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物語や歌

C0009. 犬と一緒に育てられた少年

あらすじ


 私には6人の兄と姉がいました。私だけは玄関の物置の隅で犬と一緒に育てられていて、骨を犬と一緒にかじっていました。一番下の兄と姉は隠れて私においしい物をくれていたおかげで大きくなりました。まき取りに行って良いまきをとってくると、私は叩かれました。一番下の姉に言うと、「仕方がないことだから、悪いまきをとっておいで」と言うので、その通りにすると喜ばれました。
 大きくなると、一番下の姉はこう言いました。「おまえの親は石狩の村長だったのだけれど、病気で死んでしまったのです。お父さんは死ぬ前に息子を頼むと言い残したのですが、おまえが託された私の父は貧乏人で、財産を姉や兄に与えるためにおまえを貧乏人として育てたのです。でも神はきっと見ているだろうから、何をされても頑張って、言われた通りに仕事をしなさい」。山猟に行きたくても、「貧乏人の子は行けないのだよ」と言われて連れていってもらえませんでした。
 最近この村の娘たちが家に来て、杵つきをしているのはどうしてだろうと思っていると、下の姉が泣きながらこう言いました。「おまえが大きくなる前に、神に頼んで殺してしまう準備をしているのです。神の名を呼び、なんとか守ってもらえるよう祈りなさい」。翌日には酒宴だという日、外に出してあった団子という物を食べたところ、食べたことがないくらいにおいしいのでした。そして酒宴の前に下の兄や姉が「明日にはこの石狩川をさかのぼっておまえを行かせるというのです。水の神に祈りながら行きなさい」と言いました。すると、今まで家の中に入れてもらえもしなかったのに、「入りなさい」と言ってくれ、きれいに顔や手を洗い、きれいな着物を着せてくれました。そして犬のお椀に食べ物を入れ、「貧乏人の子供よ、これを食べてから、川をさかのぼって舟で行くと神の滝がある。それを越えて行くと白い霧が立ちこめた神の洞穴があり、そこに住む神に『叔父から使いに出されました。酒宴に来てください』と言うのだ。神が承諾の咳払いをしたなら外に出て、また舟に乗って行くと、また洞穴に黒い霧が立ちこめている。そこでも同じように神を招待しなさい」と言いました。下の兄と姉は泣きながら「おまえの父が祈っていた神はたくさんいるのだ。神の名を呼びながら行くのだよ」と言いました。
 私は舟に乗り、神の名を呼びながら川をさかのぼって行きました。神の滝があり、どうやって登ろうかと思っていると、舟は高く飛び上がり、滝の上に行くことができました。おじさんが言った通りに洞穴があったので、近くの砂浜に舟をつけて、白い霧が立ちこめた洞窟に入っていきました。中には火がついたように明るい場所があり、そこに座って私はこう言いました。「貧乏人の子である私ですが、遣わされて神様を招待しにやってきました」。すると白い着物を着た神のような老人がこう言いました。「驚いた、おまえは貧乏人と言われて育ったのか。では私は行くことにしよう。おまえは私の兄弟のところに行きなさい」。そこでまた舟で進んでいくと、黒い霧のかかった洞穴があり、同じように神を招待すると、黒い着物を着た神のような老人はこう言いました。「石狩の貧乏人が、おまえを貧乏人として育て、私を招待するというのか。では行くことにしよう。おまえはここまで水の神に運ばれて来ることができたのだ。おまえは村に戻り、心のきれいな人たちと一緒に山のほうへ逃げていなさい」。そう言われて、川を下って夜には村に戻り、家に入っていくと下の兄と姉は喜んでくれました。そこで神に言われたことを伝え、逃げるように言いました。他の家族たちは顔色が青くなりましたが、私は「神がもうすぐ到着されます」とだけ言いました。
 そして外に出て、下の兄や姉たちと山へ逃げて隠れていると、村から危急の叫び声が聞こえました。でも姉は私を抱きしめて「声も出さず、動かずにいなさい」と言いました。夜が明けると、何の音もしなくなりました。下の兄や姉が様子を見に行くと、村にいた人たちはみんなおぼれて死んでしまっていました。
 生き残った人たちで古い家は燃やし、その後に新しい家を建てました。そのうちに私の夢に、あの時に洞窟で出会った神が出てきてこう言いました。「私の一族はとても神の力が強く、おまえの父の守り神だったのだ。父の死後におまえを育てた貧乏人の育て方が悪かったが、おまえが死んでは私たちを祭る者がいなくなってしまうので、おまえを守ってきた。水の神もおまえを守り、ここまで運んできた。悪い人間は殺してしまったから、これからはおまえが父と母の跡を継ぐのだ。決して悪い心を持たずに、村を大きくして神を敬って暮らしなさい。そして酒が手に入ったら、私たちにまず祈るようにすれば、末代までも守ってあげよう」。そのように神が言ったと、ある村の子供が物語りました。

 

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