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私は父母やたくさんの兄弟姉妹たちと一緒に暮らしていました。男の兄弟たちは山猟に精を出し、女の兄弟たちは畑仕事などをして、年老いた両親の世話をして暮らしていました。
ある日突然に妹が「姉さん、早く食料を荷物にして作って!」と言いました。突然何事だろうと思ったのですが、あまりにも急かすので、言われるままに荷物を作り、宝物や器類、きれいな模様の入ったゴザも荷物にして背負いました。妹は山に行って家をつくるのだと言います。驚く父や母を置いて、姉妹で荷物を背負って家を出て川をさかのぼって行き、神の山が見えるところで家をつくりました。
食事の支度をして食べ終わると、妹は「私がする通りにしてください。決してしゃべらないように」と言いました。何だろうと思っていると、真夜中になった頃、山から3人の男たちが下りてきました。家があるので様子をうかがっているようです。妹は平然として「夫がいなくて寂しいのでどうぞお入りください」と言いました。寒気に襲われながら見ていると、男たちは家に入ってきました。男たちに食事をさせてから妹はさらにこう言いました。「私たちは女ばかりで逃げてきたものなので、火の神に祈りたくても祈れないのです。どうか儀式をしてください」。そこで男たちは言われるままに儀式をし、酒を飲み、横になって眠るように妹から促されました。
男たちが寝入った頃、妹はなんと男たちに馬乗りになり、小刀を出して喉を切って殺してしまいました。そして「姉さん、この者たちは夜襲の先発隊です。早く私たちの村人に知らせに行ってください」と言いました。姉は恐がって泣きながら川を下り、夜が明ける頃に村人を連れて帰ってきました。わけを話すと、村人たちは走っていって、さらに川の上流に建てられた本隊の家に飛び込み、そこに寝ていた悪者たちをみんな殺し、すべて燃やしてしまいました。妹は小さい頃から透視ができて、悪者たちが村を襲いに来る様子が見えたので、先手を打ったために村は助かったのですよと、ある村に住む娘が物語りました。
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