30202-7．背びれの長い神への祈り　音声　音声［18'04"］　↑目次　

レプン　シアトゥイ　リﾘカシ 沖の大海原の波頭を
エプンキネ 守護する
シアｼペタンネカムイ 背びれの長いシャチ神
オイナ　クﾙ　オレン 尊いお方へ
5 ポﾛセイタｸ 唱え言葉を
アンリキンテ　キ　イ　アナｸ 私が奏上致しますのは
キムン　メトｸ　ソ　カシ 深山の上
キムン　イウォﾛソ　カシ 山の猟場の上を
エプンキネ 守護する
10 ヌプリコﾛクﾙ 山を領する熊神
コン　ロッ　キ　ア の
カムイ　オポイサﾑ 神なる御子
カムイ　オイチナ 神の子孫が
シノ　パセ　フチ 誠に重い（火の）媼神
15 コン　ロｸ　ア の領する
ソユンミンタﾗ　カシ　タ 外庭の上で
シタンネ　パイカﾗ 長い春を
アンレス　アンキ 過ごされました
イ　タ ときに
20 シルンノ　アオマﾌﾟ 私共が大層かわいがった
カムイ　サシニ 熊神の御子孫
ネ　ア　コﾛカ ではございますが
タﾌﾟ　アナｸネ 今は
シノ　ポロ　オウレウｼ　キ　ノ 誠に大きく育ち
25 トゥｸノ　キ　ロｸ　ア　クス ご成長なさいましたので
アイヌモシリ 人間の国土
オロ　タ　アナｸ においては
オアッタﾌﾟ 全くもって
アンレス　キ　イ　ネヤッカ 私共が育てることも
30 アコラﾑニウケｼ 心配
アンキ　ロｸ　ア　クス でございますので
シノ　オイナネ 誠に尊い
ヌプリ　コﾛ 山岳を領する（熊神の）
シンリッ　ネ　ロｸ　ア 御先祖であられる
35 エカシ　オレン 翁様の許へ
アコオマンテ 私共がお送り
クｼキ　エトコオイキ すべく準備を
アンキ　ロｸ　ア　イ 整えましたことを
カムイ　カ （背びれの長い）神にも
40 アシコアﾑキレ お知らせする
オンカミ　ネ　ロｸ　ア　イ "拝礼でありますこと，"
イタッカﾗパレ 言葉運びを
アンキ　ハウェ 私が致します次第
ネ　ルウェ　タパン　ナ でございます。
45 キムン　ヌプリコﾛカムイ 山に住む熊神の
オポイサﾑ 御子が
モシﾘコﾛ　フチ　カムイ 国土を領する火の媼神
コﾛ の領する
ソユンミンタﾗ　オロ　タ 外庭で
50 アンレス　キ　イ　タ お育ちになる時に
セッ　コリﾑセ 檻で舞い
セッ　コタﾌﾟカﾗ 檻で踏舞
キ　オロ　タ なさいます時に
カムイ　エネ　アイヌ　エネ 神であれ人間であれ
55 アヌサシ　キ　ア　コﾛカ （子熊を）お慰めしましたが
タﾌﾟ　アナｸネ 今は
シヤンノ 誠に
アオイナネレ　キ 尊ばれる
パセ　カムイ　ネノ 重き熊神として
60 アン　ロｸ　ア　ワ あられ
イレス　キ　ロｸ　ア ご成長なされた
ウタﾗパ　カムイ 偉い神の
コン　ロｸ　ア　カトゥ ご様子を
ラミンカレ　キ　カネ （白老の人たちが）調べて
65 シルワンテ　キ　ロｸ　アワ 検討致しましたところ
カムイ　カッカコンナ 神の様子は
イカシｼパ　キ　ア　クス 十二分でしたので
タアン　カムイ　アナｸ こちらの熊神は
カムイ　コシニ　キ　ルスイ 神と一緒に休みたいと
70 アンノアﾑキﾘ　ア　クス はっきり分かりましたので
カムイ　オポイサﾑ 神の御子を
シカントモシリ　オレン 天上の国土へ
アオマンテ　キ　トゥラノ 私共がお送りすると共に
カムイ　キﾘサモﾛ　エン 神のおそばへ
75 コオンルプｼ　キ 旅立たせる
クｼキ　エトコオイキ べく準備を
アンキ　ロｸ　ア　イ 整えましたこと
