アイヌの楽器として知られているのは植物を使った笛やムック
ル、トンコリなどです。
ムック
ルは、竹や鉄などを使って出した音を口の中で共鳴させて大きく響かせる楽器です。同じ仕組みの楽器が世界中に広く見られます(
→「ムックリ演奏教室」)。
トンコリは木をくりぬいた長い胴に弦を張った楽器で、両手の指で弾きます(
→「トンコリなんでもQ&A」)。
このほかカチョ「太鼓」やレラスイェ
プ「うなり板」など、占いやまじないを行うときだけに使うものもあります。
音楽や楽器はずっと同じものばかりではなく、時代とともに変化します。15〜16世紀に日本に伝わった三味線は、それから間もなく、出稼ぎ人などによって北海道にも持ち込まれたことでしょう。江戸時代の後期には松前などで三味線を弾く人の絵が描かれますが、おそらくアイヌにも取り入れられたことでしょう。また、千島列島にはロシアのバラライカを取り入れた「パラライキ」という楽器がありましたし、厚岸には日本の神楽が伝わり「アイヌ神楽」と呼ばれるものがおこなわれました。
明治時代からあとは、さまざまな西洋の楽器も取り入れられました。現在では電子楽器を取り入れたり、トンコリを電子楽器にして演奏する人、コンピューターで作曲する人など様々な音楽活動がおこなわれています。