かつては日本中で見ることができましたが、今では絶滅種となり見られなくなりました。体長70㎝ほどの水中生活に適応したほ乳類で、水にもぐり魚などを食べます。日本文化ではキツネやタヌキのように人をだますと考えられていました。
アイヌ文化でも、人をだますというあまり良くないイメージを持たれていることがあります。しかし一方でカワウソの皮を子供の手首に巻いたりなど、その水中での優れた能力にあやかろうとした話があります(道東地方)。口承文芸では、人間に化けて悪さをしようとする話がある一方で、もの忘れや失敗をするコミカルなキャラクターとして描かれた話があります。当館採録資料では、倉庫の食べ物をめぐって人間と知恵比べをくりひろげた神謡があります。
アイヌ語辞典
アイヌの伝承
物語や歌など
ぬすっとカワウソ
私は外で立ち聞きをしていました。すると人間達が「あの倉で魚を塩漬けにするよ。上にある魚には毒を入れなさい。下の魚は毒を入れずに塩漬けにしなさい」と話す声がしました。私はそれを聞いて下りていって、上の魚を放り出し、下の魚を盗んで食べていました。
また、立ち聞きしていると、「上の魚には毒を入れなさい。下の魚は塩漬けにしなさい」と話す声が聞こえたので、また倉に行って上にある魚を放り出し、下の魚を食べました。食べてから初めて気づいたのですが、下の魚には毒が入れてあり、私は毒に当たって死んでしまいました。だから、これからのカワウソ達よ、決して盗みをはたらくのではないよ。
とカワウソが話しました。