植物編 §344 エゾカンゾウ Hemerocallis Middendorffii Trautv. et Mey.
(1)kakkok-mun カクコク・ムン [カッコウ鳥・草] 葉 ⦅長万部⦆
(2)kakkok-nonno カクコク・ノンノ [カッコウ鳥・花] 花 ⦅長万部⦆⦅A有珠⦆
注1.――カッコウ鳥が鳴く頃に咲くから。
(3)kuytop-kina クイトプ・キナ [雁・草] 葉 ⦅A上川⦆
(4)cikap-kina チカプ・キナ [鳥・草] 葉 ⦅A上川⦆
(5)hure-apappo フレ・アパッポ [赤い・花] 花 ⦅D屈斜路⦆
(6)erokius-apappo エロキウシ・アパッポ 花 ⦅阿寒⦆
注2.――eroki(ニシン)-us(つく)-apappo(花)、のように聞こえる。ニシンのとれる頃に咲く花の義か。
(7)ahci-raymun アハチ・ライムン [ahci(祖母)raymun(ハマニンニクの葉)] 葉 ⦅白浦⦆
注3.――もとは「チライ・ムン」ciray-mun[イトウ・草]で、イトウの捕れる頃花咲く草の意だったのが、葉が似ているところから民衆語源解によってahci-raymun(祖母のテンキグサ)になったのかもしれない。
(8)cehkarahrah チェヘカラハラハ 花 ⦅白浦、真岡⦆
(参考)花はざっとうでて、ヤマブドウの若芽を叩き潰した汁をかけて食べた。また、塩水を沸かしてざっと潜らせ、「チタタプ」citatap[ci(我ら)-tata(切り刻む)-p(もの)、生肉を切り刻んで白子や脳みそとあえて食べる料理]に入れて食った(幌別)。
樺太でも、花を三杯酢(酢は「スス・ワハカ」susu-wahka)にして食った(真岡)。種子(「アハチライムン・ピヘ」ahciraymun-pihe)も食べた(白浦)。