30201-1．火の神への祈り　音声　音声［08'52"］　↑目次　

  モシﾘコﾛ　パセ　フチ 国土を領する重い火の媼神
  アコイタｸリキンテ に申し上げる
  イポﾛセイタｸ 唱え言葉。
  シオイナネ　カント　リ 誠に尊い天高き
5 カムイモシロﾛ　ワ 神の国から
  タアン　シオイナネ この尊い
  カンナルイノ　ヤイカシピ ふたたびよみがえる
  アエアｼカイ　キ ことができる
  ラクンモシリ　エン 下方の国土へと
10 コオランケ　ロｸ　ア 降臨された
  パセ　カムイ 重き神なる
  フチ　モイレマッ （火の）媼神
  コン　ロｸ　ア の
  カムイ　ナン　コッチャ　サモﾛ 神々しいお顔の前を
15 アマカサラレ　キ　ノ あけ開かせまして
  カムイ　キレトッカシ 神の面前に
  シオイナネ　パセ　イナウ 尊い木幣
  アンアシ　キ　カネ をお立てしつつ
  トゥキカッケマッ 酒杯の女神
20 イナウコﾛ 木幣付きの
  トノト　カムイ　アｼコﾛ 神酒を
  オイナ　パセ　カムイ　オレン 尊き神の許へ
  アンリキンテ　キ　イ　アナｸネ 献上致しますのは
  タパン　タテ　タ　ウサ この家館に，また
25 パセ　フチ　カムイ 重き（火の）媼神
  コン　ロｸ　ア が領される
  ソユンミンタﾗ　カシケ　タ 外庭の上に，
  キムン　イウォﾛソ　オロ　タ 山の猟場に
  ホラﾗパ　キ　ワ 住んで
30 オカイ　ロッ　キ　ア おられた
  シパセ　カムイ 誠に尊い熊神
  コン　ロｸ　ア の
  カムイ　オポイサﾑ 御子が
  タネ　テ　パｸノ 今しがたまで
35 セッ　コリﾑセ 檻で舞い
  セッ　コタﾌﾟカﾗ　キ　カネ 檻で踏舞して
  オカイ　ロッ　キ　イ　タ おりましたときには
  カムイ　エネ　アイヌ　ウタリ 神であれ人間達（であれ）
  アヌサシ　キ　ノ （子熊を）あやしては
40 アエネウサﾗ （子熊と）よもやま話を
  アンキ　ア　コﾛカ 楽しんでおりましたが
  タネ　アナｸネ 今や
  スクﾌﾟ　パセ　カムイ　ネノ 立派な熊神として
  スクパｼヌ　キ　ノ よく育ち
45 オウレウｼ　キ　ア　クｼ ご成長なされましたので
  アイヌモシリ　オロ　タ　アナｸ 人間の国土においては
  オアッタﾌﾟ 全くもって
  ヤイカタヌ　アンキ　ア　クス 畏れはばかられますので
  シカント　リ　モシリ　タ いと高き天上の国土に，
50 ヌプリコﾛカムイ 山を領する熊神
  コン　ロｸ　ア の
  シノ　オイナネ 誠に尊い
  シンリッ　ネ　ロｸ　ア 御先祖であられる
  パセ　エカシ　オレン 重き翁の許に
55 アコヘマカライェレ お帰りいただく
  アン　クｼキ　オンカミ 予定で拝礼の
  エトコオイキ 準備
  アオサｸサク を抜かりなく整えた
  キ　オロ　タ ところで
60 シホｼキ　アッパ　タ 真っ先に
  シオイナネ　モシﾘコﾛ 尊き国土を領する
  パセ　オイナマッ　オレン 重き（火の）女神の許へ
  イタッカﾗパレ 言葉運びを
  アンキ　ハウ 私が致します次第
65 ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
  ネ　ワ　ネ　ヤクン そうでありますならば
  シノ　パセ 誠に重き
  カムイ　オイチナ 神の子孫
  オポイサﾑ 神の御子を
70 （シオイナネ　カント　リ…… 尊い天上……）
  シオイナネ　カント　リ 尊い天上の
  モシリ　オレン 国土へ
  アオマンテレ 私共が送ります
  アン　クｼキ　イ　タ ときに
75 アホプニレ 昇天させます
  アン　クｼキ　イ　タ ときに
  アノミ　アンキ　ロｸ　ア 祀られる
  シノ　オイナネ 尊い
  シロﾛ　ウン　オロ　タ 自然界に
80 エイロｸロッ　キ　ワ 鎮座して
  （オカイ　ロｸ… おられる…）
  オカイ　ロｸ　ア おられる
  カムイ　ウタリ　オレン 神々に対して
  ネヤッカ も
85 アイヌ　シンリッ　ネ 人の御先祖である
  エカシ　ウタリ 翁様方が
  シノ　オイナネレ　キ　ノ 誠に尊んで
  ノミ　キ　ロｸ　ア 祀っておられた
  カムイ　ウタリ　オレン 神々に対し
90 トゥキカッケマッ 酒杯の女神を，
  イナウコﾛ　トノト　アｼコﾛ 木幣付きの神酒で
  エイカンパスイコンナ （酒杯の）上に渡した捧酒箸が
  モﾑナタラ　キ　ノ 流れんばかりに（なみなみと）
  リキンテ　アンキ　ワ 献上いたしました
95 ネ　ヤクン ならば
  ウコラチ （下界と）同様に
  カムイ　ウタリ　トゥラノ 神々と共に
  シヤン　ピﾘカ 誠の良き
  ウエネウサﾗ　キ　ワ 語らいを楽しんで
100 イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  シノ　パセ 誠に重き
  カムイ　オポイサﾑ 熊神の御子が
