動物編 §281 オットセイ
(1)onne-mamuy オンネカムイ [<onne(老大な)kamuy(神)] ⦅多来加⦆
注.――この語は白浦ではフイリアザラシをさす。
(2)onnep オンネプ [<onne(老大な)-p(もの)] ⦅多来加⦆
注.――この語は北海道でも行われ、もとは成獣の雌をさす名称だったらしい。『もしおぐさ』に、オットセイを‘ウネウ’、その雄‘ヲンネプ’、雌‘ホヲマップ’とあり、東蝦夷日誌に、オットセイの一種に‘ヲヽネツプ’というものがあって大きさ5尺ぐらいから6、7尺に及ぶと書いてある。また‘老大な・もの’というその語源から見ても、もとは成獣の雄(いわゆる老大獣)を言ったものと思われる。
(3)onneh オンネヘ [<onnep] ⦅新問、白浦⦆
(4)onnew オンネウ [<onnep] ⦅富内⦆
注.――この語はワシをもさす。
(5)unew ウネウ [<onnep]
注.――この語は「オンネプ」から出ている。「オンネプ」はもと成獣の雄を意味した。それが「オンネウ」となり、更に「ウネウ」となるに及んで、意味が分化して雌雄をひっくるめたオットセイの総称になったらしい。成獣の雌にも特称があったらしく、古書に‘ホヲマツプ’‘ホーマップ’などと見えている。これはpo-oma-p(子・入っているもの)か。