もある. (出典:萱野、方言:沙流)
aynusanikir/aynusanikiri(hi)
アイヌサニキㇼ/アイヌサニキリ(ヒ) 【aynu-san-ikir/-ikiri(hi)】 アイヌの子孫.▷アイヌ=アイヌ サン=出る イキㇼ=列 トアン ポンメノコ アイヌサニキㇼ ネ ノイネ シノ ピㇼカ メノコ ネ=あの娘はアイヌの子孫らしく,本当にきれいな娘だ. (出典:萱野、方言:沙流)
ci=kisani
チキサニ 【ci=kisa-ni】 アカダモ,ハルニレ.▷チ=我ら キサ=穿つ ニ=木 →この木の枯れた部分に穴を穿って火種をこしらえた (出典:萱野、方言:沙流)
cikisani
チキサニ 【名】[ci-kisa-ni される・もみぎる・木][植物] ハルニレの木(「アカダモ」)。 ☆参考 昔、 木の上で木をもみぎってすり合わせた熱で火を起こすのに用いられたためこの名があると言われる。 {E: a type of elm tree.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
cikisani
チキサニ §298 ハルニレ (1) cikisani (ci-kí-sa-ni)「チきサニ」[ci(我ら)kisa(こする)ni(木)] 茎 ⦅全北海道⦆ (出典:知里植物編、方言:)
cikisanikarus
チキサニカルㇱ §439 キノコ類 (1) cikisani-karus (ci-kí-sa-ni-ka-rus)「チきサニ・カルㇱ」[“アカダモの木に生じるキノコ”“タモギタケ”] ⦅D屈斜路⦆⦅A⦆⦅B⦆ (出典:知里植物編、方言:)
cikisanikarus
チキサニカルㇱ 【cikisani-karus】 アカダモ(ニレ)のきのこ,タモギタケ.*アカダモに生えるきのこの味はきのこの中では一番とアイヌは言う. (出典:萱野、方言:沙流)
cipiyepsani
チピイェㇷ゚サニ §016.子孫(10)cipiyep-sani〔či-pí-jep-sa-nì チぴイェㇷ゚サニ〕⦅ホロべツ⦆混血児の子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
ciukotapsani
チウコタㇷ゚サニ §016.子孫(9)ciukotap-sani〔či-ú-ko-tap-sa-ni チうコタㇷ゚サニ〕⦅ホロべツ⦆【罵言】混血児の子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
esanieoma
エサニエオマ §086 シュモクザメ (2) esanieoma(e-sá-ni-e-o-ma)「エさニエオマ」[<e(頭)sanni(棚枝)e(そこに)oma(ある)]成魚⦅白老⦆ (出典:知里動物編、方言:)
esanioma
エサニオマ §086 シュモクザメ (3) esanioma(e-sá-ni-o-ma)「エさニオマ」[e(頭)sani(<sanni(棚枝)oma(ある)]成魚⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
haytakurusani
ハイタクルサニ §016.子孫(16)haytakuru-sani〔háǐ-ta-ku-ru-sa-nì はイタクル・サニ〕⦅マオカ⦆馬鹿者の子(悪口に用いる)。[hayta(足りない)+kuru(<kur 人)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
ikisani
イキサニ 【i-kisa-ni】 木の錐(きり):火を起こす道具のひとつ.材料はサビタの木の若生え. (出典:萱野、方言:沙流)
ikisaniceh
イキサニチェㇷ §095 サブロウ (7) ikisani-ceh(i-kí-sa-ni-čeh)「イきサニチェㇷ」[<ikisani(錐)cep(魚)]⦅富内、落帆⦆サブロウ。 (出典:知里動物編、方言:)
ikkapsani
イッカㇷ゚サニ §016.子孫(7)ikkap-sani〔ík-kap-sa-nì いッカㇷ゚サニ〕⦅ホロべツ⦆盗人の子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
itomkokanupsani
イトㇺコカヌㇷ゚サニ §016.子孫(12)itomkokanup-sani〔i-tóm-ko-ka-nup-sa-nì イとㇺコカヌㇷ゚・サニ〕⦅ホロべツ⦆混血見の子。(悪口に用いる)。[→itomkokanup]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
munimpesani
ムニンペサニ §016.子孫(15)munimpe-sani〔mu-ním-pe-sa-nì ムにンペ・サニ〕⦅マオカ⦆腐った者の子(悪口に用いる)。[<munin(腐る、腐っている)+-pe(者)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
raykuhsani