  シノ　オイナネ　シンリッ 誠に尊い（熊神の）御先祖様の
  キﾘサモﾛ　エン おそばへ
105 コオシライェ　クｼキ　イ　タ 向かわれますときに
  アイヌモシリ　タ 人間の国土に
  オカイ　ロｸ　ア ございます
  シヤン　ピﾘカ 極上の
  マラット　ソナﾌﾟ 供え物を
110 カントモシリ　オレン 天上の国土へ
  シヤン　ピﾘカ　イモカ　ネノ 良き土産として
  エイイモカコﾛ　キ　ワ お持ちになられて
  シカントモシリ　オレン いと高き天上の国土へ
  コリキンノ　キ　クニネノ ご昇天なされますように
115 シオイナネ　イタッカﾗパレ 尊き言葉運びを
  アンキ　ワ　ネ　ヤクン 私が致しますならば
  アポﾛセ　キ　ロｸ　ア　イタｸ 私が申し上げた言葉を
  （エイ… ...）
  エウンピﾌﾟカ　キ　イ　カ 疑うことも
120 コイサﾑ　ノポ なく
  シヤンノ　オイナネレ　キ　ワ 心から尊重なさって
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  シオイナネ　カント　リ 誠に尊き天上の
  モシリ　エン 国土へ
125 リキﾌﾟアン　キ　ワ ご昇天なされて
  シヤン　ピﾘカ　ウエネウサﾗ 誠に楽しい語らいを
  アンキ　カネ 致しながら
  （ケｼ　ト　ケｼポ 毎日…）
  ケｼ　ト　ケｼ　パ 毎日毎年
130 コラチノ　シンネノ 同じように
  ホオンネ　ノ 安らかに
  カムイ　ネ　シンリッ 神なる御先祖
  コﾛ　キﾘサマケ　タ のおそばで
  カムイ　マウ　ケｼ　タ 神の庇護のもとで
135 シニアン　キ　ワ お休みし
  ホオンネ　ノ 平穏に
  オモンラッチ　ネ　シニアン 安息
  キ　ワ　ネ　ヤクン なさいますならば
  シオイナネ 尊き
140 ラクンモシリ　エン 下方の国土へ
  カンナルイノ またふたたび
  ヤイカシピ　キ よみがえる
  アエアｼカイ　キ　クニ　ﾌﾟ ことができるもの
  ネ　ルウェ　ネ　ア　クス なのですから
145 ネ　イ　オロ　パｸノ その時まで
  カムイモシリ　タ 神の国土で
  オモンラッチ　ヌシンネ 平穏に
  シニアン　キ　クニ　ﾌﾟ 安息致しますもの
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
150 タパン　イタｸ　アナｸ この言葉は
  アトゥナｼカﾗ　キ　クニ　ﾌﾟ 私が即席に作ったもの
  ソモ　タパン　ナ ではございません。
  シフｼコ　トイ　オロ　ワノ 太古の昔から
  カムイ　トゥタヌ　ワノ 神代から
155 オカイ　ロッ　キ　ア おられた
  シンリッ　ネ　ロｸ　ア 御先祖様である
  エカシ　ウタリ 翁様方が
  シヤンノ　オトゥルﾑコテ 誠に力説添え
  キ　カネ ながら
160 ポﾛセ　キ　ワ それを唱え
  タアン　シノ　オイナネ この誠に尊い
  ウレｼパ　モシリ　エン 互いに育みあう国土へ
  アコホッパアマ　ロｸ　ア 残し置かれた
  シオイナネ 尊い
165 カムイ　ネ　ロｸ　ア 神となられた
  シンリッ　ウタリ 御先祖方が
  カン　ロッ　キ　ア 創作された
  イタｸ　ラマッ 言葉の霊魂（ですので）
  エイウンピﾌﾟカ　キ　イ　カ それを疑うことも
170 コイサﾑ　ノポ なく
  エイソコﾛ　キ　ワ 信じて
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  ウ　シオイナネ　モシﾘコﾛ 誠に尊い国土を領する
  フチ　カムイ （火の）媼神が
175 リキンテ　キ　ロｸ　ア 立ち昇らせ給う
  シオイナネ　シプヤ　クﾙカシ 聖なる煙の上に
  ポﾛセイタｸ　ラマッ 唱え言葉の霊魂を
  エイオ　キ　ワ のせて
  シカントモシリ　オロ　パｸノ 天上の国土まで
180 シヤンノ　シレパ 到達
  キ　クニネノ 致しますように
  シオイナ　カムイ　フチ 尊き神なる媼神の
  アコラﾑテレ 御心に私が委ねる
  アンキ　ナ のでございます。
185 アノミ　キ　シロッ　タ 祀られる自然界に
  エイロｸロッ　キ　ワ 鎮座ましまして
  オカイ　ロｸ　ア おられる
  カムイ　ウタリ 神々
  ネヤッカ も
190 タアン　カムイホプニレ この熊神送りを
  アンキ　テｸサマ 私共が致します傍らで
  コオインカﾗ　キ　ワ 共に見守って
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  シカントモシリ 天上の国土へ
195 アコオンルプｼカ 私共が旅立たせる
  アンキ　テｸサマケ 傍らで
  コオインカﾗ　キ　ワ 一緒に見守って
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  ハ　エエエエン 畏れ奉る。