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アイヌ語辞典

植物編 §168 ガンコウラン Empetrum nigrum L.

(1)kurasno クラㇱノ [<kurasnoh<kurasno(黒い)-p(もの)] 果実 ⦅樺太各地⦆

(2)hotokimaymay ホトキマイマイ 果実 ⦅幌別

(3)“ichiki-maimai” 『イチキマイマイ』 ⦅B⦆ ⦅A十勝

(4)“ishiki-maimai” 『イシキマイマイ』 ⦅B⦆

(5)“enchiki-maimai” 『エンチキマイマイ』 ⦅B⦆ ⦅A沙流鵡川
 注1.――以上(3)(4)(5)は、辞書ではこの植物全体をさす名称であるかのごとく取り扱っているが、いずれも果実のみをさす名称であることは明らかである。マイは丸い粒のことで、もとこの植物の果実を言ったもの。マイマイはその群在するさまをあらわした。マイはまた別に北海道でも樺太でも目の中に出る星をいう。その縁でi-siki(それの目、あるいは、我々の目)が付加され、その果汁を絞って染料にするところからi-ciki(それを絞って汁を出す)あるいはe-ciki(同上)となり、さらにi-(我らを)の縁でen-(われを)などと変わっていったのではなかろうか。ホトキマイマイのホトキは、日本語の「ほとけ(仏)」のことらしい。

(6)『フラシノ』 ⦅夷諺俗話⦆
 注2.――寛政4年(1792 A.D.)宗谷に御救交易のために出張した串原正峯の見聞記である夷諺俗話に次のごとき記事がある。
 “蝦夷人の着するアツシに、薄紫に染たる有。是は何を以て染たる物ぞと尋し所、ソウヤ領のうちチエトマエといふ所に、フラシノといふもの有、其実也。フラシノは和名浜松といふもの也。是を口中にてかみ崩し、アツシを染たるなりと云り。色合至て見事にて、やはり江戸紫のごとし。則チエトマエに沢山有。”これは明らかに「フラㇱノ」hurasnoで、樺太でいうkurasnoから来たものであり、漿果をさす。
(参考)果実は、それを食べると病気にかからぬと言って、多量に採取して来て食べた(幌別)。
 また、この果実は、ひろく染料(紫・黒)に用いた。松浦竹四郎「東蝦夷日誌」に十勝のトンケシで土人この実で楡皮を染めるとあり、「天塩日誌」にもこの実でアツシの糸を紫色に染めることが書いてある。
 樺太でも、厚司の原料であるイラクサの繊維を染めるのに、この果実といっしょに口中に含んで噛んだ(白浦)。また、この果実の皮を水に漬けておいて、その浸出液で厚司の糸を染めた(真岡)。

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