レプン　リﾘカシ　エプンキネ 沖の波頭を守護する
パセ　カムイ　オレン 重い神へ
80 イタッカﾗパレ 言葉運びを
キ　トゥラノ 致しますとともに
トゥキカッケマッ 酒杯の淑女を
イナウコﾛ　アｼコﾛ 木幣つきの神酒で
エイカンパスイコンナ その上に渡した捧酒箸が
85 モﾑナタラ　キ　ノ 流れんばかりに（なみなみと）
シノ　オイナネ 誠に尊い
パセ　カムイ　オレン 重い神の許へ
アコリキンテ 私が献上
アンキ　カネ 致しながら
90 イプニ　アンキ お供え致します
  ワ　ネ　ヤクン ならば
タアン　イナウコﾛ この木幣つきの
トノト　カムイ　オレン 酒神の許へ
コテｸトゥリリ　キ　ワ 手を差しのべて
95 カムイ　テコﾛカシ 神の手の上に
コオシロマレ　キ　ノ しっかりと収め
コオシンヌカ　キ　ワ お受け取りなさり
ウ　ウコラチ　カムイ　ウタリ 同じ神々どうし
シヤンノ　ピﾘカ 誠に良い
100 ウエネウサﾗ　キ　カネ 語らいをなさって
ウヌサシ　キ　オロ　タ 楽しまれるときに
カムイ　ウタリ 神々に
アコリキンテ　キ　ロｸ　ア 差し上げました
イナウ　アナｸネ 木幣は
105 シヤンノ　ピﾘカ 誠に美しい
トミ　イコﾛ　ネノ 宝物として
オイナネレ　キ　ワ 尊んで
ウンコレ　キ　ヤン 下さいませ。
ヤウンクﾙ　アイヌ　ウタリ 陸に住む人々が
110 レプン　ウサﾌﾟキ 沖で一生懸命働く
キ　オロ　タ　ネヤッカ ときにも
（シヤンノ　オシックﾙコテ よく目配り
キ　ワ　ウンコレ　キ 致して下さ……）
シヤンノ　オシックﾙコテ よく目配り
115 キ　ワ して
イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
ウサ　ヤウンクﾙ　アイヌ "また，陸に住む人々が"
レプン　カムイ　コン　ロｸ　ア 沖の神の
イソネ　チヨキ 恵みを
120 トモッ　カｼヌカﾗ　キ　クス 授かるために
チﾌﾟカッケマッ 舟の女神（船霊）の
コﾛ　ウﾌﾟソロ　オｼケ 内懐に
コラマッウン　キ　ノ 霊魂を宿し
カムイ　コン　ロｸ　ア 神の領する
125 イソネ　チヨキ 自然の恵みを
カｼヌカﾗ　キ　ワ 授かる
ネ　ヤクン ならば
チﾌﾟカッケマッ 舟の女神が
シヤンノ　ピﾘカ　シケ　ネノ 誠に良い荷として
130 エイシケコﾛ それを背負う
キ　ワ　ネ　ヤクン ならば
チﾌﾟ　オ　キ　ロｸ　ア 舟に乗った
ペウレ　スクﾌﾟ 若者
オッカヨ　ウタリ 達が
135 カヤニ　アシ 帆柱を立て
カヤ　エタイェ 帆を引き
リキンテ　キ　ヤクン 上げますと
カヤ　ホンポッコンナ 帆の中程は
サワウケ　レラ さわやかな風で
140 エイホンポッコンナ 帆
トゥｸナタラ　キ　ノ ばらみとなり
リﾘ　ウトゥル うねりの合間
カイペ　ウトゥル 白波の合間
ウサ　カイカイ　ウトゥル さざ波の合間を
145 カヤ　エイチャｼテ 帆にて走らせ
キ　イ　タ ます時に
チパッテ　オッカヨ 船頭をする若者が
シヤン　ピﾘカ 誠に良い
チパッテ　キ　カネ 操舵をしながら
150 カムイ　ネ　マヌ　ﾌﾟ 「神というものよ」
アリ　カムイ　シコニナンケレ と（呼んで）神を引き寄せ
キ　カネ ながら
ヤウンクﾙ　トマリ 北海道の港の
ホンケｼ　コアフン　キ 一隅に入港する
155 クニネノ　アリ "ように（私は願い，また）"
マウコウェン　キ　イ　カ 不運も
コイサﾑ　ノポ なく
