動物編 §302 ムクドリ;サクラドリ
俗にムクドリ、サクラドリと呼ばれるものには、くちばしの黄色い大型のムクドリ(オオムクドリ Sturnus cineraeus Temminck)と、くちばしの黒いやや小型のコムクドリ(Sturnia philippensis (Forster))とがあり、アイヌは両者を区別せずに呼ぶ。
(1)sikerpe-e-cir シケレペエチリ [<キハダの果実・食う・鳥] ⦅美幌⦆
(2)sikerpecir シケレペチリ [<sikerpe-e-cir] ⦅美幌⦆
原注.――地名語彙としてhacamがよく出てくる。永田氏によればそれは、サクラドリだという。永田氏の地名解にも次のような地名が見えている。
p.35 Hacham putu 桜鳥川口
p.35 Hacham parato 桜鳥川の広沼
P.36 Shi hacham 桜鳥川の氷上
p.36 Pon hacham 桜鳥の小川
p.37 Hacham ebui 桜鳥の小山
p.70 Hacham pet 桜鳥川
p.149 Hacham pet 桜鳥川
原注.――石狩国夕張郡にハチャムペッという川があり、永田氏は‘Hacham pet 桜鳥川’と解釈し、脚註に、千歳土人ハ「ハチヤム」ヲ「ヌコヤ」ト云フ、と記している。