植物編 §258 エゾノリュウキンカ Caltha Barthei Koidz.
(1)puy プイ 根 ⦅北海道全地⦆
(2)sumakaomap スマカオマプ [suma(石)ka(上)oma(にある)p(もの)] 根 ⦅名寄⦆
注.――石原に生えている毛だらけのものを言った。
(3)ahturi アハトゥリ 根 ⦅白浦、真岡⦆
(参考)根を秋に採集して煮て食べ、あるいは乾かして冬のために貯えておいた。冬これを煮て、マスの筋子を入れ、アザラシの油を加えて、「アハトゥリ・チカリペ」ahturi-ci-karipe(ヤチブキ料理)というものにして食った。薬用にも供し、火傷・創傷には根を煎じてその汁で患部を洗い、その煎じた根を患部に当てて縛り、時々それを取り替えた。産後にも、これをハマナスの果実と共に煎じて服用した(白浦)。
この根を掘るための特別の掘り棒があった。長万部ではそれをpuy-ta-urayni[プイ・掘る・棒]と言い、長さ約60cmの棒の先端をとがらせて使った。白浦ではahturi-ta-kuwa(ヤチブキの根・掘る・棒)と言い、普通はナナカマドで図のような形のものを作って用いた。(図略)