マウコピﾘカ　キ　ノ 順風満帆に
トマリ　ホンケｼ 港の一隅に
160 コアフン　キ　クニネノ 入港するようにと
シオイナネ 誠に尊い
カムイ　ヌプﾙ　ペ 神の偉力を
シコニナンケレ　アンキ 自らに引き寄せる
イポﾛセイタｸ 唱え言葉を
165 アリキンテ　キ　ハウ 私が奏上する次第
ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
カムイ　オポイサﾑ 熊神の御子を
シンリッ　ネ　ロｸ （熊神の）先祖である
エカシ　オレン 翁様の許へ
170 アオンルプｼカ　キ 私共が旅立たせる
オンカミ　ネワ 拝礼と
カムイ　コン　ロｸ　ア 神の持つ
シノ　オイナ　ヌプﾙ　ペ 尊い霊力（で）
シラオイ　ヌタﾌﾟ　オロ　タ 白老の地に
175 ホラﾗパ　キ　ワ 暮らして
オカイ　ロｸ　ア おられる
スクﾌﾟ　ペウレ 若者
オッカヨ　ウタリ 達が
シヤン　マワｼヌ　キ　ノ "誠に力強く，"
180 オナ　コﾛ　クﾙ　ネ　ヤクン 親を持つ者であれば
オナ　カシオイキ 親を養い
ソケｼ　コﾛ　クﾙ　ネ　ヤクン 妻を持つ者であれば
ソケｼ　トゥラノ 妻と共に
ウラﾑコパｼテ　キ　カネ 互いに励ましあいながら
185 シチセ　オｼケ　アナｸ 自宅の中は
シカリチュﾌﾟ　シンネノ 満月のように
（マウ… ）
コ　マｸナタラ　キ　ノ 明るく
ネﾌﾟ　ラム　ウエオｸ 何を嘆きあう
190 キ　イ　カ ことも
コイサﾑ　ノポ なく
ケｼト　ケｼパ 毎日毎年
カムイ　トゥラノ 神と共に
スクﾌﾟ　キ　クニ　ﾌﾟ 成長致しますもの
195 ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
イタｸペ　パｸノ 雄弁というほど
パルンクﾙ　ウ　パｸノ 口達者というほど
イタｸ　アナｸネ 言葉は
アエアイカﾌﾟアニ 得手でない私
200 ネ　ア　コﾛカ ではございますが
シフｼコ　エカシ　ウタリ 昔の翁達が
ホッパ　アマ　キ　ロｸ　ア 残し置かれた
イポﾛセイタｸ　アリ 言葉で
カムイ　コソンコリキンテ 神に伝言を
205 アンキ　ハウ 申し上げる次第
ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
カムイ　オレン 神の許へ
アコリキンテ 私が献上
キ　ロｸ　ア　イナウ 致しました木幣を
210 シヤン　ピﾘカ　タクサ　ネノ 誠に良い手草として
エイヤイコカﾗ　キ　ワ 自ら作り替えて
オリパｸ　ニｼクロリ 恐ろしい雲影が
アウココン　ロッ　キ　ア 私共が共有する
ヤウンクﾙ　モシリ 北海道の国土に
215 コエイカランケ 差しかかる
キ　ワ　ネ　ヤクン ならば
カムイ　カ　アイヌ　カ　イサﾑ 神も人間もいない
シンナイ　カムイ 異神が
コオシノッ　キ　ウシ　オレン 共に遊ぶ場所へ
220 アンオマンテ　キ　クニネノ 送り帰すべく
サンニヨ　キ　ワ 算段して
イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
ネ　ワ　ネ　ヤクン そうしたならば
ネ　イ　オカケ　タ その後には
225 ウタリ　コクシｼノ 人々と一緒に
ミナ　サンカ 笑みを口元に
エイオマ　キ　カネ 浮かべながら
カムイ　レンカイネ 神のお陰で
オカイ　ペ　ネ　ア　クス "暮らすものなので，"
