アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

動物編 §060 ウグイ

(1)supun-ceppo スプンチェッポ [<supun(アカハラ)cep(魚)po(指小辞)] ⦅穂別⦆ ウグイの白い小さいの

(2)sirkopop シリコポプ [<sir-ko(いちめんに)pop(煮立つ)] ⦅美幌⦆ 赤く縞のついた細く長いウグイ(rakan[ホリ]につく)屈斜路の沼にいる。ウグイの一種。ホについて遊んでいるからsirkopopというと。⦅ビ⦆

(3)supun スプン ⦅北海道・サハリン全域⦆ 1)ウグイの総称 2)アカハラ(生殖期に入って腹の赤くなったもの)⦅虻田、幌別、千歳、足寄、白糠、美幌、多蘭泊⦆

(4)sipun シプン [=supun] ⦅美幌足寄多蘭泊多来加等⦆
 注1.――『コタン生物記』p.148に“一番大型のもので体長は二尺くらいある。体側に薄赤い縦線のあるもの”とある。

(5)eri-supun エリスプン [‘光る・ウグイ’、<eri(光る)] ⦅美幌⦆ 光る小さいウグイ(eri, at kane iki, pon supun)
 注1.――『久摺日誌』p.134-5に「シュリヲホ」なる語をあげその図を掲げて、“桃花魚の類なり。毎年四月此に取る。七、八寸位肉白くして軽ろし”とあるのは、これであろう。「シュリヲホ」は同書p.156に「シュリヲポ」とあるから恐らくsirkobopの誤聴誤記あるいは誤植であろう。
 注2.――『コタン生物記』p.148に「シリコポップ」をあげ“川の浅いところへ何百も集って大騒ぎをやっている、腹の赤い小型のもので、シリコとは集る事、ポップは煮えたつ事で、集ってゴチャゴチャ大騒ぎをしている状態が、鍋の中が煮えたっているのに似ているというのでこうした名をつけてあるのである”とある。(ただし、シリコに集るという意味はない。)

(6)huttoy フットイ ⦅美幌屈斜路足寄白糠⦆ ウグイ

(7)uttoy ウットイ [=huttoy ] ⦅美幌塘路
 注1.――『久摺日誌』p.134-5に「ヲットイ」なる語をあげ“是もウグイ(桃花魚)の一種、シュリヲホより色少し赤く、勢強し。八、九寸より一尺余に及ぶ。肉白し。卵は共に鱒の卵より少し小さし、是も四月より五、六月に惣てとる由也”とある。
 注2.――『コタン生物記』p.148に「フットイ」をあげ、“腹の白い大型のもので、川でも深い淵のようなところに居るもので、フットイの意味はよくわからない”とある。

(8)paykat-supun パイカッスプン [<paykar(春)supun(ウグイ)] ⦅美幌⦆ sirkopopに似てそれより大きいウグイ。

(9)etu-retar エトゥレタル [etu(鼻)retar(白い)] ⦅屈斜路⦆ ウグイの類。フットイの大きなもので、鼻の先の白くなったもの。

(10)si-eturetar シエトゥレタル [<si(大きい)etu(鼻)retar(白い)] ⦅屈斜路⦆ eturetarの特に大きいもの。

(11)pakeporo パケポロ [<pake(頭)poro(大きい)] ⦅白糠⦆ アカハラの大きいの

(12)pakerupne パケルプネ [<pake(頭)rupne(大きい)] ⦅美幌⦆ アカハラの大きなウグイ。ビIX, 71

(13)tuye-hure-supun トゥイェフレスプン [<tuye(その腹)hure(赤い)supun(ウグイ)] ⦅礼文華⦆ アカハラ 礼 78

(14)hotuyatki ホトゥヤッキ [< ] ⦅千歳⦆ ウグイ

(15)parimomo パリモモ [<pari-mo-mo、par(口)、par-i(その口)、mo(小さい),mo-mo(非常に小さい)、‘口の非常に小さい魚’の意か] ⦅沙流⦆【雅】  神謡の中でsupunに対する‘品の悪い呼びかけ’(i-ye katu wen)として用いられている(金田一京助『ユーカラ概説』p.150)

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