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アイヌ語辞典

日本語名:ナナカマド

アイヌ語名:キキンニ

利用:食用、薬用、生活用具、祈り

植物編 §223 ナナカマド Sorbus comixta Hedl.

(1)kikinni キキンニ [kiki(魔神を追っ払うもの、=棒幣)ne(になる)ni(木)] 茎 ⦅美幌
 注1.――詳しくは§206、(1)、注1〜3を参照せよ。

(2)iwa-kikinni イワ・キキンニ [山地の・キキンニ] 茎 ⦅美幌足寄⦆⦅A十勝沙流千歳上川
 注2.――ただ「キキンニ」といえば普通にはエゾノウワミズザクラの茎をさすので、それと区別するために「イワ」(山の)という限定詞をつけたのである。

(3)inawnini イナウニニ [<inaw-ne-ni(イナウ・になる・木)] 茎 ⦅白浦
 注3.――ここで「イナウ」inaw(幣)というのは「シトゥ・イナウ」situ-inaw(棒・幣)の意味である。それについては§206,(1)、注1〜3参照。
 注4.――幣になる木は「イナウ・ネ・ニ」(幣・になる・木」とも「イナウ・ニ」(幣・木)ともいう。そこで「イナウネニ」が「イナウニ・ニ」inawni-ni(幣木の・木)と解釈し直されてこの形が成立したのである。

(4)huracinawni フラチナウニ [<hura-at-inaw-ni(におい・する・幣・木)] 茎 ⦅美幌
 注5.――語源意識に立ってhuraat-inawniということもある。辞書にfurehat-inaw-niとあり、それがバチラー翁の創作でないとすれば、hurehat-inawni(赤いブドウのなる・幣木)であって、民衆語源解による語形変化である。

(5)pase-ni パセニ [大切な・木] 茎 ⦅名寄

(6)makun-ni マクンニ [mak(山の方)un(にある)ni(木)] 茎 ⦅美幌
 注6.――makun-ni、=makun-kikinni、=iwa-kikinni、「山のキキンニ」の意味である。

(7)mawneni マウネニ [maw(湿布に使う掻き綿、=nimaw)ne(になる)ni(木)] 茎 ⦅屈斜路
 注7.――木質部に直角に小刀の刃を当てて手元に掻きよせ掻きよせすると綿のような木屑がたまる。それを掻き綿と言っておくことにする。樺太ではその掻き綿をroci、北海道ではni-mawまたはkokeraと言って、温湿布などする時に用いた。「ニマウ」の語源は、ni(木)-e(それで)-ma(温める)-p(もの)であろうか。

(8)cikap-ipe チカピペ [鳥の・食物] 果実 ⦅美幌

(9)repunkur-inawnani レプンクリナウナニ [rep-un-kur-inaw-na-ni「沖・の・神(の)・幣を・切り取る・木」] 茎 ⦅礼文華
(参考)エゾノウワミズザクラと同様に、その特有の臭気のゆえに除魔力を認められ、魔除けの呪法に、病魔の撃退に、ひろく用いられた。「イナウ・ニ」(幣の・木)と言っても、その「イナウ」(幣)は「シトゥ・イナウ」(棒・幣)の意味であるから、魔神を追い退けるためのものである。従って、善神に捧げる普通の幣をこれで作ることは、まずなかった。樺太では、山の中で熊など捕って木幣にするような柳が見当たらぬ時、その代用品としてこの木を用いることがあったにすぎないという。
 この木は、それで食器を作り、また眼病の時に皮つきのまま薄く長く削って水に浸し、その水で眼を洗った。また、この木の掻き綿を手ぬぐいにして顔や体を洗い清めるのに使った(白浦)。この木は、また、狩りにたずさえる山杖を作り、枝でかんじきや槌の柄などを作った(幌別)。

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