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物語や歌

C185. クマと木の神の会話を聞いた男

あらすじ


 私は父母と一緒に暮らしていました。父母はもう年老いて働けないので、私がひとりで薪とりなど家の仕事や狩りをしていました。
 ある時山で、クマの歩いた道を見つけたので、そこに立っていた大きなオニグルミの木に登り休んでいました。すると大きなクマが浜から帰って来て、木の幹に背中をくっつけて休み、このように言いました。「オニグルミの神様よ、今年は食糧がなりましたか?交易に行くために浜に出ていたのですが、帰って来たのです」。するとオニグルミの木は体を揺すり、「今年は不作で、あなたにあげるだけの実りはないのですよ」と言いました。するとクマは「ちっ!」と舌打ちをして立ち上がり、カシワの木のところに行きました。そしてまた「カシワの女神よ、今年の実りはどうですか?」と聞きました。するとカシワは「今年はたくさん実ったので、このように袋いっぱいにありますよ」と言いました。するとクマはそのドングリの入った袋を背負って、山へ帰って行きました。
 私は木を下りて木の神に祈りました。「感謝します。私は悪い心を持って来たのではありません。父母を養っていたのですが、今日山に来るとクマが浜へ下りた跡を見つけたので、出会ったら大変と思ったので木の上に隠れていたのです。そして神様たちの会話を聞いたのですよ。どうか怒らないでください」と言って、家に帰って来ました。
 食事をしながらその日のことを父と母に話したところ、父はこう言いました。「おまえが人としての心を持っていたので、神の話を聞いたのだ。これからも決して悪い心を持たずにいたならば、子供ができても神に守られるのだよ」。そして父は火の神に祈り、クマの神、木々の神に感謝の言葉を届けました。そして今後の加護を祈りました。
 父と母が死んでからはひとりで暮らし、どこからかやって来た女性と結婚し、子供たちが生まれました。男の子には男の仕事、女の子には女の仕事を教え、まずクマの神、そして木の神々に祈るようにと教え、そうすれば神に守られるのだと言い置いて死んで行きますと、ある男が物語りました。

 

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