ライクㇷサニ §016.子孫(14)raykuh-sani〔ráǐ-kuh-sa-nì らイクㇷサニ〕⦅S.⦆亡者の子。(悪口に用いる)。"pon Otasut-un-kux, pon〜, kirare menoko"⦅古謡, p.156⦆「オタスッの首領の子である亡者の小せがれめが追い払った女」。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
raykursani
ライクㇽサニ §016.子孫(13)raykur-sani〔ráǐ-kur-sa-nì らイクㇽサニ〕⦅ホロベツ⦆亡者の子。(悪口に用いる)。[ray-kur(死霊)+sani(↑)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
san/sani(ke)(he)
サン/サニ(ケ)(ヘ) 【san/sani(ke)(he)】 子孫. (出典:萱野、方言:沙流)
sanike
サニケ §016.子孫(18)sanike〔sa-ní-ke サにケ〕⦅H.⦆子孫;後裔[sani(↑)+-ke(ところ)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
sanike
サニケ 【名】[所][雅]…の子、 …の子孫(=sani サニ)。 kotankonnispa/sanike ne wa コタンコンニㇱパ/サニケ ネ ワ(この子は)村おさの子孫で。 (W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
sanikehe
サニケヘ 【/sanikehe】 (〜の)血統. テエータ ワノ ウェンプリ コㇿ ペ サニケヘ アナㇰネ カムイコイパㇰ エパチコアン ワ オウェヌシ パ シリ=ずうっと昔から悪いことをした者の血統は神からも罰を受け罰があたり運の悪いことよ. (出典:萱野、方言:沙流)
sanikir(-i)
サニキㇼ §016.子孫(19)sanikir(-i)〔sa-ní-kìr サにキㇼ〕⦅H.⦆子孫;後裔。[san(出て来る)+ikir(列)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
sinepesaniw
シネペサニウ 【名】[数名][sinepesan-iw 九つの・人] 九人。 {E: nine people.} (出典:田村、方言:沙流)
sinepesaniw
シネペサニウ 【sinepesan-iw】 9人. (出典:萱野、方言:沙流)
tupesaniw
トゥペサニウ 【tupesan-iw】 8人. (出典:萱野、方言:沙流)
tupesaniw
トゥペサンニウ 【名】[tupesan-iw 八の・(人数)] 八人。 {E: eight people.} (出典:田村、方言:沙流)
uehsani
ウエㇸサニ §016.子孫(17)ueh-sani〔u-éh-sa-nì ウえㇸサニ〕⦅マオカ⦆人食いの子(悪口に用いる)。[<u(互いを)+e(食う)+-p(者)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
wempesani
ウェンペサニ §016.子孫(6)wempe-sani〔wém-pe-sa-nì うぇンペサニ〕⦅ホロべツ、マオカ⦆貧乏者の子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
wenkursani
ウェンクㇽサニ §016.子孫(5)wenkur-sani〔wéŋ-kur-sa-ni うえンクㇽサニ〕⦅ホロべツ⦆貧乏人の子孫。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
wenpesani
ウェンペサニ 【wen-pe-sani】 悪いものの血統,貧乏人の血統. ソンノヘタㇷ゚ ウェンペサニ ネ ロㇰ ペ クㇱタ トランネ パ ワ イペー カ エアイカㇷ゚パ=本当のことだよ,貧乏人の血統だからとて骨惜しみをして食うことばかりもできない者たちだ. (出典:萱野、方言:沙流)
weysetasani
ウェイセタサニ §016.子孫(8)wey-seta-sani〔wéǐ-se-ta-sa-nì うぇイセタサニ〕⦅ホロベツ⦆悪口に用いる句。もと「悪い・犬・の子孫」の義。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
cikisanni
チキサンニ §298 ハルニレ (2) cikisan-ni (ci-kí-san-ni)「チきサンニ」[sani] 茎 ⦅美幌、屈斜路⦆ (出典:知里植物編、方言:)
enkas(i)ke
エンカㇱケ/エンカシケ 【位名】[所](概は enka エンカ) その(離れた)上。 ne menokopo ehotke hi enkaske ta ponki a=otúseatte ネ メノコポ エホッケ ヒ エンカㇱケ タ ポンキ アオトゥセアッテ その若い女性の寝床の上にカヤを編んだ簀(す、 「すだれ」)の棚が綱で下げられてあった。(NK民話) sekor yaynu kor/pon cikisani/enkaske kus hi セコㇿ ヤイヌ コㇿ/ポン チキサニ/エンカㇱケ クㇱ ヒ [雅]そう思いながら小さいハルニレの木の上を通ったときに。(Sユーカラ) ☆発音 話しているときは通常 i が落ちて enkaske エンカㇱケ と発音される。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
