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自然図鑑 検索結果

日本語名:オオウバユリ、エゾウバユリ

アイヌ語名:トウレプ

利用:食用、薬用

オオウバユリ

オオウバユリ

学名Cardiocrinum cordatum  Makino var. glehnii  Hara
科名ユリ科
種類
種IDP0338

 ユリ科の多年草で、7年ほどかけて花を1度だけ咲かせます。
 アイヌ文化では代表的な保存食で、根からでんぷんをとります。地域にもよりますが、日高地方では6〜7月頃、花のつかない若い株の根を掘り取り、これを臼でついてつぶしてから水をかけてこし、一番粉、二番粉のでんぷんをとります(下の写真は、アイヌ民族博物館主催の文化教室で、環境に配慮しながら実施された時のものです)。これは食べる以外にもお腹をこわしたときに「くず湯」のようにして飲んだり、ベビーパウダーのような使い方もあります。そしてでんぷんをとった後の繊維を発酵させ、ドーナツ状にしたものを干して保存します。これをオントゥレㇷ゚といい、食べるときに刻んで水にさらし、こして臼でついて団子を作り、それを汁物やおかゆに入れて食べます。これは昔、冬の間の重要な食料でした。
 口承文芸では、馴染みのある植物なので「低山のオオウバユリの群生地を過ぎてずっと山を登っていき...」と情景描写として語られたり、人間達がオオウバユリ掘りをしているという描写もよく見られます。当館の口承文芸資料では、山姥の占有地にあったオオウバユリを、それと知らずに採取した人間が不思議な体験をした話が採録されています。

根を洗う

根を洗う

つぶす

つぶす

こす

こす

茎のある株は花が咲くので採取しない

茎のある株は花が咲くので採取しない

オオウバユリの花

オオウバユリの花

オオウバユリの実

オオウバユリの実

アイヌ語辞典

植物編:植338(1)
アイヌ語名:トゥレプ turep
語義:[<ru(とける)-re(させる)-p(もの)、→注1]
地域・文献:⦅北海道全地⦆
区分:鱗茎

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アイヌの伝承

アイヌ語での呼び方:トゥレプ
・茎の根元に赤みがさしてきたら、根が熟して掘り頃です。34109
・一番粉、二番粉をとった後の繊維を発酵させた団子は、20センチくらいのドーナツ状にして干して固くなったものを干し、火棚の先に下げておきました。食べる分だけおろして刻み、水でもどしてから臼でつき、繊維が気にならなくなったものを指先で丸めて団子にし、おかゆに入れて食べました。34182
・でんぷんをとってから干すという方法以外に、根をそのまま刻んで干して保存しておくという方法もありました。しっかり干しても容器に入れると湿ってしまうので、火棚の上にあげて保管しておき、食べる分だけおろして来て臼でつき、繊維かすを何度も飛ばしてでんぷんを取り出して食べました。34159
・お腹が痛いとき、お椀に水と一番粉をひと固まり入れて飲ませました。また赤ちゃんのわきや首が赤くなったらぬってあげました。34159
・炉の近くで「明日オオウバユリを掘りに行く」と言うと、オオウバユリが逃げて行ってしまうので言わないようにしました。またでんぷんをとるために臼でつく作業に月経中の女性は参加できませんでした。34109,34159

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物語や歌など


オオウバユリを取り返しに来た山姥
 ある人が、オオウバユリ掘りをして家に帰り、背中をいろりの火であぶっていました。すると誰かが家の外で歩くような音がしました。毛皮でも着た人が歩くような音でした。もう夜なのに誰だろうと思っていると、2度も3度も家の外に来て何かをぼそぼそと言っています。山姥が自分の持ち物だと主張していたオオウバユリを取り返しに来たのかと思い、ぱっと起き上がって着物をはおり、いろりから火の燃えさしを持って外に出てこう言いました。「人間は凡庸なので、誰の物かわからずにオオウバユリを持ち帰り、おまえはそれを取り返しに来た。でも火の神様が見守っているのだから、神の言葉を聞いて帰りなさい。これからはおまえの物であるオオウバユリをとることはしないよ」と言いながら燃えさしをまいたところ、それからその妖怪は来ることはありませんでした。印のあるオオウバユリの群生地では根を掘り取るものではないと、その人が言いました。

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