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自然図鑑 検索結果

日本語名:カシワ カシワギ

アイヌ語名:コムニ、トゥンニ

利用:食用、薬用、祈り、生活用具、衣

カシワの葉

カシワの葉

学名Quercus dentata
科名ブナ科
種類
種IDP0302

 山地や林内に生えるブナ科の高木で、巨木に成長します。どんぐりのなる木としても知られています。
 アイヌ文化では、実を煮てから干して保存食とします。腹痛の薬にもします。道北地方では、ついてお餅のようにして食べたといいます。当館の採録資料などでは、染色に使ったとあります(胆振、日高地方)。

カシワの幹(株立ち)

カシワの幹(株立ち)

アイヌ語辞典

植物編:植302(1)
アイヌ語名:コムニ komni
地域・文献:足寄屈斜路美幌名寄⦆⦅A石狩十勝
区分:

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アイヌの伝承

アイヌ語での呼び方:トゥンニ
日本語の呼び方:カシワ
・ミズナラよりもカシワのどんぐりの方が渋みがなく好まれました。34107
・昔は、不作の年はどんぐりの実りが悪いので、来年のことを考えてどんぐりを拾い、ゆで干しをしておいたものです。それをふたのない漆器に入れて保存しておき、おやつがわりに食べました。
34121,34131
・子供がお腹をこわしたときに「お腹が固まるから」と言って食べさせました。あまり食べ過ぎると今度は出なくなってしまうのでした。34131
→口承文芸資料「クマと木の神の会話を聞いた男」
・カシワの樹皮をとってきて、ござ編みに使う素材と一緒に煮て黒く染めました。34163

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物語や歌など

クマと木の神の会話を聞いた男
 私は父母と一緒に暮らしている若い男性でした。父母はもう年老いて働けないので、私がひとりで家の仕事や狩りをしていました。
 ある時山でクマの歩いた道を見つけたので、そこに立っていた大きなオニグルミの木に登り休んでいました。すると大きなクマが浜から来て、木の幹に背中をくっつけて休み、このように言いました。「オニグルミの神様、今年は食糧がなりましたか?交易に行くために浜に出ていたのですが、帰ってきたのです」。するとオニグルミの木は体を揺すり「今年は不作で、あなたにあげるだけの実りはないのですよ」と言いました。するとクマは「ちっ!」と舌打ちして立ち上がり、今度はカシワの木のところに行きました。そしてまた「カシワの女神よ、今年の実りはどうですか?」と聞きました。するとカシワは「今年はたくさん実ったので、袋いっぱいにありますよ」と言いました。するとクマはそのドングリの入った袋を背負って、山へ帰っていきました。
 私は木からおりて木の神に祈りました。「私は悪い心を持って来たのではありません。父母を養っていたのですが、今日山に来るとクマが浜へ下りた跡を見つけたので、出会ったら大変だと思ったので木の上に隠れていたのです。そして神様たちの会話を聞いたのですよ。どうか怒らないでください」と言って、家に帰ってきました。
 食事をしながらそのことを父と母に話したところ、父はこう言いました。「おまえが立派な人としての心を持っていたので、神の話を聞いたのだ。これからも決して悪い心を持たずにいたならば、子供ができて神に守られるのだよ」。そして父は火の神に祈り、クマの神、木々の神に感謝の言葉を届けました。
 父と母が死んでからはひとりで暮らし、どこからかやってきた女性と結婚し、子供たちが生まれました。男の子には男の仕事、女の子には女の仕事を教え、「まずクマの神、そして木の神々に祈るように。そうすれば神に守られるのだ」と言い置いて死んでいきますと、ある男が物語りました。(安田千夏)

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