ヘッダーメニューここまで

ここからメインメニュー

  • 自然図鑑
  • アイヌ語辞典
  • アイヌの伝承
  • 物語や歌
  • 絵本と朗読
  • 語り部
  • スタッフ

メインメニューここまで

サイト内共通メニューここまで

ここから本文です。

物語や歌

C0212. まぼろしを見た女

あらすじ

 

 私は石狩でたったひとりで暮らしている娘でした。少し大きくなると山へ行き、シナノキの皮をはいで持って帰り、糸にしてから背負って和人の町へ行き、食べ物と交換していました。

 ある時一晩山に泊まる予定で出かけていくと、山に立ち姿のいい木があったので、その木に私の小さい鍋や食べ物をぶらさげて、シナノキの皮はぎの作業をしていました。しばらくしてその木のほうを見ると、カラスが群らがって私の荷物を落とし、食べ物を散らかしている様子が見えました。私が大きな声を出してもカラスたちは逃げる様子もありません。私は泣きながら、どうやって夜を過ごそうと思いながら木のほうに行きました。すると私の食べ物は無事で、何も散らかされてはいませんでした。まぼろしを見たのだと思い、その場にいるのは何だか恐かったので、近くの倒木に移動して、日が暮れてから食事をして皮はぎをしていました。ふと、まぼろしを見たあたりに目をやると、青い目のような光が見えました。クマだと思ったので、たいている火の上にシナノキの皮を投げて火を消し、私の着物を倒木に被せてから逃げ出しました。

 石狩川を下って走っていき、和人の町で危急の叫び声をあげると、殿様が「どうしたのだ」と言ってくれました。わけを話すと、日の出の頃に家来たちが鉄砲を持って私と一緒に家まで来てくれました。するとクマは私のにおいを追ってきたのか、家の中はすっかり荒らされてしまっていました。泣いていると、殿様が「これからは和人の町で暮らしなさい。もう山へ行ったり、糸を作る仕事もしなくていいよ」と言ってくれました。
 それからは和人の殿様の家で暮らし、きれいな着物を着せてもらって暮らしました。そして和人の夫と結婚して子供ができました。子供たちには、自分はアイヌなのだから決していばることなく、和人と仲良く暮らしなさいと言い残して死んでいきますと、ひとりの女性が物語りました。

 

本文ここまで

ページの先頭へ戻る

ここからフッターメニュー