植物編 §083 ハシドイ Syringa amurensis Rupr. var. japonica Franch. et Sav.
(1)punkaw プンカウ 茎 ⦅北海道全地⦆
(2)pus-ni プシニ [はねる・木] 茎 ⦅美幌、屈斜路⦆
注1.――美幌や屈斜路でも改まった言葉(祈り詞など)ではpunkawという語を使う。ただ、この木は、火にくべればパチパチとpus(はねる)するので、日常語ではpus-ni(はねる・木)というのである。
注2.――沙流地方ではこの木の神名をitak-ruy-kur(おしゃべりする・神)itak-ruy-mat(おしゃべりする・婦人)と呼ぶ。やはり、これを火にくべればパチパチと勢いよくはねながら燃えるからである。
(参考)この木で家内の守り神である「チセコルカムイ」cise-kor-kamuy(家を・所有する・神)のご神体、すなわち「ソパウンカムイ」sopa-un-kamuy(座・頭・の神)あるいは「プンカウトノ」punkaw-tono(ハシドイ・殿)と称する木幣を作った(沙流)。また、この木で家材(特に柱)を作った(幌別)。柱をも作ったし墓標をも作った(名寄)。この枝で「シッタプ」sittap(<sir-ta-p 地を・掘る・もの)と称する土掘り道具やクマ祭りの時に使う花矢などを作った(屈斜路)。