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私は妻とひとり娘と一緒に暮らしていました。何不自由ない暮らしをしていましたが、ある日家族が「外に見たこともない男性が立っているのです」と言うので家に招き入れると、「泊めてください」と言うので一晩泊めてあげました。翌日にはどこかに行くのかと思っていると、山猟に行って大きな獲物をとって帰ってきました。それからはどこへも行かずに、毎日狩りに行っては獲物をとって帰ってきました。とても働き者で手際も良く、朝早くから夜遅くまで働くので「もしかして私の娘を嫁に欲しいのだろうか」と思っていました。
ある朝早く、食事が終わると男は私にこう言いました。「旦那さん、よく聞いてください。私は人間ではなく、河童の神なのです。神の国には私にふさわしい女性がおらず、人間の国を見るとあなたの娘に心惹かれたので、ここに来てあなたたちが年老いて死ぬまで養い、その後娘さんを神の国に連れていって結婚しようと思っていました。でも神である私の父に毎晩意見をされ、『このようなことを続けるなら、湿地の国にけり落としてやるぞ』と言うのです。どうしようもないので、ここを離れ静内に向かいます。今後は静内で活動する私の噂を聞くことになるでしょう」そう言って、外に出て行ってしまいました。
一緒に暮らしていて心地よい男性で、名残惜しく思いましたが、どうしようもありませんでした。その後静内で、河童が村を荒らしたという話を聞いて、無事で良かったと喜び合いました。そこでこのようにお話ししますと、どこかの男性が物語りました。
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