epokor
エポコㇿ 【他動】[e-pokor で・子を産む] …を産む。 ne ene a=ye hi ka a=erámpewtek no an hemanta wenkamuy sani ne noyne an pe epokor ネ エネ アイェ ヒ カ アエランペウテㇰ ノ アン ヘマンタ ウェンカムイ サニ ネ ノイネ アン ペ エポコㇿ (彼女は)いったいどう言ったらいいかもわからないような変な悪神の子みたいなものを産んだ。 ☆参考 当り前でないものを産んだというような話のときに言う。 普通に子どもを「産んだ」というときは、 kor コㇿ《持った、 産んだ》、 an アン《生まれた》と言う。(S) ☆参考 enuwap エヌワㇷ゚ …を分娩する。 yaykosanke ヤイコサンケ 出産する(雅語的、 よい言葉)。 {E: to give birth to…} (出典:田村、方言:沙流)
hoyto
ホイト 【名】[< 日本語]乞食、 もの乞い。 yey yey hoyto taype wenpe sani イェーイ イェーイ ホイト タイペ ウェンペ サニ やあいやあいこじきの子、 貧乏人の子。(W民話) (出典:田村、方言:沙流)
iki
イキ 【自動】[i-ki ものごとを・する] ①する、 ふるまう、 行なう。 iki ayne イキ アイネ (苦心して/がんばりつづけて)ようやく。 …siri iki … シリ イキ …している様子である。 ene iki hi エネ イキ ヒ どうするかということ、 しかた。 ene iki hi ka isam エネ イキ ヒ カ イサㇺ どうしようもない。 ②(名詞として使われて)行い。 ene an iki patek kipa エネアニキ パテㇰ キパ そのような行いばかりする。(S会話) … péka iki …ペカ イキ …を歩く、 …を旅する。 ihokusi péka ikuusi péka é=iki ayne e=ek ruwe somo ne ya? イホクシ ペカ イクウシ ペカ エイキ アイネ エエㇰ ルウェ ソモ ネ ヤ? マーケットや飲み屋をあなた歩いてきたのではないのか。(S) ③[熟語]… hawe iki wa/…humi iki wa …ハウェ イキ ワ/…フミ イキ ワ (あきれた言い方の一つで、 反語的に用いられる。)こともあろうに…なんていうことを言ってる、 こともあろうに…なんてことをして音をたてている、 よくも…言う/…音を出すもんだね。 kasusne hawe iki wa! カスㇱネ ハウェ イキ ワ! まあ、 たいしたことを言ってきた(=ひどい話だなあ)(kasusne カスㇱネ は《大したことはない》) (☞wa ワ 3)。 pe/p iki ペ/ㇷ゚ イキ …している(いぶかって言う言い方)。 hńta kohehewpa wa nukar pe iki? フンタ コヘヘウパ ワ ヌカㇻ ペ イキ? 何をのぞいて見てるんだろう。 hńta ewkopinupinu p ikipa? フンタ エウコピヌピヌㇷ゚ イキパ? 何をコソコソ話し合っているんだろう。(S) ④[雅](韻文の中で、 また会話でも美文調で話すとき、 ときおり ne ネ《である》の代わりに使われる。 用例では korka/korkayki コㇿカ/コㇿカイキ《けれども》、 yakka/yakkayki ヤッカ/ヤッカイキ《…しても》の前に置かれている。 ne ネ を使った表現とは多少ニュアンスが違う。) onne p iki korka オンネㇷ゚ イキ コㇿカ 年老いた者ではあるけれど。(onne p ne korka オンネㇷ゚ ネ コㇿカ 年老いた者だけれど。) (W神謡語り) pon cikisani/pon menoko/iki korkayki/kamuy moyremat ポン チキサニ/ポン メノコ/イキ コㇿカイキ/カムイ モイレマッ [雅]小さいハルニレの若い女性ではあるが、 まるで女神様のように…。(Sユーカラ) iki yakkayki イキ ヤッカイキ [雅]…も。 inan henpara/iki yakkayki イナン ヘンパラ/イキ ヤッカイキ [雅]いつどんなときでも。(Sユーカラ) {E: ①to do; conduct; behaviour (v.). ②conduct, behaviour, action (n.). ③… ④… } ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kaskamuye(he)
カㇱカムイェ(ヘ) 【名】[所](概は kaskamuy カㇱカムイ) …の憑き神(個人の)。 kaskamuye wen/pon cikisani カㇱカムイェ ウェン/ポン チキサニ 憑き神がよくない小さいハルニレの木。(Sユーカラ) {E: a possessive spirit of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kisa 1