230 イナウサンリﾘケｼ 男の子孫
フッサンリﾘケｼ 女の子孫が
ウカ　タ　テﾚケ 互いに跳ね回る
キ　シンネノ ように
ウサ また
235 ウオポマカ 互いに分けつ
キ　シンネノ するかのように
アエレラﾗマカ 子宝に恵まれ
アンキ　ワ ます
ネ　ヤクン ならば
240 カムイ　コヘポキ 神に感謝する
  キ　トゥラノ とともに
  ヤイコプンテッ　キ　クニ　ﾌﾟ 自分を祝福するもの
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
  カムイ　ヌプﾙペ　アリ 神のご加護で
245 アイヌ　ウタリ　カシ 人々の身の上を
  ケウェ　キ　ワ お守り
  ウンコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  カントモシﾘ　オロ　ワ 天上の国土から
  アランケ　キ　ロｸ　ア 降臨なされた
250 イレス　キ　フチ　カムイ 育ての媼神
  イレス　フチ　モイレマッ 育ての火の女神
  ヌサコﾛ　カムイ　フチ 祭壇を領する媼神
  ホｼキ　オンカミ 先の拝礼（で祀る）
  リコマカムイ　ウサ "太陽の神，また"
255 シﾘコﾛ 大地を領する
  シノ　オイナ　カムイ 誠に尊い木の神
  キナスッカムイ 草の根元の蛇神
  ワッカウｼ　カムイ　フチ 水の女神
  キムン　イウォﾛソ 山の猟場
260 エプンキネ を守護する
  ヌプリコﾛクﾙ 熊神
  レプン　シアトゥイ　リﾘカシ 沖の大海原の波頭を
  エプンキネ 守護する
  シノ　オイナ　パセ　カムイ 誠に尊く重い神
265 カイペ　リﾘカシ うねりの波頭を
  エプンキネ　カムイ　ウタリ 守護する神々に
  シネイキンネノ 一緒に
  アコオンカミ 私共が拝礼
  アンキ　ヤクン 致しますならば
270 シヤン　ピﾘカ 誠に良き
  ウエネウサﾗ　キ　カネ 語らいを楽しみながら
  シヤン　ピﾘカ 誠に良き
  ウコラﾑコﾛ　キ　ワ 話し合いをなさって
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
275 カムイ　オカイ　ロｸ　ア　クス 神がおられるので
  アイヌ　ウタリ　ネヤッカ 人間達も
  スクﾌﾟエイトゥラｼテレ 齢を重ねる
  キ　ﾌﾟ もの
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
280 アイヌ　ウタリ　ネヤッカ 人間達であっても
  オカイ　ロｸ　ア　クス いるので
  カムイ　ウタリ　カ 神々も
  アリｸレロｸテ　キ　クニ　ﾌﾟ 崇め奉られるもの
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
285 カムイ　ネワ　アイヌ 神と人間が
  ウサﾑオウペカレ 支えあい
  キ　ロｸ　ア　クス ますと
  ラクンモシリ　オリキプニ 下方の国土が発展する
  キ　クニ　ﾌﾟ もの
290 ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
  カムイ　ウタリ 神々が
  ウクｼクシ　ケウトゥﾑ　コﾛ まちまちな気持ちを持つ
  キ　イ　カ　コイサﾑ　ノポ こともなく
  ウエﾌﾟヌ　キ　カネ "よく話し合いながら，"
