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私は大変に立派な長者で、狩りの名手でした。私の村にひとりの若者がいて、とても気が合うので一緒に狩りに行っていました。石狩の景色はきれいだというので、その若者と一緒に行ったところ、本当にきれいな景色で、獲物がたくさんいる様子でした。一晩そこに泊ろうとして若者と一緒に狩小屋を作りました。そこで食事をして矢を作ったりなどしていると、若者は居眠りを始めました。今にも転がりそうになっているのをおかしく思いましたが、疲れているのだろうと思って静かにしていました。すると若者は起きて「狩り場にいると、誰かが英雄叙事詩をしていました」と言いました。その若者はパロアッテという名で、夢で近くに黒い着物を着た神の男性が座り、このように言ったそうです。
「これパロアッテよ、よく聞きなさい。おまえたちが石狩に来たわけはこうである。天の世界にはチチケウという悪い兄弟がいて、人間界に降りて悪さをしようとするので、神様たちが相談しました。サモㇿモシㇼにはポイヤウンペがいるので、そこへ知らせを届け、ポイヤウンペが来ることになりました。サモㇿモシㇼから何か星のようなものが来て石狩に降りました。そして天からは金のゆりかごに乗って、小さい鳥のような女性のほうのチチケウが降りてきて、次に兄のほうが降りてきました。すると女性のチチケウが『急にお腹が痛くなったので、薬をとりに天界へ帰ります』と言って帰っていったのです。おまえたちはチチケウと同時に来たので、明日は狩りをせずに帰り、ポイヤウンペに感謝の儀式をしなさい。私はクモの神であり、私にも祈ってくれたなら、いつまでも守ってあげよう」。そこで神の男性に言われた通り、翌朝すぐに帰ってポイヤウンペとクモの神に感謝の儀式をしました。
それからは酒が手に入るたびに祈り、子供たちにも祈りを忘れないように教えました。そして石狩の猟場には決して行かないようにと言いおいて死んでいきますと、ひとりの男が物語りました。
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