キサ 【他動】もみぎる(錐(きり)で穴をあけるときのように、 とがった先をさしてから回転させて)。 ☆参考 cikisani チキサニ《もみぎる木》はハルニレの木。 昔火をおこすのに使ったと言われる。(S) {E: to rub…between the hands so as to make a hole in something.} (出典:田村、方言:沙流)
komewnatara
コメウナタラ 【自動】[ko-mewnatara …が(擬音擬態を導く)・(立っているものが)堂々と立派で美しい][雅](次の慣用句で)as ru konna komewnatara アㇱ ル コンナ コメウナタラ [雅]…が立っているのが堂々と立派ですばらしい。 sine pon cikisani/pon menoko/pirka pon menoko/as ru konna/komewnatara シネ ポン チキサニ/ポン メノコ/ピㇼカ ポン メノコ/アㇱ ル コンナ/コメウナタラ [雅]一本のハルニレの若木の若い女性、 美しい娘がしっかりと立っているのがなんともすばらしい様子でした。(Sユーカラ) ☞mewnatara メウナタラ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
korkayki
コㇿカイキ 【接助】[korka-i-ki けれども・ものごとを・する][雅]けれども、 しかし。 a=erának kuni p/kamuy oruspe/isam korkayki アエラナㇰ クニㇷ゚/カムイ オルㇱペ/イサㇺ コㇿカイキ [雅]いやなことは神のことにはありませんが。(Sユーカラ) pon cikisani/pon menoko/iki korkayki/kamuy moyremat ポン チキサニ/ポン メノコ/イキ コㇿカイキ/カムイ モイレマッ [雅]小さいハルニレの木の若い女性とは言ってもまるで女神様のようで…。(Sユーカラ語り) ☆参考 日常語では korka コㇿカ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ni 2
ニ 【名】木、 たきぎ、 まき(=cikuni チクニ)。 ni hontom pakno ニ ホントㇺ パㇰノ 立ち木の中ほどまで。 ni ka péka sinot pe osoro néno ニ カ ペカ シノッ ペ オソロ ネノ 木の上で遊ぶもの(=サル)のお尻のように(酔って赤い顔をしている人をからかう言葉)。 ni ahupte ニ アフㇷ゚テ まきを家の中に取り込む。 ni ikir ニ イキㇼ 家の外に積んであるまきの一積み。 ni ani a=kar ニ アニ アカㇻ 木でつくる。 arpa arpa ni tom osma p? アㇻパ アㇻパ ニ トモㇱマㇷ゚? 行っては行っては先々で木にぶつかるものは? (なぞなぞで、 答えは mukar ムカㇻ《まさかり》)。 ☆参考 製材してある材木(「材」)は caymoku チャイモク と言って区別する。(S) ☆参考 samamni サマㇺニ 倒木。 ekayni エカイニ 切り株、 折れ木。 atni アッニ オヒョウニレの木。 cikisani チキサニ ハルニレの木。 nipesni シナの木。 その他、 木の名前には ni ニ のつくものが多い。 また ciseni チセニ 家の建材の名称にも ni ニ のつくものがいろいろある。 {E: trees; wood; firewood.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pátum
パトゥㇺ 【名】[pa-tum 空気・の中] 大気の状態。 (次の表現の中で) pátum wen パトゥㇺ ウェン [大気の状態・悪い] ①空気がよくなくて衛生に悪い(=réra tum wen レラ トゥㇺ ウェン)。(S) ②伝染病がはやっている。(S) {E: ①unsanitary air. ②conditions for the spread of an infectious disease.} (出典:田村、方言:沙流)
sa 3
サ 【位名語根】①前の方(山手の方向に対して)海手の方向、 (家の中で、 奥の方に対して)いろりの方向。 san サン (山手の方向から海手の方向へ)行く、 来る、 出る、 (いろりの近くへ)出る。 hesasi ヘサシ いろりの方向へ。 sáta サタ 前(いろりの方)に。 sawun サウン[< sa-un]前(海側の方)の。 ②(血統に関して)子や子孫の方向。 sani サニ …の子/子孫。 (出典:田村、方言:沙流)
san 2
サン 【名】[概](所は sani サニ)[< san サン 1 下る]子孫、 血統。 ☆参考 単語としては所属形 sani サニ の形で使われる。 ☞sani サニ {E: a descendant; a family line, lineage; ancestry.} (出典:田村、方言:沙流)
sasini
