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(途中から?)戦いで全てを滅ぼし、広い道の上に私はいました。国の上手と下手をよく見渡していると、下手から鳥の群れがやって来るのが見えました。そばに来てその中の一番大きな鳥が羽ばたきをすると、2つの輝き3つの輝きが見えました。その羽ばたきの音が言葉となって私に聞こえて来ました。「私は鳥の神です。天界と人間界を何度も行き来して、リクンペッの川下に住む村長の妹は、その巫術の力、その美貌、全てにおいてあなたにふさわしいと思いました。あなたはトミサンペッ、シヌタプカで姉に育てられたポイヤウンペなのです。婚期が遅れると悪い神が邪魔をするので恐ろしいものですよ。さあ早く娘を探しに行きなさい」。こう言うと、国の上手に向かって鳥の群れは飛んで行きました。その飛び去る姿に私は何度も拝礼をしました。
私の憑き神に「その村に私を運んでください」と言うと、旋風が巻き起こり、私は飛び上がって飛んで行きました。そして旋風の外に飛び出すと、きれいな道の上に降り立ちました。その道を静かに歩いて進んで行くと、金の城がありました。でも窓も入り口もなく、城のまわりを歩いても針の穴ほどの入り口もないので、私は金切り声をあげました。そうしていると城の戸口が開き、若い娘が顔を出しました。私はその横をすり抜けて家に入り、いろりの横座にいました。すると娘は「何の鳥が金切り声をあげているのかと思ったけれど、どこに行ったのかしら」と言って家の中に戻ると私がいたので、驚いてかしこまっていました。そのうちに娘はきれいな小さい鍋を出して来て料理を作り、薄手作りのお椀とお膳を重ねて私に差し出しました。山盛りに盛られたものの半分を食べて娘に差し出すと、拝礼をしてから残りを食べ、結婚の儀式を済ませました。
娘は「私の兄は、酒宴に招待されて出かけているので、私はひとりなのです。このことを兄が知ったなら、私を叱るでしょう」と言いましたが、私は聞かないふりをして、いろりの横座に敷かれた寝床に寝てしまいました。そして娘の寝所に忍んで行きましたが、娘は着物の襟元やすそをしっかり締めていました。そのうちに兄が帰って来て、大きく火が焚かれているのを見て入って来ました。そしてこのように言いました。「神の勇者よ、起きてください。食事をお出ししましょう」と言うので、私は起きて挨拶を交わしました。「人間の国で姉上に育てられたポイヤウンペよ。神の勇者であるあなたがなさることです。妹をお望みなら私は拒みません。ポイヤウンペと親族になったなら、どんな悪神との戦いでも恐くありません。助けあって戦いましょう」。妹は起きてふるえていましたが、兄はこう言いました。「妹よ、またとない勇者がおまえをお望みなのだ。人間の国に行っても、どんな戦いがあっても恐れずに暮らすのだよ」。すると妹は喜びました。そして兄は妹の着物などを物入れに入れて「おまえは嫁いで行って、勇者の家の習慣を身につけなさい」と言い、私たちはトミサンペッ、シヌタプカの姉のいる城に降りて来ました。姉は驚いて「私が育てた神よ、どこからこのような神を連れて来たのですか」と言うので「このようなわけで、カントリの村の人の妹を連れて来たのです。偉い神である姉さんがひとりで私を養うというのもおそれ多いので、養ってもらうために連れて来たのです」と言いました。そしてどんな戦いでも助け合って暮らしましたと、ポイヤウンペが物語りました。
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