植物編 §414 エゾマツ Picea jezoensis Carr.
(1)sunku スンク 茎 ⦅北海道・樺太⦆
注1.――sunkuの語源は不明であるが、支那語sungに酷似しているのは不思議である。外来語らしい感じもする。本来のアイヌ語では、エゾマツをもhupと言ったらしい。→§411、注3参照。
(2)si-sunku シスンク [本当の・スンク] 木 ⦅A⦆
注2.――アカエゾマツを“鳥の・スンク”とか“赤い・スンク”とかいう。それに対して、これを“本当の・スンク”と言ったのである。→§415参照。
(3)sunku-yar スンク・ヤル 樹皮 ⦅各地⦆
(4)meciroh メチロホ 枝根 ⦅白浦・真岡⦆
(参考)木は矢幹に用い、樹皮は屋根や壁を葺くのに用い、枝根は曲げ物を綴じるのに用いた(白浦)。樹脂は傷口に付けた(幌別)。十勝地方では、葉を鍋に入れて煮てその汁を衣類に注ぎ、そのにおいをかいで感冒を治したという(北海道庁、旧土人に関する調査、大正11年、p.132)。