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私はメナシの女です。小沙流の人のひざをトントンと叩きながらこのように言いました。「メナシの女は秘密の財宝を隠し持っているのです。宝物の一番下にひと振りの宝刀を持っているのです。どうか私の求婚を承知してください」そう言うと、小沙流の人は不愉快な顔色をして、壁に掛かっていた刀をさっと取り、自分を突き刺しました。私は「あなたがすぐに死ぬことになっているのなら、刀についた血は乾くでしょう。あなたが生きるのなら、血はどろどろになっているでしょう」と言って刀を抜くと、血はどろどろになったので、私は自分を突き刺しました。[死んだ私の魂は]梁の上にいましたが、やがて外に飛び出しました。白い雲の橋を渡って行くと、大きな村に着きました。犬に吠えられながら進んで行くと、若者たちが穀物を搗いていました。家の中には小沙流の人の訴える声がカッコウの声が響くように朗々と聞こえて来ました。私が家の中に入ると「悪い女が来たぞ。臼で搗け、臼で搗け!」という声がしました。でたらめだろうと思っていたのですが、私は臼で搗かれてしまいました。
そんな私を国造りの神があわれんで、アカショウビンに姿を変えられて家に戻って来たのです。だから女性から求婚するというのは恐ろしいことなのですよと、アカショウビンが木をのぼりおりしながら言ったのを、その妹が聞きましたとさ。
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