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アイヌ語辞典

植物編 §014 ヨブスマソウ Cacalia hastata L. var. glabra Ledeb.

(1)wakka-kutu ワッカクトゥ [wakka(水)kutu(筒、円棒)] 茎 ⦅様似足寄
 注1.――辞書にも植物名詳表にもwakka-kutと出ている。後者には十勝川筋とあるが、私はまだそこでも語尾に-uのない形に出会ったことがない。

(2)wakka-ku-kutu ワッカククトゥ [wakka(水)ku(飲む)kutu(円棒、筒)] 茎 ⦅美幌屈斜路
 注2.――コタン生物記(D屈斜路)には「ワッカコクト」、それより150年前の寛政4年に出た蝦夷方言藻汐草には「ワッカククト゜」と書いている。

(3)wakka-kuttar ワッカクッタル [wakka(水)kuttar(筒)] 茎 ⦅A沙流天塩上川

(4)wakka-ku-kuttar ワッカククッタル [wakka(水)ク(飲む)kuttar(筒)] 茎 ⦅名寄

(5)pe-kutu ペクトゥ [pe(水)kutu(筒)] 茎 ⦅長万部礼文華

(6)pekkutu ペックトゥ [<pet(川)kutu(筒)] 茎 ⦅白糠

(7)pehkutu ペヘクトゥ [<pet-kutu] 茎 ⦅白浦真岡

(8)pet-kuttar ペックッタル [pet(川)kuttar(筒)] 茎 ⦅A有珠

(9)worunkutu ウォルンクトゥ [wor(水)un(に入る)kutu(筒)] 茎 ⦅藻汐草⦆

(10)cirekte-kuttar チレクテクッタル [ci(我々が)rekte(鳴らす)kuttar(筒)] 茎 ⦅幌別

(11)rek-kuttar レククッタル [rek(鳴る)kuttar(筒)] 茎 ⦅穂別⦆⦅千歳
(参考)若い茎を取って来てフキと同様に処理して食べた(幌別)。
 成熟した茎は長大で内部が空洞になっているので、それを切り取って各地で子供らが遊戯の具に用いた。
 例えば、その筒の中にたっぷり水を吸い込んでから、勢いよく宙に振り回す。すると内部の水が弧を描いて飛ぶ。それを見てうち興じた。
 また、太い方の一端を水中に入れ、他端の切口に親指を当てて握り、ピストンのように激しく前後に動かし続けていると、やがてポンプのように筒先から水がほとばしり始める。それをできるだけ遠くまで飛ばす競技をしたりした。(1)から(9)までの名称は、すべてそれに基づいて付けられている。
 また、これらの茎を1.5〜1.6mの長さに切り取って、細い方を斜めにそぎ、そこに口を当てて、ラッパのように吹き鳴らした。(10)(11)は、それに基づいた名称である。なお、北海道では呼気を用いて吹き鳴らしたというが、樺太の白浦では吸気を用いたという。
 この茎は、また、それで串を作って鮭を開きにして干す時の支棒にした。その支棒を「チェプ・マクパ・ニ」cep(鮭を)-makpa(開く)-ni(棒)という(名寄)。

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