植物編 §309 ウダイカンバ サイハダカンバ Betula Maximowicziana Regel
(1)si-tat シタッ [本当の・樺皮] 樹皮 ⦅美幌、屈斜路、足寄、名寄、穂別、長万部⦆
(2)sitat-ni シタッ・ニ [上記樺皮のとれる木] 茎 ⦅美幌、屈斜路、足寄、名寄、穂別、長万部⦆
(3)karimpa-tat カリンパタッ [ぐるぐる巻く・樺皮] 樹皮 ⦅A十勝・沙流、等⦆
(4)ironne-tat イロンネタッ [色黒き・樺皮] 樹皮 ⦅B⦆
(参考)この樺皮をもって「ニトゥシ」(nitus手桶、水汲桶)「ヤルキチ」(yarkici手かご)、「カックム」(kakkum柄杓)等の容器を作ったり、「チノイェタッ」(ci-noye-tat、「我らが・よじった・樺皮」の義、樺皮を裂いて火にあぶりながら細長くよじって細い木の割れ目に挟んで灯火にするもの)、「タトゥシペ」(tat-us-pe、「樺皮・ついている・もの」の義、樺皮を短冊形に切って幾枚も重ねて束ね長い棒の先端の割れ目に挟んでたいまつにするもの)等、灯火用に用いたりした(美幌、屈斜路、天塩)。この樹皮の頭に「イワウ」(iwaw硫黄)をつけて、毎朝炉の熱灰をほぐしてその中へ突っ込んで火を起こした(鵡川)。
この樹皮はまたそれで屋根や壁を葺いた。5、6月の頃に山へ樺皮剥ぎに行き、大量に剥ぐ。剥ぎ取ったものは、その場で束ねて積み重ね、その上に笹をかぶせて、さらにその上に朽ち木をのせて、そのまま現地に放置しておく。使用の必要が生じた時は、そこへ出かけて行って、必要なだけ取って、あとはまた笹や朽ち木をのせておく(美幌)。