295 ウサ　ラメイウニンネ "また，油断する"
  キ　イ　カ　コイサﾑ　ノポ "こともなく，"
  カムイ　ヤイヌタﾗキレ 神が油断
  キ　ワ　ネ　ヤクン 致しますならば
  イマウコウェンテ　カムイ 不幸をもたらす神
300 アリ　アンイェ　ﾌﾟ　アナｸネ と言うものは
  イセﾚマｸウｼ　カムイ 見守り神
  コﾛ　シクトゥルトゥｼマッ の目をかすめ
  キ　アコラｸ て
  イオチャコテ　キ　ﾌﾟ 人を災難にあわせるもの
305 ネ　ア　クス ですので
  ラメイウヌニンネ　キ　イ　カ うっかり油断することも
  コイサﾑ　ノポ なく
  アイヌ　ウタリ　クﾙカシ 人間達の身の上を
  コオシックﾙコテ　キ　ワ 一緒に見守って
310 イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  シノ　パセ　カムイ　ウタリ 誠に重き神々を
  アモントゥﾑコレ 私共が力づける
  アンキ　オンカミ "拝礼，"
  イノンノイタｸ 祈り言葉をお唱え
315 アンキ　オンカミ "致します拝礼，"
  ア　イノンノ 祈りを
  アンキ　シリ 致しました次第
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
  パポﾛセ　キ　ロｸ　ア 私が申し上げた
320 イタｸ　アナｸネ 言葉は
  アトゥナｼカﾗ　キ　クニ　ﾌﾟ 私が即席で創作したもの
  ソモ　ネ　ルウェ　タパン　ナ ではございません。
  シフｼコ　テエタ　ワノ 太古の昔から
  カムイ　トゥタヌ　ワノ 神代の昔から
325 オカイ　ロｸ　ア あられた
  シンリッ　ネ　ロｸ　ア 御先祖である
  エカシ　ウタリ 翁様方が
  シオカ　エン 後世へ
  ホッパ　アマ　キ　ロｸ　ア 残し置かれた
330 シオイナ　イポﾛセイタｸ 誠に尊い唱え言葉
  ネ　ロｸ　ア　クス でございますので
  エイスンケレ　キ　イ　カ 嘘偽りと思うことも
  コイサﾑ　ノポ なく
  エイウンピﾌﾟカ　キ　イ　カ 疑うことも
335 コイサﾑノ なく
  エイソコﾛ　キ　ノ それを信じ
  ウオイナネレ　キ　ワ 尊重して
  イコレ　キ　ヤン 下さいませ。
  タパニ　パｸノ　ネ　イ　テｸ これまでで
340 パセ　カムイ 重い神を
  アホプニレ　キ　オンカミ 旅立たせる拝礼の
  コﾛ　イポﾛセイタｸ 唱え言葉を
  アリキンテ　テｸサマ　タ 私が申し上げるに際して
  シノ　オイナ　カムイ 誠に尊い神
345 コン　ロｸ　ア の
  ヌプッ　トゥﾑ 霊力を
  アイヌ　コン　ロｸ　ア 人間の
  ラモﾛ　オｼケ 心の中に
  コオシロマレ しっかりと宿らせ
350 コオシンヌカ　キ　クニネノ 根付かせますように
  イタッカﾗパレ 言葉運びを
  アンキ　ワ 致しまして
  イタｸオシレパレ 言葉を終える
  アンキ　ナ のでございます。
355 カムイ　ペンチョﾛ　カ 神の真実も
  イタｸ　ペンチョﾛ　カ 言葉の真実も
  シネ　ペンチョロ　ネノ 一つの真実として
  ウチョﾛコパｼテ 支えあい
  ウチョﾛコノイパ 励ましあう
360 アンキ　クニ　ﾌﾟ もの
  ネ　ルウェ　タパン　ナ なのでございます。
  ウエウカエシニ 互いに安心
  アンキ　ナ 致しましたよ。
  ハ　エエエエン 拝み奉る。