ID | 伝承者 | 日本語名 | 伝承者の アイヌ語名 /日本語名 |
伝承 |
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1001 |
新ひだか町静内 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・ヨモギの葉とそば粉を混ぜたもちは、とてもやわらかくておいしいものでした。34132 ・蛇に足をかまれて歩けなくなった時、ヨモギとショウブを火にくべ、その上にかまれた足をかざして煙にあてました。その後これらの野草をお湯で煮た汁を布にしみこませて傷につけておくと、翌日には歩くことができるようになりました。34141 ・急性肺炎で熱が高いとき、立ち枯れているヨモギをとってきて鍋に入れて沸かし、煮立ったら鍋と患者の上に布団をかけて湯気を吸い込みました。すると熱はすぐに下がりました。34124,34178 ・蛇や虫をむやみに殺してはなりませんが、いたずらをした蛇は頭にヨモギの茎を刺して殺し、もとの姿に戻るようにという意味の言葉を添えて祈りました。34182 →口承文芸資料「イヌエンジュの神に助けられた娘の話」34151、34180 |
1002 |
平取町 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・子供の頃はヨモギの葉を芽吹きの頃にとり、干さずにそのままそば粉に混ぜてうすでつき、それを団子にして家の中に保存しておきました。お嫁に行ってからは精白したイナキビを発酵させ、それを粉にするときに生の葉をまぜたりしました。干して保存をしたのは大人になってからです。35003 ・葉をもんでから傷につけたり、ひざや歯が痛いときは、煮てその湯気を痛いところにあてました。35003 ・おはらいをするときにヨモギを清め草として使いました。キイチゴの類を使うこともありました。35003 ・赤マムシなど蛇のとどめをさす時は、枯れた茎をとがらせて刺しました。殺した後はおじいさんがヨモギの葉をかぶせてから何かを祈っていました。35003 ・あまり良くない人が死んだら、小さいヨモギの家を作り、入り口にキイチゴの類をたくさん立てて、お葬式が出るのと同時に燃やしてあの世に送ったものだとおばあさんから聞きました。35003 ・けがをして血が出たときは、ヨモギとタバコを刻んでもんで傷につけました。35009 ・漆かぶれにヨモギの葉の汁をつけました。35007 |
1003 |
平取町 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・家の中に蛇が入ったときは、炉の火の上にヨモギなどの青草をかぶせて煙を家に充満させると上から逃げて行きました。34605 ・悪いつきものがついたとき、キイチゴの類とヨモギで清め草を作り、それで痛いくらいに体を叩きました。34602,34610,34624,34640,34665,34723 →口承文芸資料「ペッラサンペに取り憑かれた男の子」34716 ・[山で狩小屋に宿泊する時のおまじないとして]冬を越して立ち枯れているヨモギの茎を交差させたものを作り、家の入り口にでも立てておきました。そうすれば絶対恐ろしいことがないものだといいます。34722 ・[お葬式で埋葬した場所から家に戻るとき]墓から悪霊を連れて帰らないように、立ち枯れたヨモギの茎を交差させたものを作り、道に置いて帰りました。ヨモギは精神が強いので、それを越えてついて来る悪霊はいないといいます。34640,34676,34722 ・ヤチボウズ(スゲ科の植物がこぶ状になったもの)が跳んで歩いたのを見たときは、ヨモギの葉をとって自分たちの体をおはらいし、ヤチボウズが跳んだところに捨てて帰りました。34730 |
1004 |
新ひだか町静内 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・ヨモギは魔よけになります。自然界ができたときに、いの一番に下界に下がったのがヨモギだと言います。 ・清め草に使ったのはヨモギだけで、キイチゴの類は使いませんでした。30210 ・家を建てた時に、家の神様の入魂式をやります。それを「家の心臓を射る」と言いますが、その時にヨモギの矢を使います。30210 |
1005 |
平取町 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・ヨモギとオオイタドリの葉をとって乾燥させ、たばこに混ぜて吸いました。35295 ・神経痛や痔の消毒のためお風呂に入れました。血止めや虫さされの薬として葉を口の中でかみ、手でもんでからつけました。トイレのウジ虫退治にもヨモギを使いました。35269,35270 ・屋根のカヤの中に蛇が入ったら、炉でヨモギを焚いて蛇を追い払いました。35270 ・川や山で何か縁起の悪いものを見て帰って来たら、女性用トイレに連れて行ってヨモギでおはらい をしました。35238 |
1006 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・たばこやヨモギの葉を血止め薬にしました。 ・ハリガネムシや蛇にかまれたら、葉のつゆをつけました。 ・乳離れしない子が乳離れをするように、たばこやヨモギの葉を母親の乳につけました。唐辛子をつけた人もいましたが、乳の先が痛くなるので駄目でした。 ・ヤナギの類とヨモギでおはらいをしました。 |
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1007 |
帯広市 |
P0001 エゾヨモギ、オオヨモギ、ヤマヨモギ |
【ア】ノヤ 【日】ヨモギ |
・けがをした時に葉をもんで傷口につけました。 ・人が死んだ時にはヨモギを束ねておはらいをしました。お墓の内部も埋葬前にヨモギで清めました。病気の人へのおはらいもヨモギで行いました。30100 ・お葬式後の食事にはヨモギの箸を使いました。30108 ・男の人が死んだときは、葬式後にヨモギやヨシで簡単な拝み小屋を作り燃やして送りました。死んだ人の家の中は、ヨモギを塩水にひたして炉のまわりなどを清めてから宴会をしました。30108 ・蛇を殺した時は、頭にヨモギの茎を刺しておけと言われました。たたられるのを恐れてそのようにしていたのかも知れません。30110 ・とげの生えた木とヨモギを混ぜて入り口にかけると魔よけになりました。30109 |
1008 |
新ひだか町静内 |
P0017 アザミの類 |
【ア】アンチャミ |
・よい汁物の具になります。34153 ・ニリンソウに混ぜてゆで干しにし、おにぎりのように丸めて保存しておきました。34178 |
1009 |
平取町 |
P0017 アザミの類 |
【ア】アンチャミ |
・葉を汁物に入れます。ゆでたら黒みがかるので、干したりはせずに生のまま食べます。35003 |
1010 |
平取町 |
P0017 アザミの類 |
【ア】アンチャミ |
・葉を野草の汁物にします。時期が過ぎる前に先回りしてとらなければ、柔らかくて良いものは食べられません。[ニリンソウなどに]混ぜて干しておくと、アザミは黒くなります。34652 |