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物語や歌

C0016. 女の腹にサケが飛び込んだ

あらすじ

 

 イペッ川の中流の村で、父と母、兄と姉、そして年寄りたちと暮らす末っ子の女の子が私でした。水くみが私の仕事で、それ以外ににも母や姉の仕事を手伝って、何不自由なく暮らしていました。ある年の秋、サケが川に上ってくる時期に川で水をくんでいました。サケが川に上る様子を見ながら水をくんで家に帰ると、急にお腹が痛くなって私は暴れ出しました。まるで魚が陸に上がり、体をバタバタさせる様子とそっくりです。村の男の人たち、年寄りたちが集まってきて神に祈り、おはらいをしても効き目がなく、お腹は痛いままでした。

 (話者が「ある男」に代わって)イペッ川の下流の村の村長の息子が私で、父や母はもう年を取ったので私はひとりで働いて暮らしていました。ある時父が「イペッ川の中流の村で、村長の娘が死にそうになっているという。息子よ、明日その村を訪ねていきなさい」と父がいうので驚きました。その夜眠ると、黒い着物を来た男性が私の前に現れてこういいました。「これ若者よ、明日中流の村を訪ねていったら、祭壇を立てて祈りなさい」といって詳しくおはらいの方法を教えてくれました。「その娘は尻を丸出しにして水をくんでいたので、そこからサケがお腹に飛び込んだ。それで転げ回って苦しんでいるのだよ」とも教えてくれました。

 翌日中流の村に行き、夢で教えてもらった通りに手草でおはらいをすると、娘のお腹からサケが体をバタバタさせながら飛び出してきたので、皆すっかり驚いてしまいました。そのサケはいたずらをする悪いサケなので、体をぶつ切りにして祭壇に置きました。それからまた娘を祭壇にくぐらせておはらいをし、薬を飲ませて看病すると気がつきました。

 翌朝になって娘がさんざんに皆から叱られる様子を見てから帰ることにすると、村長は私に「どうかこの娘を下働きにでも使ってください」というので「それでは後で来させてください」といい、内心はとても腹が立ちました。家に帰って父や母にことの次第を説明すると驚きあきれていました。

 翌日炊事をしてから山猟に行き、獲物を背負って帰ってくると、あの娘がやって来る様子が見えました。父や母にいうと「神のはからいで一緒になるのだ。これからは奥さんと呼びなさい」といわれ、腹が立ったけれど夫婦になりました。子どもがたくさん出来たので、私は子どもたちに「水をくむときは決して尻を出すのではない」と言い聞かせ、年老いたので昔のことを物語りました。

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