アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

動物編 §218 カワシンジュガイ

(1)topa トパ [<to-pipa] ⦅天塩⦆ カラス貝
 カラス貝(pipa)が沼に入ると、皮うすく実赤くなる。それを大川へ戻すと、1年位でもとにかえる。(川のpipaは実(肉)が白いところと黒いところとある)。ゆでたり、干したり年中たべる。

(2)pipa-sey ピパセイ ⦅美幌⦆ カキ貝、pipa近文、屈斜路、白糠

(3)pipa ピパ ⦅長万部幌別⦆ 川シンジュ貝
 煮て開いて、肉を取り出して洗って刻んで味噌と酢と(砂糖があればそれをも入れて)スミソにして食った。味噌をすりばちに入れてすりこぎですり、それに砂糖を入れてまたする。それから煮た貝を刻んだのを入れてかきまわした。貝は一定の所にすて、その内の大きいのだけ保存しておいて粟の穂を切るのに用いた。ica-seyという。幅2寸位、長2.5寸位。一枚を手で握って使った。

(4)to-pipa トピパ ⦅近文名寄
 pipaが沼に入ると皮うすく身が赤くなる。それを大川に戻すと、一年ぐらいでもとに戻る。(川では身に白い所と黒い所とがある)。年じゅう食う。すぐ茹でて食べ、また乾し貯えもする。

(4)to-pipa トピパ ⦅美幌旭川名寄⦆ ヌマシンジュガイ、ヌマガイ(方言)カワ=woro-sey

(5)pet-pipa ペッピパ ⦅旭川⦆ カワシンジュガイ

(6)ica-sey イチャセイ ⦅名寄⦆ シンジュガイの殻
 稗の穂を切る貝。カワシンジュ貝の一片をとり、その縁を砥石でとぎ根もとに穴をあけて紐を通し、右手の人さし指、中指、薬指の3本を入るように紐を輪にする。

(7)woro-sey ウォロセイ ⦅美幌⦆ ヌマシンジュガイ 河貝でto-pipaとも

(8)horosey ホロセイ ⦅斜里⦆ カキ 川の貝。

(9)Pipa-ikoro-sikiaraka ピパイコロシキアラカ ⦅鵜城

(10)pipa ピパ ⦅名寄⦆ カワシンジュガイ
 貝殻の片方を使って手早く身を剥いて刻んでお汁の実にした。また煮て糸に通して干しておき、冬に搗いて粉にしてお汁に味をつけた。月末にやせて行き新月の頃10日すぎまでが最も油がかって美味。

(11)pipa ピパ ⦅幌別⦆ カラス貝 pipa-kap

(12)petorun-sei ペトルンセイ ⦅美幌⦆ カラスガイ 川のカラス貝

(13)ica-sei イチャセイ ⦅美幌⦆ カキ貝

(14)pipa-sey ピパセイ [pipa(カワシンジュガイ)sey(貝)] ⦅沙流―民研、p.255⦆

(15)kane-pipa カネピパ [kane(鉄の)pipa(カワシンジュガイ)] ⦅沙流―民研、p.255⦆

(16)to-pipa トピパ [to(沼)pipa(カワシンジュガイ)] ⦅沙流―民研、p.255⦆

(17)sey-kamuy セイカムイ [sey(貝)kamuy(神)] ⦅美幌⦆ 【雅】カワシンジュガイ、ヌマガイ、カラスガイ

(18)to-pipa トピパ ⦅蝦夷拾遺、藻汐草、木下⦆ カワシンジュガイ、ハネナシカラスガイ、タカトブガイ

(19)to-yampe トヤンペ ⦅富内⦆ カワシンジュガイ(カラスガイの類)

(20)mokoto-un-sey モコトウンセイ ⦅美幌⦆ カワシンジュガイ
 松浦「久摺日誌」(古典全集本146ぺ)にモコトウという沼の中で子どもらがシジミをとる話があり、そのシジミにパシクロセイと仮名をふってある。
 こういう名のpoy seyがある(儀之助)イシガイ科 ビIII,32

(21)Sarma-to or-un poy sey サルマト オルン ポイ セイ  カワシンジュガイ(カラスガイの類)ビV,14

(21)pipa ピパ ⦅春採、藻汐草、蝦夷拾遺⦆ カラス貝(春採)
 ica-sej ヲツクル 稗ノ穂ヲ切ル pipa-sej 片方ニヒモ通ス
 parumpe
 rasuhn(Q1)
 ドロ貝 富内
 沼貝 白浦

(21)pipa ピパ
 貝から片方を使って身を手早くむいて刻んで汁の実。又煮て糸を通して乾しておいて使う時搗いて粉にして汁に入れる(カツブシ)
 新月の頃までが油あり月末はやせて行く(天塩)Q2-166

(21)pipa ピパ ⦅網走⦆ 河貝

(22)pipa-kap ピパカプ  沼貝の殻 ASS,124

(23)pipa-ikoro-sikiaraka ピパイコロシキアラカ ⦅鵜城

(24)petorun-sey ペトルンセイ ⦅美幌⦆ カラス貝
 ヒゼンに焼いて油で練って1日何回でも塗りかえる(美幌)

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