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物語や歌

C198.さまよう舟の女神

あらすじ

 

 私は石狩の村に住む男で、妻と一緒に何不自由のない暮らしをしていました。
 ある時、あちこちの村で宿を借りて歩いている女性がいるという噂を聞きました。その女は泊った先で酒椀を借り、そこにおしっこをして家の主人に飲めというのだそうです。誰も汚がって飲まないと、文句をつけてその家の宝物を奪って行くということでした。

 ある日妻が外へ出ると、外にとても美しい女性が立っていました。家に招き入れるとこのように言いました。「私の噂はお聞き及びでしょう。酒椀をお貸しくださいな」と言うので、一番上等な酒椀を差し出しました。すると家の隅へその椀を持って行き、何かをチョロチョロと注ぐ音がしました。それを私のところに持って来て差し出すので拝礼をして受け取ると、酒の香りがしたので飲みました。その女性はとても喜んでこう言いました。「誰も汚がって飲んでくれなかったものを、旦那さんが初めて飲んでくださいました。私は人間ではないのです。イアラモイサムの村の人が舟で交易に行き、色々なものを積んで帰って来ました。でも伝染病がはやり、まだ上陸しないうちにみんな死んでしまいました。誰も病気が恐くて舟に近寄ることもしないうちに、積み荷の食べ物はみんな腐ってしまいました。死んだ人たちは供養もされず、供物がないのであの世に行くことができず、あの世の手前で途方に暮れている様子を私は気の毒に思いました。私はその舟の女神なのです。あなたは明日その舟のところに行き、舟にあるものをみんな持って来てください。そして死んだ人たちを供養してあげてください。そして私に祈ってくれたならば、これからもあなたの村を守ってあげましょう」そう言ってその夜は眠りについたのですが、翌朝その女性の寝床には姿はなく、酒樽がひとつ立っていました。
 それからさっそく人手をくり出して舟のところに行き、女神に言われた通りにしました。するとそれ以来、病気の神が来たという噂を聞いても、私の村では何事もなく過ごすことができたのですと、ひとりの男が物語りました。

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