植物編 §308 エゾノダケカンバ Betula Ermanii Cham. var. genuina Regel
(1)Kamuy-tat カムイ・タッ [神の・樺皮] 樹皮 ⦅美幌、屈斜路、足寄⦆⦅A十勝・沙流・鵡川・千歳、等⦆
注1.――後に説明するように、樹皮の層をほぐして薄紙状になったものを傷の手当に用いたのでこの名がある。
(2)kamuy-tat-ni カムイ・タッニ [同上樹皮のとれる木] 茎 ⦅美幌、屈斜路、足寄⦆⦅A十勝・沙流・鵡川・千歳、等⦆
(3)sarampe-tat サランペ・タッ [絹布の・樺皮] 樹皮 ⦅有珠⦆
注2.――樹皮の層をほぐして薄紙のようにしたものをガーゼのように傷口に当てて縛った。それを絹布に擬したのである。
(4)sarampetat-ni サランペタッ・ニ [上記樹皮のとれる木] 茎 ⦅有珠⦆
(5)me-tat メ・タッ [me(寒気)tat(樺皮)] 樹皮 ⦅近文、名寄⦆
注3.――kamuy-tatがもとの形であろうか。
(6)yayan-tat ヤヤン・タッ [ただの樺皮] 樹皮 ⦅落帆⦆
(7)yayantat-ni ヤヤンタッ・ニ [上記樺皮のとれる木] 茎 ⦅落帆⦆
(8)tah タハ [<tat] 樹皮 ⦅白浦⦆
(9)tahni タハ・ニ [樺皮のとれる木] 茎 ⦅白浦⦆
(参考)この木の樹皮の層をほぐしていくと紙のような薄っぺらなものが取れる。それをアイヌは傷口に貼った(B、G)。樹皮をたいまつに用いた(白浦)。