サシニ 【名】[所](概はない)[< sani …の子孫(sa と ni の間に前の s と後ろの i が重複されている)(?)][雅(?)](神)の後継ぎ、 (神)の子、 (神)の子孫。 kamuy sasini カムイ サシニ 神の子、 神の世継ぎ、 神の子孫。 {E: a child, descendant, heir (of the gods).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
seta
セタ 【名】[動物] 犬。 pinne seta ピンネ セタ 雄犬。 pon seta ポン セタ/ポイ セタ 小犬/子犬。 húre seta フレ セタ 赤犬=茶色い犬。 retar seta ukoykire p レタㇻ セタ ウコイキレㇷ゚ 白い犬をけんかさせるもの。(S会話)(なぞなぞで答えは mimaki ミマキ 歯。) seta ahun wa apausta a=perpa aan セタ アフン マ アパウㇱタ アペㇾパ アアン [比喩] 犬が入って戸がこわされたな=前歯が欠けている(「歯欠けの人を見てなぞかけてひやかしている」)。(W) seta sani セタ サニ 犬の子、 犬の子孫(ののしりの表現)。(W) a=eósoma ruwe íne/seta e wa isam/ne seta ine/a=rayke wa isam アエオソマ ルウェ イネ/セタ エ ワ イサㇺ/ネ セタ イネ/アライケ ワ イサㇺ うんちに出したのはどうなった、 犬が食べてしまった、 その犬はどうなった、 殺されてしまった。(KK掛け合い歌) ☆参考 犬は身近な動物で口承文学にもよく登場するが神としては出てこない。 用例にもあるようにいやしい役回りで出てきたり、 ののしりに使われたりする。 {E: a dog.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sikenukar
シケヌカㇻ 【他動】[sik-e-nukar 目・で・…を見る][雅]…を見る。 (この用例では)占いして見る。 pon cikisani ne/hetuku katu/sikenukar pe/ne korkayki ポン チキサニ ネ/ヘトゥク カトゥ/シケヌカㇻペ/ネ コㇿカイキ [雅]小さいハルニレの木が生えたのだということを占いして見たのですけれども。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
taype(he)
タイペ(ヘ) 【名】[所](概の例はない) …の子(人間のみ、 悪口、 憎らしくて言う言葉)。(W) (S) wenkur taype! ウェンクㇽ タイペ!/wenpe taype! ウェンペ タイペ! 貧乏人の子(憎まれ口、 罵倒)。 (wenkur sani ウェンクㇽ サニ/wenpe sani ウェンペ サニ とも言う。) {E: the child of… (slang).} (出典:田村、方言:沙流)
uype
ウイペ 【名】[概/所] ①(木などの)細かい屑、 木屑、 こっぱ(木片)。 uype ne ウイペ ネ 屑になった。 ní uype ニ ウイペ 木屑。 koppa uype コッパ ウイペ 木片の屑。 ②(悪口で)…の子(=taype タイペ)。 X uype utari arki wa suy nonno opitta kar wa isam ruwe ta na! X ウイペ ウタリ アㇻキ ワ スイ ノンノ オピッタ カㇻ ワ イサㇺ ルウェ タ ナ! Xの憎らしい子どもたちが来て、 また花をみんな取ってしまったんだな。(S) wenpe uype! ウェンペ ウイペ! 貧乏人の子(ののしり)。 ☆参考 同様の悪口、 ののしりの言い方:wenpe taype ウェンペ タイペ、 wenpe sani ウェンペ サニ(これらは自分の子にでも言う)。(S) {E: ①twigs; woodchips. ②to talk bad about a child ( both children and adults).; to tease a child (amongst children).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wenpe
ウェンペ 【名】[wen-pe 悪い・もの/こと] ①悪いもの、 悪いこと(=wen pe ウェン ペ)。 ②人の死。 wenpe an ウェンペ アン 不幸があった、 人が亡くなった。 ③貧乏人(悪く言う言葉)。(W) wenpe taype ウェンペ タイペ/wenpe sani ウェンペ サニ 貧乏人の子(悪口、 憎まれ口)。 ☆参考 ほかに toype トイペ、 sirunpe シルンペ とも言う。 {E: ①something bad. ②the death of someone.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yey 1
イェイ 【間投】(あざけりをぶつける言い方。) yeːy yeːy hoyto taype wenpe sani イェーイ イェーイ ホイト タイペ ウェンペ サニ やあいやあい乞食(こじき)の子、 貧乏人の子。(W民話) (出典:田村、方言:沙流)