サトイモ科の多年草です。ザゼンソウでも立項していますが、ヒメザゼンソウのみを指しているという地域もあります。
アイヌ文化では葉を食用にしますが、シュウ酸カルシウムなどを含むので、生のままやゆでただけで食べることは危険です。正しくはゆでてから干して保存したものを水につけてもどし、加熱調理して食べます。この過程で毒の成分が抜け、甘くおいしくなるのです。当館の採録資料では、ヒメザゼンソウはオオハナウドとともに「神の山菜」といわれ、儀式のときに供物として神に捧げます(日高地方)。
採取時期のヒメザゼンソウ
アイヌ語辞典
アイヌの伝承
アイヌ語での呼び方:パラキナ(=ザゼンソウ)、シケレペキナ(=ヒメザゼンソウ)
・ザゼンソウはクマのごちそうです(人は食べません)。
・ヒメザゼンソウは葉をゆでてから干して保存しておきました。「神の山菜」といわれ、人間が儀式をするために天から降ろされた野草だといいます。伝染病の神をよそへ送る儀式のときなどに、供物のひとつとして神に捧げました。34124(34138,34178,34181,34182)
・ヒメザゼンソウ食べるときは水でもどし、干したキハダの実を刻み、その汁に油や塩を入れ、そこへ刻んだヒメザゼンソウを入れて弱火で煮て味がしみてから食べました。34181
・ヒメザゼンソウは飼いグマにも食べさせました。34181