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アイヌ語辞典

動物編 §426 マムシ

(1)tokkoni トッコニ [<tok-ko-niwen 突起し・て・いがむ?] ⦅幌別白老穂別沙流千歳静内様似屈斜路美幌
 注1.――幌別では“wempe! tokkoni-sapa!”(悪者め! マムシの頭め!)などと悪口に用いる。
 注2.――和愛辞典No.669蛇「トツコニ」;No.823へび「トツコニ」「ムントゥムンペ」「キナシトゥンクル」;No.824へびのこ「ポントツコニ」;No.653からすへび「クンネトツコニ」;No.825 へびのぬけがら「トッコニシヱーペレ」など、トッコニを蛇の意に用いる。

(2)tokkoniwen トッコニウェン [<tok-ko-niwen 突起すること・によって・いがむ?] ⦅屈斜路

(3)tokkonowe トッコノウェ [<tok-ko-nowe 突起し・て・からまる?] ⦅屈斜路

(4)kamiyasi カミヤシ [<kamiyasi(ばけもの);kamuy-oyasi(魔神である・ばけもの)の約] ⦅幌別

(5)sitokkoni シートッコニ [<大・マムシ] ⦅美幌⦆ マムシの特に大きいの・マムシの王
 注.――網走市内の能取(ノトロ)のキナチャウシナイという所に沼があり、その少し下手に池があって、そこにsitokkoniが住んでいた。非常に悪臭を発して、犬がそこへ行って臭をかぐと負けて腫れるほどだった。その蛇除けに効く草がその辺にあり、それを刈り取ったのでkina-ca-us-nay(草を・刈り・つけている・沢)という地名が生じたのだという。その後何年か後に、そこの草原を大樽でも引いて行ったように海へ向かって一列に、草が倒れていた。このマムシが竜になって海へ出たのだろうという。

(6)sian-kamuy シアンカムイ [<真の・神] ⦅美幌
 注.――yayan-kamuyに対する。

(7)siyankur シヤンクル [<si-an-kur(本当・の・神)] ⦅長万部⦆ マムシの王
 注.――昔、北見の方から翁二人(その内一人はsoyakonciという名、一人は失名)が海岸伝いにやって来て、長万部に泊まって、今の寿都・歌棄の方へ山を越えて行こうとして、今のワラビタイの駅の向こうのブナタイの高台へ来ると、ブナの大木にsiyankurがからまってぶら下がって下を見ていた。翁たちは矢筒から矢を抜いて弓につがえ、俺たちはこの峠を越えて向こうの土地に住むに適する土地を探しに行くところだが、もしそういう土地が見つかるならこの矢を受けてくれ、もし見つからないならここから戻るからこの矢を受取ってくれるなと云いながらひょうと射ると、蛇の胴中を射抜いて木の幹にまで刺さった。それで、そこを越えて行って樽岸へ出て寿都supkiusiを建てた。
(参考)sirkap(メカジキ)をとりに沖へ行く前にnusasan(幣場)のそばで蛇を見かけたらそれを殺して、mosekar(敷き草)を刈ってその上に置いて、それに祈ってから沖へ出ると必ず漁がある。(幌別)
(参考)蛇の心臓や胆嚢はkemasinke-aynu(喀血する人)の特効薬になる。但し、本人に知られぬように隠して呑ませなければならぬ。(鵜城)
(参考)蛇を殺すと海が荒れる。(唐太日記)(参考)蛇のぬけがらはそれでホクロ(erum-tampu)をこすって治す。(穂別)
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 蛇体の神

(1)kanna-kamuy カンナカムイ [<kanna(上方の)kamuy(神)] ⦅北海道・樺太一般⦆ 雷神
 注.――蛇体と考えられ、それに捧げる木幣の頭には鱗を彫る。

(2)nusa-kor-huci ヌサコロフチ [<nusa-kor-huci(幣場を・領有する・婆さん)] ⦅幌別⦆ 上座の窓(東窓、神窓)の外にあるnusa-san(幣場)を支配する老女神。
 注.――これについて故知里幸恵(ユキエ)は次のように註している:御幣棚の神も女性に決まっています。何か変事の場合人間にあらわれる事がありますが、その時は蛇の形をかりてあらわれると云います。それで御幣棚の近所に、または東の方の窓の近所に蛇が出て来たりすると「きっと御幣棚のおばあさんが用事があって外出したのだろう」と言って、決して其の蛇を殺しません。(アイヌ神謡集21ページ脚註)

(3)nusa-kor-kamuy ヌサコロカムイ [<nusa-kor-kamuy(幣場を・所有する・神)] ⦅幌別⦆ 上座の窓の外にある幣場を支配する神=nusa-kor-huci.

(4)nitatorun-nitnekamuy ニタトルンニッネカムイ [<nitat-or-un-nitne-kamuy(湿原・内・にいる・悪い・神] ⦅幌別⦆ 【雅】湿地の魔神、竜蛇、蛇体の魔神(アイヌ神謡集66ページ)

(5)nitatorumpe ニタトルンペ [<nitat-or-un-pe(湿地・内・にいる・者] ⦅幌別⦆ 【雅】湿地に住む魔神;竜蛇、蛇体の魔神(アイヌ神謡集60-67ページ)

(6)catay チャタイ [<蛇体] ⦅幌別⦆ 湿地に住む魔神。=nitatorumpe(アイヌ神謡集64ページ)

(7)hoyaw ホヤウ [<oyaw(蛇);<oya-p(異なる・者)] ⦅幌別沙流⦆ 【雅】竜蛇

(8)rap-us-oyaw ラプシオヤウ [<羽・生えている・蛇] ⦅美幌⦆ 【雅】竜蛇

(9)rap-us-nupur-kur ラプシヌプルクル [<羽・生えている・霊力ある・神] ⦅幌別沙流⦆ 【雅】竜蛇

(10)rap-us-kamuy ラプシカムイ [<羽・生えている・神] ⦅名寄⦆ 竜蛇
 これぐらいきつい神がない。歩いたあとは草も木も枯れてしまう。沼に住む。

(11)ape-sam-ta-somo-aye-kamuy アペサムタソモアイェカムイ [<火・のそば・で・言われ・ぬ・神] ⦅名寄

(12)sak-somo-aye-p サクソモアイェプ [<夏・言われ・ぬ・者] ⦅幌別沙流
 竜蛇は大蛇に羽の生えた姿に考えられ、蛇の習性として暑いときは元気だが、寒さには極度に弱い。それで夏にはこの神の噂をしてはいけない。火のそばでその噂をするのはもってのほかだ。反対にこの神は寒さに極端に弱いから
竜蛇を退治するには
 1.みぞれを呼ぶ⦅ゆうから90⦆
 2.アメマスやカワウソを使う⦅ゆうから90⦆
 3.霊神を退治るにもミゾレを呼ぶ⦅樺説⦆

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