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物語や歌

C194. 飢饉とカラス神

あらすじ


 私はある村に住む村長の妻です。旦那さんは狩りが上手な働き者で、何不自由ない暮らしをしていました。ひとり娘を授かり、その子は大きくなると私を手伝ってくれるので助かっていました。
 ある時、川下の方に住む村長だという人が家を訪ねて来たので、客として招き入れました。すると突然「娘さんをお嫁にもらえませんか」と言うので、旦那さんは驚いて「ひとり娘なので、嫁にやっても近くに住まわせようと思っていたのです」と言って断りましたが「お互いにひとりっ子同士だからお互いに行き来しましょう」と、いい言葉を並べてとうとう旦那さんを承知させてしまいました。

 翌日すぐにその男性は娘を連れて川を下って行ってしまい、それっきり何ヶ月も音沙汰がないので私は怒っていました。そのうちに村に飢饉がやって来てしまい、空腹で苦しむことになりました。旦那さんが「宝物の刀のつばを持って娘夫婦を訪ねて行き、食べ物と交換してもらって来なさい」と言うので、言われた通りに訪ねて行きました。娘の村の近くの道端で休んでいると、娘たちがまきを背負って通りかかりました。その先頭にいたのは私の娘でしたが、私を見ないようにして、私の足にけつまづくようにして通り過ぎて行ってしまいました。腹が立ちましたが仕方がないのでそのまま村を訪ねて行くと、村の奥の小さい家に住む娘さんが優しくしてくれ、家に招き入れてくれました。わけを話すと、「残念ながら娘さんの家に行っても何もしてくれはしないでしょう。あなたの婿になったこの村の村長は、結婚するまではいい人だったのですが、今は悪い心を持つようになってしまいました」と言うのです。そのうちにその娘の兄が山猟から帰って来て、村長に義母を家に泊めることを黙っていると文句をつけられると言うので、妹が村長のところに行って承諾をもらって来ました。そして「明日の夕方にクマ送りの儀式があるので、それまではここにお泊りください」と言ってくれました。
 翌日の夕方、大勢人が集まっている村長の家に行き、空いている場所に座っていると私の娘が来て、そんなに美味しくもないようなものを出してくれました。そして何かが私の上からしたたり落ちて来るので見ると、真上に油を保存するための袋があり、そこから油が落ちて来ていたのでした。私は腹を立ててすぐにそこを立ち去りました。

 また翌日、改めて娘の家を訪ねて行くと、娘はまきをとりに行くと言ってすぐに出て行ってしまいました。そこで婿さんにわけを話して刀のつばを差し出すと、外に出てカラスの骨をお膳に入れて持って来ました。それを受け取って戻り、親切にしてくれた娘さんにそのことを話すと、同情して肉をたくさん分けてくれ、そして私の家まで送ってくれました。
 家に帰って旦那さんにカラスの骨を渡すと、とても喜んで拝礼をし、木幣で包んで祭壇に立てておいたのでした。そして優しい娘さんにもらった肉を料理して村中で食べました。2,3日すると獲物がとれるようになったので、元通りの暮らしができるようになりました。
 風の噂に聞くと、婿の村にはカラスがたくさん寄って来て肉や魚をつつき、生きた人間の目もつついて村を滅ぼしそうになっているということでした。優しくしてくれた兄妹が逃げて来たので、私たちの子供として一緒に暮らすことにしました。
 ある時、本当の娘が家の外に現れました。私がののしると、姿はかき消えてしまいました。死んで幽霊になって来たのでしょう。私は新しい家族と楽しく暮らし、やがて年を取ったので子供たちに「悪い心を持つのではないよ」と言い残して死んで行くのです。

 

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