日本近海に回遊する大型魚で、とくにメカジキはカジキ類では最大です。上あごから長く伸びた吻が特徴で、漁をするときにはこの吻で突かれる恐れがあります。アイヌ語名シㇼカㇷ゚を指すのは実際にはメカジキだけではなく、マカジキ科のいくつかの種も含まれると考えられますが、この図鑑では訳語をメカジキに統一することにします。
アイヌ文化では、磯舟からの銛漁でこの大型魚をとりました。とったときには釣果を誇示する意味で、吻を舟内に立てるようにして帰港し、陸揚げ後は丁重に送りの儀式を行います。口承文芸では、漁で人をひっぱり回し死にそうな目にあわせたメカジキがひどく罰せられる神謡があります。
本図鑑の『アイヌの伝承』で白老の語り手である松永たけ氏が語っている通り、この地域では伝統的にメカジキが取れると家の南側の窓から家の中に運び入れるため、窓の下の壁が取り外せるようになっていました(写真2、3)。木下清蔵氏の写真にも白老の家屋には同様の特徴が写っています。「山の獲物は神窓から、海の獲物は南側の窓から家に運び入れる」というのは噴火湾地域の事例としても報告されており(名取武光『噴火湾アイヌの捕鯨』北方文化出版社1945)、それらの地域と共通する特徴であるといえます。

ポロトコタンのチセ南窓

かつての白老コタンのチセ南窓(木下清蔵氏撮影)











