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物語や歌

C042. ひとりで草刈りをしていた時の不思議な体験

あらすじ


 昔、人から草刈りを頼まれました。「忙しいので、ひとりで草を刈って来ておくれ。日が暮れたら、帰って来て食事をしなさい」と言うので、ひとりで草刈りをしていました。頑張れば終わるだろうと思って一生懸命やっていると、急に身動きがとれなくなりました。どうしたんだろうと思って頭を上げ、「プップッ」と息を吐いて草刈りを続け、畑の真ん中あたりまで作業が進みました。すると自分のそばに何かの姿があるので見ると、キツネが緑色のヘビをくわえているのでした。キツネの神が私を眠らせようとしたのでしょうか。そこで私は大きな声を出して、畑のあぜ道に上がって、草刈り機であぜ道を叩いていました。そのうちに日が暮れたので帰って食事に呼ばれたので、行ってその話をすると「おまえは勇気がある。自分たちなら逃げてしまうところなのに、見ていたとうのか」と和人たちに言われました。

 またある時、一町歩以上の大豆畑で仕事をしていました。「日雇いの人夫がおまえの後から行くから、先に草を刈っていてくれ」と言われました。先に馬に乗って行き、馬をつないで川を渡って行くと、足の太い誰かが湿地を踏みつけた跡がありました。誰かが私の前に行っているんだろうと思いました。実際にはクマだったのですが、その時は人だとばかり思っていました。草の中に入って行った跡もありましたが、誰だろうと思いながら草刈りを始めました。すると途中で身動きがとれなくなり、眠くなって来ました。後から来ると言った人は誰も来ません。腹を立てながら草刈りを続けました。畑の真ん中にやって来た頃、どうしても眠気がやって来て、「休んでは駄目だ、座っては駄目だ」と思いつつ草刈り機で地面を叩いていると、突然女性の手のひらが私の方に伸びて来ました。「太陽の神、川の神、そこらじゅうの神が見ているというのに、何の悪さをするのだ」と言って草刈り機を振り回して叩いていると、急に体が軽くなり、眠気も去りました。
 村に下りて来て、頼んだ人に怒りました。「眠ってしまったらどうなっていたことか。何を笑っているんだ。ごくろうさんもくそもあったもんでない」。すると叔父に「おまえの憑き神がいいから助かったんだ」と言われました。

 

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