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物語や歌

C186. 伝染病の神の上陸を知らせた貧しい若者

あらすじ


 私は貫気別の貧しい若者で、どこの村の一員になることもできないで暮らしていました。ある時夢を見て、額平を川に沿って上流に向かって行き、スクシペッの河口部まで行くと大きな家が建っていました。その家の中から「食べ物があるよ、遠慮せずにお入りなさい」という声がしたので入って行くと、いろりの前に白い着物を着た神のような男が座っていました。「これ貧乏人の若者よ、私の話をよく聞きなさい。荷負の河口部に伝染病の神が上陸し、そこに仮小屋を作っているのです。私は驚きましたが、私の使いができる心の美しい人間が見当たりません。おまえは貧乏人だけれども心が美しく、どこの村の一員でもないことを恥ずかしく思っているようだけれど、おまえは誰よりも心が美しいのです。急いで荷負まで行って、スクシペッの神がこう言っていたと皆に伝えなさい」と神が言ったような夢を見ました。

 目覚めるとすぐに外に出て、雪が降っていたけれど川を越えて行き、荷負の村につきました。村長が雪かきをしていたので、そこで神に言われたことを告げると、驚いてすぐに村人を呼び集め、まわりの村々から食糧を集めてくるようにと命じました。そして荷負の河口部に(ケヤマ)ハンノキとイヌエンジュの木幣の祭壇を作り、伝染病の神に祈りました。集めた食糧を供物として捧げ、「これを持って遠くの村へ行き、お仕事をなさってください」と言いました。
 すると大きな波の泡が皆はじけて小さくなり、昼頃には黒い雲がやって来て祭壇と供物が飛び上がり、混ざりあって川を下って行き、その後波の泡もなくなりました。人々は私のおかげだと言って感謝をし、宝物をくれると言いましたが、何も受け取らずに帰って来ました。
 神が(夢で?)「これからはどこかの村の一員になればいい」と言うので、河口部の村の一員になりました。そして村長がきれいな娘を嫁にと連れて来てくれたので結婚して一生懸命仕事をしました。
 村長が伝染病の神に何度も祈ったので、それからは病気の心配もありませんでした。子供もたくさんできて、病気で苦しむこともなく幸せに暮らすことができたのでした。

 

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