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物語や歌

C0154. クモを戒めて妻にしたオコジョ

あらすじ


 私はヨシ原の上に住むクモの女神です。色々な神様の男性に言い寄られても「地獄に棲む魚を持ってきてくれた人と結婚します」というと、その神様たちは地獄に行っては帰ってこないということを繰り返していました。

(話者がオコジョに代わって)

 ある日女神の家に行って突然上座に姿を見せると、女神は私を見て驚いて「どんなに力の強い神様なのでしょう。どうやって突然上座に現れたのですか。地獄に行って魚をとってこない方とは結婚できませんよ」というので腹を立て、すぐに地獄に行って魚をとってきました。また上座に突然現れて「これが食べたくて色々な神を困らせていたのだろう。早く食べろ」と言って魚を投げると、その女は驚いて謝って「私が悪うございました。なぜあんな無茶を言ったのか自分でもわからないのです。この世の者があの世の魚を食べると、どうなってしまうかわかりません。これからはこのような所業は致しませんから、どうか命ばかりはお助けください」と言いました。私は腹が立ったので、その女神の目に息を吹きかけてやりました。するとその女神が目が痛いと言って転げ回って苦しみました。女神の家を焼いてしまうというと、それはどうか勘弁してくれと言って泣きました。

 女神を置いて自分の家に帰ってきて女神の様子を見ていると、ずっと目が痛いと言って転げ回っている様子でした。あまり苦しめても良くないと思ったので、目の痛みを止めてやると、今度は私の素性を毎日探しまわっています。長い間放っておきましたが、かわいそうになって自分の居場所を教えてやりました。すると身の回りの物を持って私の家にやってきました。家の中をゴミだらけであるように見せかけて待っていると、家に入ってゴミだらけなのを見てあきれていました。笑いをこらえて知らんふりをしていると、その女神は毎日一生懸命ゴミをかたづけていました。「どんなに立派な神様かと思って来てみたら、この家の有様は何でしょう」とぶつぶつ文句をいって、とうとう疲れて自分の荷物にもたれて居眠りをしている間に、家の中を元通り立派な様子にしておきました。目が覚めた女神が驚いてかしこまっているので、私が「おまえは何人もの神様を苦しめたので、罰を与えるためにここに来させたのだ。心を入れ換えるならそれでよし、そうでないならまた罰してやるぞ」と私が言うと泣いて謝ったので、許してやることにしました。そしてその女神と結婚して見張っていましたが、まるで憑きものが落ちたように素行が良い女神であることがわかりました。お互いに子供がたくさんできる系統なので、たくさんの子宝に恵まれて幸せに暮らし、お互い年を取りました。

 

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