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アイヌ語辞典

日本語名:オオバイラクサ エゾイラクサ

アイヌ語名:モセ

利用:食用、生活用具、衣

植物編 §294 オオバイラクサ エゾイラクサ Urtica Takedana Ohwi

(1)ipisisip イピシシプ [i(我々を)pisisi(痛がゆくする)p(もの)] 青い茎葉 ⦅幌別⦆⦅A有珠

(2)iririp イリリプ [i(我らを)ri-ri(ちくちく切る)p(もの)] 青い茎葉 ⦅美幌屈斜路足寄⦆⦅A十勝エトロフ
 注1.――エトロフ島にイリリプシ(iririp-us-i エゾイラクサ・群生する・所)という地名がある(蝦夷拾遺)。

(3)mose モセ [<朝鮮語] 枯茎 ⦅北海道、樺太⦆

(4)hay-mose ハイモセ [hay(繊維)mose(枯茎)、イラクサをとる枯茎] 枯茎 ⦅白浦

(5)hay-mosi ハイモシ [hay(繊維)mose(枯茎)、イラクサをとる枯茎] 枯茎 ⦅白浦

(6)kah-mose カハモセ [<kap(皮)-mose(枯茎)、皮つきのままの枯茎] 枯茎 ⦅真岡

(7)mose-hay モセハイ [イラクサの枯茎の・繊維] 内皮から精製した繊維 ⦅白浦

(8)ikaray イカライ [i(それを)kar(作る)hay(繊維)] 内皮から精製した繊維 ⦅幌別⦆⦅A千歳
(参考)エゾイラクサから繊維を取るには、秋枯茎を採集して、二三日乾燥し、その茎を細く裂いて、一本一本裏返しに折っては皮から肉をそぎ落とし、その皮の根もとをそろえて、一握りぐらいずつ束にし、一端を足に踏まえて両手の間で揉み上げていき、今度は他の一端を踏まえてまた揉み上げて行く、という具合にして、表皮を揉み落として行くうちに、繊維だけが手もとに残るのである。この繊維で、糸を撚ったり、織物を織ったりするのである(幌別)。
 樺太の白浦では、秋10月になるとこの茎が枯れてしまうので、枯れてしまった頃を見計らってそれを刈り取り、その枯茎から皮を剥がした。この皮は1人の女で1日に3貫から5貫ぐらい採集した。採集した皮はそのまま水に漬けておいて、「ピパカハ」pipa-kah“カワシンジュガイの殻”の縁で荒皮をはだけてそれから乾した。乾せたらそれを冬まで貯えておき、厳冬にそれを取り出してぬるま湯に浸して柔らかくし、何回も水を換えてから、それを取り出して雪の上に置いて足で踏みつけて、それからまた水に入れ、この操作を数回繰り返してから、竿にかけて10日でも20日でも放置しておいて真っ白な繊維を得た。こうして得た真っ白な繊維を細くほぐして、女たちは炉端で巧みな指さばきで糸に撚り、その糸を織り機にかけて布を織った。この布で仕立てた衣服を、「テタラペ」tetara-peと言った。「テタラペ」とは、“白い・もの”の義で、北海道流の楡皮製の厚司が赤みを帯びているのに対して、区別意識をもって名づけた名称であるが、これによって「テタラペ」なるものが北海道から渡った新しい文化であることが分かる。
 新産婦が初めて赤児を抱えて親戚知己を訪れた際は、お祝いとしてこの「テタラペ」を織る「モセハイ」(イラクサ)を1束贈ることになっていた(葛西猛千代、樺太アイヌの民俗、p.26)。
 なお、蕁麻疹が発生し、あるいは虫にさされてかゆくてたまらぬ時は、この草の茎葉を生のまま揉んでその汁を患部に塗った。冬は乾燥したものを水に浸して用いた(白浦)。

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