淡水に生息する二枚貝です。アイヌ文化では、この貝殻を利用して穀物の穂摘み具を作ります。
口承文芸では、水が干上がって苦しんでいたカワシンジュガイを助けなかった人は不幸になり、きれいな水辺に連れていってくれた人は幸に恵まれるという神謡があります。
アイヌ語辞典
動物編:動218(1)
アイヌ語名:トパ topa
語義:[<to-pipa]
地域・文献:⦅天塩⦆
アイヌの伝承
物語や歌など
沼貝を助けたオキクルミ(ヤクリクリヤクリコ)
川辺で日照りに苦しんでいると、サマユンクルが来て、「バケモノめ、なんでいるんだ」と言いながら私を踏みつけた。後に来たオキクルミは「湖の神様が育てたものが、川辺で日照りに苦しんでいるというのに、これは助けもしないで兄が踏みつけて行った後ではないか」と言って、怒りながら私を抱えて、オキクルミの水くみ場であるきれいな湖に私を放した。それから「ここで暮らして、たくさん兄弟をつくったらいい」と言ってくれた。それで私は安心したのだった。それからサマユンクルは憎らしく悪い心を持っているから、その川には魚が一匹もいないようにしようと思った。オキクルミは心根もいいから川にはたくさんの魚がいるようにしようと思った。そうして、サマユンクルが食べ物にも困っている一方で、オキクルミは何でも恵まれているのを見ながら暮らした。