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物語や歌

C190. あの世から戻ってきた男の話

あらすじ


 私は石狩川の上流部に住んでいました。河口部の村に、ふたり兄弟と妹が住んでいて、その妹は私のいいなづけだということでした。その親が死んでも私は訪ねて行くこともしませんでしたが、父が酒を作ったので、供養のためにその酒を持って川を下って訪ねて行きました。
 その家を訪ねると、いいなづけの娘が出て来て家に招き入れられました。ふたりの兄は不在だったので、その娘に兄たちが祈りの儀式をしたかどうか聞くと「どこへも行かないし、先祖供養もしていません」と言うので、私が先祖供養をしました。夕方になると兄たちが帰って来たので、持って来た酒を飲ませると喜んで飲みました。そしてやはり酒宴に招待されても行くことはないと言っていました。

 そこに一晩泊まり、翌朝まだ私が寝ているうちに兄たちは狩りに行ってしまいました。その後起きた私は浜に出て、東の方へ(から?)歩いて行くと、あの世の入り口の洞窟がありました。狭くて、最初は体をかがめて入って行ったのですが、前方が開けて来て後ろが暗くなり、きれいな村がある場所に出ました。川をさかのぼって行くと、浜の方から魚を背負った女性や男性や子供たちが来たのですが、私を見ると皆倒れて死んでしまいました。川を渡してもらい、向こう岸をまたさかのぼって行くと村の真ん中の大きな家に招き入れられることもないまますぐに入って行きました。
 すると家の中には、昨日私が供養のためにまいた食べ物がいろりの前に並んでいました。私が驚いて土間に立っていると、その家の、まるで父のような年配の男性がこのように言いました。「甥よ、あなたは私がここへ来させたのです。私の息子たちは先祖供養もせず、酒宴があってもどこにも行こうとしないので、私のところには供物が届かず、どこにも仲間入りができずに、人をうらやむばかりだったのです。昨日あなたが供養をしてくれたので、やっとこのように供物を並べることができたのでした。あなたをここに呼び寄せたのは、あの世の魚を持ち帰り、息子たちに食べさせるためなのです。今、いろりのそばにいる私の娘は、あなたが来たことで死んだようになっていますが、あなたが帰れば生き返ります。それから、あなたがあの世に来たことで運気が悪くなるということはありませんよ」。私は驚いていましたが、おじさんは奥から大きな魚を出して来て私に持たせました。そしてまた川を下り、舟で渡してもらってこの世に帰って来ました。

 あの男性の息子たちの家に帰って来て、もらって来た魚を置いておきました。そして夕方、兄たちが帰って来て汁物にした魚を食べました。私はおじさんに「小さい身や汁だけでも飲んではいけません」と言われていたので、口にしませんでした。そのうちに兄の方が、続いて弟の方が外に出て行き、そのままふたりとも帰って来ませんでした。罰を受けたのだと思い驚いていました。妹が泣いているので「あなたもそうなりたいのですか」と言うと泣き止み、私が家に帰るときについて来ました。

(終わりの部分をはしょっているようで、不明な部分あり)

 

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