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私には奥さんがなく、ゴザを編むこともできないので、ガマの上に座っていつもと変わりなく暮らしていました。ある日、神窓に影がさしたので見ると、酒椀と削りかけ付き捧酒箸が動いている様子が見えました。同時にオキクㇽミの言葉が届きました。
「人間の村に飢饉がやってきて、人間たちが皆飢えて死にそうになっています。私が大きなザルに食料を入れて人間たちに分けてあげていましたが、それももう底をついてしまいました。たくさんの木幣をさしあげますので、狩り場の神よ、シカを出し、魚を出し、どうか人間を助けてください」
その酒椀を取って中身の酒を行器にあけると、12個の行器が酒で満たされました。そこで神々を招待し、酒宴を開きました。
魚やシカの神様にわけを聞くと、人間が獲物をとっても木幣ひとつよこさない、とり方の作法もなっていないということでした。今後は必ず礼を尽くすように人間に言い聞かせるからと約束すると、倉にいってシカや魚の骨を出してくれました。それを狩り場にばらまくと、シカの群れ、魚の群れが狩り場に満ちあふれました。
人間たちはそれをとって食べて元気になり、人間たちからお礼の酒や木幣がたくさん私のもとに届いたので、また神様たちを招いて盛大な酒宴を催しました。神様や人間たちみんなに感謝され、ますます神格を高めて暮らしているのです。
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