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自然図鑑 検索結果

日本語名:ミズナラ オオナラ

アイヌ語名:ペロニ

利用:食用、生活用具、祈り、衣

ミズナラ

ミズナラ

学名Quercus crispula Blume
科名ブナ科
種類
種IDP0301

 山地や林内に生えるブナ科の高木で、巨木に成長します。どんぐりのなる木としても知られています。
 アイヌ文化では、実を煮てから干して保存食とします。腹痛の薬にもします。樺太や道北地方では、ついてお餅のようにして食べたといいます。当館の採録資料では、染色に使ったとあります(日高地方)。

ミズナラの巨木(ポロト自然休養林)

ミズナラの巨木(ポロト自然休養林)

アイヌ語辞典

植物編:植301(1)
アイヌ語名:ペロ pero
語義:[→下記注1を見よ]
地域・文献:幌別
区分:堅果

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アイヌの伝承

アイヌ語での呼び方:ペロ
→口承文芸資料「ヤナギとミズナラの会話を聞いた女」35238

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物語や歌など

ヤナギとミズナラの会話
 私は石狩で父と母と一緒に暮らしているひとり娘でした。父はもう年を取って遠くの山へ狩りに行くことができないので、近くの山でウサギやキツネをとってきて、その肉と野草を混ぜて食べていました。私が大きくなってからは父母がなるべく働かないでいいように、山菜とりやまき運びをしていました。

 ある時父たちがこのように言いました。「石狩川の下流に立派な長者がいて、狩りの名手だったのだけれど、いつのまにかキツネもウサギもとれなくなって困っているというのだ」。それを聞いても私は何も思いませんでしたが、ある日山でまきをとっていると、ヤナギとミズナラの枝のぶつかる音が人の声として聞こえてきました。「石狩川の下流の息子が病気になってもう死にそうになっている。人々が集まってまじないをしても治らず、もう死ぬのを待つばかりだという噂をどう思う?」ヤナギがミズナラに尋ねると「石狩川の下流の長者が急に猟運に見放されて何もとれなくなり、病気になってもう死ぬばかりだということの原因はこうだ。その長者の奥さんが、家で酒宴ばかりするのでそれに疲れ、夫がクマをとらなくなればいいと思って夫のお椀を女便所に捨ててしまったためにそうなっているのだ」とミズナラが言いました。ヤナギが「どうしたらいい?」と聞くと、ミズナラは「木の下にいる娘ほど心の美しい娘はいない。この娘が神に話せば、長者は元気になるだろう。娘よ、早く行きなさい」と言いました。

 それを聞いて、私は急いで父たちにも何も言わずに走って川の下流方向へ向かい、下流の村の真ん中にある村長の家に行きました。するとその家の嫁が「みずぼらしい娘が外に来ている」と家族に告げましたが、家人は入るようにと言うので家に入り、客座に座りました。右座には噂の男性が寝ていて、人々が神に祈っていました。私は火の神様に「このようにヤナギとミズナラの会話を聞いてきたのです。私を守ってください」と祈ると、私の口をついて急に歌が出てきました。歌の歌詞は「この家の長者のお椀を探してごらん」というものでした。そしてこの家の嫁の悪事を家族に教える内容の歌を歌いました。そして実際に椀を探すと女便所の底から出てきたのでした。その椀をきれいに洗い、木幣をつけた椀にうすいかゆを入れて病人に飲ませたところ、何も口にしなかったのに、それを飲んで目を開けました。でもその家にいた女性たちが、私のことを「みずぼらしい身なりの女が遠慮も知らずに」と言っているのを聞いたので、すぐ外に出て家に帰りました。

 父や母に何も言わずにいましたが、翌日下流の村の長者たちが大きな荷物を持って訪ねてきました。父母が驚いて「一体どうしたのですか、このような貧乏人の家に」と聞くと、今までのいきさつを説明してくれました。私は「父さんに叱られると思ったので言わなかったのです」と言いました。父はお礼の荷物を受け取らず「貧乏人なので、娘のおかげで物持ちになったと言われるのも嫌なのです」と言うので、せっかくの荷物を背負って帰っていきました。でも父は私のしたことを褒めてくれました。またしばらくするとあの村長が、病気だった息子を連れてきました。そして「娘さんのおかげなので、結婚してご両親の面倒を見させてください」と言いました。でも父は「貧乏人が長者のところに嫁いだらかわいそうだ」とか「ひとり娘なので近くに嫁にやりたい」と言って断りましたが「どうしても嫁に欲しい、ご両親が石狩川の下流に移住してくだされば、我々が面倒を見ますから」とまで言うので、とうとう承知をしました。

 親と一緒に石狩川の下流の村に移住し、私は村長の家に嫁ぎ、ヤナギやミズナラに酒や木幣を捧げて祈るようにしました。私は巫術をする娘として有名になり、子供もできて幸せに暮らしました。(安田千夏)

 

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