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物語や歌

C0049. 魔鳥の横恋慕

あらすじ

 

 オタスッの村で私は兄に育てられている男の子でした。少し大きくなると兄と一緒に山へ狩りに行きながら暮らしていました。ある時兄が「シカやクマの毛皮を持って交易に行こう」と言ったので、一緒に舟に乗って海へ漕ぎ出しました。沖で別の交易舟と行き会い、舟の男は「シマㇰマキという村から来た」と言い、その荷物の上にはとても美しい女の子が座っていました。舟を並べて漕ぎ、兄たちが色々な話をしているうちに、舟は和人の村に着きました。兄が小屋を作ると、シマㇰマキの兄妹も近くに小屋を作りました。改めて見て、妹の美しさにはほれぼれしました。
 殿様のところに行って「毛皮を積んできたのです」と言うと、喜んで酒や穀物や着物などと交換してくれました。そして舟は荷物でいっぱいになったので、また舟を並べて海に漕ぎ出し、お互いに感謝の言葉を交わして、私たちは自分の村へ帰り、シマㇰマキの兄妹は自分の村へ帰っていきました。
 それからというもの、私はあの妹のことが忘れられなくなり、食事もせずに寝てばかりいるようになりました。兄が「どうしたのだ。女が欲しいなら探してきてあげよう」と言っても寝たままで、何ヶ月か過ぎ、私は死にそうになってしまいました。村で酒宴が開かれると人々が集まり、若い女性もたくさん集まっているのでと兄に誘われて行きましたが、どうしてもシマㇰマキの女が忘れられないので、すぐに家に帰ってきました。兄が怒ったので、私は「どうしてもあのシマㇰマキの妹が忘れられないのです。死ぬ前にあの娘に会わせてもらえませんか」と言いました。兄は「早く言えばそうしたのに」と言って、シマㇰマキの村に使いを出しました。するとシマㇰマキの兄妹は「早く言ってくれればいいものを」と言って、すぐにオタスッに来てくれました。
 (話者が代わって)そしてふたりが結婚の儀式をしている途中でオタスッの弟は急死してしまい、続いてシマㇰマキの妹も自刃して死んでしまいました。兄たちが悲しみに暮れて2,3日過ごしていると、外に出た人たちが「大きな鳥が2羽家の上を飛んでいる」と言いました。出てみると本当に鳥がいて、その羽音が人間の声になって聞こえてきました。「兄さん、よく聞いてください。魔鳥の女神が天の国から人間の国を見渡して、このオタスッの弟である私を好きになりました。魔鳥の男神の方はシマㇰマキの妹を好きになり、ふたりを殺して神の国に来させてそれぞれに結婚しようと考えたのです。仕方のないことに私たちは死んで鳥になってしまったのです」そう言って飛んでいってしまいました。兄たちは泣いてお墓を作り、神も悪い心を持つのものだと言い合いました。やがて双方の兄のところにはお嫁さんが来て、お互いに子供がたくさんできて、行き来をしながら死んだふたりのことを惜しみつつ、年老いて死んでいきました。

 

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